JP5116198B2 - 変性ゴム及びその製造方法と組成物 - Google Patents

変性ゴム及びその製造方法と組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐圧縮永久歪性(c−set)や粘弾性の温度依存性が優れる加硫ゴム組成物を提供する変性ゴム、及びその変性ゴムの製造方法、変性ゴムを配合した変性ゴム組成物に関し、更に詳細には、特定構造のビニル芳香族炭化水素−共役ジエン共重合体末端が、特定のエポキシ基含有化合物で変性された変性ゴムと、その変性ゴムがアニオン重合よって製造された特定構造の活性リチウム含有ビニル芳香族炭化水素−共役ジエン共重合体を、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有する化合物と反応させて変性する変性ゴムの製造方法、及びその変性ゴムにシリカを主体として配合した変性ゴム組成物に関する。また本発明は、該変性ゴム組成物を使用する耐圧縮永久歪性(c−set)や粘弾性の温度依存性が優れる防振ゴム、履き物に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、省資源、省エネルギーを目的としたタイヤ用ゴム組成物として原料ゴムにシリカを配合する技術が多く紹介されている。
即ち、これらの技術は従来のタイヤトレッド用ゴムとしてカーボンブラックの配合に代えてシリカまたはシリカとカーボンブラックを併用してゴムに配合し、より高い反発弾性を得たり粘弾性の低温(0℃)tanδを高くしてウエットスキッド抵抗性を向上し、同時に高温(50〜70℃)tanδを小さくしタイヤの転動抵抗性を低下してエネルギーロスの低減化を意図したものである。
【0003】
代表的な技術として、例えばアメリカ特許5227425号公報に示されている特定構造のSBRにシリカを補強性充填剤として使用し、ゴム組成物の混練り条件を特定する事によって、トレッドゴム組成物の省燃費性能とウエットスキッド抵抗性能のバランスが向上する方法が提案されている。
このようなゴム組成物のシリカの分散性を改良するためにビス−(トリエトキシシリルプロピル)−テトラスルフィドのようなシランカップリング剤が使用されている。
更に、ゴム中へのシリカの分散性を改良すること及び前記シランカップリング剤の使用量低減化を目的として、ゴムの末端を種々のアルコキシシリル基によって変性する方法及びそれらを用いたシリカ配合ゴム組成物が、特開昭62−227908号公報、特開平8−53513号公報、特開平8−53576号公報、特開平9−225324号公報等に提案されている。
【0004】
これらアルコキシシリル基による変性ポリマーは、アニオン重合によって得られた活性末端ポリマーに特定のアルコキシシラン化合物を反応させることによって得られるものである。
以上のような種々の技術に紹介されるゴム組成物は、主にタイヤのウエットスキッド抵抗性と転がり抵抗性のバランス改良を目的として、即ち粘弾性の特性ではウエットスキッド抵抗性向上のために低温(0℃)tanδを増大し、転がり抵抗性低減のために高温(50〜70℃)tanδの低下を意図したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなゴム組成物は低温域(例えば0℃)でtanδを増大するために低温域の硬度が高くなり反発弾性等のゴム弾性が低下したり、反面高温(50〜70℃)tanδの低下により高温域で硬度が低下する等、使用する温度変化などの条件により著しく性能が変化する等の問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決するために、ビニル芳香族炭化水素−共役ジエン共重合体中のビニル芳香族炭化水素分布と変性基について鋭意検討し、特定のビニル芳香族炭化水素分布構造を有し、その共重合体末端が分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物で変性された変性ゴムのシリカ配合組成物が、特にc−setや粘弾性の温度依存性と歪み依存性が優れることを見いだして本発明に至った。
【0008】
すなわち本発明は、
.一般式(A−B−C)n−Xで表され、全ビニル芳香族炭化水素結合量が10〜50重量%、ビニル芳香族炭化水素重合体ブロック結合量が5〜30重量%、共役ジエン部分のビニル結合量が80%以下のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる変性ゴム(式中、A及びCは共役ジエン重合体又はビニル芳香族炭化水素結合量が50重量%以下のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのランダム共重合体、Bはその末端にビニル芳香族炭化水素重合体ブロックを含有するビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体又はビニル芳香族炭化水素重合体ブロックを表し、A/B重量比は30/70〜97/3の範囲にあり、かつCの分子量は5000未満である。また、nは1以上の整数であり、Xは1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物の変性残基を表す。)を原料ゴムとして100重量部、及びシリカ5〜150重量部からなる変性ゴム組成物、
.変性ゴムが、(A−B−C)構造を有する変性前の共重合体の標準ポリスチレン換算GPCピーク分子量が30000〜500000、ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの標準ポリスチレン換算GPCピーク分子量が5000〜50000であり、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物による変性率が20重量%以上である上記.記載の変性ゴム組成物、
.原料ゴムが、変性ゴム99〜20重量%と天然ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイソプレンゴムの中から1種または2種以上の1〜80重量%からなる、上記.又は請求項.記載の変性ゴム組成物、
.上記.〜.のいずれかに記載の変性ゴム組成物を使用する防振ゴム、
.上記.〜.のいずれかに記載の変性ゴム組成物を使用する履き物、
に関するものである。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の一般式(A−B)n −Xまたは、(A−B−C)n −Xで表される変性ゴムは、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなりビニル芳香族炭化水素としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等であり、共役ジエンとしては例えば1.3−ブタジエン、イソプレン、2.3−ジメチル−1.3−ブタジエン等である。
また、本発明の変性ゴムの全ビニル芳香族炭化水素結合量は5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%である。全ビニル芳香族炭化水素結合量が5%未満であると組成物の硬度が低くなり過ぎて好ましくなく、又60重量%を超えるとc−setが悪化し粘弾性の低温tanδも大きくなり過ぎてゴム弾性が損なわれ好ましくない。
また、ビニル芳香族炭化水素ブロック結合量は3〜40重量%であり、好ましくは5〜30重量%である。ビニル芳香族炭化水素重合体ブロック結合量が3重量%未満では粘弾性の温度依存性や歪み依存性が大きくなり好ましくない。またビニル芳香族炭化水素ブロックが40重量%を超えると変性ゴムの硬度が高くなりtanδも大きくなり過ぎてゴム弾性が低下し、c−setも悪化する。
【0010】
本発明の変性ゴムに結合されているビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの分子量は、5000〜50000、好ましくは7000〜40000、更に好ましくは10000〜30000であることが推奨される。ここでビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による標準ポリスチレン換算のクロマトのピーク分子量をいう。ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの分子量が小さ過ぎると変性ゴムの粘弾性の温度依存性や歪み依存性が大きくなったり、またビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの分子量が大き過ぎると変性ゴムが硬くなりゴム弾性が低下したり、ムーニー粘度等が高くなり過ぎ取り扱い性等も悪化するなど好ましくない傾向がみられる。
【0011】
本発明の変性ゴムの共役ジエン部分のビニル結合量は80%以下であり、好ましくは10〜70%、更に好ましくは10〜65%である。ビニル結合量が80%を超えると低温性能が低下したり、タイヤのトレッド等に使用する場合は耐摩耗性等が問題となる。
本発明の変性ゴムの重合体A部分及び重合体C部分は共役ジエン重合体、又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのランダム共重合体であって、ランダム共重合体の場合はそのビニル芳香族炭化水素量は50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下である。50重量%を超えると変性ゴムの硬度が高くなって低温のtanδが大きくなり過ぎゴム弾性が低下したり、c−setが低下して好ましくない。
【0012】
また、重合体C部分の分子量は5000未満であり、好ましくは3000未満、更に好ましくは2500未満である。重合体C部分の分子量が5000以上になると変性剤でのカップリングによるビニル芳香族炭化水素ブロックの凝集性が低下し、粘弾性特性が悪化する。
本発明の変性ゴムの重合体B部分はビニル芳香族炭化水素重合体ブロックまたはその末端にビニル芳香族炭化水素重合体ブロックを有するビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの共重合体である。
本発明において、変性ゴム中の重合体A部分、重合体B部分及び重合体C部分は完全ブロック分布でも良く、AからBに連続的に変化するいわゆるテーパーブロック分布していても良い。
【0013】
本発明の変性ゴムにおいて、(A−B)構造または(A−B−C)構造の変性前の共重合体の分子量は、30000〜500000であり、好ましくは80000〜350000、更に好ましくは100000〜350000である。ここで言う変性前の共重合体の分子量とは、GPCの標準ポリスチレン換算のクロマトのピーク分子量を表す。変性前の共重合体の分子量が30000未満では変性ゴム組成物の機械的強度が劣り、分子量が500000より大きくなると加工性等が低下するなど好ましくない傾向がみられる。
本発明の変性ゴムは、その共重合体鎖末端が、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有する化合物で変性されたものであり、該変性剤中のエポキシ基の数をmとした場合、該変性剤に共重合体分子が1〜m分子結合したものである。実質的には、本発明の変性ゴムは、該変性剤に共重合体分子が1〜m分子結合したものの混合物である。本発明においては、該変性剤に結合している共重合体分子の数は、平均的に2〜10、好ましくは2〜8、更に好ましくは2〜6であることが推奨される。
【0014】
また本発明の変性ゴムは、(A−B)構造または(A−B−C)構造を有する共重合体分子の20重量%以上が、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物で変性されており、好ましくはその変性率が40重量%以上、更に好ましくは50重量%以上である。
変性率が20重量%未満では本発明シリカ配合組成物のc−setが悪化したり、粘弾性tanδの温度依存性や歪み依存性が大きくなるなど好ましくない傾向がみられる。
【0015】
本願第2の発明は、変性ゴムの製造方法である。
本発明の変性ゴムは、不活性有機溶媒中で有機リチウム化合物を開始剤として、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを共重合し(A−B)構造共重合体または(A−B−C)構造共重合体を製造して、その活性リチウム末端を1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物と反応させて変性する変性ゴムの製造方法である。
重合溶媒の好ましい例としてはブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、又はこれらの混合物である不活性有機溶媒である。
【0016】
重合溶媒量は特に制限はないが、通常、得られる重合物の粘度やその取り扱い性や経済性等を考慮して決められ、好ましい使用量は全モノマー量の1倍から25倍程度であって重合開始前に全量使用する場合や、重合途中に追加添加する場合もある。
またビニル化剤、ランダム化剤として少量の極性化合物を添加することも可能であり、それらの具体例としてはジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラハイドロフラン、2.2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類、トリエチルアミン、N.N.N´.N´−テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類やカリウムアミルアルコラート等のアルカリ金属アルコキシド類等である。
【0017】
このようなビニル化剤は重合体ジエン部分のミクロ構造調節剤として所望のビニル結合量に応じ、適量使用できる。
多くのビニル化剤は同時にビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合において有効なランダム化効果を有し、芳香族ビニル化合物分布の調整や芳香族ビニル化合物重合体ブロック量の調整剤として使用出来る。ランダム化する方法は特開昭59−140211号公報記載のように、共重合の途中に共役ジエンの一部を断続的に添加する方法でも良い。
【0018】
極性化合物は重合開始前、開始時、開始後重合途中等のタイミングで一括して添加、又は分割して添加する事も出来、重合途中や分割添加によりビニルブロック構造重合体としてビニル分布の制御が可能である。本発明の変性ゴムの製造方法でビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの重合開始剤として使用する有機リチウム化合物は例えば、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウム、等のモノリチウム化合物、1.4−ジリチオ−n−ブタン、1.3−(2−ジリチオ−2−ヘキシル)ベンゼン等のジリチウム化合物、又モノリチウム化合物をジビニルベンゼンやジイソプロペニルベンゼン等のポリビニル化合物で変性したポリリチウム化合物などが挙げられる。
【0019】
有機リチウム化合物の使用量は得ようとする共重合体の重合度によって決められるが、モノマー100g当たりリチウム量で2mg〜50mg程度である。
有機リチウム化合物は重合開始剤として一括添加する方法、分割添加して異分子鎖長重合体を製造する方法、更に重合前の重合溶媒やモノマー類等のデマンド処理に少量使用することもできる。
また本発明で使用する変性剤の1分子中に2個以上のエポキシ基を含有する化合物としては例えば、下記一般式(1−a)で表すジエポキシ化合物であり、
【0020】
【化1】
Figure 0005116198
〔式中Rは、下記式(1−b)、
【化2】
Figure 0005116198
または、下記式(1−c)、
【化3】
Figure 0005116198
または、下記式(1−d)を示し、
【化4】
Figure 0005116198
1 及びR2 は水素または炭素数が1〜20のアルキル基またはフェニル基であり、R3 は炭素数が2〜20のアルキレン基であり、nは0〜10の整数を表す〕、
具体例としては、次式(2−a)のビスフェノールAジグリシジルエーテル(式中、nは0〜10の整数を示す)や
【化5】
Figure 0005116198
次式(2−b)で表されるビスフェノールFジグリシジルエーテル(式中、nは0〜10の整数を示す)などであり、
【化6】
Figure 0005116198
その他アルキレンオキシド含有エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、炭素環化合物含有エポキシ化合物などであって、これら上記一般式(1−a)で表される化合物の混合物も使用できる。
【0021】
また、次式(3−a)のジグリシジルアミノ基を持つ多官能化合物も好適な変性剤として使用される。
【化7】
Figure 0005116198
(式中、R1 およびR2 は炭素数1〜10の炭化水素基またはエーテルおよび、または3級アミンを有する炭素数1〜10の炭化水素基、R3 およびR4 は、水素、炭素数1〜20の炭化水素基またはエーテルおよび、または3級アミンを有する炭素数1〜20の炭化水素基、R5 は炭素数1〜20の炭化水素基またはエーテル、チオエーテル、3級アミン、エポキシ、カルボニル、ハロゲン、珪素、の内すくなくとも1種の基を有する炭素数1〜20の炭化水素基であり、nは1〜6である。)
【0022】
上記一般式(3−a)のジグリシジルアミノ化合物の具体例としては、ジグリシジルアニリンやジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。
またその他、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエンなども使用できる。
【0023】
このような分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物を変性剤として添加する方法は、末端に活性リチウムを有する(A−B)構造共重合体または(A−B−C)構造共重合体の重合終了後に所定量を一括して添加し変性する方法、又はその一部を分割して重合途中に添加して変性する方法など特に制限されるものではないが、重合終了後の添加時期は30分以内が好ましく、できるだけ早く添加することで高い変性率が得られる。
また変性剤化合物の添加量は、開始剤リチウム1モルに対し0.05〜2.0モル、好ましくは0.10〜1.8モル、より好ましくは0.15〜1.5モルであり、添加量がリチウム当量より多くなる場合はカップリング変性は減少するが、未カップリングの変性重合体が増加して変性ゴムのシリカ親和性が向上してより好ましいシリカ配合組成物が得られる。
このように変性剤化合物をリチウム当量より多く添加して変性した場合は、変性ゴムにエポキシ基が多く残存し、変性後更にリチウム化合物などを添加してエポキシ基を開環し、その後の処理で−OH化などする事も可能である。
【0024】
本発明の製造方法は、バッチ重合の1段重合、多段重合、又は連続重合等で(A−B)構造共重合体または(A−B−C)構造共重合体を製造し、その活性末端に変性剤として分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物を反応させて変性する方法である。
例えば、本発明の一般式(A−B)n −Xで表される変性ゴムの1段重合による製造方法は、窒素置換した攪拌機付き重合器に重合溶媒と全モノマー及び必要であれば少量のビニル化剤を装填し、有機リチウム化合物を添加して重合を開始する。1段重合の場合は全ビニル芳香族炭化水素結合量とビニル化剤量及び重合温度等により末端ビニル芳香族炭化水素重合体ブロック量が決められる。このようにして前半ビニル芳香族炭化水素がランダムに結合した共重合体A部分が生成され、連続して重合後半で末端にビニル芳香族炭化水素重合体ブロックを有する共重合体Bを生成しテーパー型の(A−B)構造共重合体を得、その後変性剤を添加する製造方法である。
【0025】
また例えば、2段重合では前段で共役ジエン重合体またはランダム共重合体の重合体A部分を生成し、次に第2段モノマーを添加してビニル芳香族炭化水素重合体または末端にビニル芳香族炭化水素重合体ブロックを有する共重合体の重合体B部分を生成して(A−B)構造共重合体を製造し、その後変性剤を添加する製造方法である。
また連続重合法の例では、第1の重合器に第1段のモノマーと有機リチウム開始剤を連続して添加し重合体A部分を生成し、その重合溶液と第2段モノマーを連続的に第2の重合器に導入し重合体B部分を生成し(A−B)構造共重合体を得、その後変性剤を添加する製造方法である。
【0026】
また例えば、一般式(A−B−C)n −Xで表される本発明の変性ゴムの製造方法は、(A−B)構造共重合体を製造した後さらに少量のモノマーを添加して重合体C部分を生成し、(A−B−C)構造共重合体を得、その後変性剤を添加する製造方法である。
通常、変性反応は瞬時に終了するが変性剤の拡散性や重合物の粘度により一般に1分から120分程度の変性反応時間を要する。
変性率は変性前の活性リチウム量が多い方が、良好な高い変性率が得られる。活性リチウム量を低下させないためには重合温度はあまり高くない方が好ましく、また原料中のアルケン類、アセチレン類、水、溶存酸素等の不純物もより低減化する事により失活を最小限に抑える必要がある。
【0027】
また重合温度は0℃〜130℃程度の間で実施されるが、好ましい重合温度は20℃〜100℃であり昇温重合でも等温重合でも良い。
このようにして得られた変性ゴム重合体溶液は必要に応じてアルコール、水等で活性リチウムを分解し2.6−ジ−tertブチル−4−メチルフェノール(BHT)、n−オクタデシル−3−(4´−ヒドロキシ−3´.5´−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピネート、2−メチル−4.6−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕フェノール等公知のゴム用安定剤を添加して、熱プレス、ドラムドライヤー、スチームストリッピング等公知の方法で、脱溶媒、乾燥して仕上げる。
【0028】
本願第3の発明は、以上のようにして得られた変性ゴムとシリカからなる変性ゴム組成物である。
原料ゴムは本発明の変性ゴムを少なくとも20重量%以上、好ましくは40重量%以上含有するものであり、その他のゴムとしては天然ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム等を一種以上混合しても良い。
本発明の変性ゴムが20重量%未満では組成物の粘弾性tanδの温度依存性や歪み依存性が大きくなり好ましくない。
【0029】
本発明の変性ゴム組成物で使用するシリカの配合量は、原料ゴム100重量部当たり5〜150重量部、好ましくは10〜100重量部、更に好ましくは20〜80重量部である。
シリカの配合量が5重量部未満では、充分な補強効果が得られない。又シリカ配合量が150重量部より多くなるとゴム弾性が低下したり、本発明の特長である粘弾性特性の温度依存性や歪み依存性の改良効果が得られない。
本発明の変性ゴム組成物で使用するシリカは、湿式法シリカ、乾式法シリカ、合成珪酸塩系シリカのいずれのものも使用できる。補強効果が高いのは粒子径の小さいシリカであり、小粒径・高凝集タイプのものが好ましい。
本発明の変性ゴム組成物では、好ましくは前記シリカの性能を損なわない範囲で、その他の配合剤としてカーボンブラック及びゴム用伸展油を使用することが可能である。
【0030】
カーボンブラックとしては、FT、SRF、FEF、HAF、ISAF、SAF等各種のカーボンブラックが使用できるが、窒素吸着比表面積が50mg/g以上、DBP吸油量が80ml/100gのカーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックの配合量は、原料ゴム100重量部当たり0〜50重量部であり、シリカとの合計量は150重量部以下である。
【0031】
また本発明の変性ゴム組成物はシランカップリング剤を原料ゴムとシリカとのカップリング剤として添加しても良い。シランカップリング剤の添加量は原料ゴム100重量部当たり0〜25重量部、好ましくは0〜15重量部、更に好ましくは0〜10重量部である。
シランカップリング剤の添加量が原料ゴム100重量部に対し25重量部を超えると補強性が損なわれ、コストも高くなり望ましくない。
本発明の変性ゴム組成物で使用するシランカップリング剤の例としては、ビス−〔3−(トリエトキシシリル)−プロピル〕テトラスルフィド、ビス−〔3−(トリエトキシシリル)−プロピル〕−ジスルフィド、ビス−〔2−(トリエトキシシリル)−エチル〕−テトラスルフィド、3−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン、3−トリエトキシシリルプロピル−N.N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド等が挙げられる。
【0032】
本発明の変性ゴム組成物の変性ゴムはシリカとの親和性が極めて高いので、シランカップリング剤は他の未変性ゴムのシリカ配合で通常使用する量の20%以下に削減することも可能である。
また本発明の変性ゴム組成物の、原料ゴムとシリカ及びその他配合剤との混練り温度は130〜180℃、好ましくは135〜170℃の範囲であり、シリカと原料ゴムが充分な結合を形成する事が好ましい。
またゴム用伸展油としては、従来から使用されているアロマチック系、ナフテン系、パラフィン系伸展油の他に、MES、T−DAE、T−RAE等の多核芳香族成分が少なく環境に配慮したゴム用伸展油も使用できる。ゴム用伸展油の使用量は、シリカまたはシリカとカーボンブラックの配合量に応じて増減され、加硫後の組成物の弾性率等を調節するように使用される。このようなゴム用伸展油は、変性ゴム製造後のゴム溶液に添加して、油展変性ゴムとして仕上げても良い。
【0033】
ゴム用伸展油の配合量は、原料ゴム100重量部当たり0〜100重量部、好ましくは5〜60重量部である。100重量部を超えると硬度が低下しすぎたり、c−setや耐摩耗性などが悪化する。
また、その他に充填剤として加硫剤及び加硫促進剤が原料ゴム100重量部当たり1〜20重量部の範囲で使用される。加硫剤の代表的な物としては硫黄が使用され、その他に硫黄含有化合物、過酸化物などが使用される。
加硫促進剤はスルフェンアミド系、グアニジン系、チウラム系等が必要に応じた量使用される。
その他ゴム用薬品として必要に応じて亜鉛華、ステアリン酸、加硫助剤、老化防止剤、加工助剤等が目的に応じた量、例えば原料ゴム100重量部当たり0.1〜20重量部使用される。
【0034】
本発明の変性ゴム組成物は、原料ゴム、シリカ、カーボンブラック、シランカップリング剤、ゴム用伸展油、ゴム用薬品等とをインターナルミキサーなどを使用して130〜180℃の温度で混練りし、更に硫黄などの加硫剤及び加硫促進剤などをインターナルミキサーやミキシングロールを用いて配合し成形後、加硫機で加圧下140〜170℃の温度で加硫する事により優れた性能を発現する。
以上の様に、本発明の変性ゴムはシリカ、シランカップリング剤、その他カーボンブラック、ゴム伸展油、その他充填剤と配合し加硫ゴム組成物の形態で提供され、各種タイヤ用途、防振ゴム、履き物、ベルト、その他工業用品などに好適な変性ゴム組成物である。
【0035】
また本発明の変性ゴムはその結合官能基の特性により、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリレート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂などの改質剤やアスファルトとの割合を適宜選定することにより、道路舗装用、防水用、防錆用、自動車下地被覆用、ルーフイング用、パイプ被覆用、目地用途などに利用できる。
【0036】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するがこれらは本発明の範囲を限定するものではない。
本発明の変性ゴムの実施例サンプル及び比較例サンプルの分析、配合物の物性の測定は以下に記載の方法で実施した。
▲1▼結合スチレン量
ゴムサンプルをクロロホルムに溶解し、スチレンのフェニル基によるUV254nmの吸収を、標準ポリスチレンと比較して結合スチレンの重量%を測定した。
▲2▼ブタジエン部分のミクロ構造
ゴムサンプルを二硫化炭素に溶解し、溶液セルを用いてFT−IRの600〜1000cm−1の範囲で測定し、所定の吸光度からハンプトンの計算方式でブタジエン部分のビニル結合量、シス結合量、トランス結合量を求めた。
【0037】
▲3▼スチレンブロック量
ゴムサンプルをクロロホルムに溶解し、酸化オスミウムで分解しそのメタノール沈殿物の重量からスチレンブロック重量%を測定した。
▲4▼変性前共重合体ゴムの標準ポリスチレン換算GPCピーク分子量
変性前ゴムサンプルをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)のスチレン系無極性カラムを使用してRI測定し、標準ポリスチレンと比較して求めた。
▲5▼スチレンブロックのGPCピーク分子量
酸化オスミウムで分解した▲3▼のスチレンブロックサンプルを▲4▼のGPC条件で測定し、スチレンブロックのGPCピーク分子量を求めた。
▲6▼変性ゴムの変性率
変性ゴムサンプルをTHFに溶解し、内部標準物質を添加後▲4▼の無極性カラム使用GPCとシリカ系極性カラム使用GPCのサンプル溶出量差からゴムの変性率を求めた。
▲7▼モノマーの転化率
重合途中にオートクレーブからサンプリングした重合溶液を真空乾燥し、重合溶液中の固形分率を求めた。重合終了時の固形分率を100%とした。
▲8▼スチレンの転化率
重合途中にオートクレーブからサンプリングした重合溶液中の未反応スチレンモノマーをガスクロマトグラフィーで測定した。
【0038】
【実施例の変性ゴム及び比較例ゴムの製造】
変性ゴム−1)
内容積10Lの温水ジャケット及び攪拌機付きオートクレーブ内を充分に窒素置換し活性アルミナで脱水処理したシクロヘキサン4.5kgとスチレン0.25kg及び1.3−ブタジエン0.75kgを装填した。攪拌しつつ52℃まで昇温し、n−ブチルリチウム0.76g(20%シクロヘキサン溶液、以下同)を添加して重合を開始した。重合温度は91℃に達し、重合最高温度の2分後にテトラグリシジル−1.3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(90重量%シクロヘキサン溶液以下同)を4.4g添加して10分間変性反応をした。このようにして得られた変性ゴム重合溶液に活性リチウム分解剤として水/メタノール(1/5容積比)を10ml添加、混合しその後安定剤としてBHTを2g添加して混合し、ドラムドライヤーで脱溶媒、乾燥して固形変性ゴムを得た。
【0039】
重合途中に数点のモノマー転化率測定サンプルをオートクレーブからサンプリングして、表−2及び表−3a記載のように各モノマー転化率に於ける、結合スチレン量、スチレンブロック量を分析し、転化率約80%までの重合体が結合スチレン9.5重量%、スチレンブロック0.0重量%のランダム共重合体Aである事を確認した。
次に、変性ゴムの分析をして結合スチレン量が24.9重量%、スチレンブロック量が15.4重量%、ビニル結合量が14%であった。
重合体A部分を除いた末端部分の20%が、スチレンの結合量が漸増して末端スチレンブロックを形成するテーパー型ブロック共重合体Bであることを確認した。
変性前の共重合体のGPC測定により分子量が191000であり、また変性前の共重合体のスチレンブロックを分析しそのGPC測定によりスチレンブロックの分子量が22100であった。
変性ゴムの変性剤によるカップリング率は61%、変性率は74%であった。
また、この変性ゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は72であった。
【0040】
変性ゴム−2)
変性ゴムー1と同様一段の重合操作で実施したが、重合開始前にテトラヒドロフラン16gを添加した。表−2記載のように重合途中の各モノマー転化率測定と結合スチレン分析及びスチレンブロックの分析により重合体前半部分の70%が結合スチレン30.9%、スチレンブロックが0.0%のランダム共重合体Aを形成していることを確認した。
重合反応終了後の結合スチレン量とスチレンブロック分析により、重合体の後半30%がテーパー型末端スチレンブロック共重合体Bであることが確認された。
重合の詳細は表−1aに、分析結果は表ー3aに記載した。
【0041】
変性ゴム−3)
内容積10Lの温水ジャケット及び攪拌機付きオートクレーブ内を充分に窒素置換し活性アルミナで脱水処理したシクロヘキサン4.5kgと一段目モノマーの1.3−ブタジエン0.90kgを装填した。攪拌しつつ56℃まで昇温し、n−ブチルリチウム0.95g(20%シクロヘキサン溶液)を添加して重合を開始した。重合温度が82℃となり重合体Aとなる1.3−ブタジエンの重合を終了した。次に第二段目モノマーのスチレン0.10kgを添加して重合体Bを重合した。重合温度は最高89℃に達し、その2分後テトラグリシジル−1.3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを1.6g添加して8分間変性反応をした。変性剤添加時のスチレンの転化率は100.0%であった。このようにして得られた変性ゴム重合溶液に活性リチウム分解剤として水/メタノールを10ml添加、混合しその後安定剤としてBHTを2g添加して混合し、ドラムドライヤーで脱溶媒、乾燥して固形変性ゴムを得た。
【0042】
この変性ゴムの分析値は結合スチレン量が10.1重量%、スチレンブロック量が9.5重量%、ビニル結合量が13.5%で、カップリング率は79%であり共重合体の変性率が86%であった。
変性前の共重合体分子量は122000、スチレンブロックの分子量が9500であった。
また、この変性ゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は43であった。
【0043】
比較例ゴム−1)
変性ゴム−1と同様の方法で製造したが、変性剤の添加は無しで仕上げた。
比較例ゴム−2)
変性ゴム−2と同様の方法で製造したが、重合開始剤のn−ブチルリチウムは2.1g添加し、重合終了後テトラグリシジル−1.3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを6.0g添加して10分間変性反応した。以下、同様の方法で仕上げたが、粘度が低下し過ぎて特に仕上げが困難であった。この変性ゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は13であった。
変性ゴム−4)
変性ゴムー3と同様モノマー2段分割添加の重合操作で実施したが、重合開始前にN.N.N′.N′−テトラメチルエチレンジアミン1.2gを添加した。
【0044】
以下、同様の方法で仕上げた。
変性ゴム−5)
内容積10Lの温水ジャケット及び攪拌機付きオートクレーブ内を充分に窒素置換し活性アルミナで処理したシクロヘキサン4.5kgと一段目モノマーのスチレン0.18kgと1.3−ブタジエン0.27kgを装填した。攪拌しつつ57℃まで昇温し、n−ブチルリチウム0.87g(20%シクロヘキサン溶液)を添加して重合を開始した。重合温度が67℃から1.3−ブタジエンを毎分0.03kgで5分間、合計0.15kgを重合系に添加し添加終了後、重合温度が81℃となり重合体Aとなるランダム共重合体の重合を終了した。次に第二段目モノマーのスチレン0.22kgと1.3−ブタジエン0.18kgを添加して重合体Bを重合した。重合温度は最高86℃に達し、その3分後テトラグリシジル−1.3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを4.0g添加して10分間変性反応をした。このようにして得られた変性ゴム重合溶液に、活性リチウム分解剤として水/メタノールを10ml添加、混合しその後安定剤としてBHTを2g添加して混合し、ドラムドライヤーで脱溶媒、乾燥して固形変性ゴムを得た。
この変性ゴムは結合スチレン量が39.3重量%、スチレンブロック量が10.5重量%である結合スチレンが漸増するテーパー型末端スチレンブロック共重合体であり、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は62であった。
【0045】
変性ゴム−6)
内容積10Lの温水ジャケット及び攪拌機付きオートクレーブ内を充分に窒素置換し活性アルミナで処理したシクロヘキサン4.5kgと一段目モノマーの1.3−ブタジエン0.84kgを装填した。攪拌しつつ58℃まで昇温し、n−ブチルリチウム0.98g(20%シクロヘキサン溶液)を添加して重合を開始した。重合温度が81℃となり重合体Aとなる1.3−ブタジエンの重合を終了した。
次に、第二段目モノマーのスチレン0.13kgを添加して重合を継続し、重合温度が89℃に達して重合体Bのポリスチレン部分を重合した。更に第三モノマーとして1.3−ブタジエン0.03kgを添加し重合体C部分を重合した。重合体C部分の反応終了1分後にビスフェノールAジグリシジルエーテルとビスフェノールFジグリシジルエーテルの各50%混合溶液を3.0g添加して8分間変性反応をした。このようにして得られた(A−B−C)構造変性ゴム重合溶液に活性リチウム分解剤として水/メタノールを10ml添加、混合しその後安定剤としてBHT2gを添加、混合し、ドラムドライヤーで脱溶媒、乾燥して固形変性ゴムを得た。
【0046】
この変性ゴムの分析値は結合スチレン量が13.3重量%、スチレンブロック量が12.8重量%、ビニル結合量が13.0%であった。GPC測定で、変性前の共重合体分子量が121000、スチレンブロックの分子量が10700であった。
変性ゴムのカップリング率は81%であり、変性率が88%であった。
また、この変性ゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は41であった。
【0047】
変性ゴム−7)
変性ゴム−2と同様の製造方法で実施したが、テトラグリシジル−1.3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを4.7g添加して10分間変性反応後、更に変性剤の未反応エポキシ処理剤としてn−ブチルリチウムを0.22g添加し、5分間反応後オートクレーブから排出しつつ水/メタノール10mlと混合した。以下、変性ゴム−1と同様に仕上げた。
この変性ゴムも、変性ゴム−2と同じく表−2記載のように重合途中のモノマー転化率、結合スチレンなどの測定により、重合体の前半約70%までが結合スチレン30.8%、スチレンブロックが0.0%のランダムな共重合体Aが形成されていることを確認した。
【0048】
比較例ゴム−3)
変性ゴム−5と同様の製造方法で実施したが、変性剤の添加無しで仕上げた。
比較例ゴム−4)
変性ゴム−1の製造方法において、テトラヒドロフランを24g添加して重合し、重合終了後テトラグリシジル−1.3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを4.5g添加して変性した。以下、変性ゴム−1と同様にして仕上げた。
得られた変性ゴムのスチレンブロックは1.2重量%と少量であり、また表−2記載のモノマー転化率と結合スチレン量でも示すように殆どがランダム化された共重合体であった。
その他の分析値は表−3bに記載する。
【0049】
【表1】
Figure 0005116198
【0050】
【表2】
Figure 0005116198
【0051】
【表3】
Figure 0005116198
【0052】
【表4】
Figure 0005116198
【0053】
【表5】
Figure 0005116198
【0054】
このようにして製造した本発明の変性ゴムを、以下のようにシリカとシランカップリング剤及びその他の配合剤と混練りし、本発明の変性ゴム組成物を得た。
〔混練り方法〕
温度制御装置付きの容量が0.3Lの加圧ニーダー混練り機を使用し、原料ゴムにシリカ、カーボンブラック、シランカップリング剤、アロマチックオイル、亜鉛華、ステアリン酸等を添加して混練りした。
二段混練りの方法で、第一段目の混練り時間は5分間で、混練り最高温度は161℃に制御した。
第一段目の混練りで得られた配合物を室温まで冷却し、再度3分間混練りし、その時の最高到達温度は158℃に制御した。
第二段目の混練りで得られた配合物を室温まで冷却後、70℃のオープンロールで老化防止剤、硫黄、加硫促進剤を混合した。
【0055】
(実施例及び比較例)
本発明の変性ゴム−6、変性ゴム−1〜5、7及び比較例ゴム−1〜4を以下の配合処方−1で混練り配合し、それぞれ実施例6、参考実施例1〜5、7と比較例1〜4とした。配合は合計量287.5gで実施した。
〈配合処方−1〉
ゴム 100.0部
シリカ(Ultrasil VN3) 40部
シランカップリング剤(Si69) 2部
ナフテンオイル(Shellflex 371J) 5部
亜鉛華 5部
ステアリン酸 2部
老化防止剤 (SP) 1部
硫黄 1.7部
加硫促進剤DM 1.5部
加硫促進剤D 1.5部
合計 159.7部
この配合物を成型し、160℃で20分間加硫機で加硫し、以下の性能について物性を測定した。
【0056】
1)引張強度
JIS−K6251の引張試験法により測定した。
2)tanδの歪み依存性と温度依存性
0℃、50℃、70℃のtanδをレオメトリックス社製のアレス粘弾性試験器を使用し、ねじり方式によって周波数10Hzで測定し下記式で計算した。
歪み依存性は、(50℃に於ける10%tanδ−50℃に於ける0.1%tan δ)×100 (%)/50℃に於ける0.1%tan δで計算した数値
温度依存性は、(0℃の3%tan δ−50℃3%tan δ)×100 (%)/50℃3%tan δで計算した数値
3)圧縮永久歪み(c−set)
JIS−K6301の圧縮永久歪み試験法に準じて70℃−22時間の条件で測定した。
加硫組成物の物性を表−4に記載する。
【0057】
【表6】
Figure 0005116198
【0058】
【表7】
Figure 0005116198
また、以下の配合処方−2による組成物の加硫物性を表−5に記載する。
【0059】
【表8】
Figure 0005116198
【0060】
【表9】
Figure 0005116198
【0061】
【発明の効果】
本発明の変性ゴムは特にシリカとの親和性に優れ、種々のシリカ配合用途に適する。
また本発明の変性ゴムを特定量配合した変性ゴム組成物は、表−4a、4b及び表−5に記載のように、優れた耐圧縮永久歪み性(c−set)と粘弾性特性を有しtanδの歪み依存性や、温度依存性が小さい。
このような優れた特性を有する本発明の変性ゴム組成物は、防振ゴム用途ではtanδの歪み依存性や温度依存性が小さいので使用条件に因る性能変化が少なくて非常に有用である。
また本発明の変性ゴム組成物は、適度な硬度を有し、c−setが優れる等、履き物用途に於いても優れた特性を有する事が判る。
このような優れた特性を有する本発明の変性ゴム組成物はその他工業用品等にも好適に使用できる。

Claims (5)

  1. 一般式(A−B−C)n−Xで表され、全ビニル芳香族炭化水素結合量が10〜50重量%、ビニル芳香族炭化水素重合体ブロック結合量が5〜30重量%、共役ジエン部分のビニル結合量が80%以下のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる変性ゴム(式中、A及びCは共役ジエン重合体又はビニル芳香族炭化水素結合量が50重量%以下のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのランダム共重合体、Bはその末端にビニル芳香族炭化水素重合体ブロックを含有するビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体又はビニル芳香族炭化水素重合体ブロックを表し、A/B重量比は30/70〜97/3の範囲にあり、かつCの分子量は5000未満である。また、nは1以上の整数であり、Xは1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物の変性残基を表す。)を原料ゴムとして100重量部、及びシリカ5〜150重量部からなる変性ゴム組成物。
  2. 変性ゴムが、(A−B−C)構造を有する変性前の共重合体の標準ポリスチレン換算GPCピーク分子量が30000〜500000、ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの標準ポリスチレン換算GPCピーク分子量が5000〜50000であり、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物による変性率が20重量%以上である請求項記載の変性ゴム組成物。
  3. 原料ゴムが、変性ゴム99〜20重量%と天然ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイソプレンゴムの中から1種または2種以上の1〜80重量%からなる、請求項又は請求項記載の変性ゴム組成物。
  4. 請求項のいずれかに記載の変性ゴム組成物を使用する防振ゴム。
  5. 請求項のいずれかに記載の変性ゴム組成物を使用する履き物。
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