JP3892974B2 - 積層型の物体浮揚装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、物体を流体によって浮揚させつつ搬送できる物体浮揚装置に関し、特に、浮揚高さを小さく、しかし、浮揚力を大きくできる積層型の物体浮揚装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、物体、例えばフィルム状物等をエアなどの流体によって浮揚させつつ搬送できる物体浮揚装置は種々ある。
この種の装置で、例えば、本出願人に係る特開平8−245028において開示されているフィルム浮揚方向転換装置の一つには、「フィルム等を搬送するフィルム搬送面に多数の気体噴出孔を有し、横長の中空体を形成してなり、両軸端を装置本体に固着し、少なくとも一方の軸端の中空体内に圧縮流体を供給する供給管を接続し、前記フィルム搬送面の気体噴出孔からエアを吹き出し、非接触状態でフィルムを搬送する装置で、前記フィルム搬送面の、前記フィルムの搬送方向を変更する方向転換部分に配置される方向転換部材は、その断面形状が半楕円、楕円弧または半円、円弧面の隅角状で、かつ搬送方向の上流部側表面と下流部側表面がフィルム搬送方向と略平行な直線面で形成され、前記両軸端に固定されたフランジ間に多数の気体噴出孔を有した薄板を張設してなる」ものがある。かかる方向転換部材の製作に使用される薄板には種々の材質のものがあり、そのうち金属板を使用する場合は、気体噴出孔がパンチングされた、例えば隅角状を形成する半円形の鋼板と直線面を形成する平面状の鋼板とを溶接などして製作される。また、金属板に代えて多孔質焼結金属や多孔質プラスチックを使用して製作される場合もある。
【0003】
更に、他のフィルム浮揚方向転換装置には、「フィルム等を搬送するフィルム搬送面に多数の気体噴出孔を有し、横長の中空体を形成してなり、両軸端を装置本体に固着し、少なくとも一方の軸端の中空体内に圧縮流体を供給する供給管を接続し、前記フィルム搬送面の気体噴出孔からエアを吹き出し、非接触状態でフィルムを搬送する装置で、前記フィルム搬送面の、前記フィルムの搬送方向を変更する方向転換部分に配置される方向転換部材は、その断面形状が半楕円、楕円弧または半円、円弧面の隅角状で、かつ搬送方向の上流部側表面と下流部側表面がフィルム搬送方向と略平行な直線面で形成され、前記搬送フィルムの幅方向に延設した前記中空体の中心軸に平行な通気スリットで、押出し成形加工によるもので形成されてなる」ものがある。かかる方向転換部材の製作は、押出し成形による一体成形加工でなされ、上述したような溶接など使用することなく所望の形状の方向転換部材を得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来装置において、金属板にパンチングして気体噴出孔を穿設する場合、最小となる当該孔径はその板厚にほぼ等しい大きさが限度で、これ以上小さい孔径であると、パンチングの際パンチ工具が折損してしまうために、極めて小さな孔径を得ることが困難であった。したがって、このような孔径に相当する気体噴出孔を得るためには、即ち、所要の開孔率を得るためには、方向転換部材に紐状物を巻回して孔径を絞ることで対応していた。更に、方向転換部材の製作の際に上述した溶接などを使用すると、その溶接箇所の継ぎ目からは、気体を噴出させることができなくなるという不具合がある。
また、金属板に代えて多孔質焼結金属や多孔質プラスチックを使用する場合、小型の方向転換部材は容易に製作できるが、大型のものは製作が困難であり、これに加えて、多孔質焼結金属の場合には、製作コストが高価で、上述した溶接などに伴う不具合があり、多孔質プラスチックの場合には、強度不足で限られた用途にしか使用できないという不具合がある。
更に、方向転換部材を一体成形加工で製作する場合、成形加工のための金型にコストを要し、とりわけ、大型のものは高価になることに加え、所要の製作精度を得ることが困難になるという不具合がある。
【0005】
本発明の目的は、大型のものでも安価に、且つ、簡便に製作できる積層型の物体浮揚装置を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記目的に加え、気体噴出孔の開孔率を自在に、且つ簡単に調整することができる積層型の物体浮揚装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る積層型の物体浮揚装置は、物体をエアなどの流体によって浮揚させつつ搬送するもので、外部から供給される流体の通路である第1流体孔を備えた複数の薄板で積層面を形成し、その積層面の近傍に流体による搬送面が形成され、これら薄板間には第1流体孔から搬送面に向かい、且つ、これら薄板の側面間に沿って形成される流体の流路が、開孔率を3%以下にして、好ましくは1%以下にして形成されるようにしたものである。本装置は、プレス加工や押出し成形、鍛造等で加工された薄板を積層するだけで簡便に製作でき、しかも、大型化しても安価に製作できる。
また、これら薄板間に形成される流路、換言すれば隙間の選定によって、開孔率を3%以下にすることができ、好ましくは1%以下にするのがよい。このような開孔率の下では、積層面からの物体の浮揚高さを極めて小さくできる一方、浮揚力を十分大きくすることができることは、基本的な流体力学則から容易に導ける。したがって、上記開孔率を得るために、従来のような紐状物を巻回する必要はない。
ここで、開孔率とは、
開孔率=(搬送面に対向する全流路面積/搬送面積)x100
を言う。ここで、搬送面積=搬送面に対向する全流路面積+搬送面に対向する全積層薄板の板厚方向の面積、であるから、流路の選定のみならず、薄板の厚さの選定にも考慮する必要があることは言うまでもない。
【0008】
また、本発明の請求項2に係る積層型の物体浮揚装置は、外部から供給される流体の通路である第1流体孔を備えた複数の薄板で積層面を形成し、その積層面の近傍に流体による搬送面を形成する一方、これら薄板間には第1流体孔から搬送面に向かう流体の流路を形成することは、請求項1に係る装置と同様であるが、これに加えて、これら薄板が一体となって回転可能に所定回転軸に取り付けられるものである。粘着テープのような物体を搬送する場合、これら薄板に回転を与えて物体の搬送速度に同期させると、物体が積層面に付着した際に、これを容易に離隔させることができ、物体の品質劣化を防止できる。
【0009】
また、本発明の請求項3及び4に係る積層型の物体浮揚装置は、上述した流体の流路が、薄板間にスペーサを介装する場合には、スペーサの厚みによって形成される薄板間の隙間であり、薄板に所要接着剤が塗布される場合には、接着剤の厚みで形成される薄板間の隙間であり、したがって、金属やプラスチック製のシムなどのスペーサ、又はエポキシやシリコンなどの接着剤の厚みを調整することで、上記の最適な開孔率を極めて容易に得ることができる。接着剤で調整する場合にも、所謂シルク印刷等を用いるので、正確な厚み調整をすることができる。
ところで、このような開孔率に対応する上記厚みとしては、およそ0.01〜0.03mmが好ましい。
【0010】
また、本発明の請求項5に係る積層型の物体浮揚装置は、流体の流路が薄板自体にプレス加工やエッチング加工等で形成されている場合に、このような薄板を積層するだけで形成される薄板間の隙間であり、薄板に施される溝形状によって任意の流路を得ることができる。したがって、溝形状を調整することで、上記の最適な開孔率を極めて容易に得ることができる。
【0011】
また、本発明の請求項6に係る積層型の物体浮揚装置は、薄板の適宜なところに、前記流体の圧縮供給によって生ずる温度上昇を抑えるための冷媒通路を配設しているもので、これにより、当該装置、とりわけ、薄板や上記シム等の温度上昇による熱変形のために流体の漏れが生じて、上記最適な開孔率で運転できなくなるのを防止できるのは言うに及ばず、搬送される物体がその熱影響で品質劣化するのを防止でき、また、当該装置で作業する者が火傷するのを防止できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態に係る積層型の物体浮揚装置を図1〜3を参照して説明する。
本装置1は、物体浮揚装置のうち搬送方向転換装置であり、図1に示すように、複数の薄板2をそれら両側に配設されたフランジ3で挟持するとともに、これらを締付用長ネジ4a,4bによって固着させ、薄板2を積層して形成される積層面(これら薄板2の半円外周部及びそれに連設する直線部)Hの近傍に位置する流体搬送面に沿って、例えばフィルム状物(物体)6を浮揚させて、図3のように矢印A1からA2方向に搬送することができるものである。そして、これらフランジ3の中心部に穿設された貫通孔3aには、圧縮エア(流体)の供給管5がそれぞれ連結されており、また、その下底に設けられたテーパネジ孔3bには、冷媒の供給管または排出管(図示せず)が連結されるようになっており、このテーパネジ孔3bの下部側方から積層薄板2の下記貫通孔10に向かって通路3cがそれぞれ穿設されている。尚、場合によっては当該供給管5の一方を盲蓋して使用しないようにしてもよい。
【0013】
ところで、薄板2は、図2のような形状をした鋼板で、プレス打ち抜きや押し出し成形等によって製作されるものであり、その中央部には上記供給管5に連通する圧縮エアの通路としての貫通孔(第1流体孔)7が、また、その上部及び左右下部には上記長ネジ4a,4bが挿入される貫通孔8及び9が、更に、左右の貫通孔8の間に上記通路3cに連通する冷媒の通路としての貫通孔10がそれぞれ穿設されている。
そして、この薄板2の一方の側面(場合により、両側面でも可)にエポキシやシリコンなどの接着剤11を、図3のように、シルク印刷の技法を用いて塗布する。即ち、当該側面の貫通孔8や10の周り及び貫通孔9の周りに、およそ0.01〜0.03mmの厚さで接着剤11を塗布する。しかる後、このような薄板2を積層すると、その積層面Hの各薄板2の間には貫通孔7から搬送面に向かう、即ちフィルム状物6に向かう上記エアの流路(同図3の矢印Pで表す)が当該薄板2の側面に形成されることになる。したがって、本装置は、プレス加工等された薄板2に接着剤11を塗布して積層するだけで所望の流路Pが形成されるので、簡便に製作でき、しかも、大型化しても安価に製作できる。また、接着剤11の厚みを正確に調整できるので、所望の上記開孔率に対応した通路Pを得ることができる。本実施の形態では接着剤11を塗布して流路Pを形成する場合について説明したが、シムを用いてもよいことはもちろんである。
【0014】
ところで、流路Pは、薄板2自体にプレス加工やエッチング加工等で形成されているものであってもよい。
この種の例としては、図4の薄板12は、貫通孔7から放射状に溝12aを設けたもので、プレス加工やエッチング加工等で容易に製作できる。このような薄板12を積層すると、その積層面Jの各薄板12の間には貫通孔7からフィルム状物6に向かう上記エアの流路Paが形成され、したがって、当該溝形状の選定により、上記薄板2の場合と同様に、所望の上記開孔率に対応した流路Paを得ることができる。
また、図5の薄板13は、その側面の部位13a(図中の斜線部)の厚さを他の部位13bより薄く成形したもので、上述した図3の流路Pと類似の流路Pbが形成される。このような薄板13は、上記プレス加工やエッチング加工等で容易に製作できる。また、斜線部位の選定により、その積層面Kの各薄板13の間に所望の上記開孔率に対応した流路Pbを得ることができる。
尚、図4及び5において、図2の構成要素と同一のものには同一番号を付すとともに、その説明は割愛する。
【0015】
本装置1によるフィルム状物6の搬送動作を説明する。両方の供給管5から圧縮エアが供給され、上記貫通孔7で形成される通路に当該エアが充填されると、通路内は、速やかにほぼ所定の高圧力状態に達する。しかるに、流路Pは極めて狭く、したがって、当該流路Pでの流速は大きいが、搬送面積が当該流路Pの断面積に比べ極めて大きいので、搬送面に流出した途端に流速が微速になる一方、積層面Hの極近傍は上記通路内の圧力にほぼ等しく、したがって、積層面Hに沿って浮揚高さを極めて小さく、しかし、積層面Hの近傍に位置する搬送面に沿ってフィルム状物6を浮揚させる圧力を、十分大きくできる。しかも、かかる浮揚力は、圧縮エアの供給圧力に従って大きくできるので、フィルム状物6に限らずある程度の重量物をも搬送できる。更に、本装置1のように、冷媒が供給される構造であると、薄板2や接着剤11の劣化のみならず、フィルム状物6の熱による品質劣化を防止でき、また、当該装置1で作業する者が火傷するのを防止できる。
【0016】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る積層型の物体浮揚装置を図面6〜10を参照して説明する。
本装置20は、フィルム状物6を水平を保持しつつ一定方向に搬送する装置であり、図6に示すように、複数の薄板21をそれら両側に配設されたフランジ22a,22bで挟持するとともに、これらを締付用長ネジ23によって固着させ、薄板21を積層して形成される積層面(これら薄板21の端部21a)Mの近傍に位置する流体搬送面に沿って、フィルム状物6を浮揚させて矢印B方向(図10)に搬送することができるものである。そして、フランジ22aの一方に穿設された貫通孔(図示せず)には、圧縮エア(流体)の供給管24及び圧縮エアの吸引管25がそれぞれ連結されている。
尚、場合によっては他方のフランジ22bにも上記供給管24及び吸引管25を連結して上記エアの供給・吸引を行うようにしてもよい。
【0017】
ところで、薄板21は、図7のような長方形状をした鋼板で、プレス打ち抜きや押し出し成形等によって製作され、その長手方向には上記供給管24及び吸引管25に連通する圧縮エアの供給通路及び吸引通路としての貫通孔(第1流体孔)26及び貫通孔(第2流体孔)27が、また、この貫通孔26及び27をそれぞれ隔てて上記長ネジ23が挿入される貫通孔28が穿設されている。
そして、このような薄板21には、図8のような態様にエポキシやシリコンなどの接着剤11が塗布され、また、図9のような態様に同種の接着剤11が塗布されている。
即ち、図8の薄板21に対しは、その一方の側面に接着剤11をシルク印刷の技法を用いて、貫通孔26の円周を取り囲むようにおよそ0.01〜1.0mmの厚さで塗布する一方、貫通孔27については、その円周の一部位に接着剤11が塗布されないように、また、この部位に連続し、長手方向に延びる端部21aに接着剤11が塗布されないようにする。これに対して図9の薄板21では、その一方の側面に接着剤11を貫通孔27の円周を取り囲むように上記厚さで塗布する一方、貫通孔26については、その円周の一部位に接着剤11が塗布されないように、また、この部位に連続し、長手方向に延びる端部21aに接着剤11が塗布されないようにする。
【0018】
このような図8の薄板21と図9の薄板21とを交互に積層すると、これらで形成される積層面Mの各薄板21の間には、後述する図10に示すような、物体6を浮揚する流れvと物体6を吸引する流れwに基づく流路Q及びRが形成され、しかも、一方の薄板21に形成される流路Qと、他方の薄板21に形成される流路Rとは、交叉しないように形成される。
このように接着剤11を塗り分けた薄板21を用いて本装置20を製作する場合もまた、プレス加工等された薄板21につき図8及び図9の態様で接着剤11を塗布し積層するだけで簡便に製作でき、しかも、大型化しても安価に製作できる。また、接着剤11の厚みを正確に調整できるので、所望の上記開孔率に対応した流路Q,Rを得ることができる。本実施の形態では接着剤11を塗布して流路Q,Rを形成する場合について説明したが、シムを用いてもよいことはもちろん、薄板21自体にプレス加工やエッチング加工等で形成されているものであってもよい。
【0019】
本装置20によるフィルム状物6の搬送動作を図8〜10を参照しつつ説明する。
尚、図10は、積層薄板21の拡大正面図で、図8及び図9の薄板21による浮揚動作の説明をするために、この薄板21に形成される流路を示すものである。
供給管24から圧縮エアを供給するとともに、吸引管25から圧縮エアを吸引し、上記貫通孔26で形成される供給通路及び上記貫通孔27で形成される吸引通路に当該エアの流れを生ぜしめると、このエアの、図8の薄板21の流路Qにおけるフィルム状物6を浮揚する流れvとフィルム状物6を吸引する流れwでは、エアは、当該薄板21の貫通孔26から吐出しフィルム状物6に当接して反転した後、当該薄板21に隣接する、供給管4側に位置した薄板21の貫通孔27に吸引され、また、図9の薄板21の流路Rにおけるフィルム状物6を浮揚する流れvとフィルム状物6を吸引する流れwでは、エアは、当該薄板21に隣接する薄板21の貫通孔26から吐出しフィルム状物6に当接して反転した後、当該薄板21の貫通孔27に吸引される。即ち、搬送面に対し垂直に流路QとRが交互に形成されるので、フィルム状物6を浮揚させて搬送できる。しかも、薄板21の厚さ及び流路Q,Rで形成される隙間を適宜選定し、供給圧力及び吸引圧力を調節することにより、積層面Mからの物体の浮揚高さを極めて小さくする一方、積層面Mの近傍に位置する搬送面に沿って浮揚力を大きくできる。
ところで、本実施の形態では、積層面M上にフィルム状物6を浮揚させて搬送する装置20について説明したが、搬送面が積層面Mより下方にある場合にフィルム状物6を吸引しつつ逆さまにして搬送することができる装置、或いは、上記第1の実施の形態で説明した搬送方向を転換するような装置にも使用できることは言うまでもない。
【0020】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る積層型の物体浮揚装置を図面11〜13を参照して説明する。
本装置30は、第1の実施の形態に係る装置と同様だが、回転可能な搬送方向転換装置であり、図11に示すように、複数の薄板31をそれら両側に配設されたフランジ32で挟持するとともに、これらを締付用長ネジ33によって固着させ、円形薄板31を積層して形成される積層面(これら薄板31の外周部)Nの近傍に位置する流体搬送面に沿ってフィルム状物6を浮揚させて、図13のように矢印C1からC2方向に搬送することができるものである。そして、このフランジ32の中心部に穿設された貫通孔32aには、圧縮エア(流体)の供給管34がそれぞれ連結されており、この供給管34は軸受によって回転可能に支持されている。
尚、本実施の形態では、供給管34の一方を盲蓋して使用しないようにしているが、両方の供給管34から圧縮エアが供給されるようにしてもよい。
【0021】
ところで、薄板31は、上述のように円形状をした鋼板で、プレス打ち抜きや押し出し成形等によって製作されるものであり、その中央部には上記供給管34に連通する圧縮エアの通路としての貫通孔(第1流体孔)35が、また、この貫通孔35の円周に上記長ネジ33が挿入される貫通孔36がそれぞれ穿設されている。
そして、この薄板31の一方の側面(場合により両側面も可)にエポキシやシリコンなどの接着剤11を、図13のように、シルク印刷の技法を用いて、貫通孔36の周りに、およそ0.01〜0.03mmの厚さで塗布する。しかる後、このような薄板31を積層すると、その積層面Nの各薄板31の間には貫通孔35から搬送面に向かう、即ち、フィルム状物6に向かう上記エアの流路(図13に矢印Sで表す)が当該薄板31の両側面31aに沿って放射状に形成されることになる。したがって、本装置もまた、プレス加工等された薄板に接着剤11を塗布して積層するだけで簡便に製作でき、しかも、大型化しても安価に製作できる。また、接着剤11の厚みを正確に調整できるので、所望の上記開孔率に対応した通路Sを得ることができる。本実施の形態では接着剤11を塗布して流路Sを形成する場合について説明したが、シムを用いてもよいことはもちろん、薄板31自体にプレス加工やエッチング加工等で形成されているものであってもよい。
【0022】
本装置30によるフィルム状物6の搬送動作を説明する。供給管34から圧縮エアが供給され、上記貫通孔35で形成される通路に当該エアが充填されると、通路内は、速やかにほぼ一定の高圧力状態に達する。しかるに、流路Sは極めて狭く、したがって、当該流路Sでの流速は大きいが、搬送面積が当該流路Sの断面積に比べ極めて大きいので、搬送面に流出した途端に流速が微速になる一方、積層面Nの極近傍は上記通路内の圧力にほぼ等しく、したがって、積層面Nに沿って浮揚高さを極めて小さくする一方、積層面Nの近傍に位置する搬送面に沿って浮揚力を十分大きくできる。
一方、薄板31は、圧縮エアが供給されている間は回転しており、粘着テープのようなフィルム状物6を搬送する際、この回転速度をフィルム状物6の搬送速度に同期させると、フィルム状物6が搬送面に付着したようなときには、容易にフィルム状物6を離隔させることができるので、フィルム状物6の品質劣化を防止できる。
【0023】
【発明の効果】
本発明の積層型の物体浮揚装置によれば、大型のものでも安価に、且つ、簡便に製作できる。
また、本発明の積層型の物体浮揚装置によれば、上記効果に加え、気体噴出孔の開孔率を自在に、且つ簡単に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態に係る積層型の物体浮揚装置の正面図である。
【図2】 図1の薄板の側面図である。
【図3】 接着剤が塗布された図2の薄板による浮揚動作の説明図である。
【図4】 他の薄板の側面図である。
【図5】 他の薄板の側面図である。
【図6】 第2の実施の形態に係る積層型の物体浮揚装置の平面図である。
【図7】 図6の薄板の側面図である。
【図8】 接着剤が塗布された図7の薄板の側面図である。
【図9】 図8とは異なる態様で塗布された図7の薄板の側面図である。
【図10】図8及び図9の薄板による浮揚動作の説明図である。
【図11】第3の実施の形態に係る積層型の物体浮揚装置の正面図である。
【図12】図11の薄板の側面図である。
【図13】接着剤が塗布された図12の薄板による浮揚動作の説明図である。
【符号の説明】
1,20,30 物体浮揚装置
2,12,13,21,31 薄板
6 フィルム状物(物体)
7,26,35 貫通孔(第1流体孔)
10 貫通孔(冷媒通路)
11 接着剤又はシム
27 貫通孔(第2流体孔)
34 供給管(回転軸)
H,J,K,M,N 積層面
P,Q,R,S,Pa,Pb エア(流体)の流路
Claims (6)
- 物体を流体によって浮揚させつつ搬送する物体浮揚装置であって、外部から供給される前記流体の通路である第1流体孔を備えた複数の薄板によって積層面を形成し、該積層面の近傍に前記流体の搬送面が形成されるとともに、前記薄板間には前記第1流体孔から前記搬送面に向かい、且つ、これら薄板の側面間に沿って形成される前記流体の流路が、開孔率を3%以下にして、好ましくは1%以下にして形成されてなることを特徴とする積層型の物体浮揚装置。
- 前記薄板は、一体となって回転可能に所定回転軸に取り付けられてなることを特徴とする請求項1に記載の積層型の物体浮揚装置。
- 前記流体の流路は、前記薄板間にスペーサを介装する場合に、これら薄板と前記スペーサによって形成される隙間であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層型の物体浮揚装置。
- 前記流体の流路は、前記薄板に所要接着剤が塗布される場合に、前記接着剤の厚みで形成される前記薄板間の隙間であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層型の物体浮揚装置。
- 前記流体の流路は、該流路が前記薄板自体に予め形成されている場合に、当該薄板を積層するだけで形成される前記薄板間の隙間であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層型の物体浮揚装置。
- 前記薄板には、前記流体の圧縮供給によって生ずる温度上昇を抑えるための冷媒通路が配設されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層型の物体浮揚装置。
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