JP5110312B2 - 膜−保護層材連続接合方法及び装置 - Google Patents
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Description
図7は、このような固体高分子型燃料電池のセルの概略を示す断面図である。
図示するようにセル40は、高分子膜からなる電解質膜41の両面に電極となる触媒層42が接合され、各触媒層42の周囲、つまり電解質膜41の外周縁部にはフィルム等からなる保護層材(補強層とも称する。)43が枠状に接合されてなる膜−電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)44を備える。
触媒層42及び保護層材43上には、集電及びガスを拡散するための拡散層45が接合され、更にその外側には、ガス流通溝46aを有するセパレータ46が各々配設されて、MEA44及び拡散層45部分を両面側から狭持するようにセル40が構成されている。
そして、このようなセル40が複数個積層されて燃料電池スタックが構成され、燃料電池として発電が可能となる。
そこで従来、しわを生じさせない接合技術として、特許文献1に記載のものが提案された。これは、膜−電極接合体の製造において、補強膜(保護層材)を、補強膜と電極の重畳部分の全面について、同時に、電極に接触させ重ねることにより、補強膜のしわの発生を防止する、というものである(特許文献1参照)。
近年、膜−電極接合体の量産技術の進歩は著しく、電解質膜材から膜−電極接合体をロール・ツー・ロール方式で連続的に生産する方法、装置も開発されている。そこで従来、このような膜−電極接合体の連続生産にも適用可能な、つまり生産性高く、保護層材を、しわを生じさせずに電解質膜に連続的に接合できる電解質膜−保護層材連続接合方法、装置の開発が望まれていた。
各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴及びそれらの組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきではない。また、1つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけではなく、一部の事項のみを取り出して採用することも可能である。
保護層材としては、フィルム、膜、シートあるいはプレート等のいずれを用いてもよいが、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系のフィルムや膜が好適である。
中抜きは、ロータリカッタ等を用いて行われる。
接合は、例えば加圧プレス、あるいは平板熱圧プレスや熱圧ロール等の熱圧プレスにより行われる。
直前とは、概ね、保護層材の橋渡し部のしわを延ばした後に膜・保護層材を接合工程に送ることができる接合工程の手前位置を指す。しかしこの位置は、保護層材の材質、厚さ、中抜き部分等の大きさや、これに接合される膜の材質、膜・保護層材搬送速度、保護層材引張り工程で用いられる引張り手段等々の諸条件によって異なってくるので、実際には、上記諸条件に基づいて実験を行う等によって決められる。
保護層材引張り工程は、保護層材を搬送方向に張力を与えても弛みが残りやすい保護層材の橋渡し部を外側(両側方)に引張って弛みをとるが、これを、膜と保護層材との接合直前に行うことによって上記弛みを効果的にとる。これにより、接合後の保護層材、特にその橋渡し部におけるしわの発生を防止できる。
(2) 帯状の膜と、一定間隔で中抜きされて連続する梯子状とされた保護層材とを、長さ方向に重ね合わせながら同方向に搬送させ、接合手段によって前記膜と保護層材とを連続的に接合する膜−保護層材連続接合装置であって、前記接合手段によって前記膜と保護層材とを接合する直前に、前記保護層材の、隣接する中抜きされた部分の境界をなす橋渡し部に対して、その両端側から各々外側への張力を付与する保護層材引張り手段を備えることを特徴とする膜−保護層材連続接合装置。
本項は、(1)項の発明を装置として具現化した発明である。
(3) 前記保護層材引張り手段は、前記搬送の方向の下流側を上方に向けた平面視にてほぼハの字形に回転軸が向けられた一対のロールと、少なくとも前記保護層材に接触中は各々保護層材外側への張力を付与する方向に前記一対のロールを回転させるロール回転手段と、前記一対のロールを、その下方に前記保護層材の橋渡し部外側部分が差し掛かるとき又は差し掛かかったときには保護層材接触位置に進行移動させ、前記橋渡し部外側部分が通り過ぎるとき又は通り過ぎたときには前記保護層材非接触位置に復帰移動させるロール移動手段とを、備えてなることを特徴とする(2)項に記載の膜−保護層材連続接合装置。
ロール移動手段としては、保護層材の橋渡し部外側部分の移動経路の対向位置において一対のロールを上下動させるロール上下動手段が簡易な例として挙げられる。
(4) 前記保護層材引張り手段は、前記保護層材の外周端縁を把持可能な一対のクランパと、この一対のクランパを、その対向位置に、前記保護層材の橋渡し部外側部分が差し掛かるとき又は差し掛かかったときには保護層材把持位置に進行移動させてその橋渡し部外側部分を把持させ、その把持位置から各々保護層材外側への移動をさせながら前記搬送と同期して一定距離移動させた後に前記把持を解いて、前記保護層材非把持位置に復帰移動させるクランパ移動制御手段とを、備えてなることを特徴とする(2)項に記載の膜−保護層材連続接合装置。
本項の発明は、膜より保護層材が幅広で、保護層材の外周端部が搬送方向の側方に各々延出している場合に適用される膜−保護層材連続接合装置の例である。
(5) 前記膜は燃料電池の電解質膜であり、保護層材は前記電解質膜の外周縁部を保護するための保護フィルムであることを特徴とする(2)項、(3)項又は(4)項に記載の膜−保護層材連続接合装置。
本項は、(2)項、(3)項又は(4)項に記載の膜−保護層材連続接合装置を、燃料電池の膜−電極接合体の連続生産工程における電解質膜への保護フィルムの連続接合工程に適用可能とした発明である。
電解質膜としてはイオン交換樹脂等が、また保護フィルムとしてはポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系のフィルム、膜等が用いられる。
本項の発明によれば、(2)項、(3)項又は(4)項の発明を電解質膜への保護フィルムの連続接合に適用でき、枠状の保護フィルムが外周縁部にしわなく接合された電解質膜を生産性高く得ることができる。
(2)項に記載の発明によれば、保護層材を膜の外周縁部にしわなく連続的に、すなわち高い生産性をもって接合可能な膜−保護層材連続接合装置を提供できる。特に、保護フィルムを燃料電池の電解質膜の外周縁部にしわなく連続的に接合するための電解質膜−保護フィルム連続接合装置に有効に適用できる効果がある。
(3)項に記載の発明によれば、(2)項の発明における保護層材引張り手段を簡易な構成で実現できる。
(4)項に記載の発明によれば、(3)項の発明とは異なる構成によって(2)項の発明を実現できる。
なお、(5)項に記載の発明は、本発明(特許請求の範囲に記載した発明)ではないので、上記課題を解決するための手段の欄に、その効果を述べた。
図1は、本発明方法が適用された膜−保護層材連続接合装置の一実施形態の説明図で、燃料電池の膜−電極接合体製造において、保護層材である保護フィルムを高分子電解質膜(以下、電解質膜と略記する。)に連続的に接合する工程に本発明を適用した例を側方から概略的に示す。
図示するように本実施形態では、電解質膜材51及び保護フィルム材52を各々巻いた状態から帯状に繰り出し、保護フィルム材52については、カット手段をなすロータリカッタ13を通して無用部分54を一定間隔で切除(中抜き)し、一定間隔で枠状の保護フィルムが連続する、つまり梯子状に連続する保護フィルム15(図1中の部分拡大平面図1A参照)を得る工程を備える。
この接合手段60は、本実施形態では梯子状保護フィルム15及び帯状電解質膜16を挟んで搬送させながら回転してこれら帯状電解質膜16及び梯子状保護フィルム15を熱圧接合する上下一対の熱圧ロール61,62からなる。
これらの図に示すように、保護フィルム引張り手段63は、一対のロール64、ロール回転手段65及びロール移動手段66を備えて構成されている。
またロール回転手段65は、少なくとも梯子状保護フィルム15に接触中は各々梯子状保護フィルム15の外側への張力を付与する方向に一対のロール64を回転させる手段である。本実施形態では、一対のロール64は常時回転されている。
本実施形態におけるロール移動手段66は、一対のロール64を、その下方に橋渡し部外側部分15cが差し掛かかるときに保護フィルム15に接触する張力付与位置に下降させ、橋渡し部外側部分15cが通り過ぎたときに保護フィルム15に接触しない待機位置に上昇させるロール上下動手段である。このロール移動手段66は、図示例ではシリンダ66aとシリンダ制御装置66bとを備えてなる。
なお図2において、67はCCDカメラ等の画像センサであり、梯子状保護フィルム15の橋渡し部外側部分15cを検知して信号(橋渡し部外側部分検知信号)S1をロール移動手段66に与える。
ロール移動手段66は画像センサ67からの橋渡し部外側部分検知信号S1を受け、梯子状保護フィルム15の材質、各部寸法の設計値や、帯状電解質膜16及び梯子状保護フィルム15の搬送速度等に基づいて上述したロール上下動の制御動作を行う。
すなわち、矢印ア方向に搬送中の梯子状保護フィルム15の外周端部分を撮像する画像センサ67が保護フィルム15の橋渡し部外側部分15cを検知すると、その検知信号S1を保護フィルム引張り手段63のロール移動手段66、詳しくはそのシリンダ制御装置66bに送る。
これによりシリンダ制御装置66bはシリンダ66aを作動させ、ロール回転手段65によって既に回転中の一対のロール64を待機位置から張力付与位置に下降させ、梯子状保護フィルム15の橋渡し部15aに対して、その両端側から各々外側への張力を付与する。
したがって梯子状保護フィルム15は、その橋渡し部15aにおける弛みが除かれた状態で帯状電解質膜16と共に接合手段60に送られ、熱圧ロール61,62によって熱圧接合されるもので、接合後の梯子状保護フィルム15の橋渡し部15aにおいて、しわの発生はなくなる。
なお、一対のロール64は、梯子状保護フィルム15の中抜部分15bの間隔に基づいてシリンダ制御装置66bに設定された一定時間後、換言すればその下方を橋渡し部外側部分15cが通り過ぎたときに、シリンダ66aによって保護フィルム15に接触しない待機位置に上昇される。
梯子状保護フィルム15と帯状電解質膜16とはしわなく接合されなければならず、両者は重ね合わせ搬送時に適宜の張力がかけられる。しかし、梯子状保護フィルム15は一定間隔で中抜きされているため、低張力で搬送してもその橋渡し部15aには弛みが生じやすく、接合後にしわが発生しやすい。
本実施形態では、保護フィルム引張り手段63(一対のロール64、ロール回転手段65及びロール移動手段66)によって、帯状電解質膜16と梯子状保護フィルム15とを接合する直前に、梯子状保護フィルム15の橋渡し部15aに対して、その外側への張力を付与しながら、つまり弛みをなくしながら、梯子状保護フィルム15を帯状電解質膜16に接合している。
この結果、梯子状保護フィルム15は、接合手段60に通される際にその幅方向(橋渡し部15a)に図4(a)に例示するように弛み21が生じていても、接合手段60を通って帯状電解質膜16と接合された後においては、図4(b)に例示するように弛みなく平坦とされる。
また特に、接合手段60を一対のロール64、ロール回転手段65及びロール移動手段66で構成したことによれば、本実施形態をロール・ツー・ロール方式に適用でき、より生産性高く電解質膜−保護フィルム連続接合が可能となり、また構成の簡易化が図れる。
例えば、図5及び図6に例示するように、保護フィルム引張り手段63を、一対のクランパ71及びクランパ移動制御手段72によって構成してもよい。この例は、帯状電解質膜16よりも梯子状保護フィルム15のほうが幅広で、梯子状保護フィルム15の外周端が帯状電解質膜16の外周端よりも搬送方向の側方に各々延出している場合に適用される。
ここで、一対のクランパ71は、梯子状保護フィルム15の外周端縁を把持可能に構成されている。
またクランパ移動制御手段72は、一対のクランパ71を、その対向位置に梯子状保護フィルム15の橋渡し部外側部分15cが差し掛かるとき又は差し掛かかったときには待機位置P1から梯子状保護フィルム把持位置P2に進行移動させて(矢印イ参照)、その橋渡し部外側部分15cの外周端縁を把持させる。そして、その把持位置P2から各々梯子状保護フィルム外側への移動をさせながら同保護フィルム15の矢印ア方向の搬送と同期して一定距離移動させた後に(矢印ウ参照)、橋渡し部外側部分15cの外周端縁の把持を解いて、梯子状保護フィルム15の非把持位置(待機位置P1)に復帰移動(矢印エ参照)させる手段である。
このような保護フィルム引張り手段63によっても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、図5中の矢印イ、ウ、エ、及び位置P1、P2は図中、上側のクランパ71についての移動方向、位置示したもので、上記矢印イ、ウ、エ、及び位置P1、P2と搬送方向アを挟んで線対称となる向き、位置が下側のクランパ71についての移動方向、位置となる。また、この矢印イ、ウ、エ、及び位置P1、P2は、クランパ71自身の移動方向、位置を直接示したものではなく、クランパ移動制御手段72中のクランパ71との連結機構部の移動方向、位置を示したものである。
更また、電解質膜の上面のみに保護フィルムを接合する例に限らず、電解質膜の上,下両面に保護フィルムを接合する例においても、上述した実施形態を適用可能である。
Claims (4)
- 帯状の膜と、一定間隔で中抜きされて連続する梯子状とされた保護層材とを、長さ方向に重ね合わせながら同方向に搬送させ、接合工程を通すことによって前記膜と保護層材とを連続的に接合する膜−保護層材連続接合方法であって、
前記接合工程の直前に、前記保護層材の、隣接する中抜きされた部分の境界をなす橋渡し部に対して、その両端側から各々外側への張力を付与する保護層材引張り工程を備えることを特徴とする膜−保護層材連続接合方法。 - 帯状の膜と、一定間隔で中抜きされて連続する梯子状とされた保護層材とを、長さ方向に重ね合わせながら同方向に搬送させ、接合手段によって前記膜と保護層材とを連続的に接合する膜−保護層材連続接合装置であって、
前記接合手段によって前記膜と保護層材とを接合する直前に、前記保護層材の、隣接する中抜きされた部分の境界をなす橋渡し部に対して、その両端側から各々外側への張力を付与する保護層材引張り手段を備えることを特徴とする膜−保護層材連続接合装置。 - 前記保護層材引張り手段は、
前記搬送の方向の下流側を上方に向けた平面視にてほぼハの字形に回転軸が向けられた一対のロールと、
少なくとも前記保護層材に接触中は各々保護層材外側への張力を付与する方向に前記一対のロールを回転させるロール回転手段と、
前記一対のロールを、その下方に前記保護層材の橋渡し部外側部分が差し掛かるとき又は差し掛かかったときには保護層材接触位置に進行移動させ、前記橋渡し部外側部分が通り過ぎるとき又は通り過ぎたときには前記保護層材非接触位置に復帰移動させるロール移動手段とを、
備えてなることを特徴とする請求項2に記載の膜−保護層材連続接合装置。 - 前記保護層材引張り手段は、
前記保護層材の外周端縁を把持可能な一対のクランパと、
この一対のクランパを、その対向位置に、前記保護層材の橋渡し部外側部分が差し掛かるとき又は差し掛かかったときには保護層材把持位置に進行移動させてその橋渡し部外側部分を把持させ、その把持位置から各々保護層材外側への移動をさせながら前記搬送と同期して一定距離移動させた後に前記把持を解いて、前記保護層材非把持位置に復帰移動させるクランパ移動制御手段とを、
備えてなることを特徴とする請求項2に記載の膜−保護層材連続接合装置。
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