JP5117642B2 - 耐熱性接着剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅箔などの金属、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などに対して優れた接着性を有する、各種プリント配線板あるいは半導体パッケージ用の接着剤、接着フィルムさらに半導体パッケージ用封止材などに好適な耐熱性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の構成要素は導体回路を形成する銅、アルミニウム、金などの金属、絶縁部材を形成するポリイミド、エポキシ樹脂などの樹脂や半導体チップなどシリコン系の無機材料など、種々存在する。これらの構成要素は接着剤により接着されており、各種配線板はその製造において種々の接着剤や接着シートが用いられている。。
【0003】
例えば、フレキシブルプリント配線板(FPC)はポリイミドフィルムと銅箔をアクリルやエポキシ系の接着剤を介して圧着した3層構造の銅箔付きポリイミドフィルムを回路加工することにより作られている。ポリイミドは耐熱性に優れた材料であるが、アクリルやエポキシ系の接着剤では耐熱性がポリイミドに比較して劣るためFPCの耐熱性も接着剤部分で決まってしまう。ポリイミドと高い接着性を有し、耐熱性に優れ、特に高温時の接着に関する信頼性については十分な接着剤はこれまでなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、銅箔などの金属、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などに対して優れた接着性を有する耐熱性樹脂組成物を提供するものである。特にポリイミドとの接着が比較的低温(180℃以下)で行え、加熱硬化も同様に低温(200℃以下)で処理でき、高温(120℃以上)の長期信頼性試験でも接着力を低下しない耐熱性接着剤を提供するものである。
【0005】
FPCの製造などで使用される銅箔付きポリイミドフィルムではポリイミドフィルムと銅箔を接着剤を介して張り合わせている。耐熱性の接着剤の一つとしてシロキサン変性ポリアミドイミド、エポキシ樹脂及びゴム系エラストマからなる接着剤があげられる。この接着剤はポリイミドや銅箔と高い接着力、耐熱性を得ることができる。このような系ではエポキシ樹脂やゴム系エラストマの接着剤中での分散状態が接着に重要であり、相分離構造的なミクロ分散状態を取ることが高接着に関与していると考えられる。しかしながら初期の相分離状態は高温での保持に伴いエポキシ樹脂成分が相溶化して均一系となり接着性が低下する。
【0006】
そこでシロキサン変性ポリアミドイミドとエポキシ樹脂からなる接着剤相分離状態を制御しポリイミドや銅箔などの金属との接着性に優れた接着剤を得ることを課題とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次のものに関する。
(1) エポキシ樹脂とその硬化促進剤からなる熱硬化性樹脂成分(A)及び芳香族環を3個以上有するジアミン30〜95重量%とアミン当量が600以上のシロキサンジアミン5〜70重量%の混合物に無水トリメリット酸を反応させて得られる一般式(1式)及び一般式(2式)で示されるジイミドジカルボン酸を含む混合物と一般式(3式)で示される芳香族ジイソシアネートを反応させて得られる相分離構造を形成可能なシロキサン変性ポリアミドイミド樹脂(B)を含む耐熱性接着剤。
【0008】
【化4】
【0009】
【化5】
【0010】
【化6】
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、銅箔などの金属、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などに対して優れた接着性を有する耐熱性樹脂組成物を提供するものであり、特にポリイミドとの接着が比較的低温(180℃以下)で行え、加熱硬化も同様に低温(200℃以下)で処理でき、高温(120℃以上)の長期信頼性試験でも接着力を低下しない耐熱性接着剤を提供するものである。
【0012】
本発明は、熱硬化性樹脂成分(A)及び(A)成分と相溶性の構造と(A)成分と非相溶性の構造を有し、(A)成分と反応可能な基を有する高分子量体成分(B)を含む耐熱性接着剤であり、熱硬化性樹脂成分(A)がエポキシ樹脂、(B)成分がシロキサン変性ポリアミドイミドである耐熱性接着剤である。
【0013】
(A)成分のエポキシ樹脂は一分子中に二個以上のグリシジル基を有していれば特に限定はない。その硬化促進剤としてはイミダゾールなどの塩基性触媒である。
【0014】
また、(B)成分の相分離構造を形成可能なシロキサン変性ポリアミドイミド樹脂が、芳香族環を3個以上有するジアミンとアミン当量が600以上のシロキサンジアミンの混合物に無水トリメリット酸を反応させて得られる一般式(1式)及び一般式(2式)で示されるジイミドジカルボン酸を含む混合物と一般式(3式)で示される芳香族ジイソシアネートを反応させて得られるシロキサン変性ポリアミドイミド樹脂である耐熱性接着剤である。
【0015】
(B)成分の相分離構造を形成可能なシロキサン変性ポリアミドイミドは芳香族環を3個以上有するジアミンとアミン当量が600以上のシロキサンジアミンの混合物に無水トリメリット酸を反応させて得られる一般式(1式)及び一般式(2式)で示されるジイミドジカルボン酸を含む混合物と一般式(3式)で示される芳香族ジイソシアネートを反応させて得ることができる。
【0016】
本発明で使用する芳香族環を3個以上有するジアミンとしては、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下、BAPPと略す)、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、4,4‘−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンなどが挙げられ、単独でまたはこれらを組み合わせて用いることができる。BAPPは、シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂の特性のバランスとコスト的に他のジアミンより特に好ましい。
【0017】
本発明で使用されるシロキサンジアミンとしては(4式)で示されるものが用いられる。
【化7】
(但し、式中R10及びR11はそれぞれ2価の有機基を示し、R12〜R15はアルキル基、フェニル基または置換フェニル基を示し、nは1〜15の整数を示す。)R10及びR11はそれぞれ前記R3及びR4に同じであり、R12、R14、R13及びR15はそれぞれ、前記したR5、R6、R7及びR8に同じである。
R3及びR4の具体例としては、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜3のアルキル基、ハロゲン原子等で置換されていてもよいフェニレン基又は炭素数1〜3のアルキル基、ハロゲン原子等で置換されていてもよいナフタレン基等のアリーレン基がある。R5、R6、R7及びR8において、アルキル基は炭素数が1〜3のものが好ましく、フェニル基に結合していてもよい置換基としては、炭素数1〜3のアルキル基、ハロゲン原子等がある。
【0018】
このようなシロキサンジアミンとしてアミン当量が600以上のシロキサン系両末端ジアミンとしてアミノ変性シコーンオイルX−22−161A(アミン当量840)、X−22−161B(アミン当量1500)、以上信越化学工業株式会社製、商品名、BY16−853(アミン当量650)、BY16−853B(アミン当量2200)以上、東レダウコーニングシリコーン株式会社製商品名などが市販品として挙げられる。
【0019】
本発明で用いられるジイソシアネートとしては、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略す)、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、2,4−トリレンダイマなどが挙げられる。これらは単独でまたは、組み合わせて用いることができる。
【0020】
本発明で用いる(A)シロキサン変性ポリアミドイミドの製造方法としては、(1)芳香族環を3個以上有するジアミン及び(2)シロキサンジアミンの混合物[(1)/(2)=99.9/0.1〜0.1/99.9モル比]と無水トリメリット酸(以下TMAと略す)を(1)+(2)の合計モル数とTMAのモル比が1/2.05〜1/2.20で非プロトン性溶媒の存在下に、50〜90℃で反応させ、さらに水と共沸可能な芳香族炭化水素を非プロトン性溶媒の0.1〜0.5重量比で投入し、120〜180℃で反応を行い、芳香族ジイミドジカルボン酸とシロキサンジイミドジカルボン酸を含む混合物を製造し、これと芳香族ジイソシアネートとの反応を行うことができる。また、ジイミドジカルボン酸を製造した後、その溶液から芳香族炭化水素を除去し、これと芳香族ジイソシアネートの反応を行うものである。これによりシロキサン変性ポリアミドイミド樹脂は非プロトン性極性溶媒を含むワニスとして得られる。
【0021】
シロキサン変性ポリアミドイミドの製造で使用される溶媒は、芳香族環を3個以上有するジアミン、シロキサンジアミン及びTMAと反応しない有機溶媒であり、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリジノン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、シクロヘキサノン、などが挙げられる。イミド化反応には、高温を要するため、N−メチル−2−ピロリジノン特に好ましい。
【0022】
シロキサン変性ポリアミドイミドは耐熱性、接着剤の乾燥性、可とう性、接着性などの点から樹脂構造中のシロキサン含量が5〜70重量%のものが好ましい。シロキサン含量は一般式(1式)及び(2式)で示される芳香族ジアミンとシロキサンジアミンの配合比を変化させることで得ることができる。
【0023】
(A)成分と(B)成分の他に添加しても良いゴム系エラストマとしてはアクリロニトリルゴム、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどが使用できる。これらは特に限定されるものではない。アクリルゴムとしてはアクリロニトリルと他の(メタ)アクリル系モノマとの共重合体が用いられる。また、これらのエポキシ変性物、例えば、グリシジルアクリレートとの共重合物、あるいはエポトートYR528、YR570(以上、東都化成製)が挙げられる。ポリブタジエンゴムとしては、ブタジエンゴム、ブタジエン−イソプレンゴム、ブタジエン−スチレンゴムなどが用いられる。これらのエポキシ変性物、例えばダイセル化学製のエポキシ化ポリブタジエン、エポリードPB3600、PB4700、エポキシ化ブタジエン−スチレンなどが挙げられる。アクリルブタジエンゴムとしては、NBRゴム、アクリル−イソプレン、アクリル−ブタジエン−イソプレン、アクリル−ブタジエン−スチレンなどが挙げられる。シリコーンゴムとしては、オルガノポリシロキサンを主成分としたもので、ポリジメチルシロキサン系、ポリメチルフェニルシロキサン系ポリジフェニルシロキサン系に分けられる。一部をビニル基、アルコキシ基などで変性したものがある。
【0024】
これらの中でもアミド基と反応可能なエポキシ基を有するエポキシ化ポリブタジエンが好ましい。その配合量は(A)成分と(B)成分の合計量100部に対して5〜20重量部が好ましい。5重量部以下ではポリイミドに対する接着硬化が低い場合も考えられ、20重量部を越えると樹脂組成物を硬化した時に、弾性率、Tgの低下を起こすことがある。
【0025】
(A)成分の熱硬化性樹脂成分としては2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂とその硬化促進剤、もしくは2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂とその硬化剤及びその硬化促進剤を用いることが好ましい。接着剤の加熱処理により芳香族ポリアミドイミドのアミド基とエポキシ基が反応して、橋架け構造を生成する。エポキシ樹脂としてはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂などが利用でき、これらを数種類、混合して用いてもかまわない。これらの反応を促進する目的のため、イミダゾールなどの塩基性触媒を添加することが好ましい。
【0026】
難燃性付与のために添加できるリン系化合物としては、有機リン系化合物が使用でき、トリフェニルホスフェート、トリグリシジルホスフェート、ポリホスフェート化合物、レゾルシンポリホスフェート化合物、トリキシリレニルホスフェート、芳香族縮合リン酸エステル及びビフェニル型リン酸エステルなどが挙げられる。これらリン系化合物を配合する場合には(A)+(B)成分の総量100重量部に対して15〜25重量部が好ましい。15重量部未満では、難燃性が不十分となる傾向があり、25重量部を越えると接着性、はんだ耐熱性が低下する傾向がある。
【0027】
また樹脂中にリンを有するエポキシ樹脂を添加しても十分な難燃性を得ることが可能である。このようなエポキシ樹脂としてZX−1548−1、ZX−1548−2、ZX−1548−3、ZX−1548−4(以上東都化成株式会社製)があげられる。シロキサン変性ポリアミドイミドの場合、樹脂の構造中にアミド基やイミド基などの窒素源を有しており、接着剤中のリン含量を10%以下としても効果的に難燃性を付与することができる。
【0028】
無機充填剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミン酸カルシウム、シリコーンポリマ粉末が挙げられ、結晶水を含有する水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが特に好ましい。無機充填剤を配合する場合には(A)+(B)成分の総量100重量部に対して50〜80重量部が好ましく、50〜60重量部が特に好ましい。50重量部未満では難燃性が低下し、80重量部以上では接着性、はんだ耐熱性が低下する。
【0029】
本発明では、これら組成物を有機溶媒中で混合して、耐熱性樹脂組成物とする。このような有機溶媒としては、溶解性が得られるものであればどのようなものでも良く、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリジノン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、シクロヘキサノンなどが使用できる。
【0030】
【実施例】
(シロキサン変性ポリアミドイミドの合成)
(合成例1)
還流冷却器を連結したコック付き25mlの水分定量受器、温度計、攪拌機を備えた1リットルセパラブルフラスコに芳香環を3個以上有するジアミンとしてBAPP(2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン)55.4g、シロキサンジアミンとして反応性シリコンオイルX−22−161B(信越化学株式会社製商品名、アミン当量1560)46.8g、TMA(無水トリメリット酸)60.5g、非プロトン性極性溶媒としてNMP(N−メチルピロリドン)474gを仕込み、80℃で30分間、攪拌した。
【0031】
その後、水と共沸可能な芳香族炭化水素としてトルエン100mlを投入してから温度を上げ、約160℃で2時間還流させた。水分定量受器に水が約6.3ml以上たまっていること、新たな水の流出がみられなくなっていることを確認し、水分定量受器にたまっている流出液を除去しながら、約190℃まで温度を上げて、トルエンを除去した。
【0032】
その後、溶液を室温に戻し、芳香族ジイソシアネートとしてMDI(4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート)45.1gを投入し、160℃で2時間反応させた。反応終了後、相分離状態を形成するシロキサン変性ポリアミドイミド樹脂のNMP溶液を得た。
【0033】
(合成例2)
還流冷却器を連結したコック付き25mlの水分定量受器、温度計、攪拌機を備えた1リットルセパラブルフラスコに芳香環を3個以上有するジアミンとしてBAPP(2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン)49.3g、シロキサンジアミンとして反応性シリコンオイルX−22−161A(信越化学株式会社製商品名、アミン当量805)48.3g、TMA(無水トリメリット酸)60.5g、非プロトン性極性溶媒としてNMP(N−メチルピロリドン)474gを仕込み、80℃で30分間、攪拌した。
【0034】
その後、水と共沸可能な芳香族炭化水素としてトルエン100mlを投入してから温度を上げ、約160℃で2時間還流させた。水分定量受器に水が約6.3ml以上たまっていること、新たな水の流出がみられなくなっていることを確認し、水分定量受器にたまっている流出液を除去しながら、約190℃まで温度を上げて、トルエンを除去した。
【0035】
その後、溶液を室温に戻し、芳香族ジイソシアネートとしてMDI(4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート)45.1gを投入し、160℃で2時間反応させた。反応終了後、相分離状態を形成するシロキサン変性ポリアミドイミド樹脂のNMP溶液を得た。
【0036】
(合成例3)
還流冷却器を連結したコック付き25mlの水分定量受器、温度計、攪拌機を備えた1リットルセパラブルフラスコに芳香環を3個以上有するジアミンとしてBAPP(2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン)41.1g、シロキサンジアミンとして反応性シリコンオイルX−22−161AS(信越化学株式会社製商品名、アミン当量421)84.2g、TMA(無水トリメリット酸)80.7g、非プロトン性極性溶媒としてNMP(N−メチルピロリドン)494gを仕込み、80℃で30分間、攪拌した。
【0037】
その後、水と共沸可能な芳香族炭化水素としてトルエン100mlを投入してから温度を上げ、約160℃で2時間還流させた。水分定量受器に水が約7.2ml以上たまっていること、新たな水の流出がみられなくなっていることを確認し、水分定量受器にたまっている流出液を除去しながら、約190℃まで温度を上げて、トルエンを除去した。
【0038】
その後、溶液を室温に戻し、芳香族ジイソシアネートとしてMDI(4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート)60.1gを投入し、160℃で2時間反応させた。反応終了後、相溶性のシロキサン変性ポリアミドイミド樹脂のNMP溶液を得た。
【0039】
(実施例1〜3)
合成例1で得た相分離構造を形成するポリアミドイミド、多官能性エポキシ樹脂としてYDCN8125(東都化成株式会社製:エポキシ当量173)、硬化促進剤としてイミダゾール2E4MZ、0.2重量部を表1に従い配合した。攪拌後、脱泡のため1日、静置した。このワニスを用いて硬化樹脂の弾性率、Tg及び接着強度(銅箔、ポリイミド、42−アロイ)を評価し、結果を表1に併せて示した。
【0040】
また、合成例1、合成例2及び実施例2の各フィルム硬化物の破断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ合成例1、合成例2では海島構造が観察され、実施例2ではエポキシ樹脂が海島構造に沿って分散している様子が観察された。
【表1】
【0041】
(実施例4〜6)
合成例2で得たポリアミドイミド、多官能性エポキシ樹脂としてZX−1548−2(東都化成株式会社製:エポキシ当量272)、硬化促進剤としてイミダゾール2E4MZ、0.2重量部を表2に従い配合した。攪拌後、脱泡のため1日、静置した。このワニスを用いて硬化樹脂の弾性率、Tg、接着強度(銅箔、ポリイミド、42−アロイ)及び難燃性を評価し、結果を表2に併せて示した。
【表2】
【0042】
(比較例1〜3)
合成例3で得たポリアミドイミド、多官能性エポキシ樹脂としてYDCN8125(東都化成株式会社製:エポキシ当量173)、硬化促進剤としてイミダゾール2E4MZ、0.2重量部を表3に従い配合した。攪拌後、脱泡のため1日、静置した。このワニスを用いて硬化樹脂の弾性率、Tg、接着強度(銅箔、ポリイミド、42−アロイ)及び難燃性を評価し、結果を表3に併せて示した。
【0043】
合成例3のフィルム硬化物の破断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、海島構造などの不均一構造は観察されなかった。
【表3】
【0044】
(長期信頼性試験)
実施例2、実施例5及び比較例2の銅箔/接着剤/ポリイミド積層品を150℃の雰囲気下に所定時間(試験時間)放置後、室温まで冷却して接着強度を調べた結果を図1のグラフに示した。実施例では初期の接着強度が高いだけでなく長期信頼性に優れることが分かった。
【0045】
実施例及び比較例中の接着強度は以下のようにして測定した。
(ポリイミド接着性)
ポリイミドフィルム(カプトン50μm)にワニスを乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗布した。温風循環型乾燥機中で120℃15分乾燥した。その後、180℃で2時間硬化させ樹脂積層フィルムを得た。このフィルムの接着剤樹脂面をエポキシ系接着剤(チバガイギー製アラルダイト)でエポキシ樹脂板に接着した。ワニス樹脂層とポリイミドフィルム界面から1cm幅を5cm/分の速度で剥がし、ポリイミド接着強度を測定した。
【0046】
(銅箔接着性)
銅箔(日本電解株式会社製SLP−18)の粗化面にワニスを乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗布した。温風循環型乾燥機中で120℃15分乾燥した。その後、接着剤付きフィルムを銅箔(日本電解株式会社製SLP−18)の粗化面と合わせて180℃、2MPaで1時間加熱圧着し両面銅箔付きフィルムを得た。この両面銅箔付きフィルムの銅箔を1cm幅、5cm/分の速度で剥がし、銅箔接着強度を測定した。
【0047】
(42−アロイ接着性)
銅箔(日本電解株式会社製SLP−18)の粗化面にワニスを乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗布した。温風循環型乾燥機中で120℃15分乾燥した。その後、接着剤付きフィルムを42−アロイ(日立金属株式会社製)と合わせて180℃、2MPaで1時間加熱圧着し測定用試料を得た。この測定用試料の銅箔を1cm幅、5cm/分の速度で剥がし、銅箔接着強度を測定した。
【0048】
【発明の効果】
本発明の耐熱性樹脂組成物は銅箔などの金属やポリイミド、エポキシ樹脂などとの接着力が高い。相分離構造を形成するシロキサン変性ポリアミドイミドとエポキシ樹脂の硬化系により接着剤中でのエポキシ樹脂の分散状態を制御し、高い接着力を保持できる。また、ベースポリマであるシロキサン変性ポリアミドイミドのアミド基、イミド基によりリン含有エポキシ樹脂との組み合わせで良好な難燃性を付与することができる。本耐熱性接着剤は乾燥性が高く、塗膜の残存揮発分を下げられることから、両面銅箔付きポリイミドフィルムなどを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2、実施例5及び比較例2の銅箔/接着剤/ポリイミド積層品の150℃での試験時間に対する接着強度しめすグラフである。
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