JP5125044B2 - 樹脂被覆缶の製造方法 - Google Patents

樹脂被覆缶の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5125044B2
JP5125044B2 JP2006259134A JP2006259134A JP5125044B2 JP 5125044 B2 JP5125044 B2 JP 5125044B2 JP 2006259134 A JP2006259134 A JP 2006259134A JP 2006259134 A JP2006259134 A JP 2006259134A JP 5125044 B2 JP5125044 B2 JP 5125044B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
coated
coating layer
resin coating
metal material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006259134A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008073759A (ja
Inventor
政臣 田村
修久 岡部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Seikan Kaisha Ltd
Original Assignee
Toyo Seikan Kaisha Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Seikan Kaisha Ltd filed Critical Toyo Seikan Kaisha Ltd
Priority to JP2006259134A priority Critical patent/JP5125044B2/ja
Publication of JP2008073759A publication Critical patent/JP2008073759A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5125044B2 publication Critical patent/JP5125044B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材に、絞り・しごき加工を施して樹脂被覆缶を製造するに際して、凹凸形状を付与する立体加飾加工を併せて施しても、樹脂被覆層の損傷などが抑制された樹脂被覆缶、及びそのような樹脂被覆缶の製造方法に関する。
近年、樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材に、絞り・しごき加工を施すことによって、つなぎ目のない缶形状に成形された樹脂被覆缶(樹脂被覆シームレス缶)が多用されるようになってきているが、このような樹脂被覆缶にあっては、成形加工時における樹脂被覆層の割れ、剥離などによる損傷や、被膜性能の劣化というような問題があることが指摘されている。
このため、従来、特許文献1、特許文献2などにおいて、これらの問題を解決するための種々の改善が提案されてきているとともに、このような樹脂被覆缶に対しても、例えば、特許文献3に示されているバルジ加工などのように、従来の平面印刷よりも加飾効果に優れた、缶壁面に凹凸を形成して加飾する立体加飾加工を併せて施すことにより、形状的な特徴をもたせて商品の差別化を図ることが求められている。
特開平5−147647号公報 特開2002−255169号公報 特開平9−118336号公報
しかしながら、樹脂被覆金属素材に対し、絞り・しごき加工に加えて、凹凸形状を付与する立体加飾加工をさらに施すとすると、樹脂被覆層に及ぼされる負荷はいっそう過酷なものとなり、樹脂被覆層の損傷などの問題を解消するには、さらなる改善が必要であった。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材に、絞り・しごき加工を施して樹脂被覆缶を製造するに際して、立体加飾加工を併せて施しても、樹脂被覆層の損傷などが抑制された樹脂被覆缶、及びその製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねたところ、樹脂被膜層を形成する樹脂の配向性に着目し、その配向性を制御することによって、樹脂被覆金属素材を缶形状に成形加工するにあたり、立体加飾加工を併せて施した場合であっても、樹脂被覆層の損傷や、皮膜性能の劣化を抑制することができると考え、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法は、樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材を缶形状に成形加工するにあたり、立体加飾加工を併せて施す樹脂被覆缶の製造方法であって、前記樹脂被覆金属素材に絞り・しごき加工を施して有底筒状の素缶を成形した後に、少なくとも立体加飾加工を施そうとする部位を缶内方に変形させてから、当該部位の一部、又は全部を缶外方に張り出させて張出部を形成し、前記張出部の最大径が最大胴径となるようにして、缶壁面に凹凸形状を付与して立体加飾加工を施す方法としてある。
このような方法とした本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法によれば、少なくとも立体加飾加工を施そうとする部位を缶内方に変形させることにより、樹脂被覆層を形成する樹脂を裂けにくくして、その損傷や、被膜性能の劣化を抑制することができる。
このような本願発明に係る樹脂被覆缶の製造方法は、前記素缶に縮径加工を施して、前記素缶の缶壁面の全体を縮径させてから、縮径された当該缶壁面の一部又は全部を缶外方に張り出させて前記張出部を形成する方法とするのが好ましい。
また、本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法は、少なくとも缶内面となる側に前記樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材を成形加工する方法とすることができる。
このような方法とすれば、内容物への金属溶出や、缶内面の腐食を避けるために、缶内面側に樹脂被覆層が形成されるようすることができる。
また、本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法は、直径に対する高さの比が1以上となる有底筒状に、前記素缶を成形する方法とすることができる。
また、本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法は、前記樹脂被覆層が、延伸配向させると配向結晶化する結晶性の熱可塑性樹脂からなる方法とすることができる。
また、本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法は、ブロー成形により立体加飾加工を施す方法とすることができる。
また、本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法は、少なくとも立体加飾加工を施そうとする部位における前記樹脂被覆層を形成する樹脂の延伸配向された分子鎖を延伸方向に直交する方向に圧縮するに先だって、当該部位を、前記樹脂被覆層を形成する樹脂の溶融開始温度乃至融点となる温度に加熱して、前記樹脂被覆層を形成する樹脂の金属素材への密着性を向上させる方法とすることができる。
また、本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法は、前記樹脂被覆金属素材が、めっき鋼板、アルミニウム合金板に前記樹脂被覆層を積層形成してなり、前記樹脂被覆金属素材を缶形状に成形加工した後の缶壁面において、前記樹脂被覆層を除いた金属板部分の最小肉厚が0.1〜0.2mm、前記樹脂被覆層の厚みが2〜50μmとなるようにする方法とすることができる。
また、本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法によって製造された樹脂被覆缶は、樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材を缶形状に成形加工するに際し、立体加飾加工が併せて施されて缶壁面に凹凸が形成された樹脂被覆缶であって、少なくとも立体加飾加工が施された部位における前記樹脂被覆層を形成する樹脂の分子鎖が、缶高さ方向に延伸配向されているとともに、前記樹脂被覆層の被覆度が、ERV換算で、0〜120mAである構成とすることができる。
また、本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法によって製造された樹脂被覆缶は、前記樹脂被覆層が、延伸配向させると配向結晶化する結晶性の熱可塑性樹脂からなる構成とすることができる。
また、本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法によって製造された樹脂被覆缶は、前記樹脂被覆金属素材が、アルミニウム合金からなる金属板に前記樹脂被覆層を積層形成してなり、前記樹脂被覆金属素材を缶形状に成形加工した後の缶壁面において、前記樹脂被覆層を除いた金属板部分の最小肉厚が0.1〜0.2mm、前記樹脂被覆層の厚みが2〜50μmとされた構成とすることができる。
このような本発明によれば、樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材を絞り・しごき加工後、バルジ成形により缶形状に成形するに際し、素缶を成形した後に、少なくとも立体加飾加工を施そうとする部位を缶内方に変形させることにより、樹脂被覆層を形成する樹脂を裂けにくくして、立体加飾加工を併せて施す場合でも、樹脂被覆層の損傷や、被膜性能の劣化を抑制することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、図1は、本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法によって製造された樹脂被覆缶の一形態の概略を示す正面図であり、図2は、本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法の実施形態の概略を示す工程図である。
図1に示す樹脂被覆缶1は、2ピース缶と称される缶形態を備え、缶底11が一体とされた有底胴缶10と、内容物が充填された後に、この有底胴缶10の開口部に取り付けられる缶蓋20とからなっている。
このような2ピース缶において、有底胴缶10は、一般には、樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材を円板状などの任意の形状に打ち抜き、これに絞り・しごき加工を施して、つなぎ目のない有底筒状に成形するとともに、その開口部に缶蓋20を取り付けるためのネック加工、フランジ加工を施して、所定の缶形状に成形加工される。
そして、本実施形態にあっては、上記のようにして樹脂被覆金属素材を所定の缶形状に成形加工するにあたり、立体加飾加工を併せて施すことによって、有底胴缶10の缶壁面に、図示するような張出部12を形成するなどして、任意の凹凸形状を付与している。
本実施形態において、有底胴缶10を形成する樹脂被覆金属素材としては、めっき鋼板、アルミニウム合金などからなる金属板に、熱可塑性樹脂、特に延伸配向させると配向結晶化する結晶性の熱可塑性樹脂からなる樹脂被覆層を公知の手段、例えば、キャストフィルムのラミネーション、共押出コート法などにより、実質的に未配向の状態で積層形成したものが用いられる。
ここで、アルミニウム合金としては、例えば、JIS H 4000において、3000番系、5000番系、6000番系の合金番号に区分され、化学成分として、Mn,Mg,Cu,Si,Feが一種、又は二種以上添加されているものが好ましい。
Mnを添加すると、成形性を損なうことなく、耐食性や強度を高めることができ、その添加量は0.1〜1.5重量%とするのが好ましい。Mnの添加量が0.1%未満であると耐食性が十分に得られなくなり、Mnの添加量が1.5重量%を超えると成形性が低下してしまう。
Mgを添加すると、成形性、耐食性、強度を向上させることができ、その添加量は0.8〜5.0重量%とするのが好ましい。Mgの添加量が0.8重量%未満であると強度が十分に得られず、Mgの添加量が5.0重量%を超えると成形性が低下し、割れ、しわなどが発生しやすくなる。
Cuを添加すると、強度を向上させることができ、その添加量は0.01〜0.8重量%とするのが好ましい。Cuの添加量が0.01重量%未満であると耐食性が十分に得られず、Cuの添加量が0.8重量%を超えると成形性が低下してしまう。
Siは、特にMgとともに添加したときに、強度、耐摩耗性を向上させることができ、その添加量は0.03〜0.6重量%とするのが好ましい。Siの添加量が0.03重量%未満であると強度が十分に得られず、Siの添加量が0.6重量%を超えると成形性が低下してしまう。
Feは、特にMnとともに添加したときに、耐食性を向上させることができ、その添加量は、0.05〜0.8重量%とするのが好ましい。Feの添加量が0.05重量%未満であると強度が十分に得られず、Feの添加量が0.8重量%を超えると成形性が低下してしまう。
このようなアルミニウム合金からなる金属板の厚みは、強度、成形性の観点から、0.1〜1mm程度の範囲にあるのが好ましく、成形後の最小肉厚、すなわち、有底胴缶10の缶壁面における樹脂被覆層を除いた金属板部分の最小肉厚が0.1〜0.2mmであるのが好ましい。
有底胴缶10の缶壁面において、その金属板部分の最小肉厚が0.1mm未満では破胴などの成形不良が起こり、0.2mmを超えると、缶壁面の肉厚を低減することによる省資源化が図れず、コスト削減の効果が得られにくくなってしまう。
なお、アルミニウム合金からなる金属板への樹脂被覆層の密着性の見地からは、アルミニウム材の表面に表面処理膜を形成しておくのが好ましい。このような表面処理としては、りん酸クロメート処理、ジルコニウム処理、りん酸処理、ポリアクリル酸処理、陽極酸化処理などが好ましい。
また、めっき鋼板としては、例えば、TFS(ティンフリースチール)、錫めっき鋼板、錫・鉄合金めっき鋼板、錫・ニッケルめっき鋼板、鉄・錫・ニッケル合金めっき鋼板などが好ましく用いられ、これらのめっき上にクロム酸処理、クロメート処理、シランカップリング剤処理、有機・無機複合処理などを施したものが特に好ましい。めっき鋼板基材の厚みは、缶底11の耐圧変形性によって決定されるが、一般には、0.1〜0.4mm、特に0.12〜0.35mmの範囲内にあるのが好ましい。
また、有底胴缶10を形成する樹脂被覆金属素材において、樹脂被覆層は、延伸配向により配向結晶化する結晶性の熱可塑性樹脂を用いて形成するのが好ましいが、そのような熱可塑性樹脂のなかでも、ポリエステル,ナイロン,ポリプロピレンなどの比較的透明性が高く、耐熱性に優れたものが好ましく用いられる。
ポリエステルとしては、エチレンテレフタレート,エチレンブチレート,エチレンイソフタレートを主たる構成成分としたものが好ましく用いられ、これらと他のジカルボン酸成分や、グリコール成分とを共重合させたものを用いることもできる。
共重合させるジカルボン酸成分としては、ナフタレンジカルボン酸,ジフェニルジカルボン酸,ジフェニルスルホンジカルボン酸,ジフェノキシエタンジカルボン酸,5−ナトリウムスルホイソフタル酸,フタル酸等の芳香族ジカルボン酸,シュウ酸,コハク酸,アジピン酸,セバシン酸,ダイマー酸,マレイン酸,フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸,シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸,p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸などが挙げられる。これらは二種以上を併用してもよい。
共重合させるグリコール成分としては、プロパンジオール,ブタンジオール,ペンタンジオール,ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール,シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール,ビスフェノールA,ビスフェノールS等の芳香族グリコール,ジエチレングリコール,ポリエチレングリコール等のポリオキシエチレングリコールなどが挙げられる。これらは二種以上を併用してもよい。
ナイロンとしては、ナイロン66,ナイロン610,ナイロン612等のジアミンとジカルボン酸との縮重合体,ナイロン6,ナイロン11,ナイロン12等のラクタムの開環重合体からなるものを用いることができる。
このような樹脂被覆層は、樹脂被覆金属素材の缶内面となる側と缶外面となる側の両方、又はいずれか一方に積層形成することができるが、内容物への金属溶出や、缶内面の腐食を避けるために、少なくとも缶内面となる側に積層形成するのが好ましい。また、樹脂被覆層の厚み(缶内面となる側と缶外面となる側の両方に積層形成されている場合は、両方の厚みの合計とする)は、樹脂被覆缶1の流通時の破胴耐性を保持する観点から、樹脂被覆金属素材を缶形状に成形加工した後の缶壁面において、最薄部において2μm以上となるようにするのが好ましく、より好ましくは5μm以上である。一方、経済性の観点から、その上限は50μm以下とするのが好ましく、より好ましくは25μm以下である。
本実施形態において、樹脂被覆缶1を製造するには、まず、樹脂被覆金属素材に絞り・しごき加工を施して、図2(a)に示すような有底筒状の素缶10aを成形する。
なお、絞り・しごき加工には、特開平1−258822号公報や、特開平7−275961号公報などに記載されているような、絞り成形後に、ストレッチドロー(前絞りカップの再絞り+側壁部曲げ伸ばし)、又はストレッチアイアニングを行う成形方法なども含まれ、板状の樹脂被覆金属素材を缶形状に成形加工することが可能なこの種の成形方法のなかから適宜選択して利用することができる。
このとき、樹脂被覆金属素材が有底筒状に延展されるに伴って、素缶10aの缶壁面に位置する樹脂被覆層が缶高さ方向に一軸延伸される。そして、延伸された樹脂被覆層を形成する樹脂の分子鎖が、缶高さ方向に延伸配向して配向結晶化し、これによって、樹脂被覆層の強度が向上するとともに、バリヤー性、耐食性、耐デント性、耐工具疵つき性も向上させることができる。
なお、缶高さ方向とは、缶底11を下にして水平面に置いたときに、水平面に直交する方向に沿った方向であって、軸Cに平行な方向をいうものとする。
樹脂被覆金属素材を有底筒状に成形加工して素缶10aを形成するにあたり、素缶10aは、直径φ1に対する高さhの比h/φ1が1以上となっているのが好ましい。
直径φ1に対する高さhの比h/φ1が上記範囲に満たないと、容器として内容積が充分確保できない。
樹脂被覆層を形成する樹脂を配向結晶化させると、樹脂被覆層の強度を高めることができるが、分子鎖が延伸配向されて配向結晶化された樹脂は、延伸方向に直交する方向に引き延ばそうとする力に対して裂けやすく、そのままでは、立体加飾加工を施すには適さない。
このため、本実施形態では、図2(b)に示すように、素缶10aに縮径絞り加工を施して、缶壁面の全体を縮径させている。このようにすることで、缶壁面に位置する樹脂被覆層を形成する樹脂の延伸配向された分子鎖が、その延伸方向に直交する方向に圧縮されて、その配向性が制御され、これによって、立体加飾加工を施す際に樹脂被覆層に負荷が及ぼされても、樹脂被覆層を形成する樹脂を裂けにくくして、その損傷や、被膜性能の劣化を抑制することができると考えられる。
また、本実施形態では、素缶10aに縮径絞り加工を施すに先だって、少なくとも立体加飾加工を施そうとする部位を、樹脂被覆層を形成する樹脂の溶融開始温度乃至融点となる温度に加熱して、この部位における樹脂被覆層を形成する樹脂の金属素材への密着性を向上させることができる。
なお、溶融開始温度とは、JIS K 7121に準拠して、示差走査熱量測定によって得られたDSC曲線から、補外融解開始温度として得られた値をいうものとする。
その後、本実施形態にあっては、図2(c)に示すように、素缶10aの開口部に、缶蓋20を取り付けるためのネック加工、フランジ加工を施してから、図2(d)に示すように、缶壁面の一部、又は全部を缶外方に張り出させて、張出部12を形成し、張出部12の最大径が最大胴径φ3となるようにすることにより、缶壁面に凹凸形状を付与して立体加飾加工を施している。
有底胴缶10の缶壁面に凹凸形状を付与する立体加飾加工としては、例えば、素缶10a内を加圧して、缶壁面の一部、又は全部を、素缶10aの内側から缶外方に向けて張り出させるようにすればよい。このように、立体加飾加工としては、一般に、バルジ加工と称される加工手段を利用することができるが、形状再現性などの観点から、金型内に配置された素缶10a内にブローエアーを供給して加圧し、これによって、缶壁面の一部、又は全部を缶外方に張り出させるとともに、金型の内面に形成された形状を賦形してなるブロー成形によるのが好ましい。また、このようなブロー成形の他に、例えば、特開平11−156463号公報に記載されているような、割型を缶内部に挿入した後に拡開させて缶外方に張り出し成形を行う、拡径金型によるエキスパンド成形によっても、形状再現性よく缶壁面の一部、又は全部を缶外方に張り出させることができる。
以上のようにして得られた樹脂被覆缶1は、立体加飾加工により缶壁面に凹凸形状が付与されながらも、樹脂被覆層の損傷や、被膜性能の劣化が抑制されており、樹脂被覆層の被覆度が、ERV換算で0〜120mAという優れた値を示す。
さらに、樹脂被覆缶1は、缶壁面における樹脂被覆層が配向結晶化により強度が高められているため、樹脂被覆金属素材の肉厚(金属板部分の肉厚、及び樹脂被覆層の肉厚)が薄くとも、突き刺し強度に優れたものである。
ここで、ERV換算により得られる被覆度は、得られた樹脂被覆缶に、濃度1重量%の食塩水を立体加飾加工が施された部分が浸されるまで満たし、エナメルレーターでERV(エナメルレイティング値)を測定した値をいうものとし、缶底の外面側に金属露出部を形成して陽極に接続する一方、陰極を缶内に満たされた食塩水に浸して、室温(約23℃)下で、6Vの直流電圧を30秒間印加した後の電流値とする。このような測定において、電流が多く流れるほど絶縁体である樹脂被覆層に欠陥が存在し、缶内面の金属が露出していることを示している。
したがって、樹脂被覆層の被覆度が上記範囲にある樹脂被覆缶1は、樹脂被覆層の欠陥がほとんどなく、缶内面の金属が露出していないので、このような樹脂被覆缶1を用いれば、内容物への金属溶出や、缶内面の腐食を有効に回避することができる。
次に、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
[実施例]
元板厚0.30mmのA3004P−H18(JIS H 4000による)のアルミニウム基板(基板の組成は、Mn:1.1重量%,Mg:1.1重量%,Cu:0.19重量%,Si:0.30重量%,Fe:0.43重量%,残部Al)の表面に、金属クロム換算で、クロム量が20mg/mとなるリン酸クロム酸処理を施し、この基板に、共重合成分としてイソフタル酸量が10モル%を含むポリエチレンテレフタレート/イソフタレート(PET/IA)共重合樹脂の無延伸フィルム(内面側フィルム厚16μm,外面側フィルム厚16μm)を、250℃の温度でラミネートし、熱可塑性樹脂被覆アルミニウム薄板を製造した。
この熱可塑性樹脂被覆アルミニウム薄板を円盤状に打ち抜き、その後、絞り・しごき加工、開口端部のトリミングを行って、缶胴側壁の板厚が0.119mm(アルミニウム合金板厚0.108mm,熱可塑性樹脂フィルム内面側厚さ0.006mm),胴径φ1=66mm,高さh=125mmの素缶を得た。そして、得られた素缶をオーブンにて200℃下に40秒間置いた。
次に、上記素缶を絞り成形により胴径φ2=61.5mmとなるよう加工(6.8%縮径)し、開口部をネック加工,フランジ加工して缶予備成形体を得、この缶予備成形体を金型内に閉じ込めて、ブロー成形により最大胴径がφ3=66mm(6.8%拡径)である立体形状に形成し、立体形状を有した樹脂被覆缶を得た。
この立体形状を有する樹脂被覆缶についてERVを測定したところ、電流値は120mA以下であった。また、缶壁面をSEMにて観察したところ、樹脂皮膜に破損はみられなかった。
なお、図3(a)は、素缶の缶壁面のSEM像であり、図3(b)は、実施例における立体形状を有した樹脂被覆缶の缶壁面のSEM像である。
[比較例]
実施例と同様の熱可塑性樹脂被覆アルミニウム薄板を円盤状に打ち抜き、その後、絞りしごき加工を行って、缶胴側壁の板厚が0.119mm(アルミニウム合金板厚0.108mm,熱可塑性樹脂フィルム内面側厚さ0.006mm),胴径φ1=66mm,高さh=125mmの素缶を得、得られた素缶をオーブンにて200℃下に40秒間置いた。
さらに、開口端部のトリミングを行って素缶を得、この素缶の開口部をネック加工,フランジ加工したものを金型内に閉じ込めて、ブロー成形により最大胴径がφ3=70.6mm(7%拡径)である立体形状を形成し、立体形状を有した樹脂被覆缶を得た。
この立体形状を有する樹脂被覆缶についてERVを測定したところ、電流値は120mA以上であった。また、缶壁面をSEMにて観察したところ、樹脂皮膜にすじ状の亀裂が確認された。
なお、図3(c)は、比較例における立体形状を有した樹脂被覆缶の缶壁面のSEM像である。
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、前述した実施形態では、素缶10aに縮径絞り加工を施しているが、本発明において、少なくとも立体加飾加工を施そうとする部位を缶内方に変形させるための手段は特に制限されない。例えば、エンボス加工などによってもよい。
以上説明したように、本発明は、樹脂被覆層の損傷などを抑制しつつ、立体加飾加工が施されて凹凸形状が付与された樹脂被覆缶を提供する。
本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法によって製造された樹脂被覆缶の一形態の概略を示す正面図である。 本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法の実施形態の概略を示す工程図である。 実施例及び比較例における缶壁面のSEM像である。
符号の説明
1 樹脂被覆缶
10 有底胴缶
10a 素缶
11 缶底
12 張出部
20 缶蓋

Claims (8)

  1. 樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材を缶形状に成形加工するにあたり、立体加飾加工を併せて施す樹脂被覆缶の製造方法であって、
    前記樹脂被覆金属素材に絞り・しごき加工を施して有底筒状の素缶を成形した後に、少なくとも立体加飾加工を施そうとする部位を缶内方に変形させてから、当該部位の一部、又は全部を缶外方に張り出させて張出部を形成し、前記張出部の最大径が最大胴径となるようにして、缶壁面に凹凸形状を付与して立体加飾加工を施すことを特徴とする樹脂被覆缶の製造方法。
  2. 前記素缶に縮径加工を施して、前記素缶の缶壁面の全体を縮径させてから、縮径された当該缶壁面の一部又は全部を缶外方に張り出させて前記張出部を形成する請求項1に記載の樹脂被覆缶の製造方法。
  3. 少なくとも缶内面となる側に前記樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材を成形加工する請求項1〜2のいずれか1項に記載の樹脂被覆缶の製造方法。
  4. 直径に対する高さの比が1以上となる有底筒状に、前記素缶を成形する請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂被覆缶の製造方法。
  5. 前記樹脂被覆層が、延伸配向させると配向結晶化する結晶性の熱可塑性樹脂からなる請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂被覆缶の製造方法。
  6. ブロー成形により立体加飾加工を施す請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂被覆缶の製造方法。
  7. 少なくとも立体加飾加工を施そうとする部位を缶内方に変形させるに先だって、
    当該部位を、前記樹脂被覆層を形成する樹脂の溶融開始温度乃至融点となる温度に加熱して、前記樹脂被覆層を形成する樹脂の金属素材への密着性を向上させる請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂被覆缶の製造方法。
  8. 前記樹脂被覆金属素材が、アルミニウム合金板に前記樹脂被覆層を積層形成してなり、
    前記樹脂被覆金属素材を缶形状に成形加工した後の缶壁面において、
    前記樹脂被覆層を除いた金属板部分の最小肉厚が0.1〜0.2mm、
    前記樹脂被覆層の厚みが2〜50μmとなるようにする請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂被覆缶の製造方法。
JP2006259134A 2006-09-25 2006-09-25 樹脂被覆缶の製造方法 Active JP5125044B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006259134A JP5125044B2 (ja) 2006-09-25 2006-09-25 樹脂被覆缶の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006259134A JP5125044B2 (ja) 2006-09-25 2006-09-25 樹脂被覆缶の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008073759A JP2008073759A (ja) 2008-04-03
JP5125044B2 true JP5125044B2 (ja) 2013-01-23

Family

ID=39346354

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006259134A Active JP5125044B2 (ja) 2006-09-25 2006-09-25 樹脂被覆缶の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5125044B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5290632B2 (ja) * 2008-06-12 2013-09-18 昭和アルミニウム缶株式会社 金属缶

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3046217B2 (ja) * 1994-02-14 2000-05-29 東洋鋼鈑株式会社 乾式絞りしごき加工缶用樹脂被覆アルミニウム板
JP3396947B2 (ja) * 1994-03-07 2003-04-14 東洋製罐株式会社 変形シームレス缶の製造方法
JP3899554B2 (ja) * 1996-06-19 2007-03-28 東洋製罐株式会社 シームレス缶及びその製造法
JP3381137B2 (ja) * 1997-09-18 2003-02-24 東洋製罐株式会社 被覆アルミニウムシームレス缶
JP4226103B2 (ja) * 1998-04-30 2009-02-18 大和製罐株式会社 樹脂被覆アルミニウムシームレス缶の製造方法
JP4226104B2 (ja) * 1998-04-30 2009-02-18 大和製罐株式会社 樹脂被覆アルミニウムシームレス缶の製造方法
JP4103974B2 (ja) * 1998-06-26 2008-06-18 大和製罐株式会社 ポリエステル樹脂被覆アルミニウムシームレス缶およびその製造方法
JP2001353811A (ja) * 2000-06-12 2001-12-25 Toyo Seikan Kaisha Ltd 樹脂被覆シームレス缶
WO2004113181A1 (ja) * 2003-06-23 2004-12-29 Toyo Seikan Kaisha, Ltd. 流通時の破胴耐性およびフランジクラック耐性に優れた樹脂被覆アルミニウム・シームレス缶体
WO2005014198A1 (ja) * 2003-08-08 2005-02-17 Toyo Seikan Kaisha, Ltd. バルジ缶、バルジ缶の製造方法及びバルジ缶の製造装置
JP4297779B2 (ja) * 2003-12-16 2009-07-15 大和製罐株式会社 ポリエステルフィルム被覆金属板の製造方法
JP4341470B2 (ja) * 2004-05-31 2009-10-07 Jfeスチール株式会社 容器用樹脂被覆金属板

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008073759A (ja) 2008-04-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5534354B2 (ja) 流通時の破胴耐性およびフランジクラック耐性に優れた樹脂被覆アルミニウム・シームレス缶体
KR0146355B1 (ko) 피복된 디이프 드로잉 가공 캔의 제조방법
KR100254294B1 (ko) 이음매 없는 캔
WO2006123666A1 (ja) 3ピース角形缶及びその製造方法
JPH0755552B2 (ja) 深絞り缶の製造方法
JPH01192545A (ja) 加工性、耐食性の優れた缶用ラミネート鋼板
JP2004148324A (ja) 樹脂被覆金属絞りしごき缶の製造方法
US20150210431A1 (en) Resin coated metal sheet for using drawn and ironed cans, drawn and ironed can, and method of manufacturing drawn and ironed can
JP4670543B2 (ja) 2ピース缶及びその製造方法、並びに2ピース缶用鋼板
JP2006324059A (ja) 角形電池用容器
US20090061133A1 (en) Two-piece can, method for manufacturing same, and steel sheet therefor
JP5125044B2 (ja) 樹脂被覆缶の製造方法
JP2007284141A (ja) 樹脂被覆缶、及びその製造方法
JP4622737B2 (ja) 2ピース缶用ラミネート鋼板および2ピースラミネート缶
JP4583239B2 (ja) シームレスアルミ角形缶
JPH02263523A (ja) 薄肉化深絞り缶の製造方法
JP6244729B2 (ja) 樹脂被覆シームレスアルミニウム缶
WO2000058087A1 (fr) Tole de metal enduite de resine de polyester, et boite de conserve utilisant cette tole
JPH0616741Y2 (ja) 深絞り缶
JPH0616739Y2 (ja) 被覆深絞り缶
JPH0631362A (ja) 密着性の優れたラミネート鋼板製多段絞り缶の製造方法
JPH0616740Y2 (ja) 被覆深絞りアルミニウム缶
JP3917766B2 (ja) 水洗乾燥性、耐食性に優れた容器用熱可塑性樹脂積層鋼板
JP2004043966A (ja) シームレスアルミニウム缶体
JP2003063519A (ja) 樹脂被覆シームレス缶

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090819

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120228

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120426

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121002

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121015

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5125044

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151109

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151109

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350