JP5117578B2 - ペリクル膜、tft液晶パネル製造用マスクとともに用いるペリクル、及び該ペリクルを含むフォトマスク - Google Patents

ペリクル膜、tft液晶パネル製造用マスクとともに用いるペリクル、及び該ペリクルを含むフォトマスク Download PDF

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Description

本発明は、IC(集積回路)、LSI(大規模集積回路)、TFT型LCD(薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)等のリソグラフィ工程で使用されるフォトマスクやレティクルに異物が付着することを防止するために用いられるペリクル及びペリクルに使用されるペリクル膜、並びに、該ペリクルを含むフォトマスクに関するものである。本発明は、特にTFT液晶型フラットパネルディスプレーのパターン形成に好適に用いることが出来るペリクル及びペリクルに使用されるペリクル膜、並びに、該ペリクルを含むフォトマスクに関するものである。
従来、シリコンウエハ(以下、単に「ウエハ」ともいう。)への半導体素子パターン形成や、液晶パネル等のフラットパネルディスプレー基板上へのパターン形成時には、一般にペリクルと呼ばれる防塵手段を用いて、フォトマスク(以下、単に「マスク」ともいう。)への異物の付着を防止することが行われている。
「ペリクル」とは、マスクの形状に合わせた形状を有する厚さ数ミリ程度の枠体(以下、「フレーム」ともいう。)の上縁面側に、厚さ10μm以下の透明な高分子膜(以下、「ペリクル膜」という)を展張して接着し、かつ該枠体の下縁面側に粘着材層を積層したものである。
液晶パネル等の製造に使用されるペリクルは、半導体素子製造に使用されるペリクルに比較して大型であり、そのペリクル膜の面積が1000cm以上30000cm以下である。
フォトリソグラフィ技術による半導体素子の製造方法では、フォトレジストの成膜工程、露光工程、現像工程、エッチング工程、フォトレジストの剥離工程からなるフォトリソグラフィ工程を経ることによって、素子回路が形成されている。フォトリソグラフィの各工程では、フォトレジストを塗布するための有機溶媒や、エッチング又はフォトレジストを現像したり剥離したりするための薬液が使用され、化学反応や光化学反応を利用することによって効率的に素子回路が生産されている。このため、製造環境雰囲気中には、前記した各種有機溶媒や薬液の使用によって、揮発、飛散した化学物質が微量ながら存在している。
製造環境雰囲気中に存在するこれらの化学物質は、マスクのペリクル膜やペリクル膜を展張した枠体の側面に形成された通気孔を通って、マスクのパターン形成表面上に到達し、マスク製造工程で残留した化合物やその他マスク表面上に存在する化合物と反応して固化し、異物を発生させることがある。マスクは、長い場合には数年単位の長期にわたり使用されるため、使用期間と露光頻度に応じて、これらの異物の初期発生量が例え微量であったとしても、次第に蓄積、増大して成長する異物(以下、「成長性異物」ともいう。)となる。そして、この成長性異物が、結果的にマスク表面上のパターンの紫外線透過部に発生すると、露光欠陥となり、不良デバイスや欠陥を生じる原因となる。
近年、LSIパターンの微細化・高集積化に伴い、露光装置の光源に関して、高圧水銀灯のg線(436nm)、i線(365nm)から、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)へと短波長化が進んでいる。このような短波長の露光光源は、高エネルギーかつ高出力のために、光のエネルギー密度が高く、光化学反応を起こしやすい。その結果として前記成長性異物の発生は、露光光源が短波長であるほど顕著となることが指摘されている。
短波長の露光光源を用いたときのマスクに発生する成長性異物発生の原因の一つとして、マスク製造後にマスク表面に残存する硫酸イオン(マスク洗浄に使用する)と、マスク使用雰囲気に存在するアンモニア(現像液に使用する)とが、パターン転写の際のエキシマレーザ照射により反応を起こし、硫酸アンモニウムを生じることにより異物となることが報告されている(非特許文献1及び特許文献1を参照。)。
またペリクルのフレームとして使用されるアルミニウム合金の表面の陽極酸化被膜中には硫酸、硝酸、有機酸等の酸が取り込まれており、これが露光環境下で該陽極酸化被膜中から脱離して、ペリクルとマスクの間の閉空間内に滞留して、このものに露光時の短波長紫外線が当たることによって、硫酸化合物、例えば硫酸アンモニウムなどを発生する等の報告がある(特許文献2を参照。)。
このため、製造後の検査では無欠陥の良好な品質状態のマスクであっても、露光装置でエキシマレーザ照射を繰り返すうちに、マスク上に成長性異物が生じ、ウエハへの良好なパターン転写像が得られなくなるという問題がある。この対策として、マスク製造時の硫酸残量を低下させることや、環境中のアンモニアをケミカルフィルターなどで除去する方法、マスクとペリクルの間の閉空間内に窒素ガスを導入する方法、マスク使用環境の湿度を低下させる方法等によって、成長性異物の発生を抑制する方法が提案されている。
特開2006−11048号公報 特開2007−333910号公報
Advanced Microlithography Technologies, Proc. of SPIE, Vol. 5645 (2005), p109-113
しかしながら、フラットパネルディスプレー用の液晶パネルの製造工程においては、半導体素子の製造工程と比較して、転写パターンの線幅やピッチが比較的大きいことから、前記のようなエネルギー密度の高い短波長の露光光を用いる必要はなく、露光面積が広く、露光光量が必要なことから、一般には、温度15℃以上の雰囲気において、i線〜g線の波長域を有するブロードバンド露光光を用いて、マスクパターンを転写している。したがって、フラットパネルディスプレー用の液晶パネルの製造工程においては、半導体素子製造用の場合のようにエネルギーの高い露光光の照射による化学物質の生成が、マスク上の異物を生じさせることがほとんどなく、深刻な問題とはされてこなかった。
前記したように、フラットパネルディスプレー用の液晶パネルの製造工程においては、半導体素子製造用の場合のようにエネルギーの高い露光光の照射による化学物質の生成が、マスク上の異物を生じさせることがほとんどなく、深刻な問題とはされてこなかったが、近年、i線〜g線(例えば、365〜436nm)の露光光を用いる、TFT液晶パネル製造用の大型マスク使用現場においても、半年から数年といった期間のマスク保存又は使用によりマスクのペリクル内部、パターン形成面に、成長性異物が生じる問題が、本発明者らにより発見された。本発明者らが、検討した結果、この成長性異物の発生は、保管環境と相関をもち、一方で、露光回数とは明確な相関がみられないことが見出された。
半導体素子製造用のマスクにおいて生じたように、成長性異物の原因が硫酸アンモニウムであれば、ペリクルとマスクの間の閉空間内に硫酸イオンが残留しないような対策をとることで成長性異物の発生を抑制することが可能である。しかしながら、本発明者らが、検討した結果、硫酸イオン対策をとったとしても、なおかつハードクロムマスク(一般に合成石英等の基板上にクロムを含む遮光性膜パターンが形成されたマスク)上に成長性異物が発生する場合があることが判明した。
すなわち、TFT液晶パネル製造用の大型マスクの使用に際して、パターン形成面に生じる成長性異物は、従来半導体素子製造用の小型マスクの使用に際して知られていたものとは異質のものであり、異なった対策が必要であることを、本発明者らは発見し、本願発明を完成するに至った。したがって、本願発明が解決しようとする課題は、IC(集積回路)、LSI(大規模集積回路)、TFT型LCD(薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)等の半導体装置の製造工程、特にTFT液晶パネルの製造工程において、ハードクロムマスク上に前記成長性異物が発生することを抑制することができるペリクル及びペリクルに使用するペリクル膜、並びに該ペリクルを含むフォトマスクを提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を進めた結果、フォトリソグラフィ技術を使用したTFT液晶パネル製品の製造工程におけるハードクロムマスク表面に発生する成長性異物の主な原因が、製造環境に含まれる蓚酸と該ハードクロムマスクにおける遮光材であるクロム又はその化合物との反応生成物である蓚酸クロム錯体にあることを発見した。
また、この成長性異物が、転写パターン内部、すなわち、エッチングによってパターニングされたクロム系遮光性膜のエッジを起点として成長しやすいことを発見した。したがって、マスクの置かれた環境に何らかの原因で存在する蓚酸又はその化合物のイオンが、遮光性膜に使用されたクロムと何らかの反応を生じていることが判明した。
この成長性異物は、多くの場合、1〜50μm程度の寸法を有する。したがって、遮光パターンとして30μm以上500μm以下の線幅を有する、前記用途のフォトマスクにおいても、パターン転写の際の障害となり、深刻な問題となることが明らかになった。
マスクの保管環境によってはこの成長性異物の発生はほとんど見られず、さらに、液晶パネル用マスクのペリクルにおいて、過去にはこの種の成長性異物が発生しなかったことから、液晶パネル製造メーカのもつマスクの保管環境又は使用環境の変化に応じて、成長性異物が成長することが推測された。
TFT液晶パネルの製造においては、TFT基板のITO(インジウムスズオキサイド)電極やZnO(酸化亜鉛)電極によるパターン形成とカラーフィルターのパターン形成とにフォトリソグラフィ技術が使用されている。このうち、ITO電極のパターン形成におけるエッチング工程においては、従来、エッチング液として塩酸が使用されていたが、近年、ITO電極の主流がアモルファスITOとなったためエッチング液として蓚酸が使用されるようになってきた。従って、本発明者らは、TFT液晶パネルの製造工程においてハードクロムマスク上に発生する成長性異物の発生原因の一つは、かかる製造工程の変化に伴ってエッチング液として新たに使用されるようになった蓚酸ではないかと考えた。なお、蓚酸イオンが存在する雰囲気が従前からあった場合においても、その濃度が上昇するような、製造工程の変化があったと考えられる。
本発明者らが鋭意検討した結果、以下のメカニズムで蓚酸が成長性異物を生成していることを突き止めた。
従来、TFT液晶パネルを製造する雰囲気(製造環境雰囲気)中には濃度の高い蓚酸が存在することはなかった。しかしながら、前述したパネル製造における工程の変更により、製造環境雰囲気は変化し、製造環境雰囲気中の蓚酸含有濃度が高くなることがある。
蓚酸は、ガス状、微粒粉体状又はミスト状で製造環境雰囲気中に存在し、ペリクル膜やペリクル枠体の通気孔、その他部材を通って、ハードクロムマスク表面に到達すると考えられる。
大型のフラットパネルディスプレー用のTFT液晶パネル製品の製造工程においては、前述したITOエッチング液としての蓚酸が、製造環境雰囲気中の蓚酸の供給源と考えられる。
前述の製造環境雰囲気中に存在する蓚酸はハードクロムマスク表面に付着し、ハードクロムマスク表面の遮光材として利用されるクロム又はその化合物と反応して、錯体が形成される。この反応は、蓚酸が含水、吸湿又は吸水し、蓚酸イオンとなることでクロム又はその化合物との反応性が高まって、成長性異物が生じやすくなる。特に蓚酸の反応性は蓚酸の吸湿状態によって変化し、製造環境雰囲気の湿度が上昇し(例えば、湿度が70%以上、さらには80%以上の場合など)、蓚酸が過剰な水分を含む状態になると成長性異物が生成しやすくなる。したがって、成長性異物を抑制する方法としては、マスクパターンの静電破壊が発生しない程度に製造環境雰囲気の湿度を低くすることも有効であるが、TFT液晶パネル用途マスクの場合には、この方法は採用し難い。
成長性異物は、フォトマスクの裏面や周縁近傍には発生しにくく、クロム系遮光性膜に形成されたパターンに発生しやすい。特にパターンのエッジを起点として成長しやすい。このエッジは、スパッタ法によって成膜されたクロム系遮光性膜をエッチングによってパターニングされたエッジである。主として大型マスクのクロムエッチングは、硝酸セリウム第二アンモニウムを主成分とする薬液によってウェットエッチングされる。
但し、一般に、常温の保管状態では、金属Crと他の元素やイオンとの反応は起こりにくい。したがって、透明基板上にスパッタ法によって成膜されたクロム系遮光性膜(又はクロム系遮光性膜の反射防止膜)には、比較的活性の高い、イオン化した状態のクロム(Cr2+、Cr3+等)が、ある確率で存在することがあり、そうした化学種が発端となって、環境物質との反応を促進して異物を発生させ又は成長させると考えられる。あるいは、クロムを含む遮光性膜である前記クロム系遮光性膜に含有される金属Crが環境物質と接触することによって、活性のより高いイオン化したクロムが発生することが考えられる。
更に、前記のように異物発生がパターンのエッジを起点とすることが多いことから、エッチングによるパターン断面に、前記の活性の高いクロムが存在しやすいこと、アンモニアが成長性異物の成長を促進させていることが推定される。
また、本発明者らの検討によると、高湿度下(例えば、70%以上)において、成長性異物の発生が多くみられたため、高湿度における環境物質との接触により、イオン化したクロムが発生して、成長性異物が生成されやすいことが理解できる。また、遮光性膜が組成の異なる複数の層を積層してなるものであるときに異物が発生しやすいことから、高湿度化の異種金属の接触による、イオン化が作用していることも考えられる。
本願明細書中、「蓚酸クロム錯体」とは、蓚酸と、クロム又はクロムの化合物とが反応して生成した錯体、及び該錯体が雰囲気に存在するアンモニア、アミン等の有機塩基性物質やLi、Na、K、Ca等を含む無機塩基性物質と反応して形成した塩を意味する。
以下、生成しうる成長性異物の塩を示す。Mは、1価陽イオンまたは2価陽イオンを、そしてnは整数を示す。該成長性異物の塩として、トリス(オキサラト)クロム(III)酸塩M3[Cr(C2O4)3]とその水和物、例えば、(NH4)3[Cr(C2O4)3]・2H2O、(NH4)3[Cr(C2O4)3]・3H2O、K3[Cr(C2O4)3]・3H2O、Li3[Cr(C2O4)3]・5.5H2O、Na3[Cr(C2O4)3]・4.5H2O、Na3(NH4)3[Cr(C2O4)32・7H2O、K3(NH4)3[Cr(C2O4)32・5H2O、Rb3[Cr(C2O4)3]・3H2O、Na3Rb3[Cr(C2O4)32・7H2O、Ag3[Cr(C2O4)3]・nH2O、K(C21H23N2O22[Cr(C2O4)3]・4H2O 、(C21H23N2O23[Cr(C2O4)3]・11H2O、Ca3[Cr(C2O4)32・18H2O、Ca3[Cr(C2O4)32・36H2O、CaK[Cr(C2O4)3]・3H2O、CaK[Cr(C2O4)3]・4H2O、Sr3[Cr(C2O4)32・12H2O、Sr(NH4)[Cr(C2O4)3]・4H2O、Sr(NH4)[Cr(C2O4)3]・5H2O、KSr[Cr(C2O4)3]・6H2O、Ba3[Cr(C2O4)32・6H2O、Ba3[Cr(C2O4)32・7H2O、Ba3[Cr(C2O4)32・12H2O、BaK[Cr(C2O4)3]・2H2O、BaK[Cr(C2O4)3]・3H2Oなどが挙げられる。
また、該成長性異物の塩として、エチレンジアミンビス(オキサラト)クロム(III)酸M[Cr(C2O4)2(C2H8N2)]とその水和物、例えば、(NH4)[Cr(C2O4)2(C2H8N2)]・(NH4)HC2O4・H2Oなどが挙げられる。また、該成長性異物の塩として、ジアクアビス(オキサラト)クロム(III)酸塩M[Cr(C2O4)2(H2O)2]とその水和物、例えば、K[Cr(C2O4)2(H2O)2]・2H2O、K[Cr(C2O4)2(H2O)2]・3H2O、Na[Cr(C2O4)2(H2O)2]・5H2O、(NH4)[Cr(C2O4)2(H2O)2]・3H2O、Li[Cr(C2O4)2(H2O)2]、Rb[Cr(C2O4)2(H2O)2]、Cs[Cr(C2O4)2(H2O)2]、Mg[Cr(C2O4)2(H2O)2、Ca[Cr(C2O4)2(H2O)22、Sr[Cr(C2O4)2(H2O)22、Ba[Cr(C2O4)2(H2O)2]などが挙げられる。また、該成長性異物の塩として、ジヒドロキソビス(オキサラト)クロム(III)酸塩M3[Cr(C2O4)2(OH)2]とその水和物、例えば、Ag3[Cr(C2O4)2(OH)2]・3H2O、Ca3[Cr(C2O4)2(OH)22・4H2O、K3[Cr(C2O4)2(OH)2]・6H2O、Ag3[Cr(C2O4)2(OH)2]、Pb3[Cr(C2O4)2(OH)2]などが挙げられる。また、アクア(ヒドロキソ)ビス(オキサラト)クロム(III)酸塩M2[Cr(C2O4)2(OH)(H2O)]とその水和物、例えば、K2[Cr(C2O4)2(OH)(H2O)]・2H2O、(NH4)2[Cr(C2O4)2(OH)(H2O)]・H2Oなども挙げられる。
成長性異物として特に生じやすいものは、アンモニウム塩であり、その中でも特にトリス(オキサラト)クロム(III)酸塩M3[Cr(C2O4)3]とその水和物、例えば、(NH4)3[Cr(C2O4)3]・nH2Oである。
前記蓚酸クロム錯体のほとんどは、吸湿性、吸水性、及び/又は潮解性があり、湿度によって形状は異なるが、結晶状や液状となる。またこれらの蓚酸クロム錯体は、フォトマスクが使用される環境下では、ほとんど昇華、蒸発などが起こらないので、成長性異物としてハードクロムマスク上に蓄積していく。また、これらの蓚酸クロム錯体からなる成長性異物は、転写パターン開口部にも生じ、その結果、露光が正常に行われないために、露光欠陥となり、作成されたTFT液晶パネルは不良又は欠陥品となる。この露光欠陥が発生するまでの時間は、マスクパターンの形状や種類、大きさ、パターンの種類、工程などで異なり、発生には幅があるが早い場合には1年〜2年で発生することがある。また、雰囲気中の蓚酸濃度が低い場合、該異物の発生に因り露光欠陥が生じるまでの時間は長くなる。
以上知見に基づき、雰囲気に存在する蓚酸やアンモニウム塩発生の主原因となるアンモニアが該閉空間内に入らないようなガスバリヤ性を有するペリクル膜を有するペリクルを使用すれば前記成長性異物の発生を抑制することが出来るとの着想に基づいてさらに検討した結果、本発明を完成するに至った。特開2006−184822号公報には、ペリクルフレームに起因する酸イオン(硫酸イオン、硝酸イオン、有機酸など)が異物生成の原因となりえることが開示されている。一方、液晶表示装置製造の環境においては、ITO電極のパターン形成時にエッチング液が使用されるが、このエッチング液の主流は塩酸であり、製造環境雰囲気中に蓚酸は成長性異物発生の原因とならない程の極微量しか存在していなかった。このため、上記環境雰囲気に蓚酸イオンが所定以上の濃度で存在することは認識されていなかった。そして製造環境雰囲気中に存在する蓚酸が問題視されていなかった以上、従来技術からは高いガスバリア性を有するペリクル膜を用いて上記成長性異物の発生を低減させるという技術的思想は起こりえなかった。本願発明は従来技術とは全く異なる技術的思想によってなされた発明である。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
70℃72時間における膜厚1μm換算の蓚酸透過量が1.0×10−3mg/cm以下であり、主たる膜材料が光学用有機高分子であるペリクル膜。
[2]
25℃でのアンモニア透過係数が8.0×10−9cm・μm/cm・s・Pa以下であり、主たる膜材料が光学用有機高分子であるペリクル膜。
[3]
70℃72時間における膜厚1μm換算の蓚酸透過量が1.0×10−3mg/cm以下である、[2]に記載のペリクル膜。
[4]
主たる膜材料が光学用有機高分子であり、該膜材料に該光学用有機高分子の全重量に対し0.1重量%以上15重量%以下の光安定剤を含むペリクル膜。
[5]
前記光学用有機高分子がシクロオレフィン系樹脂またはセルロース誘導体である、[4]に記載のペリクル膜。
[6]
前記光安定剤がヒンダードアミン系光安定剤である、[4]又は[5]に記載のペリクル膜。
[7]
枠体と、該枠体の上縁面側に[1]〜[6]のいずれかに記載のペリクル膜と、該枠体の下縁面側に粘着材層と、を有するペリクル。
[8]
TFT液晶パネル製造用フォトマスクとともに用いられる、[7]に記載のペリクル。
[9]
有機溶媒に光学用有機高分子と光安定剤を溶解させ、ポリマー溶液を作製する工程、及び該ポリマー溶液から有機溶媒を除去する工程を含む、ペリクル膜の製造方法。
[10]
前記有機溶媒が脂環式炭化水素、塩素系炭化水素、エステル系化合物、またはケトン系化合物である、[9]に記載のペリクル膜の製造方法。
[11]
前記光安定剤がヒンダードアミン系光安定剤である、[9]又は[10]に記載のペリクル膜の製造方法。
[12]
前記ヒンダードアミン系光安定剤が25℃で液状である、[11]に記載のペリクル膜の製造方法。
[13]
前記光学用有機高分子がシクロオレフィン樹脂又はセルロース誘導体である、[9]〜[12]のいずれかに記載のペリクル膜の製造方法。
[14]
透明基板の表面に、クロムを含む遮光性膜をパターニングしてなる転写パターンを有し、かつ、該透明基板の、転写パターンを有する側の面にペリクルを装着した液晶表示装置製造用のフォトマスクであって、
該透明基板は、1000cm以上の面積を有し、
該ペリクルのペリクル膜の膜厚は、0.5μm以上8μm以下であり、かつ、温度70℃の雰囲気に72時間、置かれたときの該ペリクル膜の膜厚1μm換算の蓚酸透過量が、1.0×10−3mg/cm以下である、前記フォトマスク。
[15]
前記遮光性膜の転写パターンは、スパッタ法によって前記透明基板上に成膜され、エッチングによりパターニングされたパターン断面を有する、[14]に記載のフォトマスク。
[16]
[14]又は[15]に記載のフォトマスクを温度15℃以上の雰囲気において、i線〜g線の波長範囲を含む露光光を照射することにより、前記転写パターンを、被転写体上に転写する、パターン転写方法。
[17]
[14]又は[15]に記載のフォトマスクを用意する工程、ITO電極を有し感光性レジストが塗布されてなるTFT液晶パネル基板を、該フォトマスクを通して露光する工程、該感光性レジストを現像する工程、及び該ITO電極を蓚酸を含むエッチング液でエッチングする工程を含むTFT液晶パネルの製造方法。
[18]
TFT液晶パネル製造用マスクとともに用いるペリクルであって、該ペリクルは、枠体、該枠体の下縁面側に積層された粘着材層、及び該枠体の上縁面側に展張されたペリクル膜を含み、該ペリクル膜の膜厚は、0.5μm以上8μm以下であり、かつ、該ペリクル膜の70℃72時間における蓚酸透過量は、1×10−4mg/cm以下である、前記ペリクル。
[19]
前記ペリクル膜の面積が1000cm以上30000cm以下である、[18]に記載のペリクル。
[20]
前記ペリクル膜がシクロオレフィン系樹脂を含む膜材料から形成される、[18]又は[19]に記載のペリクル。
[21]
前記ペリクル膜が、シクロオレフィン系樹脂及び該シクロオレフィン系樹脂の全重量に対し0.1重量%以上15重量%以下の光安定剤、又は、シクロオレフィン系樹脂、該シクロオレフィン系樹脂の全重量に対し0.1重量%以上15重量%以下の光安定剤及び0.1重量%以上10重量%以下の酸化防止剤、を含む膜材料から形成される[18]〜[20]のいずれかに記載のペリクル。
[22]
前記光安定剤が常温で液状である、[21]に記載のペリクル。
[23]
前記ペリクル膜の片面又は両面に、環式又は直鎖状のフッ素置換フルオロアルキルポリエーテルからなる反射防止層が積層されている、[18]〜[22]のいずれかに記載のペリクル。
[24]
[18]〜[23]のいずれかに記載のペリクルを、前記枠体の下縁面側に積層された粘着材層を介してハードクロムマスクに貼り付ける工程、ITO電極を有し感光性レジストが塗布されてなるTFT液晶パネル基板を、該ハードクロムマスクを通して露光する工程、該感光性レジストを現像する工程、及び該ITO電極を蓚酸を含むエッチング液でエッチングする工程を含むTFT液晶パネルの製造方法。
[25]
透明基板の表面に、クロムを含む遮光性膜をパターニングしてなる転写パターンを有し、かつ、該透明基板の、転写パターンを有する側の面にペリクルを装着した液晶表示装置製造用のフォトマスクであって、
該透明基板は、1000cm以上の面積を有し、
該ペリクルのペリクル膜の膜厚は、0.5μm以上8μm以下であり、かつ、
温度70℃の雰囲気に72時間、置かれたときの該ペリクル膜の蓚酸透過量は、1×10−4mg/cm以下である、前記フォトマスク。
[26]
前記遮光性膜の転写パターンは、スパッタ法によって前記透明基板上に成膜され、エッチングによりパターニングされたパターン断面を有する、[25]に記載のフォトマスク。
[27]
前記転写パターンは、線幅が30μm以上500μm以下の遮光パターンを有する、[25]又は[26]に記載のフォトマスク。
[28]
透明基板上にスパッタ法によってクロムを含む遮光性膜を形成し、該遮光性膜にレジスト膜を塗布し、該レジスト膜に対して所望の転写パターンを描画後、現像してレジストパターンを得、該レジストパターンをマスクとして、該遮光性膜をエッチングすることにより、該遮光性膜に該転写パターンをパターニングし、該レジストパターンを剥離したのち、該透明基板の、該パターニングされた遮光性膜側にペリクルを装着することを含むフォトマスクの製造方法であって、前記ペリクルのペリクル膜の膜厚は、0.5μm以上8μm以下であり、かつ、温度70℃の雰囲気に72時間、置かれたときの、該ペリクル膜の蓚酸透過量は1×10−4mg/cm以下である、前記フォトマスクの製造方法。
[29]
[25]〜[27]のいずれかに記載のフォトマスク、又は[28]に記載のフォトマスクの製造方法により製造されたフォトマスクを、温度15℃以上の雰囲気において、i線〜g線の波長範囲を含む露光光を照射することにより、前記転写パターンを、被転写体上に転写する、パターン転写方法。
[30]
前記枠体の下縁面側に積層された粘着材層を介して[18]〜[23]のいずれかに記載のペリクルを貼り付けた、ハードクロムマスクを用意する工程、ITO電極を有し感光性レジストが塗布されてなるTFT液晶パネル基板を、該ハードクロムマスクを通して露光する工程、該感光性レジストを現像する工程、及び該ITO電極を蓚酸を含むエッチング液でエッチングする工程を含むTFT液晶パネルの製造方法。
本発明に係るペリクルをハードクロムマスクに適用することで、IC(集積回路)、LSI(大規模集積回路)、TFT型LCD(薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)等の半導体装置の製造工程、特にTFT液晶パネルの製造工程において、ハードクロムマスク上に前記成長性異物が発生することを抑制することができる。
成長性異物発生の加速試験法の説明図である。 蓚酸クロム錯体からなる成長性異物のIRスペクトルの一例である。
まず、フォトマスク、及びフォトマスクへのペリクルの貼り付けについて説明する。
フラットパネルディスプレー用液晶パネルの製造に使用されるフォトマスクは、合成石英ガラス又はソーダライムガラスからなる透明基板上に微細パターンを形成したものが用いられる。ここで用いる透明基板の多くは、1000cm以上の面積を有する。また、パターンの精度に応じて、エマルジョンマスクとハードクロムマスクが使い分けられる。本発明に係るペリクルは、好ましくは、合成石英ガラス又はソーダライムガラスの表面に形成されたハードクロムマスク、特に合成石英ガラス上に形成されたハードクロムマスクに、適用される。ハードクロムマスクにはクロム系薄膜のほかに、他の組成の膜を形成した、積層構成のフォトマスク部を用いてもよく、さらには、クロム系薄膜をエッチングしたのちに、別の膜を積層し、さらにエッチングを行って、パターニングしてもよい。
一般に、ハードクロムマスクは、透明基板の主表面上にCr(Chromium)を主成分とする遮光性の金属膜を反応性スパッタリングで形成する。その際反射防止膜を形成する場合には、まずCrのみをスパッタリングした後、スパッタリングガス中に酸素を導入することによって表面にクロム酸化物からなる反射防止膜を形成することができる。同様に、各種ガスを導入することによってCr金属膜の組成を変更することができ、これによって、Cr化合物からなる複数層が積層されたハードクロムマスクブランクを製造することができる。該遮光性金属膜として、クロム単体又はクロムに窒素、酸素若しくは炭素等が含有された材料からなる単層膜又は該膜の積層膜が挙げられる。特に、本発明に係るペリクルは、組成の異なる複数層を有する膜に適用できる。
このハードクロムマスクブランクの基板上のCr金属膜面上にフォトレジストを塗布し、レーザービームにて微細パターンを描画し、現像し、レジストパターンを形成する。ついで、レジストパターンをマスクとし、レジストで保護されていないCr金属膜をエッチングで除去することにより、所望の転写パターンが形成(パターニング)される。その後、Cr金属膜上に残っているフォトレジストをレジストストリッパー液によって剥離除去し、さらに洗浄して、検査を行い、ハードクロムマスクを完成させる。
次いで、前記ハードクロムマスクを必要に応じて再度洗浄し、転写パターンを有する側の表面への異物の付着防止を目的としたペリクルを、ペリクルマウンタを使用して貼り付ける。この後、ペリクル内側に異物の混入がないかどうかを欠陥検査機にて確認する。
以下、前記成長性異物の抑制方法について具体的に説明する。
該成長性異物を抑制する方法としては、ペリクル膜の蓚酸透過性を低下させる方法、液晶パネルの製作環境の蓚酸濃度や湿度を低下させる方法、ハードクロムマスクのクロム表面を保護する方法、マスクパターンや遮光材を蓚酸に対して反応しないものに変更する方法、フォトマスク基板とペリクル膜の間の空間を、蓚酸を含まない気体で置換する方法、マスクに乾燥空気を当てる方法などが考えられる。
これらの方法の中で、ペリクル膜の蓚酸透過性を低下させることで、成長性異物の発生を抑制する方法について説明する。
成長性異物を抑制する方法には、ハードクロムマスク上のクロムと蓚酸やアンモニアを接触させないことが必要であり、そのためには蓚酸やアンモニアを透過しにくいペリクル膜を使用すれば、ハードクロムマスクのクロム上に到達する蓚酸量やアンモニア量を少なくできるので、成長性異物の発生を抑制し、露光欠陥を生じるまでの期間を大幅に延長できると考えられる。成長性異物が発生し、露光欠陥を生じるまでの期間は、ペリクル膜の透過性に関係しており、70℃72時間における膜厚1μm換算の蓚酸透過量が1.0×10−3mg/cm以下のペリクル膜を用いれば、十分な光透過性能を維持しつつ、成長性異物の発生を大幅に抑制することができ、露光欠陥を生じるまでの期間を大幅に延長することができる。70℃72時間における膜厚1μm換算の蓚酸透過量が、より好ましくは8.0×10−4mg/cm以下であり、更に好ましくは1.6×10−4mg/cm以下であり、特に好ましくは5.0×10−5mg/cm以下である。
また、70℃72時間における蓚酸透過量が1×10−4mg/cm以下のペリクル膜を用いれば、成長性異物が発生して、露光欠陥を生じるまでの期間を大幅に延長することができ、またそのマスクの使用上の問題もない。より好ましくは70℃72時間における蓚酸透過量が5×10−5mg/cm以下であり、光安定剤、又は光安定剤及び酸化防止剤を添加しても蓚酸透過量が5×10−5mg/cm以下である事が好ましい。70℃72時間における蓚酸透過量が、更に好ましくは3.0×10−5mg/cm以下であり、特に好ましくは6.0×10−6mg/cm以下である。また、光安定剤(好ましくは光安定剤及び酸化防止剤)を添加することにより、蓚酸透過量の抑制を更に有効に行うことができる。
また、アンモニアに関しても、25℃でのアンモニア透過係数が8.0×10−9cm・μm/cm・s・Pa以下のペリクル膜を用いれば、十分な光透過性能を維持しつつ、成長性異物の発生を大幅に抑制することができ、露光欠陥を生じるまでの期間を大幅に延長することができる。25℃でのアンモニア透過係数が、より好ましくは6.0×10−9cm・μm/cm・s・Pa以下であり、更に好ましくは4.0×10−9cm・μm/cm・s・Pa以下であり、特に好ましくは1.0×10−9cm・μm/cm・s・Pa以下である
後述する反射防止層を有する場合を含めて、ペリクル膜の膜厚は0.5μm以上8μm以下であることが好ましく、2μm以上6μm以下であることがより好ましい。ペリクル膜の膜厚が厚いほど、蓚酸透過性を抑制することができ、さらに膜強度を向上させられるため0.5μm以上であることが好ましいが、厚すぎると光透過性が低下するため、光透過性から8μm以下が好ましい。
ペリクル膜としては、蓚酸透過量を少なくすることが重要ではあるが、同時に、ペリクル膜の膜厚が好適な厚みを有するようにすることが好ましい。突刺強度等の膜強度の観点や成長性異物の抑制という観点からはペリクル膜の膜厚は0.5μm以上であることが好ましく、厚いほど好ましいが、一方、光透過率の観点からは8μm以下が好ましく、薄いほど好ましい。すなわち、蓚酸透過量と膜厚のバランスを所望のペリクル膜とすることが好ましい。ペリクル膜の蓚酸透過量として、70℃72時間における蓚酸透過量が1×10−4mg/cm以下のペリクル膜であることが好ましく、該観点からすると、単位膜厚あたりの蓚酸透過量が少ないペリクル膜であると、蓚酸透過量を十分に抑えつつ、光透過率を高くすることができるため好ましい。具体的にはペリクル膜の蓚酸透過量として、70℃72時間における膜厚1μm換算の蓚酸透過量が1.0×10−3mg/cm以下であるペリクル膜が好ましい。
蓚酸透過性を低くしたペリクル膜は、膜材料を選択することによって実現できる。ペリクル膜に使用できる膜材料としては、無機系材料、有機系材料ともに使用できるが、取り扱い性、生産性などの観点から、有機高分子が好ましい。
ペリクル膜は、主たる膜材料が光学用有機高分子であることが好ましく、「主たる」とは、全膜材料中、50重量%以上であることを意味し、「光学用」とは、例えば、365〜463nmの波長の透過率が80%以上であることを意味する。
ペリクル膜に使用できる光学用有機高分子としては、セルロース誘導体(セルロースを含む)であるセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースナイトレート、ニトロセルロースなどが考えられ、その他、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフロロクロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4−メチルペンテン、ポリブチルアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリメチルアクリレート、ポリプロピレン、ポリオキシメチレン、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリビニルホルマール、ポリイソブテン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリルニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリイソプレン、ナイロン6、ナイロン66、ブタジエン−スチレン共重合体、ユリア−ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、ポリクロロプレン、ポリジアリルフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリサルホン、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子により置換されたフルオロアルキルポリエーテル、環式または鎖式のフッ素置換フルオロアルキルポリエーテル、脂環式アクリル樹脂、脂環式オレフィン樹脂等が挙げられるが、この中でも蓚酸透過量が少なく、光学物性、機械物性などの膜実用性、製造しやすさ等の点から、セルロース誘導体(特にセルロースアセテートプロピオネート、ニトロセルロース)、脂環式アクリル樹脂、及び脂環式オレフィン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂が好ましい。
また、前記光学用有機高分子の中でもアンモニア透過係数が小さく、かつ光学物性、機械物性などの膜実用性、製造しやすさ等の点から、フッ素系樹脂である、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフロロクロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子により置換されたフルオロアルキルポリエーテル、環式または鎖式のフッ素置換フルオロアルキルポリエーテルや脂環式オレフィン樹脂からなる群から選ばれる樹脂が好ましい。
そのような材料の中でも特に蓚酸透過量が少なく、アンモニア透過係数が小さい材料として、シクロオレフィン系樹脂が挙げられノルボルネンの重合体又は共重合体(水素添加したものを含む)が好ましい。例えば、アペル(登録商標)(三井化学社製)、トパス(登録商標)(ポリプラスチックス株式会社製)、ゼオネックス(登録商標)又はゼオノア(登録商標)(日本ゼオン社製)、アートン(登録商標)(JSR社製)→旭回答 問題ありません。等がペリクル膜に好ましいシクロオレフィン系樹脂として挙げられるが、この中でも特にゼオノア(登録商標)(日本ゼオン社製)が蓚酸透過量が少なく、アンモニア透過係数が小さい材料として最も好ましい。
ペリクル膜の膜材には、シクロオレフィン系樹脂やセルロース誘導体を有機溶媒に溶解させたポリマー溶液を使用することが好ましい。特にシクロオレフィン系樹脂を有機溶媒に溶解させたポリマー溶液を使用することが蓚酸透過量やアンモニア透過係数の観点から好ましい。使用できる有機溶媒としては、脂肪族炭化水素系化合物、芳香族系化合物、塩素系炭化水素などのハロゲン化系炭化水素、エステル系化合物、またはケトン系化合物などが挙げられる。中でも、シクロオレフィン系樹脂に対しては脂環式炭化水素などの飽和脂肪族炭化水素系化合物、芳香族系化合物、ハロゲン化炭化水素等の有機溶媒が好適に使用でき、セルロース誘導体に関しては塩素系炭化水素、ケトン、エステル、アルコキシアルコール、ベンゼン、アルコールなどの単一又は混合有機溶媒に可溶である。これらの有機溶媒の例としては、塩素系炭化水素やエステル系化合物、ケトン系化合物等の有機溶媒が挙げられる。塩素系炭化水素としては、塩化メチレン、塩化エチレン、塩化プロピレン等が好適に使用され、ケトン系化合物有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が好適に使用される。エステル系化合物有機溶媒としては、酢酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、乳酸エステル類(乳酸エチル、乳酸ブチル等)が好適に使用される。そのほかとしてはベンゼン、エタノール、メタノール、セルソルブアセテート、カルビトールなども単一または混合溶媒として利用できる。ペリクル膜の膜材のポリマー溶液は、成膜工程によって膜化される。その際に使用するポリマー溶液は、ペリクル膜の光透過率を大きく、かつペリクル膜中の異物を少なくするため、吸光度が0.05以下のものが好ましい。
本発明者らがペリクル膜の蓚酸透過量を抑制する方法について鋭意検討した結果、前記膜材料を使用するうえで、光安定剤の添加が蓚酸透過量の抑制に非常に効果的であることを見出した。通常、ペリクル膜の膜材料にはブリードアウトの恐れがあるため、光安定剤の添加は行われないが、ペリクル膜の膜材料に光安定剤を適量添加することで耐光性の向上と共にペリクル膜の蓚酸透過率を大幅に抑制することができる。添加する光安定剤としては、ブリードアウトや揮発してハードクロムマスク上で結晶化することで露光欠陥を生じることにならないような化合物が好ましく、特に、光安定剤が25℃などの常温で液状の光安定剤であると、光安定剤のブリードアウト現象を抑えることができ、特に好ましい。そのような化合物としてヒンダードアミン系光安定剤がよく、特に2,2’−5,5’テトラメチルピペリジン誘導体を含んだ化合物が好ましい。例えば、TINUVIN(登録商標)(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、アデカスタブLAシリーズ(株式会社ADEKA製)、CHIMASSORB(登録商標)(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、Hostavin(Clariant製)等が好ましい。蓚酸透過量抑制効果は光安定剤であれば特に種類の限定は無いが、特にヒンダードアミン系光安定剤は蓚酸透過量抑制効果が高く好ましい。また、光安定剤と組み合わせる光学用有機高分子に関しても特に限定は無いが、シクロオレフィン系樹脂と光安定剤(特にヒンダードアミン系光安定剤)又はセルロース誘導体(特にニトロセルロース)と光安定剤(特にヒンダードアミン系光安定剤)との組み合わせの際に蓚酸透過量抑制効果が大きい。また、蓚酸透過量抑制効果によって光安定剤の耐光性効果が抑制されることは無い。
液状の光安定剤とは、孔径が10μm以下のろ過フィルターでろ過可能なものをいい、このとき使用するフィルターの材質は、フィルターの機能が失われない限り、適宜選択することができる。
光安定剤の耐光性効果を向上させるために、酸化防止剤であるフェノール系、ホスファイト系を光安定剤とともに添加してもよい。酸化防止剤としては、ブリードアウトや揮発してマスク上で結晶化することで露光欠陥を生じることにならないような化合物が好ましい。そのような化合物のなかで、フェノール系酸化防止剤として、例えば、アデカスタブAOシリーズ(株式会社ADEKA製)、IRGANOX(登録商標)(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)が好ましい。ホスファイト系として、例えば、IRGAFOS(登録商標)(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)アデカスタブPEPシリーズ(株式会社ADEKA製)が好ましい。
光安定剤は、耐光性向上に効果が得られ、光学用有機高分子の全重量に対し、0.1重量%以上15重量%以下になるように添加するとブリードアウトを抑え、且つ、耐光性を向上させることができ、好ましく、1重量%以上10重量%以下になるように添加することがより好ましい。耐光性向上効果を得て、かつブリードアウトしないようにするためには、2重量%以上8重量%以下になるように添加することがさらに好ましい。また、光安定剤の含有量が前記範囲であるとブリードアウトがなく、且つ、蓚酸透過量抑制効果を得ることができ、更に溶液の吸光度0.05以下とすることができ、好ましい。
酸化防止剤は、光安定剤との相乗効果で光安定剤単独使用よりさらに耐光性向上効果を得るために、光学用有機高分子の全重量に対し、0.1重量%以上10重量%以下になるように添加することが好ましく、0.1重量%以上5重量%以下になるように添加することがより好ましい。相乗効果を強め、溶液の吸光度0.05以下およびブリードアウトしないようにするためには、0.1重量%以上3重量%以下になるように添加することがさらに好ましい。
これらのペリクル膜の作成には、光学用有機高分子を有機溶媒に溶解させたポリマー溶液を使用する。また、ペリクル膜の耐光性をさらに向上させるためには、前記ポリマー溶液に光安定剤を添加した溶液を使用するか、又は光安定剤及び酸化防止剤を添加した溶液を使用する。使用できる有機溶媒としては、脂環式炭化水素などの飽和脂肪族炭化水素系化合物、芳香族系化合物、ハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
ペリクル膜の製造方法として、ポリマー溶液を作製し、次いで、ポリマー溶液を塗工した後にポリマー溶液中の有機溶媒を除去することによってペリクル膜を形成させることができる。
またペリクル膜の膜材のポリマー溶液にこれらの光安定剤を添加することは、成膜された膜中に光安定剤を微細かつ均一に分散させることができ、光線透過の障害となりにくいので、この溶液を用いてペリクル膜を作成した場合、従来のポリマーへの直接練りこみ法に比較して、光線透過率を低下させることなく、添加量を高めることができる。さらにペリクル膜の膜材のポリマー溶液に光安定剤を添加して作成したペリクル膜は、光安定剤のブリードアウトや異物の析出も抑制できるため、ペリクル膜用の溶液に安定剤を添加する方法と有効な方法である。特に常温で液状の光安定剤及び酸化防止剤を使用することは、均一な溶液を作製しやすく、成膜したペリクル膜材料中でも均一化されやすいため、ブリードアウトや異物の析出を抑制できる。また万が一ブリードアウトした場合にも、液状であるため結晶化することが少なく、露光障害となる異物を生じにくい。
均一に分散させた光安定剤は、不均一に分散した光安定剤に比較して、ペリクル膜の突刺強度などの力学物性に与える影響を小さくできる。
さらにこれらの均一に分散した光安定剤を含むペリクル膜は耐光性を向上させることができ、この耐光性の指標であるポリマー劣化を抑制することができる。ペリクル膜は露光時に直接露光光源(超高圧水銀灯)から光を受けるため、その紫外線によって、ペリクル膜の膜材ポリマーは劣化する。その劣化によって、ペリクル膜の膜材ポリマーは、吸水性を持つように変化する。これらの現象は耐湿性試験として観察され、均一に分散した光安定剤を含むペリクル膜は、それを含まないペリクル膜に対して、耐湿性を向上させることができる。
これらの中で、ペリクル膜とした時の突刺強度が0.15N/μm以上となる材料は、製膜性、及び機械物性に優れるため、ペリクル膜製造の容易性の観点から、好ましい。該強度が低い材料で成膜する場合には、ペリクル膜の膜厚を厚くせざるをえず、その結果として露光時の平均光透過率が低下することになる。
ペリクル膜の突刺強度は、膜の強度を表す指標であり、値が大きいほど好ましい。ペリクル膜の突刺強度として0.075N/μm以上の強度があれば、十分に注意深く取り扱うことによってペリクル膜として使用することが可能ではあるが、ペリクル膜は、0.15N/μm以上の突刺強度を有することが好ましく、0.20N/μm以上の強度を有することがより好ましい。突刺強度は、直径6mmの穴を開けた保持器具にペリクル膜を固定し、先端が1mmφの半球状で太さ2mmの突刺棒で0.5mm/minの速度で突き刺すときの力の最大値(N)を測定することで行うことができる。測定するペリクルは、23℃、相対湿度45%RH下の雰囲気に24hr以上放置した後に測定することが好ましい。
また、平均光透過率は、膜のない状態をブランク(光透過率100%)として、波長350〜700nm間の平均の光透過率(%)として表し、この値が低いほど光透過率が低く、値が高いほど光透過率が高くなる。平均光透過率は従来のペリクル膜用途では93%程度が必要であり、好ましくは94%以上必要である。光透過率は、紫外・可視分光器(例えば、島津製作所製UV−2450)で測定できる。
また、光学的反射を防止し平均光透過率を高くする目的で、ペリクル膜の片面又は両面に、膜材料より低屈折率の材料からなる反射防止材を反射防止層として積層することができる。反射防止材としては、環式又は直鎖状のフッ素置換フルオロアルキルポリエーテルが好適に使用される。反射防止層は、主膜上にスピンコート法により作成することができる。この反射防止層の膜厚は10nm以上500nm以下であり、反射防止効果を高める観点から、特に好ましくは20nm以上180nm以下である。
枠体の材質としては、アルミニウムやその合金、例えばジュラルミン、或いは、鉄や鉄系合金、例えばステンレスといったペリクルに用いられる公知の材料が挙げられる。これらの中で大型化による枠体の自重の増加を考慮すれば、軽量で、かつ、剛性を有するものを用いることが好ましく、例えば、アルミニウムやその合金が好ましい。
ペリクル膜を枠体に接着するための接着剤としては、紫外線硬化型接着剤、フッ素樹脂系接着剤などの従来一般的に用いられているものを使用することができる。
また、ペリクルをマスクに取り付けるための粘着材としては、公知のものを用いることが可能である。一般的には、粘着材として、スチレンエチレンブチレンスチレン系、スチレンエチレンプロピレンスチレン系、オレフィン系等のホットメルト粘着材、シリコーン系粘着材、アクリル系粘着材、発泡フィルム等の基材からなる両面粘着テープを用いることが可能である。ホットメルト粘着材に関しては、通常のシリンジ等を用いる押出し塗布によって枠体に配置することができる。さらに、押出し塗布後、熱、圧力をかけながら平面板のような成型盤でプレス等を行ってもよい。
加速試験法は、蓚酸クロム錯体からなる成長性異物の発生を簡易的に確認する方法であり、本発明に係るペリクルと、従来使用されていたペリクルとの成長性異物の発生の差を実際の成長性異物の発生の有無をもって簡便に確認できるため、かかる加速試験法により、本発明のペリクルの効果を実証することができる。
本発明に係るペリクルは、ペリクルを、枠体の下縁面に積層された粘着材層を介してハードクロムマスクに貼り付ける工程、ITO電極を有し感光性レジストが塗布されてなるTFT液晶パネル基板を該ハードクロムマスクを通して露光する工程、該感光性レジストを現像する工程、該ITO電極を、蓚酸を含むエッチング液でエッチングする工程を含むTFT液晶パネルの製造方法に好適に使用することができる。また、本発明に係るペリクルは、ITO電極層を有しITOエッチング液として蓚酸を使用するものである限り、TFT液晶パネル以外のフラットパネルディスプレー用基板、例えばプラズマディスプレイ用基板、及び有機ELディスプレイ用基板にも同様に好適に使用することができると考えられる。
TFT液晶パネル基板には、透明かつ導電性を有する材料としてITO(インジウムスズオキサイド)やZnO(酸化亜鉛)が電極に使用されている。ITOからなる電極層のパターニングにもフォトリソグラフィ技術が使用されるが、前記したように、近年、ITOのエッチング液として蓚酸が使用されている。従って、TFT液晶パネル基板の製造環境は、クロムマスクを長期間にわたって使用すると、雰囲気中の微量の蓚酸により成長性異物が発生しうる環境であるが、本発明に係るTFT液晶パネル製造用マスクとともに用いられるペリクルを使用することによって、該成長性異物の発生を防止し、使用期間中の発生がない程度にまで成長性異物の発生を遅らせることが可能となる。
(蓚酸透過量の測定方法)
ペリクル(フレームの外寸、縦149mm×横113mm×高さ4.2mm、フレームの幅2mm)のフレームの内寸法と同じ形状・大きさの濾紙(NO.4A,東洋濾紙株式会社)、を50℃の純水で1hr、3回洗浄し乾燥させた。この濾紙をペリクルのフレーム内を完全に覆うように入れ、該ペリクルを厚さ3mmのガラス板(縦152mm×横152mm)上に気密性が保たれるように2液混合型エポキシ系接着剤で固定した。これを、ガラス容器(容積3.8L)に、無水蓚酸(和光純薬工業株式会社製)2gと共に常圧下で入れ、密閉した状態で、70℃72時間処理し、ペリクル膜を透過した蓚酸が濾紙に吸着するようにした。
前記処理後の濾紙を取り出した後、濾紙が吸着した蓚酸を、40℃、50mLの純水で抽出し、この水の中の蓚酸量(mg)をイオンクロマトグラフィ法で測定した。この蓚酸量をペリクル膜の面積(cm)で割って、70℃で72時間における蓚酸透過量(mg/cm)とする。尚、測定に使用した膜厚を付記する。また、ペリクル膜の蓚酸透過量は膜厚に反比例すると仮定し、ペリクル膜の膜厚が1μmであるとした際の蓚酸透過量として、膜厚1μm換算の蓚酸透過量を求めた。
密閉したガラス容器に無水蓚酸を入れず、ペリクル膜無しで接着剤付きフレームのみ実験した場合の蓚酸量の測定結果は、1×10−6mg/cm以下であった。
(アンモニア透過係数の測定方法)
アンモニア透過係数の測定はJIS K−7126第2部(等圧)ガスクロマトグラフ法(2006年)に準じて測定した。測定条件は25℃、0%RH、試験面積は20mmφとし、試験時の大気圧は1気圧、キャリアーガス流量は30cc/min、キャリアーガスの種類はHeとした。カラムはアンモニア用のカラムを使用し、カラム充填材はVersamid 900、カラム長を1mとし、テフロン配管を用いた。透過度は単位換算し、透過係数(単位:cm・μm/cm・sec・Pa)として示した。
(成長性異物発生の加速試験法)
成長性異物発生の加速試験法は、ペリクルを低反射タイプのマスクブランクス(クリーンサアフェイス技術株式会社製:品番CQL6012BU、縦152.0mm、横152.0mm、厚み3.0mmの片面に酸化クロム膜を形成したもの)に貼り付け、密閉したガラス容器(容積3.8L)に2gの無水蓚酸(和光純薬工業株式会社製)と共に入れ、70℃で3日間処理した。次にこのペリクルを除去した後、このマスクブランクスを純水50ccと共に密閉したガラス容器中に入れ、24時間保管した。さらに、このマスクブランクスを、10%アンモニア水溶液10gを入れたガラス密閉容器に入れ、70℃で2時間保管した(図1参照)。
このマスクブランクスの酸化クロム面の表面の、ペリクルで保護されていた部分を水で洗浄し、この洗浄水を回収後、70℃で乾燥させた。また乾燥した残留物が得られた場合には、この残留物のIRスペクトルをSpectrum100(株式会社パーキンエルマージャパン製)を用い、ATR法で測定し、IRスペクトルの1640〜1670cm−1、1360〜1390cm−1、1240〜1260cm−1の3箇所すべてにピークトップが見られるか否かで、蓚酸クロム錯体からなる成長性異物の発生を確認した。蓚酸クロム錯体からなる成長性異物の一例のIRスペクトルを図2に示す。
(紫外光照射方法)
光源として、超高圧水銀灯(ウシオ電機株式会社製)を用いて、直径11cm程度の円状に光が照射されるようにした。その円内にペリクル膜を照射面が何物にも直接接触しないように置いて、紫外光をペリクル膜に照射した。
ペリクル膜の照射量は、紫外線照度計(株式会社オーク製作所製)の受光器UV−SD35(測定波長領域310nmから385nm)を用いて計測し、得られた照度(mW/cm)に照射時間(sec)をかけて、得られる照射量(mJ/cm)を1000で割った値を照射量(J/cm)とした。
(光安定剤のブリードアウト実験)
ぺリクル(フレームの外寸、縦149mm×横113mm×高さ4.2mm、フレームの幅2mm)を十分に洗浄した石英ガラス板(厚み3mm,縦152mm×横152mm)に貼り付け、密閉したガラス容器(容積3.8L)に膜が接触しないように入れ、密閉して70℃で6日間加熱した。この膜を顕微鏡観察、集光灯下、及び単色光下での目視検査などを任意に実施し、処理前の膜面と比較することで、異物の有無を判定した。
(耐湿性試験)
ぺリクル(フレームの外寸、縦149mm×横113mm×高さ4.2mm、フレームの幅2mm、フレーム粘着材なし)の中央部に、光源として超高圧UVランプ(ウシオ電機株式会社製)を用いて、直径11cm程度の円状に光が照射されるようにした。この光が5万J/cmを照射されたペリクルを準備し、これらを恒温恒湿器で温度22℃、相対湿度45%の状態に1時間置いて観察した後、同温度で相対湿度を97%まで20分かけて増加させたときの膜面しわを観察した。
(実施例1)
シクロオレフィンポリマーであるZeonor1060R(日本ゼオン社製ゼオノア(登録商標))10gをリモネン(和光純薬工業株式会社製)90gに入れ、室温で4時間攪拌し溶解させ、70℃で4時間攪拌し、溶解させた。この溶液をシリコンウエハ上に滴下し、スピンコーター上で、300rpmで回転塗布した後、140℃のホットプレートで30分間乾燥させ、ペリクル膜を得た。得られた膜上にアモルファスフッ素樹脂を含む溶液であるサイトップ CTX−809SP2(旭硝子(株)製商品名)をパーフルオロトリブチルアミン(フロリナートFC−43 住友スリーエム(株)製商品名)で固形分2%に希釈したものを滴下し、スピンコーター上で、300rpmで回転塗布した後、120℃で乾燥させ、厚み4μmのペリクル膜を得た。
このペリクル膜を展張して、上縁面に接着剤を塗布したアルミ製の枠体(外形、縦149mm×横113mm×高4.2mm、枠幅2mm)に貼り付け、枠体からはみ出た不要部分のペリクル膜を切断除去した。このペリクルの70℃72時間における蓚酸透過量は4.5×10−5mg/cm(膜厚4.0μm)であり、膜厚1μm換算の蓚酸透過量は1.8×10−4mg/cmであった。また、アンモニア透過係数を測定したところ、3.1×10−9cm・μm/cm・sec・Pa)であった。該ペリクル膜の光線透過率はUV−2450(島津製作所製)で波長350〜700nmでの光透過率の平均値を測定したところ、94%であった。
このペリクルに紫外光を1万J/cm照射し、平均光透過率を測定したところ、94%であった。また、紫外光を照射したペリクルの70℃72時間における蓚酸透過量は4.4×10−5mg/cm(膜厚4.0μm)であり、膜厚1μm換算の蓚酸透過量は1.8×10−4mg/cmであった。
次に成長性異物発生の加速試験法で成長性異物の発生の有無を確認したところ、マスクブランクスから得た洗浄水の残留物は、得られなかった。
(実施例2)
シクロオレフィンポリマーであるZeonor1060R(日本ゼオン社製ゼオノア(登録商標))10gをデカヒドロナフタレン(株式会社片山製薬所製)90gに添加し、室温で4時間攪拌し溶解させ、70℃で4時間攪拌し、溶解させた。この溶液をシリコンウエハ上に滴下し、スピンコーター上で、300rpmで回転塗布した後、160℃のホットプレートで30分間乾燥させ、ペリクル膜を得た。得られた膜上にアモルファスフッ素樹脂を含む溶液であるサイトップ CTX−809SP2(旭硝子(株)製商品名)をパーフルオロトリブチルアミン(フロリナートFC−43 住友スリーエム(株)製商品名)で固形分2%に希釈したものを滴下し、スピンコーター上で、300rpmで回転塗布した後120℃で乾燥させ、厚み4μmのペリクル膜を得た。
このペリクル膜を展張して、上縁面に接着剤を塗布したアルミ製の枠体(外形、縦149mm×横113mm×高4.2mm、枠幅2mm)に貼り付け、枠体からはみ出た不要部分のペリクル膜を切断除去した。
このペリクルの70℃72時間における蓚酸透過量は4.3×10−5mg/cm(膜厚4.0μm)であり、膜厚1μm換算の蓚酸透過量は1.7×10−4mg/cmであった。また、アンモニア透過係数を測定したところ、3.2×10−9cm・μm/cm・sec・Paであった。該ペリクル膜の光線透過率はUV−2450(島津製作所製)で波長350〜700nmでの光透過率の平均値を測定したところ、94%であった。
このペリクルに紫外光を1万J/cm照射し、平均光透過率を測定したところ、94%であった。また、紫外光を照射したペリクルの70℃72時間における蓚酸透過量は4.5×10−5mg/cm(膜厚4.0μm)であり、膜厚1μm換算の蓚酸透過量は1.8×10−4mg/cmであった。
次に成長性異物発生の加速試験法で成長性異物の発生の有無を確認したところ、マスクブランクスから得た洗浄水の残留物は得られなかった。
(実施例3)
シクロオレフィンポリマーであるZeonor1060R(日本ゼオン社製ゼオノア(登録商標))10gをデカヒドロナフタレン(キシダ化学株式会社製)90gに添加し、室温で4時間攪拌し溶解させ、70℃で4時間攪拌し、溶解させた。この溶液に25℃で液状のTINUVIN292(チバスペシャリティケミカル)0.5gを添加し、室温で6時間攪拌し、溶解させた。この溶液の吸光度は0.002であり、透明な溶液であった。この溶液をシリコンウエハ上に滴下し、スピンコーターを用いて300rpmで回転塗布した後、160℃のホットプレートで30分間乾燥させ。ペリクル膜を得た。得られた膜上にアモルファスフッ素樹脂を含む溶液であるサイトップ CTX−809SP2(旭硝子(株)製商品名)をパーフルオロトリブチルアミン(フロリナートFC−43 住友スリーエム(株)製商品名)で2%に希釈したものを滴下し、スピンコーター上で、300rpmで回転塗布した後120℃で乾燥させ、厚み6μmのペリクル膜を得た。
このペリクル膜を展張して、上縁面に接着剤を塗布したアルミ製の枠体(外形、縦149mm×横113mm×高4.2mm、枠幅2mm)に貼り付け、枠体からはみ出た不要部分のペリクル膜を切断除去した。
このペリクルの70℃72時間における蓚酸透過量は4.4×10−6mg/cm(膜厚6.0μm)であり、膜厚1μm換算の蓚酸透過量は2.6×10−5mg/cmであった。また、アンモニア透過係数を測定したところ、3.0×10−9cm・μm/cm・sec・Paであった。該ペリクル膜の光線透過率はUV−2450(島津製作所製)を用いて波長350〜700nmでの光透過率の平均値を測定したところ、94%であった。突刺強度はN/μmであり、十分な強度を有していた。
このペリクルに紫外光を1万J/cm照射し、平均光透過率を測定したところ、94%であった。また、紫外光を照射したペリクルの70℃72時間における蓚酸透過量は4.3×10−6mg/cm(膜厚6.0μm)であり、膜厚1μm換算の蓚酸透過量は2.6×10−5mg/cmであった。
次に成長性異物発生の加速試験法で成長性異物の発生の有無を確認したところ、マスクブランクスから得た洗浄水の残留物は、得られなかった。
また光安定剤のブリードアウト試験方法を行い、膜面を顕微鏡観察したが、異物は認められなかった。また集光灯、単色光下で目視観察した結果、加熱後での変化は認められなかった。また平均光透過率は、加熱前94.8%で、加熱後94.7%であり、変化は認められなかった。
さらに耐湿性試験で膜面中央部のしわの発生状況を目視観察したところ、相対湿度45%から97%の間ではしわの発生は認められなかった。
(実施例4)
シクロオレフィンポリマーであるZeonor1060R(日本ゼオン社製ゼオノア(登録商標))10gをデカヒドロナフタレン(キシダ化学株式会社製)90gに添加し、室温で4時間攪拌し溶解させ、70℃で4時間攪拌し、溶解させた。この溶液に25℃で液状のTINUVIN292(チバスペシャリティケミカル)0.5g及びirganox1010(チバスペシャリティケミカル)0.05gを添加し、室温で6時間攪拌し、溶解させた。この溶液の吸光度は0.002であり、透明な溶液であった。この溶液をシリコンウエハ上に滴下し、スピンコーターを用いて300rpmで回転塗布した後、160℃のホットプレートで30分間乾燥させ。ペリクル膜を得た。得られた膜上にアモルファスフッ素樹脂を含む溶液であるサイトップ CTX−809SP2(旭硝子(株)製商品名)をパーフルオロトリブチルアミン(フロリナートFC−43 住友スリーエム(株)製商品名)で2%に希釈したものを滴下し、スピンコーター上で、300rpmで回転塗布した後120℃で乾燥させ、厚み6μmのペリクル膜を得た。
このペリクル膜を展張して、上縁面に接着剤を塗布したアルミ製の枠体(外形、縦149mm×横113mm×高4.2mm、枠幅2mm)に貼り付け、枠体からはみ出た不要部分のペリクル膜を切断除去した。
このペリクルの70℃72時間における蓚酸透過量は4.5×10−6mg/cm(膜厚6.0μm)であり、膜厚1μm換算の蓚酸透過量は2.7×10−5mg/cmであった。また、アンモニア透過係数を測定したところ、3.0×10−9cm・μm/cm・sec・Paであった。該ペリクル膜の光線光透過率はUV−2450(島津製作所製)を用いて波長350〜700nmでの光透過率の平均値を測定したところ、94%であった。突刺強度は0.25N/μmであり、十分な強度を有していた。
このペリクルに紫外光を1万J/cm照射し、平均光透過率を測定したところ、94%であった。また、紫外光を照射したペリクルの70℃72時間における蓚酸透過量は4.3×10−6mg/cm(膜厚6.0μm)であり、膜厚1μm換算の蓚酸透過量は2.6×10−5mg/cmであった。
次に成長性異物発生の加速試験法で成長性異物の発生の有無を確認したところ、マスクブランクスから得た洗浄水の残留物は、得られなかった。
また、光安定剤のブリードアウト実験を行い、膜面を顕微鏡観察したが、異物は認められなかった。集光灯、単色光下で目視観察した結果、加熱残後での変化も認められなかった。平均光透過率は、加熱前94.7%で、加熱後94.7%であり、ほとんど変化は認められなかった。
さらに耐湿性試験で膜面中央部のしわの発生状況を目視観察したところ、相対湿度45%から97%までの条件でしわの発生は認められなかった。
(実施例5)
ニトロセルロース(Bargerac NC社製) 5gを95gの乳酸エチルに溶かし、この溶液に25℃で液状のTINUVIN292(チバスペシャリティケミカル)を0.25g添加し、室温で6時間攪拌し、溶解させた。このポリマー溶液を窒素で0.01MPaに加圧し、口径0.1μmのメンブレンフィルターを通してろ過した液をスピンコート法でこの溶液をシリコンウエハ上に滴下し、スピンコーターを用いて150rpmで回転塗布した後、60℃のホットプレートで30分間乾燥させ、ペリクル膜を得た。得られた膜上にアモルファスフッ素樹脂を含む溶液であるサイトップ CTX−809SP2(旭硝子(株)製商品名)をパーフルオロトリブチルアミン(フロリナートFC−43 住友スリーエム(株)製商品名)で2%に希釈したものを滴下し、スピンコーター上で、300rpmで回転塗布した後120℃で乾燥させ、厚み6μmのペリクル膜を得た。
このペリクル膜を展張して、上縁面に接着剤を塗布したアルミ製の枠体(外形、縦149mm×横113mm×高4.2mm、枠幅2mm)に貼り付け、枠体からはみ出た不要部分のペリクル膜を切断除去した。
このペリクルの70℃72時間における蓚酸透過量は3.5×10−3mg/cm(膜厚6.0μm)であり、膜厚1μm換算の蓚酸透過量は2.1×10−2mg/cmであった。
(比較例1)
アモルファスフッ素樹脂を含む溶液であるサイトップ(旭硝子株式会社製商品名)CTX−809SP2をシリコンウエハ上に滴下し、スピンコーター上で300rpmで回転塗布した後、70℃で10分間乾燥させた後、180℃40分乾燥させ、厚み4μmのペリクル膜を得た。
このペリクル膜を展張して、上縁面に接着剤を塗布したアルミ製の枠体(外形、縦149mm×横113mm×高4.2mm、枠幅2mm)に貼り付け、枠体からはみ出た不要部分のペリクル膜を切断除去した。
このペリクルの70℃72時間における蓚酸透過量は5×10−4mg/cm(膜厚4.0μm)であり、膜厚1μm換算の蓚酸透過量は2.0×10−3mg/cmであった。また、アンモニア透過係数を測定したところ、9.1×10−9cm・μm/cm・s・Paであった。該ペリクル膜の光線透過率はUV−2450で波長350〜700nmでの光透過率の平均値を測定したところ、94%であった。
次に成長性異物発生の加速試験法で成長性異物の発生の有無を確認したところ、マスクブランクスから得た洗浄水の残留物では、IRスペクトルの1640〜1670cm−1、1360〜1390cm−1、1240〜1260cm−1の3箇所すべてにピークトップが見られ、蓚酸クロム錯体からなる成長性異物の発生が認められた。
(参考例2)
シクロオレフィン系樹脂であるZeonex480R(日本ゼオン社製ゼオネックス(登録商標))10gをリモネン(和光純薬工業株式会社製)90gに添加し、室温で4時間攪拌し溶解させ、70℃で4時間攪拌し、溶解させた。この溶液に25℃で粉末状のアデカスタブLA−62P(株式会社ADEKA製)0.5gを添加し、室温で6時間攪拌し、溶解させた。この溶液の吸光度は0.04であり、透明な溶液であった。この溶液をシリコンウエハ上に滴下し、スピンコーターを用いて100rpmで回転塗布した後、160℃のホットプレートで45分間乾燥させ、ペリクル膜を得た。得られた膜上にアモルファスフッ素樹脂を含む溶液であるサイトップ CTX−809SP2(旭硝子(株)製商品名)をパーフルオロトリブチルアミン(フロリナートFC−43 住友スリーエム(株)製商品名)で固形分2%に希釈したものを滴下し、スピンコーター上で、300rpmで回転塗布した後、120℃で乾燥させ、厚み10.0μmのペリクル膜を得た。
このペリクル膜を展張して、上縁面に接着剤を塗布したアルミ製の枠体(外形、縦149mm×横113mm×高4.2mm、枠幅2mm)に貼り付け、枠体からはみ出た不要部分のペリクル膜を切断除去した。膜はわずかな白化が認められ、平均光透過率は85%であった。また光安定剤のブリードアウト実験を行い、膜面を顕微鏡観察したところ、膜表面に加熱前には認められなった異物が加熱後には微量ながら発生していた。
(比較例3)
ニトロセルロース(置換度約2.3) 5gを95gの乳酸エチルに溶かした。このポリマー溶液を窒素で0.01MPaに加圧し、口径0.1μmのメンブレンフィルターを通してろ過した液をスピンコート法でこの溶液をシリコンウエハ上に滴下し、スピンコーターを用いて150rpmで回転塗布した後、60℃のホットプレートで30分間乾燥させ、ペリクル膜を得た。得られた膜上にアモルファスフッ素樹脂を含む溶液であるサイトップ CTX−809SP2(旭硝子(株)製商品名)をパーフルオロトリブチルアミン(フロリナートFC−43 住友スリーエム(株)製商品名)で2%に希釈したものを滴下し、スピンコーター上で、300rpmで回転塗布した後120℃で乾燥させ、厚み6μmのペリクル膜を得た。
このペリクル膜を展張して、上縁面に接着剤を塗布したアルミ製の枠体(外形、縦149mm×横113mm×高4.2mm、枠幅2mm)に貼り付け、枠体からはみ出た不要部分のペリクル膜を切断除去した。
このペリクルの70℃72時間における蓚酸透過量は5.5×10−3mg/cm(膜厚6.0μm)であり、膜厚1μm換算の蓚酸透過量は3.3×10−2mg/cmであった。
本出願は、2009年6月29日出願の日本特許出願(特願2009−154176号)及び2008年11月21日出願の日本特許出願(特願2008−298125号)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明に係るペリクルは、TFT液晶パネルの製造分野において好適に使用できる。
1 ペリクルを取り付けたマスクブランクス
2 ペリクルをはずしたマスクブランクス
3 密閉容器
4 無水蓚酸
5 純水
6 10%アンモニア水溶液

Claims (18)

  1. 70℃72時間における膜厚1μm換算の蓚酸透過量が1.0×10-3mg/cm2以下であり、主たる膜材料が光学用有機高分子であり、該膜材料に該光学用有機高分子の全重量に対し0.1重量%以上15重量%以下の光安定剤を含むペリクル膜。
  2. 前記光学用有機高分子がシクロオレフィン系樹脂またはセルロース誘導体である、請求項に記載のペリクル膜。
  3. 前記光安定剤がヒンダードアミン系光安定剤である、請求項又はに記載のペリクル膜。
  4. 枠体と、該枠体の上縁面側に請求項1〜のいずれか1項に記載のペリクル膜と、該枠体の下縁面側に粘着材層と、を有するペリクル。
  5. TFT液晶パネル製造用フォトマスクとともに用いられる、請求項に記載のペリクル。
  6. 有機溶媒に光学用有機高分子と光安定剤を溶解させ、ポリマー溶液を作製する工程、及び該ポリマー溶液から有機溶媒を除去する工程を含む、請求項1に記載のペリクル膜の製造方法。
  7. 前記有機溶媒が脂環式炭化水素、塩素系炭化水素、エステル系化合物、またはケトン系化合物である、請求項に記載のペリクル膜の製造方法。
  8. 前記光安定剤がヒンダードアミン系光安定剤である、請求項又はに記載のペリクル膜の製造方法。
  9. 前記ヒンダードアミン系光安定剤が25℃で液状である、請求項に記載のペリクル膜の製造方法。
  10. 前記光学用有機高分子がシクロオレフィン樹脂又はセルロース誘導体である、請求項のいずれか1項に記載のペリクル膜の製造方法。
  11. TFT液晶パネル製造用マスクとともに用いるペリクルであって、該ペリクルは、枠体、該枠体の下縁面側に積層された粘着材層、及び該枠体の上縁面側に展張されたペリクル膜を含み、該ペリクル膜の膜厚は、0.5μm以上8μm以下であり、かつ、該ペリクル膜の70℃72時間における蓚酸透過量は、1×10-4mg/cm2以下であり、主たる膜材料が光学用有機高分子であり、該膜材料に該光学用有機高分子の全重量に対し0.1重量%以上15重量%以下の光安定剤を含む、前記ペリクル。
  12. 前記ペリクル膜の面積が1000cm2以上30000cm2以下である、請求項11に記載のペリクル。
  13. 前記ペリクル膜がシクロオレフィン系樹脂を含む膜材料から形成される、請求項11又は12に記載のペリクル。
  14. 前記ペリクル膜が、シクロオレフィン系樹脂及び該シクロオレフィン系樹脂の全重量に対し0.1重量%以上15重量%以下の光安定剤、又は、シクロオレフィン系樹脂、該シクロオレフィン系樹脂の全重量に対し0.1重量%以上15重量%以下の光安定剤及び0.1重量%以上10重量%以下の酸化防止剤、を含む膜材料から形成される、請求項1113のいずれか1項に記載のペリクル。
  15. 前記光安定剤が常温で液状である、請求項11〜14のいずれか1項に記載のペリクル。
  16. 前記ペリクル膜の片面又は両面に、環式又は直鎖状のフッ素置換フルオロアルキルポリエーテルからなる反射防止層が積層されている、請求項1115のいずれか1項に記載のペリクル。
  17. 請求項1116のいずれか1項に記載のペリクルを、前記枠体の下縁面側に積層された粘着材層を介してハードクロムマスクに貼り付ける工程、ITO電極を有し感光性レジストが塗布されてなるTFT液晶パネル基板を、該ハードクロムマスクを通して露光する工程、該感光性レジストを現像する工程、及び該ITO電極を蓚酸を含むエッチング液でエッチングする工程を含むTFT液晶パネルの製造方法。
  18. 前記枠体の下縁面側に積層された粘着材層を介して請求項1116のいずれか1項に記載のペリクルを貼り付けた、ハードクロムマスクを用意する工程、ITO電極を有し感光性レジストが塗布されてなるTFT液晶パネル基板を、該ハードクロムマスクを通して露光する工程、該感光性レジストを現像する工程、及び該ITO電極を蓚酸を含むエッチング液でエッチングする工程を含むTFT液晶パネルの製造方法。
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