JP5116503B2 - 芯温センサにおける内蔵ヒータの断線判定装置 - Google Patents
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Description
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、追加部品を要することなくヒータ断線の有無を正確に判定できるようにするところにある。
ヒータへの通電前と通電後の所定時間の温度勾配を比較して断線の有無の判定をするようにしたから、判定時期により冷却庫の冷却態様が異なる等によって、センサ素子の検知温度自体は降下中、上昇中といった、いかなる温度推移形態を取っていたとしても、ヒータ発熱の有無が確実に検知でき、すなわち断線の有無の判定を正確に行うことができる。また、既存のセンサ素子が利用できて格別な追加部品は不要であるから、コスト増を最小限に抑えることができる。
(1)前記比較手段で断線有りと判定された場合に警報を出す警報装置が設けられている。断線有りと判定された場合には警報手段により警報が出され、修理等の迅速な対応に便利となる。
以下、本発明の一実施形態を図1ないし図8によって説明する。本実施形態に係る芯温センサは、急速冷却庫に装備されて使用されるようになっている。
まず急速冷却庫の全体構造を図1によって説明する。機械室11の上面に断熱箱体製の冷却庫本体10が載置され、その前面開口部に断熱扉(図示せず)が開閉可能に装着されている。本体10内の正面から見た右側が、食品Fの収納室12とされ、左側が冷却ユニット16の設置室13となっている。収納室12には、左右一対のトレイ受け15が対向して配設され、食品Fを入れたトレイTが複数段にわたって出し入れ可能に収納されるようになっている。
冷却ユニット16は、冷却器17とその前方に配された2個の冷却ファン18をケーシング内に収めてユニット化したものである。冷却器17が、機械室11内に設置された冷凍装置(図示せず)と冷媒管により循環接続され、周知の冷凍回路が形成されている。
また、冷却ユニット16の奥側の側面には、収納室12の庫内温度を検知する庫内温度センサ19が設けられているとともに、収納された食品Fに差し込まれて同食品Fの芯温(内部温度)を検知する芯温センサ20が設けられている。
この芯温制御モードは、図2を参照して説明すると、庫内温度センサ19で検知された庫内温度Td1と、予め定められた冷却時庫内設定温度TCとの比較に基づいて冷凍装置の運転を制御することにより、収納室12をほぼ冷却時庫内設定温度TCに冷却する冷却運転を行い、その間芯温センサ20により食品Fの芯温Td2を検知し、芯温Td2が予め定められた芯温設定温度TSまで低下したところで冷却運転を終了する。さらに冷却運転に続いて、同じく庫内温度センサ19で検知された庫内温度Td1と、予め定められた保冷時庫内設定温度THとの比較に基づいて冷却装置の運転を制御することにより、収納室12をほぼ保冷時庫内設定温度THに冷却する保冷運転を行うようになっている。なお、保冷運転時には、冷却運転時と比べて、冷却ファン18の回転数が低くなるように併せて制御されるようになっている。
上記した芯温設定温度TS、冷却時庫内設定温度TC、保冷時庫内設定温度THは、機械室11の正面上部に配された操作パネル30から、個別に設定し得るようになっている。
そして本実施形態では、上記したヒータの断線の有無を判定する手段が設けられており、以下それについて詳述する。
差し込み部22内における軸線上の先端に寄った位置には、温度検知部であるセンサ素子23が埋設されている。このセンサ素子23は、実際には差し込み部22の温度を検知するものであるが、その検知温度を、同差し込み部22が差し込まれている食品Fの芯温(内部温度)の検知温度と擬制している。
このセンサ素子23に接続されたリード線23Aは、差し込み部22さらには本体部21内を通って同本体部21の基端側から引き出されており、後記する制御部40の入力側に接続されている。
ヒータ24の通電回路25は、図4に示すようであって、電源26には、可変電圧(例えば1V〜5V)式の直流電源が使用され、ヒータスイッチ27のオン・オフ(閉鎖・開放)によってヒータ24への通断電が切り替えられるようになっている。
そのため図5に示すように、マイクロコンピータ、タイマ41等を備えて所定のプログラム(図6参照)を実行可能とした制御部40が設けられており、入力側には、芯温センサ20のヒータ24に通電する、すなわちヒータスイッチ27をオンするためのヒータ用の操作ボタン31(以下、ヒータ通電ボタン31)と、芯温センサ20のセンサ素子23とが接続されている。ヒータ通電ボタン31は、図1に示すように、機械室11の正面上部位置に設けられた操作パネル30に配されている。
一方出力側には、ヒータ24の通電回路25に設けられたヒータスイッチ27と、警報装置であるブザー32を作動させるブザースイッチ33が接続されている。
検知温度取込部43は、上記したヒータ通電ボタン31の押圧時、すなわちヒータ24への通電開始時の所定時間t(6秒)前におけるセンサ素子23の検知温度Ta(以下、通電前検知温度Ta)と、通電開始時の同検知温度Tb(以下、通電開始時検知温度Tb)と、通電開始時の所定時間t後における同検知温度Tc(以下、通電後検知温度Tc)をそれぞれ取り込むように機能する。
比較部45は、演算部44による演算結果である通電前温度勾配Tk1と通電後温度勾配Tk2とを比較し、通電後温度勾配Tk2から通電前温度勾配Tk1を差し引いた温度値が所定値(例えば1K)未満であったら、断線有りとして断線信号sを送出するようになっている。この断線信号sは、ブザースイッチ33をオンするように機能する。
またスイッチオフ部46は、上記の断線信号sを受けると、ヒータスイッチ27をオフにするように機能する。
冷却された食品Fは、通常は保冷運転に移ってから取り出される。ここで食品Fを取り出す前に芯温センサ20が抜き取られるのであるが、この例のように食品Fの温度が「−15℃」程度で凍結状態にある場合は、そのままでは芯温センサ20を抜くことができないので、ヒータ通電ボタン31を押圧する(図7のタイミングA)。
そうしたら続いて、ステップS10において、通電前温度勾配Tk1と通電後温度勾配Tk2とが比較され、通電後温度勾配Tk2から通電前温度勾配Tk1を差し引いた温度値が所定値(1K)未満であるか、以上であるかが判別される。
また、同断線信号sを受け、ステップS12において、ヒータスイッチ27がオフとされる。
一例として、保冷運転に移行する前の冷却運転中にヒータスイッチ27がオンされたときが挙げられる。すなわち冷却運転中では、図8に参照して示すように、ヒータ通電開始時(タイミングB)よりも前には、センサ素子23の検知温度Td2が降下傾向にあるのに対して、ヒータ通電開始時の後は、検知温度Td2の降下の程度が鈍るか、僅かに上昇するものの、検知温度Td2自体は、通電後の方が通電前よりも顕著に高くなるとは限らないからである。
ヒータ24の断線があった場合は、図8の鎖線に示すように、ヒータ24への通電開始時を挟んだ前後において検知温度Td2が低下し続けると考えられ、そのときは、通電後温度勾配Tk2と通電前温度勾配Tk1との差ができず、これを以てヒータ24の断線が判定される。
仮に遅延時間が取られていないとすると、ヒータ通電ボタン31がオンされることに伴いヒータスイッチ27がオンしてヒータ24への通電が開始されることになる。このような場合、例えば図7に示す保冷運転中において、ヒータ24への通電開始後に、何らかの事情によりヒータ通電ボタン31(ヒータスイッチ27)がオフされた(同図のタイミングD)のち、短時間で再度オンされた(タイミングE)ときには、検知温度Td2が高いままでほとんど変化せず、仮に通電開始時(タイミングE)の前後6秒間の温度勾配を比較しても差が出ない。したがって、ヒータ24の断線有りの誤判定が行われるおそれがある。
本実施形態の判定方法は要するところ、ヒータ24への通電開始時を境として、通電前の6秒間のヒータオフ時と、通電後の6秒間のヒータオン時との温度勾配を比較しているのであって、上記のような事例に鑑み、特にヒータ24への通電開始前の6秒間のヒータオフ時を確保するために、上記した遅延時間tを取るようにしている。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)ヒータ通電ボタンをオンしてからヒータスイッチがオンとなるまでの遅延時間は、断線判定の正確さとヒータ発熱の遅速との兼ね合いで任意の時間に設定可能であるが、5〜10秒の範囲が好ましい。
(2)例えば、ヒータ通電ボタンのオンオフ切替が短時間で行われた場合について、ヒータスイッチにそのまま反映しないような別の手段が講じられていれば、上記した遅延時間を取らないようにしてもよく、そのようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
(4)上記実施形態では、通電前検知温度Taとして、ヒータ通電ボタンのオン時の検知温度としたが、ヒータ通電ボタンのオンのタイミングとは別に、通電前検知温度の検知タイミングを設定してもよい。
(5)ヒータ断線有りの警報を出す警報手段としては、上記実施形態に例示したブザーを鳴らす以外に、ランプの点灯状態を変える等の他の手段を採用してもよい。
Claims (4)
- 冷却庫内で冷却される食品に差し込まれる差し込み部に、同食品の内部温度を検知するべくセンサ素子が設けられるとともに、前記差し込み部にヒータが内蔵された芯温センサにおいて、前記ヒータの断線の有無を判定する装置であって、
前記ヒータへの通電開始時の所定時間前と、通電開始時と、通電開始時の所定時間後における前記センサ素子の検知温度をそれぞれ取り込む検知温度取込手段と、
前記検知温度取込手段に取り込まれた検知温度に基づき、前記通電開始時の検知温度から前記通電開始時の所定時間前の検知温度を差し引いた値である通電前温度勾配と、前記通電開始時の所定時間後の検知温度から前記通電開始時の検知温度を差し引いた値である通電後温度勾配とを演算する演算手段と、
通電後温度勾配と通電前温度勾配とを比較して、通電後温度勾配が通電前温度勾配に対して所定値を超えていない場合に断線有りと判定する比較手段と、
が具備されていることを特徴とする芯温センサにおける内蔵ヒータの断線判定装置。 - 前記比較手段で断線有りと判定された場合に警報を出す警報装置が設けられていることを特徴とする請求項1記載の芯温センサにおける内蔵ヒータの断線判定装置。
- 前記ヒータへの通断電を切り替えるスイッチと、同スイッチをオン操作するべくヒータ通電ボタンが備えられたものであって、
前記ヒータ通電ボタンが操作されたのち前記所定時間が経過して初めて前記スイッチをオンさせる遅延手段が設けられ、前記ヒータ通電ボタンの操作時の前記センサ素子の検知温度が、前記ヒータへの通電開始時の所定時間前の検知温度として取り込まれることを特徴とする請求項1または請求項2記載の芯温センサにおける内蔵ヒータの断線判定装置。 - 前記比較手段で断線有りと判定された場合に、前記スイッチをオフ操作するスイッチオフ手段が設けられていることを特徴とする請求項3記載の芯温センサにおける内蔵ヒータの断線判定装置。
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