以下、本発明を図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
先ず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本発明のカテーテルの実施形態を示す正面説明図であり、図2は、本発明の第1実施形態におけるカテーテルの部分断面図である。
図1において、本実施形態のカテーテル10は、カテーテル本体11と、このカテーテル本体11の先端に接続された柔軟な先端チップ12と、カテーテル本体11の基端に接続されたコネクタ14とから構成されている。
より具体的には、カテーテル本体11は、ガイドワイヤが挿入されるルーメン16を有する中空の長尺部材から構成されている。本実施の形態では、カテーテル本体11の全長は1500mm程度である。そして、カテーテル本体11の先端から200mm程度までの部分が、0.88mm程度(0.85〜0.90mm)の外径を有する先端部18であり、先端部18の基端から600mm程度までの部分が、先端部18よりも僅かに大きな外径を有する中間部20とされている。更に、中間部20の基端からコネクタ14までの部分が、中間部20よりも更に外径が大きな基端部22とされている。
また、カテーテル本体11は、図2に示されるように、中空のコイル体24と、このコイル体24の内周面を被覆する内側樹脂層26と、コイル体24の外周面を被覆する外側樹脂層28とを有している。
内側樹脂層26は、カテーテル本体11の最も内側において、その全長に亘って延出するチューブ形態を有している。そして、この内側樹脂層26の内孔にて、カテーテル本体11のルーメン16が構成されている。また、内側樹脂層26は、カテーテル本体11の先端から軸方向先端側に延び出している。
なお、このような内層樹脂層26を形成する樹脂材料は、特に限定されるものではなく、可撓性と適度な柔軟性を発揮する樹脂材料が適宜選択されることとなるが、その中でも、ガイドワイヤの摺動性を考慮して、例えば、優れた潤滑性を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が、好適に用いられる。
コイル体24は、断面が円形形状の金属素線40を複数本(本実施形態では10本)撚り合わせた中空の撚線コイルである。また、このコイル体24は、複数の金属素線40が撚り合わされた後、公知の方法で熱処理されているので、コイル体24の残留応力は除去されている。
コイル体24の金属素線40を構成する金属材料は、特に限定されるものではない。例えば、ステンレス等の金属材料、Ni−Ti合金等の超弾性合金をそれぞれ単独に使用してコイル体24を構成しても良く、これらの金属材料を種々組み合わせてコイル体を構成しても良い。
外側樹脂層28は、カテーテル本体11の最外層を構成しており、コイル体24を構成する金属素線40の外周面がカテーテル本体11の外表面から外部に露出することのないように、コイル体24の外周面を被覆した状態で、カテーテル本体11の全長に亘って延出している。
また、外側樹脂層28は、カテーテル本体11の中間部20の最外層を構成する部分の厚さが、カテーテル本体11の先端部18の最外層を構成する部分の厚さよりも厚くされ、さらに、カテーテル本体11の基端部22の最外層を構成する部分の厚さが、カテーテル本体11の中間部20の最外層を構成する部分の厚さよりも厚くされている。
さらに、カテーテル本体11の先端部18、中間部20、及び基端部22における外側樹脂層28の硬度は、先端部18から基端部22にかけて段階的に大きくされている。これによって、カテーテル本体11の基端部22、中間部20及び先端部18の柔軟性は、基端部22から先端部18にかけて段階的に高くされている。
外側樹脂層28を形成する樹脂材料も何等限定されるものではなく、可撓性と適度な柔軟性を発揮する樹脂材料が適宜に選択される。そのような外側樹脂層28の形成材料としては、ポリアミドエラストマー等が例示され得る。
一方、カテーテル本体11の先端に設けられる先端チップ12は、カテーテル本体11のルーメン16に連通するルーメンを備えた、細長い筒状の全体形状を有し、カテーテル本体11よりも十分に高い柔軟性を有している。そして、この先端チップ12は、最先端部48に向かって徐々に小径となるテーパ状の外周面を有している。
先端チップ12を形成する樹脂材料も、何等限定されるものではないものの、好適には、内側樹脂層26や外側樹脂層28を形成する樹脂材料よりも柔軟性のある樹脂材料が用いられる。かかる樹脂材料としては、ポリウレタンエラストマーが例示され得る。なお、本実施形態では、先端チップ12の内部に、タングステン粉末が混入されている。これによって、X線透視下における先端チップ12の視認性が有利に高められている。
また、先端チップ12の内周部分は、カテーテル本体11の先端から延びる内側樹脂層26で形成されており、先端チップ12の内部には、カテーテル本体11の先端から連続するコイル体24が、内側樹脂層26の外周に巻回されて、埋設されている。
また、先端チップ12の内部には、先端チップ12がコイル体24から離脱するのを防止する為に、先端チップ12の樹脂材料よりも硬い樹脂からなる補強体30が先端チップ12及びコイル体24に固着されている。これにより、たとい、先端チップ12がカテーテル本体11から離脱したとしても、先端チップ12及びコイル体24に固着された補強体30によって、先端チップ12はコイル体24から離脱することが防止され、延いては、先端チップ12がカテーテル本体11から離脱することが防止されることとなる。
なお、本実施の形態においては、補強体30には後述する先端チップの外周に向かって延びる突起部はないが、先端チップ12がカテーテル本体11からカテーテルの軸方向へ離脱することをさらに防止する為に、外周に向かって延びる突起部を有するように形成しても良い。
補強体30の材料としては、ポリアミドエラストマーが例示され得るが、本実施の形態においては、外側樹脂層28よりも硬いポリアミドエラストマーが使用されている。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態におけるカテーテルは、第1実施形態におけるカテーテルのコイル体24が編組体124に変更された場合の実施形態を示している。また、第2実施形態におけるカテーテルは、第1実施形態におけるカテーテル10と外観上は同一であるので、全体図は省略し、内部構造のみを図面を使用して説明する。
図3は、本発明の第2実施形態におけるカテーテルの部分断面図である。図3において、カテーテル本体111は、ガイドワイヤが挿入されるルーメン116を有する中空の長尺部材から構成されている。カテーテル本体111は、図3に示されるように、編組体124と、この編組体124の内周面を被覆する内側樹脂層126と、編組体124の外周面を被覆する外側樹脂層128とを有している。
内側樹脂層126は、カテーテル本体111の最も内側において、その全長に亘って延出するチューブ形態を有している。また、内側樹脂層126は、カテーテル本体111の先端から軸方向先端側に延び出している。なお、このような内層樹脂層126を形成する樹脂材料は、第1実施形態の内側樹脂層26と同様の材料が使用可能である。
編組体124は、二本の金属素線140a及び140bが、メッシュ状を呈するように交互に編み込まれてなる構造を有している。そして、このようなメッシュ構造を有する編組体124が、内側樹脂層126の外周面に全長に亘って巻回されている。
さらに、編組体124は、内側樹脂層126と同様に、カテーテル本体111の先端から先端側軸方向に延びており、カテーテル本体111の先端から延出する内側樹脂層126の外周面に巻回されている。
編組体124の金属素線140a及び140bを構成する金属材料の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、タングステンやステンレス等からなる線材が好適に用いられる。そして、その中でも、X線透視下における視認性が良好なタングステン性の線材が、より好適に用いられる。
なお、金属素線140a及び140bのサイズも、特に限定されるものではなく、カテーテル本体111や先端チップ112の大きさ(外径)等によって適宜決定される。本実施形態では、金属素線140a及び140bの直径は、0.023mm程度とされている。そして、1本の金属素線140a及び金属素線140bが交互に編み込まれて、編組体124が形成されている。
外側樹脂層128は、カテーテル本体111の最外層を構成している。そして、編組体124を構成する金属素線140a及び140bが、カテーテル本体111の外表面から外部に露出することのないように、編組体124を被覆した状態で、カテーテル本体111の全長に亘って延出している。
なお、外側樹脂層128を形成する樹脂材料は、第1実施形態の外側樹脂層28と同様の材料が使用可能である。
また、カテーテル本体111の先端に設けられる先端チップ112は、カテーテル本体111のルーメン116に連通するルーメンを備えた、細長い筒状の全体形状を有し、カテーテル本体111よりも十分に高い柔軟性を有している。そして、この先端チップ112は、最先端部48に向かって徐々に小径となるテーパ状の外周面を有している。
なお、先端チップ112を形成する樹脂材料は、第1実施形態の先端チップ12と同様の材料が使用可能である。
先端チップ112の内周部分は、カテーテル本体111の先端から延びる内側樹脂層126によって形成されており、先端チップ112の内部には、カテーテル本体111の先端から連続する編組体124が、内側樹脂層126の外周に巻回されて、埋設されている。
また、先端チップ112の内部には、先端チップ112が編組体124から離脱するのを防止する為に、先端チップ112の樹脂材料よりも硬い樹脂からなる補強体130が先端チップ112及びコイル体124に固着されている。これにより、たとえ、先端チップ112がカテーテル本体111から離脱したとしても、先端チップ112及び編組体124に固着された補強体130によって、編組体124から離脱することが防止され、延いては、先端チップ112がカテーテル本体111から離脱することが防止されることとなる。
ここで、補強体130は、先端チップ112及びコイル体124を固着するものであれば良いが、先端チップ112がカテーテル本体111からカテーテルの軸方向へ離脱することを効果的に防止すべく、外周に向かって延びる突起部132を有するように形成するのが好ましい。
なお、本実施の形態の補強体130においては、突起部132を2箇所設けたが、1箇所であっても良く、3箇所以上設けても良い。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態のカテーテルは、第1実施形態のカテーテルに比べ、補強体の位置が異なっている。すなわち、第1実施形態のカテーテルの補強体が先端チップ内にのみ配置されているのに対し、第3実施形態のカテーテルの補強体は、カテーテル本体と先端チップとに跨って配置されている。
一方、第3実施形態におけるカテーテルも、第1実施形態におけるカテーテル10と外観上は同一であるので、全体図は省略し、内部構造のみを図面を使用して説明する。
図4は、本発明の第3実施形態におけるカテーテルの部分断面図である。図4において、カテーテル本体211は、ガイドワイヤが挿入されるルーメン216を有する中空の長尺部材から構成されている。カテーテル本体211は、図4に示されるように、コイル体224と、このコイル体224の内周面を被覆する内側樹脂層226と、コイル体224の外周面を被覆する外側樹脂層228とを有している。
内側樹脂層226は、カテーテル本体211の最も内側において、その全長に亘って延出するチューブ形態を有している。また、内側樹脂層226は、カテーテル本体211の先端から軸方向先端側に延び出している。なお、このような内層樹脂層226を形成する樹脂材料は、第1実施形態の内側樹脂層26と同様の材料が使用可能である。
コイル体224は、断面が円形形状の金属素線240を複数本(本実施形態では10本)撚り合わせた中空の撚線コイルである。また、このコイル体224は、複数の金属素線240が撚り合わされた後、公知の方法で熱処理されているので、コイル体224の残留応力は除去されている。
コイル体224の金属素線240を構成する金属材料は、第1実施形態の金属素線40と同様の材料が使用可能である。
外側樹脂層228は、カテーテル本体211の外表面を与える最外層を構成している。そして、コイル体224を形成する金属素線240の外周面が、カテーテル本体211の外表面から外部に露出することのないように、コイル体224の外周面を被覆した状態で、カテーテル本体211の全長に亘って延出している。
なお、外側樹脂層228を形成する樹脂材料は、第1実施形態の外側樹脂層28と同様の材料が使用可能である。
一方、カテーテル本体211の先端に設けられる先端チップ212は、カテーテル本体211のルーメン216に連通するルーメンを備えた、細長い筒状の全体形状を有し、カテーテル本体211よりも十分に高い柔軟性を有している。そして、この先端チップ212は、最先端部48に向かって徐々に小径となるテーパ状の外周面を有している。
なお、先端チップ212を形成する樹脂材料は、第1実施形態の先端チップ12と同様の材料が使用可能である。
先端チップ212の内周部分は、カテーテル本体211の先端から延びる内側樹脂層226によって形成されており、先端チップ212の内部には、カテーテル本体211の先端から連続するコイル体224が、内側樹脂層226の外周に巻回されて、埋設されている。
また、カテーテル本体211の先端部及び先端チップ212の基端部には、カテーテル本体211と先端チップ212とに跨って配置された、先端チップ212の樹脂材料よりも硬い樹脂からなる補強体230が固着されている。これにより、先端チップ212がカテーテル本体211から離脱するのが防止されると共に、たとえ、先端チップ212がカテーテル本体211から離脱したとしても、先端チップ212及びコイル体224に固着された補強体230によって、先端チップ212がコイル体224から離脱することが防止され、延いては、先端チップ212がカテーテル本体211から離脱することが防止されることとなる。
ここで、補強体230は、先端チップ212及びコイル体224を固着するものであれば良いが、先端チップ212がカテーテル本体211からカテーテルの軸方向へ離脱することを効果的に防止すべく、外周に向かって延びる突起部232を有するように形成するのが好ましい。
なお、本実施の形態の補強体230においては、突起部232を2箇所設けたが、1箇所であっても良く、3箇所以上設けても良い。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態におけるカテーテルは、第2実施形態のカテーテルに比べ、補強体の位置が異なっている。すなわち、第2実施形態のカテーテルの補強体が先端チップ内にのみ配置されているのに対し、第4実施形態のカテーテルの補強体がカテーテル本体と先端チップとに跨って配置されている。また、第4実施形態におけるカテーテルも、第1実施形態におけるカテーテル10と外観上は同一であるので、全体図は省略し、内部構造のみを図面を使用して説明する。
図5は、本発明の第4実施形態におけるカテーテルの部分断面図である。図5において、カテーテル本体311は、ガイドワイヤが挿入されるルーメン316を有する中空の長尺部材から構成されている。カテーテル本体311は、図5に示されるように、編組体324と、この編組体324の内周面を被覆する内側樹脂層326と、編組体324の外周面を被覆する外側樹脂層328とを有している。
内側樹脂層326は、カテーテル本体311の最も内側において、その全長に亘って延出するチューブ形態を有している。また、内側樹脂層326は、カテーテル本体311の先端から軸方向先端側に延び出している。なお、このような内層樹脂層326を形成する樹脂材料は、第1実施形態の内側樹脂層26と同様の材料が使用可能である。
編組体324は、二本の金属素線340a及び340bが、メッシュ状を呈するように交互に編み込まれてなる構造を有している。そして、このようなメッシュ構造を有する編組体324が、内側樹脂層326の外周面に全長に亘って巻回されている。
さらに、編組体324は、内側樹脂層326と同様に、カテーテル本体311の先端から先端側軸方向に延びており、カテーテル本体311の先端から延出する内側樹脂層326の外周面に巻回されている。
編組体324の金属素線340a及び340bを構成する金属材料は、第2実施形態の編組体124の金属素線140a及び140bと同様の材料が使用可能である。
外側樹脂層328は、カテーテル本体311の最外層を構成している。そして、編組体324を構成する金属素線340a及び340bが、カテーテル本体311の外表面から外部に露出することのないように、編組体324を被覆した状態で、カテーテル本体311の全長に亘って延出している。
なお、外側樹脂層328を形成する樹脂材料は、第1実施形態の外側樹脂層28と同様の材料が使用可能である。
また、カテーテル本体311の先端に設けられる先端チップ312は、カテーテル本体311のルーメン316に連通するルーメンを備えた、細長い筒状の全体形状を有し、カテーテル本体311よりも十分に高い柔軟性を有している。そして、この先端チップ312は、最先端部48に向かって徐々に小径となるテーパ状の外周面を有している。
なお、先端チップ312を形成する樹脂材料は、第1実施形態の先端チップ12と同様の材料が使用可能である。
先端チップ312の内周部分は、カテーテル本体311の先端から延びる内側樹脂層326によって形成されており、先端チップ312の内部には、カテーテル本体311の先端から連続する編組体324が、内側樹脂層326の外周に巻回されて、埋設されている。
また、カテーテル本体311の先端部及び先端チップ312の基端部には、カテーテル本体311と先端チップ312とに跨って配置された、先端チップ312の樹脂材料よりも硬い樹脂からなる補強体330が固着されている。これにより、先端チップ312がカテーテル本体311から離脱するのが防止されると共に、たとえ、先端チップ312がカテーテル本体311から離脱したとしても、先端チップ312及びコイル体324に固着された補強体330によって、先端チップ312がコイル体324から離脱することが防止され、延いては、先端チップ312がカテーテル本体311から離脱することが防止されることとなる。
ここで、補強体330は、先端チップ312及びコイル体324を固着するものであれば良いが、先端チップ312がカテーテル本体311からカテーテルの軸方向へ離脱することを効果的に防止すべく、外周に向かって延びる突起部332を有するように形成するのが好ましい。
なお、本実施の形態の補強体330においては、突起部332を2箇所設けたが、1箇所であっても良く、3箇所以上設けても良い。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態のカテーテルは、第1実施形態のカテーテル及び第3実施形態のカテーテルに比べ、補強体の構成が異なっている。すなわち、第1実施形態のカテーテルの補強体及び第3実施形態の補強体がカテーテル本体とは別体に設けられているのに対し、第5実施形態のカテーテルの補強体はカテーテル本体と一体的に構成されている。
なお、第5実施形態におけるカテーテルは、第1実施形態におけるカテーテル10と外観上は同一であるので、全体図は省略し、内部構造のみを図面を使用して説明する。
図6は、本発明の第5実施形態におけるカテーテルの部分断面図である。図6において、カテーテル本体411は、ガイドワイヤが挿入されるルーメン416を有する中空の長尺部材から構成されている。カテーテル本体411は、図6に示されるように、コイル体424と、このコイル体424の内周面を被覆する内側樹脂層426と、コイル体424の外周面を被覆する外側樹脂層428とを有している。
内側樹脂層426は、カテーテル本体411の最も内側において、その全長に亘って延出するチューブ形態を有している。また、内側樹脂層426は、カテーテル本体411の先端から軸方向先端側に延び出している。なお、このような内側樹脂層426を形成する樹脂材料は、第1実施形態の内側樹脂層26と同様の材料が使用可能である。
コイル体424は、断面が円形形状の金属素線440を複数本(本実施形態では10本)撚り合わせた中空の撚線コイルである。また、このコイル体424は、複数の金属素線440が撚り合わされた後、公知の方法で熱処理されているので、コイル体424の残留応力は除去されている。
コイル体424の金属素線440を構成する金属材料は、第1実施形態の金属素線40と同様の材料が使用可能である。
外側樹脂層428は、カテーテル本体411の外表面を与える最外層を構成している。そして、コイル体424を形成する金属素線440の外周面が、カテーテル本体411の外表面から外部に露出することのないように、コイル体424の外周面の全周を被覆した状態で、カテーテル本体411の全長に亘って延出している。
なお、外側樹脂層428を形成する樹脂材料は、第1実施形態の外側樹脂層28と同様の材料が使用可能である。
一方、カテーテル本体411の先端に設けられる先端チップ412は、カテーテル本体411のルーメン416に連通するルーメンを備えた、細長い筒状の全体形状を有し、カテーテル本体411よりも十分に高い柔軟性を有している。そして、この先端チップ412は、最先端部48に向かって徐々に小径となるテーパ状の外周面を有している。
なお、先端チップ412を形成する樹脂材料は、第1実施形態の先端チップ12と同様の材料が使用可能である。
先端チップ412の内周部分は、カテーテル本体411の先端から延びる内側樹脂層426によって形成されており、先端チップ412の内部には、カテーテル本体411の先端から連続するコイル体424が、内側樹脂層426の外周に巻回されて、埋設されている。
また、先端チップ412の基端部には、カテーテル本体411の先端から延びる補強体430が固着されている。これにより、先端チップ412がカテーテル本体411から離脱するのが防止されることとなる。
ここで、補強体430は、先端チップ412及びコイル体424を固着するものであれば良いが、先端チップ412がカテーテル本体411からカテーテルの軸方向へ離脱することを効果的に防止すべく、外周に向かって延びる突起部432を有するように形成するのが好ましい。
なお、本実施の形態においては、突起部432を1箇所設けたが、2箇所以上設けても良い。
(第6実施形態)
最後に、本発明の第6実施形態について説明する。第6実施形態のカテーテルは、第2実施形態のカテーテル及び第4実施形態のカテーテルに比べ、補強体の構成が異なっている。すなわち、第2実施形態のカテーテルの補強体及び第4実施形態の補強体がカテーテル本体とは別体として設けられているのに対し、第6実施形態のカテーテルの補強体は、カテーテル本体と一体的に構成されている。
なお、第6実施形態におけるカテーテルは、第1実施形態におけるカテーテル10と外観上は同一であるので、全体図は省略し、内部構造のみを図面を使用して説明する。
図7は、本発明の第6実施形態におけるカテーテルの部分断面図である。図7において、カテーテル本体511は、ガイドワイヤが挿入されるルーメン516を有する中空の長尺部材から構成されている。カテーテル本体511は、図7に示されるように、編組体524と、この編組体524の内周面を被覆する内側樹脂層526と、編組体524の外周面を被覆する外側樹脂層528とを有している。
内側樹脂層526は、カテーテル本体511の最も内側において、その全長に亘って延出するチューブ形態を有している。また、内側樹脂層526は、カテーテル本体511の先端から軸方向先端側に延び出している。なお、このような内側樹脂層526を形成する樹脂材料は、第1実施形態の内側樹脂層26と同様の材料が使用可能である。
編組体524は、二本の金属素線540a及び540bが、メッシュ状を呈するように交互に編み込まれてなる構造を有している。そして、このようなメッシュ構造を有する編組体524が、内側樹脂層526の外周面に全長に亘って巻回されている。
さらに、編組体524は、内側樹脂層526と同様に、カテーテル本体511の先端から先端側軸方向に延びており、カテーテル本体511の先端から延出する内側樹脂層526の外周面に巻回されている。
編組体524の金属素線540a及び540bを構成する金属材料は、第2実施形態の編組体124の金属素線140a及び140bと同様の材料が使用可能である。
外側樹脂層528は、カテーテル本体511の外表面を与える最外層を構成している。そして、編組体524を形成する金属素線540a及び540bの外周面が、カテーテル本体511の外表面から外部に露出することのないように、編組体524の外周面を被覆した状態で、カテーテル本体511の全長に亘って延出している。
なお、外側樹脂層528を形成する樹脂材料は、第1実施形態の外側樹脂層28と同様の材料が使用可能である。
一方、カテーテル本体511の先端に設けられる先端チップ512は、カテーテル本体511のルーメン516に連通するルーメンを備えた、細長い筒状の全体形状を有し、カテーテル本体511よりも十分に高い柔軟性を有している。そして、この先端チップ512は、最先端部48に向かって徐々に小径となるテーパ状の外周面を有している。
なお、先端チップ512を形成する樹脂材料は、第1実施形態の先端チップ12と同様の材料が使用可能である。
先端チップ512の内周部分は、カテーテル本体511の先端から延びる内側樹脂層526によって形成されており、先端チップ512の内部には、カテーテル本体511の先端から連続する編組体524が、内側樹脂層526の外周に巻回されて、埋設されている。
また、先端チップ512の基端部には、カテーテル本体511の先端から延びる補強体530が固着されている。これにより、先端チップ512がカテーテル本体511から離脱するのが防止されることとなる。
ここで、補強体530は、先端チップ512及び編組体524を固着するものであれば良いが、先端チップ512がカテーテル本体511からカテーテルの軸方向へ離脱することを効果的に防止すべく、外周に向かって延びる突起部532を有するように形成するのが好ましい。これにより、先端チップ512がカテーテル本体511から離脱するのがさらに防止され、延いては、先端チップ512がカテーテル本体511から離脱することが防止されることとなる。
本実施の形態においては、突起部532を1箇所設けたが、2箇所以上設けても良い。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明は、かかる実施形態に関する具体的な記載によって、何等限定的に解釈されるものではない。
例えば、上述の実施形態においては、補強体は、すべてコイル体または編組体の直径よりも大きな直径を有するように図示してきたが、補強体は、必ずしも、コイル体または編組体の直径よりも大きな直径を有する必要はない。
但し、コイル体または編組体の直径よりも大きな直径を有する補強体であれば、先端チップがコイル体または編組体から離脱するのをより防止することができる。
また、上述の実施形態においては、補強体は、先端チップを構成する樹脂よりも硬い樹脂で構成されていると説明してきたが、補強体は、必ずしも、先端チップを構成する樹脂よりも硬い樹脂で構成される必要はない。
但し、先端チップを構成する樹脂よりも硬い樹脂で構成された補強体であれば、先端チップがコイル体または編組体から離脱するのをより防止することができる。
また、上術の実施形態におけるコイル体は、同一径の金属素線を10本使用して、コイル体を構成しているが、例えば、8本の金属素線を同一径の金属素線として、残りの2本を異なる直径の金属素線としてコイル体を構成しても良く、金属素線を1本のみ使用してコイル体を構成しても良い。
但し、コイル体は、複数本の素線によって構成した方が好ましい。万が一、先端チップがカテーテル本体から離脱した場合にコイル体の伸びを少なくすることができるからである。
また、上述の実施形態におけるコイル体は、コイル体を構成する各金属素線がカテーテル本体の軸方向に離間して配置され、いわゆる疎巻きの状態を示したが、カテーテルの剛性を高めたい場合、または、カテーテルの基端から先端へのトルク伝達性を高めたい場合には、各金属素線を当接させて配置し、いわゆる密巻きの状態とするのが好ましい。
また、上述の実施形態における編組体は、同一径の2本の金属素線を交互に編み込んで形成されているが、編組体は、直径の異なる金属素線を交互に編み込んで形成しても良く、2本の金属素線のみならず、それ以上の金属素線を編み込んで形成しても良く、右巻きと左巻きの金属素線の数を異ならせて編み込んでも良い。
また、上述の実施形態における編組体を構成する素線は金属素線としたが、例えば、樹脂素線を編み込んで形成しても良く、金属素線と樹脂素線とを組み合わせて編み込んでも良い。また、編組体を形成する素線の数や素線の編組形態は適宜変更され得るところである。
また、上述の実施形態におけるコイル体及び編組体を構成する金属素線は円形断面の素線としたが、コイル体及び編組体は、楕円形断面の素線、矩形断面の素線を使用して形成しても良い。
また、上述の実施形態における突起部については、全体的に湾曲した形状の突起部を記載して説明したが、それに限定されることなく、例えば、先端チップの上部に鋭く尖った形状の突起部、又は、先端チップに対して斜めにくさび状に入り込んだ突起部であっても良い。
また、上述の実施形態においては、コイル体及び編組の形成過程の容易さを考慮し、内側樹脂層の外周にコイル体または編組を配置する形態を説明したが、内側樹脂層と外側樹脂層とを一体に形成し、一層の樹脂層内にコイル体または編組を配置する形態であっても良く、内側樹脂層と外側樹脂層との2層のみならず、3層以上の多層構造の一部の層にコイル体または編組を配置する形態であっても本発明を適用することが可能である。
また、上述の実施形態においては、各カテーテルがコイル体のみまたは編組のみを配置した形態を説明したが、一つのカテーテル内にコイル体及び編組の両方を配置した形態であっても本発明を適用することが可能である。