JP2007284141A - 樹脂被覆缶、及びその製造方法 - Google Patents

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政臣 田村
Nobuhisa Okabe
修久 岡部
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Abstract

【課題】 樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材に、絞り加工、又は絞り・しごき加工を施して樹脂被覆缶を製造するに際して、立体加飾加工を併せて施しても、樹脂被覆層の損傷などが抑制された樹脂被覆缶、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 樹脂被覆金属素材に絞り加工、又は絞り・しごき加工を施して有底筒状の素缶10aを成形する際に、樹脂被覆層を形成する樹脂の分子鎖を缶高さ方向に延伸配向させて配向結晶化し、しかる後に、立体加飾加工を施そうとする部位を、樹脂被覆層を形成する樹脂の溶融開始温度以上の温度に加熱して延伸配向度を低減させ、その後、缶壁面に張出部12を形成して凹凸形状を付与する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材に、絞り加工、又は絞り・しごき加工を施して樹脂被覆缶を製造するに際して、凹凸形状を付与する立体加飾加工を併せて施しても、樹脂被覆層の損傷などが抑制された樹脂被覆缶、及びそのような樹脂被覆缶の製造方法に関する。
近年、樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材に、絞り加工、又は絞り・しごき加工を施すことによって、つなぎ目のない缶形状に成形された樹脂被覆缶(樹脂被覆シームレス缶)が多用されるようになってきているが、このような樹脂被覆缶にあっては、成形加工時における樹脂被覆層の割れ、剥離などによる損傷や、被膜性能の劣化というような問題があることが指摘されている。
このため、従来、特許文献1、特許文献2などにおいて、これらの問題を解決するための種々の改善が提案されてきているとともに、このような樹脂被覆缶に対しても、例えば、特許文献3に示されているバルジ加工などのように、従来の平面印刷よりも加飾効果に優れた、缶壁面に凹凸を形成して加飾する立体加飾加工を併せて施すことにより、形状的な特徴をもたせて商品の差別化を図ることが求められている。
特開平5−147647号公報 特開2002−255169号公報 特開平9−118336号公報
しかしながら、樹脂被覆金属素材に対し、絞り・しごき加工などの缶形状に成形するための成形加工に加えて、凹凸形状を付与する立体加飾加工をさらに施すとすると、樹脂被覆層に及ぼされる負荷はいっそう過酷なものとなり、樹脂被覆層の損傷などの問題を解消するには、さらなる改善が必要であった。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材に、絞り加工、又は絞り・しごき加工を施して樹脂被覆缶を製造するに際して、立体加飾加工を併せて施しても、樹脂被覆層の損傷などを抑制することができる樹脂被覆缶、及びその製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねたところ、樹脂被膜層を形成する樹脂の配向性に着目し、その配向性を制御することによって、樹脂被覆金属素材を缶形状に成形加工するにあたり、立体加飾加工を併せて施した場合であっても、樹脂被覆層の損傷や、皮膜性能の劣化を抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法は、樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材を缶形状に成形加工するにあたり、立体加飾加工を併せて施す樹脂被覆缶の製造方法であって、前記樹脂被覆金属素材に絞り加工、又は絞り・しごき加工を施して有底筒状の素缶を成形するに伴って、缶壁面に位置する前記樹脂被覆層を形成する樹脂の分子鎖を前記素缶の高さ方向に延伸配向させて配向結晶化し、しかる後に、少なくとも立体加飾加工を施そうとする部位を、前記樹脂被覆層を形成する樹脂の溶融開始温度以上の温度に加熱して、当該部位における前記樹脂被覆層を形成する樹脂の缶高さ方向の延伸配向度を低減せしめ、その後、当該部位の一部、又は全部を缶外方に張り出させて缶壁面に凹凸を形成する方法としてある。
このような方法とした本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法によれば、分子鎖が延伸配向された樹脂は、延伸方向に直交する方向に引き延ばそうとする力に対して裂けやすく、そのまま立体加飾加工を施すには適さないが、溶融開始温度以上の温度に加熱して延伸配向度を低減させ、樹脂被膜層を形成する樹脂の配向性を制御することにより、樹脂被覆層を形成する樹脂を裂けにくくして、その損傷や、被膜性能の劣化を抑制することができる。
また、本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法は、樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材を缶形状に成形加工するにあたり、立体加飾加工を併せて施す樹脂被覆缶の製造方法であって、前記樹脂被覆金属素材に絞り加工、又は絞り・しごき加工を施して有底筒状の素缶を成形するに伴って、缶壁面に位置する前記樹脂被覆層を形成する樹脂の分子鎖を前記素缶の高さ方向に延伸配向させ、しかる後に、少なくとも立体加飾加工を施そうとする部位の一部、又は全部を缶外方に張り出させて缶壁面に凹凸を形成し、その後、少なくとも立体加飾加工が施された部位を、前記樹脂被覆層を形成する樹脂の溶融開始温度以上の温度に加熱して、当該部位における前記樹脂被覆層を形成する樹脂の延伸配向度を低減させる方法とすることもできる。
このような方法とすれば、立体加飾加工を施すことによって樹脂被覆層を形成する樹脂が裂けてしまったとしても、その程度によっては、溶融開始温度以上の温度に加熱して延伸配向度を低減させ、樹脂被膜層を形成する樹脂の配向性を制御することにより、樹脂被覆層の被膜性能を復元することができる。
また、本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法は、少なくとも缶内面となる側に前記樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材を成形加工する方法とすることができる。
このような方法とすれば、内容物への金属溶出や、缶内面の腐食を避けるために、缶内面側に樹脂被覆層が形成されるようすることができる。
また、本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法は、直径rに対する高さhの比h/rが1以上となる有底筒状に前記素缶を成形し、かつ、絞り加工、又は絞り・しごき加工を施す前の樹脂被覆金属素材の厚みt0と、立体加飾加工が施された缶壁面の厚みtとが、(t0−t)/t0≧0.3なる関係を満たすようにした方法とすることができる。
このような方法とすれば、絞り加工、又は絞り・しごき加工によって缶壁面の肉厚を減少させつつ、缶の高さを確保していくことが困難になってしまうというような不具合を有効に回避することができる。
また、本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法は、立体加飾加工を施そうとする部位の一部、又は全部を、拡径率15%以下で拡径させて缶外方に張り出させる方法とすることができる。
このような方法とすれば、樹脂被覆金属素材の金属材料が張り出し成形に追従できず、缶胴が破胴してしまうというような不具合を有効に回避することができる。
また、本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法は、立体加飾加工を施そうとする部位の一部、又は全部を、ブロー成形、又は、拡径金型によるエキスパンド成形により缶外方に張り出させる方法とすることができる。
このような方法とすれば、樹脂被覆缶に形状再現性よく凹凸形状を付与することができる。
また、本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法は、前記樹脂被覆層が、延伸させると配向結晶化する結晶性の熱可塑性樹脂からなる方法とすることができる。
また、本発明に係る樹脂被覆缶は、樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材を缶形状に成形加工するに際し、立体加飾加工が併せて施されて缶壁面に凹凸が形成された樹脂被覆缶であって、前記樹脂被覆層の被覆度が、ERV換算で、0〜150mAである構成としてある。
このような構成を採用した本発明に係る樹脂被覆缶は、樹脂被覆層の欠陥がほとんどなく、缶内面の金属が露出していないので、本発明に係る樹脂被覆缶を用いれば、内容物への金属溶出や、缶内面の腐食を有効に回避することができる。
また、本発明に係る樹脂被覆缶は、前記樹脂被覆層が、延伸させると配向結晶化する結晶性の熱可塑性樹脂からなる構成とすることができる。
このような本発明によれば、樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材を絞り加工、又は絞り・しごき加工により缶形状に成形するに際し、延伸配向されて配向結晶化された樹脂被覆層を形成する樹脂を溶融開始温度以上の温度に加熱して、その配向性を制御することにより、樹脂被覆層を形成する樹脂を裂けにくくして、立体加飾加工を併せて施す場合でも、樹脂被覆層の損傷や、被膜性能の劣化を抑制することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、図1は、本発明に係る樹脂被覆缶の実施形態の概略を示す正面図であり、図2は、本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法の実施形態の概略を示す工程図である。
図1に示す樹脂被覆缶1は、2ピース缶と称される缶形態を備え、缶底11が一体とされた有底胴缶10と、内容物が充填された後に、この有底胴缶10の開口部に取り付けられる缶蓋20とからなっている。
このような2ピース缶において、有底胴缶10は、一般には、樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材を円板状などの任意の形状に打ち抜き、これに絞り加工、又は絞り・しごき加工を施して、つなぎ目のない有底筒状に成形するとともに、その開口部に缶蓋20を取り付けるためのネック加工、フランジ加工を施して、所定の缶形状に成形加工される。
なお、絞り加工、又は絞り・しごき加工には、特開平1−258822号公報や、特開平7−275961号公報などに記載されているような、絞り成形後に、ストレッチドロー(前絞りカップの再絞り+側壁部曲げ伸ばし)、又はストレッチアイアニングを行う成形方法なども含まれ、板状の樹脂被覆金属素材を缶形状に成形加工することが可能なこの種の成形方法のなかから適宜選択して利用することができる。
そして、本実施形態にあっては、上記のようにして樹脂被覆金属素材を所定の缶形状に成形加工するにあたり、立体加飾加工を併せて施すことによって、有底胴缶10の缶壁面に、図示するような張出部12を形成するなどして、任意の凹凸形状を付与している。
本実施形態において、有底胴缶10を形成する樹脂被覆金属素材としては、アルミニウム合金、又はめっき鋼板などからなる金属板に、延伸配向させると配向結晶化する結晶性の熱可塑性樹脂からなる樹脂被覆層を公知の手段、例えば、キャストフィルムのラミネーション、共押出コート法などにより、実質的に未配向の状態で積層形成したものが用いられる。
ここで、アルミニウム合金としては、例えば、JIS H 4000において、3000番系、5000番系、6000番系の合金番号に区分され、化学成分として、Mn,Mg,Cu,Si,Feが一種、又は二種以上添加されているものが好ましい。
Mnを添加すると、成形性を損なうことなく、耐食性や強度を高めることができ、その添加量は0.1〜1.5重量%とするのが好ましい。Mnの添加量が0.1%未満であると耐食性が十分に得られなくなり、Mnの添加量が1.5重量%を超えると成形性が低下してしまう。
Mgを添加すると、成形性、耐食性、強度を向上させることができ、その添加量は0.8〜5.0重量%とするのが好ましい。Mgの添加量が0.8重量%未満であると強度が十分に得られず、Mgの添加量が5.0重量%を超えると成形性が低下し、割れ、しわなどが発生しやすくなる。
Cuを添加すると、強度を向上させることができ、その添加量は0.01〜0.8重量%とするのが好ましい。Cuの添加量が0.01重量%未満であると耐食性が十分に得られず、Cuの添加量が0.8重量%を超えると成形性が低下してしまう。
Siは、特にMgとともに添加したときに、強度、耐摩耗性を向上させることができ、その添加量は0.03〜0.6重量%とするのが好ましい。Siの添加量が0.03重量%未満であると強度が十分に得られず、Siの添加量が0.6重量%を超えると成形性が低下してしまう。
Feは、特にMnとともに添加したときに、耐食性を向上させることができ、その添加量は、0.05〜0.8重量%とするのが好ましい。Feの添加量が0.05重量%未満であると強度が十分に得られず、Feの添加量が0.8重量%を超えると成形性が低下してしまう。
このようなアルミニウム合金からなる金属板の厚みは、強度、成形性の観点から、0.1〜1mm程度の範囲にあるのが好ましく、成形後の最小肉厚、すなわち、有底胴缶10の缶壁面における樹脂被覆層を除いた金属板部分の最小肉厚が0.15mm以下であるのが好ましい。
有底胴缶10の缶壁面において、その金属板部分の最小肉厚が0.15mmを超えると、缶壁面の肉厚を低減することによる省資源化が図れず、コスト削減の効果が得られにくくなってしまう。
なお、アルミニウム合金からなる金属板への樹脂被覆層の密着性の見地からは、アルミニウム材の表面に表面処理膜を形成しておくのが好ましい。このような表面処理としては、りん酸クロメート処理、ジルコニウム処理、りん酸処理、ポリアクリル酸処理、陽極酸化処理などが好ましい。
また、めっき鋼板としては、例えば、TFS(ティンフリースチール)、錫めっき鋼板、錫・鉄合金めっき鋼板、錫・ニッケルめっき鋼板、鉄・錫・ニッケル合金めっき鋼板などが好ましく用いられ、これらのめっき上にクロム酸処理、クロメート処理、シランカップリング剤処理、有機・無機複合処理などを施したものが特に好ましい。めっき鋼板基材の厚みは、缶底11の耐圧変形性によって決定されるが、一般には、0.1〜0.4mm、特に0.12〜0.35mmの範囲内にあるのが好ましい。
また、有底胴缶10を形成する樹脂被覆金属素材において、樹脂被覆層は、延伸配向により配向結晶化する結晶性の熱可塑性樹脂を用いて形成されるが、そのような熱可塑性樹脂のなかでも、ポリエステル,ナイロン,ポリプロピレンなどの比較的透明性が高く、耐熱性に優れたものが好ましく用いられる。
ポリエステルとしては、エチレンテレフタレート,エチレンブチレート,エチレンイソフタレートを主たる構成成分としたものが好ましく用いられ、これらと他のジカルボン酸成分や、グリコール成分とを共重合させたものを用いることもできる。
共重合させるジカルボン酸成分としては、ナフタレンジカルボン酸,ジフェニルジカルボン酸,ジフェニルスルホンジカルボン酸,ジフェノキシエタンジカルボン酸,5−ナトリウムスルホイソフタル酸,フタル酸等の芳香族ジカルボン酸,シュウ酸,コハク酸,アジピン酸,セバシン酸,ダイマー酸,マレイン酸,フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸,シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸,p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸などが挙げられる。これらは二種以上を併用してもよい。
共重合させるグリコール成分としては、プロパンジオール,ブタンジオール,ペンタンジオール,ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール,シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール,ビスフェノールA,ビスフェノールS等の芳香族グリコール,ジエチレングリコール,ポリエチレングリコール等のポリオキシエチレングリコールなどが挙げられる。これらは二種以上を併用してもよい。
ナイロンとしては、ナイロン66,ナイロン610,ナイロン612等のジアミンとジカルボン酸との縮重合体,ナイロン6,ナイロン11,ナイロン12等のラクタムの開環重合体からなるものを用いることができる。
このような樹脂被覆層は、樹脂被覆金属素材の缶内面となる側と缶外面となる側の両方、又はいずれか一方に積層形成することができるが、内容物への金属溶出や、缶内面の腐食を避けるために、少なくとも缶内面となる側に積層形成するのが好ましい。また、樹脂被覆層の厚み(缶内面となる側と缶外面となる側の両方に積層形成されている場合は、両方の厚みの合計とする)は、樹脂被覆缶1の流通時の破胴耐性を保持する観点から、樹脂被覆金属素材を缶形状に成形加工した後の缶壁面において、最薄部において2μm以上となるようにするのが好ましく、より好ましくは5μm以上である。一方、経済性の観点から、その上限は50μm以下とするのが好ましく、より好ましくは25μm以下である。
本実施形態において、樹脂被覆缶1を製造するには、まず、樹脂被覆金属素材に絞り加工、又は絞り・しごき加工を施して、図2(a)に示すような有底筒状の素缶10aを成形する。
このとき、樹脂被覆金属素材が有底筒状に延展されるに伴って、素缶10aの缶壁面に位置する樹脂被覆層が缶高さ方向に一軸延伸される。そして、延伸された樹脂被覆層を形成する樹脂の分子鎖が、缶高さ方向に延伸配向して配向結晶化し、これによって、樹脂被覆層の強度が向上するとともに、バリヤー性、耐食性、耐デント性、耐工具疵つき性も向上させることができる。
なお、缶高さ方向とは、缶底11を下にして水平面に置いたときに、水平面に直交する方向に沿った方向であって、軸Cに平行な方向をいうものとする。
樹脂被覆金属素材を有底筒状に成形加工して素缶10aを形成するにあたり、素缶10aは、直径φ1に対する高さhの比h/φ1が1以上となるようにし、さらに、絞り加工、又は絞り・しごき加工を施す前の樹脂被覆金属素材の厚みt0と、立体加飾加工が施された缶壁面の厚みtとが、(t0−t)/t0≧0.3なる関係を満たしているのが好ましい。
直径φ1に対する高さhの比h/φ1が1に満たない上に、t0とtとが上記関係を満たさないと、絞り加工、又は絞り・しごき加工によって缶壁面の肉厚を減少させつつ、缶の高さを確保していくことが困難になってしまう。
樹脂被覆層を形成する樹脂を配向結晶化させると、樹脂被覆層の強度を高めることができるが、分子鎖が延伸配向されて配向結晶化された樹脂は、延伸方向に直交する方向に引き延ばそうとする力に対して裂けやすく、そのままでは、立体加飾加工を施すには適さない。
このため、本実施形態では、少なくとも立体加飾加工を施そうとする部位を、樹脂被覆層を形成する樹脂の溶融開始温度以上の温度に加熱する。これによって、立体加飾加工を施す際に樹脂被覆層に負荷が及ぼされても、樹脂被覆層を形成する樹脂を裂けにくくして、その損傷や、被膜性能の劣化を抑制することができる。
なお、溶融開始温度とは、JIS K 7121に準拠して、示差走査熱量測定によって得られたDSC曲線から、補外融解開始温度として得られた値より20℃低い温度をいうものとする。
その後、本実施形態にあっては、図2(b)に示すように、素缶10aの開口部に、缶蓋20を取り付けるためのネック加工、フランジ加工を施してから、図2(c)に示すように、缶壁面の一部、又は全部を缶外方に張り出させて、張出部12を形成することにより、缶壁面に凹凸形状を付与して立体加飾加工を施している。
図示する例において、張出部12は、素缶10aの缶壁面の一部を拡径させることによって形成されているが、このときの拡径率、すなわち、素缶10aの直径φ1に対する、張出部12の最大直径φ2の比φ2/φ1は15%以下であるのが好ましい。拡径率が15%を超えると、樹脂被覆金属素材の金属材料が張り出し成形に追従できず、缶胴が破胴するおそれがある。
有底胴缶10の缶壁面に凹凸形状を付与する立体加飾加工としては、例えば、素缶10a内を加圧して、缶壁面の一部、又は全部を、素缶10aの内側から缶外方に向けて張り出させるようにすればよい。このように、立体加飾加工としては、一般に、バルジ加工と称される加工手段を利用することができるが、形状再現性などの観点から、金型内に配置された素缶10a内にブローエアーを供給して加圧し、これによって、缶壁面の一部、又は全部を缶外方に張り出させるとともに、金型の内面に形成された形状を賦形してなるブロー成形によるのが好ましい。また、このようなブロー成形の他に、例えば、特開平11−156463号公報に記載されているような、割型を缶内部に挿入した後に拡開させて缶外方に張り出し成形を行う、拡径金型によるエキスパンド成形によっても、形状再現性よく缶壁面の一部、又は全部を缶外方に張り出させることができる。
また、本実施形態において、樹脂被膜層を形成する樹脂の配向性を制御しても、立体加飾加工による樹脂被覆層の損傷や、被膜性能の劣化が十分に抑制しきれないような場合には、以上のような立体加飾加工を施した後に、少なくとも立体加飾加工が施された部位を、樹脂被覆層を形成する樹脂の融解開始温度以上の温度に加熱して、加熱された部位における樹脂被覆層を形成する樹脂の缶高さ方向の延伸配向度を低減させるようにすることができる。このようにすることで、樹脂被覆層が損傷していたり、その被覆性能が劣化していたりしても、その修復を図ることができる。
以上のようにして得られた樹脂被覆缶1は、立体加飾加工により缶壁面に凹凸形状が付与されながらも、樹脂被覆層の損傷や、被膜性能の劣化が抑制されており、樹脂被覆層の被覆度が、ERV換算で0〜150mAという優れた値を示す。
ここで、ERV換算により得られる被覆度は、得られた樹脂被覆缶に、濃度1重量%の食塩水を立体加飾加工が施された部分が浸されるまで満たし、エナメルレーターでERV(エナメルレイティング値)を測定した値をいうものとし、缶底の外面側に金属露出部を形成して陽極に接続する一方、陰極を缶内に満たされた食塩水に浸して、室温(約23℃)下で、6Vの直流電圧を30秒間印加した後の電流値とする。このような測定において、電流が多く流れるほど絶縁体である樹脂被覆層に欠陥が存在し、缶内面の金属が露出していることを示している。
したがって、樹脂被覆層の被覆度が上記範囲にある樹脂被覆缶1は、樹脂被覆層の欠陥がほとんどなく、缶内面の金属が露出していないので、このような樹脂被覆缶1を用いれば、内容物への金属溶出や、缶内面の腐食を有効に回避することができる。
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、前述した実施形態では、樹脂被覆層を形成する樹脂の溶融開始温度以上の温度に加熱して、その延伸配向度を低減させた後に、素缶10aの開口部に、ネック加工、フランジ加工を施すようにしているが、これらの工程は、必要に応じて前後させてもよい。すなわち、素缶10aの開口部に、ネック加工、フランジ加工を施した後に、樹脂被覆層を形成する樹脂を加熱して、その配向性を制御するようにしてもよい。
以上説明したように、本発明は、樹脂被覆層の損傷などを抑制しつつ、立体加飾加工が施されて凹凸形状が付与された樹脂被覆缶を提供する。
本発明に係る樹脂被覆缶の実施形態の概略を示す正面図である。 本発明に係る樹脂被覆缶の製造方法の実施形態の概略を示す工程図である。
符号の説明
1 樹脂被覆缶
10 有底胴缶
10a 素缶
11 缶底
12 張出部
20 缶蓋

Claims (10)

  1. 樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材を缶形状に成形加工するにあたり、立体加飾加工を併せて施す樹脂被覆缶の製造方法であって、
    前記樹脂被覆金属素材に絞り加工、又は絞り・しごき加工を施して有底筒状の素缶を成形するに伴って、缶壁面に位置する前記樹脂被覆層を形成する樹脂の分子鎖を前記素缶の高さ方向に延伸配向させて配向結晶化し、
    しかる後に、少なくとも立体加飾加工を施そうとする部位を、前記樹脂被覆層を形成する樹脂の溶融開始温度以上の温度に加熱して、当該部位における前記樹脂被覆層を形成する樹脂の缶高さ方向の延伸配向度を低減せしめ、
    その後、当該部位の一部、又は全部を缶外方に張り出させて缶壁面に凹凸を形成することを特徴とする樹脂被覆缶の製造方法。
  2. 樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材を缶形状に成形加工するにあたり、立体加飾加工を併せて施す樹脂被覆缶の製造方法であって、
    前記樹脂被覆金属素材に絞り加工、又は絞り・しごき加工を施して有底筒状の素缶を成形するに伴って、缶壁面に位置する前記樹脂被覆層を形成する樹脂の分子鎖を前記素缶の高さ方向に延伸配向させ、
    しかる後に、少なくとも立体加飾加工を施そうとする部位の一部、又は全部を缶外方に張り出させて缶壁面に凹凸を形成し、
    その後、少なくとも立体加飾加工が施された部位を、前記樹脂被覆層を形成する樹脂の溶融開始温度以上の温度に加熱して、当該部位における前記樹脂被覆層を形成する樹脂の延伸配向度を低減させることを特徴とする樹脂被覆缶の製造方法。
  3. 少なくとも缶内面となる側に前記樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材を成形加工する請求項1〜2のいずれか1項に記載の樹脂被覆缶の製造方法。
  4. 直径rに対する高さhの比h/rが1以上となる有底筒状に前記素缶を成形し、かつ、絞り加工、又は絞り・しごき加工を施す前の樹脂被覆金属素材の厚みt0と、立体加飾加工が施された缶壁面の厚みtとが、(t0−t)/t0≧0.3なる関係を満たすようにした請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂被覆缶の製造方法。
  5. 立体加飾加工を施そうとする部位の一部、又は全部を、拡径率15%以下で拡径させて缶外方に張り出させる請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂被覆缶の製造方法。
  6. 立体加飾加工を施そうとする部位の一部、又は全部を、ブロー成形により缶外方に張り出させる請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂被覆缶の製造方法。
  7. 立体加飾加工を施そうとする部位の一部、又は全部を、拡径金型によるエキスパンド成形により缶外方に張り出させる請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂被覆缶の製造方法。
  8. 前記樹脂被覆層が、延伸させると配向結晶化する結晶性の熱可塑性樹脂からなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂被覆缶の製造方法。
  9. 樹脂被覆層が積層形成された樹脂被覆金属素材を缶形状に成形加工するに際し、立体加飾加工が併せて施されて缶壁面に凹凸が形成された樹脂被覆缶であって、
    前記樹脂被覆層の被覆度が、ERV換算で、0〜150mAであることを特徴とする樹脂被覆缶。
  10. 前記樹脂被覆層が、延伸させると配向結晶化する結晶性の熱可塑性樹脂からなる請求項9に記載の樹脂被覆缶。
JP2006116960A 2006-04-20 2006-04-20 樹脂被覆缶、及びその製造方法 Pending JP2007284141A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8340418B2 (en) 2008-06-10 2012-12-25 Kabushiki Kaisha Toshiba Image processing apparatus, mobile wireless terminal apparatus, and image display method
JP2017222405A (ja) * 2016-06-16 2017-12-21 北海製罐株式会社 缶体

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