JP5122240B2 - ソリッドタイヤ用組成物、及びソリッドタイヤ - Google Patents
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請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のソリッドタイヤ用組成物において、前記1,4−ブタンジオールが、前記ポリウレタンプレポリマーのイソシアネート基に対する、前記1,4−ブタンジオールの有するヒドロキシル基の当量比が0.9〜1となるように配合されることを要旨とする。
ソリッドタイヤ用組成物は、ポリカプロラクトン系エステルグリコールと、p−フェニレンジイソシアネートとの反応生成物であるポリウレタンプレポリマーを含む。このソリッドタイヤ用組成物は、ホイールと同ホイールの外周面を被覆するトレッド部とを備えるソリッドタイヤにおいて、そのトレッド部を成形するためのものである。
(1) ソリッドタイヤ用組成物は、ポリカプロラクトン系エステルグリコールと、p−フェニレンジイソシアネートとの反応生成物であるポリウレタンプレポリマーを含む。こうしたソリッドタイヤ用組成物から成形されたトレッド部では、靭性が高められていると推測され、ソリッドタイヤの走行時において、トレッド部に加わる外力を主要因とするクラックの発生を抑制することができる。さらに、このトレッド部では耐加水分解性を高めることができるため、例えば屋外等の水と接触する環境下や、高湿環境となる屋内等の使用に際して、トレッド部における機械的物性の経時的な低下が抑制される。ここで、トレッド部におけるクラックは、外力が主要因となって発生する場合と、機械的物性の経時的な低下が主要因となって発生する場合とがあると考えられる。本実施形態のトレッド部は、外力を主要因とするクラック及び機械的物性の低下を主要因とするクラックのいずれのクラックについても抑制効果が得られるため、ソリッドタイヤの耐久性を向上させる点において、極めて有効である。
(実施例1)
ポリカプロラクトン系エステルグリコール(以下、「PCL」という)と、p−フェニレンジイソシアネート(以下、「PPDI」という。)との反応生成物であるポリウレタンプレポリマー(アジプレン(商品名)、LFP−2950A、クロンプトン社製)に対して鎖延長剤として1,4−ブタンジオール(以下、「1,4−BD」という。)を混合することによって原料組成物を調製した。なお、ポリウレタンプレポリマーに対する鎖延長剤の配合量は、ポリウレタンプレポリマーが有するNCO基に対する鎖延長剤が有するOH基の当量比(当量比=[OH]/[NCO])で0.95とした。
(比較例1)
アジペート系ポリエステルグリコール(以下、「AJP」という。)と、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)との反応生成物であるポリウレタンプレポリマーを使用した以外は、実施例1と同様にして耐加水分解性評価用の試験片を成形した。
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)と、トリレンジイソシアネート(TDI)との反応生成物であるポリウレタンプレポリマーを使用し、鎖延長剤として3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン(以下、「MOCA」という。)を使用した以外は、実施例1と同様にしてソリッドタイヤ及び耐加水分解性評価用の試験片を成形した。
PTMEGとPPDIとの反応生成物であるポリウレタンプレポリマーを使用した以外は、実施例1と同様にしてソリッドタイヤを成形した。
PTMEGとトリジンジイソシアネート(以下、「TODI」という。)を使用し、鎖延長剤としてMOCAを使用した以外は、実施例1と同様にしてソリッドタイヤを成形した。
実施例1、比較例1,2で得られた試験片について、引張試験をJIS K 6251に準拠して行った。さらに、実施例1、比較例1,2で得られた試験片について、下記の(a)及び(b)に示される条件で加速試験をした後、その試験片について同様に引張試験を行った。引張試験の結果、及び加速試験における機械的物性の保持率を表1に示す。
(b)温度80℃、相対湿度95%の環境下において48時間保存。
実施例1、及び比較例2〜4のソリッドタイヤについて、耐クラック性の評価を行った。図1には各例のソリッドタイヤ11の形状が示されている。ソリッドタイヤ11は、ホイール12とトレッド部13とを備え、ソリッドタイヤ11の直径L1は216mm、トレッド部13の厚さL2は68mm、トレッド部13の幅L3は124mmである。図2に示すように、各例のソリッドタイヤ11に荷重Wとして1300kgを負荷させるとともに、ソリッドタイヤ11のトレッド部13を荷重によって回転ドラム21に押圧させた状態に配置する。そして、ソリッドタイヤ11の走行速度4.6km/hとなるように、回転ドラム21を回転させるとともに、その走行速度にてソリッドタイヤ11を336時間走行させた。そして、トレッド部13表面におけるクラックの有無を目視にて確認するとともに、クラックの本数をカウントした。336時間走行時にクラックが確認されないソリッドタイヤ11については、同条件で走行試験を続行し、1008時間走行させた時点で終了した。なお、回転ドラム21の外周面はクーラーで冷却されているため、トレッド部13の温度上昇は防止されている。すなわち、トレッド部13を構成するポリウレタンの加水分解が抑制される条件にて、耐クラック性の評価を実施している。従って、この耐クラック性の評価では、外力を主要因とするクラックの発生について評価される。
実施例1のソリッドタイヤを走行させたときの省エネルギー効果について、消費電力を測定することにより評価した。図3に示すように、ソリッドタイヤ11に所定の荷重を負荷させることによって、ソリッドタイヤ11のトレッド部13を回転ドラム21に押圧させた状態で配置する。そして、ソリッドタイヤ11を5km/hで走行させるとともに、回転ドラム21に接続されているモータ(図示せず)の消費電力を測定する。なお、ソリッドタイヤ11の寸法はφ200mm×60mmであり、トレッド部13の厚みは10mmである。また、回転ドラム21は円周1mである。ソリッドタイヤ11に負荷した荷重Wは1100kgfである。同様に、比較例2のソリッドタイヤについて、消費電力を測定した。各例のソリッドタイヤ11について消費電力の測定結果を表3に示す。
Claims (3)
- ホイールと同ホイールの外周面を被覆するトレッド部とを備えるソリッドタイヤの前記トレッド部を成形するためのソリッドタイヤ用組成物であって、
ポリカプロラクトン系エステルグリコールと、p−フェニレンジイソシアネートとの反応生成物であるポリウレタンプレポリマーを含むとともに、鎖延長剤として1,4−ブタンジオールを含み、前記ソリッドタイヤが、モータを駆動源とするものであることを特徴とするソリッドタイヤ用組成物。 - 前記1,4−ブタンジオールが、前記ポリウレタンプレポリマーのイソシアネート基に対する、前記1,4−ブタンジオールの有するヒドロキシル基の当量比が0.9〜1となるように配合される請求項1に記載のソリッドタイヤ用組成物。
- ホイールと同ホイールの外周面を被覆するトレッド部とを備えるソリッドタイヤであって、前記トレッド部はポリウレタンプレポリマーを含む原料組成物から成形されてなり、
前記ポリウレタンプレポリマーは、ポリカプロラクトン系エステルグリコールと、p−フェニレンジイソシアネートとの反応生成物であるとともに、前記原料組成物は、鎖延長剤として1,4−ブタンジオールを含み、前記ソリッドタイヤが、モータを駆動源とするものであることを特徴とするソリッドタイヤ。
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