JP2005023376A - レーザcvd装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定して高品質の膜を形成すると共に、生産性を向上することができるレーザCVD装置を提供する。
【解決手段】基板21を載置するステージ11と、レーザ光源と、このレーザ光源によるレーザ光を照射するための照射光学系と、CVD用の原料ガスを供給するためのガス供給ユニットと、中央部にレーザ光を通過させる空間7を有し、ガス供給ユニットから供給される原料ガスを吹き出させる吹き出し口を有するガス導入部10とを備え、ガス導入部10の基板21と対向する面に、ガス導入部10と基板21との間への外気の侵入を防ぐための遮断ガスを導入する遮断ガス導入口5と排気口4とが設けられ、ガス導入部10が磁力による浮上機構12,13を備えたレーザCVD装置を構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】基板21を載置するステージ11と、レーザ光源と、このレーザ光源によるレーザ光を照射するための照射光学系と、CVD用の原料ガスを供給するためのガス供給ユニットと、中央部にレーザ光を通過させる空間7を有し、ガス供給ユニットから供給される原料ガスを吹き出させる吹き出し口を有するガス導入部10とを備え、ガス導入部10の基板21と対向する面に、ガス導入部10と基板21との間への外気の侵入を防ぐための遮断ガスを導入する遮断ガス導入口5と排気口4とが設けられ、ガス導入部10が磁力による浮上機構12,13を備えたレーザCVD装置を構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造や液晶又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの製造に用いられるフォトマスクの欠陥修正装置や、TFT基板の配線の修正装置に用いて好適な、レーザCVD装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンスディスプレイに用いられるTFT(薄膜トランジスタ)基板等の基板に対して、基板上の欠陥を修正するために、レーザCVD装置が用いられている。
【0003】
従来、このような用途のレーザCVD装置は、レーザ光源、レーザ光を基板上に照射するレーザ照射機能及び観察のための顕微鏡機能を備える照射光学系、CVD原料ガスを供給する原料ガス供給ユニット、排気ガスを無害化する排気ユニット、基板を位置決めして保持するX−Yステージ、並びに各ユニット等の動作を制御する制御ユニットを有して構成されている。
また、基板の所望の部分に薄膜を形成するために、原料ガスを封じ込めてこの原料ガスにレーザ光を照射して光CVD反応をさせる反応室を備えたガス導入部が基板上を覆う構造となっている。そして、ガス導入部の基板に対向する面の反応室の下部に開口を有して、この開口を通じて反応室から反応物が供給されて基板の所望の部分に薄膜が形成される。
【0004】
ここで、ガス導入部としては、小型であり、かつ反応室の雰囲気の置換に要する時間を短縮する形態として、基板とガス導入部との間隙のガス流を制御することによって、ガスカーテン効果によって、原料ガスを反応室内に閉じ込めると共に周囲から反応室内への空気の混入を防ぐようにした、いわゆるチャンバレスガス導入方式が知られている(特許文献1〜特許文献3参照)。
【0005】
このチャンバレスガス導入方式では、以下の通りにガス導入部を構成して、ガスを流している。
即ち、原料ガスを反応室に向かって吹き出させるノズルを設けると共に、基板に対向する面において反応室下部の開口の周囲に環状の遮断ガス導入口及びガス排気口をそれぞれ設けて、ガス導入部を構成している。
そして、ノズルから原料ガスを反応室に吹き出させて、原料ガスを供給する。
一方、使用済みの原料ガスは、ガス排気口から排出される。
また、遮断ガスは、遮断ガス導入口から、ガス導入部と基板の間隙に導入され、ガス排気口から排出される。これにより、遮断ガスが反応室下部の開口をとり囲むため、基板との間隙を通って周囲から入り込もうとする空気の回り込みを防止する機能を有している。
【0006】
ガス導入部の反応室の上部には、レーザ光を透過して反応室内に導入すると共に、原料ガスを閉じ込めるために、窓が設けられる。
また、上述のように光CVD反応を利用して成膜する場合に、レーザ光を導入する窓の曇りを防止するために、さらにパージガスを別のノズル用の導入部より窓部に吹き付ける構成とすることも開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特表平1−502149号公報
【特許文献2】
特許第3036687号明細書
【特許文献3】
特許第3345524号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術には以下に示す欠点があった。
即ち、原料ガスの反応室内での流速が小さい場合には、レーザ光により分解した微粒子状の分解物が降り積もり、この分解物が反応室下部の開口から漏れて基板が汚れてしまう欠点を生じる。
【0009】
一方、この欠点を解消するには、原料ガスの流速を高めればよいが、その場合には、原料ガスのノズルからの吹き出し量が増大することにより、原料ガス吹き出し部の近傍で引き込み流が発生し、その結果ガスカーテン作用が原料ノズルの近傍で崩れ、そこから外気が反応室付近に入り込み、CVD膜の膜質が劣化する問題を生じる。
【0010】
つまり、従来の方式では、流速を小さくしたときの降り積もり状堆積の抑制と流速を大きくしたときのガスカーテン効果による空気混入を防止する効果とのトレードオフを生じ、良好な堆積膜質と降り積もり状堆積の抑制とを両立できない欠点があった。
【0011】
降り積もり状堆積は、基板を取り出して洗浄することにより除去可能ではあるが、レーザCVD装置の特徴である簡易性、高スループット性(生産性)を損う新たな問題が生じる。
また、半導体フォトマスクのように微細なパターンの修正を行う場合には、CVDにより膜を形成した後にレーザ蒸散法により堆積膜の周囲の正確に削り取る加工を行う場合があるが、降り積もり状堆積があると、パターンのエッジの検出精度が低下し、正確な加工位置同定が困難となる欠点もある。このように、加工位置同定が困難となることによっても、生産性が低下してしまう。
【0012】
そして、上述した降り積もり状堆積や外気が入り込む現象は、ガス導入部と基板との間隔が固定式の場合において顕著に見られる。
これは、ガス導入部と基板との間隔を固定した場合に、基板を位置決めし保持するX−Yステージの平面度や基板の反り・うねりが有ることによって、基板とガス導入部との衝突を避けるために、0.5mmから1mm程度の比較的大きな間隔をとらなければならないことに起因している。
即ち、このように基板とガス導入部とが大きな間隔を有することにより、ガスカーテン効果が弱まるため、原料ガスの流れが遮断状態と反応室内の状態の両方へ影響を与えるからである。
【0013】
上述した問題の解決のために、本発明においては、安定して高品質の膜を形成すると共に、生産性を向上することができるレーザCVD装置を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のレーザCVD装置は、基板を載置するステージと、レーザ光源と、このレーザ光源によるレーザ光を照射するための照射光学系と、CVD用の原料ガスを供給するためのガス供給ユニットと、中央部にレーザ光を通過させる空間を有し、ガス供給ユニットから供給される原料ガスを吹き出させる吹き出し口を有するガス導入部とを備え、ガス導入部の基板と対向する面に、ガス導入部と基板との間への外気の侵入を防ぐための遮断ガスを導入する遮断ガス導入口と排気口とが設けられ、ガス導入部が磁力による浮上機構を備えたものである。
【0015】
また、上記本発明のレーザCVD装置において、ガス導入部の排気口が、独立して複数設けられている構成とすることも可能である。
【0016】
上述の本発明のレーザCVD装置の構成によれば、ガス導入部が磁力による浮上機構を備えたことにより、浮上機構の磁力によってガス導入部を基板に対して浮上させることができる。これにより、ガス導入部と基板との間隔を安定化させることが可能になる。
また、ガス導入部と基板との間隔を、所望の間隔となるように制御することも可能になる。
【0017】
また、ガス導入部の排気口が、独立して複数設けられている構成としたときには、外気の遮断の機能と、原料ガスの分圧や流量等の条件を調整する機能とを、複数の排気口に割り当てて、これらを独立して制御することが可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明は、基板を載置するステージと、レーザ光源と、このレーザ光源によるレーザ光を照射するための照射光学系と、CVD用の原料ガスを供給するためのガス供給ユニットと、中央部にレーザ光を通過させる空間を有し、ガス供給ユニットから供給される原料ガスを吹き出させる吹き出し口を有するガス導入部とを備えるものであって、ガス導入部の基板と対向する面に、ガス導入部と基板との間への外気の侵入を防ぐための遮断ガスを導入する遮断ガス導入口と排気口とが設けられ、ガス導入部が磁力による浮上機構を備えたレーザCVD装置である。
【0019】
また本発明は、上記レーザCVD装置において、ガス導入部が、その浮上高さを制御する浮上高さ制御機構を備えた構成とする。
【0020】
また本発明は、上記レーザCVD装置において、浮上高さ制御機構が、光を用いた測長機能を有する構成とする。
【0021】
また本発明は、上記レーザCVD装置において、浮上高さ制御機構が、電磁石による浮上高さ調整機能を有する構成とする。
【0022】
また本発明は、上記レーザCVD装置において、ガス導入部の排気口が、独立して複数設けられている構成とする。
【0023】
本発明の一実施の形態として、レーザCVD装置の要部(ガス導入部付近)の概略構成図を図1に示す。この図1は、一部模式的断面を示す斜視図となっている。
本実施の形態のレーザCVD装置は、例えばTFT基板の欠陥修正等に用いて好適なものである。
【0024】
このレーザCVD装置は、図1に示すガス導入部10と、基板21を載置するためのX−Yステージ11と、図示しないが、原料ガス(材料ガスとキャリアガス)・窓パージガス・遮断ガスをそれぞれ供給するためのガス供給ユニットと、排気ガスを処理する排気ユニットと、レーザ光源とレーザ光源からのレーザ光をガス導入部10に照射する照射光学系とを有して構成される。ガス供給ユニット及び排気ユニットは、ガス導入部10に接続されて、ガスの供給や排出を行う。
【0025】
レーザ光源としては、例えば、QスイッチNd:YAGレーザの第3高調波光源を用いることができる。
照射光学系は、例えば、レーザ光を反射するミラー、レーザ光を整形するアパーチャや、成膜を行う対象の基板のパターン等の状態を観察する機能(例えば照射観察ユニット)を具備して構成される。このうち、照射観察ユニットは、例えばレーザ光の出射側(ガス導入部10側)に倍率100倍・作動距離5mmの対物レンズを配置して構成することができる。
そして、成膜プロセスにおけるレーザ光照射条件は、例えば、繰り返し周波数2kHz、レーザ照射パルス幅50ns、レーザ照射強度50kW/cm2、照射ビーム形状5μm角とされる。
【0026】
ガス導入部10は、その中央に反応室7を有し、反応室7の上部にレーザ光を導き入れる窓8が設けられ、反応室7の下部に開口が設けられている。窓8は、レーザ光は透過するが、ガス導入部10の上方からの外気の侵入を遮断する。
ガス導入部10の側部には、原料ガス入口1、窓パージガス入口2、2箇所の排気ガス出口3、並びに遮断ガス入口6の、4種類5箇所の開口を有している。
ガス導入部10の下面、即ち基板21と対向する面には、上述の反応室7の下部の開口の他に、遮断ガス導入口5と排気口4とを有している。
【0027】
なお、図1の断面は模式的な断面を示しており、原料ガス入口1、窓パージガス入口2、排気ガス出口3、遮断ガス入口6は必ずしも同一断面にある必要はない。
また、遮断ガス導入口5と排気口4は、図2にガス導入部10の下面の平面図を示すように、反応室7下の開口の周囲に環状に形成される。
【0028】
排気ガス出口3が2箇所に設けられることにより、排気ガスの通路は2つの系統、即ち使用済みの原料ガス及び窓パージガスを排気する系統と、内側に向かってくる遮断ガスを排気する系統とを有している。これにより、外気を遮断するための構成と、成膜等のレーザCVDプロセスを行うための構成を、それぞれ独立させることが可能となっている。
【0029】
さらに、通常のCVD装置のように、排気ユニット内に圧力制御用のバルブを設置することにより、レーザCVDプロセスの圧力を制御し、レーザ照射部のガス分圧及び流速を制御可能とし、それぞれのCVDプロセスに最適な条件を、外気の遮断とは独立して制御可能とすることができる。
【0030】
原料ガスは、原料ガス入口1から反応室7内に供給される。そして、レーザ光が、レーザ光源から光学系と窓8を経て、反応室7に導入されて照射されることにより、光CVD反応を発生させて、反応室7下部の開口を通じて基板21に成膜を行うことができる。
反応した後の余剰のガスは、反応室7下部の開口を経て、排気口4から排気ガス出口3に吸い込まれて排気ユニットにより排気される。
原料ガスとしては、基板にCVD法により成膜するための材料ガスとキャリアガスが用いられる。例えば、基板21にW(タングステン)膜を成膜する場合には、W(CO)6ガスとキャリアガス(アルゴンガス等)が用いられる。
【0031】
遮断ガスは、遮断ガス入口6からガス導入部10に入り、遮断ガス導入口5からガス導入部10及び基板21の間隙に導入される。そして、排気口4から排気ガス出口3に吸い込まれて排気ユニットにより排気される。これにより、ガスカーテン効果によって、外部からの遮断を行うことができる。
遮断ガスとしては、反応に影響を及ぼさないものが望ましく、例えば窒素ガスを使用することができる。
【0032】
窓パージガスは、窓パージガス入口2からガス導入部10に入り、反応室7の上部に設けられ、窓8に向かう吹き出し口9から、吹き出される。これにより、窓8に原料ガスの分解物が付着することを防ぐことができる。余剰の窓パージガスは、反応室7下部の開口を経て、排気口4から排気ガス出口3に吸い込まれて排気ユニットにより排気される。
窓パージガスとしては、レーザ光源からのレーザ光で分解しないガスを使用する必要があり、例えばアルゴンガス等の不活性ガスを用いることができる。
【0033】
成膜プロセス時のガス流量は、例えば、遮断ガス5L/min、原料ガス0.1L/min(但しW(CO)6分圧は44Pa、)、窓パージガス0.2L/minとすることができる。
【0034】
本実施の形態のレーザCVD装置においては、特にガス導入部10を磁気によって基板21に対して浮上させるために、浮上機構が設けられている。
具体的には、ガス導入部10の上面に磁石12を設けている。またX−Yテーブル11の下面の磁石12に対向する位置に、浮上用電磁石13が設けられている。
ガス導入部10上面の磁石12は、電磁石を用いることも可能であるが、軽量化のために永久磁石とすることが望ましい。
磁石12は、平面形状が円形のガス導入部10の中心から均等に、例えば4個配置することにより、ガス導入部10をバランス良く浮上させることができる。
これら磁石12及び浮上用電磁石13から成る浮上機構が設けられたことにより、磁石の反発力によって、ガス導入部10を基板21に対して浮上させることが可能となる。
【0035】
そして、浮上用電磁石13に流す電流を調節して、磁石12と浮上用電磁石13にかかる磁力を制御することにより、ガス導入部10の浮上高さを制御することができる。
このように、ガス導入部の浮上高さを制御する浮上高さ機構を、ガス導入部に設けることが望ましい。
【0036】
さらに、本実施の形態のレーザCVD装置においては、ガス導入部10の側面に、光を用いた測長機能を有する構成として、測長用レーザユニット14が設けられている。
この測長用レーザユニット14によって、測長用レーザユニット14から基板21表面までの距離D1を測定することができ、この距離D1から、ガス導入部10及び基板21の間隔D2を知ることができる。
そして、ガス導入部10及び基板21の間隔D2が所望の間隔となるように、浮上用電磁石13に流す電流を調節してガス導入部10の浮上高さを調節することにより、所望の間隔D2、即ち成膜又は基板の移動にそれぞれ適した間隔D2とすることができる。
【0037】
続いて、本実施の形態のレーザCVD装置の浮上機構による、浮上の動作を説明する。
ここでは、基板21としてTFT基板を用いて、レーザCVD装置によりこのTFT基板の欠陥を修正する場合に適用して説明する。また、説明の煩雑化を避けるため、ガスの導入等の説明は割愛する。
【0038】
まず、X−Yステージ11上に置かれた基板21が、ガス導入部10の下に移される。このとき、ガス導入部10は機械的に持ち上げられ、基板21との間隔D2を十分に保たれる。
次に、ガス導入部10がある一定の高さまで機械的に下ろされた後に、測長用レーザユニット14のレーザにより基板21との間隔D2を測定しながら、浮上用電磁石13によりガス導入部10の浮上量が制御される。例えば、200μmの浮上量に制御される。
【0039】
次に、X−Yステージ11により、基板21の欠陥位置上にガス導入部10の反応室7及び開口が位置するように、基板21が移動する。
このとき、前述したように、磁力により基板21に対して十分な間隔(浮上量)D2を保持しているため、基板21の反りやうねりによる基板21とガス導入部10の接触は十分に回避することができる。
また、十分な浮上量を確保しているため、大きな移動距離を高速で移動した場合のX−Yステージ11の振動にも対応して、基板21とガス導入部10の接触を十分に回避することができる。
これにより、ガス導入部10を高速で移動させることが可能になる。
さらに、高速移動を行うことにより、生産時のタクトタイムも短縮可能となり、生産性向上も図ることができる。
【0040】
その後、測長用レーザユニット14のレーザにより基板21との高さD1を測定しながら、浮上量電磁石13に流す電流を小さくすることによりガス導入部10の浮上量D2を下げて、原料ガスの流れが外気の遮断に影響を及ぼさない範囲(例えば浮上量20μm)に制御する。
【0041】
続いて、レーザ光源からのレーザ光を反応室7内に照射させて、光CVD法により、TFT基板21の欠陥位置に修正用の成膜を行う。
【0042】
その後、さらにTFT基板21の次の欠陥位置まで移動させる場合は、再び測長用レーザユニット14により基板21との高さD1を測定しながら浮上用電磁石13によりガス導入部10の浮上量D2を、基板21の反りやうねりによる基板21とガス導入部10の接触を十分回避できる高さ、例えば高さ200μmまで上げた後に、X−Yステージ11により基板21を移動させる。
【0043】
上述した動作を繰り返すことにより、TFT基板の全ての欠陥に対して修正用の成膜を行うことができる。
【0044】
そして、成膜と基板の移動を連続的に行うようにすれば、高い生産性と、高品質の成膜とを実現することが可能となる。
このように連続的に成膜と基板の移動を行う場合における、ガス導入部10と基板21との間隙部の距離(ガス導入部10の基板21からの浮上量)D2の変化を図3に示す。
【0045】
上述の本実施の形態のレーザCVD装置の構成によれば、ガス導入部10に、磁石12及び浮上用電磁石13から成る浮上機構が設けられていることにより、ガス導入部10と基板21の間隔D2を制御して安定化させることができる。
【0046】
これにより、成膜時には、ガス導入部10と基板21の間隔D2を、外気の遮断及び成膜プロセスのガス条件に適した間隔に安定化させることができるため、外気の侵入や原料ガスの流れの乱れを防止して、容易に安定したCVD膜を形成することができる。
即ち、容易に安定して高品質の成膜を行うことができる。
【0047】
このことを、以下に詳しく述べる。
浮上機構により、ガス導入部10と基板21の間隔D2を、例えば20μm程度の従来よりも狭い間隔D2に安定化させることができる。
これにより、遮断ガスによるガスカーテン効果を充分に発揮させることができることから、外気の遮断を確実に行うことができる。
従って、外気を遮断して、外気の侵入による原料ガスの圧力や流量の条件の乱れを防ぐことができるため、前述した降り積もり堆積の発生も抑制することができる。
【0048】
また、基板21を移動させる際には、浮上機構によりガス導入部10と基板21の間隔D2を大きくすることができ、基板21の反りやうねりがあっても、基板21とガス導入部10との接触を充分に回避することができる。
即ち、次の成膜位置まで基板21を高速に移動させることができ、生産性を向上することができる。
【0049】
従って、本実施の形態によれば、高品質の成膜を行うことができ、かつ高い生産性を有するレーザCVD装置を実現することができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、ガス導入部10の側面に測長用レーザユニット14が設けられていることにより、レーザ光によって測長用レーザユニット14の基板21からの距離D1を測定して、ガス導入部10と基板21の間隔D2を知ることができる。
これにより、ガス導入部10と基板21の間隔D2の状態をフィードバックさせて浮上用電磁石13に流す電流を制御して磁力を調整することにより、所望の間隔D2に制御することが可能になる。
【0051】
さらに、本実施の形態によれば、排気口4が2つ設けられていることにより、レーザCVDに関与するプロセスガス条件を、外気との遮断とは独立して制御することが可能になる。
これにより、CVD膜の品質のさらなる向上を図ることができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0053】
例えば、電磁石により浮上量を制御する際に、レーザにより基板からの高さを測定しながら制御するのではなく、あらかじめ電磁石への供給される電流量とガス導入部の浮上量との関係を調べておくことにより、電流量のみにてガス導入部8の浮上量を制御する構成とすることも可能である。
この場合は、測長用レーザユニット等のレーザ測長機構を省略することができるため、さらに装置コストとしての利点が得られる。
【0054】
また、上述の実施の形態では、原料ガスを反応室7内に供給する構成であったが、本発明では、ガス導入部の構成はその他の構成も可能である。
例えば前記特許文献2に記載されているように、ガス導入部と基板の間隙に原料ガスを吹き出させる構成にも、同様に本発明を適用して、磁気による浮上機構を設けることができる。
【0055】
さらに、上述の実施の形態では、ガス導入部10が2つの排気口4を有する構成であったが、本発明は排気口が1つだけの場合にも適用することができる。
排気口が1つだけの場合でも、本発明を適用してガス導入部に浮上機構を設けることにより、基板と接触しないようにガス導入部の浮上を安定化させることができ、外気の遮断状態や原料ガスの条件を安定化させることができる。
上述の実施の形態のように、2つの排気口を有する場合には、さらに、各排気口にそれぞれ、外気を遮断する機能と、原料ガスの分圧や流速等の条件を制御する機能と割り当てて、前述したように、これらの機能を独立して制御できる効果が得られる。
【0056】
【発明の効果】
上述の本発明によれば、容易に安定して高品質のCVD膜を得ることができ、かつ高い生産性を有するレーザCVD装置を実現することができる。
【0057】
また、特に、ガス導入部に排気口を複数設けた構成としたときには、外気を遮断する機能と、原料ガスの分圧や流速等のプロセス条件を制御する機能とを、独立して制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のレーザCVD装置の概略構成図(要部の斜視図)、即ちガス導入部の構造を示す模式図である。
【図2】図1のガス導入部の下面の平面図である。
【図3】連続的に成膜と基板の移動を行う場合における、図1のガス導入部と基板との間隙部の距離の変化を示す図である。
【符号の説明】
1 原料ガス入口、2 窓パージガス入口、3 排気ガス出口、4 排気口、5 遮断ガス導入口、6 遮断ガス入口、7 反応室、8 窓、10 ガス導入部、11 X−Yステージ、12 磁石、13 浮上用電磁石、14 測長用レーザユニット、21 基板
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造や液晶又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの製造に用いられるフォトマスクの欠陥修正装置や、TFT基板の配線の修正装置に用いて好適な、レーザCVD装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンスディスプレイに用いられるTFT(薄膜トランジスタ)基板等の基板に対して、基板上の欠陥を修正するために、レーザCVD装置が用いられている。
【0003】
従来、このような用途のレーザCVD装置は、レーザ光源、レーザ光を基板上に照射するレーザ照射機能及び観察のための顕微鏡機能を備える照射光学系、CVD原料ガスを供給する原料ガス供給ユニット、排気ガスを無害化する排気ユニット、基板を位置決めして保持するX−Yステージ、並びに各ユニット等の動作を制御する制御ユニットを有して構成されている。
また、基板の所望の部分に薄膜を形成するために、原料ガスを封じ込めてこの原料ガスにレーザ光を照射して光CVD反応をさせる反応室を備えたガス導入部が基板上を覆う構造となっている。そして、ガス導入部の基板に対向する面の反応室の下部に開口を有して、この開口を通じて反応室から反応物が供給されて基板の所望の部分に薄膜が形成される。
【0004】
ここで、ガス導入部としては、小型であり、かつ反応室の雰囲気の置換に要する時間を短縮する形態として、基板とガス導入部との間隙のガス流を制御することによって、ガスカーテン効果によって、原料ガスを反応室内に閉じ込めると共に周囲から反応室内への空気の混入を防ぐようにした、いわゆるチャンバレスガス導入方式が知られている(特許文献1〜特許文献3参照)。
【0005】
このチャンバレスガス導入方式では、以下の通りにガス導入部を構成して、ガスを流している。
即ち、原料ガスを反応室に向かって吹き出させるノズルを設けると共に、基板に対向する面において反応室下部の開口の周囲に環状の遮断ガス導入口及びガス排気口をそれぞれ設けて、ガス導入部を構成している。
そして、ノズルから原料ガスを反応室に吹き出させて、原料ガスを供給する。
一方、使用済みの原料ガスは、ガス排気口から排出される。
また、遮断ガスは、遮断ガス導入口から、ガス導入部と基板の間隙に導入され、ガス排気口から排出される。これにより、遮断ガスが反応室下部の開口をとり囲むため、基板との間隙を通って周囲から入り込もうとする空気の回り込みを防止する機能を有している。
【0006】
ガス導入部の反応室の上部には、レーザ光を透過して反応室内に導入すると共に、原料ガスを閉じ込めるために、窓が設けられる。
また、上述のように光CVD反応を利用して成膜する場合に、レーザ光を導入する窓の曇りを防止するために、さらにパージガスを別のノズル用の導入部より窓部に吹き付ける構成とすることも開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特表平1−502149号公報
【特許文献2】
特許第3036687号明細書
【特許文献3】
特許第3345524号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術には以下に示す欠点があった。
即ち、原料ガスの反応室内での流速が小さい場合には、レーザ光により分解した微粒子状の分解物が降り積もり、この分解物が反応室下部の開口から漏れて基板が汚れてしまう欠点を生じる。
【0009】
一方、この欠点を解消するには、原料ガスの流速を高めればよいが、その場合には、原料ガスのノズルからの吹き出し量が増大することにより、原料ガス吹き出し部の近傍で引き込み流が発生し、その結果ガスカーテン作用が原料ノズルの近傍で崩れ、そこから外気が反応室付近に入り込み、CVD膜の膜質が劣化する問題を生じる。
【0010】
つまり、従来の方式では、流速を小さくしたときの降り積もり状堆積の抑制と流速を大きくしたときのガスカーテン効果による空気混入を防止する効果とのトレードオフを生じ、良好な堆積膜質と降り積もり状堆積の抑制とを両立できない欠点があった。
【0011】
降り積もり状堆積は、基板を取り出して洗浄することにより除去可能ではあるが、レーザCVD装置の特徴である簡易性、高スループット性(生産性)を損う新たな問題が生じる。
また、半導体フォトマスクのように微細なパターンの修正を行う場合には、CVDにより膜を形成した後にレーザ蒸散法により堆積膜の周囲の正確に削り取る加工を行う場合があるが、降り積もり状堆積があると、パターンのエッジの検出精度が低下し、正確な加工位置同定が困難となる欠点もある。このように、加工位置同定が困難となることによっても、生産性が低下してしまう。
【0012】
そして、上述した降り積もり状堆積や外気が入り込む現象は、ガス導入部と基板との間隔が固定式の場合において顕著に見られる。
これは、ガス導入部と基板との間隔を固定した場合に、基板を位置決めし保持するX−Yステージの平面度や基板の反り・うねりが有ることによって、基板とガス導入部との衝突を避けるために、0.5mmから1mm程度の比較的大きな間隔をとらなければならないことに起因している。
即ち、このように基板とガス導入部とが大きな間隔を有することにより、ガスカーテン効果が弱まるため、原料ガスの流れが遮断状態と反応室内の状態の両方へ影響を与えるからである。
【0013】
上述した問題の解決のために、本発明においては、安定して高品質の膜を形成すると共に、生産性を向上することができるレーザCVD装置を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のレーザCVD装置は、基板を載置するステージと、レーザ光源と、このレーザ光源によるレーザ光を照射するための照射光学系と、CVD用の原料ガスを供給するためのガス供給ユニットと、中央部にレーザ光を通過させる空間を有し、ガス供給ユニットから供給される原料ガスを吹き出させる吹き出し口を有するガス導入部とを備え、ガス導入部の基板と対向する面に、ガス導入部と基板との間への外気の侵入を防ぐための遮断ガスを導入する遮断ガス導入口と排気口とが設けられ、ガス導入部が磁力による浮上機構を備えたものである。
【0015】
また、上記本発明のレーザCVD装置において、ガス導入部の排気口が、独立して複数設けられている構成とすることも可能である。
【0016】
上述の本発明のレーザCVD装置の構成によれば、ガス導入部が磁力による浮上機構を備えたことにより、浮上機構の磁力によってガス導入部を基板に対して浮上させることができる。これにより、ガス導入部と基板との間隔を安定化させることが可能になる。
また、ガス導入部と基板との間隔を、所望の間隔となるように制御することも可能になる。
【0017】
また、ガス導入部の排気口が、独立して複数設けられている構成としたときには、外気の遮断の機能と、原料ガスの分圧や流量等の条件を調整する機能とを、複数の排気口に割り当てて、これらを独立して制御することが可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明は、基板を載置するステージと、レーザ光源と、このレーザ光源によるレーザ光を照射するための照射光学系と、CVD用の原料ガスを供給するためのガス供給ユニットと、中央部にレーザ光を通過させる空間を有し、ガス供給ユニットから供給される原料ガスを吹き出させる吹き出し口を有するガス導入部とを備えるものであって、ガス導入部の基板と対向する面に、ガス導入部と基板との間への外気の侵入を防ぐための遮断ガスを導入する遮断ガス導入口と排気口とが設けられ、ガス導入部が磁力による浮上機構を備えたレーザCVD装置である。
【0019】
また本発明は、上記レーザCVD装置において、ガス導入部が、その浮上高さを制御する浮上高さ制御機構を備えた構成とする。
【0020】
また本発明は、上記レーザCVD装置において、浮上高さ制御機構が、光を用いた測長機能を有する構成とする。
【0021】
また本発明は、上記レーザCVD装置において、浮上高さ制御機構が、電磁石による浮上高さ調整機能を有する構成とする。
【0022】
また本発明は、上記レーザCVD装置において、ガス導入部の排気口が、独立して複数設けられている構成とする。
【0023】
本発明の一実施の形態として、レーザCVD装置の要部(ガス導入部付近)の概略構成図を図1に示す。この図1は、一部模式的断面を示す斜視図となっている。
本実施の形態のレーザCVD装置は、例えばTFT基板の欠陥修正等に用いて好適なものである。
【0024】
このレーザCVD装置は、図1に示すガス導入部10と、基板21を載置するためのX−Yステージ11と、図示しないが、原料ガス(材料ガスとキャリアガス)・窓パージガス・遮断ガスをそれぞれ供給するためのガス供給ユニットと、排気ガスを処理する排気ユニットと、レーザ光源とレーザ光源からのレーザ光をガス導入部10に照射する照射光学系とを有して構成される。ガス供給ユニット及び排気ユニットは、ガス導入部10に接続されて、ガスの供給や排出を行う。
【0025】
レーザ光源としては、例えば、QスイッチNd:YAGレーザの第3高調波光源を用いることができる。
照射光学系は、例えば、レーザ光を反射するミラー、レーザ光を整形するアパーチャや、成膜を行う対象の基板のパターン等の状態を観察する機能(例えば照射観察ユニット)を具備して構成される。このうち、照射観察ユニットは、例えばレーザ光の出射側(ガス導入部10側)に倍率100倍・作動距離5mmの対物レンズを配置して構成することができる。
そして、成膜プロセスにおけるレーザ光照射条件は、例えば、繰り返し周波数2kHz、レーザ照射パルス幅50ns、レーザ照射強度50kW/cm2、照射ビーム形状5μm角とされる。
【0026】
ガス導入部10は、その中央に反応室7を有し、反応室7の上部にレーザ光を導き入れる窓8が設けられ、反応室7の下部に開口が設けられている。窓8は、レーザ光は透過するが、ガス導入部10の上方からの外気の侵入を遮断する。
ガス導入部10の側部には、原料ガス入口1、窓パージガス入口2、2箇所の排気ガス出口3、並びに遮断ガス入口6の、4種類5箇所の開口を有している。
ガス導入部10の下面、即ち基板21と対向する面には、上述の反応室7の下部の開口の他に、遮断ガス導入口5と排気口4とを有している。
【0027】
なお、図1の断面は模式的な断面を示しており、原料ガス入口1、窓パージガス入口2、排気ガス出口3、遮断ガス入口6は必ずしも同一断面にある必要はない。
また、遮断ガス導入口5と排気口4は、図2にガス導入部10の下面の平面図を示すように、反応室7下の開口の周囲に環状に形成される。
【0028】
排気ガス出口3が2箇所に設けられることにより、排気ガスの通路は2つの系統、即ち使用済みの原料ガス及び窓パージガスを排気する系統と、内側に向かってくる遮断ガスを排気する系統とを有している。これにより、外気を遮断するための構成と、成膜等のレーザCVDプロセスを行うための構成を、それぞれ独立させることが可能となっている。
【0029】
さらに、通常のCVD装置のように、排気ユニット内に圧力制御用のバルブを設置することにより、レーザCVDプロセスの圧力を制御し、レーザ照射部のガス分圧及び流速を制御可能とし、それぞれのCVDプロセスに最適な条件を、外気の遮断とは独立して制御可能とすることができる。
【0030】
原料ガスは、原料ガス入口1から反応室7内に供給される。そして、レーザ光が、レーザ光源から光学系と窓8を経て、反応室7に導入されて照射されることにより、光CVD反応を発生させて、反応室7下部の開口を通じて基板21に成膜を行うことができる。
反応した後の余剰のガスは、反応室7下部の開口を経て、排気口4から排気ガス出口3に吸い込まれて排気ユニットにより排気される。
原料ガスとしては、基板にCVD法により成膜するための材料ガスとキャリアガスが用いられる。例えば、基板21にW(タングステン)膜を成膜する場合には、W(CO)6ガスとキャリアガス(アルゴンガス等)が用いられる。
【0031】
遮断ガスは、遮断ガス入口6からガス導入部10に入り、遮断ガス導入口5からガス導入部10及び基板21の間隙に導入される。そして、排気口4から排気ガス出口3に吸い込まれて排気ユニットにより排気される。これにより、ガスカーテン効果によって、外部からの遮断を行うことができる。
遮断ガスとしては、反応に影響を及ぼさないものが望ましく、例えば窒素ガスを使用することができる。
【0032】
窓パージガスは、窓パージガス入口2からガス導入部10に入り、反応室7の上部に設けられ、窓8に向かう吹き出し口9から、吹き出される。これにより、窓8に原料ガスの分解物が付着することを防ぐことができる。余剰の窓パージガスは、反応室7下部の開口を経て、排気口4から排気ガス出口3に吸い込まれて排気ユニットにより排気される。
窓パージガスとしては、レーザ光源からのレーザ光で分解しないガスを使用する必要があり、例えばアルゴンガス等の不活性ガスを用いることができる。
【0033】
成膜プロセス時のガス流量は、例えば、遮断ガス5L/min、原料ガス0.1L/min(但しW(CO)6分圧は44Pa、)、窓パージガス0.2L/minとすることができる。
【0034】
本実施の形態のレーザCVD装置においては、特にガス導入部10を磁気によって基板21に対して浮上させるために、浮上機構が設けられている。
具体的には、ガス導入部10の上面に磁石12を設けている。またX−Yテーブル11の下面の磁石12に対向する位置に、浮上用電磁石13が設けられている。
ガス導入部10上面の磁石12は、電磁石を用いることも可能であるが、軽量化のために永久磁石とすることが望ましい。
磁石12は、平面形状が円形のガス導入部10の中心から均等に、例えば4個配置することにより、ガス導入部10をバランス良く浮上させることができる。
これら磁石12及び浮上用電磁石13から成る浮上機構が設けられたことにより、磁石の反発力によって、ガス導入部10を基板21に対して浮上させることが可能となる。
【0035】
そして、浮上用電磁石13に流す電流を調節して、磁石12と浮上用電磁石13にかかる磁力を制御することにより、ガス導入部10の浮上高さを制御することができる。
このように、ガス導入部の浮上高さを制御する浮上高さ機構を、ガス導入部に設けることが望ましい。
【0036】
さらに、本実施の形態のレーザCVD装置においては、ガス導入部10の側面に、光を用いた測長機能を有する構成として、測長用レーザユニット14が設けられている。
この測長用レーザユニット14によって、測長用レーザユニット14から基板21表面までの距離D1を測定することができ、この距離D1から、ガス導入部10及び基板21の間隔D2を知ることができる。
そして、ガス導入部10及び基板21の間隔D2が所望の間隔となるように、浮上用電磁石13に流す電流を調節してガス導入部10の浮上高さを調節することにより、所望の間隔D2、即ち成膜又は基板の移動にそれぞれ適した間隔D2とすることができる。
【0037】
続いて、本実施の形態のレーザCVD装置の浮上機構による、浮上の動作を説明する。
ここでは、基板21としてTFT基板を用いて、レーザCVD装置によりこのTFT基板の欠陥を修正する場合に適用して説明する。また、説明の煩雑化を避けるため、ガスの導入等の説明は割愛する。
【0038】
まず、X−Yステージ11上に置かれた基板21が、ガス導入部10の下に移される。このとき、ガス導入部10は機械的に持ち上げられ、基板21との間隔D2を十分に保たれる。
次に、ガス導入部10がある一定の高さまで機械的に下ろされた後に、測長用レーザユニット14のレーザにより基板21との間隔D2を測定しながら、浮上用電磁石13によりガス導入部10の浮上量が制御される。例えば、200μmの浮上量に制御される。
【0039】
次に、X−Yステージ11により、基板21の欠陥位置上にガス導入部10の反応室7及び開口が位置するように、基板21が移動する。
このとき、前述したように、磁力により基板21に対して十分な間隔(浮上量)D2を保持しているため、基板21の反りやうねりによる基板21とガス導入部10の接触は十分に回避することができる。
また、十分な浮上量を確保しているため、大きな移動距離を高速で移動した場合のX−Yステージ11の振動にも対応して、基板21とガス導入部10の接触を十分に回避することができる。
これにより、ガス導入部10を高速で移動させることが可能になる。
さらに、高速移動を行うことにより、生産時のタクトタイムも短縮可能となり、生産性向上も図ることができる。
【0040】
その後、測長用レーザユニット14のレーザにより基板21との高さD1を測定しながら、浮上量電磁石13に流す電流を小さくすることによりガス導入部10の浮上量D2を下げて、原料ガスの流れが外気の遮断に影響を及ぼさない範囲(例えば浮上量20μm)に制御する。
【0041】
続いて、レーザ光源からのレーザ光を反応室7内に照射させて、光CVD法により、TFT基板21の欠陥位置に修正用の成膜を行う。
【0042】
その後、さらにTFT基板21の次の欠陥位置まで移動させる場合は、再び測長用レーザユニット14により基板21との高さD1を測定しながら浮上用電磁石13によりガス導入部10の浮上量D2を、基板21の反りやうねりによる基板21とガス導入部10の接触を十分回避できる高さ、例えば高さ200μmまで上げた後に、X−Yステージ11により基板21を移動させる。
【0043】
上述した動作を繰り返すことにより、TFT基板の全ての欠陥に対して修正用の成膜を行うことができる。
【0044】
そして、成膜と基板の移動を連続的に行うようにすれば、高い生産性と、高品質の成膜とを実現することが可能となる。
このように連続的に成膜と基板の移動を行う場合における、ガス導入部10と基板21との間隙部の距離(ガス導入部10の基板21からの浮上量)D2の変化を図3に示す。
【0045】
上述の本実施の形態のレーザCVD装置の構成によれば、ガス導入部10に、磁石12及び浮上用電磁石13から成る浮上機構が設けられていることにより、ガス導入部10と基板21の間隔D2を制御して安定化させることができる。
【0046】
これにより、成膜時には、ガス導入部10と基板21の間隔D2を、外気の遮断及び成膜プロセスのガス条件に適した間隔に安定化させることができるため、外気の侵入や原料ガスの流れの乱れを防止して、容易に安定したCVD膜を形成することができる。
即ち、容易に安定して高品質の成膜を行うことができる。
【0047】
このことを、以下に詳しく述べる。
浮上機構により、ガス導入部10と基板21の間隔D2を、例えば20μm程度の従来よりも狭い間隔D2に安定化させることができる。
これにより、遮断ガスによるガスカーテン効果を充分に発揮させることができることから、外気の遮断を確実に行うことができる。
従って、外気を遮断して、外気の侵入による原料ガスの圧力や流量の条件の乱れを防ぐことができるため、前述した降り積もり堆積の発生も抑制することができる。
【0048】
また、基板21を移動させる際には、浮上機構によりガス導入部10と基板21の間隔D2を大きくすることができ、基板21の反りやうねりがあっても、基板21とガス導入部10との接触を充分に回避することができる。
即ち、次の成膜位置まで基板21を高速に移動させることができ、生産性を向上することができる。
【0049】
従って、本実施の形態によれば、高品質の成膜を行うことができ、かつ高い生産性を有するレーザCVD装置を実現することができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、ガス導入部10の側面に測長用レーザユニット14が設けられていることにより、レーザ光によって測長用レーザユニット14の基板21からの距離D1を測定して、ガス導入部10と基板21の間隔D2を知ることができる。
これにより、ガス導入部10と基板21の間隔D2の状態をフィードバックさせて浮上用電磁石13に流す電流を制御して磁力を調整することにより、所望の間隔D2に制御することが可能になる。
【0051】
さらに、本実施の形態によれば、排気口4が2つ設けられていることにより、レーザCVDに関与するプロセスガス条件を、外気との遮断とは独立して制御することが可能になる。
これにより、CVD膜の品質のさらなる向上を図ることができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0053】
例えば、電磁石により浮上量を制御する際に、レーザにより基板からの高さを測定しながら制御するのではなく、あらかじめ電磁石への供給される電流量とガス導入部の浮上量との関係を調べておくことにより、電流量のみにてガス導入部8の浮上量を制御する構成とすることも可能である。
この場合は、測長用レーザユニット等のレーザ測長機構を省略することができるため、さらに装置コストとしての利点が得られる。
【0054】
また、上述の実施の形態では、原料ガスを反応室7内に供給する構成であったが、本発明では、ガス導入部の構成はその他の構成も可能である。
例えば前記特許文献2に記載されているように、ガス導入部と基板の間隙に原料ガスを吹き出させる構成にも、同様に本発明を適用して、磁気による浮上機構を設けることができる。
【0055】
さらに、上述の実施の形態では、ガス導入部10が2つの排気口4を有する構成であったが、本発明は排気口が1つだけの場合にも適用することができる。
排気口が1つだけの場合でも、本発明を適用してガス導入部に浮上機構を設けることにより、基板と接触しないようにガス導入部の浮上を安定化させることができ、外気の遮断状態や原料ガスの条件を安定化させることができる。
上述の実施の形態のように、2つの排気口を有する場合には、さらに、各排気口にそれぞれ、外気を遮断する機能と、原料ガスの分圧や流速等の条件を制御する機能と割り当てて、前述したように、これらの機能を独立して制御できる効果が得られる。
【0056】
【発明の効果】
上述の本発明によれば、容易に安定して高品質のCVD膜を得ることができ、かつ高い生産性を有するレーザCVD装置を実現することができる。
【0057】
また、特に、ガス導入部に排気口を複数設けた構成としたときには、外気を遮断する機能と、原料ガスの分圧や流速等のプロセス条件を制御する機能とを、独立して制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のレーザCVD装置の概略構成図(要部の斜視図)、即ちガス導入部の構造を示す模式図である。
【図2】図1のガス導入部の下面の平面図である。
【図3】連続的に成膜と基板の移動を行う場合における、図1のガス導入部と基板との間隙部の距離の変化を示す図である。
【符号の説明】
1 原料ガス入口、2 窓パージガス入口、3 排気ガス出口、4 排気口、5 遮断ガス導入口、6 遮断ガス入口、7 反応室、8 窓、10 ガス導入部、11 X−Yステージ、12 磁石、13 浮上用電磁石、14 測長用レーザユニット、21 基板
Claims (5)
- 基板を載置するステージと、
レーザ光源と、
前記レーザ光源によるレーザ光を照射するための照射光学系と、
CVD用の原料ガスを供給するためのガス供給ユニットと、
中央部に前記レーザ光を通過させる空間を有し、前記ガス供給ユニットから供給される前記原料ガスを吹き出させる吹き出し口を有するガス導入部とを備えたレーザCVD装置であって、
前記ガス導入部の前記基板と対向する面に、前記ガス導入部と前記基板との間への外気の侵入を防ぐための遮断ガスを導入する遮断ガス導入口と、排気口とが設けられ、
前記ガス導入部が磁力による浮上機構を備えた
ことを特徴とするレーザCVD装置。 - 前記ガス導入部が、その浮上高さを制御する浮上高さ制御機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーザCVD装置。
- 前記浮上高さ制御機構が、光を用いた測長機能を有することを特徴とする請求項2に記載のレーザCVD装置。
- 前記浮上高さ制御機構が、電磁石による浮上高さ調整機能を有することを特徴とする請求項2に記載のレーザCVD装置。
- 前記ガス導入部の前記排気口が、独立して複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレーザCVD装置。
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Cited By (2)
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JP2013181182A (ja) * | 2012-02-29 | 2013-09-12 | Omron Corp | レーザ加工装置 |
JP2017088995A (ja) * | 2015-11-11 | 2017-05-25 | チャム エンジニアリング カンパニー リミテッド | 蒸着装置 |
-
2003
- 2003-07-02 JP JP2003190643A patent/JP2005023376A/ja active Pending
Cited By (2)
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