本発明は、III族窒化物結晶成長方法およびIII族窒化物結晶成長装置およびIII族窒化物結晶に関する。
現在、紫〜青〜緑色光源として用いられているInGaAlN系(III族窒化物)デバイスは、主にサファイア基板あるいはSiC基板上に、MO−CVD法(有機金属化学気相成長法)やMBE法(分子線結晶成長法)等を用いた結晶成長により作製されている。サファイアやSiCを基板として用いる場合の問題点としては、III族窒化物との熱膨張係数差や格子定数差が大きいことに起因する結晶欠陥が多くなることが挙げられる。このためにデバイス特性が悪く、例えば発光デバイスの寿命を長くすることが困難であったり、動作電力が大きくなったりするという欠点につながっている。
更に、サファイア基板の場合には絶縁性であるために、従来の発光デバイスのように基板側からの電極取り出しが不可能であり、結晶成長した窒化物半導体表面側からの電極取り出しが必要となる。その結果、デバイス面積が大きくなり、高コストにつながるという問題点がある。また、サファイア基板上に作製したIII族窒化物半導体デバイスは、劈開によるチップ分離が困難であり、レーザダイオード(LD)で必要とされる共振器端面を劈開で得ることが容易ではない。このため、現在はドライエッチングによる共振器端面形成や、あるいはサファイア基板を100μm以下の厚さまで研磨した後に、劈開に近い形での共振器端面形成を行っている。この場合にも従来のLDのような共振器端面とチップ分離を単一工程で、容易に行うことが不可能であり、工程の複雑化ひいてはコスト高につながる。
これらの問題を解決するためにGaN基板が切望されており、HVPE法(ハイドライド気相エピタキシャル成長法)を用いてGaAs基板やサファイア基板上にGaN厚膜を形成し、後からこれら基板を除去する方法が、第1の特許文献(第一の従来技術)、第2の特許文献(第二の従来技術)に提案されている。
これら手法によってGaN自立基板は得られるものの、基本的にはGaAsやサファイア等の異種の材料を基板として用いているため、III族窒化物と基板材料との熱膨張係数差や格子定数差により高密度の結晶欠陥は残る。この欠陥密度は、低減できたとしても、105〜106cm−2である。高性能(大出力,長寿命)な半導体デバイスを実現するためには、より一層の欠陥密度の低減が必要である。また、一枚のIII族窒化物結晶の基板を製造するために、その下地基板となるGaAs基板やサファイア基板が一枚必ず必要となり、それを除去する必要がある。従って、気相成長により数100μmの厚膜を成長しなければならないこと、工程が複雑化すること、及び、下地基板が余分に必要になることから、製造コストが高くなるという問題がある。
一方、特許文献3(第三の従来技術)には、アジ化ナトリウム(NaN
3)と金属Gaを原料として、ステンレス製の反応容器(容器内寸法;内径=7.5mm、長さ=100mm)に窒素雰囲気で封入し、その反応容器を600〜800℃の温度で24〜100時間保持することにより、GaN結晶を成長させることが示されている。この第三の従来技術の場合には、600〜800℃と比較的低温での結晶成長が可能であり、容器内圧力も高々100kg/cm
2程度と比較的圧力が低いく、実用的な成長条件であることが特徴である。しかし、この方法の問題点としては、得られる結晶の大きさが1mmに満たない程度に小さい点である。
特開2000−12900号公報
特開2003−178984号公報
米国特許第5868837号
これに対し、本願の発明者らは、反応容器内で、フラックスと少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶成長方法(以下フラックス法と呼ぶ)を用いて、高品質のIII族窒化物結晶を実現するための努力してきている。
フラックス法によれば、第一の従来技術や第二の従来技術における結晶品質の問題や高コストの問題、更には第三の従来技術における結晶サイズが小さいという問題を解決することが可能である。
すなわち、フラックス法によれば、第一の従来技術や第二の従来技術よりも低コスト且つ高品質で、第三の従来技術よりも大型のIII族窒化物結晶を提供することが可能である。
このように、フラックス法の特徴は、極めて高品質のIII族窒化物結晶を成長できることである。
本願の発明者らは、フラックス法による高品質のIII族窒化物結晶の成長方法や成長装置の改善,工夫により、結晶サイズ拡大やより一層の高品質化につながる発明をこれまで行ってきた。具体的には、特開2001−058900、特開2001−064097、特開2001−64098、特開2001−102316、特開2001−119103、特開2002−128586、特開2002−128587、特開2002−201100、特開2002−326898、特開2002−338397、特開2003−012400、特開2003−081696、特開2003−160399、特開2003−238296、特開2003−206198、特開2003−212696、米国特許第6,592,663号に示されているようなフラックス法による発明を提案してきている。
上述のような本願の発明者らによる発明によって、高品質のIII族窒化物結晶を継続的に制御性良く成長できるようになったが、III族窒化物結晶の技術分野,応用分野を考えると(具体的には、III族窒化物半導体デバイスの製造効率を高め、低コスト化を図るためには)、結晶サイズをさらに大きく作製することが望まれる。
本発明は、フラックス法でIII族窒化物結晶の結晶サイズをより一層大きく作製することの可能なIII族窒化物結晶成長方法およびIII族窒化物結晶成長装置およびIII族窒化物結晶を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、反応容器内で、フラックスと少なくともガリウムを含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、ガリウムと窒素とから構成される窒化ガリウムを結晶成長させる窒化ガリウム結晶製造方法において、混合融液中に窒化ガリウムの結晶核が生じる基体があり、該基体に結晶核が多数発生する多核成長で結晶成長軸が互いに異なる複数の窒化ガリウムの結晶核を発生させ、前記複数の窒化ガリウムの結晶核を合体させながら窒化ガリウムの結晶成長を進行させることを特徴としている。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の窒化ガリウム結晶製造方法において、前記結晶成長軸が異なる複数の窒化ガリウムの結晶核は、基体の法線方向の結晶成長軸を有する窒化ガリウムの結晶核と基体の法線方向と異なる結晶成長軸を有する窒化ガリウム結晶核とを含むことを特徴としている。
また、請求項4記載の発明は、請求項1記載の窒化ガリウム結晶製造方法において、結晶核が生じる前に、混合融液と接する基体表面に、結晶成長方向が前記基体の法線方向と平行となるように、窒化ガリウム結晶を予め設置し、この状態から窒化ガリウムの結晶を多核成長させることを特徴としている。
また、請求項5記載の発明は、反応容器内で、フラックスと少なくともガリウムを含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、ガリウムと窒素とから構成される窒化ガリウムを結晶成長させる窒化ガリウム結晶成長装置において、混合融液中に窒化ガリウムの結晶核が生じる基体があり、該基体に結晶核が多数発生する多核成長で結晶成長軸が異なる複数の窒化ガリウムの結晶核を発生させ、前記複数の窒化ガリウムの結晶核を合体させながら結晶成長を進行させることを特徴としている。
また、請求項6記載の発明は、請求項5記載の窒化ガリウム結晶成長装置において、混合融液と接する基体表面の少なくとも一箇所に、成長させる窒化ガリウム結晶とエピタキシー関係を有する材料を設置することを特徴としている。
また、請求項7記載の発明は、請求項5記載の窒化ガリウム結晶成長装置において、混合融液と接する基体表面が凹形状の曲面であり、基体表面の法線方向が連続的に変化する形状となっていることを特徴としている。
請求項1記載の発明によれば、反応容器内で、フラックスと少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶製造方法(以下フラックス法と呼ぶ)において、混合融液中にIII族窒化物の結晶核が生じる基体があり、該基体に結晶核が多数発生する多核成長で、III族窒化物の複数の結晶核を合体させながらIII族窒化物の結晶成長を進行させるので、従来のフラックス法よりも大型のIII族窒化物結晶を成長させることが可能となる。ここで、III族窒化物の複数の結晶核が合体した場合には、優先核が残ることとなり、この優先核がその後結晶成長を継続し、大型のIII族窒化物結晶となる。
また、請求項1記載のIII族窒化物結晶製造方法では、第一の従来技術や第二の従来技術に比較して、自発核発生による成長であることから、結晶欠陥が少なく、且つ犠牲基板が必要でないことや基板剥離工程が無いこと等により、低コストである。更に、第三の従来技術に比較して、結晶成長が継続して、複数の結晶核を合体させながら結晶成長が進行することから、大型のIII族窒化物結晶が実現可能である。従って、高品質且つ大型のIII族窒化物結晶を低コストで成長させることができる。
また、請求項3記載の発明によれば、請求項1記載のIII族窒化物結晶製造方法において、前記基体の法線方向の結晶成長軸を有する結晶核を優先核として成長させることから、III族窒化物の複数の結晶が合体し、優先核が合体後の結晶成長を継続して成長していく。この結果、さらに一層効率的に結晶サイズを大きくすることができ、大型のIII族窒化物結晶を成長させることができる。
また、請求項4記載の発明によれば、請求項1記載のIII族窒化物結晶製造方法において、結晶核が生じる前に、混合融液と接する基体表面に、結晶成長方向が前記基体の法線方向と平行となるように、III族窒化物結晶を予め設置し、この状態からIII族窒化物の結晶を多核成長させることにより、III族窒化物の複数の結晶が合体し、優先核が合体後の結晶成長を継続して成長していく。このとき、基体の法線方向と平行の結晶軸を有する結晶核が優先核として、他の基体の法線方向と異なる結晶軸を有する結晶核を吸収しながら結晶成長が進行していく。この結果、より一層効率的に結晶サイズを大きくすることができ、大型のIII族窒化物結晶を成長させることができる。
また、請求項5記載の発明によれば、反応容器内で、フラックスと少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶成長装置(フラックス法のIII族窒化物結晶成長装置)において、混合融液中にIII族窒化物の結晶核が生じる基体があり、該基体に結晶核が多数発生する多核成長で、複数の結晶核を合体させながら結晶成長を進行させることにより、従来のフラックス法の結晶成長装置よりも大型のIII族窒化物結晶を成長させることができる。即ち、III族窒化物の複数の結晶核が合体し、優先核が残り、この優先核がその後の結晶成長を継続しながら大型のIII族窒化物結晶を成長させることができる。
また、請求項6記載の発明によれば、請求項5記載のIII族窒化物結晶成長装置において、混合融液と接する基体表面の少なくとも一箇所に、成長させるIII族窒化物結晶とエピタキシー関係を有する材料を設置することにより、このエピタキシー関係を有する材料が基となり、III族窒化物結晶が混合融液中でエピタキシャル成長し、このエピタキシャル成長したIII族窒化物結晶が優先核として大型のIII族窒化物結晶が実現する。従って、より一層効率的に大型のIII族窒化物結晶を成長させることが可能となる。
また、請求項7記載の発明によれば、請求項5記載のIII族窒化物結晶成長装置において、混合融液と接する基体表面が凹形状の曲面であり、基体表面の法線方向が連続的に変化する形状となっていることから、基体表面で発生した結晶核がより効率的に合体し、大型のIII族窒化物結晶が成長し易くなる。すなわち、基体表面の法線方向が連続的に変化する形状となっていることから、様々な結晶方位を有する結晶核が基体表面に発生するが、結晶成長の進行とともに平均的には基体表面の法線方向に成長軸を有する結晶が優先核として成長していく。換言すれば、連続的に法線方向が変化している基体表面を有していることで、より効率的な結晶の吸収,合体が起こり、大型化のIII族窒化物結晶を成長させることが可能となる。
上述した各請求項に記載の結晶成長方法,結晶成長装置は、従来技術に比較して、低コストで実現可能な手法,装置である。この結果、従来実現できなかった高性能且つ低コストなIII族窒化物半導体デバイス(例えば、発光ダイオード,半導体レーザ,フォトダイオード等の光デバイス、トランジスタ等の電子デバイス)が実現可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
(第1の形態)
本発明の第1の形態は、反応容器内で、フラックスと少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶成長方法(以下フラックス法と呼ぶ)において、混合融液中にIII族窒化物の結晶核が生じる基体があり、該基体に結晶核が多数発生する多核成長で、III族窒化物の複数の結晶核を合体させながらIII族窒化物の結晶成長を進行させることを特徴としている。
本発明の第1の形態では、反応容器内で、フラックスと少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶成長方法において、混合融液中にIII族窒化物の結晶核が生じる基体があり、該基体に結晶核が多数発生する多核成長で、III族窒化物の複数の結晶核を合体させながらIII族窒化物の結晶成長を進行させるので、従来のフラックス法よりも大型のIII族窒化物結晶を成長させることが可能となる。ここで、III族窒化物の複数の結晶核が合体した場合には、優先核が残ることとなり、この優先核がその後結晶成長を継続し、大型のIII族窒化物結晶となる。
また、第1の形態のIII族窒化物結晶成長方法では、第一の従来技術や第二の従来技術に比較して、自発核発生による成長であることから、結晶欠陥が少なく、且つ犠牲基板が必要でないことや基板剥離工程が無いこと等により、低コストである。更に、第三の従来技術に比較して、結晶成長が継続して、複数の結晶核を合体させながら結晶成長が進行することから、大型のIII族窒化物結晶が実現可能である。従って、高品質且つ大型のIII族窒化物結晶を低コストで成長させることができる。
(第2の形態)
本発明の第2の形態は、第1の形態のIII族窒化物結晶成長方法において、前記基体の法線方向の結晶成長軸を有するIII族窒化物の結晶核を優先核として成長させることを特徴としている。
本発明の第2の形態では、第1の形態のIII族窒化物結晶成長方法において、前記基体の法線方向の結晶成長軸を有する結晶核を優先核として成長させることから、III族窒化物の複数の結晶が合体し、優先核が合体後の結晶成長を継続して成長していく。この結果、さらに一層効率的に結晶サイズを大きくすることができ、大型のIII族窒化物結晶を成長させることができる。
(第3の形態)
本発明の第3の形態は、第1の形態のIII族窒化物結晶成長方法において、結晶核が生じる前に、混合融液と接する基体表面に、結晶成長方向が前記基体の法線方向と平行となるように、III族窒化物結晶を予め設置し、この状態からIII族窒化物の結晶を多核成長させることを特徴としている。
本発明の第3の形態では、第1の形態のIII族窒化物結晶成長方法において、結晶核が生じる前に、混合融液と接する基体表面に、結晶成長方向が前記基体の法線方向と平行となるように、III族窒化物結晶を予め設置し、この状態からIII族窒化物の結晶を多核成長させることにより、III族窒化物の複数の結晶が合体し、優先核が合体後の結晶成長を継続して成長していく。このとき、基体の法線方向と平行の結晶軸を有する結晶核が優先核として、他の基体の法線方向と異なる結晶軸を有する結晶核を吸収しながら結晶成長が進行していく。この結果、より一層効率的に結晶サイズを大きくすることができ、大型のIII族窒化物結晶を成長させることができる。
(第4の形態)
本発明の第4の形態は、第1の形態のIII族窒化物結晶成長方法において、混合融液と接する基体表面の一部からIII族窒化物をエピタキシャル成長させながらIII族窒化物の結晶成長を進行させることを特徴としている。
本発明の第4の形態では、第1の形態のIII族窒化物結晶成長方法において、混合融液と接する基体表面の一部からIII族窒化物をエピタキシャル成長させながら結晶成長を進行させることにより、III族窒化物の複数の結晶が合体し、優先核が合体後の結晶成長を継続して成長していく。このとき、基体表面の一部からエピタキシャル成長したIII族窒化物結晶が優先核となり、他の結晶核を吸収しながら結晶成長が進行していく。この結果、より一層効率的に結晶サイズを大きくすることができ、大型のIII族窒化物結晶を成長させることができる。
(第5の形態)
本発明の第5の形態は、反応容器内で、フラックスと少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶成長装置において、混合融液中にIII族窒化物の結晶核が生じる基体があり、該基体に結晶核が多数発生する多核成長で、複数の結晶核を合体させながら結晶成長を進行させることを特徴としている。
本発明の第5の形態では、反応容器内で、フラックスと少なくともIII族金属を含む物質とが混合融液を形成し、該混合融液と少なくとも窒素を含む物質とから、III族金属と窒素とから構成されるIII族窒化物を結晶成長させるIII族窒化物結晶成長装置(フラックス法のIII族窒化物結晶成長装置)において、混合融液中にIII族窒化物の結晶核が生じる基体があり、該基体に結晶核が多数発生する多核成長で、複数の結晶核を合体させながら結晶成長を進行させることにより、従来のフラックス法の結晶成長装置よりも大型のIII族窒化物結晶を成長させることができる。即ち、III族窒化物の複数の結晶核が合体し、優先核が残り、この優先核がその後の結晶成長を継続しながら大型のIII族窒化物結晶を成長させることができる。
(第6の形態)
本発明の第6の形態は、第5の形態のIII族窒化物結晶成長装置において、混合融液と接する基体表面の少なくとも一箇所に、成長させるIII族窒化物結晶とエピタキシー関係を有する材料を設置することを特徴としている。
本発明の第6の形態では、第5の形態のIII族窒化物結晶成長装置において、混合融液と接する基体表面の少なくとも一箇所に、成長させるIII族窒化物結晶とエピタキシー関係を有する材料を設置することにより、このエピタキシー関係を有する材料が基となり、III族窒化物結晶が混合融液中でエピタキシャル成長し、このエピタキシャル成長したIII族窒化物結晶が優先核として大型のIII族窒化物結晶が実現する。従って、より一層効率的に大型のIII族窒化物結晶を成長させることが可能となる。
(第7の形態)
本発明の第7の形態は、第5の形態のIII族窒化物結晶成長装置において、混合融液と接する基体表面が、核発生するIII族窒化物結晶の大きさよりも大きな(粗い)凹凸形状となっていることを特徴としている。
本発明の第7の形態では、第5の形態のIII族窒化物結晶成長装置において、混合融液と接する基体表面が、核発生するIII族窒化物結晶の大きさよりも大きな(粗い)凹凸形状となっており、基体表面の法線方向が複数となっていることにより、基体表面で発生した様々な結晶方位を有する結晶核がより効率的に合体することで、大型のIII族窒化物結晶が成長し易くなる。即ち、基体表面に発生したIII族窒化物の結晶核がその基体の法線方向に成長する結晶核に吸収されながら結晶成長が進行する。このとき、混合融液と接する基体表面に、核発生するIII族窒化物結晶の大きさよりも大きな(粗い)凹凸があり、基体の法線方向が複数あることで、法線方向に成長した結晶同士も合体しながら大型のIII族窒化物結晶が成長することとなる。従って、より一層効率的に大型のIII族窒化物結晶を成長させることが可能となる。
(第8の形態)
本発明の第8の形態は、第7の形態のIII族窒化物結晶成長装置において、混合融液と接する基体表面の少なくとも一部が、成長させるIII族窒化物結晶とエピタキシー関係を有する材料であることを特徴としている。
本発明の第8の形態では、第7の形態のIII族窒化物結晶成長装置において、混合融液と接する基体表面の少なくとも一部が、成長させるIII族窒化物結晶とエピタキシー関係を有する材料であることにより、基体表面で発生した結晶核がより効率的に合体し、大型のIII族窒化物結晶が成長し易くなる。すなわち、III族窒化物結晶とエピタキシー関係を有する基体表面の一部からIII族窒化物結晶がエピタキシャル成長し、基体の法線方向に成長する。また、エピタキシー関係を有しない基体表面からは、基体の法線方向とは無関係な成長方向の結晶核が発生する。従って、エピタキシー関係を有する基体表面から成長したIII族窒化物結晶に、エピタキシー関係を有しない基体表面から成長したIII族窒化物結晶が吸収されながら合体し、エピタキシー関係を有する基体表面から成長した結晶が優先核として大型化することとなる。従って、より一層効率的に大型のIII族窒化物結晶を成長させることが可能となる。
(第9の形態)
本発明の第9の形態は、第5の形態のIII族窒化物結晶成長装置において、混合融液と接する基体表面が凹形状の曲面であり、基体表面の法線方向が連続的に変化する形状となっていることを特徴としている。
本発明の第9の形態では、第5の形態のIII族窒化物結晶成長装置において、混合融液と接する基体表面が凹形状の曲面であり、基体表面の法線方向が連続的に変化する形状となっていることから、基体表面で発生した結晶核がより効率的に合体し、大型のIII族窒化物結晶が成長し易くなる。すなわち、基体表面の法線方向が連続的に変化する形状となっていることから、様々な結晶方位を有する結晶核が基体表面に発生するが、結晶成長の進行とともに平均的には基体表面の法線方向に成長軸を有する結晶が優先核として成長していく。換言すれば、連続的に法線方向が変化している基体表面を有していることで、より効率的な結晶の吸収,合体が起こり、大型化のIII族窒化物結晶を成長させることが可能となる。
(第10の形態)
本発明の第10の形態は、第9の形態のIII族窒化物結晶成長装置において、混合融液と接する基体表面の少なくとも一部が、成長させるIII族窒化物結晶とエピタキシー関係を有する材料であることを特徴としている。
本発明の第10の形態では、第9の形態のIII族窒化物結晶成長装置において、混合融液と接する基体表面の少なくとも一部が、成長させるIII族窒化物結晶とエピタキシー関係を有する材料であることから、基体表面で発生したIII族窒化物の結晶核がより効率的に合体し、大型のIII族窒化物結晶が成長し易くなる。すなわち、III族窒化物結晶とエピタキシー関係を有する基体表面の一部からIII族窒化物結晶がエピタキシャル成長し、基体の法線方向に成長する。また、エピタキシー関係を有しない基体表面からは、基体の法線方向とは無関係な成長方向の結晶核が発生する。従って、エピタキシー関係を有する基体表面から成長した結晶に、エピタキシー関係を有しない基体表面から成長した結晶が吸収されながら合体し、エピタキシー関係を有する基体表面から成長した結晶が優先核として大型化することとなる。このとき、連続的に法線方向が変化している基体表面を有していることで、エピタキシー関係を有しない基体表面から成長する結晶は、より効率的にエピタキシー関係を有する表面から成長した優先核に吸収されながら結晶成長が進行することとなる。従って、より一層効率的に大型のIII族窒化物結晶を成長させることが可能となる。
(第11の形態)
本発明の第11の形態は、第1乃至第4のいずれかの形態のIII族窒化物結晶成長方法を用いて結晶成長させたIII族窒化物結晶である。
本発明の第11の形態では、第1乃至第4のいずれかの形態のIII族窒化物結晶成長方法を用いて結晶成長させたIII族窒化物結晶であるので、従来技術では実現できなかった高品質且つ大型且つ低コストのIII族窒化物結晶を提供することが可能となる。
本発明の実施例1は、第1,第2,第5の形態に関するものである。図1は本発明のIII族窒化物結晶成長装置の構成例を示す図である。また、図2は図1の装置内部に設置された混合融液保持容器102内部の断面図で、実施例1を説明するための図である。
図1を参照すると、第一の反応容器101の内側に第二の反応容器113があり、その間(第一の反応容器101の内側で、第二の反応容器113の外側)に、III族窒化物が結晶成長可能な温度に制御できるように、加熱装置106が設けられている。そして、第二の反応容器113の内側には、混合融液保持容器102が設置されている。混合融液保持容器102内には、少なくともIII族金属を含む物質としてのガリウム(Ga)とアルカリ金属としてのナトリウム(Na)から構成される混合融液103が収容されている。、また、混合融液保持容器102の上には蓋109があり、混合融液保持容器102と蓋109との間には、気体が出入可能な程度の僅かな隙間がある。
また、第二の反応容器113内には、混合融液保持容器102の温度を検知する熱電対112が設置されている。この熱電対112は、加熱装置106に、温度のフィードバック制御が可能なように接続されている。
また、図1のIII族窒化物結晶成長装置では、少なくとも窒素を含む物質として、窒素ガスを用いている。窒素ガスは、ガス供給管104を通して、第一の反応容器101外に設置されている窒素ガス容器107から、第一の反応容器101内、及び第二の反応容器113内の空間108に供給することができる。この窒素ガスの圧力を調整するために、圧力調整弁105が設けられている。また、反応容器101,113内の窒素ガスの圧力を検知するために、圧力センサー111が設置されている。このとき、第一の反応容器101内と第二の反応容器113内の、それぞれの圧力はほぼ同じ圧力で、且つ所定の圧力となるように、圧力センサー111から圧力調整弁105にはフィードバックがかかるようになっている。また、混合融液保持容器102の材質は窒化ホウ素(BN)である。
実施例1では、図1のIII族窒化物結晶成長装置を用いて、反応容器101,113内の窒素圧力を5MPa、混合融液保持容器102の温度を775℃に設定し、混合融液103中のNaとGaのモル比率を5:5とし、混合融液103中にIII族窒化物結晶としての窒化ガリウム(GaN)結晶110を成長させることができる。図2(a)乃至(c)は窒化ガリウム(GaN)結晶110の成長の様子を示す図である。
すなわち、実施例1では、前述の条件で結晶成長が開始すると、図2(a)に示すように、多数のGaN結晶が基体である混合融液保持容器102の表面に核発生する。このとき発生するGaN結晶核は110−1,110−2,110−3,・・・,110−12であるが、図2では、110−1以外は−2,−3,・・・,−12と110を省略している。また、図2では、GaN結晶の成長方向軸の方向を一点破線で示している。110−1〜−12の各結晶核の成長軸は様々な方向に向いているが、このうち110−4,110−7,110−10の三つの結晶核の結晶軸は概ね混合融液保持容器102の混合融液103と接する表面の法線方向と一致している。
この状態で更に結晶成長が進行すると、図2(b)に示すようになる。すなわち、図2(b)に示すように、各結晶は成長軸方向に成長し、結晶サイズが大きくなる。成長した結晶は110−1’,−2’,−3’,・・・,−12’である。ここで、結晶−2’と−3’と−4’と−5’、結晶−6’と−7’、結晶−8’と−9’と−10’と−11’は、それぞれ合体し、優先核として−4’,−7’,−10’が他の結晶を吸収して成長している。−4’,−7’,−10’は、その結晶成長軸が概ね混合融液保持容器102の混合融液103と接する表面の法線方向と一致している結晶である。
この図2(b)の状態から更に結晶成長が進行すると、図2(c)に示すようになる。図2(c)からわかるように、図2(b)で残った結晶110−1’,−4’,−7’,−10’,−12’の各結晶は、成長軸方向に更に成長し、結晶サイズが大きくなる。成長した結晶は110−1”,−4”,7”,−10”,−12”である。ここで、結晶−1”と−4”、及び、−10”と−12”は、それぞれ合体し、優先核として−4”,−10”が他の結晶を吸収して成長している。−4”,−10”は、その結晶成長軸が概ね混合融液保持容器102の混合融液103と接する表面の法線方向と一致している結晶である。従って、この時点で残った結晶は、110−4”,−7”,−10”であり、何れもその結晶成長軸が概ね混合融液保持容器102の混合融液103と接する表面の法線方向と一致している結晶である。この110−4”,−7”,−10”は大きなサイズのGaN結晶に成長した。
以上のように、複数の結晶核が合体し、優先核を残しながら結晶成長が進行することで、大型のGaN結晶を成長させることが可能となる。
尚、本実施例1では、GaN結晶核が12個であるとして説明しているが、実際には、これよりも多い場合、あるいは少ない場合があることは言うまでもない。
また、本実施例1では、基体として混合融液保持容器の内表面を用いたが、基体としては、この他にも結晶核が発生する物質であれば適応可能である。
本発明の実施例2は、第3,第4,第6の形態に関するものである。図3は図2と同様に混合融液保持容器202内部の断面図である。この混合融液保持容器202は、図1の結晶成長装置内部に102に替えて設置される。
図3を参照すると、実施例2では、実施例1と異なり、混合融液保持容器202の内部の混合融液203と接する表面の一部に予めGaN結晶211,212が埋め込まれている。これらのGaN結晶211,212のC面(0001)面は、混合融液203と接するように設置されている。混合融液保持容器202の材質は、実施例1と同様にBNである。
実施例2では、最初に混合融液保持容器202内に、NaとGaをモル比率5:5で入れておく。そして、図1の結晶成長装置内に混合融液保持容器202を設置し、反応容器101,113内の窒素圧力を5MPa、混合融液保持容器202の温度を775℃に設定する。
この条件で結晶成長が開始すると、図3(a)に示すように多数のGaN結晶が核発生する。このとき発生するGaN結晶核は、210−1,−2,−3,・・・,−12である。図番号の表記方法は実施例1と同様である。ここで、GaN結晶の成長方向軸の方向を一点破線で示している。210−1〜−12の各結晶核の成長軸は様々な方向に向いているが、このうち、210−4,210−7,210−10の三つの結晶核の結晶軸は概ね混合融液保持容器202の混合融液203と接する表面の法線方向と一致している。ここで、予め混用融液保持容器202に埋め込まれたGaN結晶211,212の表面には、結晶核が発生し易く、他の結晶核よりも大きく成長する。埋め込まれたGaN結晶211,212上には、それぞれ、GaN結晶核210−4,210−10がエピタキシャル成長している。即ち、埋め込まれたGaN結晶211,212の表面はC面(0001)面であり、その上にエピタキシャル成長したGaN結晶核210−4,210−10の結晶成長軸はC軸〈0001〉である。GaN結晶核210−4,210−10の結晶方位は、制御して結晶成長しているが、GaN結晶核210−7は実施例1と同様に、確率的に結晶軸が概ね混合融液保持容器202の混合融液203と接する表面の法線方向と一致した。
この状態で更に結晶成長が進行すると、図3(b)に示すようになる。すなわち、図3(b)に示すように、各結晶は成長軸方向に成長し、結晶サイズが大きくなる。成長した結晶は210−1’,−2’,−3’,・・・,−12’である。ここで、結晶−2’と−3’と−4’と−5’、結晶−6’と−7’、結晶−8’と−9’と−10’と−11’は、それぞれ合体し、優先核として210−1’,−4’,−7’,−10’,−12’が他の結晶を吸収して成長している。−4’,−7’,−10’は、その結晶成長軸が概ね混合融液保持容器202の混合融液203と接する表面の法線方向と一致している結晶である。ここで、実施例1と異なる点は、図3(a)で大きく成長したGaN結晶210−4,210−10が更に大きく210−4’,210−10’に成長していることである。このため、他のGaN結晶210−1’や−7’や−12’よりも、210−4’,210−10’の結晶サイズは大きくなっている。
この図3(b)の状態から更に結晶成長が進行すると、図3(c)に示すようになる。図3(c)からわかるように、図3(b)で残った各結晶210−1’,−4’,−7’,−10’,−12’は、成長軸方向に更に成長し、結晶サイズが大きくなる。成長した結晶は210−1”,−4”,−7”,−10”,−12”である。ここで、結晶−1”と−4”と−7”、及び、−10”と−12”はそれぞれ合体し、優先核として−4”,−10”が他の結晶を吸収して成長している。−4”,−10”は、その結晶成長軸が概ね混合融液保持容器202の混合融液203と接する表面の法線方向と一致している結晶である。従って、この時点で残った結晶は、210−4”,−10”であり、何れもその結晶成長軸が概ね混合融液保持容器202の混合融液203と接する表面の法線方向と一致している結晶で、且つ混用融液保持容器202に埋め込まれたGaN結晶211,212の表面から核発生した結晶である。この210−4”,−10”は、実施例1よりも更に大きなサイズのGaN結晶に成長している。
本発明の実施例3は、第7の形態に関するものである。図4は図2と同様に混合融液保持容器302内部の断面図である。この混合融液保持容器302は、図1の結晶成長装置内部に102に替えて設置される。
図4を参照すると、実施例3では、実施例1,実施例2と異なり、混合融液保持容器302の内部の混合融液303と接する表面の形状が凹凸形状となっており、混合融液保持容器302の底面304に平行な領域305,306と、底面304に対して斜めの面の領域とがある。混合融液保持容器202の材質は、実施例1と同様にBNである。
実施例3では、最初に混合融液保持容器302内に、NaとGaをモル比率5:5で入れておく。そして、図1の結晶成長装置内に混合融液保持容器302を設置し、反応容器101,113内の窒素圧力を5MPa、混合融液保持容器202の温度を775℃に設定する。
この条件で結晶成長が開始すると、図4(a)に示すように多数のGaN結晶が核発生する。このとき発生するGaN結晶核は、310−1,−2,−3,・・・,−13である。図番号の表記方法は他の実施例と同様である。ここで、GaN結晶の成長方向軸の方向を一点破線で示している。310−1〜−13の各結晶核の成長軸は様々な方向に向いているが、このうち、310−4,310−10の二つの結晶核の結晶軸は概ね混合融液保持容器302の混合融液203と接する凹凸を有する表面の内、底面304に平行な面305,306の法線方向と一致している。結晶核310−4,310−10以外の結晶核は混合融液保持容器302の斜めの領域に核発生している。
この状態で更に結晶成長が進行すると、図4(b)に示すようになる。すなわち、図4(b)に示すように、各結晶は成長軸方向に成長し、結晶サイズが大きくなる。成長した結晶は310−1’,−2’,−3’,・・・,−13’である。ここで、結晶310−1’と−2’と−3’と−4’と−5’と−6’と−7’、及び、結晶−8’と−9’と−10’と−11’と−12’と−13’は、それぞれ合体し、優先核として310−4’,−10’が他の結晶を吸収して成長している。−4’,−10’は、その結晶成長軸が概ね混合融液保持容器302の底面304に平行な面305,306の法線方向と一致している結晶である。ここで、310−4’,−10’以外の他の結晶は、混合融液保持容器302の斜めの面に核発生しているために、結晶310−4’,−10’に合体する確率が高くなる。この結果、実施例1に比較してより大きなGaN結晶を成長させることが可能となる。
本実施例3では、混合融液保持容器302が、図4のような内面形状を有するものとして説明したが、混合融液保持容器302としては、この他にも様々な結晶方位を有する結晶核が集約されるような内面形状であれば、任意の内面形状のものを用いることができる。
本発明の実施例4は、第8の形態に関するものである。図5は図2乃至図4と同様に混合融液保持容器402内部の断面図である。この混合融液保持容器402は、図1の結晶成長装置内部に102に替えて設置される。
この実施例4は、次の点を除いて実施例3と同様である。すなわち、図5を参照すると、実施例4が実施例3と異なる点は、混合融液保持容器402の内部の混合融液403と接する表面の一部に予めGaN結晶411,412が埋め込まれていることである。そして、これらのGaN結晶411,412のC面(0001)面は混合融液403と接するように設置されている。なお、実施例4においても、混合融液保持容器402の内部の混合融液403と接する表面の形状が凹凸形状となっており、混合融液保持容器402の底面404に平行な領域405,406と、底面404に対して斜めの面の領域とがあることは、実施例3と同様である。混合融液保持容器202の材質は他の実施例と同様にBNである。
実施例4では、最初に混合融液保持容器402内に、NaとGaをモル比率5:5で入れておく。そして、図1の結晶成長装置内に混合融液保持容器402を設置し、反応容器101,113内の窒素圧力を5MPa、混合融液保持容器402の温度を775℃に設定する。
この条件で結晶成長が開始すると、図5(a)に示すように多数のGaN結晶が核発生する。このとき発生するGaN結晶核は、410−1,−2,−3,・・・,−13である。図番号の表記方法は他の実施例と同様である。ここで、GaN結晶の成長方向軸の方向を一点破線で示している。410−1〜−13の各結晶核の成長軸は様々な方向に向いているが、このうち、410−4,410−10の二つの結晶核の結晶軸は概ね混合融液保持容器402の混合融液403と接する凹凸を有する表面の内、底面404に平行な面405,406の法線方向と一致している。結晶核410−4,410−10以外の結晶核は、混合融液保持容器402の斜めの領域に核発生している。ここで、予め混用融液保持容器402に埋め込まれたGaN結晶411,412の表面には、結晶核が発生し易く、他の結晶核よりも大きく成長する。埋め込まれたGaN結晶411,412上には、それぞれ、GaN結晶核410−4,410−10がエピタキシャル成長している。即ち埋め込まれたGaN結晶411,412の表面はC面(0001)面であり、その上にエピタキシャル成長したGaN結晶核410−4,410−10の結晶成長軸はC軸〈0001〉である。GaN結晶核410−4,410−10の結晶方位は、制御して結晶成長している。
この状態で更に結晶成長が進行すると、図5(b)に示すようになる。すなわち、図5(b)に示すように、各結晶は成長軸方向に成長し、結晶サイズが大きくなる。成長した結晶は410−1’,−2’,−3’,・・・,−13’である。ここで、結晶410−1’と−2’と−3’と−4’と−5’と−6’と−7’、及び、結晶−8’と−9’と−10’と−11’と−12’と−13’は、それぞれ合体し、優先核として410−4’,−10’が他の結晶を吸収して成長している。410−4’,−10’以外の他の結晶は、混合融液保持容器402の斜めの面に核発生しているために、結晶410−4’,−10’に合体する確率が高くなる。結晶410−4’,−10’は何れも、混用融液保持容器402に埋め込まれたGaN結晶411,412の表面から核発生した結晶であり、その結晶成長軸が概ね混合融液保持容器402の底面404に平行な面405,406の法線方向と一致している結晶である。このため、結晶410−4’,−10’は大きな結晶に成長し易く、実施例3に比較してより大きなGaN結晶を成長させることが可能となる。
本実施例4では、混合融液保持容器402が、図5のような内面形状を有するものとして説明したが、混合融液保持容器402としては、この他にも様々な結晶方位を有する結晶核が集約されるような内面形状であれば、任意のものを用いることができる。
本発明の実施例5は、第9,第10の形態に関するものである。図6は図2乃至図5と同様に混合融液保持容器502内部の断面図である。この混合融液保持容器502は、図1の結晶成長装置内部に102に替えて設置される。
この実施例5では、混合融液保持容器502の内部の混合融液503と接する表面の形状が他の実施例と異なる。すなわち、実施例5では、混合融液保持容器502の内部の混合融液503と接する表面の形状は、凹形状の曲面であり、表面の法線方向が連続的に変化する形状となっている。また、この混合融液保持容器502の最底部には予めGaN結晶511が埋め込まれている。このGaN結晶511のC面(0001)面は混合融液503と接するように設置されている。混合融液保持容器502の材質は他の実施例と同様にBNである。
実施例5では、最初に混合融液保持容器502内に、NaとGaをモル比率5:5で入れておく。そして、図1の結晶成長装置内に混合融液保持容器502を設置し、反応容器101,113内の窒素圧力を5MPa、混合融液保持容器502の温度を775℃に設定する。
この条件で結晶成長が開始すると、図6(a)に示すように多数のGaN結晶が核発生する。このとき発生するGaN結晶核は、510−1,−2,−3,・・・,−11である。図番号の表記方法は他の実施例と同様である。ここで、GaN結晶の成長方向軸の方向を一点破線で示している。510−1〜−11の各結晶核の成長軸は様々な方向に向いている。ここで、予め混用融液保持容器502に埋め込まれたGaN結晶511の表面には、結晶核が発生し易く、他の結晶核よりも大きく成長する。埋め込まれたGaN結晶511上にはGaN結晶核510−6がエピタキシャル成長している。即ち、埋め込まれたGaN結晶511の表面はC面(0001)面であり、その上にエピタキシャル成長したGaN結晶核510−6の結晶成長軸はC軸〈0001〉である。GaN結晶核510−6の結晶方位は、制御して結晶成長させることが可能である。
この状態で更に結晶成長が進行すると、図6(b)に示すようになる。図6(b)からわかるように、各結晶は成長軸方向に成長し、結晶サイズが大きくなる。成長した結晶は510−1’,−2’,−3’,・・・,−11’である。ここで、結晶510−6’が優先核として、他の結晶核510−1’,−2’,−3’,−4’,−5’,−7’,−8’,−9’,−10’,−11’をそれぞれ合体し成長している。510−6’は混用融液保持容器502に埋め込まれたGaN結晶511の表面から核発生した結晶であり、その結晶成長軸はC軸であり、概ね混合融液保持容器502の底面の法線方向と一致している。このため、結晶510−6’は大きな結晶に成長し易く、他の実施例に比較してより大きなGaN結晶を成長させることが可能となる。
本実施例5では、混合融液保持容器502が、図6のような凹面形状を有するものとして説明したが、混合融液保持容器502としては、表面形状が、この他にも様々な結晶方位を有する結晶核が集約されるような凹面形状のものであれば、任意のものを用いることができる。
本発明は、半導体レーザ,発光ダイオードなどの光デバイスや、電子デバイスなどのための基板等に用いられるIII族窒化物結晶を提供するのに利用される。
本発明に係るIII族窒化物結晶成長装置の構成例を示す図である。
実施例1のIII族窒化物結晶成長を説明するための図である。
実施例2のIII族窒化物結晶成長を説明するための図である。
実施例3のIII族窒化物結晶成長を説明するための図である。
実施例4のIII族窒化物結晶成長を説明するための図である。
実施例5のIII族窒化物結晶成長を説明するための図である。
符号の説明
101 第一の反応容器
102,202,302,402,502 混合融液保持容器
103 混合融液
104 ガス供給管
105 圧力調整弁
106 加熱装置
107 窒素ガス容器
109 蓋
110,210,310,410,510 GaN結晶核
111 圧力センサー
112 熱電対
113 第二の反応容器
211,212,411,412,511 GaN結晶
304,404 混合融液保持容器の底面
305,306,405,406 混合融液保持容器の底面に平行な領域