(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について、図を参照して説明する。図および説明には、方向を表すために、互いに直交するx軸、y軸およびz軸を用いる。x軸は装置の幅方向(第2方向)であり、y軸は装置の前後方向(第1方向)であり、z軸は装置の高さ方向(上下方向)である。なお、x軸およびy軸は互いに交差する方向を向いた軸の一例であり、z軸はx軸およびy軸に直交する方向を向いた軸の一例である。
図1および図2は、本発明の実施の形態1に係る基板供給装置の構成の概要を示す。図1は斜視図、図2(a)は図1の矢印2から見た側面図、図2(b)は図1の矢印3から見た平面図、図2(c)は図1の矢印4から見た正面図である。
基板供給装置12は、TCP(Tape Carrier Package)、ドライバIC、フレキシブル基板等の電子部品を例えばガラス製のパネル、フレキシブル基板、プリント基板等(以下、基板という。)14に実装する実装システムに備えられる装置の1つである。
基板供給装置12は、基板14が収容されるメイントレイ(第1トレイ)16から基板14を取り出し、その取り出した基板14を、電子部品を実装する装置である実装装置等の後続する装置に設けられた基板載置位置18に供給する。基板供給装置12は、基板14を支持してy軸方向に移動可能なメインテーブル(第1テーブル)20およびサブテーブル(第2テーブル)22を備える。また、基板供給装置12は、x軸方向およびz軸方向に移動可能であって、メインテーブル20またはサブテーブル22に支持される基板14を基板載置位置18に供給する基板供給ヘッド24を備える。
メインテーブル20は、複数の基板14が収容されたメイントレイ16を所定位置に支持する台である。メインテーブル20は、メインテーブル用の移動機構部(第1トレイ用の移動機構部)21によって、メイントレイ16を支持しながらy軸方向に移動可能であり、トレイ供給位置38とトレイ回収位置40との間を移動する。トレイ供給位置38は、基板14が満載された未使用のメイントレイ16がメインテーブル20に載置される位置である。トレイ回収位置40は、基板14が空になった使用済みのメイントレイ16がメインテーブル20から回収される位置である。なお、本実施の形態の使用済みには、例えば基板14がメイントレイ16に残っている場合であってもメイントレイ16に収容された基板14の残り枚数が所定枚数以下になること等によってオペレータが使用済み、または交換すべきと判断した場合も含んでもよい。
メイントレイ16は、縦横に配置された複数の窪みを有するトレイであって、窪みがx軸方向およびy軸方向に並ぶようにメインテーブル20に載置される。各窪みには、基板14が収容される。このようなメイントレイ16に基板14を収容することによって、ガラス製等の傷付きやすい基板14が損傷することを防ぐとともに、基板14をメインテーブル20上の所定位置に位置付けることができる。
また、基板14は、基板供給ヘッド24がz軸方向に持ち上げることによって、メイントレイ16から取り出される。そのため、メイントレイ16の各窪みは、基板14を上方から容易に取り出すことができる形状および寸法を有する。
基板供給ヘッド24は、基部26と、基部26に固定された、例えば4つの吸引ノズル28とを有する。基板供給ヘッド24は、x軸方向には第1の基板供給ヘッド用の移動機構部30によって移動し、z軸方向には第2の基板供給ヘッド用の移動機構部32によって移動する。
吸引ノズル28の各々は、減圧手段(図示せず)に連通する下方に向けた開口を有する。各開口は、同じ高さに位置付けられ、基板14内の四隅近傍に当接できるように基部26に設けられる。基板供給ヘッド24は、吸引ノズル28の吸引力によって、上方から基板14を吸着して保持し、メイントレイ16から基板14を取り出す。
サブテーブル22は、段取り中に供給される複数の基板14が収容されたサブトレイ(第2トレイ)34を所定位置に支持する台であって、サブテーブル用の移動機構部36によってy軸方向に移動できる。サブテーブル22は、x軸方向にメインテーブル20と並べて設けられ、メインテーブル20と基板載置位置18との間に配置される。
ここで、段取りとは、メインテーブル20上に載置されているメイントレイ16の交換作業であって、詳細には、メイントレイ16に収容された基板14がすべて供給された場合に、使用済みのメイントレイ16を基板14が収容された未使用のメイントレイ16に交換する作業をいう。
サブテーブル22は、段取り中に継続的に基板14を供給するために必要な基板14の数量以上の一定の数量(以下、単位数量という。)以上の基板14を支持できる。
ここで、単位数量の算出方法について具体例を挙げて説明する。基板供給ヘッド24がサブテーブル22から1枚の基板14を供給するために要する時間(タクト)Aが3秒であり、段取りに要する時間Bが12秒であるとする。この場合、段取り中に継続的に基板14を供給するために必要な基板14の数量は、段取りに要する時間BをタクトAで除した数である4枚となる。この場合、単位数量は少ない方がサブテーブル22を小さくできる。そのため、単位数量は、好ましくは4枚と決定されるが、それ以上、例えば5枚であってもよい。単位数量を5枚にした場合、タクトAを3秒、段取りに要する時間Bを12秒とすると、サブテーブル22から単位数量の基板14が供給される時間は、15秒(=タクトA3秒×5枚)となり、段取りに要する時間Bの12秒よりも長い。ここで、サブテーブル22に1枚の基板14を残して、段取りが終了したメインテーブル20から基板14を供給することも考えられるが、同一の動作は継続して実行する方が望ましいため、通常サブテーブル22から単位数量の基板14が供給される。そのため、タクトAと段取りに要する時間Bとから算出される数量よりも多い数量を単位数量とした場合、メインテーブル20は、段取りが終了した状態で、しばらく(上述の例で単位数量を5枚とした場合は、3秒間)待機することになる。
また例えば、タクトAが3秒であり、段取りに要する時間Bが11秒であるとする。この場合、BはAで割り切れないため、段取り中に継続的に基板14を供給するために必要な基板14の数量は、BをAで除した数より大きい最小の数である4枚となる。従って、この場合の単位数量は、上の例と同様に4枚以上の任意の枚数に決定されてよいが、好ましくは4枚である。
このように、サブテーブル22が段取り中に基板14を継続的に供給するために必要な単位数量以上の基板14を支持することによって、段取り中であっても継続して基板14をサブテーブル22から供給することができ、段取り中のアイドルタイムをなくすことが可能になる。
また、サブテーブル22が支持する基板14の数量は、好ましくは単位数量の整数倍である。これによって、段取りが終了した時にサブトレイ34に収容された基板14を使い切ることができ、実装基板の生産管理が容易になる。
サブトレイ34は、概ねメイントレイ16と同様に、例えば縦横に配置された複数の窪みを有しており、サブトレイ34の各窪みは、基板14の位置を保持でき、かつ、基板14を上方から容易に取り出すことができる形状および寸法を有する。サブトレイ34は、基板14が収容される複数の窪みがx軸方向およびy軸方向に並ぶようにサブテーブル22に載置される。
なお、サブテーブル22には、単位数量の整数倍以上の基板を収容できる1つのサブトレイ34が載置されてもよいが、サブトレイ34は収容可能枚数が少ない複数の小トレイから構成されてもよく、その場合、複数の小トレイがサブテーブル22に載置されることによって、サブテーブル22は単位数量の整数倍以上の基板が収容されたサブトレイ34を支持する。すなわち、小トレイは、サブトレイ34が複数のトレイによって構成される場合の各トレイであって、単位数量の整数倍未満の基板が収容されるトレイである。
さらに、基板供給装置12は、段取りのために、メインテーブル20にメイントレイ16を供給するメイントレイ供給装置42と、メインテーブル20からメイントレイ16を回収するメイントレイ回収装置44とを備える。
メイントレイ供給装置42は、メインテーブル20がトレイ供給位置38にある場合にメインテーブル20に未使用のメイントレイ16を供給する装置である。メイントレイ供給装置42は、基板が収容された未使用のメイントレイ16を支持する供給用トレイ載置台46と、供給用トレイ載置台46をz軸方向に移動させる供給用トレイ載置台の昇降部48とを有する。
供給用トレイ載置台46は、トレイ供給位置38の下方に重ね置かれた複数の未使用のメイントレイ16を支持する。未使用のメイントレイ16は、オペレータによって適宜、供給用トレイ載置台46に載置される。
供給用トレイ載置台の昇降部48は、未使用のメイントレイ16が載置された状態で供給用トレイ載置台46を昇降させることができ、トレイ供給位置38よりも下方の一定の高さに、最上段の未使用のメイントレイ16の上端を維持する。最上段の未使用のメイントレイ16の上端の高さは、例えば図示しないセンサ等によって監視され、供給用トレイ載置台の昇降部48の動作は、そのセンサ等から取得される情報に基づいて制御される。これによって、供給用トレイ載置台46に載置されたメイントレイ16の上端は、例えばメインテーブル20の下端よりも低く、すなわちメインテーブル20のy軸方向の移動を妨げない高さに維持される。
また、メイントレイ供給装置42は、供給用トレイ載置台46より未使用のメイントレイ16を保持しメインテーブル20に移載するために、基部50と、基部50に固定された4つの吸引ノズル52とを有するメイントレイ供給ヘッド54と、メイントレイ供給ヘッド54をz軸方向に移動させるトレイ供給ヘッド用の移動機構部56とを有する。
吸引ノズル52の各々は、減圧手段(図示せず)に連通する下方に向けた開口を有する。各開口は、供給用トレイ載置台46に載置されるメイントレイ16内の四隅近傍に当接できるように配置される。このような吸引ノズル52の吸引力によって、例えば供給用トレイ載置台46に支持される未使用のメイントレイ16の最上段のものが吸着して保持される。
メイントレイ回収装置44は、メインテーブル20がトレイ回収位置40にある場合にメインテーブル20から使用済みのメイントレイ16を回収する装置である。メイントレイ回収装置44は、使用済みのメイントレイ16を支持する回収用トレイ載置台58と、回収用トレイ載置台58をz軸方向に移動させる回収用トレイ載置台の昇降部60とを有する。
回収用トレイ載置台58は、トレイ回収位置40の下方に重ね置かれた複数の使用済みのメイントレイ16を支持する。使用済みのメイントレイ16は、オペレータによって適宜、回収用トレイ載置台58から取り除かれる。
回収用トレイ載置台の昇降部60は、使用済みのメイントレイ16が載置された状態で回収用トレイ載置台58を昇降させることができ、トレイ回収位置40よりも下方の一定の高さに、最上段の使用済みのメイントレイ16の上端を維持する。使用済みのメイントレイ16の上端の高さは、例えば図示しないセンサ等によって監視され、回収用トレイ載置台の昇降部60の動作は、そのセンサ等から取得される情報に基づいて制御される。これによって、回収用トレイ載置台58に載置されたメイントレイ16の上端は、例えばメインテーブル20の下端よりも低く、すなわちメインテーブル20のy軸方向の移動を妨げない高さに維持される。
また、メイントレイ回収装置44は、使用済みのメイントレイ16をメインテーブル20から持ち上げ回収用トレイ載置台58の上に移載するために、基部62と、基部62に固定された4つの吸引ノズル64とを有するメイントレイ回収ヘッド66と、メイントレイ回収ヘッド66をz軸方向に移動させるトレイ回収ヘッド用の移動機構部68とを有する。
吸引ノズル64の各々は、減圧手段(図示せず)に連通する下方に向けた開口を有する。各開口は、メインテーブル20の所定位置に支持されたメイントレイ16内の四隅近傍に当接できるように配置される。このような吸引ノズル64の吸引力によって、使用済みのメイントレイ16は吸着して保持される。
基板供給装置12は、さらに制御部70を備える。制御部70は、上述の各部の移動を制御するとともに、サブテーブル22が支持する基板14がすべて使用された場合にそのことをオペレータに通知するランプ、スピーカ等の通知部72を有する。制御部70は、基板供給ヘッド24がサブトレイ34から供給した基板14の数量を計数すること、サブトレイ34における部品の有無を検知する図示しないセンサから当該部品の有無に関する情報を取得すること等によって、サブテーブル22が支持する基板14がすべて使用されたか否かを判断する。
以上、本実施の形態に係る基板供給装置12の構成について説明した。次に、基板供給装置12の動作について、図3〜図8を参照して説明する。
図3は、基板供給装置12の動作を示すタイムチャートである。図3は、未使用のメイントレイ16から最初の基板14の供給が開始される時刻T10から2回の段取りが終了する時刻T30までの基板供給ヘッド24の位置およびメインテーブル20の位置を示す。
まず、基板供給ヘッド24は、メイントレイ16の上方に位置して、メイントレイ16から基板14を供給する(時刻T10〜T13および時刻T20〜T23)。本実施の形態では、メイントレイ16の基板14はx軸方向の並びを行としてy軸方向に2行並べて配置される。そのため、メイントレイ16から基板14を供給する途中(時刻T11〜T12および時刻T21〜T22)に、メインテーブル20は、基板供給位置においてy軸方向に移動して基板供給位置を切り替えることによって、供給される基板14を基板供給ヘッド24に対して位置付ける。
段取り中(時刻T13〜T20および時刻T23〜T30)、基板供給ヘッド24は、サブトレイ34の上方に位置してサブトレイ34から基板14を供給し(時刻T14〜T19および時刻T24〜T29)、基板14を継続して供給可能なように、メインテーブル20のメイントレイ16およびサブテーブル22のサブトレイ34の間を移動して基板14を取り出すトレイのテーブルを切り替える。段取り中に、メインテーブル20は、基板供給位置からトレイ回収位置40に移動し(時刻T13〜T15および時刻T23〜T25)、使用済みのメイントレイ16が回収されるとトレイ供給位置38に移動し(時刻T15〜T17および時刻T25〜T27)、未使用のメイントレイ16が供給されると基板供給位置に戻る(時刻T17〜T20および時刻T27〜T30)。
このような基板供給装置12の動作の詳細について図3を参照して時系列で説明する。また、図4から図8を参照して、段取りの直前から段取りが終了するまでの基板供給装置12の主要構成部の位置関係について説明する。図4から図8にはサブテーブル22が単位数量の2倍である8枚の基板14を支持する例を示す。
時刻T10:基板供給ヘッド24が、メイントレイ16から基板14の供給を開始する。メインテーブル20は、基板供給位置にある。基板14の供給は、メイントレイ16に収容される基板14のうち、トレイ回収位置40に最も近いx軸方向の並びである第1行目の窪みに収容され、かつ、基板載置位置18に近いy軸方向の並びである第1列目の窪みに収容される基板14から開始される。
ここで、基板供給ヘッド24が1枚の基板14を供給する基板供給動作の詳細について説明する。基板供給ヘッド24は、下方へ移動して吸引ノズル28の先端をメイントレイ16(サブトレイ34)内に収納された基板14の四隅近傍に当接させ、吸引することによってその当接した基板14を保持しながら上方へ戻る。これによって、メイントレイ16(サブトレイ34)から基板14を取り出す。その後、基板供給ヘッド24は、基板14を保持しながら基板載置位置18の上方までx軸方向に移動し、下方へ移動して基板載置位置18に基板14を載置し、吸引を停止して上方へ移動する。これによって、基板14を基板載置位置18に供給する。基板14を供給した後、基板供給ヘッド24は、メイントレイ16の次の基板14の上方までx軸方向に移動する。これにより、1回の基板供給動作が終了する。
時刻T10〜T11:基板供給ヘッド24が、基板14を取り出すメイントレイ16の窪みを、第1列、第2列、第3列と順次、基板載置位置18から離れる方向へ移動させて、基板供給動作を繰り返すことによって、メイントレイ16の第1行目の窪みに収容される基板14を供給する。
時刻T11〜T12:基板供給ヘッド24が、メイントレイ16の第1行目の窪みに収容される基板14をすべて供給すると(時刻T11)、メインテーブル20は、メイントレイ16の1行分に相当する距離だけ、トレイ回収位置40の方へ移動する。これによって、トレイ回収位置40から2番目に近いx軸方向の並びである第2行目の窪みが、基板供給ヘッド24の下方に位置付けられる。
このように、メイントレイ16から取り出す基板14のx軸方向およびy軸方向の位置は、基板供給ヘッド24およびメイントレイ16の移動によって決定される。そのため、取り出す基板14に対して基板供給ヘッド24を位置付けるための移動機構は、メイントレイ16と基板供給ヘッド24とのそれぞれを一方向にのみ移動させるものですむため、移動機構を簡単な構成を備えた小型なものにすることが可能になる。
時刻T12〜T13:基板供給ヘッド24が、メイントレイ16の第2行目の窪みに収容される基板14を順次供給し、メイントレイ16の基板14が全て供給される(時刻T13)。図4は、メイントレイ16に収容された最後の基板14が供給される直前の基板供給装置12の状態を示す。
時刻T13:ここから、段取りが開始する。
段取り中の基板供給ヘッド24の動作について、まず説明する。
時刻T13〜T14:基板供給ヘッド24は、メイントレイ16の上方からサブトレイ34の上方へ移動する。
時刻T14〜T19:基板供給ヘッド24は、メイントレイ16の場合と同様に、サブトレイ34に収容される基板14のうち、トレイ回収位置40に最も近いx軸方向の並びである第1行目の窪みに収容され、かつ、基板載置位置18に近いy軸方向の並びである第1列目の窪みに収容される基板14を供給する。サブトレイ34の基板14を供給する場合に基板供給ヘッド24が1枚の基板を供給するために実行する動作は、上述のメイントレイ16の基板を供給する場合と同様である。
基板供給ヘッド24は、基板14を取り出すサブトレイ34の窪みを、第1列、第2列と順次、基板載置位置18から離れる方向へ移動させて、サブトレイ34の第1行目の窪みに収容される基板14をすべて供給する。その後、サブテーブル22が、サブトレイ34の1行分に相当する距離だけ、基板載置位置18の方へ移動する。これによって、トレイ回収位置40から2番目に近いx軸方向の並びである第2行目の窪みが、基板供給ヘッド24の下方に位置付けられる。基板供給ヘッド24は、サブトレイ34の第2行目の窪みに収容される基板14を順次、供給する。
このように、サブトレイ34から取り出す基板14のx軸方向およびy軸方向の位置は、メイントレイ16の場合と同様に、基板供給ヘッド24およびサブトレイ34の移動によって決定される。また、サブトレイ34は、メイントレイ16と同方向に移動可能に、メイントレイ16と平行に配置される。そのため、取り出す基板14に対して基板供給ヘッド24を位置付けるための移動機構は、メイントレイ16と基板供給ヘッド24とのそれぞれを一方向にのみ移動させるものですむため、移動機構を簡単な構成を備えた小型なものにすることが可能になる。
時刻T19〜T20:基板供給ヘッド24は、サブトレイ34の上方からメイントレイ16の上方へ移動する。この時、基板供給ヘッド24は、基板載置位置18に最も近いy軸方向の並びである第1列目の窪みに収容される基板14の上方に移動する。
次に、段取り中のメインテーブル20の動作について説明する。
時刻T13〜T15:メインテーブル20は、基板供給位置からトレイ回収位置40に移動する。また、時刻T13〜T15において、メイントレイ供給ヘッド54は、供給用トレイ載置台46に支持されたメイントレイ16を保持して、トレイ供給位置38の上方に移動させることによって、メイントレイ16の供給準備を行う。
ここで、メイントレイ供給動作のうち、メイントレイの供給準備の詳細について説明する。なお、メイントレイの供給準備は、段取り開始時(時刻T13)に近い時点から開始されることが好ましいが、時刻T10〜T17に終了すれば、いつ行われてもよい。
供給用トレイ載置台46は、昇降部48によって、メイントレイ16の厚さに相当する高さだけ上昇するとともに、メイントレイ供給ヘッド54は、下方へ移動する。これによって、供給用トレイ載置台46の最上部に支持されるメイントレイ16の四隅近傍に吸引ノズル52の先端が当接する。この時、供給用トレイ載置台46を上昇させるとともにメイントレイ供給ヘッド54を下降させることによって、両者の移動範囲を小さくすることができるため、それぞれの移動機構48,56を小さくすることができる。
続けて、メイントレイ供給ヘッド54は、メイントレイ16の四隅近傍を吸引することによって当該メイントレイ16を保持する。メイントレイ供給ヘッド54は、トレイ供給位置38に移動するメインテーブル20とメイントレイ16とが干渉しないように、メイントレイ16を保持しながら上昇する。メイントレイ供給ヘッド54は、メインテーブル20がトレイ供給位置38に移動するまで、メイントレイ16を保持しながら上昇した状態で待機する。これにより、メイントレイの供給準備は終了し、メイントレイ供給動作の続きは、時刻T17〜T18に実行される。
時刻T15〜T16:メインテーブル20がトレイ回収位置40にあり、メイントレイ16は、メイントレイ回収ヘッド66によって保持され、上方に移動する。これによって、メイントレイ16は、メインテーブル20から回収される。図5は、メイントレイ16が、トレイ回収位置40にあるメインテーブル20からメイントレイ回収ヘッド66により上方へ移動した状態を示す。
ここで、メイントレイ回収動作の詳細について説明する。メインテーブル20がトレイ回収位置40に移動すると、メイントレイ回収ヘッド66は、下方へ移動する。これによって、トレイ回収位置40にあるメインテーブル20の所定位置に載置された基板14が取り出された使用済みのメイントレイ16の四隅近傍に吸引ノズル28の先端が当接する。次に、メイントレイ回収ヘッド66は、メイントレイ16の四隅近傍を吸引することによって当該メイントレイ16を保持する。メイントレイ回収ヘッド66は、トレイ回収位置40からメインテーブル20が退避できるように、メイントレイ16を保持しながら上昇する。これにより、メインテーブル20からの回収が終了し、メイントレイ回収動作の続きは、時刻T17〜T20に実行される。
時刻T16〜T17:メインテーブル20は、メイントレイ16が載置されていない状態で、トレイ回収位置40からトレイ供給位置38に移動する。図6は、トレイ回収位置40からトレイ供給位置38にメインテーブル20が移動する途中の状態を示す。
時刻T17〜T18:メインテーブル20がトレイ供給位置38に位置付けられ、未使用のメイントレイ16がメインテーブル20に載置される。図7は、メインテーブル20がトレイ供給位置38にある状態(時刻T17)を示す。メイントレイの供給準備動作(時刻T13〜T15)の後に待機していたメイントレイ供給ヘッド54は、トレイ供給位置38に移動したメインテーブル20の上にメイントレイ16を配置して、吸引を停止する。未使用のメイントレイ16を供給した後、メイントレイ供給ヘッド54は上昇し、段取り前の所定位置に戻る。以上により、メイントレイ供給動作は終了する。
またこの間に、メイントレイ回収ヘッド66は、時刻T13〜T15において保持したメイントレイ16をメインテーブル20上に載置する。これによって、使用済みのメイントレイ16が回収される。
ここで、時刻T15〜T16において説明したメイントレイ回収動作の続きについて説明する。メイントレイ回収ヘッド66は、下方へ移動することによって、保持しているメイントレイ16を回収用トレイ載置台58の最上段に位置付けると、吸引を停止する。これによって、使用済みのメイントレイ16が、回収用トレイ載置台58の上に載置される。その後、回収用トレイ載置台58は、昇降部60によって、メイントレイ16の厚さに相当する高さだけ下降する。メイントレイ16を載置したメイントレイ回収ヘッド66は、上昇して、段取り前の所定位置に戻る。以上により、メイントレイ回収動作は終了する。なお、トレイ回収動作は、好ましくは、メインテーブルから回収し(時刻T15〜T16)、メインテーブル20がメイントレイ回収位置40から移動した後に連続的に実行されるが、次のトレイ回収動作の開始時(時刻T25)までに終了していればよい。
時刻T18〜T20:メイントレイ16は、トレイ供給位置38から基板供給位置に移動する。この時、メイントレイ16は未使用の状態である。そのため、トレイ回収位置40に最も近いx軸方向の並びである第1行目の窪みに収容される基板14を供給できるように、メインテーブル20はy軸方向に移動する。
時刻T20:段取りが終了し、基板供給ヘッド24は、再び、メイントレイ16から基板14の供給を開始する。図8は、未使用のメイントレイ16から基板14の供給が開始される状態を示す。
その後、基板供給装置12は、時刻T20〜T23において、上述の時刻T10〜T13と同様の動作を実行する。これによって、メイントレイ16に収容された基板14が全て供給されると、続けて時刻T23〜T30において、基板供給装置12は上述の時刻T13〜T20と同様の段取りを再び実行する。この時の段取りにおいてサブトレイ34から供給される基板14は、前回の段取りで供給された基板14に続くものであって、基板供給ヘッド24およびサブテーブル22の動作が最小で済むものが望ましい。
具体的には、本実施の形態では、前回の段取りで供給された基板14は、それが収容される行(サブトレイ34の第2行目)の窪みに収容された最後の基板14であるため、その行に隣接する行(サブトレイ34の第3行目)の窪みに収容された基板が供給される。
なお、前回の段取りで供給された基板14がそれの収容される行の途中の窪みに収容された基板であった場合には、その行に収容された基板14のうち、前回の段取りで供給された基板14に隣接する基板14が供給される。
図3に戻って、本実施の形態では、2回の段取りが終了すると(時刻T30)サブトレイ34に収容される基板14は全て供給されて、サブトレイ34は使用済みになる。制御部70は、サブテーブル22が支持する基板14がすべて使用されたと判断する。制御部70の制御によって、通知部72は、サブトレイ34が使用済みであることをオペレータに通知する。通知を受けたオペレータが、使用済みのサブトレイ34を未使用のサブトレイ34と交換することによって、8枚の基板14が再びサブテーブル22に支持される。
これまで説明した動作を繰り返すことによって、基板供給装置12は、段取り中にアイドルタイムを発生させることなく継続的に基板14を供給することができる。
以上、本発明の実施の形態1について説明したが、実施の形態1はこれに限られない。
例えば、サブトレイには、条件出し基板等の特別な目的で使用される基板が収容されてもよい。条件出し基板とは、実装装置等の後続する装置における位置の調整、温度の調整等して実装条件を決定するために使用される基板である。
特別な目的で使用される基板は、例えばサブトレイにマーキングが付された一部の領域に配置される。これによって、サブトレイに収容された基板を使用して、段取り中に各装置の調整等を実行することができる。
例えば、基板供給ヘッド24、メイントレイ供給ヘッド54およびメイントレイ回収ヘッド66はいずれも吸引することによって、基板14またはメイントレイ16を保持することとした。吸引は、基板14またはメイントレイ16を保持する方法の一例に過ぎない。例えば、基板供給ヘッドは、x軸方向およびy軸方向に対向する4つのアームを有してもよい。この場合、各アームの一端は対向するアームが開閉するように基板14に取り付けられる。各アームの他端はアームが閉じる方向へ突き出した爪を有する。このようなアームが閉じることによって、爪が基板14の4辺のそれぞれの下方に潜り込み、基板供給ヘッドが上昇した時に基板14を支持する。これによって、メイントレイ16およびサブトレイ34から基板14を取り出し、また、取り出した基板14を移動時に保持することができる。この変形例は、メイントレイ供給ヘッド54およびメイントレイ回収ヘッド66のいずれにも適用できる。
以上、説明したように本実施の形態によると、メインテーブル20とサブテーブル22とはそれぞれy軸方向に移動し、基板供給ヘッド24はx軸方向に移動する。これによって、x軸方向およびy軸方向に並べて収容された各基板の上方に基板供給ヘッド24を位置付けることができ、基板14をメイントレイ16とサブトレイ34とのそれぞれから取り出すことが可能になる。そのため、基板供給ヘッド24をy軸方向に移動させる必要がなく、基板供給ヘッド24の移動機構を簡単な構成とし、かつ小型にすることができる。また、メインテーブル20とサブテーブル22とをx軸方向に移動させる必要がなく、メインテーブル20とサブテーブル22とのそれぞれの移動機構を簡単な構成とし、かつ小型にすることができる。
また、メインテーブル20は、段取りのためにy軸方向に移動する。これは、基板14を供給するためにメインテーブル20が移動する方向と同じである。また、基板供給時の移動範囲は、段取り時の移動範囲に含まれる。そのため、メインテーブル用の移動機構部21が段取りのために必要な機能を備えるだけで、メインテーブル20は基板供給に必要な移動を実現することができ、基板供給装置12全体として移動機構を簡素化することが可能になる。
さらに、メイントレイ16を載置するメインテーブル20とサブトレイ34を載置するサブテーブル22とがx軸方向に並べて設けられるため、基板供給ヘッド24をy軸方向に移動させることなく、メイントレイ16とサブトレイ34から基板を供給することができる。これによって、基板供給ヘッド24の移動機構を簡素化することができる。
(実施の形態2)
実施の形態1において説明した基板供給装置12の構成および動作は、図9に示す実装基板回収装置112の構成および動作に適用することもできる。実施の形態2では、実装基板回収装置112の例について説明する。
実装基板回収装置112は、実施の形態1と同様の実装する実装システムに備えられる装置の1つであって、実装システムにおいて製造された実装基板を回収する装置である。すなわち、実装基板は、TCP(Tape Carrier Package)、ドライバIC、フレキシブル基板等の電子部品が実装された、ガラス製のパネル、フレキシブル基板、プリント基板等の基板である。実装システムが形成する実装ラインにおいて、実装基板回収装置112の前段に備えられる装置が所定の基板載置位置118に実装基板114を位置付けると、実装基板回収装置112は、基板載置位置118に載置された実装基板114を順次、回収用のトレイ116,134に収容し、実装基板114が収容された回収用のトレイ116,134を回収する。
実装基板回収装置112は、部品が実装された複数の実装基板114をトレイ116,134に収容することによって、実装基板を回収する装置であって、実装システムにおいて前段に設けられた装置によって所定の基板載置位置118に載置された実装基板114を取り上げて移動させ、メイントレイ116に収容する。
実装基板回収装置112は、実装基板114を支持してy軸方向に移動可能なメインテーブル120およびサブテーブル122と、x軸方向およびz軸方向に移動する基板回収ヘッド124とを備える。基板回収ヘッド124は、x軸方向およびz軸方向に移動することによって、基板載置位置118から実装基板114を移動させて、メインテーブル120に載置されたメイントレイ116またはサブテーブル122に載置されたサブトレイ134に実装基板114を収容する。実装基板回収装置112の各構成部は、基板供給装置12の対応する各構成部と同様である。違いは、サブテーブル122が配置される位置であって、サブテーブル122は、好ましくは、基板載置位置118とメインテーブル120との間に、メインテーブル120とx軸方向に並べて設けられる。これにより、メインテーブル120の周囲に駆動系をメンテナンスするためのスペースを確保することができ、メンテナンス性を向上させることが可能になる。
実装基板回収装置112は、未使用のメイントレイ116に実装基板を順次収容し、メイントレイ116が使用済みになると、メイントレイ116の交換(段取り)を行う。ここで、実装基板回収装置112において、未使用のメイントレイ116は、実施の形態1のメイントレイ16と同様の構造をしたトレイであって、実装基板114が収容されていないものである。また、使用済みのメイントレイ116は、メイントレイ116に収容可能な数量の実装基板114が収容されたものである。なお、本実施の形態の使用済みには、例えば収容可能枚数に満たない場合であっても所定枚数の実装基板114が収容される等によってオペレータが使用済み、または交換すべきと判断した場合も含んでもよい。
段取り中、メインテーブル120は、実装基板114が収容されていない未使用のメイントレイ116が供給されるトレイ供給位置138と、使用済みのメイントレイ116が回収されるトレイ回収位置140との間をy軸方向に移動する。トレイ供給位置138のメインテーブル120には、実装基板回収装置112が備えるメイントレイ供給装置142によって、未使用のメイントレイ116が供給される。また、トレイ回収位置140のメインテーブル120には、実装基板回収装置112が備えるメイントレイ回収装置144によって、実装基板114が収容された使用済みのメイントレイ116が回収される。
実装基板回収装置112が備えるメイントレイ供給装置142およびメイントレイ回収装置144の構成はそれぞれ、基板供給装置12が備えるメイントレイ供給装置42およびメイントレイ回収装置44の構成と同様である。
実装基板回収装置112が実行する動作は、基板供給装置12がメイントレイ16およびサブトレイ34から基板を取り出して所定の基板載置位置18に供給することを、所定の基板載置位置118から実装基板114を取り上げてメイントレイ116およびサブトレイ134に収容して回収することに置き換えたものと同様である。サブトレイ134は、基板回収ヘッド124がメイントレイ116の交換時に継続的に実装基板114を回収するために必要な実装基板114の数量以上の実装基板114を収容できる。
基板回収ヘッド124は、メイントレイ116の窪みに実装基板114を順次収容することによって、実装基板114を回収する。メイントレイ116が使用済みになると、メイントレイ116の段取りが行われ、その間サブトレイ134に実装基板114が回収される。
段取りにおいては、メインテーブル120がトレイ回収位置140にまで移動し、メイントレイ回収装置144が使用済みのメイントレイ116を回収する。その後、メインテーブル120がトレイ供給位置138にまで移動し、メイントレイ供給装置142が、実装基板114が収容されていない未使用のメイントレイ116を供給する。メイントレイ供給装置142およびメイントレイ回収装置144の詳細な動作は、基板供給装置12が備えるメイントレイ供給装置42およびメイントレイ回収装置44と同様である。
以上の動作を繰り返すことによって、メイントレイ116の段取り時に実装基板114を収容するサブトレイ134の窪みの全てに実装基板114が収容されると、制御装置はその旨をオペレータに通知する。通知を受けたオペレータは、全ての窪みに実装基板114が収容された使用済みのサブトレイ134を実装基板114が収納されていない未使用のサブトレイ134に交換する。これによって、段取り中のアイドルタイムを発生させることなく実装基板を回収することが可能になる。
また、基板供給装置12の場合と同様に実装基板回収装置112においても、メイントレイ116を載置するメインテーブル120およびサブトレイ134を載置するサブテーブル122の移動機構と、基板回収ヘッド124の移動機構と、メイントレイ供給装置142およびメイントレイ回収装置144の昇降部の構成を簡単な構成を備えた小型のものにすることができる。従って、実装基板回収装置を簡単な構成とし、かつ小型にすることが可能になる。