JP5123480B2 - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5123480B2 JP5123480B2 JP2005318317A JP2005318317A JP5123480B2 JP 5123480 B2 JP5123480 B2 JP 5123480B2 JP 2005318317 A JP2005318317 A JP 2005318317A JP 2005318317 A JP2005318317 A JP 2005318317A JP 5123480 B2 JP5123480 B2 JP 5123480B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- carbon atoms
- polycarbonate resin
- component
- aromatic polycarbonate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Description
(A成分:芳香族ポリカーボネート樹脂)
本発明でA成分として使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応方法の一例として界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
例えば、2価フェノール成分の一部又は全部として、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称することがある)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下“Bis−TMC”と略称することがある)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン及び9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)を用いたポリカーボネ−ト(単独重合体又は共重合体)は、吸水による寸法変化や形態安定性の要求が特に厳しい用途に適当である。これらのBPA以外の2価フェノールは、該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分全体の5モル%以上、特に10モル%以上、使用するのが好ましい。
(1)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBCFが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(2)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPAが10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、かつBCFが5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート。
(3)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBis−TMCが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
これらの特殊なポリカーボネートの製法及び特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報及び特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。
(i)吸水率が0.05〜0.15%、好ましくは0.06〜0.13%であり、かつTgが120〜180℃であるポリカーボネート、あるいは
(ii)Tgが160〜250℃、好ましくは170〜230℃であり、かつ吸水率が0.10〜0.30%、好ましくは0.13〜0.30%、より好ましくは0.14〜0.27%であるポリカーボネート。
前記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重合法によって芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤などを使用してもよい。また本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂、芳香族または脂肪族(脂環式を含む)の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂、二官能性アルコール(脂環式を含む)を共重合した共重合ポリカーボネート樹脂、並びにかかる二官能性カルボン酸および二官能性アルコールを共に共重合したポリエステルカーボネート樹脂を含む。また、得られた芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
さらにポリオルガノシロキサン単位を共重合した、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の使用も可能である。
有機溶媒としては例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素が用いられる。
反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間、反応中のpHは通常10以上に保つのが好ましい。
前記以外の反応形式の詳細についても、各種の文献および特許公報などで良く知られている。
粘度平均分子量が10,000未満の芳香族ポリカーボネート樹脂では、良好な機械的特性が得られない。一方、粘度平均分子量が50,000を超える芳香族ポリカーボネート樹脂から得られる樹脂組成物は、射出成形時の流動性に劣る点で汎用性に劣る。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mを算出する。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
本発明でB成分として使用される黒鉛は、鉱物名で石墨とされる天然黒鉛、または各種の人造黒鉛のいずれも利用することができる。天然黒鉛としては、土状黒鉛、鱗状黒鉛(塊状黒鉛とも称されるVein Graphite)および鱗片状黒鉛(Flake Graphite)のいずれを利用することもできる。また人造黒鉛は、無定形炭素を熱処理し不規則な配列の微小黒鉛結晶の配向を人工的に行わせたものであり、一般炭素材料に使用される人造黒鉛の他、キッシュ黒鉛、分解黒鉛、および熱分解黒鉛などを含む。一般炭素材料に使用される人造黒鉛は、通常石油コークスや石炭系ピッチコークスを主原料として黒鉛化処理により製造される。
また黒鉛の表面は、本発明の組成物の特性を損なわない限りにおいて熱可塑性樹脂との親和性を増すために、表面処理、例えばエポキシ処理、ウレタン処理、シランカップリング処理、および酸化処理等が施されていてもよい。B成分の配合量は、A成分とB成分の合計100重量部を基準として10〜40重量部、好ましくは10〜35量部、更に好ましくは10〜30重量部である。10重量部未満では良好な帯電防止性や剛性が得られにくく、40重量部を超えると熱安定性が低下するようになる。
本発明のC成分としてのシラン化合物は、好ましくは下記式(1)で示されるシラン化合物である。
C成分の配合量は、A成分とB成分の合計100重量部を基準として0.001〜5重量部、好ましくは0.005〜3重量部、より好ましくは0.01〜3重量部である。
(i)離型剤
本発明の難燃性樹脂組成物は離型剤を含有することができる。離型剤としては、例えば、飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックス、1−アルケン重合体など。酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、シリコーン化合物、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などが例示される。かかる離型剤の配合量は100重量部のA成分を基準として好ましくは0.005〜2重量部、より好ましくは0.01〜0.8重量部である。
離型剤の含有量は、100重量部のA成分を基準として、0.005〜3重量部、好ましくは0.01〜1重量部である。
本発明の難燃性樹脂組成物は、良好な耐光性を要求される場合があり、かかる場合に紫外線吸収剤の配合が効果的である。
紫外線吸収剤としては、具体的にはベンゾフェノン系では、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどが例示される。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、難燃剤として知られる各種の化合物が配合されてよい。尚、難燃剤として使用される化合物の配合は難燃性の向上のみならず、各化合物の性質に基づき、例えば帯電防止性、流動性、剛性、および熱安定性の向上などがもたらされる。
有機金属塩系難燃剤は、耐熱性がほぼ維持されると共に少なからず帯電防止性を付与できる点で有利である。本発明において最も有利に使用される有機金属塩系難燃剤は、含フッ素有機金属塩化合物である。本発明の含フッ素有機金属塩化合物とは、フッ素置換された炭化水素基を有する有機酸からなるアニオン成分と金属イオンからなるカチオン成分からなる金属塩化合物をいう。より好適な具体例としては、フッ素置換有機スルホン酸の金属塩、フッ素置換有機硫酸エステルの金属塩、およびフッ素置換有機リン酸エステルの金属塩が例示される。含フッ素有機金属塩化合物は1種もしくは2種以上を混合して使用することができる。その中でも好ましいのはフッ素置換有機スルホン酸の金属塩であり、とくに好ましいのはパーフルオロアルキル基を有するスルホン酸の金属塩である。ここでパーフルオロアルキル基の炭素数は、1〜18の範囲が好ましく、1〜10の範囲がより好ましく、更に好ましくは1〜8の範囲である。
本発明のシリコーン系難燃剤として使用されるシリコーン化合物は、燃焼時の化学反応によって難燃性を向上させるものである。該化合物としては従来芳香族ポリカーボネート樹脂の難燃剤として提案された各種の化合物を使用することができる。シリコーン化合物はその燃焼時にそれ自体が結合してまたは樹脂に由来する成分と結合してストラクチャーを形成することにより、または該ストラクチャー形成時の還元反応により、ポリカーボネート樹脂に難燃効果を付与するものと考えられている。したがってかかる反応における活性の高い基を含んでいることが好ましく、より具体的にはアルコキシ基およびハイドロジェン(即ちSi−H基)から選択された少なくとも1種の基を所定量含んでいることが好ましい。かかる基(アルコキシ基、Si−H基)の含有割合としては、0.1〜1.2mol/100gの範囲が好ましく、0.12〜1mol/100gの範囲がより好ましく、0.15〜0.6mol/100gの範囲が更に好ましい。かかる割合はアルカリ分解法より、シリコーン化合物の単位重量当たりに発生した水素またはアルコールの量を測定することにより求められる。尚、アルコキシ基は炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基が好適である。
M単位:(CH3)3SiO1/2、H(CH3)2SiO1/2、H2(CH3)SiO1/2、(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2、(CH3)2(C6H5)SiO1/2、(CH3)(C6H5)(CH2=CH)SiO1/2等の1官能性シロキサン単位、
D単位:(CH3)2SiO、H(CH3)SiO、H2SiO、H(C6H5)SiO、(CH3)(CH2=CH)SiO、(C6H5)2SiO等の2官能性シロキサン単位、
T単位:(CH3)SiO3/2、(C3H7)SiO3/2、HSiO3/2、(CH2=CH)SiO3/2、(C6H5)SiO3/2等の3官能性シロキサン単位、
Q単位:SiO2で示される4官能性シロキサン単位である。
またm、n、p、qのいずれかが2以上の数値である場合、その係数の付いたシロキサン単位は、結合する水素原子や有機残基が異なる2種以上のシロキサン単位とすることができる。
本発明のハロゲン系難燃剤としては、臭素化ポリカーボネート(オリゴマーを含む)が特に好適である。臭素化ポリカーボネートは耐熱性に優れ、かつ大幅に難燃性を向上できる。本発明で使用する臭素化ポリカーボネートは、下記一般式(l2)で表される構成単位が全構成単位の少なくとも60モル%、好ましくは少なくとも80モル%であり、特に好ましくは実質的に下記一般式(l2)で表される構成単位からなる臭素化ポリカーボネート化合物である。
臭素化ポリカーボネートは、残存するクロロホーメート基末端が少なく、末端塩素量が0.3ppm以下であることが好ましく、より好ましくは0.2ppm以下である。かかる末端塩素量は、試料を塩化メチレンに溶解し、4−(p−ニトロベンジル)ピリジンを加えて末端塩素(末端クロロホーメート)と反応させ、これを紫外可視分光光度計(日立製作所製U−3200)により測定して求めることができる。末端塩素量が0.3ppm以下であると、ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性がより良好となり、更に高温の成形が可能となり、その結果成形加工性により優れたポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
かかるハロゲン系難燃剤を配合する場合その含有量は、A成分とB成分の合計100重量部を基準として0.1〜30重量部であり、より好ましくは1〜20重量部、更に好ましくは1〜18重量部である。
本発明の難燃性樹脂組成物には、本発明の効果を発揮する範囲において、強化フィラーとしてB成分以外の各種充填材を配合することができる。例えば、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスミルドファイバー、ガラスフレーク、炭素繊維、カーボンビーズ、カーボンミルドファイバー、気相成長法極細炭素繊維(繊維径が0.1μm以上)、カーボンナノチューブ(繊維径が0.1μm未満であり、中空状)、フラーレン、金属フレーク、金属繊維、金属コートガラス繊維、金属コート炭素繊維、金属コートガラスフレーク、シリカ、金属酸化物粒子、金属酸化物繊維、金属酸化物バルーン、並びに各種ウイスカー(チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、および塩基性硫酸マグネシウムなど)などが例示される。これらの強化フィラーは1種もしくは2種以上を併用して含むものであってもよい。
かかる添加剤としては、摺動剤(例えばPTFE粒子)、着色剤(例えばカーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、染料)、蛍光染料、無機系蛍光体(例えばアルミン酸塩を母結晶とする蛍光体)、帯電防止剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(例えば微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛)、ラジカル発生剤、赤外線吸収剤(熱線吸収剤)、およびフォトクロミック剤などが挙げられる。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分〜C成分、および任意に他の成分をそれぞれV型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、場合により押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行い、その後ベント式二軸ルーダーに代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する方法が挙げられる。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品は、通常そのペレットを射出成形して得ることができる。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体を注入する方法を含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などを挙げることができる。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
さらに本発明の成形品には、各種の表面処理を行うことが可能である。表面処理としては、ハードコート、撥水・撥油コート、親水性コート、帯電防止コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、並びにメタライジング(蒸着など)などの各種の表面処理を行うことができる。表面処理方法としては、液剤のコーティングの他、蒸着法、溶射法、およびメッキ法が挙げられる。蒸着法としては物理蒸着法および化学蒸着法のいずれも使用できる。物理蒸着法としては真空蒸着法、スパッタリング、およびイオンプレーティングが例示される。化学蒸着(CVD)法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、および光CVD法などが例示される。
したがって本発明の樹脂組成物は、OA機器分野、電気電子機器分野などの各種工業用途に極めて有用であり、その奏する工業的効果は極めて大である。
(i)熱安定性評価
成形機 東芝機械製 IS25EP、シリンダー温度 300℃、金型温度80℃にて 成形機内に10分間滞留後成形した。得られた成形品の粘度平均分子量を測定し、滞留せずに成形した成形品の粘度平均分子量との差(ΔM)により熱安定性評価を行なった。
(ii)剛性(曲げ弾性率)
ISO178に準拠して曲げ弾性率(MPa)を測定した。試験片形状は、長さ80mm×幅10mm×厚み4mmであった。
(iii)外観評価
幅50mm、長さ90mm、厚みがゲート側から3mm(長さ20mm)、2mm(長さ45mm)、1mm(長さ25mm)である3段型プレートを含む重量約90gの成形品を射出成形した。かかる3段型プレートの表面のいずれの段にもザラツキが無い場合を○、いずれかの段にザラツキが見られる場合を×として評価した。
(iv)帯電防止性能(乾燥処理前の帯電圧半減期)
上記3段型プレートの2mm厚部を用い、該プレートを温度23℃、相対湿度50%の環境にて一週間保管して状態調整を行った後、スタティックオネストメーター(宍戸静電気(株)製H−0110)によりかかる試験片の帯電圧半減期(秒)を求めた。帯電圧半減期の数値が小さいほど帯電防止性能が優れていることを示す。
(v)難燃性
UL規格94に準ずる形状であり、かつ表1に記載の厚みを有する試験片を用いて、UL規格94の垂直燃焼試験に準ずる方法で燃焼試験を行った。5本1組の試験片におけるドリップの有無と最大燃焼秒数を記録した。成形後、試験片は温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で48時間保管された。かかる保管後に燃焼試験を行った。
原料としては、以下のものを用いた。
表1〜表2中の記号表記の各成分は下記の通りである。
PC:粘度平均分子量19700の直鎖状ポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製:パンライトL−1225WX)
(B成分)
B−1:鱗片状黒鉛(平均粒径3.3μm、固定炭素量80.0%、揮発分3.0%、灰分17.0%)[西村黒鉛(株)製 超微粉黒鉛(商品名)]
B−2)鱗片状黒鉛(平均粒径10μm、固定炭素量99.0%、揮発分0.6%、灰分0.4%)[西村黒鉛(株)製 PB−99(商品名)]
B−3)鱗片状黒鉛(平均粒径25μm、固定炭素量99.0%、揮発分0.6%、灰分0.4%)[西村黒鉛(株)製 PA−99(商品名)]
B−4)鱗片状黒鉛(平均粒径350μm、固定炭素量98.0%、揮発分1.5%、灰分0.5%)[西村黒鉛(株)製 5098(商品名)]
(C成分)
C−1:アミノシラン化合物 [信越化学(株)製 KBM603]
C−2:アミノ変性シリコーン化合物 [東レ・ダウコーニング(株)製 SF8417]
C−3:エポキシ変性シリコーン化合物 [東レ・ダウコーニング(株)製 BY16-855D]
(本発明以外の添加剤)
TMP:トリメチルホスフェート[大八化学工業(株)TMP]
DC:αオレフィン無水マレイン酸共重合ワックス[三菱化学(株)製ダイヤカルナ−30、酸価75mgKOH/g]
AY:シランカップリング剤 [東レ・ダウコーニング(株)製 AY43−408]
(その他の成分)
FR:パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩(大日本インキ化学(株)製 メガファックF−114P)
PTFE:フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)製「ポリフロンMPA FA500」(商品名))
SL:ステアリルステアレートおよびグリセリントリステアレートを主成分とする脂肪酸エステル(理研ビタミン(株)製リケマールSL900)
表1および表2に示す組成で芳香族ポリカーボネート樹脂、鱗状黒鉛、アミノ基および/またはエポキシ基をもつ、シラン化合物またはシリコーン化合物、並びに他の成分をタンブラーを用いて均一に混合して予備混合物を作成し、かかる混合物を押出機のスクリュー根元に位置する第1供給口より供給した。得られた予備混合物を径30mmφのベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所製TEX30XSST]の第1供給口(スクリュー根元部)に供給し、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数170rpm、吐出量13kg/h、およびベント減圧度3kPaで溶融押出してペレット化した。
得られたペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、シリンダー温度300℃、金型温度80℃にて評価用の試験片を成形した。各評価結果を表1〜表2に示した。
Claims (6)
- (A)芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)60〜90重量部と、(B)80重量%以上が鱗片状黒鉛である黒鉛(B成分)10〜40重量部の合計100重量部に対し、(C)アミノ基および/またはエポキシ基をもつ、シラン化合物および/またはシリコーン化合物(C成分)0.001〜5重量部を含んでなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 黒鉛(B成分)が、平均粒径が5〜300μmの黒鉛である請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- C成分が、下記式(2)で表されるシリコーン化合物である請求項1または2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のエーテル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基及びメチル基からなる群より選ばれる基を表す。ただし、R1、R2、およびR3のすべてがメチル基である場合は除く。また、m、nは0≦m≦100、0≦n≦100の整数を表す。ただし、m、n共に0の場合およびR2のみがアミノ基またはエポキシ基を含む基でありかつnが0の場合は除く。) - C成分が、R1、R2、およびR3のいずれかがアミノ基またはエポキシ基を含む、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数2〜10のエーテル基である上記式(2)で表わされるシリコーン化合物である請求項4に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005318317A JP5123480B2 (ja) | 2005-11-01 | 2005-11-01 | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005318317A JP5123480B2 (ja) | 2005-11-01 | 2005-11-01 | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007126499A JP2007126499A (ja) | 2007-05-24 |
JP5123480B2 true JP5123480B2 (ja) | 2013-01-23 |
Family
ID=38149418
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005318317A Active JP5123480B2 (ja) | 2005-11-01 | 2005-11-01 | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5123480B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011013645A1 (ja) * | 2009-07-29 | 2011-02-03 | 出光興産株式会社 | ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 |
JP5616599B2 (ja) * | 2009-08-28 | 2014-10-29 | 出光興産株式会社 | 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体 |
JP5616612B2 (ja) * | 2009-11-27 | 2014-10-29 | 出光興産株式会社 | ポリカーボネート樹脂組成物 |
JP2011111560A (ja) * | 2009-11-27 | 2011-06-09 | Idemitsu Kosan Co Ltd | ポリカーボネート樹脂組成物 |
EP2657298A1 (de) * | 2012-04-27 | 2013-10-30 | Bayer MaterialScience AG | PC/ABS-Zusammensetzungen mit guter thermischer und chemischer Beständigkeit |
US11795323B2 (en) | 2016-08-24 | 2023-10-24 | Covestro Deutschland Ag | Polycarbonate composition comprising talc |
Family Cites Families (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0643557B2 (ja) * | 1989-06-26 | 1994-06-08 | カルプ工業株式会社 | 熱可塑性樹脂組成物 |
JP3048738B2 (ja) * | 1991-06-17 | 2000-06-05 | ジーイー東芝シリコーン株式会社 | シリコーン樹脂粉末及び合成樹脂組成物 |
JPH08277342A (ja) * | 1995-04-05 | 1996-10-22 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 制振性熱可塑性樹脂組成物およびそれから得られる成形品 |
JP3303697B2 (ja) * | 1996-12-20 | 2002-07-22 | 住友化学工業株式会社 | 寸法精度に優れた摺動部材用樹脂組成物 |
JP2002060634A (ja) * | 2000-08-21 | 2002-02-26 | Teijin Chem Ltd | 制振性熱可塑性樹脂組成物 |
JP4723132B2 (ja) * | 2001-08-22 | 2011-07-13 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | ポリカーボネート樹脂組成物 |
JP5112580B2 (ja) * | 2001-09-11 | 2013-01-09 | 帝人化成株式会社 | 難燃性熱可塑性樹脂組成物 |
JP4929562B2 (ja) * | 2004-04-08 | 2012-05-09 | 住友化学株式会社 | 有機材料組成物 |
-
2005
- 2005-11-01 JP JP2005318317A patent/JP5123480B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007126499A (ja) | 2007-05-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4747102B2 (ja) | 樹脂組成物およびフラットパネルディスプレイ固定枠 | |
JP5101810B2 (ja) | 難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP4705392B2 (ja) | 難燃性樹脂組成物 | |
JP5305798B2 (ja) | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物並びにそれらからなる成形体及び照明用部材 | |
JP5723892B2 (ja) | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品 | |
JP5583947B2 (ja) | 帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品 | |
JP5123480B2 (ja) | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP2011026439A (ja) | ガラス繊維強化樹脂組成物 | |
JP5481773B2 (ja) | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体 | |
JP2009114364A (ja) | 樹脂組成物 | |
JP5319047B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP2006124600A (ja) | 光高反射性ポリカーボネート樹脂組成物およびその製造方法 | |
JP5021906B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP5792539B2 (ja) | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びこれを成形してなる樹脂成形体 | |
JP2011016901A (ja) | 電気・電子機器部品 | |
JP5298529B2 (ja) | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、及びその成形体 | |
JP6110197B2 (ja) | 導電性ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP5112580B2 (ja) | 難燃性熱可塑性樹脂組成物 | |
JP5278985B2 (ja) | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP2006028390A (ja) | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP4820072B2 (ja) | 光高反射性ポリカーボネート樹脂組成物 | |
CN114630859A (zh) | 聚碳酸酯树脂组合物及其成型体 | |
JP2002294062A (ja) | 難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20081006 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20110711 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20110711 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110824 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110830 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20111019 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120710 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120816 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120905 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20121002 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20121026 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151102 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 5123480 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |