JP5124987B2 - ドクターブレード刃先長設定治具およびドクターブレード取付方法 - Google Patents

ドクターブレード刃先長設定治具およびドクターブレード取付方法 Download PDF

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Description

本発明は、ドクターブレードをドクターブレード保持器に保持させる際に用いられるドクターブレード刃先長設定治具、およびドクターブレード保持器にドクターブレードを取り付けるドクターブレード取付方法に関する。
従来より、フィルム、紙等のウェブ状被印刷物に印刷加工を施すグラビア印刷機において、版胴に付着したインキのうち余分なものを掻き落とすためにドクター装置が用いられている。このようなドクター装置は、ドクターブレードと、当該ドクターブレードを保持するためのドクターブレード保持器とから構成されている。ここで、ドクターブレード保持器に対するドクターブレードの先端(刃先)の位置決め方法として、様々なものが知られている。
このようなドクター装置について具体的に説明する。ドクターブレードとしては、帯状の可撓性鋼板が用いられることが多い。このドクターブレードは2枚の平らな角棒状の高剛性材料(例えば鋼材)からなるホルダに挟持された上で、この一対のホルダをボルト等で締結することによりドクターブレードが固定される。ここで、一対のホルダおよびボルトから前述のドクターブレード保持器が構成されている。
ドクターブレードが前後方向(ドクターブレードの幅に対して直角な方向)においてドクターブレード保持器から突出する長さ(本明細書では、「刃先長」ともいう。)は、従来、作業者が手作業により調整を行っていた。そして、この刃先長の確認も、作業者がスケールを使用し、目視にて行っていた。しかしながら、このような手作業による方法では作業負荷や作業時間が大きいという問題があり、また前後方向の刃先長のずれ、あるいは左右方向(幅方向)の刃先長のずれが生じやすいという問題もあった。
また、一般的に、設定されるべき刃先長は一定の大きさに限定されず、印刷物の絵柄や使用インキの種類、あるいはドクターブレードの材料等により最適な刃先長は異なるようになっている。このため、各々の条件に対応するような刃先長を都度設定するにあたり、手作業による方法ではさらなる作業負荷の増大や刃先長のずれ、あるいは設定の間違いが生じていた。上記のような刃先長のずれや間違いがある場合には、ドクター装置と版胴との位置関係、あるいはドクターブレードの版胴への押圧力等の他の印刷条件が最適なものであった場合であっても、ドクターブレードの撓みに差異が生じることとなる。このため、例えば同一絵柄を再度印刷する場合に、その印刷結果に違いが生じてしまうという問題があった。
治具を用いることによりドクターブレードの刃先長を一定にする方法としては、例えば特許文献1に記載されるようなものが知られている。この方法について具体的に説明すると、まずドクターブレードの全幅にわたって当該ドクターブレードの刃先側を2枚の鋼板(治具)で挟持する。次に、この2枚の鋼板をボルトで締結した後、治具の先端をドクターブレード保持器の前面に突き合わせて位置決めを行う。そして、ドクターブレード保持器側のボルトを締結した後、治具を外すことにより刃先長の設定を行う。
昭58−501275号公報
しかしながら、特許文献1に示すような方法においては、使用される治具はドクターブレードを全幅にわたって挟持するものであるため、治具の大型化や重量の増大により作業者の作業負荷が大きくなってしまうという問題がある。また、設定される刃先長は一種類の値に限定されるので、ドクターブレードの刃先長の変更には対応していない。さらに、治具におけるドクターブレードの固定方法はボルト締結であり、ドクターブレードの刃先長の設定作業が複雑であるという問題がある。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、ドクターブレードをドクターブレード保持器に保持させる際に、ドクターブレードの刃先長を容易かつ精度良く所望の長さに設定することができるドクターブレード刃先長設定治具およびドクターブレード取付方法を提供することを目的とする。
本発明は、ドクターブレードをドクターブレード保持器に保持させる際に用いられるドクターブレード刃先長設定治具であって、前記ドクターブレードを保持可能な、上部ドクターホルダと、下部ドクターホルダと、これらの上部ドクターホルダおよび下部ドクターホルダを締結する締結ボルトとから構成されるドクターブレード保持器に前記ドクターブレードを保持させる際に、前記上部ドクターホルダの前面および前記下部ドクターホルダの前面を保持部の前面に当接させながら、このドクターブレードを挟持し、前記ドクターブレードを前記ドクターブレード保持器に保持させた後にこのドクターブレードを解放するような保持部と、前記ドクターブレードの着脱を行うよう前記保持部を動作させるためのハンドル部と、前記保持部に設けられ、前記ドクターブレードが当該保持部により保持された際にこのドクターブレードの先端が当接する刃先突き当て部と、を備え、前記保持部は、基台と、前記基台に対して軸を中心として回動自在となっている挟持部材とを有し、前記ドクターブレードは前記基台と前記挟持部材との間で挟持されるようになっており、前記ハンドル部は、前記保持部の前記基台に取り付けられた下部ハンドル部分と、前記挟持部材に取り付けられた上部ハンドル部分と、前記下部ハンドル部分および前記上部ハンドル部分を接続するバネであって、前記下部ハンドル部分および前記上部ハンドル部分に、当該バネにおける圧縮に対する反発力を及ぼすようになっているバネとを有することを特徴とするドクターブレード刃先長設定治具である。
このようなドクターブレード刃先長設定治具によれば、ドクターブレードをドクターブレード保持器に保持させる際にこのドクターブレード保持器をドクターブレード刃先長設定治具の保持部に当接させることにより、このドクターブレードの刃先長を容易に所望の長さに設定することができる。また、ドクターブレード刃先長設定治具はドクターブレードを全幅にわたって挟持する必要がないため、作業者は容易にドクターブレードの刃先長の設定作業を行うことができる。さらに、作業者がハンドル部を把持することにより保持部におけるドクターブレードの着脱を行うことができるので、例えばボルト締結によりドクターブレードを刃先長の設定治具に固定する方法と比較してドクターブレードの刃先長の設定作業をより簡易に行うことができるようになる。
本発明のドクターブレード刃先長設定治具においては、前記刃先突き当て部は、前記保持部に対して摺動自在となっており、前記保持部に設けられ、当該保持部に対する前記刃先突き当て部の位置を調整するための位置調整部を更に備えたことが好ましい。このことにより、作業者は保持部に対する刃先突き当て部の位置を的確かつ容易に調整することができ、ドクターブレードの設定刃先長を容易に変更することができる。
本発明のドクターブレード刃先長設定治具においては、前記保持部には、前記刃先突き当て部の位置を示すための目盛が形成されていることが好ましい。このことにより、作業者が保持部に対する刃先突き当て部の位置を調整する際に、目盛を確認しながら作業を行うことによりこの刃先突き当て部の位置をより正確に設定することができ、ドクターブレードの刃先長をより精度良く設定することができる。
本発明は、上述のようなドクターブレード刃先長設定治具を用いることによりドクターブレード保持器にドクターブレードを取り付けるドクターブレード取付方法であって、前記ドクターブレード刃先長設定治具の刃先突き当て部に前記ドクターブレードの先端を当接させてこのドクターブレードの位置決めを行う工程と、前記ドクターブレード刃先長設定治具の保持部に、前記刃先突き当て部によって位置決めされた前記ドクターブレードを保持させる工程と、前記保持部により保持された前記ドクターブレードを前記ドクターブレード保持器に保持させる工程と、前記ドクターブレード保持器により保持された前記ドクターブレードを前記ドクターブレード刃先長設定治具の保持部から解放する工程と、を備えたことを特徴とするドクターブレード取付方法である。
このようなドクターブレード取付方法によれば、ドクターブレードをドクターブレード保持器に保持させる際にこのドクターブレード保持器をドクターブレード刃先長設定治具の保持部に当接させることにより、ドクターブレードの刃先長を容易に所望の長さに設定することができる。また、ドクターブレード刃先長設定治具はドクターブレードの全幅にわたって挟持する必要がないため、作業者は容易にドクターブレードの刃先長の設定作業を行うことができる。
本発明のドクターブレード取付方法においては、前記ドクターブレード刃先長設定治具の刃先突き当て部に前記ドクターブレードの先端を当接させてこのドクターブレードの位置決めを行う前に、前記ドクターブレード刃先長設定治具の保持部に対する前記刃先突き当て部の位置を予め調整することが好ましい。このことにより、作業者はドクターブレードの設定刃先長を容易に変更することができる。
本発明のドクターブレード取付方法においては、ドクターブレード刃先長設定治具は2つ用いられ、各ドクターブレード刃先長設定治具はドクターブレードの両端近傍をそれぞれ保持するようになっていることが好ましい。このことにより、ドクターブレード刃先長設定治具の寸法を小さくすることができるとともにドクターブレードの全幅にわたって刃先長を精度良く設定することができるようになる。
本発明のドクターブレード刃先長設定治具およびドクターブレード取付方法によれば、ドクターブレードをドクターブレード保持器に保持させる際に、ドクターブレードの刃先長を容易かつ精度良く所望の長さに設定することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図4は、本発明によるドクターブレード刃先長設定治具の一の実施の形態を示す図である。
このうち、図1は、本実施の形態のドクターブレード刃先長設定治具の構成を示す概略側面図であり、図2は、図1に示すドクターブレード刃先長設定治具を用いてドクターブレードをドクターブレード保持器に保持させる際の状態を示す概略側面図であり、図3は、図1に示すドクターブレード刃先長設定治具の保持部および刃先突き当て部の構成の詳細を示す斜視図である。また、図4は、ドクターブレード保持器に保持されたドクターブレードが印刷ユニットの版胴を摺擦する際の状態を示す概略構成図である。
本実施の形態のドクターブレード刃先長設定治具は、ドクターブレードをドクターブレード保持器に保持させる際に、このドクターブレードの刃先長を設定するために用いられるものである。
まず、ドクターブレードおよびこのドクターブレードを保持するドクターブレード保持器について図4を用いて説明する。ドクターブレード保持器により保持されたドクターブレードは、ドクター装置の一部を構成している。図4は、このようなドクター装置を備えた印刷ユニットの構成を示している。
図4に示すように、印刷ユニット40は、連続的に搬送されるフィルム、紙等のウェブ状被印刷物Wの表面に対してインキを付着させることにより印刷を行うよう構成されている。この印刷ユニット40は、インキを貯留するインキパン41と、インキパン41内のインキがファニッシャーロール42を介して送られる版胴43と、版胴43との間でウェブ状被印刷物Wを挟持して印刷を行う圧胴44と、版胴43の表面に付着した余剰インキを掻き取るドクター装置45とを備えている。
ファニッシャーロール42は、その外周面がインキパン内のインキに浸るよう設けられており、図4の矢印方向に回転することによりインキパン内のインキが外周面に付着するようになっている。
版胴43は、ファニッシャーロール42に当接するとともに、圧胴44により押圧されてニップ点Nを形成するようになっている。この版胴43の表面には複数のセル(窪み)が形成されており、ファニッシャーロール42と当接することによりこのファニッシャーロール42の外表面に付着したインキが各セル内に充填される。しかしながら、ファニッシャーロール42の外表面から版胴43に送られるインキのうち、各セル内に充填されなかった余剰インキは当該版胴43の外表面に付着してしまう。
ドクター装置45は、版胴43の回転方向におけるファニッシャーロール42の下流側であって圧胴44の上流側の位置に設けられている。このドクター装置45のドクターブレード20は、版胴43の外表面を摺擦することにより、版胴43の各セル内に充填されたインキをそのままの状態で維持しながら外表面に付着した余剰インキを掻き落とすようになっている。このドクター装置45は、ドクター架台46と、ドクター架台46に取り付けられ、版胴43に向かって進退自在となっているドクターブレード保持器30と、ドクターブレード保持器30に保持された前述のドクターブレード20とから構成されている。
ドクターブレード20は、例えば帯状の可撓性鋼板から構成されており、その刃先は図4に示すように鋭角状となっている。また、ドクターブレード保持器30は、上部ドクターホルダ31と、下部ドクターホルダ32と、これらの上部ドクターホルダ31および下部ドクターホルダ32を締結する締結ボルト33とから構成されており、ドクターブレード20を上部ドクターホルダ31および下部ドクターホルダ32により挟持するようになっている。上部ドクターホルダ31および下部ドクターホルダ32は例えば鋼材からなる高剛性材料から構成されている。ドクターブレード20が上部ドクターホルダ31および下部ドクターホルダ32の間に挟持された後、締結ボルト33によって上部ドクターホルダ31および下部ドクターホルダ32の締結を行うことにより、ドクターブレード20がドクターブレード保持器30に対して固定される。
ドクターブレード20およびドクターブレード保持器30の幅方向長さ(図4の紙面に対して垂直な方向における長さ)は、版胴43の幅方向長さと略同一となっている。
次に、このようなドクターブレード20をドクターブレード保持器30に保持させる際に用いられるドクターブレード刃先長設定治具10の構成について説明する。ここで、ドクターブレード20の刃先長とは、当該ドクターブレード20においてドクターブレード保持器30の上部ドクターホルダ31および下部ドクターホルダ32の前面31a、32aから更に先端に向かって突出する長さのことをいう。
図1に示すように、ドクターブレード刃先長設定治具10は、ドクターブレード20を保持可能な保持部11と、ドクターブレード20の着脱を行うよう作業者が手動で保持部11を動作させるためのハンドル部12と、保持部11に設けられ、ドクターブレード20が保持部により保持された際にこのドクターブレード20の先端が当接する刃先突き当て部材13とを備えている。ここで、保持部11は、図2に示すように、ドクターブレード20をドクターブレード保持器30に保持させる前にこのドクターブレード20を保持し、その後、ドクターブレード20をドクターブレード保持器30に保持させた後に保持部11はこのドクターブレード20を解放するようになっている。また、刃先突き当て部材13は保持部11に対して摺動自在となっており、保持部11には、この保持部11に対する当該刃先突き当て部材13の位置を調整するための位置調整部14が取り付けられている。
以下、このようなドクターブレード刃先長設定治具10の各構成要素について詳述する。
保持部11は、図1に示すように基台11aと、この基台11aの後端部近傍に設けられた軸11bと、軸11bに枢支され基台11aに対して軸11bを中心として回動自在となっている挟持部材11cとから構成されている。そして、基台11a上にドクターブレード20を載置し、このドクターブレード20の上面に向かって挟持部材11cを(図1の反時計回りに)回動させることによりドクターブレード20が基台11aと挟持部材11cとの間に挟持されるようになっている。この保持部11の幅方向長さ(図1の紙面に対して垂直な方向における長さ)は、例えば50〜100mmの範囲内の大きさとなっている。図3に示すように、基台11aの表面には、刃先突き当て部材13が摺動するための案内溝が中央に設けられている。
ハンドル部12は、保持部11の基台11aに取り付けられた下部ハンドル部分12aと、挟持部材11cに取り付けられた上部ハンドル部分12bと、下部ハンドル部分12aおよび上部ハンドル部分12bを接続するバネ(スプリング)12cとから構成されている。ここで、下部ハンドル部分12aおよび上部ハンドル部分12bは、作業者が片手で把持することができるよう構成されている。具体的には、作業者がハンドル部12を把持していないときには、図2に示すように下部ハンドル部分12aおよび上部ハンドル部分12bはバネ12cにおける圧縮に対する反発力によって略平行状態となり、基台11aおよび挟持部材11cは近接した状態となる。一方、図1に示すように、下部ハンドル部分12aおよび上部ハンドル部分12bを接近させるよう作業者がハンドル部12を片手で把持したときには、保持部11の基台11aに対して挟持部材11cが軸11bを中心として図1の矢印方向に回動し、この挟持部材11cは基台11aから離間するようになる。ここで、ハンドル部12の幅方向長さ(図1の紙面に対して垂直な方向における長さ)は、保持部11の幅方向長さと略同一の大きさとなっている。
このようにして、ハンドル部12を作業者が片手で把持することにより保持部11はドクターブレード20を解放する構造となっており、またハンドル部12から作業者が手を離せばバネ12cの反発力によりドクターブレード20が保持部11に保持される状態となる。
図1乃至図3、とりわけ図3に示すように、保持部11の基台11a上には刃先突き当て部材13が摺動自在に載置されている。この刃先突き当て部材13は、保持部11によりドクターブレード20が保持された際のこの保持部11に対するドクターブレード20の位置決めを行うために用いられる。
刃先突き当て部材13は略直方体形状の耐摩耗性の高い樹脂等(例えばMCナイロン)から構成されている。このことにより、ドクターブレード20の刃先が刃先突き当て部材13に当接したときにおけるこの刃先の損傷を抑止することができるとともに、基台11aの損傷をも抑止することができるようになる。刃先突き当て部材13の幅方向長さは、図3に示すように保持部11の幅方向長さと略同一の大きさとなっている。また、図3に示すように、刃先突き当て部材13の下面には、基台11aの案内溝に嵌合する突出部材が取り付けられている。
位置調整部14は、図3に示すように、保持部11の基台11aに対して鉛直方向上方に延びるよう取り付けられた当て板14aと、この当て板14aに設けられるとともに先端が刃先突き当て部材13に取り付けられた調整ネジ14bとから構成されている。当て板14aには雌ネジ穴が形成されており、この雌ネジ穴に調整ネジ14bの雄ネジ部分が噛み合うようになっており、調整ネジ14bを回転させることによりこの調整ネジ14b自体の当て板14aに対する位置を調整することができるようになっている。また、図3に示すように、調整ネジ14bの先端にはフローティングジョイントが設けられており、このフローティングジョイントにより調整ネジ14bと刃先突き当て部材13の連結が行われている。このことにより、作業者が調整ネジ14bを回転させて保持部11の基台11aに対する刃先突き当て部材13の進退方向位置(図3の左右方向位置)を調整することができる。
なお、図3に示すように、保持部11の基台11aの両側面には刃先突き当て部材13の位置を示すための目盛11pが付されている。このことにより、作業者が調整ネジ14bを回転させて保持部11の基台11aに対する刃先突き当て部材13の進退方向位置を調整する際に、目盛11pを目視することによりこの刃先突き当て部材13の位置をより正確に確認することができるようになる。
次に、このような構成からなる本実施の形態のドクターブレード刃先長設定治具10の作用について説明する。具体的には、2つのドクターブレード刃先長設定治具10を用いることによりドクターブレード20をドクターブレード保持器30に取り付ける方法について説明する。
まず、ドクターブレード20をドクターブレード刃先長設定治具10で保持させる前に、作業者は各々のドクターブレード刃先長設定治具10における保持部11の基台11aに対する刃先突き当て部材13の位置を位置調整部14により予め調整しておく。具体的には、作業者が位置調整部14の調整ネジ14bを回すことにより、目盛11pを見ながら刃先突き当て部材13の進退方向位置(図2の左右方向位置)を調整しておく。
次に、作業者が各々のドクターブレード刃先長設定治具10のハンドル部12を把持して保持部11の基台11aと挟持部材11cとを離間させる(図1参照)。そして、このような状態で、ドクターブレード20の両端近傍における先端を、2つのドクターブレード刃先長設定治具10の各刃先突き当て部材13にそれぞれ当接させる。このことにより、ドクターブレード20の位置決めを当該ドクターブレード20の両端近傍において行う。
その後、作業者がハンドル部12から手を離し、保持部11の基台11aと挟持部材11cとを接近させる(図2参照)。このことにより、刃先突き当て部材13により位置決めされたドクターブレード20が保持部11により保持されることとなる。
そして、ドクターブレード20の両端近傍が各々のドクターブレード刃先長設定治具10により保持された状態で、このドクターブレード20をドクターブレード保持器30に保持させる。具体的には、上部ブレードホルダ31の前面31aおよび下部ブレードホルダ32の前面32aを保持部11の前面に当接させながら(図2参照)、ドクターブレード20をこれらの上部ブレードホルダ31および下部ブレードホルダ32で挟持させ、締結ボルト33により上部ブレードホルダ31および下部ブレードホルダ32の締結を行う。このことにより、ドクターブレード20がドクターブレード保持器30に固定される。この際に、図2に示すように、ドクターブレード20の刃先長が、当該ドクターブレード20の保持部11に挟まれた部分の長さとして設定される。
最後に、ドクターブレード保持器30により固定されたドクターブレード20を各々のドクターブレード刃先長設定治具10の保持部11から解放させる。このようにして、ドクターブレード保持器30に対するドクターブレード20の取り付け作業が完了する。
以上のように本実施の形態のドクターブレード刃先長設定治具10によれば、ドクターブレード20を保持可能な保持部11およびドクターブレード20の着脱を行うよう保持部11を動作させるためのハンドル部12を備えており、保持部11には、ドクターブレード20が当該保持部11により保持された際にこのドクターブレード20の先端が当接する刃先突き当て部材13が設けられている。このため、ドクターブレード20をドクターブレード保持器30に保持させる際にこのドクターブレード保持器30をドクターブレード刃先長設定治具10の保持部11に当接させることにより、このドクターブレード20の刃先長を容易に所望の長さに設定することができる。また、ドクターブレード刃先長設定治具10はドクターブレード20を全幅にわたって挟持する必要がないため、作業者は容易にドクターブレード20の刃先長の設定作業を行うことができる。さらに、ハンドル部12により保持部11におけるドクターブレード20の着脱を行うことができるので、例えばボルト締結によりドクターブレード20を刃先長の設定治具に固定する方法と比較してドクターブレード20の刃先長の設定作業をより簡易に行うことができるようになる。
ここで、ドクターブレード刃先長設定治具10として、幅方向長さ(図1の紙面に対して垂直な方向における長さ)が例えば50〜100mmの範囲内の大きさのものを用いることが好ましい。ドクターブレード刃先長設定治具10の幅方向長さが50mmよりも小さい場合には、ドクターブレード20を刃先突き当て部材13に当接させた際にこの刃先突き当て部材13に対してドクターブレード20を平行状態とすることが困難となり、ドクターブレード20の刃先長を全幅にわたって所望の長さに設定することが難しくなる。一方、ドクターブレード刃先長設定治具10の幅方向長さが100mmを超えた場合には、このドクターブレード刃先長設定治具10の重量が大きくなり、作業者によるドクターブレード20の刃先長の設定作業が困難となる。
また、刃先突き当て部材13は保持部11に対して摺動自在となっており、保持部11に、この保持部11に対する刃先突き当て部材13の位置を調整するための位置調整部14が設けられていることにより、作業者は保持部11に対する刃先突き当て部材13の位置を的確かつ容易に調整することができ、ドクターブレード20の設定刃先長を容易に変更することができる。
また、保持部11には、刃先突き当て部材13の位置を表示するための目盛11pが形成されていることにより、作業者が保持部11に対する刃先突き当て部材13の位置を調整する際に、目盛11pを確認しながら作業を行うことによりこの刃先突き当て部材13の位置をより正確に設定することができ、ドクターブレード20の刃先長をより精度良く設定することができる。
また、ドクターブレード保持器30にドクターブレード20を取り付ける際に、ドクターブレード刃先長設定治具10を2つ用い、各ドクターブレード刃先長設定治具10でドクターブレード20の両端近傍をそれぞれ保持させるようにすることにより、ドクターブレード刃先長設定治具10の寸法を小さくすることができるとともにドクターブレード20の全幅にわたって刃先長を精度良く設定することができるようになる。
本発明の実施の形態のドクターブレード刃先長設定治具の構成を示す概略側面図である。 図1に示すドクターブレード刃先長設定治具を用いてドクターブレードをドクターブレード保持器に保持させる際の状態を示す概略側面図である。 図1に示すドクターブレード刃先長設定治具の保持部および刃先突き当て部の構成の詳細を示す斜視図である。 ドクターブレード保持器に保持されたドクターブレードが印刷ユニットの版胴を摺擦する際の状態を示す概略構成図である。
符号の説明
10 ドクターブレード刃先長設定治具
11 保持部
11a 基台
11b 軸
11c 挟持部材
11p 目盛
12 ハンドル部
12a 下部ハンドル部分
12b 上部ハンドル部分
12c バネ
13 刃先突き当て部材
14 位置調整部
14a 当て板
14b 調整ネジ
20 ドクターブレード
30 ドクターブレード保持器
31 上部ドクターホルダ
31a 前面
32 下部ドクターホルダ
32a 前面
33 締結ボルト
40 印刷ユニット
41 インキパン
42 ファニッシャーロール
43 版胴
44 圧胴
45 ドクター装置
46 ドクター架台

Claims (6)

  1. ドクターブレードをドクターブレード保持器に保持させる際に用いられるドクターブレード刃先長設定治具であって、
    前記ドクターブレードを保持可能な、上部ドクターホルダと、下部ドクターホルダと、これらの上部ドクターホルダおよび下部ドクターホルダを締結する締結ボルトとから構成されるドクターブレード保持器に前記ドクターブレードを保持させる際に、前記上部ドクターホルダの前面および前記下部ドクターホルダの前面を保持部の前面に当接させながら、このドクターブレードを挟持し、前記ドクターブレードを前記ドクターブレード保持器に保持させた後にこのドクターブレードを解放するような保持部と、
    前記ドクターブレードの着脱を行うよう前記保持部を動作させるためのハンドル部と、
    前記保持部に設けられ、前記ドクターブレードが当該保持部により保持された際にこのドクターブレードの先端が当接する刃先突き当て部と、
    を備え、
    前記保持部は、基台と、前記基台に対して軸を中心として回動自在となっている挟持部材とを有し、前記ドクターブレードは前記基台と前記挟持部材との間で挟持されるようになっており、
    前記ハンドル部は、前記保持部の前記基台に取り付けられた下部ハンドル部分と、前記挟持部材に取り付けられた上部ハンドル部分と、前記下部ハンドル部分および前記上部ハンドル部分を接続するバネであって、前記下部ハンドル部分および前記上部ハンドル部分に、当該バネにおける圧縮に対する反発力を及ぼすようになっているバネとを有することを特徴とするドクターブレード刃先長設定治具。
  2. 前記刃先突き当て部は、前記保持部に対して摺動自在となっており、
    前記保持部に設けられ、当該保持部に対する前記刃先突き当て部の位置を調整するための位置調整部を更に備えたことを特徴とする請求項1記載のドクターブレード刃先長設定治具。
  3. 前記保持部には、前記刃先突き当て部の位置を示すための目盛が形成されていることを特徴とする請求項2記載のドクターブレード刃先長設定治具。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のドクターブレード刃先長設定治具を用いることによりドクターブレード保持器にドクターブレードを取り付けるドクターブレード取付方法であって、
    前記ドクターブレード刃先長設定治具の刃先突き当て部に前記ドクターブレードの先端を当接させてこのドクターブレードの位置決めを行う工程と、
    前記ドクターブレード刃先長設定治具の保持部に、前記刃先突き当て部によって位置決めされた前記ドクターブレードを保持させる工程と、
    前記保持部により保持された前記ドクターブレードを前記ドクターブレード保持器に保持させる工程と、
    前記ドクターブレード保持器により保持された前記ドクターブレードを前記ドクターブレード刃先長設定治具の保持部から解放する工程と、
    を備えたことを特徴とするドクターブレード取付方法。
  5. 前記ドクターブレード刃先長設定治具の刃先突き当て部に前記ドクターブレードの先端を当接させてこのドクターブレードの位置決めを行う前に、前記ドクターブレード刃先長設定治具の保持部に対する前記刃先突き当て部の位置を予め調整することを特徴とする請求項4記載のドクターブレード取付方法。
  6. ドクターブレード刃先長設定治具は2つ用いられ、各ドクターブレード刃先長設定治具はドクターブレードの両端近傍をそれぞれ保持するようになっていることを特徴とする請求項4または5記載のドクターブレード取付方法。
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