JP5342344B2 - 新規ペリクル及びその製法 - Google Patents
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Description
ペリクルとは、マスクの形状に合わせた形状を有する厚さ数ミリ程度の枠体(以下「フレーム」ともいう。)の上縁面に、厚さ10μm以下の透明な高分子膜(以下、「ペリクル膜」という。)を展張して接着し、かつ該枠体の下縁面に粘着材層を積層したものである。液晶パネル等の製造に使用されるペリクルは、半導体素子製造に使用されるペリクルに比較して大型であり、そのペリクル膜の面積は1000〜30000cm2である。
したがって、本願発明が解決しようとする課題は、半導体素子又は液晶パネルの製造工程、特にITO電極層を有するフラットパネルディスプレー製造用基板の製造工程において、ハードクロムマスク上に上記成長性異物が発生することを防止できるとともに、平均光線透過率が高いペリクル及びその製造方法を提供することである。
該ペリクル膜は、シクロオレフィン系樹脂を有機溶媒に溶解させてなる吸光度0.05以下のポリマー溶液を、基材上に塗布乾燥させて形成され、形成された該ペリクル膜の突刺強度は、0.15N/μm以上であり、かつ、形成された該ペリクル膜の厚さは、0.5〜8μmであることを特徴とする前記ペリクル。
シクロオレフィン系樹脂を有機溶媒に溶解させて吸光度0.05以下のポリマー溶液を調製する調製ステップ、及び
得られたポリマー溶液を、基材上に塗布乾燥させて、厚さ0.5〜8μm、かつ、突刺強度は、0.15N/μm以上のペリクル膜を成膜する成膜ステップ、含むことを特徴とするペリクルの製造方法。
シクロオレフィン系樹脂と該シクロオレフィン系樹脂の全重量に対し0.1重量%以上15重量%以下の光安定剤とを有機溶媒に溶解させて吸光度0.05以下のポリマー溶液を調製する調製ステップ、及び
得られたポリマー溶液を、基材上に塗布乾燥させて、厚さ0.5〜8μm、かつ、突刺強度は、0.15N/μm以上のペリクル膜を成膜する成膜ステップ、含むことを特徴とするペリクルの製造方法。
従来、TFT液晶パネルを製造する雰囲気中に濃度の高い蓚酸が存在することはなかった。しかしながら、前述したパネル製造における工程の変更により、製造雰囲気は変化し、製造雰囲気中の蓚酸含有濃度が高くなることがある。
蓚酸は、ガス状、微粒粉体状又はミスト状で製造雰囲気中に存在し、主にペリクル膜を通って、マスク表面に到達すると考えられる。
前述の環境雰囲気中に存在する、又は雰囲気中の薬液及び揮発分からマスク表面近くで高圧水銀光等の光源から照射される紫外線によって発生した蓚酸は、ガス状、微粒粉体状又はミスト状で空気中に存在する。蓚酸が、マスク表面に付着し、マスク表面の遮光材として利用されるクロム又はその化合物と反応して、錯体が形成される。この反応では、蓚酸が吸湿、含水又は吸水し、蓚酸イオンとなることでクロム又はその化合物との反応性が高まって成長性異物が生じやすくなる。特に蓚酸の反応性は蓚酸の吸湿状態によって変化し、環境雰囲気の湿度が上昇し、蓚酸が過剰な水分を含む状態になると成長性異物が生成しやすくなる。したがって、成長性異物を抑制する方法としては、マスクパターンの静電破壊が発生しない程度に環境雰囲気の湿度を低くすることも有効であるが、TFT液晶パネル用途マスクの場合には、この方法は採用し難い。
)3]・3H2Oなどが挙げられる。
成長性異物として特に生じやすいものは、アンモニウム塩であり、その中でも特にトリス(オキサラト)クロム(III )酸塩MI 3[Cr(C2O4)3]とその水和物、例えば、(NH4)3[Cr(C2O4)3]・nH2Oである。
該成長性異物を抑制する方法としては、ペリクル膜の蓚酸透過性を低下させる方法、TFT液晶パネルの製作環境の蓚酸濃度や湿度を低下させる方法、マスクのクロム表面を保護する方法、マスクパターンや遮光材を蓚酸に対して反応しないものに変更する方法、マスク基板とペリクル膜の間の空間を、蓚酸を含まない気体で置換する方法、マスクに乾燥空気を当てる方法などが考えられる。
そのような材料の中でも蓚酸透過量が少なく、光学物性が優れた材料として、シクロオレフィン系樹脂が挙げられ、ノルボルネンの重合体または共重合体(水素添加したものを含む)、例えば、アペル(登録商標)(三井化学社製)、トパス(登録商標)(ポリプラスチックス株式会社製)、ゼオネックス(登録商標)又はゼオノア(登録商標)(日本ゼオン社製)、アートン(登録商標)(JSR社製)が好ましい。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系がよく、特に2,2´−5,5´テトラメチルピペリジン誘導体を含んだ化合物が好ましい。例えば、TINUVIN(登録商標)(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、アデカスタブLAシリーズ(株式会社ADEKA製)、CHIMASSORB(登録商標)(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、Hostavin(Clariant製)が好ましい。
光安定剤の効果を向上させるために、酸化防止剤であるフェノール系、ホスファイト系を光安定剤とともに添加してもよい。フェノール系酸化防止剤として、例えば、アデカスタブAOシリーズ(株式会社ADEKA製)、IRGANOX(登録商標)(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)が好ましい。ホスファイト系として、例えば、IRGAFOS(登録商標)(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)アデカスタブPEPシリーズ(株式会社ADEKA製)が好ましい。
酸化防止剤は、光安定剤との相乗効果で光安定剤単独使用よりさらに耐光性向上効果を得るために、シクロオレフィン系樹脂の全重量に対し、0.1重量%以上10重量%以下になるように添加することが好ましく、0.1重量%以上5重量%以下になるように添加することがより好ましい。相乗効果を強め、溶液の吸光度0.05以下およびブリードアウトしないようにするためには、0.1重量%以上3重量%以下になるように添加することがさらに好ましい。
本発明に係る光安定剤としては、添加してもペリクル膜の突刺強度とポリマー溶液の吸光度の両方を満たす材料として、TINUVIN(登録商標)(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、アデカスタブLAシリーズ(株式会社ADEKA製)などが好適に使用できる。酸化防止剤としては、IRGANOX(登録商標)(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)が好ましい。
前記した光安定剤を添加した溶液を用いて成膜した場合においても、上記と同様の成膜条件で行うことが可能である。
樹脂を、溶媒に所定濃度で溶解し、1日間静置脱泡したポリマー溶液をUV−2450(島津製作所製)を用いて、光路長50mmの石英セルに、測定するポリマー溶液の溶媒と同一溶媒を入れたときをリファレンスとし、同じく光路長50mmの石英セルに、測定ポリマー溶液を入れて、測定したときの850nmの吸光度(ABS)を測定した。
ペリクル(フレームの外寸、縦149mm×横113mm×高さ4.2mm、フレームの幅2mm)のフレームの内寸法と同じ大きさの濾紙(NO.4A,東洋濾紙株式会社)、を50℃の純水で1hr、3回洗浄し乾燥させた。この濾紙をペリクルのフレーム内を完全に覆うように入れ、該ペリクルを3mm厚のガラス板(縦152mm×横152mm)上に気密性が保たれるように2液混合型エポキシ系接着剤で固定した。これを、ガラス容器(容積3.8L)に、無水蓚酸(和光純薬工業株式会社製)2gと共に常圧下で入れ、密閉した状態で、70℃72時間処理し、ペリクル膜を透過した蓚酸が濾紙に吸着するようにした。
成長性異物発生の加速試験法は、ペリクルを低反射タイプのマスクブランクス(クリーンサアフェイス技術株式会社製:品番CQL6012BU、縦152.0mm、横152.0mm、厚み3.0mmの片面に酸化クロム膜を形成したもの)に貼り付け、密閉したガラス容器(容積3.8L)に2gの無水蓚酸(和光純薬工業株式会社製)と共に入れ、70℃で3日間処理した。次にこのペリクルを除去した後、このマスクブランクスを純水50ccと共に密閉したガラス容器中に入れ、24時間保管した。さらに、このマスクブランクスを10%アンモニア水溶液10gを入れたガラス密閉容器に入れ、70℃で2時間保管した(図1参照)。
このマスクブランクスの酸化クロム面の表面の、ペリクルで保護されていた部分を水で洗浄し、この洗浄水を回収後、70℃で乾燥させた。また乾燥した残留物が得られた場合には、この残留物のIRスペクトルをSpectrum100(株式会社パーキンエルマージャパン製)を用い、ATR法で測定し、IRスペクトルの1640〜1670cm−1、1360〜1390cm−1、1240〜1260cm−1の3箇所すべてにピークトップが見られるか否かで、蓚酸クロム錯体からなる成長性異物の発生を確認した。蓚酸クロム錯体からなる成長性異物の一例のIRスペクトルを図2に示す。
透過率は、UV−2450(島津製作所製)を用いて膜のない状態をブランク(100%)として、膜のある状態との比を百分率で表し、波長350〜700nmでの透過率を波長0.5nmおきに測定した値の平均値を平均透過率とした。
突刺強度の測定は直径6mmの穴を開けた保持器具にペリクル膜を固定し、先端が1mmφの半球状で太さ2mmの突刺棒で0.5mm/minの速度で突き刺すときの力の最大値(N)を測定することで行った。また測定値は突き刺した膜の厚みで割ったもので表す。また測定は23℃、相対湿度45%RH下の雰囲気に24hr以上放置した後に実施した。
光源として、超高圧UVランプ(ウシオ電機株式会社製)を用いて、直径11cm程度の円状に光が照射されるようにした。その円内にペリクル膜を照射面が何物にも直接接触しないように置いて、紫外光をペリクル膜に照射した。
ペリクル膜の照射量は、紫外線照度計(株式会社オーク製作所製)の受光器UV−SD35(測定波長領域310nmから385nm)を用いて計測し、得られた照度(mW/cm2)に照射時間(sec)をかけて、得られる照射量(mJ/cm2)を1000で割った値を照射量(J/cm2)とした。
ぺリクル(フレームの外寸、縦149mm×横113mm×高さ4.2mm、フレームの幅2mm)を十分に洗浄した石英ガラス板(厚み3mm,縦152mm×横152mm)に貼り付け、密閉したガラス容器(容積3.8L)に膜が接触しないように入れ、密閉して70℃で6日間加熱した。この膜を顕微鏡観察、集光灯下、及び単色光下での目視検査などを任意に実施し、処理前の膜面と比較することで、異物の有無を判定した。必要に応じて平均透過率測定を加熱前後の膜で実施した。
ぺリクル(フレームの外寸、縦149mm×横113mm×高さ4.2mm、フレームの幅2mm、フレーム粘着材なし)の中央部に直径95mm2の超高圧水銀灯光5万J/cm2を照射したものを準備し、これらを恒温恒湿器で温度22℃、相対湿度45%の状態に1時間置いて観察した後、同温度で相対湿度を97%まで20分かけて増加させたときの膜面しわを観察した。
シクロオレフィン系樹脂であるZeonor1060R(日本ゼオン社製ゼオノア(登録商標))10gをリモネン(和光純薬工業株式会社製)90gに入れ、室温で4時間攪拌し溶解させ、70℃で4時間攪拌し、溶解させた。この溶液の吸光度は0.04と透明な溶液であった。この溶液をシリコンウエハ上に滴下し、スピンコーター約300rpmで回転塗布した後、160℃のホットプレートで30分間乾燥させペリクル膜を得た。
得られた膜上にアモルファスフッ素樹脂を含む溶液であるサイトップ CTX−809SP2(旭硝子(株)製商品名)をパーフルオロトリブチルアミン(フロリナートFC−43住友スリーエム(株)製商品名)で固形分2%に希釈したものを滴下し、スピンコーター上で300rpmで回転塗布した後、120℃で乾燥させ厚み4.0μmのペリクル膜を得た。
このペリクルに紫外光を1万J/cm2照射し、平均透過率を測定したところ、94%であった。突刺強度は0.31N/μmであり、十分な強度を有していた。また、紫外光を照射したペリクルの70℃72時間における蓚酸透過量は4.4×10−4mg/cm2(膜厚4.0μm)であった。
次に成長性異物発生の加速試験法で成長性異物の発生の有無を確認したところ、マスクブランクスから得た洗浄水の残留物は、得られなかった。
シクロオレフィンポリマーであるZeonor1060R(日本ゼオン社製ゼオノア(登録商標))10gをデカヒドロナフタレン(キシダ化学株式会社製)90gに添加し、室温で4時間攪拌し溶解させ、70℃で4時間攪拌し、溶解させた。この溶液の吸光度は0.02であり、透明な溶液であった。この溶液をシリコンウエハ上に滴下し、スピンコーターを用いて300rpmで回転塗布した後、160℃のホットプレートで30分間乾燥させ。ペリクル膜を得た。得られた膜上にアモルファスフッ素樹脂を含む溶液であるサイトップ CTX−809SP2(旭硝子(株)製商品名)をパーフルオロトリブチルアミン(フロリナートFC−43 住友スリーエム(株)製商品名)で固形分2%に希釈したものを滴下し、スピンコーター上で、300rpmで回転塗布した後120℃で乾燥させ、厚み4μmのペリクル膜を得た。
このペリクルの70℃72時間における蓚酸透過量は4.4×10−5mg/cm2(膜厚4.0μm)であった。該ペリクル膜の光線透過率はUV−2450(島津製作所製)を用いて波長350〜700nmでの透過率の平均値を測定したところ、94%であった。突刺強度は0.42N/μmであり、十分な強度を有していた。
このペリクルに紫外光を1万J/cm2照射し、平均透過率を測定したところ、94%であった。突刺強度は0.31N/μmであり、十分な強度を有していた。また、紫外光を照射したペリクルの70℃72時間における蓚酸透過量は4.5×10−4mg/cm2(膜厚4.0μm)であった。
次に成長性異物発生の加速試験法で成長性異物の発生の有無を確認したところ、マスクブランクスから得た洗浄水の残留物は、得られなかった。
シクロオレフィンポリマーであるZeonor1060R(日本ゼオン社製ゼオノア(登録商標))10gをデカヒドロナフタレン(キシダ化学株式会社製)90gに添加し、室温で4時間攪拌し溶解させ、70℃で4時間攪拌し、溶解させた。この溶液に25℃で液状のTINUVIN292(チバスペシャリティケミカル)0.5gを添加し、室温で6時間攪拌し、溶解させた。この溶液の吸光度は0.002であり、透明な溶液であった。この溶液をシリコンウエハ上に滴下し、スピンコーターを用いて300rpmで回転塗布した後、160℃のホットプレートで30分間乾燥させ。ペリクル膜を得た。得られた膜上にアモルファスフッ素樹脂を含む溶液であるサイトップ CTX−809SP2(旭硝子(株)製商品名)をパーフルオロトリブチルアミン(フロリナートFC−43 住友スリーエム(株)製商品名)で2%に希釈したものを滴下し、スピンコーター上で、300rpmで回転塗布した後120℃で乾燥させ、厚み6μmのペリクル膜を得た。
このペリクルの70℃72時間における蓚酸透過量は4.3×10−6mg/cm2(膜厚6.0μm)であった。該ペリクル膜の光線透過率はUV−2450(島津製作所製)を用いて波長350〜700nmでの透過率の平均値を測定したところ、94%であった。突刺強度は0.42N/μmであり、十分な強度を有していた。
このペリクルに紫外光を1万J/cm2照射し、平均透過率を測定したところ、94%であった。突刺強度は0.37N/μmであり、十分な強度を有していた。また、紫外光を照射したペリクルの70℃72時間における蓚酸透過量は4.4×10−6mg/cm2(膜厚6.0μm)であった。
次に成長性異物発生の加速試験法で成長性異物の発生の有無を確認したところ、マスクブランクスから得た洗浄水の残留物は、得られなかった。
また光安定剤のブリードアウト試験方法を行い、膜面を顕微鏡観察したが、異物は認められなかった。また集光灯、単色光下で目視観察した結果、加熱後での変化は認められなかった。また平均透過率は、加熱前94.8%で、加熱後94.8%であり、変化は認められなかった。
さらに耐湿性試験で膜面中央部のしわの発生状況を目視観察したところ、相対湿度45%から97%ではしわの発生は認められなかった。
シクロオレフィンポリマーであるZeonor1060R(日本ゼオン社製ゼオノア(登録商標))10gをデカヒドロナフタレン(キシダ化学株式会社製)90gに添加し、室温で4時間攪拌し溶解させ、70℃で4時間攪拌し、溶解させた。この溶液に25℃で液状のTINUVIN292(チバスペシャリティケミカル)0.5g及びirganox1010(チバスペシャリティケミカル)0.05gを添加し、室温で6時間攪拌し、溶解させた。この溶液の吸光度は0.002であり、透明な溶液であった。この溶液をシリコンウエハ上に滴下し、スピンコーターを用いて300rpmで回転塗布した後、160℃のホットプレートで30分間乾燥させ。ペリクル膜を得た。得られた膜上にアモルファスフッ素樹脂を含む溶液であるサイトップ CTX−809SP2(旭硝子(株)製商品名)をパーフルオロトリブチルアミン(フロリナートFC−43 住友スリーエム(株)製商品名)で2%に希釈したものを滴下し、スピンコーター上で、300rpmで回転塗布した後120℃で乾燥させ、厚み6μmのペリクル膜を得た。
このペリクルの70℃72時間における蓚酸透過量は4.5×10−6mg/cm2(膜厚6.0μm)であった。該ペリクル膜の光線透過率はUV−2450(島津製作所製)を用いて波長350〜700nmでの透過率の平均値を測定したところ、94%であった。突刺強度は0.42N/μmであり、十分な強度を有していた。
このペリクルに紫外光を1万J/cm2照射し、平均透過率を測定したところ、94%であった。突刺強度は0.37N/μmであり、十分な強度を有していた。また、紫外光を照射したペリクルの70℃72時間における蓚酸透過量は4.4×10−6mg/cm2(膜厚6.0μm)であった。
次に成長性異物発生の加速試験法で成長性異物の発生の有無を確認したところ、マスクブランクスから得た洗浄水の残留物は、得られなかった。
また、光安定剤のブリードアウト実験を行い、膜面を顕微鏡観察したが、異物は認められなかった。集光灯、単色光下で目視観察した結果、加熱残後での変化も認められなかった。平均透過率は、加熱前94.8%で、加熱後94.7%であり、ほとんど変化は認められなかった。
さらに耐湿性試験で膜面中央部のしわの発生状況を目視観察したところ、相対湿度45%時、97%時の両条件でしわの発生は認められなかった。
シクロオレフィン系樹脂であるZeonex480R(日本ゼオン社製ゼオネックス(登録商標))10gをリモネン(和光純薬工業株式会社製)90gに添加し、室温で4時間攪拌し溶解させ、70℃で4時間攪拌し、溶解させた。この溶液の吸光度は0.04であり、透明な溶液であった。この溶液をシリコンウエハ上に滴下し、スピンコーターを用いて300rpmで回転塗布した後、160℃のホットプレートで30分間乾燥させ、ペリクル膜を得た。得られた主膜上にアモルファスフッ素樹脂を含む溶液であるサイトップCTX−809SP2(旭硝子(株)製商品名)をパーフルオロトリブチルアミン(フロリナートFC−43 住友スリーエム(株)製商品名)で固形分2%に希釈したものを滴下し、スピンコーター上で、300rpmで回転塗布した後、120℃で乾燥させた。このペリクル膜は強度が低く、シリコンウエハから剥離することが難しく、膜には剥離時に生じた欠陥が多数あり、ペリクル膜として使用できるものではなかった。またこの膜の平均透過率は80%であり、突刺強度は0.02N/μmであり、ペリクル膜として透過率、強度共に十分なものではなかった。
シクロオレフィン系樹脂であるZeonex480R(日本ゼオン社製ゼオネックス(登録商標))10gをリモネン(和光純薬工業株式会社製)90gに添加し、室温で4時間攪拌し溶解させ、70℃で4時間攪拌し、溶解させた。この溶液に25℃で粉末状のアデカスタブLA−62P(株式会社ADEKA製)0.5gを添加し、室温で6時間攪拌し、溶解させた。この溶液の吸光度は0.04であり、透明な溶液であった。この溶液をシリコンウエハ上に滴下し、スピンコーターを用いて100rpmで回転塗布した後、160℃のホットプレートで45分間乾燥させ、ペリクル膜を得た。得られた主膜上にアモルファスフッ素樹脂を含む溶液であるサイトップ CTX−809SP2(旭硝子(株)製商品名)をパーフルオロトリブチルアミン(フロリナートFC−43 住友スリーエム(株)製商品名)で固形分2%に希釈したものを滴下し、スピンコーター上で、300rpmで回転塗布した後、120℃で乾燥させ、厚み10.0μmのペリクル膜を得た。
このペリクル膜を展張して、上縁面に接着剤を塗布したアルミ製の枠体(外形、縦149mm×横113mm×高4.2mm、枠幅2mm)に貼り付け、枠体からはみ出た不要部分のペリクル膜を切断除去した。この膜の70℃72時間における蓚酸透過量は2.5×10−5mg/cm2(膜厚10μ)であった。膜はわずかに白化しており、平均透過率は80%であった。突刺強度は0.04N/μmであり、ペリクル膜として透過率、強度共に十分なものではなかった。
アモルファスフッ素樹脂を含む溶液であるサイトップ(旭硝子(株)製商品名)CTX−809SP2をシリコンウエハ上に滴下し、スピンコーター上で300rpmで回転塗布した後、70℃で10分間乾燥させた後、180℃40分で乾燥させ、厚み4μmのペリクル膜を得た。
このペリクル膜を展張し、上縁面に接着剤を塗布したアルミ製の枠体(外形、縦149mm×横113mm×高4.2mm、枠幅2mm)に貼り付け、枠体からはみ出た不要部分のペリクル膜を切断除去した。このペリクルの70℃72時間における蓚酸透過量は5×10−4mg/cm2(膜厚4.0μ)であった。該ペリクル膜の平均透過率は94%、突刺強度は0.20N/μmであり、ペリクル膜として突刺強度は十分なものの、蓚酸透過量が大きかった。
次に成長性異物発生の加速試験法で成長性異物の発生の有無を確認したところ、マスクブランクスから得た洗浄水の残留物では、IRスペクトルの1640〜1670cm−1、1360〜1390cm−1、1240〜1260cm−1の3箇所すべてにピークトップが見られ、蓚酸クロム錯体からなる成長性異物の発生が認められた。
2 ペリクルをはずしたマスクブランクス
3 密閉容器
4 無水蓚酸
5 純水
6 10%アンモニア水溶液
Claims (12)
- 枠体、該枠体の下縁面側に積層された粘着材層、及び該枠体の上縁面側に展張されたペリクル膜を含むペリクルであって、該ペリクル膜は、シクロオレフィン系樹脂を有機溶媒に溶解させてなる吸光度0.05以下のポリマー溶液を、基材上に塗布乾燥させて形成され、形成された該ペリクル膜の突刺強度は、0.15N/μm以上であり、かつ、形成された該ペリクル膜の厚さは、0.5〜8μmであることを特徴とする前記ペリクル。
- 前記ペリクル膜の片面又は両面に、前記シクロオレフィン系樹脂の屈折率よりも低い屈折率を有する材料から形成された厚さ10〜500nmの反射防止層をさらに設けてなる、請求項1に記載のペリクル。
- 枠体、該枠体の下縁面側に積層された粘着材層、及び該枠体の上縁面側に展張されたペリクル膜を含むペリクルであって、該ペリクル膜は、シクロオレフィン系樹脂と該シクロオレフィン系樹脂の全重量に対し0.1重量%以上15重量%以下の光安定剤とを有機溶媒に溶解させてなる吸光度0.05以下のポリマー溶液を、基材上に塗布乾燥させて形成され、形成された該ペリクル膜の突刺強度は、0.15N/μm以上であり、かつ、形成された該ペリクル膜の厚さは、0.5〜8μmであることを特徴とする前記ペリクル。
- 前記光安定剤が常温で液状である、請求項3に記載のペリクル。
- 前記ポリマー溶液に、前記シクロオレフィン系樹脂の全重量に対し0.1重量%以上10重量%以下の酸化防止剤をさらに添加する、請求項3又は4に記載のペリクル。
- 前記ペリクル膜の片面又は両面に、前記シクロオレフィン系樹脂の屈折率よりも低い屈折率を有する材料から形成された厚さ10〜500nmの反射防止層をさらに設けてなる、請求項3〜5のいずれか1項に記載のペリクル。
- 枠体、該枠体の下縁面側に積層された粘着材層、及び該枠体の上縁面側に展張されたペリクル膜を含むペリクルの製造方法であって、以下のステップ:
シクロオレフィン系樹脂を有機溶媒に溶解させて吸光度0.05以下のポリマー溶液を
調製する調製ステップ、及び
得られたポリマー溶液を、基材上に塗布乾燥させて、厚さ0.5〜8μm、かつ、突刺強度は、0.15N/μm以上のペリクル膜を成膜する成膜ステップ、
含むことを特徴とするペリクルの製造方法。 - 前記成膜ステップの後に、前記ペリクル膜の片面又は両面に、前記シクロオレフィン系樹脂の屈折率よりも低い屈折率を有する材料から形成された厚さ10〜500nmの反射防止層を成膜するステップを、さらに含む、請求項7に記載のペリクルの製造方法。
- 枠体、該枠体の下縁面側に積層された粘着材層、及び該枠体の上縁面側に展張されたペリクル膜を含むペリクルの製造方法であって、以下のステップ:
シクロオレフィン系樹脂と該シクロオレフィン系樹脂の全重量に対し0.1重量%以上15重量%以下の光安定剤とを有機溶媒に溶解させて吸光度0.05以下のポリマー溶液を調製する調製ステップ、及び
得られたポリマー溶液を、基材上に塗布乾燥させて、厚さ0.5〜8μm、かつ、突刺強度は、0.15N/μm以上のペリクル膜を成膜する成膜ステップ、
含むことを特徴とするペリクルの製造方法。 - 前記光安定剤が常温で液状である、請求項9に記載のペリクルの製造方法。
- 前記調製ステップにおいて、前記ポリマー溶液に、前記シクロオレフィン系樹脂の全重量に対し0.1重量%以上10重量%以下の酸化防止剤をさらに添加する、請求項9又は10に記載のペリクルの製造方法。
- 前記成膜ステップの後に、前記ペリクル膜の片面又は両面に、前記シクロオレフィン系樹脂の屈折率よりも低い屈折率を有する材料から形成された厚さ10〜500nmの反射防止層を成膜するステップをさらに含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載のペリクルの製造方法。
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