JP5116136B2 - 鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置およびその溶接方法 - Google Patents

鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置およびその溶接方法 Download PDF

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Description

本発明は、先行鋼帯と後行鋼帯を溶接でつなげて連続処理を行なう鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置およびその溶接方法に関する。
鋼帯の連続処理(例えば、焼鈍、鍍金、塗装、および洗浄等)を行なう連続処理設備には、例えば、連続処理設備の中央部に鋼帯の処理を行なう中央設備を配置し、連続処理設備の入側に中央設備に鋼帯を供給する前面設備を、連続処理設備の出側に中央設備から排出された処理済の鋼帯を巻き取って、あるいは所定長さに切断して払いだす後面設備が配置されている。そして、連続処理設備では連続運転を図るために、前面設備の上流側に、例えば、2機の鋼帯払い出し装置を設け、2機の鋼帯払い出し装置から交互に鋼帯を供給するようにしている。このとき、処理する鋼帯が切り替わっても鋼帯が中央設備に連続して供給されるように、先行鋼帯の後端部と後行鋼帯の先端部をつなげる溶接装置が前面設備の入側に設けられている。
ここで、先行鋼帯の後端部と後行鋼帯の先端部を溶接する場合、先行鋼帯の送りを停止する必要がある。このため、前面設備の出側に、先行鋼帯を一定長さだけ貯めながら中央設備に向けて排出する機能を備えたルーパー装置を設けて、前面設備の入側で後行鋼帯との溶接のために先行鋼帯の移動を停止させても中央設備には先行鋼帯が供給されるようにしている。そして、先行鋼帯の後端部と後行鋼帯の先端部が位置合わせされて溶接されるように、先行鋼帯にたるみを形成したり(例えば、特許文献1参照)、先行鋼帯と後行鋼帯にそれぞれたるみ(ループ)を形成するようにしている(例えば、特許文献2参照)。
そして、溶接が終了後、後行鋼帯を後退させて鋼帯に生じているたるみを取り除くとともに溶接結果の判定を行なっている。ここで、溶接結果が良と判断された場合は先行鋼帯の中央設備への供給が再開されるが、溶接結果が不良と判断された場合は、溶接部分を一旦切り離した後に再溶接を行なう。
特開2001−191116号公報 特開昭51−70160号公報
しかしながら、再溶接を行なう場合、鋼帯のたるみ取りのために先、後行鋼帯は上流側に移動している。このため、溶接部が溶接機の溶接可能領域(SPA)内から離脱している場合は、鋼帯を搬送方向に寸動させて溶接部が溶接装置内の溶接可能領域内に入るように位置決め調整する必要がある。更に、溶接部を切り離した後、先行鋼帯と後行鋼帯にそれぞれ位置合せに必要なたるみを再度形成する必要がある。このため、再溶接の準備作業に長時間を要することになって、ルーパー装置内に貯めた先行鋼帯が全て払いだされ、連続処理設備を停止させねばならない事態が発生するという問題がある。また、連続処理設備の停止を回避するために、ルーパー装置に蓄えられる先行鋼帯の長さを増加させることも考えられるが、ルーパー装置が大掛かりになって設備費用が増加するという問題がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、溶接後に後行鋼帯を後退させてたるみを取り除くとともに、先行鋼帯と後行鋼帯の溶接部を再溶接に備えて溶接装置内の鋼帯を一定の幅で2箇所切断するダブルカットシャーの間に移動させる鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置およびその溶接方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置は、鋼帯搬送路上を順次搬送される先行鋼帯の後端部と後行鋼帯の先端部をともに切り離すダブルカットシャーを有する切断機と、前記鋼帯搬送路の幅方向に前記切断機に隣接して設けられ切断後の前記先行鋼帯の後端部と切断後の前記後行鋼帯の先端部を該鋼帯搬送路の幅方向に移動しつつ溶接する溶接機と、該溶接機の下流側に設けられ前記先行鋼帯を把持する先行鋼帯クランプ手段と、前記切断機の上流側に設けられ前記後行鋼帯を把持する後行鋼帯クランプ手段とを有し、切断後の前記後行鋼帯の先端部を前記先行鋼帯の後端部位置へ移動し位置合せして溶接する溶接装置であって、
溶接前に前記先行鋼帯の一部を押し込んで前記先行鋼帯クランプ手段の下流側に第1のたるみを形成するたるみ形成手段と、前記後行鋼帯クランプ手段の上流側に設けられ、溶接後に前記後行鋼帯を後退させて前記第1のたるみを取り除き、前記先行鋼帯と前記後行鋼帯の溶接部を前記ダブルカットシャーの間に移動させ、かつ前記後行鋼帯クランプ手段の上流側に第2のたるみを形成する、後行鋼帯搬送手段とを有し、、前記溶接部の溶接結果の判定が良と判断された場合は直ちに前記先行鋼帯の搬送を再開し、溶接結果が不良と判断された場合は直ちに前記切断機で前記溶接部を切断する
なお、本発明でいうダブルカットシャーとは、溶接装置内に設けたダブルカットシャーを指し、溶接装置の入側、例えばピンチロール間に設けるクロップカット用のダブルカットシャーではない。
本発明に係る鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置において、前記たるみ形成手段は、前記先行鋼帯クランプ手段の下流側に配置され前記先行鋼帯を支える先行鋼帯用サポートロールと該先行鋼帯用サポートロールの下流側に設けられ該先行鋼帯を送り出す送り出し装置の間に設けられ、該先行鋼帯の表面に当たって該先行鋼帯を押し込む当接ロールと、該先行鋼帯の押込量を調整して前記第1のたるみの長さを調整するロール押込量調整機構とを有していることが好ましい。
本発明に係る鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置において、前記後行鋼帯搬送手段は、前記後行鋼帯クランプ手段の上流側に並べて設けられた第1、第2の送り出し機構を有することが好ましい。
前記目的に沿う本発明に係る鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置の溶接方法は、鋼帯連続処理設備の入側の鋼帯搬送路に沿って上流側から後行鋼帯を把持する後行鋼帯クランプ手段、前記後行鋼帯の先端部を先行鋼帯の後端部とともに切り離すダブルカットシャーを有する切断機、前記先行鋼帯を把持する先行鋼帯クランプ手段を順次備え、前記鋼帯搬送路の幅方向に前記切断機に隣接して設けられ切断後の前記先行鋼帯の後端部と切断後の前記後行鋼帯の先端部を該鋼帯搬送路の幅方向に移動しつつ溶接する溶接機を備え、前記鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置の溶接方法であって、
前記先行鋼帯の一部を押し込んで前記先行鋼帯クランプ手段の下流側に第1のたるみを形成する第1工程と、
前記先行鋼帯クランプ手段で前記先行鋼帯を、前記後行鋼帯クランプ手段で前記後行鋼帯をそれぞれ把持して前記切断機で該先行鋼帯の後端部および該後行鋼帯の先端部を切り離し、該先行鋼帯の切断後端部に該後行鋼帯の切断先端部を移動させ位置合せして前記溶接機で溶接する第2工程と、
前記後行鋼帯クランプ手段の上流側に設けられた後行鋼帯搬送手段を駆動させて前記後行鋼帯を後退させて前記第1のたるみを取り除き、前記先行鋼帯と前記後行鋼帯の溶接部を前記ダブルカットシャーの間に移動させ、前記後行鋼帯クランプ手段の上流側に第2のたるみを形成する第3工程とを有し、
再溶接が必要な場合には、前記ダブルカットシャーで前記溶接部を切り離した後、前記第2のたるみを利用して前記後行鋼帯クランプ手段で把持した前記後行鋼帯を前記先行鋼帯の後端側に移動させて前記再溶接を行う。
請求項1〜3記載の鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置および請求項記載の鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置の溶接方法においては、後行鋼帯搬送手段で後行鋼帯を後退させて第1のたるみを取り除くとともに、溶接部が不良の場合の再溶接に備えて溶接部を溶接装置内のダブルカットシャーの間に移動させるので、溶接部の溶接結果の判定が良と判断された場合は直ちに先行鋼帯の搬送を再開することができ、溶接結果が不良と判断された場合は直ちに切断機で溶接部を切断することができる。このため、再溶接に必要な準備作業の時間が短縮され再溶接に要する総時間も短くできる。その結果、ルーパー装置内に蓄えられた先行鋼帯が全て払いだされて連続処理設備が停止する事態を回避することができるとともに、ルーパー装置に蓄える先行鋼帯の長さを短くでき、ルーパー装置をコンパクトにすることが可能になる。
特に、請求項2の鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置においては、先行鋼帯クランプ手段の下流側に、所望の長さの第1のたるみを形成することができる。
請求項3の鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置においては、第1のたるみを取り除くために、後行鋼帯を後退させた際に溶接部を溶接装置内のダブルカットシャーの間に移動させることができる。
請求項記載の鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置の溶接方法においては、第2のたるみを利用して、溶接部の切断後、直ちに後行鋼帯の先端部を先行鋼帯の後端部位置へ移動させて位置合せすることができ、再溶接に必要な準備作業の時間を更に短縮して、再溶接に要する総時間を更に短くできる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置の溶接方法において先行鋼帯に第1のたるみを形成した状態を示す説明図、図2は同溶接方法において先行鋼帯の切断後端部と後行鋼帯の切断先端部の溶接が完了した状態を示す説明図、図3は同溶接方法において溶接後に後行鋼帯を後退させて溶接部を移動させている状態を示す説明図、図4は同溶接方法において溶接部が溶接装置内のダブルカットシャーの間に移動するとともに後行鋼帯に第2のたるみが形成された状態を示す説明図、図5は同溶接方法において再溶接時に後行鋼帯の先端部を先行鋼帯の後端部位置へ移動し位置合せする状態を示す説明図である。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置10は、鋼帯搬送路(図示せず)上を順次搬送される先行鋼帯11の後端部と後行鋼帯12の先端部をともに切り離すダブルカットシャーを有する切断機(図示せず)と、鋼帯搬送路の幅方向に切断機に隣接して設けられ切断後の先行鋼帯11の後端部と切断後の後行鋼帯12の先端部を鋼帯搬送路の幅方向に移動しつつ溶接する溶接機(図示せず)と、溶接機の下流側に設けられ先行鋼帯11を把持する先行鋼帯クランプ手段13と、切断機の上流側に設けられ後行鋼帯12を把持する後行鋼帯クランプ手段14とを有している。更に、溶接装置10は、溶接前に先行鋼帯11の一部を持ち上げて(押し込んで)先行鋼帯クランプ手段13の下流側に第1のたるみ15を形成するたるみ形成手段16と、後行鋼帯クランプ手段14の上流側に設けられ、溶接後に後行鋼帯12を後退させて第1のたるみ15を取り除くとともに、先行鋼帯11と後行鋼帯12の溶接部17(図2参照)が不良の場合の再溶接に備えて溶接部17をダブルカットシャーの間に移動させる後行鋼帯搬送手段18とを有している。以下、詳細に説明する。
先行鋼帯クランプ手段13は、先行鋼帯11を上下方向から挟んで固定する対となる把持部19、20と、把持部19、20を開閉させる駆動機構(図示せず)とを有している。また、後行鋼帯クランプ手段14は、後行鋼帯12を上下方向から挟んで固定する対となる把持部21、22と、把持部21、22を開閉させる駆動機構(図示せず)と、把持した後行鋼帯12の先端部を先行鋼帯11の後端部位置へ移動して位置合せする位置調整機構(図示せず)とを有している。なお、鋼帯は、並列配置された複数(例えば2基)の鋼帯払い出し装置(図示せず)から交互に払い出されるので、後行鋼帯12がいずれの鋼帯払い出し装置から払い出されても把持できるように構成されている。
たるみ形成手段16は、先行鋼帯クランプ手段13の下流側に配置され先行鋼帯11の上面を押さえる先行鋼帯用サポートロール23と、先行鋼帯用サポートロール23の下流側に設けられ先行鋼帯11を送り出す送り出し装置の一例である先行鋼帯用ピンチロール24との間に設けられ、先行鋼帯11の下面(表面)に当たって先行鋼帯11の一部を持ち上げる(押し込む)当接ロール25と、先行鋼帯11の一部を持ち上げる際の持ち上げ高さ(押込量)を調整するロール高さ調整機構(ロール押込量調整機構)(図示せず)を有している。なお、先行鋼帯用ピンチロール24は、先行鋼帯11に当接して回転駆動する駆動ロール26と、駆動ロール26に対して進退し駆動ロール26に当接する先行鋼帯11を押圧する押圧ロール27とを有している。先行鋼帯11の後端部が溶接装置10内のダブルカットシャーに接近してくると、当接ロール25を持ち上げ、当接ロール25の持ち上げ高さを駆動機構で調整することにより、先行鋼帯用サポートロール23と先行鋼帯用ピンチロール24の間に、所望の長さを有する第1のたるみ15を形成できる。
後行鋼帯搬送手段18は、後行鋼帯クランプ手段14の上流側に配置され後行鋼帯12の上面を押さえる後行鋼帯用サポートロール28と、後行鋼帯用サポートロール28の上流側に並べて設けられた第1、第2の送り出し機構の一例である第1、第2のピンチロール29、30を有する。ここで、第1、第2のピンチロール29、30には、それぞれ回転駆する駆動ロール31、32と、駆動ロール31、32に対して進退し駆動ロール31、32に当接する後行鋼帯12を押圧する押さえロール33、34を有している。なお、鋼帯払い出し装置が複数設けられている場合は、例えば、後行鋼帯用サポートロール28は、後行鋼帯12に張力をかけ、後行鋼帯12と溶接装置10とが干渉する場合に設ける。そして、各鋼帯払い出し装置の鋼帯搬送路にそれぞれ第1、第2のピンチロール29、30を設けるようにする。
このような構成とすることにより、いずれの鋼帯払い出し装置から払い出された後行鋼帯12に対しても、後行鋼帯12を搬送して後行鋼帯12の先端部を溶接装置10内のダブルカットシャーの間に移動させることができる。そして、後行鋼帯12の先端部を溶接装置10内のダブルカットシャーの間に移動させて停止させ、後行鋼帯用サポートロール28と第1のピンチロール29との間に設ける後行鋼帯用センタリング装置37、38で把持し、後行鋼帯用センタリング装置37、38と第1のピンチロール29との間に設ける入側ルーパロール39を押し込むことで、後行鋼帯用サポートロール28と第1のピンチロール29との間に後行鋼帯12のたるみ35を形成することができる。後行鋼帯12にたるみ35を形成することで、後行鋼帯用センタリング装置37、38により後行鋼帯12の中心線を鋼帯搬送路の中心線と平行にすることができるとともに、後行鋼帯クランプ手段14で後行鋼帯12を把持して後行鋼帯12の先端部を、停止している先行鋼帯11の後端部位置へ移動し位置合せすることができる。
更に、先行鋼帯11と後行鋼帯12の溶接後、先行鋼帯クランプ手段13と後行鋼帯クランプ手段14を解除して、第1、第2のピンチロール29、30を同期駆動させて後行鋼帯12を後退させると、たるみ35の残留部分を第2のピンチロール30の上流側に移動させることができる。これにより、第1のたるみ15を取り除き、先行鋼帯11と後行鋼帯12の溶接部17を溶接装置10内のダブルカットシャーの間に移動させることができる。
第1、第2のピンチロール29、30を同期駆動する代りに、第2のピンチロール30を停止させて第1のピンチロール29を回転させて後行鋼帯12を後退させる場合には、第1のたるみ15を取り除き先行鋼帯11と後行鋼帯12の溶接部17を溶接装置10内のダブルカットシャーの間に移動させるとともに、後行鋼帯クランプ手段14の上流側、すなわち、第1、第2のピンチロール29、30の間に第2のたるみ36(図4参照)を形成することができる。
続いて、本発明の一実施の形態に係る鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置10の溶接方法について説明する。
図1に示すように、一方の鋼帯払い出し装置から払い出された先行鋼帯11の処理中に、他方の鋼帯払い出し装置で後行鋼帯12を払い出し、後行鋼帯搬送手段18を用いて後行鋼帯12の先端部を溶接装置10内のダブルカットシャーの間に移動させる。そして、後行鋼帯12を後行鋼帯用サポートロール28と第1のピンチロール29との間に設ける後行鋼帯用センタリング装置37、38で把持し後行鋼帯用センタリング装置37、38と第1のピンチロール29との間に設ける入側ルーパロール39を押し込むことで、後行鋼帯用サポートロール28と第1のピンチロール29の間にたるみ35を形成する。たるみ35の形成が終了すると入側ルーパロール39を戻し、後行鋼帯用センタリング装置37、38により後行鋼帯12の中心線を鋼帯搬送路の中心線と平行にする。そして、後行鋼帯クランプ手段14で固定し、後行鋼帯用センタリング装置37、38による後行鋼帯12の把持を解除する。
先行鋼帯11の処理が進行して先行鋼帯11の後端部が溶接装置10内のダブルカットシャーの上流側のシャーに接近してくると、たるみ形成手段16のロール高さ調整機構を操作して、持ち上げ高さが調整される当接ロール25によって先行鋼帯11の一部を持ち上げて、先行鋼帯用サポートロール23と先行鋼帯用ピンチロール24の間に、第1のたるみ15を形成する。そして、第1のたるみ15が形成され、先行鋼帯11の後端部が溶接装置10内のダブルカットシャーの間に進入すると、先行鋼帯用ピンチロール24の回転駆動を停止させ、先行鋼帯11の後端部を溶接装置10内のダブルカットシャーの間で停止させる。ここで、形成する第1のたるみ15の長さを、例えば、ダブルカットシャーで切断した際の先行鋼帯11の後端位置とダブルカットシャーの中央位置との間の距離と実質的に同一にする(以上、第1工程)。
次いで、先行鋼帯クランプ手段13で先行鋼帯11を、後行鋼帯クランプ手段14で後行鋼帯12をそれぞれ把持して、溶接装置10内の切断機のダブルカットシャーで先行鋼帯11の後端部および後行鋼帯12の先端部を切り離す。そして、先行鋼帯クランプ手段13で固定している先行鋼帯11に対して、たるみ35を利用して後行鋼帯クランプ手段14で把持した後行鋼帯12を移動させ、溶接可能領域内で先行鋼帯11の切断後端部と後行鋼帯12の切断先端部とが重なるように位置合せを行なう。そして、図2に示すように、先行鋼帯11と後行鋼帯12の重なり部が溶接機の溶接可能領域内に存在するように溶接機の位置を調整して溶接する(以上、第2工程)。ここで、先行鋼帯11と後行鋼帯12の溶接部17は、溶接装置10内のダブルカットシャーの下流側のシャーの近傍に形成される。
先行鋼帯11と後行鋼帯12の溶接が終了すると、先行鋼帯クランプ手段13と後行鋼帯クランプ手段14を解除して、第1、第2のピンチロール29、30を同期駆動させて後行鋼帯12を後退させる。これにより、図3に示すように、後行鋼帯用サポートロール28と第1のピンチロール29の間に残存しているたるみ35の残留部分が第2のピンチロール30の上流側に移動して消滅する。次いで、第1のたるみ15が減少し、先行鋼帯11と後行鋼帯12の溶接部17がダブルカットシャーの中央部に向けて移動する。
第1、第2のピンチロール29、30を同期駆動させずに、第2のピンチロール30を停止させて、第1のピンチロール29を回転駆動させて後行鋼帯12を更に後退させる場合には、図4に示すように、たるみ35が消滅し、第1のたるみ15が減少するとともに先行鋼帯11と後行鋼帯12の溶接部17が溶接装置10内のダブルカットシャーの中央部に向けて移動する。
そして、第1のたるみ15の長さが溶接装置10内のダブルカットシャーで切断した際の先行鋼帯11の後端位置と溶接装置10内のダブルカットシャーの中央位置との間の距離と実質的に一致していると、第1のピンチロール29のみによる後行鋼帯12の後退が進行して、図4に示すように、第1のたるみ15が消失した時点で先行鋼帯11と後行鋼帯12の溶接部17が溶接装置10内のダブルカットシャーの中央部に到達し、たるみ35がなくなり後行鋼帯クランプ手段14の上流側、すなわち、第1、第2のピンチロール29、30の間に第2のたるみ36が形成される。これによって、先行鋼帯11から第1のたるみ15が取り除かれ、先行鋼帯11の搬送が開始可能な状態になるとともに、先行鋼帯11と後行鋼帯12の溶接部17が不良の場合には、再溶接のためにダブルカットシャーで溶接部17を直ちに切り離すことが可能な状態になる(以上、第3工程)。
ここで、先行鋼帯11と後行鋼帯12の溶接部17が不良であり再溶接が必要な場合は、先行鋼帯クランプ手段13で先行鋼帯11を、後行鋼帯クランプ手段14で後行鋼帯12をそれぞれ把持して、溶接装置10内のダブルカットシャーの中央部に存在している溶接部17を切断機のダブルカットシャーで切り離す。そして、図5に示すように、第1、第2のピンチロール29、30を停止させた状態で、第1のピンチロール29の押さえロール33を後行鋼帯12から離脱させる。これにより、第1、第2のピンチロール29、30間に拘束されていた第2のたるみ36が解放され、第2のたるみ36を利用して後行鋼帯クランプ手段14で把持した後行鋼帯12を先行鋼帯11の後端側に直ちに移動させることができ、従来のように、後行鋼帯に位置合せに必要なたるみを再度形成する操作が不要になる。その結果、先行鋼帯11の切断後端部と後行鋼帯12の切断先端部とを重ねる位置合せに要する時間を短縮することができる。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
例えば、先行鋼帯を送り出す送り出し装置、後行鋼帯搬送手段の第2の送り出し機構をそれぞれピンチロール式としたが、ブライドルロール式としてもよい。
また、本発明の実施の形態では、第1のたるみを先行鋼帯を持ち上げて形成する例としたが、先行鋼帯を上方より押し込んで第1のたるみを形成してもよい。
本発明の一実施の形態に係る鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置の溶接方法において先行鋼帯に第1のたるみを形成した状態を示す説明図である。 同溶接方法において先行鋼帯の切断後端部と後行鋼帯の切断先端部の溶接が完了した状態を示す説明図である。 同溶接方法において溶接後に後行鋼帯を後退させて溶接部を移動させている状態を示す説明図である。 同溶接方法において溶接部が溶接装置内のダブルカットシャーの間に移動するとともに、後行鋼帯に第2のたるみが形成された状態を示す説明図である。 同溶接方法において再溶接時に後行鋼帯の先端部を先行鋼帯の後端部位置へ移動し位置合せする状態を示す説明図である。
符号の説明
10:溶接装置、11:先行鋼帯、12:後行鋼帯、13:先行鋼帯クランプ手段、14:後行鋼帯クランプ手段、15:第1のたるみ、16:たるみ形成手段、17:溶接部、18:後行鋼帯搬送手段、19、20、21、22:把持部、23:先行鋼帯用サポートロール、24:先行鋼帯用ピンチロール、25:当接ロール、26:駆動ロール、27:押圧ロール、28:後行鋼帯用サポートロール、29:第1のピンチロール、30:第2のピンチロール、31、32:駆動ロール、33、34:押さえロール、35:たるみ、36:第2のたるみ、37、38:後行鋼帯用センタリング装置、39:入側ルーパロール

Claims (4)

  1. 鋼帯搬送路上を順次搬送される先行鋼帯の後端部と後行鋼帯の先端部をともに切り離すダブルカットシャーを有する切断機と、前記鋼帯搬送路の幅方向に前記切断機に隣接して設けられ切断後の前記先行鋼帯の後端部と切断後の前記後行鋼帯の先端部を該鋼帯搬送路の幅方向に移動しつつ溶接する溶接機と、該溶接機の下流側に設けられ前記先行鋼帯を把持する先行鋼帯クランプ手段と、前記切断機の上流側に設けられ前記後行鋼帯を把持する後行鋼帯クランプ手段とを有し、切断後の前記後行鋼帯の先端部を前記先行鋼帯の後端部位置へ移動し位置合せして溶接する溶接装置であって、
    溶接前に前記先行鋼帯の一部を押し込んで前記先行鋼帯クランプ手段の下流側に第1のたるみを形成するたるみ形成手段と、前記後行鋼帯クランプ手段の上流側に設けられ、溶接後に前記後行鋼帯を後退させて前記第1のたるみを取り除き、前記先行鋼帯と前記後行鋼帯の溶接部を前記ダブルカットシャーの間に移動させ、かつ前記後行鋼帯クランプ手段の上流側に第2のたるみを形成する、後行鋼帯搬送手段とを有し、前記溶接部の溶接結果の判定が良と判断された場合は直ちに前記先行鋼帯の搬送を再開し、溶接結果が不良と判断された場合は直ちに前記切断機で前記溶接部を切断することを特徴とする鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置。
  2. 請求項1記載の鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置において、前記たるみ形成手段は、前記先行鋼帯クランプ手段の下流側に配置され前記先行鋼帯を支える先行鋼帯用サポートロールと該先行鋼帯用サポートロールの下流側に設けられ該先行鋼帯を送り出す送り出し装置の間に設けられ、該先行鋼帯の表面に当たって該先行鋼帯を押し込む当接ロールと、該先行鋼帯の押込量を調整して前記第1のたるみの長さを調整するロール押込量調整機構とを有していることを特徴とする鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置。
  3. 請求項1または2記載の鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置において、前記後行鋼帯搬送手段は、前記後行鋼帯クランプ手段の上流側に並べて設けられた第1、第2の送り出し機構を有することを特徴とする鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置。
  4. 鋼帯連続処理設備の入側の鋼帯搬送路に沿って上流側から後行鋼帯を把持する後行鋼帯クランプ手段、前記後行鋼帯の先端部を先行鋼帯の後端部とともに切り離すダブルカットシャーを有する切断機、前記先行鋼帯を把持する先行鋼帯クランプ手段を順次備え、前記鋼帯搬送路の幅方向に前記切断機に隣接して設けられ切断後の前記先行鋼帯の後端部と切断後の前記後行鋼帯の先端部を該鋼帯搬送路の幅方向に移動しつつ溶接する溶接機を備え、前記鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置の溶接方法であって、
    前記先行鋼帯の一部を押し込んで前記先行鋼帯クランプ手段の下流側に第1のたるみを形成する第1工程と、
    前記先行鋼帯クランプ手段で前記先行鋼帯を、前記後行鋼帯クランプ手段で前記後行鋼帯をそれぞれ把持して前記切断機で該先行鋼帯の後端部および該後行鋼帯の先端部を切り離し、該先行鋼帯の切断後端部に該後行鋼帯の切断先端部を移動させ位置合せして前記溶接機で溶接する第2工程と、
    前記後行鋼帯クランプ手段の上流側に設けられた後行鋼帯搬送手段を駆動させて前記後行鋼帯を後退させて前記第1のたるみを取り除き、前記先行鋼帯と前記後行鋼帯の溶接部を前記ダブルカットシャーの間に移動させ、前記後行鋼帯クランプ手段の上流側に第2のたるみを形成する第3工程とを有し、
    再溶接が必要な場合には、前記ダブルカットシャーで前記溶接部を切り離した後、前記第2のたるみを利用して前記後行鋼帯クランプ手段で把持した前記後行鋼帯を前記先行鋼帯の後端側に移動させて前記再溶接を行うことを特徴とする鋼帯連続処理設備の入側に設置された溶接装置の溶接方法。
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