JP5114960B2 - 加工装置、及び配線基板の製造装置 - Google Patents

加工装置、及び配線基板の製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5114960B2
JP5114960B2 JP2007027056A JP2007027056A JP5114960B2 JP 5114960 B2 JP5114960 B2 JP 5114960B2 JP 2007027056 A JP2007027056 A JP 2007027056A JP 2007027056 A JP2007027056 A JP 2007027056A JP 5114960 B2 JP5114960 B2 JP 5114960B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
local exhaust
exhaust device
processing apparatus
local
wiring board
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007027056A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008112958A (ja
Inventor
英雄 川部
亮 輿石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2007027056A priority Critical patent/JP5114960B2/ja
Publication of JP2008112958A publication Critical patent/JP2008112958A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5114960B2 publication Critical patent/JP5114960B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Chemical Vapour Deposition (AREA)
  • Internal Circuitry In Semiconductor Integrated Circuit Devices (AREA)

Description

本発明は、加工装置と、少なくともこの加工装置を有する配線基板の製造装置とに関する。
表示装置(例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなど)の製造に用いられるフォトマスクの欠陥修正加工や、半導体装置(例えば薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)基板などの配線基板)の製造における配線修正加工などの加工手法として、集束エネルギーを用いた手法が知られている。
例えば、集束エネルギーとしてレーザ光を用いるレーザCVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)法は、支持台上に載置された加工対象物(例えば半導体基板)のうち、レーザ光が照射された特定の箇所で局所的に生じる熱エネルギーによって、雰囲気中の原料ガスを分解し、分解物をもとに薄膜を形成するCVD手法である。加工対象物上における、CVD法による薄膜形成(成膜)に最適な雰囲気圧力は、加工の対象物や目的に応じて変化するが、CVD法で実際に成膜を行う際には、最終的な最適圧力に関係なく(不純物除去等の目的で)、いったん大気を排気することが必要となる。このため、従来のレーザCVD用の加工装置は、排気に伴う極端な圧力低下に耐えうる所謂真空チャンバーを備える必要があったために、大型化が避けられなかった。
このような加工装置の大型化の問題に対し、集束エネルギー(レーザ光)の導入とガスの供給/排出とを担う成膜機構として、局所排気装置を備えた加工装置が提案されている(例えば特許文献1及び2参照)。局所排気装置は、レーザCVD法やレーザエッチングなどにおける加工ヘッドとなる。
この加工装置では、レーザ光が照射される特定箇所の雰囲気(原料ガス等)が、その周囲で局所排気装置から支持台へ向けて噴射される圧縮ガス(所謂ガスカーテン)によって、外気と分離される。この構成によれば、排気時の極端な圧力低下の対策として大型チャンバーの具備を要することなく、この局所的な雰囲気に関する不純物除去等を図ることができる。したがって、局所排気装置を備えた加工装置によれば、装置の小型化が可能となる。
しかし、この特許文献1及び2に記載されている加工装置では、局所排気装置の位置が固定されてしまう。このため、この加工装置における局所排気装置は、その動作の際、加工対象物が有する歪み(厚みむら、反り、うねりなど)に柔軟に対応することができない。すなわち、厚みむらや反りなどに応じて局所排気装置の高さが適切に変動しない。このため、厚みむらや反りが局所排気装置と加工対象物との間における距離に直接反映されてしまい、局所排気装置の高さの増減によってガスの流れが変化してしまうため、均質な膜が得られなくなる。
この新たな問題、つまり加工対象物の歪みに起因するガスの流れの変動という問題への対策としては、加工対象物と局所排気装置の間隔をより大きくとることによって、歪みの影響を相対的に低減することが考えられる。しかし、間隔を大きくするとガスカーテンのガス流速が低下してしまい、レーザCVD法で生じる微粒子(原料ガス由来の分解物)が加工対象物表面に降り積もり、異物として残存してしまう。そして、この降り積もりを回避するために原料ガスの流速を高めると、局所排気部に向けられた原料ガス吹き出しノズルの近傍で引き込み流が発生し、ガスカーテンが崩れて外気が局所排気部に流入し、薄膜の膜質が劣化してしまう。
また、成膜を行っている間、加工対象物の表面と局所排気装置の最下部との間隔を一定の距離に制御(維持)するという手法も提案されているが、ディスプレイ用のTFT基板のように加工対象物が比較的大面積である場合などには、歪みも大きくなる傾向にある。したがって、歪みの凹凸が必ずしも想定の範囲内で収まるとは限らず、加工対象物と局所排気装置とが互いに接触する(損傷する)おそれが残る。
これに対し、局所排気装置と加工対象物の間隔が柔軟に維持される構成として、局所排気装置から支持台へ向けて噴射される圧縮ガスを、前述したガスカーテンとしてのみならず、局所排気装置の浮上用ガスとしても利用する加工装置が提案されている(例えば特許文献3参照)。
図8Aに、この自己浮上型の従来の加工装置101の概略構成図と、局所排気装置の概略底面図とを示す。
この従来の加工装置101は、図8Aに示すように、加工対象物(例えば基板)103を支持する支持台102と、この支持台102上に支持された加工対象物103に対向して配置された、局所的な成膜を行うための局所排気装置104とを有する。局所排気装置104には、その透明窓119及び透過孔120を通じてレーザ光Lが導入される局所排気部106に向けて、成膜用の原料ガスを供給する原料供給手段105と、パージガス供給手段107とが、それぞれ原料ガス流路117とパージガス流路118とを通じて連結されている。局所排気装置104には、更に、例えば圧縮ガスを支持台102側に向けて噴射して局所排気装置104を静圧浮上させる圧縮ガス供給手段109が、この噴射における通気手段となる多孔質通気膜113及び圧縮ガス供給路114を介して連結されていることにより、局所排気装置104は静圧浮上パッド構成とされている。圧縮ガス供給手段109からの圧縮ガスと、局所排気部106に供給されるガスとは、図8Bに示すように、それぞれ、局所排気部106の周囲に同心円状に設けられた吸引溝(排気流路)115及び116を通じて、排気手段110及び111によって、適宜排気される。
この従来の加工装置101における、局所排気装置の圧縮ガス供給圧力と浮上量の関係を、図9A及び図9Bに示す。なお、排気は排気手段110によって排気流路(吸引溝)115からのみ行い、排気速度は500L/minとした。この従来の加工装置においても、浮上量は圧縮ガス圧力の増加とともに大きくなり、図9Aに示すように、例えば0.35MPaの圧力で100L/minの浮上ガスを噴射した場合には、図9Bに示すように、約100μmの浮上量が得られることが確認されている。
しかしながら、この従来の加工装置101において、浮上用圧縮ガス噴き出し手段となっているアルミ多孔質(気孔率40%)の多孔質通気膜113に100L/minの浮上ガスを流すためには、大きな浮上面面積(具体的な例として、図9に示した加工装置においては、局所排気装置104の底面の直径が60mm以上あること)が必要となる。
この場合、加工対象物のうち、端から30mm(局所排気装置の半径に相当する距離)の位置よりも外側に相当する周辺領域(縁部)は、局所排気装置の浮上が不安定に(もしくは不可能に)なるために、加工が極端に難しい領域となる。したがって、従来の量産においては、加工対象物の周辺領域は加工を避け、余剰分として処分せざるを得ないことになるため、生産効率が低下してしまっていた。
このレーザCVD法の例に示されるように、自己浮上型の局所排気装置に対してレーザ光やイオンビームなどの集束エネルギーが導入される構成を有する加工装置においては、自己浮上に要する面積の低減が求められている。
特開平8−222565号公報 特開平10−280152号公報 特開2005−171272号公報
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、局所排気装置の浮上面面積の低減が可能な加工装置と、少なくともこの加工装置を有する配線基板の製造装置と、を提供することにある。
本発明に係る加工装置は、少なくとも、加工対象物を支持する支持台と、支持台上で局所的に圧力調整がなされる局所排気部へ向けて集束イオンビームを導入する局所排気装置と、を有する加工装置であって、局所排気装置は、支持台に対する浮上用ガスの噴射によって、支持台から相対的に浮上可能とされ、浮上用ガスの噴射が、局所排気装置内に設けられた絞り通気手段を介してなされることを特徴とする。
本発明に係る配線基板の製造装置は、加工装置を備えた配線基板の製造装置であって、加工装置は、少なくとも、加工対象物を支持する支持台と、支持台上で局所的に圧力調整がなされる局所排気部へ向けて集束イオンビームを導入する局所排気装置と、を有する加工装置であって、局所排気装置は、支持台に対する浮上用ガスの噴射によって、支持台から相対的に浮上可能とされ、浮上用ガスの噴射が、局所排気装置内に設けられた絞り通気手段を介してなされることを特徴とする。
本発明に係る加工装置によれば、局所排気装置が、支持台に対する浮上用ガスの噴射によって支持台から相対的に浮上可能とされ、浮上用ガスの噴射が、局所排気装置内に設けられた絞り通気手段を介してなされることから、局所排気装置の浮上面面積の低減が可能となる。
本発明に係る配線基板の製造装置によれば、加工装置を構成する局所排気装置が、支持台に対する浮上用ガスの噴射によって支持台から相対的に浮上可能とされ、浮上用ガスの噴射が、局所排気装置内に設けられた絞り通気手段を介してなされることから、局所排気装置の浮上面面積の低減が可能となる。
以下、図面を参照して、本発明に係る加工装置の実施の形態を説明する。
なお、本実施形態においては、加工対象物が(例えばTFT基板などの)配線基板である配線基板の製造装置を例として、加工装置の実施の形態を説明する。
<加工装置の第1の実施の形態>
図1A及び図1Bに、本実施形態に係る加工装置の概略構成図を示す。本実施形態に係る加工装置1は、少なくとも、集束エネルギー源としてレーザ光を用いるレーザCVD法による成膜機能を備える。また、特に本実施形態においては、レーザエッチング機能をも備えた装置構成を有する。
本実施形態に係る加工装置1は、図1Aに示すように、加工対象物(基板)3を支持する支持台2と、この支持台2上に支持された加工対象物3に対向して配置された、局所的な成膜を行うための局所排気装置(本実施形態では成膜機能とエッチング機能を兼ね備えた局所成膜エッチングヘッド;局所加工ヘッド)4とを有する。
局所排気装置4には、成膜用の原料ガス(例えばカルボニル化合物;タングステンカルボニルW(CO)など)を供給する原料供給手段5が連結される。支持台2上の一部の空間は、この原料供給手段5から供給される原料ガスをもとに、加工対象物3への成膜が行われる局所的空間(後述する局所排気部6)となる。また、この局所的空間は、原料供給手段5とは別に、原料ガスとともに雰囲気を構成するパージガスを供給するパージガス供給手段7も連結されている。原料供給手段5及びパージガス供給手段7は、それぞれ、局所排気装置4内の原料ガス流路17及びパージガス流路18を介して、この局所的空間につなげられている。
局所排気装置4には、更に、例えば圧縮した窒素ガス(N)を支持台2側に向けて噴射することによって局所排気装置4を静圧浮上させる圧縮ガス供給手段9が連結されている。圧縮ガス供給手段9からの圧縮ガスは、供給路及び通気孔を構成するリング状の圧縮ガス供給路14及びその開口部に配置された絞り通気手段13により、局所排気装置4に対向する支持台2に向けて均一に出射され、圧縮ガスの圧力や流量と、各排気手段による吸引量のバランスとを選定することによって、局所排気装置(局所成膜/エッチングヘッド)4の浮上量が決定される。すなわち、本実施形態に係る加工装置1において、局所排気装置4は静圧浮上パッド構成とされる。
この静圧浮上パッド構成により、局所排気装置4は、支持台2上の加工対象物である加工対象物3に対して相対的に変位可能とされる。ここで、静圧浮上の浮上剛性については、圧縮ガス供給手段9や排気手段10及び11のほか、原料供給手段5、局所排気部6、パージガス供給手段7などによっても浮上剛性の向上を図ることが可能となる。なお、浮上剛性とは、局所排気装置4と加工対象物の間の吸着力であり、この浮上剛性が十分でない場合には、局所排気装置4の加工対象物に対する高さ(ギャップ)の安定性が不十分となるとか、局所排気装置4の機械的もしくは力学的な安定性が不十分になるなどの問題が生じることから、浮上剛性を十分に確保しておくことが望ましい。
図1Bに、本実施形態に係る加工装置1を構成する局所排気装置4の、概略底面図を示す。
そして、局所排気装置4の底面には、支持台2側に向けて噴射された圧縮ガスと、加工対象物3に向けて供給されたガス(原料ガスやパージガス等)の余剰分とを、それぞれ、排気手段10及び11によって排気するためのリング状吸引溝(排気流路)15及び16が設けられている。そして、前述の局所的空間(局所排気部6)は、局所排気装置4の底面に臨んで、排気流路15及び16の端部を構成する吸引溝が形成する略同心環状の内側に、透明窓19や透過孔20から加工対象物3までの高さを占める略円筒状空間として、形成される。
本実施形態に係る加工装置1においては、加工装置1において、例えば図示しないレーザ光源装置からのレーザ光Lを、対物レンズ等によって集光し、透明窓19を有する透過孔20を通じて局所排気部6に導入することにより、局所排気部6内におけるレーザCVD法による薄膜形成やレーザエッチングによる薄膜除去などの加工が可能となる。
なお、本実施形態に係る加工装置1は、圧縮ガス供給手段9から供給される圧縮ガスが、支持台2へ向けて、絞り通気手段13を通じて噴射される。また、このガスの粘性によって、浮上安定性の向上を図ることが可能となる。
したがって、局所排気装置4の幅(底面面積)が従来に比べて小さくとも、従来の(例えば多孔質による)通気手段に比べて優れた浮上特性を、占有面積の小さい絞り通気手段によって得ることができることから、局所排気装置4の必要な浮上高さを、安定的に得ることができる。
ここで、図1A及び図1Bに示した加工装置の、概略動作について説明する。
最初に、加工対象物3に対して、レーザCVD法による薄膜形成を行う場合について、説明する。
まず、圧縮ガス供給手段(供給源)9から圧縮ガスを圧縮ガス供給路14に供給し、絞り通気手段13を通して加工対象物3側に噴射し、局所排気装置4を加工対象物3から所定間隔だけ浮上させ、動作を開始する。この際、図2に示すように、局所排気装置4の直下から離れた位置に、加工対象物3と略同程度の厚さを有しかつ加工対象物3に近接した浮上ステージ8を用意しておき、この浮上ステージ8に載置しておいた局所排気装置4を浮上させてから、この局所排気装置4を加工対象物3上に移動させる手順を経ると、加工対象物3上に移動させる際に接触を確実に回避できるので、好ましいと考えられる。
この状態で、原料供給手段(供給源)5から原料ガス流路17を介して成膜用の原料ガスを、パージガス供給手段7からパージガス流路18を介してパージガスを、それぞれ局所排気部6に(つまり加工対象物3上の成膜すべき局所に)向けて供給する。同時にレーザ光源装置からのレーザ光Lを透過孔20、透明窓19及び局所排気部6を通じて加工対象物3の成膜すべき局所に照射し、原料ガスの熱分解にもとづいて加工対象物3の局所にCVD膜を成膜する。
原料供給手段5から供給される成膜用の原料ガス、及びパージガス供給手段7から供給されるパージガス(キャリアガス)は、CVD膜の成膜に使用した後に、より内側の吸引溝による排気流路16から排気手段11により吸引される。また、絞り通気手段13より放出された圧縮ガスは、局所排気装置4の内部に向かっていくが、より外側の吸引溝による排気流路15から排気手段10により排気される。これにより、外気の遮断による局所排気部6の独立化が可能となる。
次に、加工対象物3に対して、一部(例えば形成された薄膜パターンの一部)をレーザエッチングにより除去する場合について、説明する。
まず、レーザCVD法におけるのと同様に、圧縮ガス供給手段9からの圧縮ガスを絞り通気手段13を通して加工対象物3側に噴射し、局所排気装置4を加工対象物3から所定間隔だけ浮上させる。この状態で、レーザ光Lを加工対象物3のエッチングすべき領域に照射し、形成されている薄膜パターンの一部を熱的に除去する。このとき、局所排気部6に対して独自の排気手段(図示せず)を設けることにより、エッチングにより発生したダスト(削りカス)を排出することができる。また、パージガスにより、エッチングによって生じた異物が透明窓19の内面に付着されるのが抑制される。
図3A及び図3Bに、この構成による局所排気装置(局所成膜/エッチングヘッド)4の一例における、圧縮ガス供給圧力と浮上量との測定結果を示す。なお、この測定においては、排気は排気手段10のみによって行い、排気速度は500L/minとした。
本実施形態に係る加工装置においては、従来のアルミ多孔質を浮上ガス吹き出し手段として用いた場合と同様、通常現場にて用いるガス源圧力範囲である0〜4kgf/cmの範囲で、0〜100μmの浮上特性が得られている。浮上時の剛性は、従来の多孔質通気手段による通気手段を備えた加工装置におけるよりも若干低くなっていたが、まだ充分高いことを確認することができた。すなわち、本実施形態に係る加工装置によれば、局所排気装置の剛性を充分高く維持しながらも、浮上に要する面積を大幅に縮小することができる。
また、この測定に伴い、加工対象物3をスライドさせた場合にも、基板の反りやうねりに追従して一定の浮上量を確保できたことから、このような局所排気装置4の構成により、加工対象物と局所排気装置の間隔を常に一定に保つことができ、かつ成膜プロセス条件を外気の遮断と独立して制御できるため高品質な薄膜を安定に形成することが可能となることが確認できた。
これらの結果からも、本実施形態に係る加工装置においては、より幅狭の局所排気装置によっても、この局所排気装置と加工対象物との間隔を安定的に維持できるため、加工対象物に高品質な薄膜を形成できると考えられる。
<加工装置の第2の実施の形態>
図4に、本実施形態に係る加工装置の概略構成図を示す。本実施形態に係る加工装置21は、集束エネルギー源として集束イオンビームを用いる、集束イオンビームCVD法による成膜機能および集光イオンビームエッチング機能を備える。
本実施形態に係る加工装置21は、図4に示すように、加工対象物(基板)23を支持する支持台22と、この支持台22上に支持された加工対象物23に対向して配置された、局所的な成膜を行うための局所排気装置24とを有する。局所排気装置24は、中央に集束イオンビームBが導入される局所排気部26を有し、上部に略円錐形くぼみを有する略円筒形の装置形状とされている。
局所排気装置24には、成膜用の原料ガス(例えばカルボニル化合物;タングステンカルボニルW(CO)など)を供給する原料供給手段(図示せず)が、原料ガス供給路27を介して連結される。支持台22上の一部の空間は、この原料供給手段から供給される原料ガスをもとに、加工対象物23への成膜が行われる局所的空間つまり局所排気部26となる。
また、局所排気装置24には、更に、例えば圧縮した窒素ガス(N)を支持台22側に向けて噴射することによって局所排気装置24を静圧浮上させる圧縮ガス供給手段(図示せず)が、圧縮ガス供給路34を介して連結されている。圧縮ガス供給手段からの圧縮ガスは、圧縮ガス供給路34及びその開口部に配置された絞り通気手段33を通じて、局所排気装置24の底面から支持台22に向けて均一に出射される。本実施形態に係る加工装置21においても、局所排気装置24は、静圧浮上パッド構成とされる。
局所排気装置24の底面には、支持台22側に向けて噴射された圧縮ガスと、加工対象物23に向けて供給されたガス(原料ガス等)の余剰分とを、それぞれ、排気手段(図示せず)よって排気するためのリング状吸引溝(排気流路)35及び36が設けられている。また、局所排気部26は、局所排気装置24の底面に臨んで、排気流路35及び36の端部を構成する吸引溝が形成する略同心環状の内側に、略円筒状の空間として、形成される。
そして、本実施形態に係る加工装置21においては、局所排気装置24上に、局所排気装置24から分離されながらも近い位置に、集束イオンビーム鏡筒41が配置されている。
集束イオンビーム鏡筒41は、上方が円筒形、下方に向かう先端部が約60度の頂角を有する円錐形となる金属製の筒で、円錐形の先端は頭が切られてイオンビームBを局所排気装置24に向かって放射する開口を有する。
集束イオンビーム鏡筒41の中には、集束イオンビームを生成するために、集束イオンビームBのビーム軸に沿って、電子銃42、引出し電極43、コンデンサレンズ44、対物アパーチャ45、中間レンズ46、プローブ電流検出器47、ブランキング偏向器対48、ビームブランキングアパーチャ49、走査コイル50、対物レンズ51が、この順に配置される。この構成により、電子銃42から引き出されたイオンビームが絞られて集束イオンビームBとなる。
本実施形態に係る加工装置21によれば、集束イオンビーム鏡筒41からの集束イオンビームBが、対物レンズ51等によって集光し、局所排気部26に導入される構成により、局所排気部26内において、集束イオンビームをエネルギーとする集束イオンビームCVD法による加工が、可能となる。
また、本実施形態に係る加工装置21においても、前述の第1の実施形態と同様に、局所排気装置24の安定的な浮上を、占有面積の小さい絞り通気手段33によって得ることができることから、局所排気装置24の浮上特性の改善が図られる。
<実施例>
本発明の実施例について説明する。
<第1実施例>
第1実施例として、図1A及び図1Bに示した加工装置の、配線基板の製造装置における具体的な動作(配線基板の移動手順、レーザCVD、及びレーザエッチング)の一例について説明する。
最初に、配線基板の移動手順について説明する。
まず、局所排気装置4を、絞り通気手段13を通じたガス噴射によって浮上ステージ8上で浮上させておき、この浮上を維持した状態で、支持台2(X−Yステージ)上の加工対象物(本実施例では配線基板;例えばTFTアレイ基板)3を、支持台2の移動によって移動させる。本実施例では、圧縮ガス供給手段9から、0.4MPaの圧縮窒素が流量80L/minで供給されている。また、局所排気装置4の浮上ステージ8に対する浮上量(高さ)は約100μmとなっており、浮上ステージ8と配線基板3との間に例えば50μm程度の段差があったとしても、この段差を乗り越えることが可能となる。
その後、圧縮窒素の流量を10L/minに選定することによって局所排気装置4の配線基板3に対する浮上量を、10μmとする。続いて、配線基板3の中で加工(レーザCVD法など)を行いたい箇所が局所排気部6に位置するように、支持台2の移動によって配線基板3を移動させる。
本実施例に係る配線基板の製造装置においては、この移動の際、局所排気装置4が配線基板3に対して充分かつ安定な浮上量をもって浮上していることから、配線基板3に歪み(反りやうねり等)が生じていた場合にも、局所排気装置4と配線基板3との接触(及び衝突摩擦など)は回避される。
この接触の回避は、本実施例に係る配線基板の製造装置における局所排気装置4の幅が絞り通気手段13の導入によって従来よりも小さくて済む(ことを許容されている)ため、接触しないための最低浮上高さが低められていることにより、より確実に図られる。
また、本実施例に係る配線基板の製造装置においては、接触が確実に回避されることにより、従来は接触の可能性を考慮して慎重に低速で行わざるを得なかった支持台2による配線基板3の移動全般を、より高速で行うことが可能となる。
高速で行うことが可能となる第一の理由は、従来の配線基板の製造装置においては高速移動を(特に大きな移動距離で)行うと生じやすくなる支持台2自体の振動によっても、本実施例に係る配線基板の製造装置によれば接触が生じないことである。
高速で行うことが可能となる第二の理由は、本実施例に係る配線基板の製造装置によれば、浮上が安定的になされかつ局所排気装置の幅が従来よりも小さいために接触が生じ難く、従来のような移動前後における浮上量の変更を必要としないことである。従来の配線基板の製造装置では、加工箇所の変更つまり配線基板の移動のたびに、接触回避のために移動の開始前に浮上量をいったん大きくし、移動の終了後に浮上量を元に戻すということが求められていたが、本実施例に係る配線基板の製造装置によれば、それが不要となる。
このように、本実施例に係る配線基板の製造装置によれば、実際の加工において配線基板の移動をより高速で行うことができることから、生産(量産)においては、タクトタイム(工程にかかる時間;スループット)が短縮されることにより生産性の向上も図られ、成膜品質と生産性の両立が可能になる。
次に、本実施例に係る配線基板の製造装置における、レーザCVD法(薄膜形成)の具体例について説明する。
まず、前述した動作(配線基板の移動手順)によって、配線基板3の中で加工(本例ではレーザCVD法)を行いたい箇所が局所排気部6に位置するように、支持台2の移動によって配線基板3を移動させる。続いて、CVD時に雰囲気となる成膜用のガスとして、例えば原料ガス(タングステンカルボニル)とアルゴンガスとを、それぞれ0.1L/minと5L/minとの流量で局所排気部6に導入する。ただし、原料ガスの分圧は44Pa、汚れ防止のために透明窓19に向けられる窓パージガスは0.2L/minとした。
その後、QスイッチNd:YAG レーザの第3高調波光源(図示せず)から出射されるレーザ光Lを、照射観察ユニットを介して配線基板3上の所望の箇所(成膜を要する箇所;例えば配線の断線箇所など)に照射する。照射観察ユニットは、図示しないが、レーザ光Lをアパーチャにより整形し、配線基板3上の所望の箇所に所望の形状で照射パターンを形成すると同時にレーザ光照射部のパターンを観察する機能を有する。この照射観察ユニットの一例の構成としては、出射側に配置する対物レンズを倍率50倍、作動距離を15mm、加工時のレーザ光照射条件を例えば繰り返し2kHz ,パルス幅50ns,照射強度50kW/cm,照射ビーム形状5μm角とする構成が挙げられる。
このように、局所排気部6において、所定の雰囲気下、レーザ光Lの導入を行い、配線基板3のうち所望の箇所にのみ熱を発生させることにより、レーザCVD法による薄膜形成を行うことができる。
次に、本実施例に係る配線基板の製造装置における、レーザエッチング(不純物除去)の具体例について説明する。
まず、前述した動作(配線基板の移動手順)によって、配線基板3の中で加工(本例ではレーザエッチング)を行いたい箇所が局所排気部6に位置するように、支持台2の移動によって配線基板3を移動させる。続いて、レーザCVD法におけるのと同様にレーザ光Lを照射してレーザエッチングを行う。
なお、このプロセス時の実際のレーザ光照射の条件構成は、例えば、パルス幅50ns、パルス照射数1回、照射強度2J/cm、照射ビーム形状5μm角とする構成が挙げられる。
<第2実施例>
次に、第2実施例として、図1A及び図1Bに示した加工装置の、具体的な変形例の検討結果について説明する。本実施例では、絞り通気手段の配置形状等を工夫した検討結果について説明する。
本発明に係る加工装置(配線基板の製造装置)1は、局所排気装置4の通気手段が前述したシンプルな絞り通気手段13であるものに限られない。
例えば、図5Aに示すように、絞り通気手段13が、予め局所排気装置4の底面に掘り込まれた浅いリング状溝(破線図示;例えば深さ数十μm)内に設けられた構成とすることもできる。この構成によれば、局所排気部6を外気とよりよく分離して、ガスカーテンによる密閉性を向上させることができる。以下の説明では、この図5Aに示した構成を、自成絞り溝給気方式とする。
また、例えば、図5Bに示すように、局所排気装置4の底面つまり浮上面が、角型(矩形,四角形)の外形を有する構成とすることもできる。この構成によれば、浮上面の面積増加によって、浮上剛性の向上を図ることができる。しかも、特に加工対象物が矩形(四角形)である場合には、加工可能な範囲は図1Bに示した(底面が丸型の外形を有する)局所排気装置4による場合と変わることなく、従来よりも広い範囲に対して加工を行うことができる。以下の説明では、この図5Bに示した構成を、自成絞り角型方式とする。
また、例えば、図5C及び図5Dに示すように、単純な絞りとは異なる、環状に連続した絞りが絞りと同様に作用する構成とすることもできる。以下の説明では、この図5C及び図5Dに示した構成を、スロット絞り方式とする。本発明に係る加工装置及び配線基板の製造装置においては、その絞り方式(絞り構造)について、単純な絞りに限られず、このスロット絞り型に例示されるように、様々な絞り方式を適用し得る。
<第3実施例>
次に、第3実施例として、絞り通気手段13を備えた局所排気装置4を有する加工装置(配線基板の製造装置)の、具体的な構成の検討結果について説明する。
従来の、多孔質通気手段を備えた局所排気装置を有する加工装置では、通常、工場で使用している窒素ガス供給圧力範囲である圧力4kgf/cm以下で、100L/mの窒素消費量にて100μm浮上するという浮上特性を示す。本実施例では、本発明に係る加工装置(配線基板の製造装置)の中で、特に、絞り通気手段を備えた局所排気装置(図1B参照)を有し、かつ、局所排気装置が従来の装置におけるのと同等以上の浮上特性を示すための具体的な構成について、検討を行った。
本実施例に係る加工装置では、絞りの出口にて静圧を発生し、かつ、100L/mの流量を流すことが可能な範囲として、0.1〜0.4mmの中から選定される穴径のうち、加工容易性を考慮して絞りの穴数を極力少なくするために、絞りの穴の径を最大の0.4mmとした。
これは、より小さい径の絞りを備える局所排気装置でも、絞り穴の数を増やすことによって100L/mの流量を得られるが、それだけ小さい穴を多く形成する加工はドリル加工が難しくなるために、穴径のバラツキが生じやすく(大きくなりやすく)なり、穴径にバラツキが生ずると、局所排気装置4が浮上時に斜めに傾く原因となるためである。
0.4mm径の絞り穴を有するテストピース(試験的に作製した局所排気装置)を製作し、4kgf/cmの圧力条件にて窒素を流してみたところ、約7L/minの流量が確認された。そこで、目的とする100L/min以上の流量を得るため、絞り穴の数を15個以上(実際には16個)に選定した。
続いて、局所排気装置4の底面における、底面中心から外径(外形)までの距離と、底面中心から吸引溝15までの距離とについて、検討を行った。
加工装置の使用現場からの要求により、加工対象物の端から12.5mmの位置まで加工が行えるよう、底面中心から外径(外形)までの距離は12.5mmとした。また、底面中心から吸引溝15までの距離は、局所排気部6を真空状態にするために必要な領域であり、そのためには少なくとも6mm必要であることが確認できた。
これらの条件、すなわち絞り穴の数と、局所排気装置4の底面における、底面中心から外径(外形)までの距離と、底面中心から吸引溝15までの距離とに基づき、底面中心から絞りの穴までの距離についての検討を行った。
検討は、局所排気装置における底面中心から各絞り穴までの距離(絞りリング半径;各絞り穴は同心円状に配置されているので16個の穴までの距離は一定)を段階的に幾つか設定し、各設定に対応して作製したテストピースを4kgf/cmの圧力にて窒素を流し浮上させる試験により行った。
試験結果を、図6に示す。図6は、テストピースが50μm浮上した時に発生する浮上力(上に持ち上がろうとする力)が絞りのリング半径の値に応じてどう変化するかを示している。
この試験結果より、浮上力は、絞り通気手段(図1B)を備えた構成で、かつ絞りのリング半径が9mmのものと、スロット絞り(図5C及び図5D)を備えた構成で、かつ絞りのリング半径が9.5mmのもので、特に大きくとれることが確認できた。
次に、各絞り方式による局所排気装置4の浮上特性に関して行った比較検討について、説明する。
検討は、各絞り方式による局所排気装置4の、浮上用窒素ガスを50L/minの流量で供給した時の浮上面と基板の隙間(浮上高さ)と、それぞれの浮上高さ(10μm〜50μm)における浮上力との関係を測定することによって行った。
なお、本検討では、図5Bに示したような角型の底面形状を有する構造についても測定を行うため、自成絞り角型(図5Bの角型構造)の局所排気装置4をテストピースとして試作し、測定を行った。なお、スロット絞り方式の角型構造については、数10μmのスロット溝加工を角型部材に施すことが困難であったため、生産性を考慮して自成絞り方式角型の検討を優先した。
試験結果を、図7に示す。
実際に局所排気装置4を浮上させる場合は、窒素噴出しによる浮上力と局所排気部で真空が配線基板をひきつける力とが釣り合った状態で、一定の浮上高さに安定することになる。したがって、浮上力が大きいことは、浮上剛性が高いことを意味する。
図7の結果より、すべての浮上高さにおいて大きな浮上力が得られるのは、自成絞り角型であることが確認できた。
また、本実施例に係る加工装置によれば、加工対象物(基板)の端から約12mmの位置まで加工することが可能となった。通常、TFT基板の縁部には、加工装置以外の様々な装置において基板が保持されるために必要な領域が存在し、この領域には配線パターンが存在しないため、端(縁部)から12mm程度の位置まで加工ができれば、修正が必要となる殆どの基板において、その表面の略すべての配線パターンに対してレーザ加工が可能になると考えられる。
すなわち、本実施例に係る加工装置によれば、従来に比して、より多くの適切な修正が可能となる。
以上説明したように、本実施形態に係る加工装置(本実施形態においては配線基板の製造装置)においては、浮上用ガスの噴射が、局所排気装置内に設けられた絞り通気手段を介してなされることから、局所排気装置の浮上面面積の低減が可能となる。
よって、本実施形態に係る加工装置や配線基板の製造装置によれば、従来に比べて少ない浮上面面積で局所排気装置の安定的な浮上を得ることができることから、従来は余剰分として処分せざるを得なかった加工対象物の周辺領域(縁部)に対しても成膜を行うことが可能となる。
したがって、加工対象物のより広い範囲に所定の加工を施して有効利用できることから、例えば、1つの加工対象物からより多くの部品を作製することも可能になると考えられる。
また、本実施形態に係る加工装置や配線基板の製造装置においては、自己浮上型の局所排気装置を備えているために、加工対象物と局所排気装置との接触を、加工対象物における凹凸の範囲に関係なく確実に回避できる。
更に、本実施形態に係る加工装置や配線基板の製造装置によれば、従来の装置構成に比して、局所排気装置が幅狭とされているため、この局所排気装置が、加工対象物表面の細かい歪みにも柔軟に対応して上下することが可能となる。つまり、従来の装置に比べて、凹凸によって加工対象物と局所排気装置との距離が変動しにくいために、距離(すなわちCVD薄膜の膜質)の均一性を向上させることができる。
また、本実施形態に係る加工装置や配線基板の製造装置においては、局所排気装置の浮上用圧縮ガス噴射手段として絞り通気手段が用いられていることから、浮上特性の安定化が図られる。
この浮上特性は、従来の加工装置において、その不安定さがコストの増大の要因となっていた。すなわち、従来の局所排気装置においては、多孔質通気手段の作製時に気孔率が(特に局所排気装置の幅方向;平面方向について)均一になりにくく、1つの多孔質通気手段内で気孔率の偏りが生じたり、別々の(例えばロットが異なる)多孔質通気手段において気孔率のバラツキが生じたりしていた。このために、浮上特性は、1つの局所排気装置内で、或いは別々の局所排気装置間で、異なることが多く、不安定であった。
本実施形態に係る加工装置や配線基板の製造装置においては、このような浮上特性の不安定さの低減、つまり浮上特性の安定化(改善)が図られる。
また、従来の多孔質通気手段による通気手段を備えた局所排気装置を有する加工装置(配線基板の製造装置)では、このような装置のために多孔質通気手段の気孔率を通常の気孔率(例えば10〜15%)よりも特に高く(例えば40%)する必要があったため、製造が困難で製造コストも高くなっていた。
しかし、本実施形態に係る加工装置や配線基板の製造装置によれば、装置の製造時にも、必要な径,個数の絞り通気手段を容易に形成できるため、製造コストの低減も図られると考えられる。
なお、以上の実施の形態の説明で挙げた使用材料及びその量、処理時間及び寸法などの数値的条件は好適例に過ぎず、説明に用いた各図における寸法形状及び配置関係も概略的なものである。すなわち、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
例えば、前述の実施形態では、表示装置などを構成する配線基板(TFT基板)の製造を行う場合を例として、本発明に係る加工方法の説明を行ったが、本発明に係る加工方法は配線基板の製造以外にも適用できる。例えば、本発明に係る加工方法は、表示装置(例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなど)などの製造に用いられる、フォトマスクの欠陥修正にも適用することが可能である。
また、前述の実施形態では、局所排気装置に複数個の絞り通気手段が設けられる例を説明したが、局所排気装置の安定的な水平浮上を図るためには、これら複数個の絞り通気手段が、局所排気装置の底面において対称的となるように配置されることが好ましい。この対称的配置のためには、例えば絞り通気手段が偶数個設けられた構成などが考えられる。
また、例えば局所排気装置について、前述した実施の形態では説明及び図示を省略したが、各排気手段、各排気流路、及びその前後などに、圧力制御用のバルブを設置することによって、局所排気部における、レーザCVD法の圧力制御と、個々のガスの分圧及び流速の制御が可能となる。また、例えば排気手段10や排気手段11には、有毒ガスを除外する機能を付加した構成とすることもできる。
また、例えば局所排気装置の底面(特に絞り通気手段の近傍)は、レーザCVD法による成膜をクリーンルーム内で行う場合に備えてSUSステンレスによって構成すると、錆び難いため好ましいが、局所排気装置の製造における加工容易性を優先する場合には銅によって構成しても良く、他の材料(鉄やアルミなど)で構成することも可能である。
また、前述の第2実施形態に係る加工装置において、原料ガスを供給する代わりに、補填材料を含むターゲットを用い、加工対象物の要補填部位の補修を図る構成、つまり、集束イオンビーム鏡筒41の局所排気部26に近い位置に、ターゲットが設けられる構成とすることもできる。
この場合、集束イオンビームBは、加工対象物23に直接向かうことなく、まずターゲットに衝突し、そのエネルギーでターゲットから補填材料を飛び出させる役割を有する。飛び出した補填材料は、集束イオンビームBのターゲット上への走査照射に伴って飛散し、加工対象物に付着し、欠落部分が補填される。ターゲットは、加工対象物の欠落(不足)を補填できる材料が好ましく、例えば補填されるべき部材(欠落部材や不足部材)が基板表面の配線である場合、ITO、金、アルミニウム、クロム、モリブデン等の成分を含むものが好ましい。より一般的には、スパッタ用電極として知られている材料の中で、加工対象物の補填されるべき部材構成材料に近いものを選択して使用することができる。
また、前述の実施形態では、集束エネルギーとしてレーザ光やイオンビームが用いられる場合(つまりレーザCVD法やイオンビームCVD法)を例としてについて説明したが、本発明に係る加工装置においては、物理気相成長法の一種であるPLD(Pulsed Laser Deposition)法やレーザ転写法なども、集束エネルギーの種類とともに選定することが可能である。
また、絞りの種類は、毛細管絞りや、自成絞りの出口に急に拡がった部分が設けられた所謂オリフィス絞りなど、他のものを用いることもできる。
また、本実施形態では、加工装置とは別にレーザ光源が設けられた場合を例として説明を行ったが、加工装置内にレーザ光源が備え付けられた構成を有していても良い。
また、前述の実施の形態では、局所成膜(CVD)と薄膜除去(エッチング)の両方が行える装置構成を例として説明を行ったが、必ずしも両方が行える装置でなくとも、例えば一方のみが行える装置であってもよい。
また、例えば、原料供給手段と局所排気部との間に、必要に応じて原料供給手段と切り換えられる排気手段を特に設けた構成によれば、レーザエッチングを行う際に、局所排気部で生じたエッチング残渣物を効率的に系外へ排除できることから、レーザエッチングへの適性向上を図ることができるなど、本発明は、種々の変更及び変形をなされ得る。
A,B それぞれ、本発明に係る加工装置の一例を示す概略構成図と、その要部となる局所排気装置の概略底面図である。 本発明に係る加工装置の一例における、加工方法の説明に供する概略図である。 A,B それぞれ、本発明に係る加工装置の一例における、浮上用ガス圧力と浮上ガス流量との関係を示す模式図と、浮上用ガス圧力と浮上量との関係を示す模式図である。 本発明に係る加工装置の他の例を示す概略構成図である。 A〜D それぞれ、本発明に係る加工装置の一例における、局所排気装置の概略底面図または概略断面図である。 本発明に係る加工装置の一例における、絞りのリング半径と浮上力との関係を示す模式図である。 本発明に係る加工装置の一例における、浮上高さと浮上力との関係を示す模式図である。 A,B それぞれ、従来の加工装置の概略構成図と、その要部となる局所排気装置の概略底面図である。 A,B それぞれ、従来の加工装置における、浮上用ガス圧力と浮上ガス流量との関係を示す模式図と、浮上用ガス圧力と浮上量との関係を示す模式図である。
符号の説明
1・・・加工装置(配線基板の製造装置)、2・・・支持台、3・・・加工対象物(基板)、4・・・局所排気装置(局所成膜/エッチングヘッド)、5・・・原料供給手段(供給源)、6・・・局所排気部(局所加工部)、7・・・パージガス供給手段、8・・・浮上ステージ、9・・・圧縮ガス供給手段(供給源)、10・・・排気手段、11・・・排気手段、13・・・絞り通気手段、14・・・圧縮ガス供給路、15・・・排気流路(吸引溝)、16・・・排気流路(吸引溝)、17・・・原料ガス流路、18・・・パージガス流路、19・・・透明窓、20・・・透過孔、21・・・加工装置、22・・・支持台、23・・・加工対象物、24・・・局所排気装置、26・・・局所排気部、27・・・原料ガス供給路、33・・・絞り通気手段、34・・・圧縮ガス供給路、35・・・排気流路(吸引溝)、36・・・排気流路(吸引溝)、41・・・集束イオンビーム鏡筒、42・・・電子銃、43・・・引出し電極、44・・・コンデンサレンズ、45・・・対物アパーチャ、46・・・中間レンズ、47・・・プローブ電流検出器、48・・・ブランキング偏向器対、49・・・ビームブランキングアパーチャ、50・・・走査コイル、51・・・対物レンズ

Claims (5)

  1. 少なくとも、加工対象物を支持する支持台と、前記支持台上で局所的に圧力調整がなされる局所排気部へ向けて集束イオンビームを導入する局所排気装置と、を有する加工装置であって、
    前記局所排気装置は、前記支持台に対する浮上用ガスの噴射によって、前記支持台から相対的に浮上可能とされ、
    前記浮上用ガスの噴射が、前記局所排気装置内に設けられた絞り通気手段を介してなされる
    ことを特徴とする加工装置。
  2. 前記局所排気部に対して、CVD法(化学気相成長法)の原料ガスを供給する、原料供給手段を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
  3. 前記絞り通気手段が、偶数個設けられている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の加工装置。
  4. 前記絞り通気手段が、自成絞り、スロット絞り、オリフィス絞り、毛細管絞りのうち、
    少なくとも1種類に相当する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の加工装置。
  5. 加工装置を備えた配線基板の製造装置であって、
    前記加工装置は、
    少なくとも、加工対象物を支持する支持台と、前記支持台上で局所的に圧力調整がなされる局所排気部へ向けて集束イオンビームを導入する局所排気装置と、を有する加工装置であって、
    前記局所排気装置は、前記支持台に対する浮上用ガスの噴射によって、前記支持台から相対的に浮上可能とされ、
    前記浮上用ガスの噴射が、前記局所排気装置内に設けられた絞り通気手段を介してなされる
    ことを特徴とする配線基板の製造装置。
JP2007027056A 2006-10-03 2007-02-06 加工装置、及び配線基板の製造装置 Expired - Fee Related JP5114960B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007027056A JP5114960B2 (ja) 2006-10-03 2007-02-06 加工装置、及び配線基板の製造装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006272208 2006-10-03
JP2006272208 2006-10-03
JP2007027056A JP5114960B2 (ja) 2006-10-03 2007-02-06 加工装置、及び配線基板の製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008112958A JP2008112958A (ja) 2008-05-15
JP5114960B2 true JP5114960B2 (ja) 2013-01-09

Family

ID=39445299

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007027056A Expired - Fee Related JP5114960B2 (ja) 2006-10-03 2007-02-06 加工装置、及び配線基板の製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5114960B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010090471A (ja) * 2008-10-10 2010-04-22 Omron Corp レーザ加工装置及び方法
JP2012159421A (ja) * 2011-02-01 2012-08-23 Ulvac Japan Ltd パーティクル測定装置
JP6002894B2 (ja) * 2013-01-17 2016-10-05 国立大学法人山形大学 電子デバイスの製造方法
KR101765244B1 (ko) 2015-12-14 2017-08-07 참엔지니어링(주) 증착 장치 및 증착 방법
CN115461834A (zh) * 2020-06-29 2022-12-09 株式会社V技术 加工装置
JP7473195B2 (ja) 2020-09-14 2024-04-23 株式会社ブイ・テクノロジー 集束荷電粒子ビーム装置

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3543672B2 (ja) * 1999-04-22 2004-07-14 シャープ株式会社 プラズマを用いた試料の表面処理装置
JP4596118B2 (ja) * 2003-12-08 2010-12-08 ソニー株式会社 レーザcvd装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008112958A (ja) 2008-05-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5114960B2 (ja) 加工装置、及び配線基板の製造装置
US6926801B2 (en) Laser machining method and apparatus
WO2016136495A1 (ja) ガス浮上ワーク支持装置および非接触ワーク支持方法
JP2010204650A (ja) ステージクリーナ、描画装置及び基板処理装置
EP0989595A2 (en) Device for processing a surface of a substrate
JP4556618B2 (ja) レーザ加工装置
JP2005179705A (ja) レーザcvd装置
JP4596118B2 (ja) レーザcvd装置
JP2001207267A (ja) レーザリペア方法および装置
JP5083708B2 (ja) レーザアニール装置
JP2005171272A (ja) レーザcvd装置
JP6322117B2 (ja) 局所ドライエッチング装置
JP7032403B2 (ja) イオンビーム装置のためのガス圧入システム及びガス圧入システムのための引出しプレートを製造する方法
JP4292389B2 (ja) 異物除去方法及び異物除去装置
JP2005294625A (ja) 成膜装置
JP4285210B2 (ja) レーザ加工装置
JP2010201453A (ja) レーザ加工装置とその制御方法
JP7496601B2 (ja) 加工装置
JP6456904B2 (ja) ガス浮上ワーク支持装置
JP2008090083A (ja) レンズ焦点位置決め装置及びレンズ焦点位置決め方法
US20230178335A1 (en) Differential pumping apparatus and focused energy beam system
US20230395353A1 (en) Process apparatus
JP2004139126A (ja) レーザリペア方法および装置
JP2005023376A (ja) レーザcvd装置
JP7473195B2 (ja) 集束荷電粒子ビーム装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100127

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120719

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120724

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120829

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120918

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121001

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151026

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees