JP5110716B2 - カテーテル - Google Patents

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Description

本発明は、コイル体からなるカテーテル本体を有するカテーテルの改良に関する。
従来から、血管、消化管、尿管等の人体の管状器官や体内組織中に挿入されて、使用されるカテーテルの一種として、複数の金属素線を巻回乃至は撚合したコイル体からなるカテーテル本体を有するもの(例えば、特許文献1及び2参照)等が、知られている。また、このようなカテーテルには、カテーテル本体を構成するコイル体が樹脂により被覆されると共に、その遠位端部(先端部)に、テーパ筒状を呈する樹脂製のチップが設けられてなるものもある(例えば、下記特許文献3参照)。
これらのカテーテルは、カテーテル本体がコイル体にて構成されているため、優れたトルク伝達性が発揮される。それ故、例えば、血管内の狭窄部、特に実質的に完全閉塞した狭窄部乃至は閉塞部を押し広げて、血流を確保する手技を行う際に、好適に使用されている。
特開2005−296078号公報 特開2006−174959号公報 米国特許出願公開第2007/0208368号明細書
そして、単に、カテーテル本体がコイル体からなるだけでなく、コイル体が樹脂により被覆され、且つその遠位端部に樹脂製のテーパ状のチップが設けられたカテーテルは、CTO(chronic total occlusion )と呼ばれる心臓血管の高度な狭窄病変に対する心臓カテーテル治療の新しい手技であるCARTアプローチ(controlled
antegrade and tracking approach)において、側副血行路(collateral channel)と呼ばれる血管を通過させるのに、良好に使用され得ることが判ってきた。
側副血行路は、管径が細く、しかも、主血管からの分岐角度が90°又はそれ以下の急な角度とされた分岐部を有する可能性が高い。然るに、上記のカテーテルにあっては、先端に設けられたテーパ状の樹脂製チップによって、急な角度の分岐部内にも、血管内面を傷付けることなしに良好に進入しせしめられる。そして、コイル体からなるカテーテル本体において高いトルク性が発揮されることで、かかる分岐部を含めた副側血行路内を拡張させながら、スムーズに進行せしめられ得るのである。
ところが、そのようなコイル体からなるカテーテル本体の遠位端部にテーパ状の樹脂製チップが設けられたカテーテルの構造について、本発明者等が様々な角度から検討したところ、かかる従来のカテーテルには、CARTアプローチをより良好に実施するために、更には、CARTアプローチ以外の様々な手技を有利に実施する上において、幾つかの改良点を、未だ有していることが、判明した。
すなわち、従来のカテーテルにおいては、樹脂製のチップが、コイル体からなるカテーテル本体よりも、十分に高い柔軟性を有している。そのため、例えば、分岐角度が急な分岐部等を、チップとカテーテル本体とが、かかる分岐角度に応じた急な角度で屈曲しつつ通過する際に、チップとコイル体を有するカテーテル本体との柔軟性の違いにより、それらチップの近位端部とカテーテル本体のコイル体の遠位端部との境界部分に、応力が集中する場合あった。また、チップが狭窄部に到達したときに、チップの先端が狭窄部に引っ掛かる等して、チップが回転不能とされた状態で、カテーテル本体が回転させられた場合にも、チップの近位端部とカテーテル本体の遠位端部との境界部分に、捩れ応力が集中的に作用する場合がある。その上、チップが柔軟であるために、コイル本体とチップとの間でのトルク伝達性が低くなってしまう傾向も認められたのである。
本発明は、かかる事情に鑑みて為されたものであって、コイル体からなるカテーテル本体の遠位端にテーパ状の樹脂製チップが設けられて、高い柔軟性と優れたトルク伝達性が十分に発揮されると共に、カテーテル本体の遠位端部とチップの近位端部との間の境界部分での応力集中の発生が有利に防止され、しかも、かかる境界部分でのトルク伝達性が有利に高められ得るように改良されたカテーテルの構造を提供することを、解決課題とする。
そして、本発明は、上記した課題、又は本明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものである。また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
<1>数の金属素線を巻回乃至は撚合してなる中空の第1のコイル体と、前記第1のコイル体の内周面を被覆する内側樹脂層と、前記第1のコイル体の外周面を被覆する外側樹脂層とを有するカテーテル本体と、前記カテーテル本体の中空部に連通する内孔を有し、前記カテーテル本体の遠位端に設けられたチップと、複数の素線を編組してなり、前記チップの近位端部と前記カテーテル本体の遠位端部との境界に跨って配設された編組体と
を備え、前記内側樹脂層は、内側に位置する最内層と、前記最内層と前記第1のコイル体との間に位置する中間層とからなり、前記内側樹脂層は、前記最内層が前記チップ側へ一体的に延びて形成された第一内層延出部と、前記中間層が前記チップ側へ一体的に延びて形成され、前記第一内層延出部よりも短い第二内層延出部とからなり、前記編組体は、前記第一内層延出部の外側、かつ前記第二内層延出部の内部に配設されていることを特徴とするカテーテル。
<2>前記第1のコイル体は、少なくとも1本の第1の素線と、その第1の素線の直径よりも大きい直径の少なくとも1本の第2の素線とを巻回乃至は撚合してなる態様1に記載のカテーテル。
<3>前記第二内層延出部の外側には、前記第1のコイル体に隣接して第2のコイル体が配設されていることを特徴とする態様1又は態様2に記載のカテーテル。
すなわち、本発明に従うカテーテルにあっては、カテーテル本体がコイル体にて構成されていると共に、かかるカテーテル本体の遠位端に、少なくとも遠位端側部分がテーパ部とされた樹脂製のチップが設けられている。これによって高い柔軟性と優れたトルク伝達性が十分に発揮される。
そして、本発明に係るカテーテルにおいては、編組体が、チップの近位端側部分とカテーテル本体の少なくとも遠位端側部分とに跨って軸方向に延びる状態で、それらチップ内の内層延出部とカテーテル本体の少なくとも遠位端側部分のそれぞれに配設されている。それ故、カテーテル本体の遠位端部とチップの近位端部との境界部分が、例えば90°以下の急な角度で屈曲せしめられた際や、チップが回転不能とされた状態で、カテーテル本体が回転させられたときに、かかる境界部分に生ずる応力が、編組体にて、カテーテル本体の遠位端側部分からチップの近位端側部分に亘る、より広い範囲の部位に分散される。それによって、カテーテル本体の遠位端部とチップの近位端部との境界部分に、応力が集中的に作用することが、有利に防止され得る。しかも、チップの近位端側部分が、その内部に埋設された編組体の存在により、樹脂材料のみにて構成される場合よりも、柔軟性を維持したままの状態で、カテーテル本体の遠位端部とチップの近位端部との境界部分でのトルク伝達性が有利に高められ得る。また、カテーテル本体とチップとの境界部分で柔軟性が急激に変化することが、有利に回避され得る。これによっても、かかる境界部分で応力集中が生ずることが、効果的に抑制され得る。
従って、かくの如き本発明に従うカテーテルを用いれば、側副血行路にて代表される、管径が細く、しかも主血管からの分岐角度が90°以下の急角度の分岐部を有する血管内にカテーテルを挿通させる、CARTアプローチを始めとした高度な技術が要求される手技を、血管は勿論、カテーテル自体をも損傷させることなく、極めて安全に且つよりスムーズに実施することが出来る。
本発明に従う構造を有するカテーテルの実施形態を示す正面説明図である。 図1に示されたカテーテルの縦断面における部分拡大説明図である。 図2のIII−III断面における端面拡大説明図である。 図1に示されたカテーテルが装備する編組体の部分拡大説明図である。 図2における部分拡大説明図であって、編組体の内側樹脂層内への埋設状態を説明するための図である。 図2のVI−VI断面における端面拡大説明図である。 図2のVII−VII断面における端面拡大説明図である。 図2における部分拡大説明図であって、チップの内部構造を説明するための図である。 図2のIX−IX断面における端面拡大説明図である。 図1に示されるカテーテルを用いて治療されるべき血管内の狭窄部を示す説明図である。 図1に示されたカテーテルを用いて実施された屈曲試験によって屈曲せしめられたチップの屈曲状態を模式的に示す説明図である。 図1に示されたカテーテルと従来構造を有するカテーテルとに対して捩り試験を行って得られた、各カテーテルにおける捩り回数と、各カテーテルに生ずるトルク荷重の関係とを示すグラフである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係るカテーテルの構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明に従う構造を有するカテーテルの一実施形態として、狭窄部が形成された心臓の血管内に挿入されて、かかる血管内の狭窄部を押し広げるのに用いられるカテーテルが、示されている。図1から明らかなように、本実施形態のカテーテル10は、カテーテル本体11と、このカテーテル本体11の遠位端(先端)に設けられた柔軟なチップ12と、カテーテル本体11が、その近位端において取り付けられたコネクタ14とを有して、構成されている。
より具体的には、図1及び図2から明らかなように、カテーテル本体11は、ガイドワイヤが挿入されるルーメン16を有する中空の長尺部材からなっている。ここでは、このカテーテル本体11の全長が1500mm程度とされている。そして、カテーテル本体11のチップ12が設けられる遠位端から200mm程度までの部分が、0.88mm程度(0.85〜0.90mm)の外径を有する遠位部18とされている。また、この遠位部18の近位端から600mm程度までの部分が、遠位部18よりも僅かに大きな外径を有する中間部20とされている。更に、中間部20からコネクタ14に取り付けられる近位端までの部分が、中間部20よりも更に外径が大きな近位部22とされている。
なお、本実施形態のカテーテル本体11では、心臓カテーテル治療の手技に通常用いられるバルーンカテーテルの外径に合わせて、遠位部18の外径が0.88mm程度の大きさに設定されている。即ち、遠位部18の外径が0.88mm程度とされていることで、各種の心臓カテーテル治療の手技に対応可能とされている。また、遠位部18の外径を0.88mmを基準としてカテーテルを作製しておくことで、比較的容易に外径等の設計変更が可能となる。このため、本実施形態のカテーテル10は、0.88mmよりも大きな外径の遠位部18を有していても実施が可能な、心臓以外の他の器官に対する各種の手技に用いられるカテーテル10としても、有効に利用され得る。
また、カテーテル本体11は、図2及び図3に示されるように、中空のコイル体24と、このコイル体24の内周面を被覆する内側樹脂層26と、コイル体24の外周面を被覆する外側樹脂層28と、内側樹脂層26の内部に埋設された編組体30とを有している。
内側樹脂層26は、最内層32と、この最内層32の外側に積層された中間層34とを、更に有している。最内層32は、カテーテル本体11の最も内側において、その全長に亘って延出するチューブ形態を有している。そして、この最内層32の内孔にて、カテーテル本体11のルーメン16が、構成されている。また、かかる最内層32は、カテーテル本体11の遠位端から軸方向に延び出している。そして、その延出部分が、前記チップ12の内周側に、第一内層延出部32aとして、チップ12の遠位端部の近傍にまで達する長さを有して、位置せしめられている(図8参照)。なお、このような最内層32を形成する樹脂材料は、特に限定されるものではなく、可撓性と適度な柔軟性を発揮する樹脂材料が適宜に選択されることとなるが、その中でも、ガイドワイヤの摺動性を考慮して、例えば、優れた潤滑性を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が、好適に用いられる。
中間層34は、最内層32とコイル体24との間に介在せしめられた状態で、カテーテル本体11の全長に亘って延出している。そして、この中間層34も、カテーテル本体11の遠位端から軸方向に延び出しており、その延出部分が、第二内層延出部36として、前記チップ12の内周側に位置せしめられている(図8参照)。なお、ここでは、そのような中間層34のチップ12内への延出部分である第二内層延出部36が、最内層32のチップ12内への延出部分である第一内層延出部32aよりも短く、チップ12の近位端部付近に止まる長さを有している。これによって、チップ12の近位端側部分部の内周側部位が、最内層32の第一内層延出部32aと中間層34の遠位端部からなる第二内層延出部36にて、構成されている。
中間層34を形成する樹脂材料も、何等限定されるものではなく、最内層32と同様に、可撓性と適度な柔軟性を発揮する樹脂材料が適宜に選択される。そのような中間層34の形成材料としては、ポリアミドエラストマ等が例示され得る。
編組体30は、図4に示されるように、編組用金属素線38の複数が、メッシュ状を呈するように交互に編み込まれてなる構造を有している。そして、このようなメッシュ構造を有する編組体30が、カテーテル本体11における内側樹脂層26の最内層32の外周面を全長に亘って被覆して、配置されている(図3参照)。また、図5に示される如く、かかる配置状態下で、内側樹脂層26の中間層34の内部に埋設されている。
さらに、図2に示されるように、編組体30は、内側樹脂層26の最内層32と同様に、カテーテル本体11の遠位端から軸方向に延び出している。そして、その延出部分が、カテーテル本体11の遠位端から延出する最内層32の第一内層延出部32aの外周面を、その全長に亘って被覆した状態で、チップ12の内周側部分の内部に埋設されている。また、ここでは、チップ12の近位端部の内周面側部分が、第二内層延出部36にて構成されているため、編組体30のチップ12内への延出部分のうち、チップ12の近位端部に位置する部位が、第二内層延出部36の中間層34内に埋設されている(図8参照)。
かくして、本実施形態においては、編組体30が、チップ12とカテーテル本体11との境界部を間に挟んで、チップ12の近位端側部分とカテーテル本体11の全長とに跨って、軸方向に延びるように配置されている。また、編組体30は、そのような配置状態下で、チップ12の近位端側部分の内部とカテーテル本体11の内部とにそれぞれ埋設されている。更に、編組体30は、カテーテル本体11内では、内側樹脂層26の最内層32とコイル体24との間に挟まれるように位置せしめられている。
このような編組体30の編組用金属素線38を構成する金属材料の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、タングステンやステンレス等からなる線材が、編組用金属素線38として、好適に用いられる。そして、その中でも、X線透視下における視認性が良好なタングステン性の線材が、より好適に用いられる。
また、上記の如く、編組体30は、カテーテル本体11とチップ12との境界部を間に挟んで軸方向に延びるように位置せしめられているが、かかる境界部は、コイル体24が存在するため、後述するように、カテーテル10を用いた手技を実施した際において、各種の応力が集中し易い。そのため、編組体30には、十分な強度が要求される。一方、編組体30は、カテーテル本体11の内部だけでなく、柔軟性を備えたチップ12の内部にも位置せしめられている。そのため、かかる編組体30には、単に、高強度であるだけでなく、柔軟性をも兼備していることが望ましい。
その点からして、編組体30を形成する編組用金属素線38は、ISO10555−1 Annex B に準拠して測定される引張破断応力(抗張力)が、1300N/mm2 以上とされていることが好ましいのである。つまり、編組体30の編組用金属素線38の引張破断応力が1300N/mm2
以上とされていることによって、チップ12の柔軟性を損なうことなく、コイル本体11とチップ12との境界部分の強度の向上が、有利に図られ得る。そして、編組体30において、強度よりも柔軟性が優先される場合には、編組用金属素線38の引張破断応力が1400N/mm2
程度である編組体30が用いられる。本実施形態では、強度を考慮して、編組用金属素線38の引張破断応力が3100〜3600N/mm2 の範囲内の値とされた編組体30が用いられている。
なお、編組用金属素線38のサイズも、特に限定されるものではなく、カテーテル本体11やチップ12の大きさ(外径)等によって、適宜に決定される。本実施形態では、編組用金属素線38の直径が0.023mm程度とされている。そして、1本の編組用金属素線38が1周巻回される1ピッチ(図4にPにて示される寸法)、1mmの編組体30部分内に、8本×8本の合計16本の編組用金属素線38が、交互に編み込まれて、編組体30が形成されている。かくの如く、本実施形態においては、編組体30が、複数の編組用金属素線38を編組してなる構造を有していたが、編組用金属素線38以外の、例えば樹脂素線等の各種の素線を編組して、編組体30を形成することも出来る。また、その編組体30を形成する素線の数や素線の編組形態も、適宜に変更され得るところである。
一方、図2及び図3に示されるように、コイル体24は、細長い複数(ここでは10本)の、断面が円形形状のコイル用金属素線40a,40bが緊密に撚り合わされてなる中空の撚り線コイルにて、構成されている。また、このコイル体24は、複数のコイル用金属素線40a,40bが撚り合わされた後、公知の方法で熱処理されて、撚合により生ずる残留応力が除去されている。なお、図3、図6、及び図7では、コイル用金属素線40a,40bの断面形状が楕円形状となっているが、これは、撚り合わされ後の断面を示しているためであり、撚り合わされる前のコイル用金属素線40a,40bの断面形状は、円形形状である。
このようなコイル体24のコイル用金属素線40a,40bを構成する金属材料は、特に限定されるものではない。例えば、Ni−Ti合金等の超弾性合金やステンレス等が、それぞれ単独で、或いは種々組み合わされて、コイル用金属素線40a,40bの形成材料として好適に用いられる。
そして、ここでは、かかる金属材料からなる10本のコイル用金属素線40a,40bのうちの8本のコイル用金属素線40aが、0.07mm程度の直径を有する一方、残りの2本のコイル用金属素線40bが、8本のコイル用金属素線40aの直径よりも大きな0.12mm程度の直径を有している。これにより、コイル体24において、十分な可撓性と高いトルク伝達性が発揮され得るようになっている。勿論、コイル体24を形成するコイル用金属素線40a,40bの直径や本数は、何等これに限定されるものではなく、カテーテル本体11の外径寸法等に応じて、適宜に変更され得る。例えば、本実施形態と同様に、外径が0.88mm程度とされたコイル体を形成する場合には、0.09mm程度の同一の直径を有するコイル用金属素線の複数本を用いることも出来る。
また、コイル体24において、可撓性とトルク伝達性とを、より高いレベルで確保するには、コイル用金属素線40a,40bの、ISO10555−1 Annex B に準拠して測定される引張破断応力(抗張力)が、1300N/mm2 以上とされていることが好ましい。更に、かかる引張破断応力が、1700〜2100N/mm2
程度とされていることが、より好ましい。本実施形態では、かかる引張破断応力が、1900N/mm2 程度とされている。
外側樹脂層28は、カテーテル本体11の外表面を与える最外層を構成している。そして、コイル体24を形成するコイル用金属素線40a,40bの全てのものの外周面が、カテーテル本体11の外表面から外部に露出することのないように、コイル体24の外周面の全周を被覆した状態で、カテーテル本体11の全長に亘って延出している。
また、外側樹脂層28にあっては、図3、図6、及び図7から明らかなように、カテーテル本体11の遠位部18の最外層を構成する部分の厚さよりも、カテーテル本体11の中間部20の最外層を構成する部分の厚さが、所定寸法厚くされ、更に、この中間部20の最外層を構成する部分の厚さよりも、カテーテル本体11の近位部22の最外層を構成する部分の厚さが、所定寸法厚くされている。更に、かかるカテーテル本体11の遠位部18と中間部20と近位部22のそれぞれの外側樹脂層28部分の硬度が、その順番で、段階的に大きくされている。これによって、カテーテル本体11の近位部22と中間部20と遠位部18のそれぞれの柔軟性が、その順番で、段階的に高くされている。
この外側樹脂層28を形成する樹脂材料も、何等限定されるものではなく、内側樹脂層26の中間層34と同様に、可撓性と適度な柔軟性を発揮する樹脂材料が適宜に選択される。そのような外側樹脂層28の形成材料としては、ポリアミドエラストマ等が例示され得る。
一方、図8及び図9に示されるように、カテーテル本体11の遠位端に設けられるチップ12は、カテーテル本体11のルーメン16に連通するルーメン(内孔)42を備えた、細長い筒状の全体形状を有し、カテーテル本体11よりも十分に高い柔軟性を有している。そして、このチップ12においては、その近位端部が、一定の外径を有する円筒状の外周面を有する円筒部44とされている一方、この円筒部44を除く、中間部分をも含めた遠位端側部分が、遠位方向(チップ12の先端側に向かう方向)に向かって徐々に小径となるテーパ筒状の外周面を有するテーパ部46とされている。
このチップ12を形成する樹脂材料も、何等限定されるものではないものの、好適には、内側樹脂層26(内層32及び中間層34)や外側樹脂層28を形成する樹脂材料よりも柔軟性のある樹脂材料が用いられる。かかる樹脂材料としては、ショアA硬度が80程度のポリウレタンエラストマが例示され得る。なお、本実施形態では、チップ12の内部に、タングステン粉末が混入されている。これによって、X線透視下におけるチップ12視認性が、有利に高められている。
そして、かかるチップ12のルーメン42は、その内径が、カテーテル本体11のルーメン16の内径よりも所定寸法小さくされている。また、このチップ12のルーメン42の内径は、カテーテル本体11のルーメン16内を経て、チップ12のルーメン42内に挿通されるガイドワイヤ(図示せず)の直径(外径)に比して、5〜20%だけ、好ましくは5〜10%だけ大きくされている。つまり、チップ12のルーメン42は、ガイドワイヤが挿通されたときに、ガイドワイヤの外周面との間に、直径方向全体として、ガイドワイヤの直径の5〜20%、望ましくは5〜10%に相当する寸法の隙間が形成されるようになっている。なお、本実施形態の場合には、0.35mm程度の直径を有するガイドワイヤを想定した上で、チップ12のルーメン42の内径が、0.38mm程度に設定されている。
かくして、チップ12のルーメン42内にガイドワイヤが挿通された状態下において、ルーメン42内でのガイドワイヤの摺動性を十分に確保しつつ、チップ12の遠位端48の外周面と、かかる遠位端48側の開口部から延び出すガイドワイヤの外周面との間に生ずる段差の大きさが、可及的に小さくされている。
そして、それにより、内径が小さいものの、拡張可能な程に柔軟性がある、例えば側副血行路のような血管内にカテーテル10を挿通させる手技を実施する際に、ガイドワイヤの外径よりも小さい内径の血管内にガイドワイヤを挿入しつつ、それに沿ってカテーテル10を血管内に進行させることが、容易且つスムーズとなる。
チップ12の円筒部44は、カテーテル本体11の遠位部18と略同一の外径と、0.8mm程度の軸方向長さとを有して、カテーテル本体11の遠位部18と一体化されている。そして、このチップ12の円筒部44においては、内周部分が、カテーテル本体11の遠位端から延びる第二内層延出部36(最内層32及び中間層34)にて形成されており、また、かかる第二内層延出部36の中間層34の内部に、カテーテル本体11の遠位端から延びる編組体30の一部が埋設されている。
かくして、チップ12の円筒部44にあっては、コイル体24を有するカテーテル本体11よりも十分に高い柔軟性が確保されている。そして、後述する如く、内周側に、最内層32の遠位端部と編組体30の遠位端部とが位置するものの、中間層34が存在しないチップ12のテーパ部46に比して、チップ12の円筒部44の柔軟性が低く設定されている。これによって、チップ12の柔軟性が、カテーテル本体11の柔軟性に比して、遠位端48側に向かって段階的に高くされている。以て、カテーテル本体11の遠位端部とチップ12の近位端部との境界部50で、カテーテル10の柔軟性が急激に変化するようなことが解消されている。しかも、チップ12の円筒部44の内部に、カテーテル本体11の遠位端から延びる編組体30が埋設されているため、カテーテル本体11の遠位端部とチップ12の近位端部との境界部50でのトルク伝達性が有利に高められており、更には、そのような境界部50で集中的に作用し易い応力が、効果的に分散され得るようになっている。
また、チップ12の円筒部44の内部には、コイルマーカ51が、第二内層延出部36の外周面の全周を被覆した状態で、埋設されている。このコイルマーカ51は、放射線不透過性の金属素線を単線で巻回してなるコイル体からなっている。また、コイルマーカ51は、第二内層延出部36と略同一の軸方向長さと、円筒部44の外径よりも十分に小さな外径とを有している。これによって、円筒部44が、X線透視下で、チップ12の位置を確認するためのマーカとして機能せしめられるようになっている。また、コイルマーカ51がコイル体からなっているため、チップ12の円筒部44の柔軟性が、コイルマーカ51の埋設によって必要以上に低下してしまうことが、有利に回避されている。
チップ12のテーパ部46は、上記せるように、遠位端48に向かって徐々に小径化する外周面を有すると共に、その肉厚が、遠位端48に向かうに従って次第に薄肉となっている。そして、そのようなテーパ部46の近位端側部分(円筒部44側の部分)の内周面側部位が、カテーテル本体11の遠位端から延びる最内層32の第一内層延出部32aにて形成されている。また、内部に、カテーテル本体11の遠位端から延びる編組体30の遠位端部が埋設されている。一方、かかるテーパ部46の遠位端48側部分には、それら最内層32や編組体30が何等存在しておらず、十分に薄い肉厚とされている。これによって、チップ12のテーパ部46が、カテーテル本体11よりも、更にはチップ12の円筒部44よりも十分に高い柔軟性を有し、しかも、遠位端48に向かうに従って徐々に柔軟性が高くなるように構成されている。
なお、チップ12のテーパ部46のうち、最内層32と編組体30の各遠位端部が内部に存在しない、つまりチップ12を形成する樹脂材料のみからなる遠位端48側部分の軸方向長さは、3.0mm以下とされていることが望ましい。また、カテーテル本体11の外径とテーパ部46の内径とによる制約はあるものの、テーパ部46の遠位端48側部分を除く部分、つまり編組体30の遠位端部が内部に埋設されているテーパ部46の近位端側部分の軸方向長さは、テーパ部46全体の軸方向長さに対して60%以上とされていることが、望ましい。それによって、チップ12において、十分な柔軟性を確保しつつ、高いトルク伝達性が得られることとなる。本実施形態では、テーパ部46の遠位端48側部分の軸方向長さが1.8mm以下(2.0mm以下なら許容される)とされている。また、編組体30が内部に存在するテーパ部46内で編組体30が延出する軸方向長さは、テーパ部46全体の軸方向長さに対して64%以上の長さに維持されている。
そして、かかるチップ12のテーパ部46は、その遠位端48の外径(最小外径)が0.44mm程度とされている。また、上記の如く、ルーメン42の内径が0.38mmとされている。つまり、テーパ部46は、その遠位端48の肉厚が0.03mmとされている。ここで、前記せるように、チップ12のルーメン42内に挿通されるガイドワイヤの外周面と、チップ12の遠位端48との間に生ずる段差が可及的に小さくされていることが望ましく、かかる段差の大きさは、テーパ部46の遠位端48の肉厚によって決定される。それ故、本実施形態においては、テーパ部46の遠位端48の肉厚が0.03mmの十分に薄い厚さとされて、ガイドワイヤの外周面とチップ12の遠位端48との間に生ずる段差が、可及的に小さくされているのである。なお、そのようなテーパ部46の遠位端48の肉厚は、0.05mm以下の薄い厚さとされていることが望ましいが、チップ12の成形性等を考慮すると、実用的には、0.02〜0.05mmの範囲内の値とされることが好ましい。
カテーテル10が、ガイドワイヤに沿って、屈曲した血管内を進行する場合には、チップ12の遠位端側部分を構成するテーパ部46の軸方向長さが長い方が有利となるが、余りに長すぎると、チップ12の遠位端48とカテーテル本体11のコイル体24との距離が過度に離れてしまい、コイル体24によって、チップ12の遠位端48に伝わるトルク伝達性が低下してしまう。また、テーパ部46の傾斜が緩やかになることにより、チップ12の遠位端48側部分が狭窄部に引っ掛かった際に、狭窄部から引き抜き難くなるといった不具合が生ずる。そのため、ここでは、チップ12のテーパ部46の軸方向長さが、好適には、カテーテル本体11の外径の3〜10倍、より好適には5〜6倍程度の範囲内の大きさとされている。これを踏まえて、本実施形態では、テーパ部46の軸方向長さが5.0mm程度とされている。
ところで、かくの如き構造とされた本実施形態のカテーテル10は、心臓の血管を拡張するのに使用されるが、かかる血管内にガイドワイヤを通過させるサポート用カテーテル10としても使用可能である。何れの場合にも、手技者が、カテーテル10を血管内で進行させていく際に、カテーテル10を回転させながら目的位置に進める場合がある。
例えば、図10に示されるように、右冠状動脈52に狭窄部54が存在する場合に、矢印Aの方向からガイドワイヤ(図示せず)を挿通させ、これに沿って、カテーテル(図示せず)を接近させて、狭窄部54の治療を行うのに用いることが出来る。このような通常の狭窄部54への接近方法は、順行性アプローチ(antegrade approach)と呼ばれる。
本実施形態のカテーテル10は、そのような順行性アプローチとは逆に、狭窄部54に対して、左冠状動脈56から右冠状動脈52側に延びる側副血行路58を通じて、矢印R1,R2,R3の各方向から接近させる逆行性アプローチ(retrograde approach )に効果を発揮する。この逆行性アプローチは、CTO(chronic total
occlusion )と呼ばれる心臓血管の高度な狭窄病変の治療に対して、極めて有効である。
なお、逆行性アプローチを実施する場合には、図10に示されるように、カテーテル(図示せず)を、幾つか(ここでは三つ)の分岐部60a,60b,60cを通過させて、狭窄部54に到達させる必要がある。特に、左冠状動脈56側である主血管62から分岐する側副血行路58に進入する分岐部60aと、側副血行路58から右冠状動脈52側に進入する分岐部60bでは、分岐角度が、90°又はそれ以下の急角度となっている可能性が高くなっている。
以下、そのような逆行性アプローチにて、カテーテル10を狭窄部54に接近させる手技を行う際の操作手順について、図10を参照しつつ、詳述する。
先ず、比較的に柔らかいガイドワイヤを、逆行性アプローチにて、狭窄部54にまで到達させる。これは、CTOのような高度な狭窄部54に、ガイドワイヤを、順行性アプローチにて、接近させて、貫通させるには、硬いガイドワイヤが用いられることが多いが、カテーテル10を狭窄部54の近傍にまで、逆行性アプローチにて到達させるには、柔らかいガイドワイヤを用いる方が有利なためである。
柔らかいガイドワイヤを狭窄部54に到達させたら、このガイドワイヤに沿って、カテーテル10を左冠状動脈56内で進行させる。このような操作に代えて、柔らかいガイドワイヤを、カテーテル10よりも少しずつ先行させながら、ガイドワイヤの先端より少し後方側まで、カテーテル10の先端(チップ12の遠位端48)がガイドワイヤの後を追うように進め、カテーテル10によってガイドワイヤをサポートしながら、ガイドワイヤとカテーテル10とを交互に且つ少しずつ進行させる操作を行うことも可能である。
何れの操作を実施する場合にあっても、柔らかいガイドワイヤに沿って、カテーテル10を左冠状動脈56内において進行させる。その後、左冠状動脈56の主血管62から側副血行路58を通じて、カテーテル10を右冠状動脈52側に進行させる。
その際、カテーテル10のカテーテル本体11の内部が、コイル体24を有しているため、手技者が手元でカテーテル10の近位端を回転させたときに、カテーテル本体11の遠位端部も、確実に回転する。また、前記せるように、カテーテル10では、カテーテル本体11の遠位端部とチップ12の近位端部との境界部50でのトルク伝達性も高められている。そのため、手技者が手元でカテーテル10の近位端を回転させたときに、カテーテル10のチップ12も、カテーテル本体11と共に、確実に回転する。
従って、カテーテル10を側副血行路58内に進入させて、進行させる際に、カテーテル10の全体を確実に回転させながら、細く柔軟性のある側副血行路58を徐々に押し広げること出来る。それによって、カテーテル10が、側副血行路58内を、スムーズに進行せしめられ得ることとなる。
また、カテーテル10は、柔軟で細長いチップ12を遠位端に有し、しかも、チップ12の遠位端48の外周面とガイドワイヤの外周面との間に形成される段差の大きさが可及的に小さくされている。そのため、側副血行路58の両端の左冠状動脈56と右冠状動脈52との間に、分岐角度が急な二つの分岐部60a,60bが存在しているものの、チップ12がガイドワイヤに沿って、柔軟に屈曲していき、カテーテル10が、それらの分岐部60a,60b内にスムーズに進入して、通過する。
さらに、それら分岐角度が急な二つの分岐部60a,60b内に、チップ12を進入させる際には、チップ12とカテーテル本体11とが何れも急角度に屈曲せしめられることに加えて、カテーテル10が回転させられるため、チップ12とカテーテル本体11との間の境界部50やその近傍に、大きな屈曲応力や捩れ応力が作用するが、かかる境界部50の内部に編組体30が存在することで、そのような応力が分散される。しかも、そのような編組体30によって、チップ12とカテーテル本体11との間の境界部50の強度が高められる。
また、カテーテル10にあっては、チップ12とカテーテル本体11との間の境界部50を含むチップ12の円筒部44の柔軟性が、遠位端48側のテーパ部46よりも多少低く設定されて、チップ12とカテーテル本体11との間で、柔軟性が急激に変化しないようになっている。これによっても、チップ12とカテーテル本体11との間の境界部50に、急角度の屈曲や捩れによる応力が集中的に作用することが、有利に回避され得る。更に、かかるチップ12の円筒部44の内部に、コイルマーカ51が埋設されていることによって、カテーテル10の血管内での位置が、X線透視により明確となるだけでなく、チップ12とカテーテル本体11との間での柔軟性の急激な変化が、更に一層効果的に緩和されている。
そして、やがて、柔らかいガイドワイヤに続いて、カテーテル10が狭窄部54に到達したら、柔らかいガイドワイヤを、カテーテル10のルーメン16,42から引き抜き、それの代わりに、より硬いガイドワイヤをルーメン16,42内に挿通する。その後、交換されたガイドワイヤを用いて、所定の手技を引き続き実施する。
そして、カテーテル10が狭窄部54に到達してから、各種の手技を行う際に、例えば、チップ12の遠位端48側部分が狭窄部54に引っ掛かった状態で、カテーテル10を回転させたときにも、チップ12とカテーテル本体11との間の境界部50やその近傍に、大きな捩れ応力が作用するが、かかる境界部50の内部に編組体30が存在することで、そのような応力が、有利に分散される。
このように、本実施形態のカテーテル10を用いれば、内径が細く、側副血行路58のように、内径が小さく且つ分岐角度が90°以下の急角度の分岐部60a,60bを有する血管内にカテーテル10を挿通させるような高度な技術が要求される手技を、血管は勿論、カテーテル10自体をも損傷させることなく、極めて安全に且つよりスムーズに実施することが出来る。
また、かかるカテーテル10においては、編組体30が、カテーテル本体10の内部に、その全長に亘って連続して延びるように配置されている。それ故、例えば、コイル体24が細いコイル用金属素線40を用いて形成されている場合にも、優れたトルク伝達性が、安定的に確保され得る。
ここにおいて、本実施形態に係るカテーテルが、上述の如き優れた特徴を有するものであることを確認するために、本発明者等によって行われた幾つかの試験について、以下に詳述する。
<試験1>
先ず、図1及び図2に示される如き構造を有するカテーテルを作製して、準備した。なお、このカテーテルの各部位の寸法諸元は、前記実施形態のカテーテルのと同一とした。
そして、かかるカテーテルを用いて、カテーテル本体10を変位不能に固定した。その後、図11に示されるように、チップ12の円筒部44(軸方向長さ:0.8mm)とテーパ部46(軸方向長さ:5.0mm)との境界部位64を基準として、テーパ部46を、遠位端58側から徐々に屈曲させる屈曲試験を行った。その際、テーパ部46の遠位端58側部分が近位端側部分に対して直角となるように屈曲させ得たときの境界部位64から屈曲部までのチップ12部分の長さを調べた。
その結果、かかる長さの最大値:Lmaxが4.0mmで、その最小値:Lminが1.3mmであった。この結果から、チップ12が、2.7mm程度の範囲において、直角に屈曲せしめられ得ることが判明した。一般に、90°以下の分岐角度を有する血管の分岐部をスムーズに通過させるには、テーパ部64が直角に屈曲せしめられた状態での円筒部44とテーパ部46との境界部位64から屈曲部までの長さの最大値:Lmaxが重要となり、その値が3.8mm以上必要となる。また、かかる長さの最小値:Lminは2.5mm以下であることが、望ましい。その点からして、かかる最大値:Lmaxが4.0mmで且つ最小値:Lminは1.3mmである本発明に従うカテーテルが、90°以下の分岐角度を有する血管の分岐部をスムーズに通過し得るものであると判断出来る。
<試験2>
先ず、図1及び図2に示される如き構造を有するカテーテルを四つ作製して、準備した。そして、それら四つのカテーテルを、それぞれ試験例1〜4とした。なお、これら四つのカテーテルの各部位の寸法諸元は、前記実施形態のカテーテルと同一とした。
また、比較のために、内部に編組体30を何等有しないものの、それ以外は、図1及び図2に示される構造のカテーテルと同様な構造とされたカテーテルを二つ作製して、準備した。そして、それら二つのカテーテルを、それぞれ比較例1及び2とした。なお、これら比較例1及び2の二つのカテーテルについては、コイル体24を形成する10本のコイル用金属素線40a,40bのうちの8本のコイル用金属素線40aの直径を0.08mmとする一方、残りの2本のコイル用金属素線40bを、8本のコイル用金属素線40aの直径よりも大きな0.13mmとした。それ以外の各部位の寸法諸元は、前記実施形態
のカテーテルと同一とした。ここで、比較例1及び2の各カテーテルの各コイル用金属素線40a,40bの直径が、試験例1〜4の各カテーテルの各コイル用金属素線40a,40bの直径よりも、それぞれ大きくされているのは、比較例1及び2の各カテーテルが編組体30を有しない分だけ、コイル体24の配置スペースが大きく確保し得るようになり、そのために、各コイル用金属素線40a,40bを太くすることが可能となったことによる。
次いで、かくして得られた試験例1〜4のカテーテルと比較例1及び2のカテーテルのそれぞれのトルク伝達性を調べるために、それら各カテーテルに対する捩り試験を行った。この捩り試験は、各カテーテルの近位端部を固定した状態で、遠位端部をトルクゲージを介して回転させて、各カテーテルの全体に捩り力を加えることにより、実施した。また、この試験は、各カテーテルのコイル体を構成する10本のコイル用金属素線のうちの何れか1本が最初に破断するまで行われた。そして、このときのカテーテルの回転数と、トルクゲージにて測定されるトルク荷重との関係を、各カテーテル毎に調べた。試験例1〜4の各カテーテルを用いて実施した試験の結果を、下記表1に示し、また、比較例1及び2の各カテーテルを用いて実施した試験の結果を、下記表2に示した。更に、試験例1〜4の各カテーテルの所定の回転数毎のトルク荷重の平均値と回転数との関係と、比較例1及び2の各カテーテルの所定の回転数毎のトルク荷重の平均値と回転数との関係とを、グラフ化して、図12に示した。なお、かかる図12において、試験例として示されるグラフは、試験例1〜4の各カテーテルの所定の回転数毎のトルク荷重の平均値と回転数との関係を表すグラフを示し、また、比較例として示されるグラフは、比較例1及び2の各カテーテルの所定の回転数毎のトルク荷重の平均値と回転数との関係を表すグラフを示す。
Figure 0005110716
Figure 0005110716
それら表1及び表2から明らかなように、本発明に従う構造を有する試験例1〜4の各カテーテルは、少なくとも40回転させるまで、コイル体のコイル用金属素線が破断しない。これに対して、編組体を有しない比較例1及び2の各カテーテルは、20回転又は25回転で、コイル体のコイル用金属素線が破断してしまう。このことから、試験例1〜4の各カテーテルが、比較例1及び2の各カテーテルよりも、捩れ応力に対して優れた耐久性を示すことが、明確に認識され得る。
また、図12から明らかなように、試験例1〜4の各カテーテルと比較例1及び2の各カテーテルとにおいて、同一の回転数でのトルク荷重の平均値を比較すると、何れの回転数においても、試験例1〜4の各カテーテルが、比較例1及び2の各カテーテルよりも高いトルク荷重を示している。そして、特に、図12に示される試験例のグラフと比較例のグラフとを比較すると、前者の方が後者よりも0〜5回転時の傾きが高くなっていることが、認められる。これらの結果は、本発明に従う構造において編組体を有する試験例1〜4の各カテーテルが、編組体を何等有しない比較例1及び2の各カテーテルよりも、高いトルク伝達性を有し、特に、回転の初動時におけるトルク伝達性に優れるものであることを、如実に示している。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態に関する具体的な記載によって、何等限定的に解釈されるものではない。
例えば、前記実施形態では、編組体30が、チップ12の近位端側部分とカテーテル本体11の全長とに跨って、軸方向に延びるように配置されていたが、編組体30は、必ずしも、カテーテル本体11の全長に延びるように配置されている必要はない。編組体30は、チップ12の近位端側部分とカテーテル本体10の少なくとも遠位端側部分とに跨って延びるように配置されておれば良い。例えば、前記実施形態のカテーテル10では、編組体30は、カテーテル本体10の遠位端側部分において、チップ12とカテーテル本体11の境界部50から近位側に向かって20mm程度までの部分に配置されておれば良い。
また、前記実施形態では、コイル体24を形成する複数のコイル用金属素線40a,40bのうち、直径の大きなコイル用金属素線40bが、カテーテル本体11の外周面から、径方向外方に可及的に突出しない構造とされていた。しかしながら、被覆する樹脂の厚みを薄くすることにより、かかる直径の大きなコイル用金属素線40bが、カテーテル本体11の表面上に、螺旋状に延びる突条を形成するように、カテーテル本体11の外周面から、径方向外方に突出した構造とされていても、何等差し支えない。但し、そのような構造を採用する場合にあっても、全てのコイル用金属素線40a,40bが、外側樹脂層28の外周面から突出することなく、外部に露呈しないようになっていることが、望ましい。
加えて、前記実施形態では、本発明を、心臓の血管内に形成された狭窄部を拡張せしめるのに用いられるカテーテルに適用したものの具体例を示した。しかしながら、本発明は、心臓以外の血管内に形成された狭窄部を拡張せしめる際に、或いはそれ以外の用途において体内に挿入されるカテーテルの何れに対しても、有利に適用され得ることは、勿論である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものである。また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
10 カテーテル 11 カテーテル本体
12 チップ 24 コイル体
26 内側樹脂層 28 外側樹脂層
30 編組体 32 最内層
34 中間層 36 第二内層延出部
44 円筒部 46 テーパ部
48 遠位端 50 境界部
51 コイルマーカ 54 狭窄部
58 側副血行路 60 分岐部

Claims (3)

  1. 数の金属素線を巻回乃至は撚合してなる中空の第1のコイル体と、前記第1のコイル体の内周面を被覆する内側樹脂層と、前記第1のコイル体の外周面を被覆する外側樹脂層とを有するカテーテル本体と、
    前記カテーテル本体の中空部に連通する内孔を有し、前記カテーテル本体の遠位端に設けられたチップと、
    数の素線を編組してなり、前記チップの近位端部と前記カテーテル本体の遠位端部との境界に跨って設された編組体と
    を備え
    前記内側樹脂層は、内側に位置する最内層と、前記最内層と前記第1のコイル体との間に位置する中間層とからなり、
    前記内側樹脂層は、前記最内層が前記チップ側へ一体的に延びて形成された第一内層延出部と、前記中間層が前記チップ側へ一体的に延びて形成され、前記第一内層延出部よりも短い第二内層延出部とからなり、
    前記編組体は、前記第一内層延出部の外側、かつ前記第二内層延出部の内部に配設されていることを特徴とするカテーテル。
  2. 前記第1のコイル体は、少なくとも1本の第1の素線と、その第1の素線の直径よりも大きい直径の少なくとも1本の第2の素線とを巻回乃至は撚合してなることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
  3. 前記第二内層延出部の外側には、前記第1のコイル体に隣接して第2のコイル体が配設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカテーテル。
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