JP2009102554A - エチレン系三元共重合体及びその組成物並びにそれらの成形品 - Google Patents

エチレン系三元共重合体及びその組成物並びにそれらの成形品 Download PDF

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卓親 松尾
Hajime Yamazaki
元 山崎
Yoshiyuki Ishihama
由之 石浜
Naomasa Sato
直正 佐藤
Hirofusa Hirokane
浩総 廣兼
Fumika Yamada
書佳 山田
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Abstract

【課題】難燃性ポリオレフィン系樹脂材料における、難燃剤の滲出や燃焼時の有毒ガスの発生などの諸問題を派生せず、難燃性に優れると共に、ポリオレフィン系樹脂の格別に優れた特性を発揮できるポリエチレン系樹脂材料を提供する。
【解決手段】エチレン、ホスホン酸エステル基を含有するオレフィン及びαーオレフィンあるいはスチレン系モノマーからの繰り返し単位により構成され、Mwが、5,000〜500,000であるエチレン系三元共重合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なエチレン系三元共重合体及びその組成物並びにそれらの成形品に関し、詳しくは、エチレンと特定の炭素−炭素二重結合を有するリン化合物(以下、「ビニルリン化合物」と称す。)とα−オレフィンとのエチレン系三元ランダム共重合体、及びそのエチレン系三元ランダム共重合体と、ポリオレフィン系樹脂及び/又は無機系難燃剤との組成物或いは、これらから構成される成形品に係るものである。
ポリエチレン樹脂は基幹的な産業資材のポリオレフィン系樹脂を代表するものであり、多観点からの改良と発展が続けられており、例えば、多種のポリエチレンへの多様化、メタロセン触媒などの応用による高機能化、組成物やブロック共重合体による展開、新規なポリマーの更なる開発、各種の物性における向上等が多々成されている。
そのようなポリエチレン樹脂材料の性能において、今後の改良がなお待たれている問題のひとつとして、ポリエチレン樹脂の難燃化の要請が存続している。
従来から行われているポリエチレン系樹脂の難燃化手法には、難燃化剤の配合による方法が汎用されているが、有機系難燃剤を配合した樹脂組成物の場合には、有機系難燃剤がブリードアウト(製品表面への滲出)し、長期的には樹脂性能が維持できないという問題を呈している。また、リン含有難燃剤では、加水分解により所定の難燃性を発現できないことがある。更に、有機系難燃剤には、ハロゲン系難燃剤が多く、燃焼時に有毒ガスが発生するという環境と安全面の難点を有している。
また、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の無機系難燃剤を配合する方法等も汎用され、上記の有機系難燃剤における難点は顕出されないとしても、無機系難燃剤では大量に配合しなければ難燃化性能が発揮されないという欠点を有しており、無機系難燃剤を大量に配合するとポリエチレン系樹脂の機械的強度や耐傷付き性等が低下するという問題点を派生する。
ポリエチレン系樹脂の樹脂自体を難燃化する手法としては、オレフィン系樹脂に特定のリン化合物をグラフト変性した難燃性ポリオレフィン系樹脂が提案されているが(特許文献1)、樹脂組成物において分散性や相溶性及び接着性等の性能が不足しており、オレフィン系樹脂にリン化合物をグラフト変性し、更にノンハロゲン系難燃剤を配合した難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物も提案されているが(特許文献2)、これらのグラフト共重合体では、難燃性以外の性能が必ずしも満足できるとは限らず、グラフト重合体であるために柔軟性にも劣り、難燃性と他の性能のバランスが良くとれているとはいえない。
そして、ポリエチレンの主鎖に難燃化のための単量体を共重合して組み込むことにより、難燃性を高め、併せてポリエチレン樹脂の優れた特性を損なわずに充分に発揮させる難燃性ポリエチレン系ポリマーは、未だ開示されていない。
以上において、概括したように、ポリエチレン系樹脂材料の難燃化手法では、いずれの手法においても、充分な難燃化を図れば各種の問題や欠点を派生しており、また、難燃化処理により、ポリエチレン系樹脂材料の本来の優れた各種の物性が損なわれがちで、充分な難燃化が達成され、従来の難燃化に伴う問題を派生せず、ポリエチレン系樹脂材料の本来の優れた各種の物性も充分に発揮される樹脂材料は、未だ、見い出すことはできない。
特開平11−171936号公報(要約及び特許請求の範囲) 特開2004−269780号公報(要約及び特許請求の範囲)
背景技術において、概括したように、従来のポリエチレン系樹脂材料の難燃化手法では、いずれの手法においても、充分な難燃化を図れば各種の問題や欠点を派生しており、また、難燃化処理により、ポリエチレン系樹脂材料の本来の優れた各種の物性が損なわれがちで、充分な難燃化が達成され、従来の難燃化に伴う問題を派生せず、ポリエチレン系樹脂材料の本来の優れた各種の物性も充分に発揮される樹脂材料は、未だ、見い出すことはできない。
よって、本発明は、かかる新規なポリエチレン系樹脂材料の開発を成すことを、発明が解決すべき課題とするものである。
本発明の発明者らは、上記の発明の課題を解決することを目指して、ポリエチレンポリマー自体の難燃化のために、ビニルリン化合物単量体をポリエチレンの主鎖に組み込みエチレン系共重合体として、重合体の骨格に直接にビニルリン化合物を導入した共重合体の実現を図り、併せて、ポリオレフィン系樹脂に固有の格別に優れた各種の物性をも損なわずに充分に発揮させるために、α−オレフィン単量体も同時にポリエチレンの主鎖に組み込むことを創案して、かかる新規なエチレン系三元共重合体を製造するに至り、本発明を創出することとなった。
ところで、ハロゲン化ビニル系重合体の骨格にビニルリン化合物を導入して重合体の難燃化を成す共重合体は従来から知られており(特公昭55−49607号公報等)、乳化重合法などで製造されているが、ポリエチレンの場合には、乳化重合法で重合体又は共重合体を得るのは困難であるので、ラジカル開始剤の存在下、又はイオン重合触媒の存在下で原料モノマーを重合することにより、オレフィン系重合体としてのポリエチレンの骨格に直接にビニルリン化合物とα−オレフィンを導入してエチレン系重合体の難燃化とエチレン系重合体の物性の向上を成す、新規なエチレン系共重合体を製造することを実現することができた。
かかる新規な共重合体においては、オレフィン系重合体におけるポリエチレンの骨格に直接にビニルリン化合物を導入した共重合体であるので、難燃性が格別に高くなると共に、従来のように、難燃剤のブリードアウトが起こらず、ハロゲン系難燃剤による燃焼時の有毒ガス発生の難点も無く、併せて、α−オレフィン単量体も同時にポリエチレンの主鎖に組み込むので、エチレン系ポリマー材料が柔軟で、無機系難燃剤等の受容性に富み、ポリエチレン系樹脂における格別に優れた機械的、化学的、光学的ないしは電気的な諸特性が損なわれることなく充分に発揮され得る材料であって、更に他材料との組成物として、或いは各種の成形品や電線・ケーブル等において格別に有用なものである。
具体的には、本発明における新規なエチレン系共重合体は、ポリエチレンの骨格に直接にビニルリン化合物とα−オレフィン単量体を導入した共重合体であり、下記式(I)のポリエチレン主鎖に下記式(II)及び(III)の繰り返し単位が組み込まれ、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定される重量平均分子量(Mw)が、5,000〜500,000である、エチレン系三元ランダム共重合体(単に、「エチレン系共重合体」又は「エチレン系三元共重合体」と称すことがある。)である。
そして、当共重合体は、下記式(I)で表される繰り返し単位(A)99.90〜40.0モル%と、下記式(II)で表される繰り返し単位(B)0.05〜30.0モル%及び下記式(III)で表される繰り返し単位(C)0.05〜30.0モル%により構成される。
Figure 2009102554
Figure 2009102554
(ここで、R1、R2は、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基を表し、nは0〜4の整数である。)
Figure 2009102554
(ここで、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基を表す。)
本発明においては、上記の新規なエチレン系三元ランダム共重合体に、更に他のオレフィン系樹脂を配合して難燃性樹脂組成物とすることもでき、当エチレン系共重合体0.5〜95重量%とポリオレフィン系樹脂(D)5〜99.5重量%とからなるポリオレフィン系樹脂組成物が提供される。
更に、本発明においては実施の態様として、本発明のエチレン系三元ランダム共重合体或いはポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に、無機系難燃剤30〜200重量部ないしは変性ポリエチレン樹脂を0.1〜10重量部を配合してなるポリオレフィン系樹脂組成物も提供される。
また、上記ポリオレフィン系樹脂(D)及び無機系難燃剤も具体的に規定される。なお、本発明のエチレン系三元ランダム共重合体或いはポリオレフィン系樹脂組成物の利用態様としては、その優れた性能を利用した成形品及び電線・ケーブルを好適に例示することができる。
なお、本発明の新規なエチレン系三元共重合体ないしはそれを利用するポリオレフィン系樹脂組成物における、ポリエチレンの骨格に直接にビニルリン化合物とα−オレフィン単量体を導入した共重合体は、従来の特許文献を精査しても見い出すことはできない。
以上において、本発明の創作の経緯と発明の基本的な構成と特徴について、概括的に記述したので、ここで本発明の全体的な構成を俯瞰すると、本発明は次の発明単位群からなるものである。[1]における発明が基本発明として構成され、[2]以下の各発明は、基本発明の実施の態様又は利用の態様を示すものである。なお、全発明単位をまとめて「本発明」と称している。
[1]下記式(I)で表される繰り返し単位(A)99.90〜40.0モル%と、下記式(II)で表される繰り返し単位(B)0.05〜30.0モル%及び下記式(III)で表される繰り返し単位(C)0.05〜30.0モル%により構成され、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定される重量平均分子量(Mw)が、5,000〜500,000であるエチレン系三元共重合体。
Figure 2009102554
Figure 2009102554

(ここで、R1、R2は、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基を表し、nは0〜4の整数である。)
Figure 2009102554

(ここで、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基を表す。)
[2][1]におけるエチレン系三元共重合体0.5〜95重量%とポリオレフィン系樹脂(D)5〜99.5重量%により構成されるポリオレフィン系樹脂組成物。
[3][1]におけるエチレン系三元共重合体を含む樹脂成分又は[2]におけるポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に、無機系難燃剤30〜200重量部を混合してなるポリオレフィン系樹脂組成物。
[4]ポリオレフィン系樹脂(D)が、密度0.86〜0.94g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレンと不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体との共重合体の、少なくとも一種のポリエチレン系樹脂である、[2]又は[3]におけるポリオレフィン系樹脂組成物。
[5]無機系難燃剤が、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムである、[3]又は[4]におけるポリオレフィン系樹脂組成物。
[6][2]〜[5]のいずれかにおけるポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に対して、更に変性ポリエチレン樹脂を0.1〜10重量部を配合してなるポリオレフィン系樹脂組成物。
[7][1]におけるエチレン系三元共重合体を主材とする成形品。
[8][2]〜[6]のいずれかにおけるポリオレフィン系樹脂組成物を主材とする成形品。
[9][1]におけるエチレン系三元共重合体を用いた電線・ケーブル。
[10][2]〜[6]のいずれかにおけるポリオレフィン系樹脂組成物を用いた電線・ケーブル。
本発明のエチレン系共重合体は、エチレン重合体の骨格に、直接リン化合物とα−オレフィンがランダムに導入された新規なエチレン系共重合体であるので、従来のように重合体表面に難燃剤がブリードアウトすることがなく、難燃剤の加水分解も起こらないので、長期的に安定で、かつ効率的で持続的な難燃効能を呈することができ、また、ハロゲン系難燃剤による燃焼時の有毒ガス発生の難点も無い。
併せて、α−オレフィン単量体も同時にポリエチレンの主鎖に組み込むので、エチレン系ポリマー材料が柔軟で、無機系難燃剤等の受容性に富み、ポリエチレン系樹脂における格別に優れた機械的、化学的、光学的ないしは電気的な諸特性が損なわれることなく充分に発揮され得る材料であって、更に、α−オレフィン基があるため、耐衝撃性や引張特性などに優れ、卓越した耐環境応力亀裂性を有するので、他材料との組成物として、或いは各種の成形品や電線・ケーブル等において格別に有用なものである。
以上においては、本発明における概略及び発明の基本的な構成及び特徴について記述したので、以下においては、本発明の全体を詳細に説明するために、発明の実施の形態を、発明を実施するための最良の形態として、具体的に詳しく記述する。
1.エチレン系三元(ランダム)共重合体
(1)エチレン系三元共重合体の基本構造
本発明のエチレン系三元共重合体は、段落0016等において前記したとおりに、下記式(I)で表される繰り返し単位(A)99.90〜40.0モル%と、下記式(II)で表される繰り返し単位(B)0.05〜30.0モル%及び下記式(III)で表される繰り返し単位(C)0.05〜30.0モル%により構成され、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定される重量平均分子量(Mw)が、5,000〜500,000であるエチレン系三元共重合体である。
Figure 2009102554
Figure 2009102554
(ここで、R1、R2は、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基を表し、nは0〜4の整数である。)

Figure 2009102554
(ここで、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基を表す。)
本発明の式(I)の繰り返し単位(A)の単量体はエチレンであり、式(II)の繰り返し単位(B)は、以下の化学式(IV)で示される炭素−炭素二重結合を有するリン化合物単量体であり、式(III)の繰り返し単位(C)は、以下の化学式(V)で示されるα−オレフィンである。
Figure 2009102554
(ここで、R1、R2は、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基を表し、nは0〜4の整数である。)
ここで、R1、R2は同一でも異なってもよく、炭素数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6の直鎖状又は分岐状の炭化水素基であり、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。これらの中でもメチル基又はエチル基が好ましい。
また、nは0〜4の整数であり、CH=CH−(CH−は、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基等を包含するものであり、これらの中でもビニル基が好ましい。
上記の繰り返し単位(B)の単量体としては、例えば、ジメチルビニルホスホナート、ジエチルビニルホスホナート、ジメチルアリルホスホナート、ジエチル3−ブテニルホスホナート、ジエチルアリルホスホナート、ジメチル3−ブテニルホスホナート等が挙げられ、これらの中でもジメチルビニルホスホナート、ジエチルビニルホスホナートが好ましい。
Figure 2009102554

ここで、Rは、炭素数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6の直鎖状又は分岐状の炭化水素基であり、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
上記の式(V)の繰り返し単位(C)の単量体、即ちα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、4−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン等が挙げられ、これらの中でもプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が好ましい。
本発明のエチレン系三元共重合体の構成は、繰り返し単位(A)99.90〜40.0モル%と繰り返し単位(B)0.05〜30.0モル%と繰り返し単位(C)0.05〜30.0モル%であり、好ましくは繰り返し単位(A)99.80〜50モル%と、繰り返し単位(B)0.1〜25.0モル%と、繰り返し単位(C)0.1〜25.0モル%であり、より好ましくは、繰り返し単位(A)99.6〜60.0モル%と、繰り返し単位(B)0.2〜20.0モル%と、繰り返し単位(C)0.2〜20.0モル%である。
上記の繰り返し単位(A)が99.90を超える場合には、難燃性、柔軟性、耐環境亀裂性(ESCR)等の改良が行われない。また、繰り返し単位(B)が0.05モル%未満では難燃性の効能が乏しく、30.0モル%を超える場合は製造が困難となる。更に、繰り返し単位(C)が0.05モル%未満では繰り返し単位(C)の導入効能が乏しく、柔軟性、ESCR、引張破壊伸び等の機械的強度の改良効果が表われない可能性が生じる。また、30.0モル%を超える場合は製造が困難となる可能性が生じる。
なお、エチレン系共重合体を構成する繰り返し単位(A)、(B)及び(C)の量(モル%)は、当該共重合体の製造時に原料として使用するそれぞれの単量体の量比を増減させることにより制御することができる。
(2)エチレン系三元共重合体の分子量
本発明のエチレン系三元共重合体のGPCで測定される、重量平均分子量(Mw)は、5,000〜500,000の範囲、好ましくは10,000〜400,000、更に好ましくは15,000〜300,000の範囲である。
重量平均分子量(Mw)が5,000未満では、機械的強度が低下し、500,000を超える場合には加工性などに難点を生じる惧れがある。
上記のGPCの測定条件及び測定方法、並びに分子量計算方法は以下の通りである。
(i)測定条件
ーターズ社製150C型を使用して、下記の条件で測定を行い、重量平均分子量(Mw)を求めた。
カラム:Shodex HT−G(昭和電工(株)製)及び同・HT−806M(昭
和電工(株)製)×2本
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
温度:140℃
流量:1.0ml/分
注入量:300μl
(ii)サンプル調整
市販の4mlスクリュートップバイアル瓶に試料約3mg及び溶媒3.0mlを量り採り、センシュー科学製SSC−9300型撹拌機を用い、温度150℃で2時間振とうを行った。
(iii)分子量の計算
GPCクロマトデータは1点/秒の頻度でコンピュータに取り込み、森定雄著・共立出版(株)発行の「サイズ排除クロマトグラフィー」第4章の記載に従ってデータ処理を行い、Mw値を計算した。
(iv)カラムの較正
カラムの較正は、昭和電工(株)製単分散ポリスチレン(S−7300,S−3900,S−1950,S―1460,S−1010,S−565,S−152,S−66.0,S−28.5,S−5.05)、n−エイコサン及びn−テトラコンタンの各0.2mg/l溶液を用いて、一連の単分散ポリスチレンの測定を行い、それらの溶出ピーク時間と分子量の対数の関係を4次多項式でフィットしたものを較正曲線とした。
なお、ポリスチレンの分子量は、次式を用いてポリエチレンの分子量に換算した。
PE=0.468×MPS
(3)エチレン系三元共重合体の分子量の制御
本発明のエチレン系三元共重合体における、エチレン系共重合体の重量平均分子量(Mw)の制御(コントロール)は、ラジカル重合法による場合は、通例のラジカル重合法による低密度ポリエチレンを製造する方法で行われる。
例えば、「高圧法ポリエチレン技術史」石油化学工業協会・1998年3月・52〜55頁等に記載されるように、ラジカル重合法ポリエチレンは、管型反応器(チューブラーリアクター)と槽型反応器(オートクレーブリアクター)で製造されているが、管型反応器では、非常に高温・高圧となるため、槽型反応器に比して低分子成分が生成し易く、槽型反応器では、反応器内で強撹拌・混合が行われるために、ポリマーとラジカル開始剤、生長ラジカル末端の接触確率が高く、その結果ポリマーの連鎖移動反応が起き易く、高分子量成分や長鎖分岐が多くなる。しかしながら、これらの分子量分布の値は双方において殆ど差は無い。
したがって、重量平均分子量(Mw)の制御は、これらの分子量分布の調整を行うことで制御され、一般的には重合温度と重合圧力の調整によって制御される。例えば、高分子量成分を減らすためには、平均分子量を同等に保ちながら分子量分布を狭くすることが肝要であって、反応温度分布を均一に保つ必要がある。このためには高圧下での低温反応を抑えることによって達成される。また、これらの反応条件は、反応開始剤を選択しても制御できる。更に、連鎖移動剤を選択し
て分子量分布を狭くすることも可能であり、活性化エネルギーの低い連鎖移動剤にすれば同じ運転条件でも分子量分布は狭くなる。
また、イオン重合法では、一般的には(i)重合温度による調節、(ii) コモノマー量による調節、(iii) 触媒の構造による調節等によって、制御される。
重合温度の場合では低温で高分子量体が得られ、コモノマー量の場合では、 極性モノマー(ビニルリン化合物)の添加量を少なくすると分子量が上がる傾向を有する。更に、触媒の構造による場合には遷移金属の周りを嵩高い置換基で遮蔽することにより、高分子量体が得られる傾向があり、特にアリール基やアルコキシ基のような電子供与性置換基が遷移金属と相互作用可能となるように配位子を設計することにより、β−水素脱離が抑制され、高分子量体を得ることが可能である。
(4)エチレン系三元共重合体の製造方法
本発明のエチレン系三元共重合体の製造方法は、好ましくは、ラジカル開始剤の存在下で製造されるラジカル重合法、或いはチーグラー系触媒等のイオン重合用触媒の存在下で製造されるイオン重合法などで製造される。
(4−1)ラジカル重合法
(i)重合条件
本発明のエチレン系三元共重合体のラジカル重合法による製造方法は、ラジカル開始剤の存在下において、重合温度100〜300℃、好ましくは120〜280℃、より好ましくは、150〜250℃の範囲で重合される。
重合温度が100℃未満では、収率の低下や安定した製品を製造できない惧れがあり、300℃を超える場合には反応が安定せずに、分子量の大きい重合体を得ることが難しくなる。
また、重合圧力は50〜400MPa、好ましくは70〜350MPa、より好ましくは100〜300MPaの条件下であり、重合圧力が50MPa未満では充分な分子量のものが得られず加工性や物性の低下が生じ、400MPaを超える場合には安定的な製造運転が行い難い。
(ii)重合操作
製造に際しては、基本的には通常の低密度ポリエチレンの製造設備及び技術を利用することができる。反応器の形式としては撹拌翼付のオートクレーブ型、又はチューブラー型のものを使用することができ、必要に応じて複数個の反応器を直列又は並列に接続して多段重合をすることもできる。更に、オートクレーブ型反応器の場合には、反応器内部を複数ゾーンに仕切ることにより、温度分布を設けたり、より厳密な温度制御をすることも可能である。このような操作によって、重量平均分子量(Mw)を制御することが可能である。
(iii)ラジカル開始剤その他
重合にあたってはエチレンとビニルリン化合物及びα−オレフィンとを圧縮機で圧縮して反応器へ導入し、別にラジカル開始剤を反応器へ導入して重合反応を行う。
ラジカル開始剤の添加量は、エチレン単量体とビニルリン化合物及びα−オレフィンの合計100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜3重量部、より好ましくは0.5〜2重量部の範囲であり、必要ならば、連鎖移動剤等を用いて、分子量調節などを行ってもよい。
ラジカル開始剤としては、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジt−ブチルジパーオキシイソフタレート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレート、アセチルパーオキサイド、i−ブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、1,1−ビスt−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ビスt−ブチルパーオキシオクタン、2,2−アゾビスイソブチロニトリル等の有機過酸化物が挙げられる。
これらの中でも、半減期1分を得るための分解温度が、160〜200℃のものが好ましい。
本発明のエチレン系三元共重合体のラジカル重合法として、上述の有機過酸化物をラジカル開始剤として使用する方法に加えて、例えば、Chemical Reviews,2001[101]3,689〜3,745頁や、高分子論文集,59巻4号・199〜211頁等に記載されているような遷移金属触媒によるリビングラジカル重合を挙げることができる。
連鎖移動剤としては、水素、プロピレン、ブテン−1、C〜C20若しくはそれ以上の飽和脂肪族炭化水素又はハロゲン置換炭化水素、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロパラフィン類、クロロホルム、四塩化炭素、C〜C20若しくはそれ以上の飽和脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノール、C〜C20若しくはそれ以上の飽和脂肪族カルボニル化合物、例えばアセトン及びメチルエチルケトン、並びに芳香族化合物、例えばトルエン、ジエチルベンゼン及びキシレンのような化合物が挙げられる。
(4−2)イオン重合法
(i)重合条件
本発明のエチレン系三元共重合体をイオン重合法によって製造する場合は、例えば、チーグラー系触媒等のイオン重合用触媒の存在下で、温度−50℃〜300℃、好ましくは0〜150℃、より好ましくは、50〜100℃の範囲で重合される。
重合温度が上記の下限未満では、収率の低下や安定した製品を製造できない惧れがあり、上限を超える場合には反応が安定せずに、分子量の大きい重合体を得ることが難しくなる。
また、重合圧力は、0より大きく100MPa以下の範囲内であり、好ましくは0.1MPa〜10MPaの範囲、より好ましくは0.2MPa〜5MPaの範囲である。
重合圧力が上記の下限未満では、充分な反応が起こらず、エチレンの重合が充分に進行せず、繰り返し単位(A)の割合が不足し、上記の上限を超える場合には反応が安定しなかったり、エチレンの重合活性が大きくなり過ぎて、繰り返し単位(B)及び(C)の割合が不足する惧れが生じる。
(ii)重合触媒
使用されるイオン重合用触媒としては、配位アニオン重合機構でオレフィン重合が進行するチーグラー系触媒が挙げられ、具体的には、結晶性TiCl−AlEtCl系等の初期チーグラー触媒やMgCl担持TiCl触媒、特開2000−319331号公報に開示されているバナジウム系触媒を例示することができる。この場合、特開平5−320256号公報等に開示されているように、繰り返し単位(B)の単量体の極性基と有機アルミニウム化合物を錯化させて共重合する方法が好ましい。
また、チーグラー系触媒以外の触媒としては、特開昭61−278508号公報、特開平2−120304号公報等に開示されているステアリン酸CrやCr(アセチルアセトナート)とAlCl−AlEtClを組み合わせたCr系触媒等を例示することができ、メタロセン触媒としては、例えば、特開平6−172447号公報に記載されている成分(A):共役五員環を少なくとも1個有する周期表の第4〜6族遷移金属化合物と成分(B):有機アルミニウムオキシ化合物を組み合わせた触媒系を例示することができ、繰り返し単位(B)の単量体を等モル以上のトリアルキルアルミニウム化合物と予め接触させた後に共重合する方法が好ましい。成分(B)として有機アルミニウムオキシ化合物に代えて、成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物又はルイス酸や、固体酸、層状ケイ酸塩を使用することもできる。
本発明のエチレン系三元共重合体を得るために好適に用いられるイオン重合用触媒としては、更に、少なくとも周期表第4〜10族金属に窒素原子、リン原子、酸素原子、イオウ原子が直接配位しており、かつ該原子に嵩高い置換基を有することを特徴とする、いわゆるポストメタロセン錯体と呼ばれる架橋型非メタロセン化合物(周期表第4族金属の化合物の例としては、N−N型配位子を持つビスアミド化合物やN−O型配位子を持つサリチルアルジミナト化合物、周期表第8〜10族金属の化合物の例としては、N−N型配位子を持つビスイミノ化合物やN−O型配位子を持つサリチルアルジミナト化合物、特表平10−513489号公報に記載されている下記(A)のようなNiやPd等の架橋型非メタロセン化合物)を例示することができる。
Figure 2009102554
また、特開平10−298216号公報、特開平11−315109号公報、特開2000−336110号公報、特表2001−515930号公報、Chem.Commun.,2002,744〜745頁、特開2007−46032号公報、特開2007−77395号公報等に記載のある各種非メタロセン化合物も例示することができる。
これらのイオン重合用触媒は、無機酸化物やポリマー等を担体とする担持触媒として使用することができる。
(ii)重合様式
重合様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用し得る。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、溶液重合法、不活性溶媒を実質的に用いずにモノマーを溶媒として用いるバルク法、或いは実質的に液体溶媒を用いずに各モノマーをガス状に保つ気相法などが採用できる。また、重合方式としては、連続式重合と回分式重合に適用される。
スラリー重合の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。更には、塩化メチレンやクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素溶媒を使用することもできる。重合活性を極度に損なわない限りはTHFや水といった含酸素溶媒を使用することもできる。また、分子量調節剤として補助的に水素等の連鎖移動剤を用いてもよい。
2.ポリオレフィン系樹脂組成物
(1)組成物成分の配合
本発明におけるポリオレフィン系樹脂組成物は、基本的には、エチレン系三元共重合体0.5〜95重量%とポリオレフィン系樹脂(D)5〜99.5重量%とを構成成分とするポリオレフィン系樹脂組成物である。なお、好ましくはエチレン系共重合体1〜90重量%、ポリオレフィン系樹脂(D)99〜10重量%、更に好ましくはエチレン系共重合体5〜80重量%、ポリオレフィン系樹脂(D)95〜20重量%の範囲で選択される。
エチレン系共重合体が0.5重量%未満、ポリオレフィン系樹脂が99.5重量%を超える場合には、難燃性の向上効果が期待できない。また、ポリオレフィン系樹脂が5重量%未満、エチレン系共重合体が95重量%を超える場合には、意図するポリオレフィン系樹脂の性能が発揮されない惧れが生じる。
(2)ポリオレフィン系樹脂(D)
本発明におけるポリオレフィン系樹脂(D)とは、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂若しくは直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂等のイオン重合で製造されるポリエチレン樹脂(D1)、ラジカル重合で製造される低密度ポリエチレン等のエチレン(共)重合体(D2)や、ポリプロピレン単独重合体、プロピレンとα−オレフィンとの相互共重合体、ブテン−1樹脂等のその他の樹脂(D3)が挙げられる。
特に、ポリエチレン系樹脂(D1)が、エチレン系三元共重合体と同質の樹脂であり、均一分散等の点から好ましい。
(2−1)ポリエチレン系樹脂(D1)
本発明で用いることのできるイオン重合で製造されるポリエチレン樹脂(D1)とは、JIS K6922−1(1997)の試験方法に基づいて測定した密度が0.860〜0.910g/cm未満、JIS K6922−1(1997)の試験法に基づいて条件D(温度190℃・荷重2.16kg)で測定したMFRが0.1〜100g/10分のエチレン・α−オレフィン共重合体、密度0.910〜0.940g/cm未満、MFRが0.1〜100g/10分のエチレン・α−オレフィン共重合体(直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とも称す)、密度が0.940〜0.970g/cm、MFRが0.1〜100g/10分の範囲のエチレン単独重合体又はエチレン・α−オレフィン共重合体で構成される高密度ポリエチレン樹脂を包含するものである。
上記のα−オレフィンとしては、直鎖又は分岐鎖状の炭素数3〜20のオレフィンが好ましく、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンを挙げることができる。また、それらを2種類以上組み合わせて使用しても良い。これら共重合体の中でも、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体が経済性の観点から好適である。
本発明で用いることのできるイオン重合で製造されるポリエチレン系樹脂(D1)を製造するためには、チーグラー系触媒、フィリップス触媒或いはシングルサイト系触媒を用いて重合温度と圧力等の重合条件、助触媒等をコントロールすることにより好適に製造可能である。
また、ポリエチレン樹脂(D1)は、特に有機アルミニウムオキシ化合物とシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物のオレフィン重合用触媒の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られる共重合体である場合には、さらに好適である。
上記のイオン重合で製造されるポリエチレン系樹脂は、特に製造触媒やプロセス等に限定されるものではなく、成書『ポリエチレン技術読本』(松浦一雄・三上尚孝編著、工業調査会刊行、2001年)の123〜160頁、163〜196頁等に記載されている方法により製造することが可能である。即ち、チーグラー系触媒、フィリップス触媒、シングルサイト系触媒等を用い、スラリー法、溶液法、気相法の各重合様式にて、各種の重合器と重合条件等にて製造することが可能である。
(2−2)ラジカル重合で製造されるエチレン(共)重合体(D2)
本発明で用いることのできるラジカル重合で製造されるエチレン(共)重合体(D2)とは、高圧ラジカル重合法によるエチレン単独重合体(低密度ポリエチレン樹脂)、エチレン・ビニルエステル共重合体及びエチレンとα,β−不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体からなる群から選ばれる少なくとの一種の共重合体等が挙げられ、これら低密度ポリエチレン樹脂等は公知の高圧ラジカル重合法により製造され、チューブラー法とオートクレーブ法のいずれの方法で製造してもよい。
上記の低密度ポリエチレン樹脂は、密度0.910〜0.935g/cm、MFR0.1〜5.0g/10分の範囲のものが好適に使用される。
エチレン・ビニルエステル共重合体は、エチレンを主成分とし、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエステル単量体との共重合体である。これらの中でも特に好ましいものとしては、酢酸ビニルを挙げることができる。これには、エチレン50〜99.5重量%、ビニルエステル0.5〜50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0〜49.5重量%からなる共重合体が好ましい。
エチレンとα,β−不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体からなる群から選ばれる少なくとの一種の共重合体とは、エチレンとメタクリル酸との共重合体、エチレンとアクリル酸との共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体等のエチレンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体等のエチレン−(メタ)アクリル酸又はそのアルキルエステル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸エチル共重合体等の三元共重合体等が挙げられる。
これらのコモノマーとしては、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル等を挙げることができる。この中でも特に好ましいものとして(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等のアルキルエステルを挙げることができる。特に(メタ)アクリル酸エステル含有量は3〜30重量%、好ましくは5〜20重量%の範囲である。
(2−3)ポリプロピレン系樹脂(D3)
本発明のおけるポリプロピレン系樹脂とは、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレン、ブテン−1等のα−オレフィンとのランダム共重合体、ブロック共重合体等が挙げられる。
(2−4)好ましいオレフィン系樹脂
上記のポリエチレン系樹脂では、特に密度0.86〜0.94g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレンと不飽和カルボン酸又はその誘導体との共重合体の少なくとも一種のポリエチレン系樹脂が、柔軟性があり、大量に添加される無機系難燃剤の水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの受容性及びエチレン系三元共重合体の柔軟性を損なわないこと、電線・ケーブルなどの製品に加工された場合にも柔軟性を維持しているため作業性(施工性)等に優れるものとなることから望ましいものである。
特に、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体が、難燃性と柔軟性などの難燃材料としての性能が高く、効率的で好ましい。
3.無機系難燃剤の配合による組成物
本発明における、他のポリオレフィン系樹脂組成物とは、エチレン系三元共重合体100重量部、又はエチレン系三元共重合体0.5〜95重量%とポリオレフィン系樹脂(D)5〜99.5重量%のポリオレフィン樹脂組成物を含む樹脂成分100重量部に対して、無機系難燃剤30〜200重量部を配合するポリオレフィン系樹脂組成物である。
ポリオレフィン系樹脂組成物に使用されるポリオレフィン系樹脂(D)は、前記のポリオレフィン系樹脂組成物で使用されるポリオレフィン系樹脂(D)と同じもので差し支えないが、特に、密度0.86〜0.94g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレンと不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体との共重合体の少なくとも一種のポリエチレン系樹脂が、柔軟性があり、大量に添加される無機系難燃剤の水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの受容性を有し、柔軟性を損なわないことから望ましいものである。特に、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エチル共重合体が、難燃性と柔軟性等の性能が良好であるため難燃材料として効果的である。
無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化スズの水和物、ホウ砂等の無機金属化合物の水和物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム−カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
上記の中では、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイトからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属化合物、特に水酸化アルミニウム、ホウ酸亜鉛及び水酸化マグネシウムが難燃効果に優れており、経済的にも有利である。
なお、上記の難燃剤は1種のみでも用いられるが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムが好ましく、合成と天然の水酸化マグネシウムが特に好ましい。
これら無機系難燃剤を使用する場合、その表面を、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、有機ボラン、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の脂肪酸又はそれらの金属塩、パラフィン、ワックス、又はそれらの変性物等で処理を行なうことが望ましい。
これら無機系難燃剤の粒径は、平均粒径が20μm以下、好ましくは10μm以下が望ましい。
無機系難燃剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対して、30〜200重量部、好ましくは50〜180重量部、更に好ましくは、60〜150重量部の範囲で使用される。配合量が30重量部未満では、難燃効果の向上が不充分であり、200重量部を超える量を配合した場合には、耐衝撃強度等の機械的強度や可撓性と加工性が低下するばかりでなく、耐摩耗性が著しく低下し、かつ低温特性が悪化する。
難燃助剤として、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、リン酸カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、二硫化モリブデン、粘土、赤リン、ケイソウ土、カオリナイト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイト、タルク、シリカ、ホワイトカーボン、ゼオライト、ハイドロマグネサイト、メラミン、メラミンシアヌレート、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン、リン酸ジメラミン、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ジメラミン、ポリリン酸メラミン、エチレンジアミンリン酸塩、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネレート、シリコーン、加熱膨張黒鉛等を併用しても良い。これら難燃助剤は上記の無機系難燃剤100重量部に対して50重量部まで配合することが望ましい。
4.変性ポリエチレン樹脂の配合による組成物
本発明の難燃性のポリオレフィン系樹脂組成物では、場合によっては変性ポリエチレン樹脂を、組成物成分100重量部に対して、0.1〜10重量部を配合してもよい。
変性ポリエチレン樹脂とは、ポリエチレン樹脂にα,β−不飽和ジカルボン酸又は無水物を変性グラフトをしたポリエチレン樹脂であって、α,β−不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、フラン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、ペンテン酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸又は無水物、或いはそれらの金属塩等が挙げられる。これらの中でもカップリング効果等が優れることから無水マレイン酸が最も好ましい。
ここで変性とは、溶媒の存在下または不存在下においてラジカル発生剤を使用し、α,β−不飽和ジカルボン酸又は酸無水物基を有する化合物とポリエチレン樹脂を反応させることをいう。ポリエチレン樹脂中のα,β−不飽和ジカルボン酸又は無水物を有する化合物の量はポリエチレン樹脂100重量%に対して、0.001〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%がよい。α,β−不飽和ジカルボン酸又は無水物を有する化合物の量が0.001重量%よりも少なければ引張強度などの力学的特性が低下し、10重量%より多ければ変性されるポリエチレン樹脂が過度の架橋又は分解を起こし、成形性が低下する。
上記変性ポリエチレン樹脂の配合量は、樹脂成分100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは1〜7重量部、更に好ましくは2〜5重量部の範囲で選択される。配合量が0.1重量部未満では効能が発揮されず、10重量部以上を加えてもそれ以上の効能の向上が望めない。
5.本発明における利用態様その他
(1)成形品への利用
本発明のエチレン系三元共重合体は、ポリエチレン系樹脂としての機能も有しているため、単独或いは他の熱可塑性樹脂や充填剤等と混合した組成物として、種々の成形品に使用することができる。
エチレン系三元共重合体又はそのポリオレフィン系樹脂組成物を使用した成形品としては、押出成形、射出成形、吹込み成形、回転成形、圧縮成形等の成形方法よって、フィルム、シート、袋、容器、フィラメント、繊維、不織布、織布、電線、ケーブル、発泡体等の成形品に成形されて、活用され得るものである。
特に本発明のエチレン系共重合体又はその組成物は、柔軟性に富み、無機系難燃剤等の受容性に優れていることから、耐傷付き性と引張強度等が要求される壁紙材、化粧材、電線・ケーブル等に好適に使用される。
(2)添加剤
本発明では、他の性能を付加するために、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、中和剤、発泡剤、架橋剤、核剤、加工助剤、有機充填剤、無機充填剤等の添加剤を配合しても差し支えない。
[測定方法]
(1)密度
JIS K6922−1(1997)の試験方法に基づいて測定した。
(2)メルトフローレート(MFR)
JIS K6922−1(1997)の試験法に基づいて条件D(温度190℃・荷重21.18N)で測定した。
(3)融点
JIS K7121(1987)の手法に則り、パーキンエルマー社製DSC−7AのDSC測定装置を用いて、融解ピーク温度を測定した。
(4)重量平均分子量(Mw)
段落0030に前記した方法による。
(5)エチレン系共重合体の13C−NMRスペクトル
試料0.3gをNMRの試料管に量り取り、オルトジクロロベンゼン2.3mlを加え、130℃で加熱溶解した後、重ベンゼン0.5mlを加えた。Varian社製Inova500分光計を用いて13C−NMRスペクトルを測定した。共鳴周波数25.7Hz、パルス繰り返し時間は16.3秒、フリップ角は90゜、積算回数は約2,000回、測定温度は130℃である。化学シフトの基準は、重ベンゼンのシグナルを128.0ppmとした。
(6)エチレン系共重合体の赤外吸収スペクトル
試料を180℃で融解させ、0.05mm厚のフィルムを圧縮成形法で作成し、日本分光(株)製FT/IR−6100で透過法赤外吸収スペクトルを測定した。
(7)リン単量体単位の含有量
試料0.1〜0.2gに硫酸と過酸化水素水を加え湿式分解を実施した後、溶液中のリンをJOBIN−YVON社製のJY−46Pを用いて、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法により測定した。
(8)酸素指数(OI)
180℃の温度で、3mmのシートを圧縮(プレス)成形にて作成し、幅6.5mm×長さ150mmの試験片を切削して得た。得られた試験片をJIS K−7201の手法に則り、酸素指数を測定した。
酸素測定装置を用い、試験片の燃焼時間が3分以上継続して燃焼するか、着炎後の燃焼長さが50mm以上に燃え続けるのに必要な最低酸素流量の測定によって酸素指数を求めた。
OI(%)={[O]/([O]+[N])}×100
[O]:酸素の流量L/分
[N]:窒素の流量L/分
(9)引張破壊伸びの測定:
180℃の温度で、1mmのシートをプレス成形にて作成し、JIS K−6251に記載の3号ダンベル片を打ち抜き、試験片を得た。JIS C3005記載されているように、平行部に間隔20mmで標線を引き、チャック間70mm・200mm/minの速度で引張試験を実施した。
破断時の標線間の距離を測定し、以下の式で計算して引張破壊伸びを求めた。
引張破壊伸び(%)=((破断時の伸び)mm−20)/20)×100
[実施例1]
1.5Lオートクレーブにトルエン480mlとジエチルビニルホスホネート(DEVPと称す)4.9gと1−ヘキセン(1−HEX)5.0gを加え、更に、撹拌下に室温にてトリイソブチルアルミニウム18.46g(n−ヘプタン溶液として127ml)を加え、30分撹拌を継続した。次いで、rac−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド(関東化学社製)0.50mmolとメチルアルモキサン(東ソ−ファインケム社製M−MAO−3A)の6.1%ヘキサン溶液109mlを加えてから内温を80℃とし、窒素ガスで気相部を置換した後、エチレンを分圧0.2MPaとなるまで導入して重合反応を開始した。エチレン分圧を0.2MPaに保って、80℃で5時間重合を継続した後、エタノールを加えて重合を停止させた。白色粉体を含むスラリー液を回収し、生成物をエタノール・濃塩酸混合溶液で室温洗浄してエチレン系共重合体(PE−1と称す)15.3gを得た。
得られたポリマーを13C−NMRにかけて、エチレン系共重合体の構造を確認した。一般的なエチレン−α−オレフィン共重合体には見られない16.7ppm、28.3ppm、29.6ppm、37,5ppm、61.2ppmにDEVP由来のシグナルを観察できた。エチレン系共重合体の推定構造を図1に示し、NMRでの測定結果を図2に示す。図2にチャート記載の数値は、図1の化学構造の各炭素に帰属される。また、得られたポリマーの赤外吸収スペクトルには、1030cm−1、1070cm−1、1250cm−1付近に、P=O基に基づくピークが認めらる。図4に赤外吸収スペクトルを示す。上記で得られたポリマーを、ICP発光分析装置で、DEVP由来単位の含有量を測定したところ0.06モル%であり、融点は123℃、Mwは11,000であった。この共重合体の酸素指数(OI)は19.0%であった。
また、参考例としてエチレンと1−ヘキセンの共重合体として、市販の直鎖状低密度ポリエチレン(MFR:2.0g/10分、密度:0.920g/cm、銘柄:ノバテックC6 SF240 日本ポリエチレン社製)の酸素指数等を測定した。また、NMRの測定結果を図3に、赤外吸収スペクトルを図5に示す。これらの結果を表1に示した。
[実施例2]
1Lオートクレーブにトルエン480mLとDEVP12.82gと1−ヘキセン59gを加え、内温100℃に昇温した。次いでPd錯体[{(o−(o−CHO−CPCSO)Pd(CH)(Lutidine)}] 0.1gをトルエン 6mlに分散させたスラリーを全量圧入し、エチレン分圧を3.0MPaになるまで導入し、重合反応を開始した。エチレン分圧を3.0MPaに保って、100℃で1時間重合を継続した後、エタノールを加えて重合を停止させた。白色粉体を回収し、生成物をメタノール及びアセトンで室温洗浄してエチレン共重合体17.6gを得た(PE−2)。この共重合体は、融点121℃、Mw=12,900であった。この共重合体の赤外吸収スペクトル(IR)にはP=O基に基づくピークが観測された。上記で得られたポリマーを、ICP発光分析装置で、DEVP由来単位の含有量を測定したところ2.5%であった。これらの結果を表1に示した。
[実施例3]
DEVPの代わりにジエチル−3−ブテニルホスホナート(DE−3−BP:アルドリッチ社製)14.8mlを使用した以外は実施例1と同様にして、エチレン系共重合体22.2gを得た(PE−3)。この共重合体は、融点120℃、Mw=12,700であった。この共重合体の赤外吸収スペクトル(IR)にはP=O基に基づくピークが観測された。得られたポリマーを、ICP発光分析装置で、DEVP由来単位の含有量を測定したところ3.0%であった。結果を表1に示した。
Figure 2009102554
[実施例4]
エチレン系共重合体樹脂(PE−1)を80重量%、ポリオレフィン系樹脂(D)として、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(MFR0.8g/10min、アクリル酸エチル含有量15%、銘柄:レクスパールEEA A1150 日本ポリエチレン社製、EEAと称す)を20重量%、押出機を用いて温度200℃にて溶融混練し、ペレット状のポリオレフィン樹脂組成物を得た(PE−3)。
得られたポリオレフィン樹脂組成物のMFRは0.8g/10min、密度は 0.928g/cm、酸素指数は、20.5であった。
[実施例5]
エチレン系共重合体樹脂(PE−2)を50重量%、ポリオレフィン系樹脂(D)として、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(MFR0.8g/10min、アクリル酸エチル含有量15%、銘柄:レクスパールEEA A1150日本ポリエチレン社製)を50重量%を用いた他は、実施例4に記載の方法でペレット化し、物性を測定した(PE−4)。
[比較例1]
比較例として、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(MFR0.8g/10min、アクリル酸エチル含有量15%、銘柄:レクスパールEEA A1150日本ポリエチレン社製)の物性を測定した。これらの結果を表2にまとめた。
Figure 2009102554
[実施例6]
エチレン系共重合体樹脂(PE−1)100重量部に、水酸化マグネシウム(銘柄:キスマー5J 協和化学工業社製)100重量部を混合し、竪型定量供給機と連続混練装置及びベント式押出機で構成されたナカタニ機械(株)製NCM型50mmニーダー式押出機(L/D=20)にて、190℃の温度で溶融ストランドを押出し、水槽にて冷却後、カッターを用いて造粒した。得られた組成物の酸素指数及び引張破壊伸びを測定した。
[実施例7〜10、比較例2,3]
表3に示した樹脂の種類、無機系難燃剤の配合量などを変更して、実施例6に準拠して実施し、評価した結果を表3に示した。
Figure 2009102554
[実施例11]
実施例1に記載のエチレン系共重合体樹脂(PE−1)80重量%とポリプロピレン重合体(MFR(230℃・2.16kg)0.8g/10min、銘柄:ノバテックPP EC−9 日本ポリプロ社製、PPと称す)20重量%とからなる樹脂成分100重量部に、水酸化マグネシウム(銘柄:キスマー5J 協和化学工業社製)100重量部を混合し、実施例6のナカタニ機械(株)製NCM型50mmニーダー式押出機(L/D=20)にて、190℃の温度で溶融ストランドを押出し、水槽にて冷却後、カッターを用いて造粒した。得られた組成物の酸素指数(OI)を測定した結果、33%であった。
[比較例4]
ポリプロピレン重合体(MFR(230℃・2.16kg)0.8g/10min、銘柄:ノバテックPP EC−9 日本ポリプロ社製、PPと称す)100重量部に、水酸化マグネシウム(銘柄:キスマー5J 協和化学工業社製)100重量部を混合し、実施例6のナカタニ機械(株)製NCM型50mmニーダー式押出機(L/D=20)にて、190℃の温度で溶融ストランドを押出し、水槽にて冷却後、カッターを用いて造粒した。得られた組成物の酸素指数(OI)を測定した結果、24%であった。
[実施例12]
エチレン系共重合体樹脂(PE−2)50重量%、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(MFR0.8g/10min、アクリル酸エチル含有量15%、銘柄:レクスパールEEA A1150日 本ポリエチレン社製)50重量%で構成される樹脂成分100重量部に、無水マレイン酸で変性した変性ポリエチレン樹脂(銘柄:アドテックス L6100M 日本ポリエチレン社製)5重量部、水酸化マグネシウム(銘柄:キスマー5J 協和化学工業社製)200重量部を混合し実施例6のナカタニ機械(株)製NCM型50mmニーダー式押出機(L/D=20)にて、190℃の温度で溶融ストランドを押出し、水槽にて冷却後、カッターを用いて造粒した。得られた組成物の酸素指数は、37%、引張破壊伸びは650%であった。
[実施例と比較例の結果の考察]
実施例1〜3おけるNMRスペクトル、IRスペクトルの各データ及びICP発光分析の結果により、本発明の新規なエチレン系三元共重合体のポリマー構造が、先の式(I),(II)及び(III)の繰り返し単位を有するランダム構造を成していることが実証されている。また、本発明のエチレン系三元共重合体の重量平均分子量(Mw)が5,000〜500,000の範囲にあることも実証されている。
そして、実施例1〜3の本発明のエチレン系三元共重合体と参考例のエチレン−α−オレフィン共重合体との対比により各実施例の難燃性が高いことが示されている。
実施例4〜5は、本発明のエチレン系三元共重合体とオレフィン系樹脂の組成物であり、比較例のエチレン−アクリル酸エチル共重合体との対比により各実施例の難燃性が高いことが示されている。
実施例6は本発明のエチレン系三元共重合体と無機系難燃剤の組成物であり、実施例7〜10は、本発明のエチレン系三元共重合体とオレフィン系樹脂及び無機系難燃剤の組成物であり、比較例3のオレフィン系樹脂と無機系難燃剤の組成物との対比により、各実施例の難燃性が高く、引張破壊伸びの物性も非常に優れていることが示されている。
なお、比較例2は、本発明のエチレン系三元共重合体とオレフィン系樹脂及び無機系難燃剤の組成物であるが、無機系難燃剤を過剰に300重量部配合した組成物であるので、当然に難燃性が高いものの、引張破壊伸びが大幅に低下し、脆化し易いものであった。
実施例11は、本発明のエチレン系三元共重合体とオレフィン系樹脂及び無機系難燃剤の組成物であり、比較例4のオレフィン系樹脂と無機系難燃剤の組成物との対比により、難燃性が高いことが示されている。なお、比較例4は難燃剤を充分含有するので、難燃性は比較的高くなっている。
実施例12は、本発明のエチレン系三元共重合体とオレフィン系樹脂及び変性エチレン樹脂更に無機系難燃剤配合の組成物であるので、難燃性が高く、引張破壊伸びも非常に優れていることが示されている。
したがって、本発明のエチレン系三元共重合体及びそれを含有するポリオレフィン系樹脂組成物は、難燃性が高いと共に、ポリエチレン系樹脂材料本来の格別に優れた特性を充分に発揮できる、新規な樹脂材料であることが明確に実証されている。
エチレン−ジエチルビニルホスホナート−1−へキセン三元ランダム共重合体の13C−NMRスペクトルの帰属ピークの化学構造式を表す。 実施例1で得られたエチレン−ジエチルビニルホスホナート−1−ヘキセン三元ランダム共重合体の13C−NMRスペクトルを示す。 参考例(エチレンと1−ヘキセンの共重合体)の13C−NMRスペクトルを示す。 実施例1で得られたエチレン−ジエチルビニルホスホナート−1−ヘキセン三元ランダム共重合体の赤外吸収スペクトルを示す。 参考例(エチレンと1−ヘキセンの共重合体)の赤外吸収スペクトルを示す。

Claims (10)

  1. 下記式(I)で表される繰り返し単位(A)99.90〜40.0モル%と、下記式(II)で表される繰り返し単位(B)0.05〜30.0モル%及び下記式(III)で表される繰り返し単位(C)0.05〜30.0モル%により構成され、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定される重量平均分子量(Mw)が、5,000〜500,000であるエチレン系三元共重合体。
    Figure 2009102554
    Figure 2009102554
    (ここで、R1、R2は、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基を表し、nは0〜4の整数である。)
    Figure 2009102554
    (ここで、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基を表す。)
  2. 請求項1に記載されたエチレン系三元共重合体0.5〜95重量%とポリオレフィン系樹脂(D)5〜99.5重量%により構成されるポリオレフィン系樹脂組成物。
  3. 請求項1に記載されたエチレン系三元共重合体を含む樹脂成分又は請求項2に記載されたポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に、無機系難燃剤30〜200重量部を混合してなるポリオレフィン系樹脂組成物。
  4. ポリオレフィン系樹脂(D)が、密度0.86〜0.94g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレンと不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体との共重合体の、少なくとも一種のポリエチレン系樹脂である、請求項2又は請求項3に記載されたポリオレフィン系樹脂組成物。
  5. 無機系難燃剤が、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムである、請求項3又は請求項4に記載されたポリオレフィン系樹脂組成物。
  6. 請求項2〜請求項5のいずれかに記載されたポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に対して、更に変性ポリエチレン樹脂を0.1〜10重量部を配合してなるポリオレフィン系樹脂組成物。
  7. 請求項1に記載されたエチレン系三元共重合体を主材とする成形品。
  8. 請求項2〜請求項6のいずれかに記載されたポリオレフィン系樹脂組成物を主材とする成形品。
  9. 請求項1に記載されたエチレン系三元共重合体を用いた電線・ケーブル。
  10. 請求項2〜請求項6のいずれかに記載されたポリオレフィン系樹脂組成物を用いた電線・ケーブル。





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JP2018044053A (ja) * 2016-09-13 2018-03-22 日本ポリエチレン株式会社 難燃性フィルム

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