以下、非接触支持装置の一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、ガラス基板の検査工程や処理工程の間においてガラス基板を搬送する搬送装置に非接触支持装置を用いている。図1は非接触支持装置20の構成を示しており、図1(a)は非接触支持装置20の平面図であり、図1(b)は非接触支持装置20の長手方向の側面図である。図2は、非接触支持装置20の短手方向の側面図である。
図1,2に示すように、非接触支持装置20は、全体として長尺状をなし、その長手方向に延びる略溝形の本体30と、本体30の長手方向に延びる開放部を閉じるように配置された多孔質板60と、多孔質板60の内側に設けられたフィルム50とを備えている。略溝形の本体30と矩形状の多孔質板60とで四角筒状のエア通路(気体通路)を区画形成しており、本体30の長手方向に垂直な側面36は矩形状の開口部36aによって開口している。多孔質板60は表裏の両面が平坦に形成されている。非接触支持装置20は中心線C1に関して対称に形成されており、その内部に長手方向の両端部を連通するエア通路が形成されている。このため、複数の非接触支持装置20をエア通路の延びる方向に連結した場合に、それぞれの非接触支持装置20に順次エアを流通させることができる。このエア通路にエアが供給されて長手方向に流通し、フィルム50及び多孔質板60にエアが供給される。多孔質板60とフィルム50とは重ねられた状態で配置されており、フィルム50を介して多孔質板60にエアが供給される。すなわち、フィルム50はエア通路から供給されるエアを透過させて表面から噴出させ、多孔質板60(支持板)はフィルム50の表面から噴出されるエアを透過させて表面から噴出させる。このようにして多孔質板60の表面にエアの膜が形成されて静圧が発生する。
より具体的には、多孔質板60は矩形板状に形成されており、本体30の長手方向において2つの多孔質板60が当接するように配置されている。このため、多孔質板60が長手方向において過度に長くなることが抑制される。多孔質板60は、アルミニウムの粉末を焼結により成型して形成されており、内部に多数の空孔を有している。ここで、本実施形態の多孔質板60は、フィルム50と重ねた状態で使用されるため、多孔質板のみを用いる従来の非接触支持装置と比較して通気抵抗が小さく形成されている。さらに、多孔質板60として、従来の非接触支持装置と比較して汎用的な多孔質板が用いられている。
フィルム50は、多孔質板60を長手方向に2つ並べた大きさに略等しい矩形状に形成されている。フィルム50と2つの多孔質板60とは略全体を重ね合わせた状態で配置されている。すなわち、フィルム50は、2つの多孔質板60の当接部でも連続しており、非接触支持装置20の全長にわたって形成されている。このため、2つの多孔質板60の隙間から他の部分よりも多くエアが噴出することを抑制することができる。フィルム50は、繊維状の組織により内部に多数の空孔を形成した多孔質フィルムが採用されている。このため、エア通路を通じて供給されたエアはフィルム50の表面全体から噴出されることとなり、フィルム50は非接触支持装置20の全長にわたって均一にエアを噴出させることができる。こうした多孔質フィルムとして、セルロース,ポリウレタン,ポリイミド等をそれぞれ原料とする多孔質フィルムを採用することができる。ここで、フィルム50は多孔質板60よりも通気抵抗が大きく形成されている。すなわち、本実施形態では、エアの圧力を調整する役割は主にフィルム50が果たしており、多孔質板60はフィルム50を固定する役割と平坦なエアの膜を形成する役割を果たしている。
多孔質板60には、その外周縁部に沿って所定ピッチでリベット孔61が形成されるとともに、短手方向の中央部において長手方向に沿って所定ピッチでリベット孔61が形成されている。2つの多孔質板60に重ねられたフィルム50にも、多孔質板60のリベット孔61に対応する位置にリベット孔が形成されている。そして、これらのリベット孔61にリベット71が打ち込まれて本体30にフィルム50及び多孔質板60が固定されている。リベット71は、板状のワークを多孔質板60の表面でエアにより非接触支持する際に支障をきたさないように、多孔質板60の表面よりも突出しないように打ち込まれている。
フィルム50の外周縁部において本体30と当接する部分はシール材によってシールされている。このため、エア通路を流通するエアがこれらの境界から漏れることが抑制され、エアはフィルム50を介して多孔質板60の表面から噴出される。また、1つの非接触支持装置20をユニットとして、複数のユニットが直列に連結されて互いに隣接するユニットのエア通路が連通されている場合には、多孔質板60の表面から噴出されなかったエアは隣接するユニットへと流通する。
非接触支持装置20は、中心線C1及び中心線C2に関してそれぞれ対称に形成されている。非接触支持装置20は、平面視において四隅にコーナブラケット41を備えており、長手方向の中央において短手方向の両端にセンタブラケット43を備えている。これらのブラケット41,43は、非接触支持装置20を搬送装置のフレームに固定する際に用いられるものであり、ねじを挿通するためのねじ孔41dがそれぞれ形成されている。また、これらのブラケット41,43は、ねじ49によって本体30に取付けられている。非接触支持装置20において本体30の長手方向の端部、すなわちエア通路の延びる方向の端部に設けられたコーナブラケット41において、エア通路の延びる方向に垂直な平面部41bにはねじ又はボルトを挿通するための貫通孔41eが形成されている。このため、複数のユニットを直列に連結して互いに隣接するユニットのエア通路を連通させる場合には、隣接するユニットのコーナブラケット41を対向させて配置し、互いの貫通孔41eの位置を合わせてねじ又はボルトにより締結することができる。なお、このように複数のユニットを連結させる場合には、本体30の長手方向に垂直な側面36において開口部36aの周囲にガスケット等のシール部材が設けられる。
図4,5を参照して、本体30の構成を詳細に説明する。なお、図4(a)は本体30の平面図であり、図4(b)は本体30の長手方向の側面図である。図5は、図4(a)の5−5線断面図である。
本体30は略溝形に形成されており、その長手方向に延びる開放部には短手方向の中心線C2方向に延びるフランジ31cが形成されている。また、その開放部において本体30の長手方向の両端部には長手方向の中心線C1の方向に延びるフランジ31bが形成されている。すなわち、これらのフランジ31b,31cによってフィルム50及び多孔質板60を固定するための矩形状の枠が形成されている。なお、本実施形態では、本体30が区画形成するエア通路にリングブロア(送風機)からのエアが供給される。このため、コンプレッサにより加圧されたエアが本体30に供給される場合と比較して、本体30の剛性を低くすることができる。
本体30には、短手方向の中央部において長手方向に延びてフィルム50を支持する中央支持部34が設けられている。このため、フィルム50の短手方向の中央部がたるんでバタつくことを抑制することができる。この中央支持部34は、略溝形に形成されており、長手方向に延びる開放部が本体30の底部31a側となるように配置されている。中央支持部34は、開放部において外側に延びるフランジ34bを有している。フランジ34bは、本体30の底部31aに固定されている。
フランジ31b,31c及び中央支持部34の底部34aは、それらの表面(フィルム50側の面)が同一平面上に位置するように配置されている。このため、フランジ31b,31c及び底部34aに当接するように配置されるフィルム50を多孔質板60によって均等に押圧することができる。すなわち、フィルム50は多孔質板60と本体30とによって挟み込まれており、本体30にはエア通路からフィルム50にエアを供給する開口が形成されている。これらのフランジ31b,31c及び底部34aには、上述したリベット孔61に対応する位置にリベット孔31hが形成されている。なお、本体30において上記ブラケット41,43を取付けるねじ49が挿通される部分には当て板45,46がそれぞれ設けられている。
図3を参照して非接触支持装置20の組み立て手順を説明する。なお、図3は図1(a)の3−3線断面における組立図である。
本体30のフランジ31b,31cにおいてリベット孔31hよりも外側の多孔質板60が配置される範囲にシール剤を塗布する。そして、フランジ31b,31c及び底部34aに接するようにフィルム50を配置する。このとき、フィルム50の短手方向の中央部が中央支持部34によって支持されるため、フィルム50のたるみを抑制することができる。
フィルム50に重ね合わせるように多孔質板60を配置する。このとき、本体30に形成されたリベット孔31hと多孔質板60に形成されたリベット孔61とをそれぞれ一致させる。なお、フィルム50に多孔質板60を重ね合わせる前に、フィルム50の外周縁部にシール剤を塗布してもよいが、フィルム50を透過したエアの大部分は多孔質板60を透過するように流通するため、これらの間のシール剤を省略することができる。
多孔質板60のそれぞれのリベット孔61を通じて針状の工具でフィルム50に孔をあける。このため、フィルム50に予め孔が形成されている場合と比較して、孔の位置を合わせる手間を省くことができるとともに、孔の位置がずれることを抑制することができる。
それぞれのリベット孔61,31hにリベット71を打ち込む。上記のようにフィルム50に下孔が形成されているため、リベット71を打ち込む際にフィルム50がずれることを抑制することができる。このようにして非接触支持装置20の組み立てが完了する。
図6は、ワークW(ガラス基板)を搬送する搬送装置15に非接触支持装置20を用いた場合の構成を示している。図6では、非接触支持装置20を直列に連結した搬送レールが3列平行に設置されている。各非接触支持装置20は、フレーム81,83に上記コーナブラケット41によって固定されており、フレーム82にセンタブラケット43によって固定されている。同列において隣接する非接触支持装置20は、フレーム83上においてコーナブラケット41に形成された貫通孔41eを用いて互いに連結され、それらの間は本体30の長手方向に垂直な側面36において開口部36aの周囲に設けられたガスケット等のシール部材によってシールされている。
連結された非接触支持装置20において端部に位置する非接触支持装置20には、端部ブラケット89を介して送風路88が接続されている。各列の送風路88にはリングブロアB(送風機)によってエアが供給される。このように送風路88から供給されるエアが端部ブラケット89を通じて、端部に位置する非接触支持装置20のエア通路に供給される。このため、1つの搬送レールに対して端部の非接触支持装置20にエアを供給することにより、その搬送レールの全ての非接触支持装置20にエアを供給することができる。なお、搬送レールにおいて端部ブラケット89が設けられる側と反対側の端部に位置する非接触支持装置20は、エアの流れに対して最も下流側となる側面36の開口部36aが閉塞されている。
こうして3列の搬送レールにおいて、それぞれの非接触支持装置20における多孔質板60の表面からエアが噴出されて静圧が発生する。この静圧によってワークWが浮上して非接触支持され、ワークWの搬送が行われる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
エアを供給するエア通路と、エア通路から供給されるエアを透過させて表面から噴出させるフィルム50とを備えるため、エア通路を通じて供給されたエアがフィルム50を透過して圧力が調整されてフィルム50の表面から噴出される。そして、フィルム50の表面から噴出されるエアを透過させて表面から噴出させる多孔質板60を備えるため、フィルム50の表面から噴出されたエアが多孔質板60を透過して再度圧力が調整されて多孔質板60の表面から噴出される。その結果、非接触支持装置20において、多孔質板60の表面から噴出されるエアの圧力をフィルム50及び多孔質板60によって調整することができるため、これらの組み合わせによってエアによる支持力を柔軟に調節することができる。
フィルム50は内部に多数の空孔を有する多孔質フィルムであるため、エア通路を通じて供給されたエアはフィルム50の表面全体から噴出されることとなる。その結果、フィルム50を透過するエアの圧力をより均一に調整することができるため、多孔質板60に要求される精度を低くすることができる。さらに、フィルム50は繊維状の組織により内部に多数の空孔を形成した多孔質フィルムであるため、化学的な製造方法により安定してフィルム50を製造することができる。その結果、フィルム50の特性を適切に調整して、非接触支持装置20のエアによる支持力を安定させることができる。
フィルム50と多孔質板60とを合計した通気抵抗は、これらのうち通気抵抗が大きい一方の影響をより強く受ける。このため、多孔質板60の表面から噴出されるエアの圧力や流量の安定性は、通気抵抗が大きい一方の精度によって左右される。
この点、本実施形態では、フィルム50は多孔質板60よりも通気抵抗が大きいため、フィルム50と多孔質板60とを合計した通気抵抗はフィルム50の影響をより強く受ける。その結果、多孔質板60に要求される精度を低くすることができるため、汎用的な多孔質板60を使用することが可能となる。
エアを噴出させて非接触でワークWを支持する支持板に多孔質板を採用した場合には、空孔の分布や空孔の大きさについて高い精度が要求され、多孔質板の特性を適切に調整することは容易ではない。このため、一般に多孔質板からなる支持板を採用する非接触支持装置において、工程の状況やワークの種類等に応じて支持力を柔軟に調節することは困難である。
この点、本実施形態では、エア通路から供給されるエアを透過させて表面から噴出させるフィルム50によってエアの圧力を調整することができる。このため、多孔質板60のみでエアの圧力を調整する必要がなく、多孔質板60を変更せずにフィルム50を変更することによってエアの圧力を調整することができる。その結果、表面全体からエアが噴出されるといった多孔質板60の特性を生かしつつ、非接触支持装置20のエアによる支持力を柔軟に調節することができる。
多孔質板の通気抵抗の変化に対して多孔質板の表面から噴出されるエアの圧力や流量は大きく変化し、特に多孔質板の通気抵抗が小さいほど通気抵抗の変化に対するエアの圧力や流量の変化が大きい。このため、多孔質板の表面から噴出されるエアの圧力を多孔質板のみによって調整する構成では、エアの圧力を適切に調整しつつ多孔質板の通気抵抗を小さくすることは困難である。したがって、エア通路へ供給するエアの圧力を低下させることができず、コンプレッサ等で加圧したエアをエア通路へ供給する必要がある。
この点、本実施形態では、エア通路から供給されるエアを透過させて表面から噴出させるフィルム50によってエアの圧力を調整することができる。このため、多孔質板60によってエアの圧力を正確に調整する必要性が低くなり、多孔質板60の通気抵抗を小さくすることができる。その結果、コンプレッサ等で加圧せずにリングブロア(送風機)によりエア通路へエアを供給したとしても、多孔質板60の表面から噴出されるエアの圧力を適切に調整することができる。そして、送風機によってエア通路へエアを供給する構成によれば、エアの流量を確保することが容易となるため、非接触支持装置20によって構成される搬送レールを複数並列に設置したり搬送レールの全長を延長したりする上で有利となる。さらに、エアの流量を多く確保することにより、ワークWの浮上高さを高くすることができる。その結果、多孔質板60に要求される平坦度を低くすることができるため、多孔質板60のコストを低減することができる。
特に、フィルム50は内部に多数の空孔を有する多孔質フィルムであり、エアを表面から噴出させる支持板は内部に多数の空孔を有する多孔質板60であるため、送風機によりエア通路へエアを供給する構成であったとしても、多孔質板60の表面から噴出されるエアの圧力を均一に調整することができる。
エア通路とフィルム50と多孔質板60とを有するユニット(非接触支持装置20)を複数備え、複数のユニットが直列に連結されて互いに隣接するユニットのエア通路が連通されているため、直列に連結された端部に位置するユニットのエア通路にエアを供給することにより、全てのユニットのエア通路に気体を供給することができる。その結果、連結するユニット数を変更することにより搬送レールの長さを調節することができるとともに、連結されたユニットの片側から一括してエアを供給することができる。
略溝形の本体30と矩形状の多孔質板60とで四角筒状のエア通路を区画形成しているため、エア通路の構成を簡素化することができる。
非接触支持装置20は、その内部に長手方向の両端部を連通するエア通路が形成されている。このため、非接触支持装置20をエア通路の延びる方向に連結した場合にそれぞれの非接触支持装置20に順次エアを流通させることができる。
フィルム50は、非接触支持装置20の全長にわたって形成されている。このため、2つの多孔質板60の隙間から他の部分よりもエアが多く噴出することを抑制することができるとともに、フィルム50によって非接触支持装置20の全長にわたって均一にエアを透過させて表面から噴出させることができる。
フィルム50は多孔質板60よりも通気抵抗が大きく形成されている。このため、エアの圧力を調整する役割は主にフィルム50が果たしており、多孔質板60はフィルム50を固定する役割と平坦なエアの膜を形成する平面の役割とを果たしている。すなわち、フィルム50のみでは、エアの圧力が印加されたときに形状を平面に維持することができないため、表面に平坦なエアの膜を形成することがでない。これに対して、フィルム50の外側に多孔質板60を設けることにより、フィルム50によりエアの圧力を調整するとともに、多孔質板60を介して平坦なエアの膜を形成することができる。
非接触支持装置20において本体30の長手方向の端部、すなわちエア通路の延びる方向の端部に設けられたコーナブラケット41において、エア通路の延びる方向に垂直な平面部41bにはねじ又はボルトを挿通するための貫通孔41eが形成されている。このため、複数のユニットを直列に連結して互いに隣接するユニットのエア通路を連通させる場合に、隣接するユニットのコーナブラケット41を対向させて配置し、互いの貫通孔41eの位置を合わせてねじ又はボルトにより締結することができる。さらに、このように複数のユニットを連結させる場合に、本体30の長手方向に垂直な側面36において開口部36aの周囲にガスケット等のシール部材が設けられるため、ユニットの連結部からのエアの漏れを抑制することができる。
本体30が区画形成するエア通路にはリングブロア(送風機)からのエアが供給される。このため、コンプレッサ等により加圧されたエアが本体30に供給される場合と比較して、本体30の剛性を低くすることができる。
非接触支持装置20の本体30には、短手方向の中央部において長手方向に延びてフィルム50を支持する中央支持部34が設けられている。このため、フィルム50の短手方向の中央部がたるんでバタつくことを抑制することができる。さらに、中央支持部34は、本体30の長手方向に延びているため、エア通路におけるエアの流通を阻害しない。また、中央支持部34をこうした形状にすることにより、押出し材等を使用することが可能となり、コストを低減することができる。
本体30のフランジ31b,31c及び中央支持部34の底部34aは、それらの表面(フィルム50側の面)が同一平面上に位置するように配置されている。このため、フランジ31b,31c及び底部34aに接するように配置されるフィルム50を多孔質板60によって均等に押圧することができる。その結果、これらの境界からエアが漏れることを抑制することができる。
上記実施形態に限定されず、以下のように非接触支持装置を実施することもできる。
上記実施形態では、多孔質板60やフィルム50を矩形状に形成したが、これらを正方形状等の他の形状に形成してもよい。また、多孔質板60の形状に応じて、非接触支持装置20によって構成される搬送レールの配置を適宜変更することもできる。
上記実施形態では、ワークWとしてガラス基板を例に挙げて説明したが、板状ワークであればガラス基板に限定されない。また、ワークWを水平に支持する構成に限らず、ワークWを傾斜させて支持する構成や垂直に支持する構成を採用することもできる。この場合には、ワークWの下端を支持するローラ等を設ければよい。
上記実施形態では、非接触支持装置20は内部に長手方向の両端部を連通するエア通路が形成されるようにしたが、一方の端部を閉塞してそれぞれの非接触支持装置20に独立してエアが供給されるようにすることもできる。
上記実施形態では、本体30と多孔質板60とでフィルム50を挟むようにしたが、本体30とフィルム50との間に、図7に示す中板55を設けるようにしてもよい、中板55は、平板状に形成され、多孔質板60の外周縁部に対応した枠部分56を有している。中板55は、本体30の中央支持部34に対応して枠部分56を長手方向に接続する長手方向接続部57と、枠部分56を短手方向に接続する複数の短手方向接続部58とを有している。これらの枠部分56,長手方向接続部57及び短手方向接続部58と多孔質板60とでフィルム50を挟むことにより、より確実にフィルム50を固定するとともにエアの漏れを抑制することができる。さらに、こうした複数の箇所でフィルム50を押圧することにより、フィルム50のたるみやエア供給時におけるフィルム50のバタつきを効果的に抑制することできる。なお、これらの枠部分56,長手方向接続部57及び短手方向接続部58には、多孔質板60のリベット孔61及び本体30のリベット孔31hに対応する位置にリベット孔55hが形成されている。
上記実施形態では、本体30と中央支持部34とを別体で形成するようにしたが、図8に示すように、これらを押出し材によって一体で形成することもできる。この一体の本体130では、板状に形成された底部131aにおいて短手方向の両端部から垂直にウェブ132が延び、短手方向の中央部から垂直にウェブ133が延びている。そして、ウェブ132の端部において底部131aに対して平行にフランジ131cが形成されており、ウェブ133の端部において底部131aに対して平行にフランジ134aが形成されている。これらのフランジ131c及びフランジ134aの表面は同一平面上に位置している。これらのフランジ131c,134aには、多孔質板に形成されたリベット孔に対応した位置に座部135が形成され、この座部135にリベット孔31hが形成されている。このような構成によれば、中央支持部34を本体30に固定する工程を省略することができるとともに、これらが一体に形成されることにより強度を高くすることができる。さらに、押出し材を使用しているため、コストを低減することができる。
上記実施形態では、リベット71によって多孔質板60及びフィルム50を本体30に固定するようにしたが、ねじ等の他の固定手段によりこれらを固定することもできる。特に、ねじにより多孔質板60及びフィルム50を固定する場合には、これらを取り外すことが容易となるため、多孔質板60とフィルム50との組み合わせを変更する作業の手間が軽減される。その結果、多孔質板60とフィルム50との組み合わせにより、非接触支持装置20のエアによる支持力を柔軟に変更することができるといった利点を更に生かすことができる。
上記実施形態では、非接触支持装置20にリングブロアB(送風機)によってエアを供給したが、コンプレッサ等によって加圧したエアを非接触支持装置20に供給することもできる。また、非接触支持装置20に供給される気体として、窒素等の他の気体を用いることもできる。
上記実施形態では、図6に示すように、3つの搬送レールにそれぞれ端部ブラケット89及び送風路88を接続したが、1つの端部ブラケットから全ての搬送レールにエアが供給されるようにすることもできる。この場合には、1つの端部ブラケットに1つの送風路88を接続する構成にすることにより、送風配管の構成を簡素化することができる。
複数の非接触支持装置20(ユニット)を直列に連結して端部に位置するユニットのエア通路へエアを供給する場合には、エアの流れに対して下流側に位置するユニットは上流側に位置するユニットよりも供給されるエアの圧力が低くなる。このため、下流側に位置するユニットは上流側に位置するユニットよりも、多孔質板60の表面から噴出するエアの圧力および流量が低下するおそれがある。
これに対して、複数のユニットにおいてエアの流れに対して下流側となるユニットのフィルムは上流側となるユニットのフィルムよりも通気抵抗が小さいといった構成を備えることにより、下流側のユニットは上流側のユニットよりもエアを噴出させ易くなる。その結果、上流側のユニットと下流側のユニットとで、噴出するエアの圧力および流量に差が生じることを抑制することができる。エアの流れに対して下流側となるユニットのフィルムほど上流側となるユニットのフィルムよりも通気抵抗が小さいといった構成を備えるようにしてもよい。これにより、エアを供給する部分からの距離に応じて噴出されるエアの圧力および流量を適切に調整することができる。
さらに、上流側のユニットと下流側のユニットとでフィルムの通気抵抗を変更することによってエアの圧力を調整することにより、上流側のユニットと下流側のユニットとで共通の多孔質板60を使用することができる。特に、多孔質板の特性を適切に調整することは容易ではないため、フィルムによって気体のエアを調整することは有利となる。
また、上記実施形態では、図6に示すように、直列に連結された複数のユニットにおいて端部に位置するユニットに端部ブラケット89を介して送風路88を接続したが、中間に位置するユニットに送風路を接続することもできる。この場合は、端部に位置するユニットに送風路88を接続する場合と比較して、送風路の接続されるユニットから端部のユニットまでの長さを短くすることができるため、このような構成によっても上流側のユニットと下流側のユニットとで、噴出するエアの圧力および流量に差が生じることを抑制することができる。
上記実施形態では、非接触支持装置20において気体を透過させて表面から噴出させる支持板として多孔質板60を採用したが、例えば複数の微細な貫通孔が形成された支持板等、多孔質板以外からなる支持板を採用することもできる。この場合も、気体通路から供給される気体を透過させて表面から噴出させるフィルム50として多孔質フィルムを採用することにより、フィルム50を透過する気体の圧力を均一に調整することができるため、支持板に要求される精度を低くすることができる。
上記実施形態では、フィルム50の通気抵抗が多孔質板60の通気抵抗よりも大きいようにしたが、フィルム50の通気抵抗が多孔質板60の通気抵抗以下となるようにしてもよい。この場合であっても、多孔質板のみによりエアの圧力を調整する構成と比較して、エアの圧力を幅広く調整することができる。
上記実施形態では、フィルム50として繊維状の組織により内部に多数の空孔を形成した多孔質フィルムを採用したが、その他の構造を有する多孔質フィルムを採用することもできる。また、多孔質フィルムに代えて、複数の微細な貫通孔が形成されたフィルム等を採用することもできる。この場合であっても、支持板との組み合わせにより気体の圧力および流量を調整して目的に合った支持力を発生させるようにすればよい。
上記実施形態では、フィルム50と多孔質板60とが接するように配置したが、これらが接しないように配置することもできる。要するに、気体通路から供給される気体を透過させて表面から噴出させるフィルムと、フィルムの表面から噴出される気体を透過させて表面から噴出させる支持板とを備える構成であればよい。
上記実施形態では、フィルム50と多孔質板60とをそれぞれ1つ重ねるように配置したが、複数のフィルムと1つの多孔質板との組み合わせや、1つのフィルムと複数の多孔質板との組み合わせ等を採用することもできる。特に、複数のフィルムを用いる構成によれば、非接触支持装置の支持力をより柔軟に調節することができる。