JP2004043966A - シームレスアルミニウム缶体 - Google Patents

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JP2004043966A JP2003154453A JP2003154453A JP2004043966A JP 2004043966 A JP2004043966 A JP 2004043966A JP 2003154453 A JP2003154453 A JP 2003154453A JP 2003154453 A JP2003154453 A JP 2003154453A JP 2004043966 A JP2004043966 A JP 2004043966A
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Wataru Kurokawa
黒川 亘
Akira Kobayashi
小林 亮
Ikumi Motosu
本巣 郁美
Katsuhiro Imazu
今津 勝宏
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Abstract

【目的】高強度アルミ合金を材料として使用した、シームレスアルミニウム缶を提供する。
【構成】少なくとも
Si  0.05〜1.5  重量%
Fe  0.05〜1.0  重量%
Mg  0.8  〜5.5  重量%
Cu  0.35〜0      重量%
Mn  0.5 〜0      重量%
を含有するアルミニウム合金原板の両面に結晶性熱可塑性樹脂を被覆したアルミニウム合金板材で形成された缶体において、缶胴側壁部の最小金属厚みが0.06〜0.16mmであり、缶胴部の最小板厚が原板の板厚の70%〜20%であることを特徴とする、シームレスアルミニウム缶体である。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウムを主成分とした加工性に優れた缶体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来使用されているADI缶に使用するアルミニウム合金は1000系、或いは3000系のみと素材が限られており、さらに素材耳率は3.5〜4%以下と小さい必要があり、缶の底形状も一定の範囲に限定されていた。そのため缶の強度に限度があり、強度の大きい缶が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、缶底に種々な形状を選ぶことが出来、使用できるアルミニウム合金の範囲を高強度の材料まで拡大し、素材耳率も広範囲とし、缶胴側壁部の板厚が薄くても燒鈍等の高温度加熱による缶胴側壁部改質工程を経ることなく加工ができるシームレスアルミニウム缶体を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
「1. 少なくとも
Si  0.05〜1.5  重量%
Fe  0.05〜1.0  重量%
Mg  0.8  〜5.5  重量%
Cu  0.35〜0      重量%
Mn  0.5 〜0      重量%
を含有するアルミニウム合金原板の両面に結晶性熱可塑性樹脂を被覆したアルミニウム合金板材で形成された缶体において、缶胴側壁部の最小金属厚みが0.06〜0.16mmであり、缶胴部の最小板厚が原板の板厚の70%〜20%であることを特徴とする、シームレスアルミニウム缶体。
2.  缶体が同時絞りしごき加工により成形された缶体である、請求項1に記載されたシームレスアルミニウム缶体。
3. 缶高さHmmに対しH/2付近の缶胴より得た、缶の周方向を長手方向とし缶底の圧延方向と直角方向が中央となる、平行部の巾6mm、板厚twmmの引張試験片が、最大引張荷重をF Kgfとし、試験片延性破断面の金属厚をtbmmとして次の式Iにより定義される
式I:        εw=ln(tb/tw)缶胴極限変形能εwが
εw≦0.06F−2.1であり、15≦F<30でかつεw≦−0.7  である缶胴壁よりなる、請求項1または2に記載されたシームレスアルミニウム缶体。
4. 缶胴極限変形能εwが  εw≦0.06F−2.25である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載されたシームレスアルミニウム缶体。
5. 缶胴極限変形能εwが  εw≦0.06F−2.45である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載されたシームレスアルミニウム缶体。
6. 缶胴極限変形能εwが  εw≦−0.86である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載されたシームレスアルミニウム缶体。
7. 原板の最大引張強さが25〜45Kg/mmである、請求項1ないし6のいずれか1項に記載されたシームレスアルミニウム缶体。」
に関する。
【0005】
本発明はアルミニウム原板として、
Si  0.05〜1.5  重量%
Fe  0.05〜1.0  重量%
Mg  0.8  〜5.5  重量%
Cu  0.35〜0      重量%
Mn  0.5  〜0      重量%
を含有するアルミニウム原板を使用する。
Siが0.05重量%以下のものは工業用材料としては入手できず工業用には不適であり、1.5重量%以上では加工性が低下し、耐食性も劣るので好ましくない。
Feが0.05重量%以下のものは工業材料として入手できず工業用には不適であり、1.0重量%以上では加工性が低下し、耐食性も劣るので好ましくない。
Cuが0.35重量%以上では耐食性が劣るので好ましくない。
Mnが0.5重量%以上では金属間化合物が粗大化し、フランジクラックが生じやすくなるので好ましくない。
Mgが5.5重量%以上では加工性が低下し、0.8重量%以下では強度が不足するので好ましくない。
【0006】
缶胴側壁部の最小金属厚みを0.06〜0.16mmと限定したのは、缶胴側壁部の最小金属厚みが0.06mmより小さいと缶高さ方向の軸強度が弱く缶巻締め時に座屈する。缶胴側壁部の最小金属厚みが0.16mmより大きいと缶体として重くて材料使用量が多い缶となり、本発明の趣旨に反する。缶胴壁の最小板厚が原板の板厚の70%〜20%であることと限定したのも、同様の理由により、缶重量および材料使用量の観点からである。試験片を缶高さの1/2付近から缶の周方向を長手方向とし、缶底の圧延方向と直角方向が中央となるように採取するのは、缶高さ1/2付近が缶胴の性質を代表する部分であり、缶の周方向は原板からの加工による歪みが一定となっている部分であり、缶底の圧延方向と直角方向を中央となるように試験片を採取するのは、多くの場合缶胴のεwが最も小さく、すなわち、最も変形能力の高い方向だからである。また、同様の理由によって、原板極限変形能は、原板の圧延方向と直角方向を長手方向として引張試験片を採取し測定するのである。
【0007】
缶胴極限変形能εwまたは原板極限変形能ε0 は、小さいほど変形特性全般に優れ、特に同じ板厚で比較した場合、曲げ変形時の破断のし難さや、伸びフランジ成形性及び縮径加工性等様々な変形に対して優れることを意味する。したがって、εw≦−0.7であるとバルジ加工性だけでなく缶胴部の変形特性全般において良好な性質を示し、εw≦−0.86であるとさらに優れた性能を示す。この時、缶胴のεwがある程度大きくても引張荷重Fが大きい材料では、缶高さ方向に圧縮荷重をかけながらバルジ加工を行うことで変形させることができる。この際、
εw≦0.06F−2.1であると、
変形特性が高くバルジ加工性を良好にする作用があるので好ましい。
特にεw≦0.06F−2.25であるとさらに変形特性が高くバルジ加工性が向上するのでより好ましく、
εw≦0.06F−2.45であると変形特性が特に優れ、バルジ加工性及び耐衝撃性が非常に優れたものとなるので最も好ましい。
【0008】
また、F≦30と限定したのは、先に缶胴側壁部の最小金属厚みを0.06〜0.16mmと限定しているが、板厚因子の他に缶胴壁の強度を加味して、缶体材料使用量からみた経済性に優れる条件を示したものである。
さらに、15≦Fであると容器剛性の面から見ても好ましく、15≦F≦30であれば剛性があり、かつ缶重量等材料使用量の点から見ても優れた容器となり最も好ましい。
原板の引張強さが45Kg/mm以上では、缶胴への加工が難しく、25Kg/mm以下では、缶体に必要な耐圧性を確保するために厚い原板を用いる必要性が生じ、結果的に缶重量が大きくなるので好ましくない。
【0009】
また。原板極限変形能がε0 ≦0.06TS−3でかつ、25≦TS≦45であると、原板から缶体への成形性と缶胴のバルジ加工性や耐衝撃性を兼ね備えた缶胴壁を有する作用が奏される利点がある。
0.2〜0.8mmm の板厚のアルミニウム原板を同時絞りしごき成形して、缶胴側壁部の最小金属厚み0.06〜0.16mm、フランジ厚み0.10〜0.20mmであって
相当歪  εeq=√{2/3(εt+εθ+εφ)}(εt:板厚歪み、εθ:円周方向歪み、εφ:缶胴軸方向歪み)の対数表示で原板を0とした時、缶胴最大歪み部分が0.8〜2.5としたことを特徴とする2ピースシームレスアルミニウム缶体の製法において、缶胴の最大歪み部分が0.8以下では缶底部に対する缶胴部の板厚の薄肉化率が小さく、結果的に材料使用量が多く、重くて不経済な容器となり、2.5以上では硬くて伸びのない缶胴壁となるので、0.8〜2.5が好ましく、1.2〜2.0が最も好ましい。
【0010】
本発明においては、缶胴部が特別の缶胴極限変形能を有することが特徴の一つであるが、缶胴部から採取した試験片について説明すると、図3は試験片の引張試験により中央で切断した半切を示す。胴部の厚さはtwであり、引張試験により切断した部分の厚さはtbとなっている。tbは、延性破断面、すなわち、走査型電子顕微鏡により観察したときに、板厚方向全体が延性ディンプル破面となっている部分の厚さである。
缶胴極限変形能εwはεw=ln(tb/tw)で表わされる。缶胴の板厚と、切断した点における板厚との比の自然対数で表わされるのである。
なお、引張試験結果は、板厚が非常に薄い場合には、特に、引張速度により左右されるので、チャックスピードとして、0.5〜1.2mm/min の速度で試験を行う必要がある。
【0011】
アルミニウム原板の原板極限変形能と引張強度について説明する。
図1に示す線1は
ε0 =0.06TS−3の直線であり、この直線より下方の領域では缶胴成形後のバルジ加工性や耐衝撃性が特に優れている。直線2はTS=25の直線であり、この直線の右側は肉厚の大きい原板を用いることなく良好な耐圧性が得られる範囲である。
また直線3はTS=45の直線であり、この線の左側の領域は原板から缶への成形性が良好な領域である。
したがって、原板が25≦TS≦45であってかつ、
ε0 ≦0.06TS−3  の原板極限変形能であると、原板から缶への成形性が良く、耐圧性が良好で、バルジ加工性及び耐衝撃性が特に優れた缶胴の成形が可能となる。
図1中に示されるA〜Lは表1に示されるアルミニウム合金原板を示す。したがって表1に示されるアルミニウム合金原板Aは原板極限変形能ε=−1で、最大引張強さTS=30Kg/mmである。
【0012】
次に図2に引張荷重と缶胴極限変形能の関係を示す。
直線1はεw=0.06F−2.1の直線であり、この直線の下方はバルジ加工性が良好な領域である。
また、直線2はF=15の線であり、この線より右側は容器剛性が優れる領域である。
直線3はεw=−0.7の線でありこの下方は変形性能が良好な領域である。直線4はF=30の線であり、缶重量の面から見た金属材料使用量の経済性を示す線でこの線より左側は経済性が優れ線である。
破線5はεw=−0.86の線、破線6は  εw=0.06F−2.25の線、破線7はεw=0.06F−2.45の線で、破線5の下方は変形性能が全般にわたり優れており、破線6の下方は特にバルジ加工性が良好で、点線7の下方では取り分け優れたバルジ加工性及び耐衝撃性を示す。したがって、F=15、F=30、εw=0.06F−2.1、εw=−0.7の線に囲まれた領域に缶胴極限変形能があると、バルジ加工性が良好で金属材料使用量の少ない優れた缶となることがわかる。
さらに、缶胴極限変形能がF=15及びF=30の線とεw=−0.7の線とεw=0.06F−2.25の破線に囲まれた領域がより好ましく、
とりわけ、缶胴極限変形能がF=15と、F=30の線と、εw=−0.86の線と、εw=0.06F−2.45の破線に囲まれた領域が最も好ましい。
図2中に示されるA、B1、B2、C、F、G、L、H、Iは表2に示される缶体符号である。したがって缶Aは缶胴極限変形能ε=−0.85、引張荷重Fは約24Kgf である。
【0013】
本発明において、原板は5〜50μmの厚さの結晶性の熱可塑性樹脂で両面が被覆されている。DI缶で従来用いられているような熱硬化型の塗料は加工性が乏しく、缶成形時あるいはバルジ加工時に金属露出を生じやすい。また、バルジ加工後にスプレー塗装する場合においても、塗料溜まり等を生じやすく効率を悪化させる。
被覆方法としては、ラミネートまたは押出しコートがあり、結晶性の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリルエステル共重合体、アイオノマー等のオレフィン系樹脂フイルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン等を挙げることができる。また、外観上の観点から、上記樹脂に無機顔料を含有することもできる。上記樹脂で被覆される原板は、缶成形後あるいはバルジ加工後の密着性及び耐食性をより良好な状態に維持するために、表面に化成処理層を有することが望ましい。化成処理皮膜としては、加工性の他に、耐水性あるいは耐食性を有することが特に重要であり、例えば、従来より塗装下地用の化成処理として利用されているりん酸クロメート、あるいはジルコニウムやチタンの酸化物を主成分とする化成皮膜、あるいはポリアクリル酸−ジルコニウム塩の複合皮膜等がある。皮膜量としては、金属分としてTi、Cr、Zrを含む場合には当該金属量で、前記金属元素を含まない場合にはC量で、5〜300mg/m程度が好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は板厚0.2〜0.8mmより好ましくは0.2〜0.4mmのアルミニウム板を用いて、複数回の同時絞りしごき成形を行い、缶胴側壁部の最小厚みをを0.06〜0.16mm、フランジ厚みを0.10〜0.20mm、相当歪み  εeq=√2/3(εt+εθ+εφ)の対数表示で原板を0としたとき、缶胴内の最大歪み部分が0.8〜2.5好ましくは1.2〜2.0とすることにより製造することができる。
【0015】
同時絞りしごき加工方法は、ポンチ、しわ押え具およびダイスを用いて、しわ押え具でダイス面上の材料の周辺部を押えながらポンチを前進させて、缶体となる材料の一部を絞り加工コーナーで絞る一方で、該コーナーの前端部に接続するしごきリング部において、絞り加工と協働して、缶体となる材料の他部をしごき加工する、絞り加工としごき加工が同時に進行する方法であり、このような同時絞りしごき加工工程を複数回繰り返すことによって、缶体を製造する。従来より缶製造に用いられているDI加工法は、缶体となる材料の一部で絞りが行われながら、同時に他部がしごきを受けることはない。本加工方法によって、従来のDI加工法では不可能であった高強度のアルミニウム原板でも缶体とすることができるのである。また、本発明におけるもう一つの特徴として、絞り加工としごき加工が同時に進行する同時絞りしごき加工が複数回繰り返されることが挙げられる。本工程によって、異方性の大きな材料でも、耳が小さく真円度の高い缶体とすることができるのである。特に、複数回の缶成形工程において絞り加工やしごき加工を単独で行う工程を全く含まない場合には、その効果は著しい。なお、これらの加工は、ドライ潤滑により行うことができる。すなわち、公知のDI缶製造において用いられるような液体のクーラントは用いず、片面50mg/m程度の例えばパラフィンワックスや白色ワセリン、パーム油を潤滑剤として塗布し、成形に供することができる。成形後の缶体は、成形により生じた被覆樹脂の歪みを緩和するために、例えばポリエチレンテレフタレート88モル%、ポリエチレンイソフタレート12モル%からなる共重合ポリエステル樹脂の2軸延伸フイルムを被覆した原板を用いた場合には220℃で30秒程度の熱処理を行い、その後は常法に従い、開口端部をトリミングした後に印刷、仕上げニス塗装、焼付け、ネックイン・フランジ加工を行う。
【0016】
バルジ加工の例を図4により説明する。
1は加工を行う缶である。2はバルジ成形型であり、缶1の缶底から缶高さ方向に軸荷重をかけながら、水圧により膨張押圧具3を膨張させて缶胴を内部より加工してバルジ成形型に押圧する。
こうしてバルジ加工することができる。
【0017】
【実施例】
次に実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明し、効果を明らかにする。使用するアルミニウム合金原板を表1に示す。
【0018】
【表1】
Figure 2004043966
【0019】
実施例1
表1に示すアルミニウム合金原板Aを用いて内径66mm、高さ122mmの缶をDI成形した。原板は樹脂被覆を設けない板である。
DI成形は、常法により絞り加工後、再絞り加工、3段のしごき加工、工程により製缶した。表面上滑り性を与えるため仕上げニスを塗布焼付し、内面にエポキシアクリル塗料をスプレー塗装し焼付を行って缶とした。
【0020】
実施例2
原板としての内外両面にポリエチレンテレフタレート88モル%、ポリエチレンイソフタレート12モル%からなる共重合ポリエステル樹脂の2軸延伸フイルムを熱融着により被覆した原板Bを用い、同時絞りしごき成形した。同時絞りしごき成形は上記の原板を用いて絞りしごき加工工程を3回繰り返して製缶した。製缶後に樹脂フイルムの歪みを取るために220℃で30秒熱処理をした。缶表面に滑りを与えるため仕上げニスを塗布焼付して缶とした。
【0021】
実施例3
製缶を絞り加工によって成形したカップにしごき加工工程を2度繰り返す単独しごき成形で行った以外は実施例2と同様にして缶とした。
【0022】
実施例4
原板としてCを用いた他は実施例2と同様にして製缶した。
【0023】
実施例5
原板としてFを用いた以外は実施例2と同様にして製缶した。
【0024】
実施例6
原板としてGを用いた以外は実施例2と同様にして製缶した。
【0025】
実施例7
原板としてLを用いた以外は実施例2と同様にして製缶した。
【0026】
比較例1
原板としてHを用いた以外は実施例2と同様にして製缶した。
【0027】
比較例2
原板としてIを用いた以外は実施例2と同様にして製缶した。
実施例と比較例により得られた缶の性能試験の結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
Figure 2004043966
【0029】
ここでtwは缶胴側壁部の金属板厚である。缶底から缶開口部までの高さの約1/2部より、つかみ部の巾16mm、平行部の巾6mm、平行部の長さ25mmの引張試験片を缶底の圧延方向が平行部の中心になるように作成し、100Kgのロードセルを用いて、1mm/min.のチャックスピードで引張試験を行った。さらに、引張破断後の試験片を走査形電子顕微鏡により観察し延性ディンプル破断面の巾tbを求め、計算により缶胴極限変形能εwを求めた。また、引張試験片を採取したのと同一条件により作成した缶体について、軸荷重をかけながら、缶径に対して5%、6%、7%の成形型に膨張押圧具により押圧してバルジ加工性を評価した。
【0030】
表2中の実施例1、2、3、4の缶体は  εw≦0.06F−2.25を満足し、6%の張り出しが可能であった。
また実施例5、6、7は  εw≦0.06F−2.45を満足し、7%の張り出しが可能であった。
実施例5、6、7の缶体は、原板の圧延方向と直角方向で缶の高さ1/2付近の部分が中心となるように、90mm角の試験片を切り出してワセリンを塗布した後、JIS  K5400  6.13に示される衝撃変形試験器に乗せ、試験片の中心部以外は動かないように、試験器のフレームとの間に中心部に穴の開いたアルミ治具を置いて固定してから、中心部に質量300g の重りを40cmの高さから落下させたが、破断することなく変形した。
【0031】
被膜の割れについてみると、DI成形後エポキシアクリル塗料をスプレー塗装した実施例1の缶体とポリエステル系樹脂で被覆した原板から作成した実施例2の缶体を缶温約85℃でそれぞれ5%張出し成形を行い、CuSO・5HO15g /l、HSO 0.75g /lの水溶液を缶内に入れ、ステンレス棒を陽極、缶体を陰極として数秒間通電し、開缶後の銅析出状態を比較したところ、ポリエステル系樹脂被覆した缶体の方が優れていた。
張り出し加工後のεwについては、実施例5の缶体において、7%張出し加工後に、前記と同様の方法で試験片を作成して引張試験を行ったところ、缶胴極限変形能εwを求めたところ、張出し加工後もεw≦0.06F−2.45を満足していた。
ネックの加工性をみると、実施例1、2、3、の缶体について、原板の圧延方向と直角方向で缶の高さ1/2付近の部分が中心となるように、90mm角の試験片を切り出し、中心部に直径10mmの円形の穴を開けた後、円錐パンチにより穴拡げ試験を行った結果、εw≦−0.86を満足するB1、の方がA、B2、Kに比較して穴広がり性が優れていた。但し、缶上部の金属肉厚tF を156μmとして、缶上部の開口径が52mmとなるようにネック部を縮径加工して評価したところ、いずれの缶体も成形できた。
【0032】
耳率と加工性については、原板の耳率がそれぞれ3.2%及び6.8%である表1に示す原板B、Fを用いて、内径66mm、缶高さ122mmの缶を実施例1と同様にDI成形して比較したところ、Bは製缶できたが引張強度の高いFは製缶時に破胴した。原板B、Fの両面に実施例1と同様に厚さ12μmの共重合PETフイルムを被覆し、絞り加工を行った後、同時絞りしごき加工を2回繰り返し行い、内径66mm、缶高さ122mmの缶を作成したところ、原板の耳率が大きいFは、製缶はできたが、開口部の真円度が極めて悪く、Bは良好であった。同様にして両面に厚さ12μmの共重合PETフイルムを被覆した原板E、Fを用いて内径66mm、缶高さ122mmの缶を、同時絞りしごき加工を3回繰り返すことにより作成したところ、いずれの材料も真円度の良好な優れた缶体となった。
【0033】
比較例1と2について実施例1と同様に評価したところ、5%張り出し時に破胴した。またネック加工性も不良で缶上部の金属肉厚tF を156μmとして、開口径が52mmとなるように縮径加工したところ、ネック成形時に破断した。さらに前記の衝撃変形試験を行ったところ破断した。
【0034】
【発明の効果】
本発明は加工性が良好で缶底に種々な形状を選ぶことができ、使用できるアルミニウム合金の範囲を高強度材料まで広げ、素材耳率も広範囲とすることができ張り出し性が良好でバルジ加工用缶として優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】原板極限変形能を示すグラフである。
【図2】缶胴極限変形能を示すグラフである。
【図3】切断した試験片の説明図である。
【符号の説明】
1  加工を行う缶

Claims (7)

  1. 少なくとも
    Si  0.05〜1.5  重量%
    Fe  0.05〜1.0  重量%
    Mg  0.8  〜5.5  重量%
    Cu  0.35〜0      重量%
    Mn  0.5 〜0      重量%
    を含有するアルミニウム合金原板の両面に結晶性熱可塑性樹脂を被覆したアルミニウム合金板材で形成された缶体において、缶胴側壁部の最小金属厚みが0.06〜0.16mmであり、缶胴部の最小板厚が原板の板厚の70%〜20%であることを特徴とする、シームレスアルミニウム缶体。
  2. 缶体が同時絞りしごき加工により成形された缶体である、請求項1に記載されたシームレスアルミニウム缶体。
  3. 缶高さHmmに対しH/2付近の缶胴より得た、缶の周方向を長手方向とし缶底の圧延方向と直角方向が中央となる、平行部の巾6mm、板厚twmmの引張試験片が、最大引張荷重をF Kgfとし、試験片延性破断面の金属厚をtbmmとして次の式Iにより定義される
    式I:        εw=ln(tb/tw)缶胴極限変形能εwが
    εw≦0.06F−2.1であり、15≦F<30でかつεw≦−0.7  である缶胴壁よりなる、請求項1または2に記載されたシームレスアルミニウム缶体。
  4. 缶胴極限変形能εwが  εw≦0.06F−2.25である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載されたシームレスアルミニウム缶体。
  5. 缶胴極限変形能εwが  εw≦0.06F−2.45である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載されたシームレスアルミニウム缶体。
  6. 缶胴極限変形能εwが  εw≦−0.86である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載されたシームレスアルミニウム缶体。
  7. 原板の最大引張強さが25〜45Kg/mmである、請求項1ないし6のいずれか1項に記載されたシームレスアルミニウム缶体。
JP2003154453A 2003-05-30 2003-05-30 シームレスアルミニウム缶体 Pending JP2004043966A (ja)

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