実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における液晶パネルの概略図である。以下、この液晶パネルの構成について図1を用いて説明する。図1(a)は液晶パネル全体を示した平面図、図1(b)は図1(a)における断面線A−Bでの断面図を示したものである。なお、図は模式的なものであり、示された構成要素の正確な大きさなどを反映するものではない。表示画素の繰り返し部分の省略及び膜構成の一部簡略化を行っている。また、図中、既出の図において説明したものと同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。以下の図においても同様とする。
ここでは、一例としてTFT(Thin Film Transistor)をスイッチング素子に用いて動作される液晶パネルについて説明を行うことにする。図1(a)及び図1(b)に示される様に、この液晶パネル100は、画像を表示する表示面200を有する第一の基板であるカラーフィルタ基板120と、カラーフィルタ基板120の表示面200と反対側の面に対向して配置される第二の基板であるスイッチング素子基板110と、カラーフィルタ基板120とスイッチング素子基板110との間の表示面200に対応する領域を囲う様に配置されたシール材130を備えており、このシール材130によりカラーフィルタ基板120とスイッチング素子基板110との間の表示面200に対応する領域に液晶140が狭持されている。また、スイッチング素子基板110及びカラーフィルタ基板120は何れも図1中の矢印Xと平行な方向を長手方向とする矩形となっており、カラーフィルタ基板120の表示面200が凸面の曲面となる側に湾曲されている。湾曲方向は、この長手方向に湾曲の曲率が最大となる方向に湾曲されている。また、この湾曲に対応して、長手方向に平行な二辺EGxは湾曲されて変形しており、短手方向に平行な二辺EGyは変形されない。
また、上述のスイッチング素子基板110は、透明基板であるガラス基板111の一方の面における表示面200に対応する領域に液晶140を配向させる配向膜112、配向膜112の下部に設けられ液晶140を駆動する電圧を印加する画素電極113、画素電極113に電圧を供給するTFTなどのスイッチング素子114、スイッチング素子114を覆う絶縁膜115、スイッチング素子114に信号を供給する配線であるゲート配線116及びソース配線117などを有し、更に表示面200に対応する領域外にはスイッチング素子114に供給される信号を外部から受け入れる端子118、端子118から入力された信号を対向電極へ伝達するためのトランスファ電極(図示せず)などを有している。また、ガラス基板111の他方の面には偏光板151を有している。
一方、上述のカラーフィルタ基板120は、透明基板であるガラス基板121の一方の面に液晶140を配向させる配向膜122、配向膜122の下部に配置され、スイッチング素子基板110上の画素電極113との間に電界を生じ液晶140を駆動する共通電極123、共通電極123下部に設けられるカラーフィルタ124及び遮光層125などを有している。また、ガラス基板121の他方の面には偏光板152を有しており、この偏光板152については、偏光板151と同種の素材からなる偏光板が用いられている。
また、スイッチング素子基板110とカラーフィルタ基板120はシール材130及び基板間の距離を一定の距離に保持するスペーサ(図示せず)を介して貼り合わされている。スペーサとしては、基板上に散布された所定の粒径を持つ粒状のスペーサを用いても良いし、何れか一方の基板上に樹脂をパターニングして所定の高さに形成された柱状のスペーサを用いても良い。更に、トランスファ電極と共通電極123は、トランスファ材(図示せず)により電気的に接続されており、端子118から入力された信号が共通電極123に伝達される。この他に、液晶パネル100は駆動信号を発生する駆動用IC(Integrated Circuit)などを装備した制御基板153、制御基板153を端子118に電気的に接続するFFC(Flexible Flat Cable)154、光源となるバックライトユニット(通常は、表示面200の反対側であるスイッチング素子基板110に対向して配置されるが、ここでは図示せず)などを備えており、これら部材と共に表示面200の部分が開放された筐体(図示せず)の中に収納される。
また、スイッチング素子基板110及びカラーフィルタ基板120は、其々、この所定の形状となる様に、少なくとも、この所定の形状よりも大きな外形を持つマザー基板より切り出されることにより形成されている。通常、この様にマザー基板より切り出して形成される液晶パネルにおいては、基板切断時に発生する微小な傷やクラックなどの切断ダメージが液晶パネルの基板端面に残存する。しかし、本実施の形態1の液晶パネル100においては、スイッチング素子基板110及びカラーフィルタ基板120の基板端面のうち、湾曲により変形しない短手方向に平行な二辺の基板端面EGyにのみ、基板切断時に発生する微小な傷やクラックなどの切断ダメージdm部分が残存しており、湾曲により変形される長手方向に平行な二辺の基板端面EGxには切断ダメージdm部分が残存しない。
この液晶パネル100は次の様に動作する。例えば制御基板153から電気信号が入力されると、画素電極113及び共通電極123に駆動電圧が加わり、駆動電圧に合わせて液晶140の分子の方向が変わる。そして、バックライトユニットの発する光がスイッチング素子基板110、液晶140及びカラーフィルタ基板120を介して観察者側に透過或いは遮断されることにより、液晶パネル100の表示面200に映像などが表示される。
なお、この液晶パネル100は、一例であり他の構成でも良い。液晶パネル100の動作モードは、TN(Twisted Nematic)モードや、STN(Supper Twisted Nematic)モード、強誘電性液晶モードなどでもよく、駆動方法は、単純マトリックスやアクティブマトリックスなどでもよく、カラーフィルタ基板120に設けた共通電極123をスイッチング素子基板110側に設置して、画素電極113との間に横方向に液晶140に対して電界をかける横電界方式を用いた液晶パネルでも良い。また、透明基板についても一例としてガラスを用いたが、透明であれば透明プラスチックや石英など、他の材質であっても良い。
更に、トランスファ材については、シール材130中に導電性の粒子などを混合することにより代用でき省略することも可能である。また、ここでは、小型液晶パネルなどの様に、一辺にのみ端子118を設け、一つの制御基板153のみを接続する構成としたが、端子118をスイッチング素子基板110の二辺に設け、其々に制御基板153を接続する構成としても良い。更に駆動用ICを制御基板153に載せた状態で接続するのではなく端子118上に配置して駆動用ICの端子を端子118に直接接続する構成としても良い。また、シール材130において、液晶を注入する注入口の図示を省略しているが、液晶の注入方法として、真空中で注入口より注入する真空注入法を用いる場合には注入口及び注入口を封止する封止剤が形成される。また、液晶を液滴状で配置して真空中で基板を貼り合わせて注入する滴下注入法を用いる場合には、注入口及び封止剤は省略可能である。
次に、本実施の形態1における液晶パネルの製造方法について説明する。スイッチング素子基板110及びカラーフィルタ基板120の製造方法については一般的な方法を用いるため、簡単に説明する。スイッチング素子基板110は、ガラス基板111の一方の面に、成膜、フォトリソグラフィー法によるパターンニング、エッチングなどのパターン形成工程を繰り返し用いてスイッチング素子114や画素電極113、端子116、トランスファ電極117などを形成することにより製造される。また、カラーフィルタ基板120は、同様に、ガラス基板121の一方の面にカラーフィルタ124や共通電極123などを形成することにより製造される。また、これらスイッチング素子基板110及びカラーフィルタ基板120については、これらの基板に比べ面積の大きな二枚の異なるマザー基板内に、其々複数枚のスイッチング素子基板110及びカラーフィルタ基板120が同時に製造される。また、いずれの基板も少なくとも貼り合わされる前までは、湾曲されない平面基板として製造される。
続いて、本実施の形態1において特徴的な組み立て工程について図2に示すフローチャートに従って説明する。まず、基板洗浄工程において、画素電極113が形成されているスイッチング素子基板110を洗浄する(S1)。次に、配向膜材料塗布工程において、スイッチング素子基板110の一方の面に、例えば印刷法により配向膜112の材料となるポリイミドからなる有機膜を塗布し、ホットプレートなどにより焼成処理し乾燥させる(S2)。その後、配向膜材料の塗布されたスイッチング素子基板110に対して配向処理を行い、配向膜112を形成する(S3)。また、S1からS3と同様に、共通電極123が形成されているカラーフィルタ基板120についても、洗浄、有機膜の塗布、及び配向処理を行うことにより配向膜122を形成する。
続いて、シール材130を形成するシール材塗布工程において、スイッチング素子基板110或いはカラーフィルタ基板120の一方の面にシール材130となる樹脂の塗布処理を行う(S4)。また、シール材130には、例えばエポキシ系接着剤などの熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂を用いることができ、後に行う液晶注入工程として、滴下注入方式を用いる場合には、紫外線硬化型樹脂を用いることが望ましい。このシール材塗布工程について、本実施の形態1においては、スクリーン印刷を用いた。
次に、スイッチング素子基板110或いはカラーフィルタ基板120の一方の面に、樹脂中に導電性の粒子を混在させたものや銀ペーストなどの基板間の導通を取るトランスファ材の塗布処理を行うトランスファ材塗布工程(S5)、スイッチング素子基板110或いはカラーフィルタ基板120の一方の面に基板間の距離を一定の距離に保持するスペーサを湿式法や乾式法により散布するスペーサ散布工程(S6)などが行われる。これら工程については、例えば、トランスファ材塗布工程は基板を貼り合わせるためのシール材中に導電性の粒子を混在させることにより、シール材の形成工程と兼ねることも可能であり、スペーサ散布工程はスイッチング素子基板110或いはカラーフィルタ基板120の一方の面に予め基板間の距離を決定する突起状の柱状スペーサを形成しておくことにより、其々省略することも可能である。
以上の様に準備が行われたスイッチング素子基板110とカラーフィルタ基板120に対して、滴下注入方式によって、液晶の滴下工程(S7)及びスイッチング素子基板110とカラーフィルタ基板120の貼り合わせ工程(S8)を行うことによって液晶の封止を行う。この液晶滴下工程(S7)から基板貼り合わせ工程(S8)までの工程について、図3を用い具体的に説明する。
本実施の形態1では、液晶パネルに比べ面積の大きなマザー基板より液晶パネルを複数枚取り出して製造(多面取り)する方法の一例として、貼り合わされた一対のマザー基板より四枚の液晶パネルを取り出す場合について説明する。まず、図3(a)は、カラーフィルタ基板を取り出す第一のマザー基板であるマザー基板20を示した平面図である。図に示す様に、マザー基板20に対して、点線で囲われる領域である矩形の四枚のカラーフィルタ基板120が形成されており、其々のカラーフィルタ基板120には、基板を貼り合わせるためのシール材130が液晶パネルの表示面200(図中破線で囲われる領域)を囲む様に、閉ループの略矩形状に形成されている。この様な準備が行われた四枚のカラーフィルタ基板120に対し、其々の閉ループをなすシール材130のパターンで囲まれる領域内に、多数の微細な液滴状の液晶141が併せて所定のパネル内の容積となる様に滴下される。ここでは、滴下注入法を用いて液晶140を充填する方法を一例としたので、この様に形成したが、真空注入法を用いる場合には、シール材130は完全に閉じた形状ではなく一部開口させた注入口が形成される。また、貼り合わせた後に前記注入口より液晶140は注入されることから、上記説明した液滴状の液晶141の形成処理は省略される。
更に、図3(b)に示す様に、カラーフィルタ基板120を取り出すマザー基板20上に、スイッチング素子基板110を取り出す第二のマザー基板であるマザー基板10が互いに対向して配置され、四枚のカラーフィルタ基板120に対して、四枚のスイッチング素子基板110が其々対応する様に位置合わせされたうえ、真空中において貼り合わされる。カラーフィルタ基板120上に形成された液滴状の液晶141はスイッチング素子基板110とカラーフィルタ基板120間に挟まれ拡げられ、図中、液晶140で示す様にシール材130で囲われる領域内に均一に拡がり充填される。なお、図中では、便宜上、マザー基板10とマザー基板20が若干ずれた状態で示されているが、マザー基板20上にマザー基板10が配置されたことを示すためであり、実際には、ほぼ完全に重なる様に位置合わせされて貼り合わされている。
また、図3(a)及び図3(b)に示される様に、其々のシール材130の近傍には、図中矢印Xと平行な方向に並ぶ二つずつの液晶パネルを単位とする領域を囲む様にダミーシール130cが形成されている。これは、後に行われる二つずつの液晶パネルを単位とするガラスの研磨工程時に対向する基板の内側、特に端子118などが水や薬液によりダメージを受けないように基板外周部を囲い保護するものである。ダミーシール130cについては、シール材130と同じ材料によりスクリーン印刷により同時に形成しても良く、表示領域内に基板間の距離を決定する突起状の柱状スペーサを用いる場合には、この柱状スペーサと同じ材料により形成しても良い。また、少なくともガラスの研磨工程において、保護できれば良いことから、必ずしも、この様に貼り合わせ工程(S8)の時点で完全に囲う様に形成する必要は無く、ガスの通気経路などの開口部を設けて、ガラスの研磨工程の直前に開口部を封止する様にしても良い。また、ガラスの研磨工程の直前に基板端の外周を全て封止しても良く、その場合には、この貼り合わせ工程(S8)の前でのダミーシール130cの形成は省略可能である。
以上の様に貼り合わされたスイッチング素子基板110とカラーフィルタ基板120に対して、形成されたシール材130の硬化処理が行われる。この工程は、例えばシール233の材質に合わせて熱を加えることや、紫外線を照射することにより行われる。以上の様にして、液晶滴下工程(S7)から基板貼り合わせ工程(S8)までの工程が行われる。
続いて、図2に示すフローチャートに示す様に、一次基板切断工程において、貼り合わせた基板を、先ず、複数の液晶パネルが一列に繋がったに列状のセル基板(本実施の形態では二つの液晶パネルが繋がっている。以下、スティック状セル基板と呼ぶ)に分断する(S9)。次に、図中矢印X方向に平行な辺の基板端面EGxに形成された切断ダメージを除去する基板端研磨工程と湾曲液晶パネルを得るために、湾曲加工が容易になる様に、ガラス基板111及びガラス基板121の表面を削り基板厚さを薄くする薄型化研磨工程とを同時に行う(S10)。この工程は、薬液を用いた化学研磨によりガラス基板表面を削ることにより行われる。次に、二次基板切断工程であるセル分断工程において、貼り合わせた基板を個々の液晶パネルに対応する個別セル基板に分断する(S11)。この一次基板切断工程(S9)から基板端研磨及び薄型化研磨(S10)、更にセル分断工程(S11)までの工程について、図4〜図7を用い具体的に説明する。
先ず、貼り合わされた基板をスティック状セル基板に分断する一次基板切断工程(S9)について図4を用いて説明する。図4(a)は、この一次基板切断工程(S9)における切断位置を示したものであり、切断は図中破線で示される切断線BLの位置において分断される。一般的には、ガラス基板の切断は切断線BLに沿って、切断傷が形成され、その後、切断傷の近傍に圧力を印加することにより分断することができる。本実施の形態1では、図4(a)に示す様に、図中矢印Xと平行な方向の切断線BLにより二本のスティック状セル基板に分断される。本実施の形態1では、図中矢印Xと平行な方向、即ち液晶パネルの長手方向に平行な二辺のみが湾曲されることから、湾曲される二辺の方向と一次基板切断工程(S9)における切断方向(切断線BLの方向)を一致する様に決定した。更に、切断位置はスイッチング素子基板110の所定の形状(図中点線で示される矩形領域)ではなく、所定の形状よりも外側に形成された切断線BLにより分断される。また、マザー基板10側より見た図のみを用いて説明したが、マザー基板20側についても同じ切断線BL上で切断され、カラーフィルタ基板120に対しても同様に所定の形状よりも外側において切断される。
続いて、図4(b)は、以上の様に行った一次基板切断工程(S9)により形成された二本のスティック状セル基板のうちの一本のスティック状セル基板STCについて示すものである。一次基板切断工程(S9)後においては、図に示す様に、二枚の液晶パネルが一列に繋がったスティック状セル基板STCが得られ、このスティック状セル基板STCの長手方向に対し両側に、二枚の液晶パネル其々の切断により形成された基板端面EGdが連続した状態に形成される。この切断により形成された基板端面EGdについては、図中斜線による網掛けにより示す様に、切断傷を起因としたり、分断時において生じたり、切断を起因とする切断ダメージdmが残存している。切断ダメージとしては、具体的には微小な傷やクラック、残留応力などであり、本来のガラス基板よりも応力や衝撃に対して抗力が弱く、破損の起点となり易い部分である。然しながら、本実施の形態においては、この切断により形成された基板端面EGdに残存する切断ダメージdm部分を以後に行う基板端研磨工程により研磨除去することから、除去される領域を見込んで、削りしろを設けて切断されている。この削りしろは、一次基板切断工程(S9)の説明で行ったとおり、スイッチング素子基板110及びカラーフィルタ基板120に対して、所定の形状よりも外側に形成された切断線BLにより分断したことにより、このスティック状セル基板STCの長手方向に対し両側に形成されており、各液晶パネルの削りしろが連続して設けられている。また、この後に、このスティック状セル基板STCに対して行われる基板端研磨工程及び薄型化研磨工程(S10)に対応して、先に説明した通り、図中矢印Xと平行な方向に並ぶ二つずつの液晶パネルを単位とする領域、即ち、このスティック状セル基板STCの外周部を囲む様にダミーシール130cが形成されている。
続いて、この様に準備されたスティック状セル基板STCに対して、図5に示す様に基板端研磨工程及び薄型化研磨工程(S10)を行う。この工程は、図に示す様に、複数のスティック状セル基板STCを保持部材HLDにより保持し、薬液ECTを保持したエッチング槽TNK中に浸漬して薬液ECTによりスティック状セル基板STCの表面のガラスをエッチング研磨する。薬液ECTとしては、市販のガラスエッチング液である希フッ酸やバッファードフッ酸などのフッ酸系のエッチング液が用いることができ、傷やクラックを除去可能なためには、薬液ECTが傷やクラックの内部に浸透し難くするため、上記フッ酸系のエッチング液に液の粘度を上昇させる添加物を混合することが好ましい。
また、スティック状セル基板STCの保持方法について、図6を用いて説明する。図6(a)は、複数枚のスティック状セル基板STCを保持部材HLDにより保持した状態を示すものであり、基板端研磨工程及び薄型化研磨工程が同時に行われる様に、複数のスティック状セル基板STCを間隔を空けて保持し、更に、スティック状セル基板STCの短手方向の二辺により保持して薬液ECT内に浸漬する。これにより、スティック状セル基板STCの薄型化研磨を行う基板面と、切断により形成された基板端面EGdのみが薬液ECTに接触され、研磨が行われる。この際に、保持部材HLDが、強度の高い保持母材HLD−Mと、スティック状セル基板STCと密着して密着面への薬液ECTの接触を防ぐ、柔軟なシリコンゴムなどの保持クッション材HLD−Pより構成した。これにより、保持部材HLDによる保持される面では薬液ECTによる研磨が行われない。図6(b)は、図6(a)の様に保持して基板端研磨工程及び薄型化研磨工程を行った後の状態を示したものであるが、スティック状セル基板STCは基板面側においては、間隔を空けて保持されていることから、薬液ECTに接触されて、基板厚さが薄く研磨加工が行われている。また、基板端面EGdについても、薬液ECTにより研磨加工が行われ、基板端面EGdに存在する切断ダメージdm部分が除去され、強化された新たな基板面よりなる基板端面EGxが形成される。
基板厚さの削り量としては、本実施の形態1では、スティック状セル基板STCを構成する二枚のガラス基板の研磨加工前における基板厚さを0.7mmに設定し、その基板厚さに対して、0.3mmの厚さとなるまで、即ち、0.4mm削る様に研磨加工した。基板端面についても、基板面方向と略等方に研磨されることから、同様に0.4mm削る様に研磨加工される。切断ダメージdm部分が確実に除去できる端面削り量と、所望の基板厚さの設計に対する薄型化研磨に対する削り量が同程度で良い場合には、上記説明の図6(a)〜図6(b)で説明した保持方法のみで基板端研磨工程及び薄型化研磨工程を完了しても良いが、薄型化研磨に必要な削り量に対して、基板端研磨に必要な削り量のバランスが合わない場合、例えば、更に基板端研磨のみを行う必要がある場合には、更に追加の基板端研磨工程を実施しても構わない。その場合には、図6(c)に示す様に、スティック状セル基板STCを基板間にシリコンゴムなどの保護シートGSTを交互に重ね合わせて、保持部材HLD2により保持して行う。この様に保持すれば、スティック状セル基板STCの表面を薬液ECTに接触させずに基板端面のみを薬液ECTに接触することができ、基板端研磨工程のみを独立して行うことができる。また、この様に基板端研磨工程のみを独立して行う場合には、スティック状セル基板STCを間隔を空けて保持して行う基板端研磨工程及び薄型化研磨工程の同時処理工程の前に行う様に順番を変更しても良い。
続いて、図7(a)は、以上の様に基板端研磨及び薄型化研磨工程(S10)を実施したスティック状セル基板STCについて示すものである。図4(b)において、スティック状セル基板STCの長手方向に対し両側に位置する基板端面EGdには切断ダメージdm部分が残存することを説明したが、この図7(a)に示す様に、この切断ダメージdmが除去され、スティック状セル基板STCの長手方向に対し両側には強化された新たな基板面よりなる基板端面EGxが形成されている。また、この基板端面EGxが其々の液晶パネルの所定形状に対し、長手方向(図中矢印Xと平行な方向)の最終的な外形端となる。更に、二次基板切断工程であるセル分断工程(S11)を行うことにより個々の液晶パネルが最終形状となる様に分断される。図7(b)は、基板端研磨及び薄型化研磨工程(S10)を実施したスティック状セル基板STCに対してセル分断工程(S11)を行い分断して形成された一つのセル基板CELについて示すものである。セル分断工程(S11)においては、図中矢印Yの方向に平行な切断が行われ基板端面EGyが形成される。これらの新たに切断により形成された基板端面EGyについては、切断ダメージdm部分が残存する。それに対して、図中矢印Xの方向に平行な基板端面EGxについては、一次基板切断工程(S9)において形成された切断ダメージdm部分が研磨除去されたスティック状セル基板STCの長手方向に対し両側に位置する基板端面が、そのまま使用されることから、切断ダメージdm部分は残存しない。
また、この第二切断工程(S11)においては、端子118と対向するガラス基板部分を不要ガラス片としてカラーフィルタ基板120より除去するための切断も行われる。この際、不要ガラス片とスイッチング素子基板110と間には、基板端研磨及び薄型化研磨工程(S10)のために形成されたダミーシール130cの一部が残存する。ダミーシール130cと不要ガラス片の密着力が大きいと不要ガラス片を除去する際に、基板割れやスイッチング素子基板110上の膜のハガレなどを生じることが懸念される。図7(b)の様にダミーシール130c部についても不要ガラス片を除去したい場合には、例えば、次の方法を取ると良い。基板間の距離を決定する突起状の柱状スペーサと同じ材料でスイッチング素子基板110上或いはカラーフィルタ基板120上に形成すると、不要ガラス片の除去の際にダミーシール130cが一方の基板のみ固着して、他方の基板からは容易に剥がれることから、上記説明の様な不具合が発生せず不要ガラス片を除去できる。また、ダミーシール130cをシール材130と同じ材料により形成して、スイッチング素子基板110及びカラーフィルタ基板120にしっかりと固着される場合には、図7(c)に示す様に、端子上部のみの不要ガラス片を除去してダミーシール130c部では、カラーフィルタ基板120を残す様に切断を行うと良い。また、ダミーシール130cをシール材130と同じ材料により形成した場合にも、ダミーシール130c部において一方の基板との密着力を落とす様に、例えば、基板との密着力の低い膜を介して形成する方法、或いは基板との貼り合わせ前にダミーシール130cのみを硬化して貼り合わせ時に対向する基板に固着させない方法などを用いれば、図7(b)の様に、ダミーシール130c部にカラーフィルタ基板120を残さない構成をとることも可能である。以上の様にして、一次基板切断工程(S9)から基板端研磨及び薄型化研磨工程(S10)、更にセル分断工程(S11)までの工程が行われる。
続いて、図2に示すフローチャートに示す様に、偏光板貼り付け工程において、個々のセル基板CELに偏光板151、152を貼り付ける(S12)。続いて、制御基板実装工程において、制御基板153を実装し(S13)、最後に基板を湾曲する様に変形された状態で筐体内に組み込み保持することによって(S14)、図1において説明した構成を持つ湾曲型の液晶パネル100が完成する。湾曲方向としては、本実施の形態1ではスイッチング素子基板110及びカラーフィルタ基板120の長手方向に平行な二辺の基板端面EGxについて切断ダメージdm部分が残存しない様に形成されたことから、この切断ダメージdm部分が残存しない長手方向に平行な二辺の基板端面EGxのみが湾曲により変形する様に、即ち、液晶パネル100の長手方向に平行な方向に湾曲の曲率が最大となる方向に湾曲する。また、本実施の形態1では表示面200側が凸となる様に湾曲させたが、表示面200側が凹になる様に湾曲させても良い。また、一次基板切断工程(S9)と第二切断工程(S11)の切断する行方向と列方向を反対とすることにより、スイッチング素子基板110及びカラーフィルタ基板120の短手方向に平行な二辺の基板端面EGyについて切断ダメージdm部分が残存しない様に形成することができ、液晶パネル100の短手方向に平行な方向に湾曲の曲率が最大となる方向に湾曲することも可能である。
以上の様に製造された本実施の形態1の湾曲型液晶パネルにおいては、湾曲により変形を生じている基板端面EGxに切断ダメージdmを削り除去して形成された強化面が形成される。その結果、湾曲形状への加工時や製品としての使用時において、ガラスへの応力により変形を生じている基板端面において、通常の切断により形成された基板端面に存在する微小な傷やクラックを起点とする液晶パネルの破損が発生しない。この強化面による効果は、製造時における湾曲加工時においても、剥がれやギャップ不良による不良品の発生を防止できることから歩留りの改善に寄与し、製品としての使用時においても、同様の不良の後発生を防止できることから信頼性の改善に寄与する。また、強化面の形成を特定の湾曲により変形する端面についてのみ、予め所定の基板形状よりも外側に設けた削りしろを研磨除去する方法を用いたことから、強化面を形成しながらも、所定の液晶パネルサイズより大きくなることもなく、正確なサイズの液晶パネルをマザー基板の大きさに対して効率良く取り出すことができる。その結果、パネルサイズが大型化することなく狭額縁化が図れるとともに、製造される液晶パネルの耐久性向上と低コスト化を両立して製造することができる。
また、本実施の形態1では、湾曲により変形を生じる基板端面EGxに対応して切断ダメージdm部の残存する削りしろを除去する研磨処理工程を、複数の液晶パネルが一列に繋がったスティック状セル基板STCの状態で行った。これにより、其々の液晶パネルの切断により形成された基板端面EGdを揃えた状態で基板端面EGxに対向する方向より一括して研磨処理を行うことができ、必要な端面についてのみ同時に効率的に行うことができる。また、これら工程を複数のスティック状セル基板STCを長手方向の端面を揃え、間隔を空けて保持しながら薬液によるエッチングにより行うことから基板端研磨工程と湾曲が容易となる薄型化研磨工程を同時に行うことができるとともに、複数の液晶パネルからなるスティック状セル基板STCを更に複数本同時に一括して処理することができ湾曲型液晶パネルの製造に好適な処理を効率的に行うことができる。また、上記の研磨工程が、湾曲により変形を生じる基板端面以外の研磨の不要な基板端面EGyを形成する切断が行われる前のスティック状セル基板STCの状態で行われることから、基板端面EGyが薬液に曝されず、別途、基板端面EGyに保護層の形成処理などを行うことなく研磨の必要な面に対してのみ選択的に研磨処理を行うことができ、効率的かつ低コストで製造することができる。
また、本実施の形態1では、スティック状セル基板STCの状態で、湾曲により変形を生じる基板端面EGxに関する削りしろを除去する工程を行ったが、スティック状セル基板STCを分断する第二切断工程を先に実施し、セル基板SELの状態で基板端研磨工程或いは薄型化研磨工程を行っても良い。その場合には、スティック状セル基板STCの場合と同様に、図6(a)におけるスティック状セル基板STCをセル基板SELに置き換えて、複数のセル基板SELにおける其々の基板端面EGdの位置を揃え、間隔を空けて保持しながら薬液に浸漬しエッチングを行う。これにより湾曲により変形を生じる基板端面EGxに対応して切断ダメージdm部を除去する削りしろが形成された基板端面EGdのみが薬液ECTに接触され、研磨を行われる。この様にして、実施の形態1と同様に基板端研磨工程と薄型化研磨工程を同時に行うことが可能である。また、湾曲により変形を生じる基板端面以外の研磨が不要な基板端面EGyについては、基板端面EGyに保護層などを形成処理しても良いが、図6(a)における保持部材HLDにより密着して保持することにより基板端面EGyを薬液に曝さない様に保護して行うのが好ましい。この様にすることで、保持部材HLDによりセル基板SELの保持の役割と基板端面EGyの保護の役割を兼ねることができ、別途、基板端面EGyに保護層の形成処理などを行うことなく研磨の必要な面のみを選択的に行うことができる。
また、本実施の形態1では、マザー基板より、二行、二列に配置された四枚の液晶パネルを取り出す場合を例に取り説明したが、これに限らずマザー基板のサイズと取り出す液晶パネルのサイズに応じて、行の数、列の数、取り出す液晶パネルの数を適宜設定可能である。また、多面取りに限られず、マザー基板より、一枚の液晶パネルを取り出す場合においても、液晶パネルに大きさ及び形状に対して、マザー基板の大きさ及び形状が異なり、マザー基板より切断により不要部を除去して液晶パネルを取り出す場合においては、本実施の形態の方法は転用可能である。これら、多面取り及び一枚の液晶パネルを取り出す場合についても、本実施の形態1と同様の効果を有する。
実施の形態2.
実施の形態1においては、湾曲により変形を生じる基板端面EGxに対応して切断ダメージを除去する基板端研磨工程を、薬液による研磨を用いて基板薄型化工程と同時に行う製造方法を選択した湾曲型液晶パネルについて説明を行ったが、本実施の形態2では、この基板端研磨工程を基板薄型化工程と独立に行う製造方法を選択した湾曲型液晶パネルについて説明する。なお、ここでは、本実施の形態2において、実施の形態1と同様である点は詳細な説明を省略し、実施の形態1の液晶パネルとの相違点について主に説明を行う。
本実施の形態2の液晶パネルにおいては、構成については、図1において説明した実施の形態1の構成と同様であることから詳細な説明は省略する。また、製造方法において、スイッチング素子基板110及びカラーフィルタ基板120の製造方法については、実施の形態1と同様であることから詳細な説明は省略する。
続いて、本実施の形態2において特徴的な組み立て工程について、図8に示すフローチャートに従って説明する。基板洗浄工程(S1)〜筐体組み込み工程(S14)において、本実施の形態1と比較して、基板端研磨工程と薄型化研磨工程を同時に行う研磨工程(S10)が独立した研磨工程、即ち、薄型化研磨工程(S10−1)と、基板端研磨工程(S10−2)とに分離して行われる様に変更した点、薄型化研磨工程(S10−1)が一次基板切断工程(S9)よりも前に行われる様に変更した点、基板端研磨工程(S10−2)が薬液を用いずに行われる様に変更した点が異なる。更に、この変更に伴い、薄型化研磨工程に対応した基板外周部を囲い保護するダミーシール130c形成方法の変更が必要となり、ダミーシール130c形成の行われるシール材塗布工程(S4)が異なる。従って、以下、シール材塗布工程(S4)〜基板端研磨工程(S10−2)について、図9〜図11を用い具体的に説明する。
先ず、シール材塗布工程(S4)について図9を用い説明する。図9(a)は、液晶滴下工程(S7)時のカラーフィルタ基板を取り出す第一のマザー基板の状態を示した平面図であり、図9(b)は、貼り合わせ工程(S8)時の状態を示した平面図である。図3を用い説明した実施の形態1におけるシール材塗布工程(S4)と比較して、本実施の形態2では、薄型化研磨工程(S10−1)において対向する基板の内側が薬液によりダメージを受けない様に保護するダミーシール130cをマザー基板20の外周部に形成する点が異なる。これは本実施の形態2においては、マザー基板10とマザー基板20を切断する前に、薄型化研磨工程(S10−1)を行うため、貼り合わされるマザー基板10とマザー基板20の最外周部となる様に設けられる。また、本実施の形態2のダミーシール130cも実施の形態1において説明したとおり、少なくともガラスの研磨工程において保護できれば良いことから、必ずしも、この様に貼り合わせ工程(S8)の時点で完全に囲う様に形成する必要は無い。従って、実施の形態1と同様にガスの通気経路などの開口部を設けて、薄型化研磨工程(S10−1)の直前に開口部を封止する様にしても良い。更に、薄型化研磨工程(S10−1)の直前に基板端の外周を全て封止する方法を用いても良く、その場合には、この貼り合わせ工程(S8)の前でのダミーシール130cの形成は省略可能である。その他の部分については、図3を用い説明した実施の形態1と同様であることから説明を省略する。
以上の様に貼り合わされたマザー基板10とマザー基板20に対して、実施の形態1と同様、形成されたシール材130の硬化処理が行われる。続いて、本実施の形態2では、この貼り合わされたマザー基板10とマザー基板20に対して、切断を行う前に、薬液に浸漬することにより薄型化研磨工程(S10−1)が行われる。以上の様にして、シール材塗布工程(S4)から薄型化研磨工程(S10−1)までの工程が行われる。
続いて、貼り合わされた基板をスティック状セル基板に分断する一次基板切断工程(S9)について図10を用いて説明する。図10(a)は、この一次基板切断工程(S9)における切断位置を示したものであり、図10(b)は、一次基板切断工程(S9)により形成されたスティック状セル基板STCについて示すものである。図4を用い説明した実施の形態1における一次基板切断工程(S9)と比較して、ダミーシール130cの位置のみが異なる。本実施の形態2では、ダミーシール130cはマザー基板10及びマザー基板20の外周部に形成されていることから、この一次基板切断工程(S9)でダミーシール130cも分断される。スティック状セル基板STC上においては短手方向の辺の近傍のみに残り長手方向には残存しない。その他の部分については、図4を用い説明した実施の形態1と同様であることから詳細な説明は省略するが、本実施の形態2のスティック状セル基板STCにおいても、このスティック状セル基板STCの長手方向に対し両側に位置する基板端面EGdに切断ダメージdm部分が残存しており、その切断ダメージdm部分を研磨除去するための削りしろを設けて切断されている。
続いて、本実施の形態2における基板端研磨工程(S10−2)について、図11を用い説明する。上記説明の様に準備されたスティック状セル基板STCに対して、図11(a)に示す様に基板端研磨工程(S10−2)を行う。この工程は、図に示す様に、スティック状セル基板STCの長手方向に対し両側に位置する基板端面EGdのみを、物理研磨手段(或いは機械的研磨手段)の一つとして、回転する粗面を持つグラインダGRを基板端面に接触させながら走査することにより研磨する。物理研磨手段としては、グラインダの他に、粗面を持つヤスリなどにより基板端面を擦る研磨方法と仕上げの鏡面加工としてアルミナやダイヤモンドペーストなどの硬い微粒子からなる研磨材とともにシート材により基板端面を擦る研磨方法(一例としてバフ研磨などがある。)などを組み合わせた方法が用いることができる。また、研磨時のスティック状セル基板STCの保持は、基板端面EGdの研磨が行い易ければ良く、例えばスティック状セル基板STCの短手方向の二辺により保持しながら行うのが良い。図中では基板端面EGの研磨処理を回転するグラインダGRを矢印の様に基板端面EGdに沿って走査して行っているが、基板端面EGdの全面に接する様な大きなディスク状のグラインダや回転方式のヤスリに回転軸方向より接触させることにより研磨しても良い。また、長手方向に対し両側に位置する基板端面EGdに対して、図の様に両側同時に行っても良いし、片側ずつ順次行っても良い。また、図の様に一枚ずつスティック状セル基板STCに対して行っても良いが、複数のスティック状セル基板STCについて端面を揃えて保持することにより、複数のスティック状セル基板STCの研磨処理を同時に行うことが可能であり、効率良く研磨処理を行うことができ好ましい。また、実施の形態1においては、基板端研磨工程を薬液により行うことから、スティック状セル基板STCの端面の全周をダミーシール130cにより囲い保護して行ったが、本実施の形態2においては、薬液を用いない物理研磨手段を用いることから、特に、この基板端研磨工程(S10−2)用にダミーシールの形成や封止処理を行う必要は無い。
この様に基板端研磨工程(S10−2)を行うことにより、図11(b)に示す様に、スティック状セル基板STCの長手方向に対し両側に位置する基板端面EGdにおいては、残存する切断ダメージdm部分が除去され、強化された新たな基板面よりなる基板端面EGxが形成される。また、この基板端面EGxが其々の液晶パネルの所定形状に対し、長手方向(図中矢印Xと平行な方向)の最終的な外形端となる。
以後、図8に示すフローチャートに示す様に、実施の形態1と同様に、二次基板切断工程(S11)、偏光板貼り付け工程(S12)、制御基板実装工程(S13)、筐体組み込み工程(S14)などを行うことにより、図1において説明した実施の形態1と同様の構成を持つ湾曲型の液晶パネル100が完成する。二次基板切断工程(S11)についても、基本的には実施の形態1と同様であることから図面を用いた詳細な説明は省略するが、端子118と対向するガラス基板部分を不要ガラス片として除去する切断処理に関しては、本実施の形態2では、薄型化研磨工程用に形成されたダミーシール130cが不要ガラス片と干渉しない位置に形成されていることから、不要ガラス片の除去は容易であり、ダミーシール130cの材料や切断位置などに特に工夫をする必要は無い。
以上の様に製造された本実施の形態2の湾曲型液晶パネルにおいても、実施の形態1と同様に、湾曲により変形を生じている基板端面EGxに切断ダメージdmを削り除去して形成された強化面が形成される。その結果、湾曲形状への加工時や製品としての使用時において、ガラスへの応力により変形を生じている基板端面において、通常の切断により形成された基板端面に存在する微小な傷やクラックを起点とする液晶パネルの破損が発生しない。この強化面による効果は、製造時における湾曲加工時においても、剥がれやギャップ不良による不良品の発生を防止できることから歩留りの改善に寄与し、製品としての使用時においても、同様の不良の後発生を防止できることから信頼性の改善に寄与する。また、強化面の形成を特定の湾曲により変形する端面についてのみ、予め所定の基板形状よりも外側に設けた削りしろを研磨除去する方法を用いたことから、強化面を形成しながらも、所定の液晶パネルよりも大きくなることもなく、正確なサイズの液晶パネルをマザー基板の大きさに対して効率良く取り出すことができる。その結果、パネルサイズが大型化することなく狭額縁化が図れるとともに、製造される液晶パネルの耐久性向上と低コスト化を両立して製造することができる。
また、本実施の形態2では、湾曲により変形を生じる基板端面EGxに対応して切断ダメージdm部の残存する削りしろを除去する研磨処理工程を、複数の液晶パネルが一列に繋がったスティック状セル基板STCの状態で行った。これにより、其々の液晶パネルの切断により形成された基板端面EGdを揃えた状態で基板端面EGxに対向する方向より一括して研磨処理を行うことができ、必要な端面についてのみ同時に効率的に行うことができる。また、本実施の形態2においては、基板端研磨工程について薬液を用いない物理研磨手段によって行ったことにより、ダミーシールの形成方法の選択やセル基板の外形設計において自由度が高い。
また、本実施の形態1では、スティック状セル基板STCの状態で、湾曲により変形を生じる基板端面EGxに対応して削りしろを除去する工程を行ったが、スティック状セル基板STCを分断する第二切断工程を先に実施し、セル基板SELの状態で基板端研磨工程或いは薄型化研磨工程を行っても良い。その場合には、スティック状セル基板STCの場合と同様に、複数のセル基板SELにおける其々の基板端面EGdの端面を揃えて保持しながら物理研磨手段による研磨処理を行う。これにより変形を生じる基板端面EGxに対応して切断ダメージdm部を除去する削りしろが形成された基板端面EGdのみが研磨される。この様にして、実施の形態1と同様に複数の基板の基板端研磨工程を同時に行うことが可能である。
また、本実施の形態2では、湾曲により変形を生じる基板端面EGxに対応して切断ダメージを除去する基板端研磨工程を、薬液を用いない研磨方法として、グラインダ、やすり、研磨材などにより基板端面を擦る物理研磨手段を用いて行う製造方法を選択した湾曲型液晶パネルについて説明を行ったが、切断ダメージを除去し強化面を形成するためには、この様な接触させて削る方法以外にレーザー光などを切断ダメージ部に照射することによりガラスを溶融して切断ダメージを除去することも可能である。図12は、実施の形態2における基板端研磨工程に替えて、レーザー光を照射して切断ダメージを除去する方法を用いた場合について説明した模式図である。図に示す様に、スティック状セル基板STCの長手方向に対し両側に位置する基板端面EGdに対して、レーザー光LLTを照射するレーザーユニットLUTを走査する。これにより、基板端面EGdに順次レーザー光LLTが照射され、基板端面EGdに残存する切断ダメージdmが溶融されて除去され、強化面が形成される。この方法を用いる場合、基板端面EGdの削りによる後退が殆ど生じないことから、実施の形態2において形成した予め設けられる削りしろについては設けなくても良いが、パネル外形に高い精度が要求される場合には、溶融による収縮量などを見越した若干量の削りしろを設けても良い。
この様な方法を用い実施の形態2を変形した場合においても、実施の形態2と同様に湾曲により変形を生じている基板端面EGxに切断ダメージdmを削り除去して形成された強化面が形成されることから、湾曲形状への加工時や、製品としての使用時において、ガラスへの応力により変形を生じている基板端面においても、通常の切断により形成された基板端面に存在する微小な傷やクラックを起点とする液晶パネルの破損が発生しない。この強化面による効果は、製造時における湾曲加工時においても、剥がれやギャップ不良による不良品の発生を防止できることから歩留りの改善に寄与し、製品としての使用時においても、同様の不良の後発生を防止できることから信頼性の改善に寄与する。
また、本実施の形態2では、湾曲により変形を生じる基板端面EGxに対応して切断ダメージを除去する基板端研磨工程について薬液を用いない研磨方法によって行った湾曲型液晶パネルについて説明を行ったが、実施の形態1の様に、基板端研磨工程について薬液を用いて行い、基板端研磨工程を基板薄型化工程と独立に行っても構わない。この場合には実施の形態1と同様に基板端研磨工程の前にスティック状セル基板STCに対して基板外周にダミーシール或いは封止材を形成し、薬液を用いた基板端研磨工程を行う。
また、上記説明した、実施の形態1、実施の形態2、及びこれらの変形例においては、液晶パネルの湾曲工程を筐体への組み込み時において実施する様にしたが、これに限られず、湾曲面により両側より押圧するなどにより基板の貼り合わせ時において湾曲しても良いし、貼り合わせ後、例えば、液晶パネルの両面に貼り付ける偏光板について異種のものを用いること、一方の偏光板について貼付け時に加熱して膨張した状態で貼付けることなどにより液晶パネルと偏光板の応力バランスを崩して湾曲させる方法を用いても良い。また、この様に湾曲工程を変更した場合には、基板端面研磨工程について、液晶パネルを湾曲した状態で行っても良い。その場合においても、実施の形態1及び実施の形態2と同様に複数の湾曲された液晶パネルに対して、湾曲により変形する端面を揃えて保持し、複数の液晶パネルの研磨処理を同時に行うと良い。また、実施の形態1、実施の形態2、及びこれらの変形例では、全て、湾曲が容易となる薄型化研磨工程を行う例を用いて説明を行ったが、マザー基板に湾曲が十分可能な程度に薄いものを用いた場合には省略することも可能である。