JP5119237B2 - 仙腸ベルト並びに複合構造体 - Google Patents

Description

本発明は、ユーザの腰の周囲にぴったりと巻き付けられる長形の非伸縮性内側ベルト部と、仙腸関節に弾性圧迫を加えるように内側ベルト部の後部と両側との間に固定された長形の伸縮性外側ベルト部とを有した仙腸ベルトに関する。本発明はまた、仙腸ベルトおよび身体の一部に巻き付けられる他の非伸縮性整形外科用保護ベルト並びにサポータで利用するための長形の非伸縮性発泡体／布複合構造体にも関する。

仙腸ベルトは腰上部の周囲に着用され、骨盤ガードル周囲に圧迫力を提供し、仙腸関節を安定させて筋肉の緊張をほぐす。技術文献は仙腸ベルトの利用並びに仙腸ベルトに関する医学的、生理学的、解剖学的および他の効能に関して詳述している。従ってこれら効能は本発明の背景情報として簡単に解説するが、この分野の従事者であれば専門文献等から仙腸ベルトに関するそのような解説および効能のさらに完全な理解を有しているか、あるいはそれら情報を容易に入手するであろう。

従来技術の仙腸ベルトの１例はユーザの腰の周囲に巻き付けられる伸縮性内側部分と、その内側部分を取り囲んで全体としては非伸縮性である仙腸ベルトを形成する非伸縮性外側部分とを含む。ブルンスウィックの米国特許（特許文献１）は伸縮性パネル部と、それらパネル部を取り囲む非伸縮性締付けストラップ部とを備えたこの種の仙腸ベルトを開示する。この種の別仙腸ベルトはユーザの腰の周囲に巻き付けられる伸縮性のネオプレンと、そのネオプレンの周囲に巻き付けられる非伸縮性ナイロンとを含む。この仙腸ベルトは皮膚に直接的に着用することは推奨されていない。なぜならネオプレンの独立気泡構造が熱を蓄積させ、皮膚の炎症を引き起こすからである。このような仙腸ベルトの全体としての非伸縮性は多くの専門家には支持されていない。なぜなら外側の包囲部分は典型的には着用者に過剰な締め付けの影響を及ぼし、仙腸ベルトを適正程度以上に締め付けさせるバックルまたは締付け具のごとき締め付け式固定具構造部を含むからである。その結果、この種の全体的に非伸縮性である仙腸ベルトは仙腸関節にその通常の動作範囲以下に動作自由度を低減させる。この動作範囲の低減によって栄養素並びに酸素の通流量は減少し、細胞の老廃物の排出が減少する。これら老廃物は酸性であるために仙腸関節内のｐＨを低下させる。すると身体は酸性を中和するためにカルシウム内に分路を形成し、関節症が発症する。そのようなベルトに使用されるバックルや他の固定構造物も締め付けに寄与し、あるいはユーザには不便で不快である。

取り囲んでいる外側ベルト部を備えた全体的には非伸縮性である仙腸ベルトの変形形態もよく知られている。例えばハイマン他の米国特許（特許文献２）は内側の非伸縮性織布ベルト部と、その内側ベルト部の両端間で固定される小型締付けストラップ部とを備えた仙腸ベルトを開示する。ティオの米国特許（特許文献３）は剛質プラスチックサポータ部材を固定する締め紐を備えた仙腸ベルトを提供する。この種の仙腸ベルトはユーザによって締付け過多となり得るものであり、非伸縮性要素を利用するベルト（ティオ等）において利用者により異なる骨盤ガードルの効能を提供する最良のサポータを提供するためには追加的な困難が伴う。

別タイプの従来型仙腸ベルトは一般的に伸縮性であり、仙腸関節の良好な圧迫を提供する。このような伸縮性仙腸ベルトは圧迫過多となることはほとんどなく、仙腸関節の動作範囲を正常範囲以下に制限することはない。しかし全体的に伸縮性である仙腸ベルトはユーザに十分な着用安定感を提供しない。なぜなら仙腸関節を広げる仙腸関節の動作、すなわち仙腸関節の曲げ動作、持ち上げ動作および捻り動作は仙腸ベルトを着用していても正常範囲以上に仙腸関節を開かせる可能性があるからである。言い換えると伸縮性の仙腸ベルトは仙腸ベルトの正常な動作範囲の極限での停止を提供しない。靭帯は本質的には非伸縮性であるため、その正常範囲を超える仙腸関節の動作は靭帯にストレスを与え、仙腸関節の症状を悪化させるであろう。

別な種類の仙腸ベルトは非伸縮性綿織布の内側ベルト部と伸縮性外側ベルト部とを含む。この内側ベルト部はベルクロ等の面ファスナーあるいは他の非締め付け固定具によりユーザの腰周囲に固定され、非伸縮性ベルトが仙腸関節を正常動作範囲の極限まで開かせ、それ以上に仙腸関節が開くのを防止する機能において仙腸靭帯の機能と類似する非伸縮性ベルトを提供する。外側ベルト部は内側ベルト部の後部と両側との間で伸縮式に固定されて内側ベルト部の一部を取り囲んでおり、ユーザに仙腸関節の正常動作範囲内の伸縮感覚を提供している。この仙腸ベルトは手の締め付けによって柔らかい皮膚を圧迫する十分な圧迫力を提供し、仙腸ベルトは仙腸関節の正常動作範囲の限界で適切な停止を提供するが、この仙腸ベルトは仙腸関節を過剰に締め付けてその正常動作範囲以下に抑制することはない。

従来の仙腸ベルトの１つの問題点は普通の着衣に取り付ける便利で快適な方法が存在せず、ユーザ腰部の上部の内側への湾曲形状によって、ユーザが動くと仙腸ベルトが上方に移動することである。仙腸ベルトから紐または他の材料を腰の下で両足の間を通し、その後に身体の反対側で仙腸ベルトに戻すことでループ状にして物理的に仙腸ベルトを身体に固定することは可能であろうが、そのような構成はユーザにとって不快で不便である。仙腸ベルトによってはベルトを移動しないように保持させる目的でゴム引きあるいは軟質塩化ポリビニル（ＰＶＣ）の組成物のコーティング（“ＧＲＩＰＴＥＸ”等）を仙腸ベルトの内側に提供した粗目織材料の側面パッチを利用する。このようなパッチはユーザの腰周囲に密着させるために粘性摩擦部品あるいはゴム様の表面摩擦部品の開発に依存する。しかし現実にはこのようなパッチは多彩な条件下で、あるいは多様な着衣材料に対して仙腸ベルトを固定させる十分な固定力を提供しない。織布材料のコーティング表面は乾燥状態では幾分なりとも固定力を提供するが湿潤状態では滑りやすい。従ってそのようなパッチは、少量の汗が介在するために皮膚に直接的に仙腸ベルトが着用されるとほとんど固定力を発揮しない。仙腸ベルトが皮膚上に直接的に着用されるとコーティング表面の素材は着用者に不快感も与えかねない。

よって従来技術による仙腸ベルトの上記の弱点に対処する仙腸ベルトが求められている。特に仙腸関節の正常動作範囲内に限定された伸縮性を有するサポータ機能を提供するが、ユーザに不快な着用感を与えることなく皮膚に直接的に着用可能であり、皮膚の上に直接着用された場合でも着衣の上に着用された場合であっても、ユーザの動作に拘わらず移動することがない仙腸ベルトが求められている。
米国特許４５７２１６７ 米国特許４５７６１５４ 米国特許４６９６２９１

本発明の１つの重要な目的は限定された伸縮性によって制御されたサポータ能力を与えるように設計された新規な改良型仙腸ベルトの提供である。この仙腸ベルトはユーザの腰周囲に密着して巻き付けられる非伸縮性の内側ベルト部と、この内側ベルト部の後部と両側との間に固定される伸縮性の外側ベルト部とを含む。

本発明の１つの補完的目的は、ユーザの腰周囲で係合力を提供するために連続気泡構造表面を有した連続気泡型伸縮性ゴムまたはプラスチック組成物の発泡体で成る内側層を含んだ二重構造部（あるいは構造体）と、ユーザの腰周囲に内側ベルト部を固定させ、そのベルトの対応端部に固定された（面ファスナー）フック材料を利用して内側ベルト部に外側ベルト部を固定する（面ファスナー）ループ材料とを含んだ内側ベルト部を有した上述の仙腸ベルトを提供することである。

本発明の別な補完的目的は、伸縮性布に積層された発泡体層を含んだ伸縮性の二重構造部と、その二重構造部の縦方向で布側に固定されたループ材料の非伸縮性帯体とを含んだ内側ベルト部を有した上述の仙腸ベルトを提供することである。

本発明のさらに別な補完的目的は、非伸縮性布、好適にはループ材料布（すなわち面ファスナーのループ材料を備えた布）に積層された発泡体の層を含んだ二重構造部を含んだ内側ベルト部を有した上述の仙腸ベルトを提供することである。

本発明の別な重要な目的は、伸縮性布に積層された連続気泡形態の摩擦面特性を有した連続気泡弾性組成物発泡体の層を備えた伸縮性二重構造部と、その二重構造部の布側で縦方向に固定されたループ材料の非伸縮性帯体とを含んだ新規な改良型非伸縮性発泡体／布複合構造体を提供することである。

本発明のこれら並びに他の目的と利点は図面を利用した以下の発明の詳細な説明によってさらに明確になるであろう。

本発明の仙腸ベルトは非伸縮性内側ベルト部と伸縮性外側ベルト部とを含んでいる。この内側ベルト部はユーザの腰の周囲に巻き付く長さを有している。外側ベルト部は内側ベルト部の後部から巻き付けられ、両側と係合する太さと長さとを有している。好適な仙腸ベルトは非締め付け式構造の面ファスナー（あるいは他の非締め付け固定具）を利用しており、内側ベルト部と、弾性圧迫状態で内側ベルト部を部分的に取り囲んでいる外側ベルト部とをユーザの腰周りに密着させている。

内側ベルト部は弾性発泡体内側層と、非伸縮性ループ材料で成る外側層または長形帯体とを含む。このループ材料は面ファスナーのループ形態面を提供する。面ファスナー構造部のフック形態面を提供するフック材料は、内側ベルト部がユーザの腰周囲に巻き付けられたときに内側ベルト部の１端付近でループ材料と係合するために内側ベルト部の他端に固定されている。フック材料は伸縮性外側ベルト部を内側ベルト部に固定するためにも提供されている。

この発泡体は弾性組成物の連続気泡発泡体である。発泡体の連続した気泡は連続気泡部の境界に多くの微小軟質“エッジ部”を提供し、ユーザの腰周囲に密着すると仙腸ベルトを固定する比較的に高い摩擦係数あるいは摩擦面を提供する。有利にはこの表面摩擦提供組成物は皮膚に直接的に着用されても、発生する限定量の汗や湿気には実質的に影響を受けない性質のものである。この発泡体は通気性であり、好適には低刺激性であって、好適な湿気排出特性を提供して皮膚から湿気を奪い去り、熱や湿気の蓄積あるいは皮膚の不快感を発生させないものであり、所望するときには仙腸ベルトを皮膚に直接的に着用させる。この連続気泡型弾性組成物発泡体はウレタン系組成物、アクリル系組成物または本発明の目的に叶う他のゴム組成物またはプラスチック組成物で製造することができる。

本発明の１好適実施例では内側ベルト部は伸張性あるいは伸縮性の布にコーティングあるいは接着または固定された発泡体層を含んだ伸縮性二重構造部で成る長形の非伸縮性発泡体／布複合構造体である。この実施例では内側ベルト部はその縦方向に延びる二重構造体の布側に縫製、接着または他の手段で頑丈に固定された薄型の非伸縮性ナイロンまたは同様な裏当て材に固定されたループ形態部を含むループ材料の帯体をさらに含む。ループ材料の非伸縮性帯体は全体的に伸縮性二重構造体を仙腸ベルトの縦長非伸縮性内側ベルト部に変性させる。内側ベルト部はさらにループ材料の帯体の上下縁部を越えて延びる帯状のクッションを含むことができ、着用者の身体に食い込まないよう裏当て帯体の縁部にクッション効果を提供する。この特徴は特に仙腸ベルトが皮膚に直接的に着用されるときに好適である。これら帯状のクッションは伸縮性二重構造体の幅をループ材料の帯体の縁部で延伸させることで提供される。

別実施例では内側ベルト部は仙腸ベルトの面ファスナーの外側ループ要素を提供する縦長非伸縮性ループ布に積層された発泡体層を含んだ非伸縮性二重構造体で提供される。

本発明はまた、圧迫、保護、サポータ機能または他の整形外科目的で身体
一部の周囲に巻き付けられる非伸縮性ベルト、バンド、本体部または他の非伸縮性層を含んだ他の種類の整形外科補強具およびサポータに上述の縦長非伸縮性発泡体／布複合構造体を利用することも想定する。

本発明の実施形態には様々な変更を施すことができるが、本発明の特定実施例が図面にて図示されており、以下で詳細に解説されている。しかし、本発明をそれら開示した特定実施形態に限定する意図はない。その反対に真の意図は「請求の範囲」で定義された範囲のそれらあらゆる変更および均等構造物を含むことである。

図１から図９は本発明による仙腸ベルト１０の１好適実施例を示している。仙腸ベルト１０は２つの独立的なベルト要素である縦長の伸縮性外側ベルト部１２と縦長の非伸縮性内側ベルト部１４とを含んでいる。内側ベルト部１４はユーザの腰の周囲に巻き付く長さを有している（図９）。外側ベルト部１２はユーザの後部から巻き付けられ、内側ベルト部の両側と係合する。非締め付け式構造の面ファスナーが内側ベルト部と外側 ベルト部とを固定させている。

内側ベルト部１４は内側伸縮性二重構造部１６と（面ファスナーの）ループ材料の外側非伸縮性帯体２２とを含んでいる。内側ベルト部がユーザ周囲に巻き付けられているか、あるいは閉状態であるとき、（面ファスナーの）フック材料部２４は内側ベルト部１４の１端に固定されており、フック材料部は外側に面した帯体２２のループに連結するよう内側に面している（図１）。図示の実施例では、オプションの布キャップ部１６Ａが二重構造部とループ材料の帯体の１端に縫い付けられている。縫い目は破線と符号３０で示されている。

伸縮性二重構造部１６は、発泡体層の縦横方向に延伸する伸縮性の布２０に固定、接着または他の方法で積層された弾性発泡体層１８を含んでいる。この発泡体層は弾性ゴム組成物またはプラスチック組成物、ウレタン系、アクリル系またはその他の適切なポリマーで製造される連続気泡発泡体である。発泡体の連続気泡は連続気泡部の境界に多くの微小軟質“エッジ部”を提供し、内側ベルト部１４の内側で表面１８Ａに比較的に高い摩擦係数すなわち摩擦面を提供することでユーザの腰周囲で係合力を提供し、通常の使用状態において内側ベルト部を固定する。この連続気泡発泡体は通気性であり、好適な湿気排出特性を提供して皮膚から湿気を奪い去り、仙腸ベルトを皮膚に直接的に快適に着用させる。伸縮性の布は好適にはその露出面上に面ファスナー構造部のループ構造を有する連続したループ布であるが、別の構造であってもよい。

ループ材料の帯体２２は、内側ベルト部１４の外側で面ファスナーのループ要素を提供するように延伸している薄型のナイロンまたはその他の非伸縮性の裏当て材２２Ｂ上に（面ファスナーの）ループ材料の外側層２２Ａ（図４Ａ）を含んでいる。ループ材料の非伸縮性帯体は二重構造部１６を縦方向に延びており、裏当て材２２Ｂは二重構造部の露出した布側の縦方向に縫製、接着または他の手段で固定されており、全体的に非伸縮性の内側ベルト部１４を提供している。この場合フック材料部２４は帯体２２の内側に二重構造部の端部に縫製されている。
図示の好適実施例では、伸縮性二重構造部１６は裏当て帯体２２Ｂの幅を越えて延び出ている。図４Ｂに示すように、この追加的な二重構造部の幅は裏当て帯体２２Ｂの縦方向の縁部に伸張、包囲、巻き付け等の機能を提供でき、仙腸ベルトを着用している間にループ材料の裏当て帯体の縁部を越えて縦方向のクッション効果を提供する。ループ材料の帯体２２の好適なループ２２Ａは実質的には二重構造部の連続したループ布のループの寸法よりも大きく、仙腸ベルト１０がユーザに着用されている間に高い保持性能を提供する。有利には、ループ材料の帯体２２と正確に整合していない場合にも連続したループ布の追加幅はフック材料部２４に追加的な連結幅を提供する。

外側伸縮性ベルト部１２は伸縮性布の帯体２６と、その伸縮性帯体の両端に一対のフック材料２８を含んでいる。この伸縮性帯体は内側ベルト部１４の約半分の長さであり、内側ベルト部の後部に縫製されているか、あるいはその他の方法で固定されているか固定可能な状態となっており、それぞれが内側ベルト部の両側付近で終結する２つの外側伸縮性半部分を提供している。フック材料部２８は伸縮性帯体の両端に縫製または固定されており、内側ベルト部とループ材料の帯体２２側に面している。あるいは、例えば第３のフック材料部２８を伸縮性帯体２６の中央に縫い付けて内側ベルト部の後部でループ材料の帯体２２との着脱式連結を提供することもできる。

この構造において図９に矢印“Ａ”で示すように、非伸縮性内側ベルト部１４をユーザの腰周囲に密着させるように巻き付け、フック材料部２４をベルト他方側のループ材料の帯体２２と係合させることで仙腸ベルト１０を着用する。外側ベルト部１２の伸縮性半部分を、図９の矢印“Ｂ”で示すように快適な圧迫が仙腸関節に提供され、内側ベルト部１４の両側でループ材料２２と係合するフック材料部２８で固定されるまで後部から着用者の腰の両側へ引っ張る。

図１０と図１１は本発明による仙腸ベルト１１０の別実施例を示しており、同一の符号は図１から図９で示した同一要素を示しており、類似要素の符号には１００が追加されている。仙腸ベルト１１０は２つの独立的なベルト要素である前述の非伸縮性内側ベルト部１４と、２つの伸縮性外側ベルト部位１１２Ａと１１２Ｂとを含んだ外側ベルト部とを含んでいる。それぞれの外側ベルト部位１１２Ａと１１２Ｂは伸縮性布の帯体１２６と１対のフック材料部１２８とを含んでいる。それぞれの帯体１２６は内側ベルト部１４の約１／４の長さであり、フック材料部１２８は内側ベルト部１４とループ材料の帯体２２側に面した伸縮性の帯体の各端部に縫製または他の手段で固定されている。外側ベルト部位１１２Ａと１１２Ｂは共に構造的および作用的に前述の外側ベルト部１２に類似している。よって、外側ベルト部位１１２Ａと１１２Ｂが内側ベルト部外側のループ材料製の帯体に独立的に固定できることを除いて、仙腸ベルト１１０は前述の仙腸ベルト１０と同様に着用される。これは内側ベルト部の後部と側部との間で独立して連結させるためであり、あるいはユーザの腰周囲で内側ベルト部に限定された所望の圧迫力を提供させるためである。

図１２は本発明による仙腸ベルト２１０のさらに別の実施例を示しており、同一の符号は図１から図９で示した同一要素を示しており、類似要素の符号には２００が追加されている。仙腸ベルト２１０は２つの独立的なベルト要素である、ユーザの腰の周囲に巻き付く長さを有している非伸縮性内側ベルト部２１４と前述の伸縮性外側ベルト部１２とを含んでいる。内側ベルト部２１４は、発泡体層の縦横方向に延伸する非伸縮性の連続したループ布２２０に固定、接着または他の何らかの方法で積層された弾性発泡体層２１８を含んだ非伸縮性の二重構造部を含んでおり、ループ布２２０Ａは内側ベルト部２１４の外側で縦方向に面ファスナーのループ要素を提供している。発泡体は前述した弾性組成物であり、内側ベルト部２１４の内側で好ましい湿気排出特性を提供してユーザの腰周囲を包囲する係合力を提供させる連続気泡形態の摩擦面２１８Ａを提供する。内側ベルト部がユーザに巻き付けられるときにフック材料部２２４は内側ベルト部２１４の１端で固定されて二重構造部の外側ループ面２２０Ａに連結される。

本発明のさらに別実施例によれば、前述の非伸縮性発泡体／布複合構造体は、肘保護ベルトや膝保護ベルト等の身体部位周囲に巻き付けるための非伸縮性ベルト、バンド、帯体、本体または他の伸縮性層を必要とする他のタイプの整形外科用保護ベルト並びにサポータで利用することもできる。図１３は、ユーザの身体部位の周囲に巻き付く長さを有した内側伸縮性二重構造部４２を有する非伸縮性発泡体／布複合構造体を含んだ整形外科用バンド４０を示しており、ループ材料の非伸縮性帯体４８が二重構造部の布側の縦方向に縫製または固定されている。この伸縮性の二重構造部は、発泡体層の縦横方向に延伸する伸縮性布４６に固定、接着または他の方法で積層された弾性発泡体層４４を含んでいる。発泡体層は、ユーザの腰周囲を包囲して係合力を提供する好適な湿気排出特性を備え、摩擦力と通気性とを有する内面４２Ａを提供する前述の連続気泡形態である。伸縮性の布は好適には連続したループ布である。

ループ材料の帯体４８は、二重構造部４２の外側で縦方向に面ファスナーのループ要素を提供するように延伸する薄型のナイロンまたは他の非伸縮性の裏当て材４８Ｂ上にループ材料の外側層４８Ａを含んでいる（図４Ａにベルト１０との関連で詳細に図示）。ループ材料の非伸縮性帯体は二重構造部を縦方向に延びており、裏当て材４８Ｂは二重構造部の露出した布側に縫製、接着または他の手段で固定されることで全体として非伸縮性のバンド４０を提供している。図示の二重構造部４２はループ材料の帯体４８よりも幅広であり、その縁部を越えてクッション効果を提供している。フック材料部５２がループ材料の帯体の１端に固定されており、露出したループ布４８Ａと対面している。この構造を有した複合形態の非伸縮性バンド４０をユーザ身体の１部に密着して巻き付け、フック材料部５２をバンドの１端に固定し、バンドの他端でループ材料４８Ａと係合させる。

あるいは例えば本発明による非伸縮性発泡体／布複合構造体を図１４に示すような締め付け式固定具構造部を含んだ整形外科用バンド６０に使用してもよい。バンド６０はユーザの腰の周囲の一部に巻き付く長さを有している伸縮性の内側二重構造部６２と、二重構造部の布側の縦方向に縫製または他の手段で固定されたループ材料の非伸縮性帯体６８とを含んでいる。伸縮性の二重構造部は発泡体層の縦横方向に延伸する伸縮性の布６６に固定、接着または他の方法で積層された弾性発泡体層６４を含んでいる。この発泡体層は前述の弾性組成物から製造されており、通気性であり、ユーザの腰周囲を包囲して係合力を提供する好適な湿気排出特性を有する連続気泡形態の内側摩擦面６２Ａを提供する。ループ材料の帯体は、二重構造部の外側で縦方向に面ファスナーのループ要素を提供するように延伸する薄型のナイロンまたは他の非伸縮性の裏当て材６８Ｂ上にループ材料の外側層６８Ａを含んでいる（図４Ａにベルト１０との関連で詳細に図示）。このループ材料の非伸縮性帯体は二重構造部の縦方向に延びており、裏当て材４８Ｂは二重構造部の露出した布側に縫製、接着または他の手段で固定されることで全体として非伸縮性のバンド６０を提供している。本実施例ではフック材料部７２がループ材料と同じ方向に面するバンドの１端に固定されて、リング７４がバンドの他端に固定されており、図１４に示すようにフック材料部をバンドのその他端付近のループ材料に連結させるべく、フック材料部とバンドとがリング内を通過して折れ戻っている。

本発明は新規な仙腸ベルトと、連続気泡形態の摩擦面特性と好適な湿気排出特性とを有する弾性組成物の発泡体を含んだ二重構造部を備えた整形外科用の非伸縮性の発泡体／布複合構造体とを提供する。必要であれば皮膚に直接的に着用可能であり、ユーザの動作に拘わらず移動することがない。
産業上の利用可能性
本発明の産業上の利用可能性、商品価値並びに本発明の製造および使用方法は前述の説明と添付の図面で十分に明確に説明されている。

図１は本発明の仙腸ベルトの斜視図であり、仙腸ベルトはユーザに着用される形態である閉状態にて図示されており、非伸縮性内側ベルト部と伸縮性外側ベルト部とを含んでおり、内側ベルト部はループ材料で成る外側帯体に固定された内側発泡体／布二重構造部を有している。 図２は図１で示す仙腸ベルトの斜視図であるが、内側ベルト部は開状態であり、外側ベルト部の両端はその内側ベルト部からは引き離されている。 図３は図１で示す仙腸ベルトの分解斜視図である。 図４Ａは図１の４−４線に沿った断面図である。 図４Ｂは図４Ａに類似した断面図であるが、外側ベルト部は図示されておらず、発泡体／布二重構造部の上下幅部は湾曲しており（仙腸ベルトが着用される際の通常状態）、ループ材料帯体の上下縁部の上方および下方に長形クッションを提供している。 図５は広げられた状態である図１で示す仙腸ベルトの内側を示す。 図６は広げられた状態である図１で示す内側ベルト部の外側（すなわち外側ベルト部が図示されていないが、広げられた状態の図１で示す仙腸ベルトの外側）を示す。 図７はその内側の詳細を図示するために外側ベルト部の１端が内側ベルト部から剥がされて捲られている状態の広げられた状態である図１で示す仙腸ベルトの外側を示す。 図８は広げられた状態である図１で示す仙腸ベルトを図示しており、反対側はこの鏡像である。 図９はユーザの腰（破線）上に巻かれた状態である図１で示す仙腸ベルトの斜視図である。 図１０は本発明の別例による仙腸ベルトの分解斜視図である。 図１１は図１０で示す別例の仙腸ベルトの斜視図である。 図１２は本発明のさらに別例の仙腸ベルトの斜視図である。 図１３は本発明の長形非伸縮性発泡体／布複合構造体を利用した整形外科用バンドの斜視図である。 図１４は本発明の長形非伸縮性発泡体／布複合構造体を利用した別例の整形外科用バンドの斜視図である。

Claims (11)

1. 整形外科用保護ベルトおよびサポータで使用される非伸縮性発泡体／布複合構造体バンド（１４，４０）であって、
   ａ）連続気泡形態の摩擦面（１８Ａ，４２Ａ）と湿気排出特性とを有する弾性組成物発泡体層（１８，４４）と、伸縮性の布層（２０，４６）と、で成る伸縮性二重構造部の第１層（１６，１８，２０；４２，４４，４６）であって、前記伸縮性の布層（２０,４６）は前記発泡体層（１８，４４）に固定され、前記発泡体層の縦横方向に延伸している第１層と、
   ｂ）前記伸縮性二重構造部（１６，１８，２０；４２，４４，４６）に対して縦方向で延伸している連続した面ファスナーのループ材料（２２，４８）で成る第２層であって、前記第２層が、裏当て材２２Ｂ上の外側層（２２Ａ，４８Ａ）を有する非伸縮性長形帯体を構成しており、前記非伸縮性長形帯体は、前記弾性組成物発泡体層（１８，４４）とは反対側で前記第１層の伸縮性の布層（２０，４６）に固定され、前記第１層に縦方向に延びており、前記発泡体層（１８，４４）と前記伸縮性の布層（２０,４６）と、は固定されている前記連続したループ材料（２２，４８）の第２層によって、その全長に沿って縦方向で非伸縮性となる第２層と、
   ｃ）前記連続したループ材料（２２，４８）の前記第２層によって成るループ要素と、前記ループ材料の外側層（２２Ａ，４８Ａ）に固定されるために前記連続した前記ループ材料（２２，４８）の前記第２層の帯体の１端付近に固定されたフック材料部（２４，５２）と、を含む面ファスナー構造と、
   を含んだ複合構造体バンド（１４，４０）。
2. 前記フック材料部（２４，５２）は、前記第２層の前記連続したループ材料（２２，４８）の前記帯体に非締め付け式構造で連結するように提供されていることを特徴とする請求項１記載の複合構造体バンド（１４，４０）。
3. 前記第１層（１６，１８，２０；４２，４４，４６）は、前記第２層の連続したループ材料の非伸縮性長形帯体の幅を越えて延伸し、前記ループ材料の帯体の縁部に縦方向のクッション効果を提供することを特徴とする請求項２記載の複合構造体バンド（１４，４０）。
4. 整形外科用保護ベルトおよびサポータで使用される非伸縮性発泡体／布複合構造体バンド（１４，４０）の製造方法であって、前記複合構造体バンド（１４，４０）は、伸縮性二重構造部の第１層（１６，１８，２０；４２，４４，４６）と、前記第１層に固定されている連続したループ材料（２２，４８）の非伸縮性長形帯体の第２層と、を備えており、
   Ａ）
   ｉ）伸縮性二重構造部（１６，１８，２０；４２，４４，４６）であって、
   ａ）連続気泡形態の摩擦面（２２Ａ，４２Ａ）と湿気排出特性とを有する弾性組成物発泡体で成る層（１８，４４）と、
   ｂ）前記発泡体でなる層（１８，４４）に積層され、該発泡体層の縦横方向に延伸する伸縮性布で成る層（２０，４６）と、
   を含んだ二重構造部と、
   ｉｉ）前記伸縮性二重構造部（１６，１８，２０；４２，４４，４６）に対して縦方向で延伸しており、縦方向に固定されている連続したループ材料（４８）の非伸縮性長形帯体の層と、
   ｉｉｉ）フック材料部（２４，５２）と、
   を提供するステップと、
   Ｂ）
   ｉ）前記二重構造部の布側の縦方向に前記連続したループ材料（２２，４８）の非伸縮性長形帯体の層を前記第１層（１６，１８，２０；４２，４４，４６）の伸縮性布で成る層（２０，４６）に縦方向の全長に沿って固定するステップであって、前記第１層（１６，１８，２０；４２，４４，４６）が固定されている前記連続したループ材料（２２，４８）によって、縦方向で非伸縮性となることを特徴とするステップと、
   ｉｉ）前記連続したループ材料（２２，４８）の非伸縮性長形帯体の１端付近にフック材料部（２４，５２）を固定するステップと、
   を含んでいることを特徴とする方法。
5. 仙腸ベルト（１２０，１１０，２１０）であって、
   ユーザの腰の周囲に巻き付けられるように設計された非伸縮性の内側ベルト部（１４，１１４，２１４）と、
   前記内側ベルト部（１４，１１４，２１４）の後部付近から該内側ベルトの両側に前方へ延伸する寸法である伸縮性の外側ベルト部（１２，１１２，２１２）とを有しており、
   前記内側ベルト部（１４，１１４，２１４）は請求項１から３の何れかに記載の複合構造体バンド（４０）で成り、
   前記外側ベルト部（１２，１１２，２１４）は前記内側ベルト部（１４，１１４，２１４）の第２層と連結するフック材料部（２８，１２８）を有することを特徴とする仙腸ベルト。
6. 前記内側ベルト部（１４，１１４）のフック材料部（２４）と、前記外側ベルト部（１２，１１２Ａ，１１２Ｂ）の前記フック材料部（２８；１２８）とは非締め付け式構造で、前記内側ベルト（１４，１１４）の前記第２層に連結するために提供されていることを特徴とする請求項５記載の仙腸ベルト。
7. 前記内側ベルト部（１４，１１４）の前記第２層の縁部を越えて延伸する縦方向の長形弾性クッションを更に含んでいることを特徴とする請求項５又は６記載の仙腸ベルト。
8. 前記内側ベルト部（１４，１１４，２１４）の前記第２層の縁部を越えて幅方向に延伸する長形弾性クッションを更に含んでいることを特徴とする請求項５又は６記載の仙腸ベルト。
9. 前記外側ベルト部（１２，１１２）は、前記内側ベルト部（１４，１１４）の後部周囲で両側に延伸する伸縮性帯体（２６，１２６）を含んでいることを特徴とする請求項５から８のいずれかに記載の仙腸ベルト。
10. 前記外側ベルト部（１２，１１２）は、１端にそれぞれフック材料部を有する２つの外側伸縮性半部分を提供するように前記内側ベルト部に固定されていることを特徴とする請求項５から９のいずれかに記載の仙腸ベルト。
11. 前記外側ベルトは、それぞれの端部に固定されているフック材料部と、中央部の第３のフック材料部とを含んでいることを特徴とする請求項５から９のいずれかに記載の仙腸関節ベルト。

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