JP5109595B2 - 調湿装置 - Google Patents

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Description

本発明は、除湿運転と加湿運転とが選択的に実行される調湿装置に関するものである。
従来より、室外空気や室内空気を調湿し、調湿後の空気を室内へ供給する調湿装置が知られている。この種の調湿装置として、特許文献1には、吸着剤が担持された吸着熱交換器を調湿手段として用いるものが開示されている。
特許文献1の調湿装置は、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる冷媒回路を有している。冷媒回路には、圧縮機と、第1吸着熱交換器と、第2吸着熱交換器と、膨張弁と、四方切換弁(冷媒流路切換機構)とが接続されている。圧縮機は、ケーシング内の所定の収容室に設けられている。また、第1吸着熱交換器と第2吸着熱交換器とは、ケーシング内の第1熱交換器室及び第2吸着熱交換器室にそれぞれ設けられている。
冷媒回路では、四路切換弁の設定に応じて冷媒の循環方向が可逆に切り換え可能となっている。具体的に、冷媒回路では、四路切換弁の設定が所定時間おきに切り換わることで、第1吸着熱交換器を高圧冷媒が流れて第2吸着熱交換器を低圧冷媒が流れる第1の動作と、第1吸着熱交換器を低圧冷媒が流れて第2吸着熱交換器を高圧冷媒が流れる動作とが交互に行われる。
低圧冷媒を流れる方の吸着熱交換器(蒸発器)では、吸着剤に空気中の水分が吸着される。高圧冷媒を流れる方の吸着熱交換器(凝縮器若しくは放熱器)では、水分が吸着剤から脱離して空気に付与される。このように、各吸着熱交換器では、四路切換弁の切り換えに伴い、水分を吸着する動作(吸着動作)と水分を脱離する動作(再生動作)とが交互に行われる。
この調湿装置は、室内を除湿する除湿運転と室内を加湿する加湿運転とが選択的に実行可能に構成されている。例えば除湿運転中の調湿装置では、第1及び第2の吸着熱交換器のうち蒸発器として動作する方を通過した空気が室内へ供給されて、凝縮器として動作する方を通過した空気が室外へ排出されるように、ケーシング内での空気の流通経路が設定される。また、加湿運転中の調湿装置では、第1及び第2の吸着熱交換器のうち凝縮器として動作する方を通過した空気が室内へ供給されて、蒸発器として動作する方を通過した空気が室外へ排出されるように空気の流通経路が設定される。この調湿装置では、このような空気の流通経路を複数のダンパの開閉動作によって切り換えるようにしている。
特開2005−291532号公報
ところで、特許文献1に開示されている調湿装置において、除湿運転や加湿運転のうち温湿度条件に併せた最適なモードを判定し、いずれかの運転を自動的に実行させることが考えられる。即ち、例えば室外の湿度条件(湿度負荷)に応じて除湿運転や加湿運転を自動的に切り換えて行うことで、ユーザー等がリモコン等で運転切り換えの操作をせずとも室内の湿度を最適に維持することができる。
一方、この種の調湿装置は、天井裏等の室内空間に設置されるのが一般的である。従って、上述の如く室外の湿度を検出しようとする場合には、室外の湿度を検出するための湿度センサを室外に配置し、この湿度センサを室内側の装置と配線で繋ぐ必要があり、装置構造が複雑化してしまう。また、調湿装置のケーシング内の室外空気が流れる通路に湿度センサを配置し、室外空気の湿度を検出することも考えられる。しかしながら、停止状態の調湿装置を立ち上げる際には、この通路に空気が滞っているので、この通路内が室内に近い雰囲気となり易い。このため、調湿装置の運転開始時には、実際の室外の湿度を正しく検出することができず、除湿運転と加湿運転のいずれを開始すべきかを適切に把握できない虞がある。その結果、運転立ち上げ時に誤ったモードで運転を開始してしまい、室内の湿度状態が悪化してしまったり、誤った運転により無駄な動力を費やしてしまったり、という問題が生じる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、室内の除湿運転や加湿運転を行う調湿装置において、自動的に適切な運転を判定して実行できるようにすることである。
第1の発明は、ケーシング(11)と、該ケーシング(11)内に設けられて空気の除湿と加湿とを選択的に行う調湿手段(50,51,52)とを備え、上記ケーシング(11)に取り込んだ室外空気を調湿手段(50,51,52)で除湿して室内へ供給する除湿運転と、ケーシング(11)に取り込んだ空気を調湿手段(50,51,52)で加湿して室内へ供給する加湿運転とを行う調湿装置を前提としている。そして、この調湿装置は、上記ケーシング(11)内には、取り込んだ室外空気の湿度を検出する外気湿度検出部(97)が設けられ、上記調湿手段は、熱交換器室(37,38)に収容され且つ表面に吸着剤が担持される吸着熱交換器(51,52)が接続されると共に、上記除湿運転時に吸着熱交換器(51,52)の吸着剤を加熱し、上記加湿運転時に吸着熱交換器(51,52)の吸着剤を冷却する熱媒体が流れる熱媒回路(50)を備え、上記ケーシング(11)内には、上記熱交換器室(37,38)を開閉して空気流路を切り換えるための複数のダンパ(41〜48)が設けられ、停止中に運転開始の信号が入力されると、上記吸着熱交換器(51,52)を停止状態としたまま、ケーシング(11)内に取り込んだ室外空気が上記外気湿度検出部(97)上記熱交換器室(37,38)を順に通過し室外へ排出されるように送風ファン(25)を運転させると共に、外気湿度検出部(97)で検出した湿度に基づいて上記除湿運転と加湿運転とのいずれを行うかを判定するモード判定運転を行い、該モード判定運転で判定された運転をその後に開始させる制御手段(120)を備え、上記複数のダンパ(41〜48)は、上記モード判定運転の前の停止中において、上記熱交換器室(37,38)を閉空間とするように閉状態となることを特徴とすることを特徴とするものである。なお、ここでいう「室外空気の湿度」は、室外空気の絶対湿度と相対湿度との双方を含む意味のものである。
第1の発明の調湿装置では、ケーシング(11)に取り込まれた室外空気が調湿手段(50,51,52,100,111,112,162)によって除湿又は加湿されて室内へ供給される。第1の発明では、除湿運転や加湿運転を開始させる前に、除湿運転と加湿運転とのいずれを開始させるかを判定するモード判定運転を行う。このモード判定運転では、外気湿度検出部(97)で検出した湿度に基づいて除湿運転又は加湿運転のいずれを行うかが判定される。
具体的に、停止状態の調湿装置に対してリモコン等から運転開始信号が入力されると、制御手段(120)は送風ファン(25)を起動させる。これにより、室外空気がケーシング(11)内に取り込まれて所定の空気通路を流れる。この空気通路には外気湿度検出部(97)が配置されており、外気湿度検出部(97)の周りは速やかに室外空気の雰囲気となる。従って、外気湿度検出部(97)によって、室外の湿度を正確に検出することができる。
モード判定運転中には、検出された室外の湿度に基づいて除湿運転と加湿運転とのいずれを行うべきかが判定される。具体的に、例えば室外の湿度が比較的高い場合には室内を除湿する必要があると判断して除湿運転を開始させる。また、例えば室外の湿度が比較的低い場合には室内を加湿する必要があると判断して加湿運転を開始させる。
の発明では、モード判定運転時に送風ファン(25)が起動されると、ケーシング(11)内に取り込まれた空気は、外気湿度検出部(97)を通過した後、再び室外へ排出される。このモード判定運転においては、取り込まれた室外空気が室内へ供給されない。従って、モード判定運転時において、ケーシング(11)に取り込んだ室外空気が室内へ供給されることで、室内の湿度状態が悪化してしまうのを防止できる。
の発明では、モード判定時において、ケーシング(11)内に取り込まれた空気が、外気湿度検出部(97)を通過した後、更に吸着熱交換器(51,52)を通過して室外へ排出される。つまり、調湿装置の運転開始時には、室外空気が吸着熱交換器(51,52)を流通してから室外へ排出される。
の発明の調湿手段は、吸着ユニットとしての吸着熱交換器(51,52)と、吸着熱交換器(51,52)が接続されて熱媒体が流れる熱媒回路(50)とを備える。熱媒回路(50)には熱媒体が流通しており、この熱媒体が吸着熱交換器(51,52)を流れることで、吸着熱交換器(51,52)の吸着剤が加熱又は冷却される。具体的に、除湿運転中の吸着熱交換器(51,52)では、吸着剤が熱媒体によって冷却される。この状態の吸着熱交換器(51,52)を室外空気が通過すると、空気中の水分が吸着剤に吸着されると共にこの際生じる吸着熱が熱媒体に冷却される。以上のようにして除湿された空気は、室内へ供給される。また、加湿運転中の吸着熱交換器(51,52)では、吸着剤が熱媒体によって加熱される。この状態の吸着熱交換器(51,52)を室外空気が通過すると、加熱により吸着剤から脱離した水分が室外空気へ放出される。以上のようにして加湿された空気は、室内へ供給される。
第3の発明では、モード判定運転時において、送風ファン(25)の風量が一定に制御される。これにより、外気湿度検出部(97)の近傍を流れる風量も一定となるので、外気湿度検出部(97)で検出される外気湿度が安定し易くなる。従って、外気湿度検出部(97)の検出精度が向上し、ひいては除湿運転と加湿運転の判定精度が向上する。
本発明では、調湿装置の運転開始時にケーシング(11)内に取り込んだ室外空気の湿度を外気湿度検出部(97)で検出し、検出した外気湿度に基づいて除湿運転と加湿運転のいずれを行うかのモード判定運転を行うようにしている。これにより、本発明によれば、ケーシング(11)内に外気湿度検出部(97)を配置しながら、外気湿度検出部(97)の周りを確実に室外空気の雰囲気として外気湿度を検出できる。従って、例えば外気湿度検出部(97)を室外に配置する場合と比較して装置構造の簡素化を図ることができる。また、外気湿度の検出精度を向上できる。その結果、この調湿装置において、運転開始時にどちらの運転が最適であるかを確実に判定でき、その後に除湿運転か加湿運転を自動的に開始させて室内の湿度を最適に維持できる。
の発明では、モード判定運転時において、外気湿度検出部(97)を通過させた室外空気を室外へ排出するようにしている。このため、このモード判定運転中においては、取り込んだ室外空気を室内へ供給することなく、外気湿度検出部(97)の周囲を室外空気の雰囲気とすることができる。従って、外気湿度検出部(97)で検出する外気湿度の精度を向上でき、且つ室外空気が室内へ供給されて室内の湿度状態が悪化してしまうことも回避できる
また、停止状態の調湿装置の運転を開始する際、いきなり空気を室内へ供給すると、ケーシング(11)内に溜まり込んでいた臭気(例えばタバコ臭、アンモニア臭、カビ臭等)が同時に室内へ供給されて室内の快適性が損なわれてしまう虞がある。しかしながら、本発明では、調湿装置の運転開始時には上記モード判定運転により、ケーシング内の空気が室外へ排出されるので、このような臭気を確実に室外へ追い出すことができる。従って、その後の除湿運転や加湿運転の開始時には、清浄な空気を室内へ供給することができる。
また、第3の発明では、モード判定運転時に送風ファン(25)の風量を一定となるように制御しているので、外気湿度検出部(97)により正確に外気湿度を検出でき、2つの運転への移行判定の精度が更に向上する
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態の調湿装置(10)は、室内の湿度調節と共に室内の換気を行うものであり、取り込んだ室外空気(OA)を湿度調節して室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)を室外に排出する。
〈調湿装置の全体構成〉
調湿装置(10)について、図1,図2を適宜参照しながら説明する。なお、ここでの説明で用いる「上」「下」「左」「右」「前」「後」「手前」「奥」は、特にことわらない限り、調湿装置(10)を前面側から見た場合の方向を意味している。
調湿装置(10)は、ケーシング(11)を備えている。また、ケーシング(11)内には、冷媒回路(50)が収容されている。この冷媒回路(50)には、第1吸着熱交換器(51)、第2吸着熱交換器(52)、圧縮機(53)、四方切換弁(54)、及び電動膨張弁(55)が接続されている。冷媒回路(50)の詳細は後述する。
ケーシング(11)は、やや扁平で高さが比較的低い直方体状に形成されている。図1に示すケーシング(11)では、左手前の側面(即ち、前面)が前面パネル部(12)となり、右奥の側面(即ち、背面)が背面パネル部(13)となり、右手前の側面が第1側面パネル部(14)となり、左奥の側面が第2側面パネル部(15)となっている。
ケーシング(11)には、外気吸込口(24)と、内気吸込口(23)と、給気口(22)と、排気口(21)とが形成されている。外気吸込口(24)及び内気吸込口(23)は、背面パネル部(13)に開口している。外気吸込口(24)は、背面パネル部(13)の下側部分に配置されている。内気吸込口(23)は、背面パネル部(13)の上側部分に配置されている。給気口(22)は、第1側面パネル部(14)における前面パネル部(12)側の端部付近に配置されている。排気口(21)は、第2側面パネル部(15)における前面パネル部(12)側の端部付近に配置されている。
ケーシング(11)の内部空間には、上流側仕切板(71)と、下流側仕切板(72)と、中央仕切板(73)と、第1仕切板(74)と、第2仕切板(75)とが設けられている。これらの仕切板(71〜75)は、何れもケーシング(11)の底板に立設されており、ケーシング(11)の内部空間をケーシング(11)の底板から天板に亘って区画している。
上流側仕切板(71)及び下流側仕切板(72)は、前面パネル部(12)及び背面パネル部(13)と平行な姿勢で、ケーシング(11)の前後方向に所定の間隔をおいて配置されている。上流側仕切板(71)は、背面パネル部(13)寄りに配置されている。下流側仕切板(72)は、前面パネル部(12)寄りに配置されている。
第1仕切板(74)及び第2仕切板(75)は、第1側面パネル部(14)及び第2側面パネル部(15)と平行な姿勢で設置されている。第1仕切板(74)は、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間を右側から塞ぐように、第1側面パネル部(14)から所定の間隔をおいて配置されている。第2仕切板(75)は、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間を左側から塞ぐように、第2側面パネル部(15)から所定の間隔をおいて配置されている。
中央仕切板(73)は、上流側仕切板(71)及び下流側仕切板(72)と直交する姿勢で、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間に配置されている。中央仕切板(73)は、上流側仕切板(71)から下流側仕切板(72)に亘って設けられ、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間を左右に区画している。
ケーシング(11)内において、上流側仕切板(71)と背面パネル部(13)の間の空間は、上下2つの空間に仕切られており、上側の空間が内気側通路(32)を構成し、下側の空間が外気側通路(34)を構成している。内気側通路(32)は、内気吸込口(23)に接続するダクトを介して室内と連通している。内気側通路(32)には、内気側フィルタ(27)と内気湿度センサ(96)とが設置されている。内気湿度センサ(96)は、室内空気の湿度を検出するための内気湿度検出部を構成している。外気側通路(34)は、外気吸込口(24)に接続するダクトを介して室外空間と連通している。外気側通路(34)には、外気側フィルタ(28)と外気湿度センサ(97)とが設置されている。外気湿度センサ(97)は、室外空気の湿度を検出するための外気湿度検出部を構成している。
ケーシング(11)内における上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間は、中央仕切板(73)によって左右に区画されており、中央仕切板(73)の右側の空間が第1熱交換器室(37)を構成し、中央仕切板(73)の左側の空間が第2熱交換器室(38)を構成している。第1熱交換器室(37)には、第1吸着熱交換器(51)が収容されている。第2熱交換器室(38)には、第2吸着熱交換器(52)が収容されている。また、図示しないが、第1熱交換器室(37)には、冷媒回路(50)の電動膨張弁(55)が収容されている。
各吸着熱交換器(51,52)は、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器の表面に吸着剤を担持させたものであって、全体として長方形の厚板状あるいは扁平な直方体状に形成されている。各吸着熱交換器(51,52)は、その前面及び背面が上流側仕切板(71)及び下流側仕切板(72)と平行になる姿勢で、熱交換器室(37,38)内に立設されている。各吸着熱交換器(51,52)は、吸着剤を有する吸着ユニットを構成している。そして、冷媒回路(50)及び吸着熱交換器(51,52)が、空気の湿度を調節するための調湿手段を構成している。
ケーシング(11)の内部空間において、下流側仕切板(72)の前面に沿った空間は、上下に仕切られており、この上下に仕切られた空間のうち、上側の部分が給気側通路(31)を構成し、下側の部分が排気側通路(33)を構成している。
上流側仕切板(71)には、開閉式のダンパ(41〜44)が4つ設けられている。各ダンパ(41〜44)は、概ね横長の長方形状に形成されている。具体的に、上流側仕切板(71)のうち内気側通路(32)に面する部分(上側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1内気側ダンパ(41)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2内気側ダンパ(42)が取り付けられる。また、上流側仕切板(71)のうち外気側通路(34)に面する部分(下側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1外気側ダンパ(43)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2外気側ダンパ(44)が取り付けられる。
下流側仕切板(72)には、開閉式のダンパ(45〜48)が4つ設けられている。各ダンパ(45〜48)は、概ね横長の長方形状に形成されている。具体的に、下流側仕切板(72)のうち給気側通路(31)に面する部分(上側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1給気側ダンパ(45)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2給気側ダンパ(46)が取り付けられる。また、下流側仕切板(72)のうち排気側通路(33)に面する部分(下側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1排気側ダンパ(47)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2排気側ダンパ(48)が取り付けられる。
ケーシング(11)内において、給気側通路(31)及び排気側通路(33)と前面パネル部(12)との間の空間は、仕切板(77)によって左右に仕切られており、仕切板(77)の右側の空間が給気ファン室(36)を構成し、仕切板(77)の左側の空間が排気ファン室(35)を構成している。
給気ファン室(36)には、給気ファン(26)が収容されている。また、排気ファン室(35)には排気ファン(25)が収容されている。給気ファン(26)及び排気ファン(25)は、何れも遠心型の多翼ファン(いわゆるシロッコファン)である。給気ファン(26)は、下流側仕切板(72)側から吸い込んだ空気を給気口(22)へ吹き出す。排気ファン(25)は、下流側仕切板(72)側から吸い込んだ空気を排気口(21)へ吹き出す。
給気ファン室(36)には、冷媒回路(50)の圧縮機(53)と四方切換弁(54)とが収容されている。圧縮機(53)及び四方切換弁(54)は、給気ファン室(36)における給気ファン(26)と仕切板(77)との間に配置されている。圧縮機(53)は、圧縮機モータの回転数が可変(即ち、容量が可変)なインバータ式の圧縮機で構成されている。
ケーシング(11)内において、第1仕切板(74)と第1側面パネル部(14)の間の空間は、第1バイパス通路(81)を構成している。第1バイパス通路(81)の始端は、外気側通路(34)だけに連通しており、内気側通路(32)からは遮断されている。第1バイパス通路(81)の終端は、仕切板(78)によって、給気側通路(31)、排気側通路(33)、及び給気ファン室(36)から区画されている。仕切板(78)のうち給気ファン室(36)に臨む部分には、第1バイパス用ダンパ(83)が設けられている。
ケーシング(11)内において、第2仕切板(75)と第2側面パネル部(15)の間の空間は、第2バイパス通路(82)を構成している。第2バイパス通路(82)の始端は、内気側通路(32)だけに連通しており、外気側通路(34)からは遮断されている。第2バイパス通路(82)の終端は、仕切板(79)によって、給気側通路(31)、排気側通路(33)、及び排気ファン室(35)から区画されている。仕切板(79)のうち排気ファン室(35)に臨む部分には、第2バイパス用ダンパ(84)が設けられている。
なお、図2の右側面図及び左側面図では、第1バイパス通路(81)、第2バイパス通路(82)、第1バイパス用ダンパ(83)、及び第2バイパス用ダンパ(84)の図示を省略している。
〈冷媒回路の構成〉
図3に示すように、冷媒回路(50)は、第1吸着熱交換器(51)、第2吸着熱交換器(52)、圧縮機(53)、四方切換弁(54)、及び電動膨張弁(55)が設けられた閉回路である。この冷媒回路(50)は、充填された冷媒を循環させることによって、蒸気圧縮冷凍サイクルを行う。冷媒回路(50)は、熱媒体としての冷媒が流れて、冷媒により吸着熱交換器(51,52)の吸着剤を加熱又は冷却する熱媒回路を構成している。
冷媒回路(50)において、圧縮機(53)は、その吐出側が四方切換弁(54)の第1のポートに、その吸入側が四方切換弁(54)の第2のポートにそれぞれ接続されている。また、冷媒回路(50)では、第1吸着熱交換器(51)と電動膨張弁(55)と第2吸着熱交換器(52)とが、四方切換弁(54)の第3のポートから第4のポートへ向かって順に接続されている。
四方切換弁(54)は、第1のポートと第3のポートが連通して第2のポートと第4のポートが連通する第1状態(図3(A)に示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通して第2のポートと第3のポートが連通する第2状態(図3(B)に示す状態)とに切り換え可能となっている。このような四方切換弁(54)の設定の切り換えに応じて、冷媒回路(50)での冷媒の循環方向が反転する。そして、冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)の切り換えに応じて、第1吸着熱交換器(51)を高圧冷媒が流れて第2吸着熱交換器(52)を低圧冷媒が流れる動作と、第1吸着熱交換器(51)を低圧冷媒が流れて第2吸着熱交換器(52)を高圧冷媒が流れる動作とが交互に行われる。また、上記電動膨張弁(55)は、開度が調節自在なパルスモータ駆動方式の電子膨張弁で構成されている。
冷媒回路(50)において、圧縮機(53)の吐出側と四方切換弁(54)の第1のポートとを繋ぐ配管には、高圧圧力センサ(91)と、吐出管温度センサ(93)とが取り付けられている。高圧圧力センサ(91)は、圧縮機(53)から吐出された冷媒の圧力を計測する。吐出管温度センサ(93)は、圧縮機(53)から吐出された冷媒の温度を計測する。
また、冷媒回路(50)において、圧縮機(53)の吸入側と四方切換弁(54)の第2のポートとを繋ぐ配管には、低圧圧力センサ(92)と、吸入管温度センサ(94)とが取り付けられている。低圧圧力センサ(92)は、圧縮機(53)へ吸入される冷媒の圧力を計測する。吸入管温度センサ(94)は、圧縮機(53)へ吸入される冷媒の温度を計測する。
また、冷媒回路(50)において、四方切換弁(54)の第3のポートと第1吸着熱交換器(51)とを繋ぐ配管には、配管温度センサ(95)が取り付けられている。配管温度センサ(95)は、この配管における四方切換弁(54)の近傍に配置され、配管内を流れる冷媒の温度を計測する。
〈制御部の構成〉
図4に示すように、調湿装置(10)には、制御手段としての制御部(120)が設けられている。制御部(120)は、上述した各センサで計測した検出値が入力される。また、制御部(120)は、圧縮機(53)や四方切換弁(54)や電動膨張弁(55)等の各構成機器へ制御信号を出力する。制御部(120)は、圧縮機制御部(121)とファン制御部(122)とダンパ制御部(123)とモード判定部(124)とを備えている。
圧縮機制御部(121)は、圧縮機(53)の発停や運転周波数(即ち、圧縮機の容量)を制御するものである。つまり、圧縮機制御部(121)は、圧縮機モータへの出力周波数を制御することで、圧縮機(53)の回転数を調節する。
より具体的には、制御部(120)には、調湿装置(10)の調湿能力(除湿能力や加湿能力)と、圧縮機(53)の運転周波数とが関連付けられたデータベース(相関式)が記憶されている。制御部(120)は、室内を最適な湿度に維持するための調湿能力(必要調湿能力)を算出し、上記データベースに基づいて算出後の調湿能力を満たすような圧縮機(53)の運転周波数(必要運転周波数)を求める。なお、上記必要調湿能力は、内気湿度センサ(96)で測定した室内空気の湿度、外気湿度センサ(97)で測定した室外空気の湿度、室内空気の温度、室外空気の温度、室内の設定湿度(例えばユーザー等が入力した目標湿度)、室内の設定温度(例えばユーザー等が入力した目標温度)等に基づいて算出される。圧縮機制御部(121)は、圧縮機(53)の運転周波数が上記必要運転周波数に近づくように圧縮機(53)を制御する。これにより、冷媒回路(50)での冷媒循環量が変化し、ひいては各吸着熱交換器(51,52)での放熱量や吸熱量が変化する。その結果、各吸着熱交換器(51,52)の吸着剤における水分の吸着量や脱着量も変化し、最終的には空気の除湿能力や加湿能力が調節される。
ファン制御部(122)は、送風ファンとしての給気ファン(26)及び排気ファン(25)の各送風ファンを制御するものである。ファン制御部(122)は、各ファン(25,26)の発停及びファンモータの回転数を個別に制御する。また、制御部(120)には、運転中の各ファン(25,26)の回転数と、この際の各ファン(25,26)の消費電力が適宜入力される。制御部(120)には、各ファン(25,26)についての風量(体積流量)、回転数、及び消費電力とが関連づけられたデータベース(関係式等)が記憶されている。そして、制御部(120)では、これらの関係式から各ファン(25,26)の風量を目標風量とするためのファンモータの目標回転数が適宜算出される。
ファン制御部(122)は、各ファン(25,26)の回転数が算出後の目標回転数となるように各ファン(25,26)のファンモータを制御する。これにより、調湿装置(10)のダクトや空気通路の通路抵抗(圧力損失)が変化しても、各ファン(25,26)の風量が一定に制御可能となる。
ダンパ制御部(123)は、上述した各ダンパ(41〜50)の状態を開状態と閉状態との間で切り換える制御を行うものである。ダンパ制御部(123)は、上述した10箇所のダンパ(41〜50)を個別に制御して開閉させる。
モード判定部(124)は、調湿装置(10)の運転条件に基づいて、その後にどの運転を行うべきかを判定するものである。具体的に、本実施形態のモード判定部(124)は、外気湿度センサ(97)で検出した室外空気の湿度(外気湿度)に基づいて、いずれの運転を実行するかを判定するモード判定運転を行う。その後、制御部(120)は、判定された運転を自動的に開始させるように調湿装置(10)を制御する。
また、上記モード判定運転は、少なくとも停止状態の調湿装置(10)の運転を開始させる毎に実行される。つまり、停止中の調湿装置(10)において、例えばユーザー等によるリモコンの操作により制御部(120)へ運転開始の信号が入力されると、モード判定運転が行われる。モード判定運転の詳細は後述する。
−運転動作−
本実施形態の調湿装置(10)は、室内の湿度を調湿する通常運転としての除湿換気運転及び加湿換気運転と、単純換気運転とを選択的に行う。また、調湿装置(10)は、吸着熱交換器(51,52)の吸着剤に吸着してしまった臭気物質(アンモニアやタバコ臭)を脱離させて室外へ放出するパージ運転も可能に構成されている。
除湿換気運転中や加湿換気運転中の調湿装置(10)は、取り込んだ室外空気(OA)を湿度調節してから供給空気(SA)として室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)を排出空気(EA)として室外へ排出する。単純換気運転中の調湿装置(10)は、取り込んだ室外空気(OA)をそのまま供給空気(SA)として室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)をそのまま排出空気(EA)として室外へ排出する。パージ運転中には、取り込んだ室外空気(OA)を排出空気(EA)として室外へ排出する一方、室内空気(RA)の取り込みや、供給空気(SA)の室内への供給はされない。
〈除湿換気運転〉
除湿換気運転中の調湿装置(10)では、後述する第1動作と第2動作が所定の時間間隔(3分間隔)で交互に繰り返される。この除湿換気運転中において、第1バイパス用ダンパ(83)及び第2バイパス用ダンパ(84)は、常に閉状態となる。
除湿換気運転中の調湿装置(10)では、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ第1空気として取り込まれ、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ第2空気として取り込まれる。
先ず、除湿換気運転の第1動作について説明する。図5に示すように、この第1動作中には、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が開状態となり、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。また、この第1動作中の冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)が第1状態(図3(A)に示す状態)に設定され、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器となって第2吸着熱交換器(52)が蒸発器となる。
外気側通路(34)へ流入して外気側フィルタ(28)を通過した第1空気は、第2外気側ダンパ(44)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(52)で除湿された第1空気は、第2給気側ダンパ(46)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
一方、内気側通路(32)へ流入して内気側フィルタ(27)を通過した第2空気は、第1内気側ダンパ(41)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(51)で水分を付与された第2空気は、第1排気側ダンパ(47)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
次に、除湿換気運転の第2動作について説明する。図6に示すように、この第2動作中には、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が閉状態となる。また、この第2動作中の冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)が第2状態(図3(B)に示す状態)に設定され、第1吸着熱交換器(51)が蒸発器となって第2吸着熱交換器(52)が凝縮器となる。
外気側通路(34)へ流入して外気側フィルタ(28)を通過した第1空気は、第1外気側ダンパ(43)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(51)で除湿された第1空気は、第1給気側ダンパ(45)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
一方、内気側通路(32)へ流入して内気側フィルタ(27)を通過した第2空気は、第2内気側ダンパ(42)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(52)で水分を付与された第2空気は、第2排気側ダンパ(48)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
〈加湿換気運転〉
加湿換気運転中の調湿装置(10)では、後述する第1動作と第2動作が所定の時間間隔(例えば4分間隔)で交互に繰り返される。この加湿換気運転中において、第1バイパス用ダンパ(83)及び第2バイパス用ダンパ(84)は、常に閉状態となる。
加湿換気運転中の調湿装置(10)では、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ第2空気として取り込まれ、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ第1空気として取り込まれる。
先ず、加湿換気運転の第1動作について説明する。図7に示すように、この第1動作中には、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が閉状態となる。また、この第1動作中の冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)が第1状態(図3(A)に示す状態)に設定され、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器となって第2吸着熱交換器(52)が蒸発器となる。
内気側通路(32)へ流入して内気側フィルタ(27)を通過した第1空気は、第2内気側ダンパ(42)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(52)で水分を奪われた第1空気は、第2排気側ダンパ(48)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
一方、外気側通路(34)へ流入して外気側フィルタ(28)を通過した第2空気は、第1外気側ダンパ(43)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(51)で加湿された第2空気は、第1給気側ダンパ(45)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
次に、加湿換気運転の第2動作について説明する。図8に示すように、この第2動作中には、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が開状態となり、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。また、この第2動作中の冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)が第2状態(図3(B)に示す状態)に設定され、第1吸着熱交換器(51)が蒸発器となって第2吸着熱交換器(52)が凝縮器となる。
内気側通路(32)へ流入して内気側フィルタ(27)を通過した第1空気は、第1内気側ダンパ(41)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(51)で水分を奪われた第1空気は、第1排気側ダンパ(47)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
一方、外気側通路(34)へ流入して外気側フィルタ(28)を通過した第2空気は、第2外気側ダンパ(44)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(52)で加湿された第2空気は、第2給気側ダンパ(46)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
〈単純換気運転〉
単純換気運転中における調湿装置(10)の動作について、図9を参照しながら説明する。
単純換気運転中の調湿装置(10)では、第1バイパス用ダンパ(83)及び第2バイパス用ダンパ(84)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第2外気側ダンパ(44)、第1給気側ダンパ(45)、第2給気側ダンパ(46)、第1排気側ダンパ(47)、及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。また、単純換気運転中において、冷媒回路(50)の圧縮機(53)は停止状態となる。
単純換気運転中の調湿装置(10)では、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ取り込まれる。外気吸込口(24)を通って外気側通路(34)へ流入した室外空気は、第1バイパス通路(81)から第1バイパス用ダンパ(83)を通って給気ファン室(36)へ流入し、その後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
また、単純換気運転中の調湿装置(10)では、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ取り込まれる。内気吸込口(23)を通って内気側通路(32)へ流入した室内空気は、第2バイパス通路(82)から第2バイパス用ダンパ(84)を通って排気ファン室(35)へ流入し、その後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
〈パージ運転〉
パージ運転中の調湿装置(10)では、後述する第1パージ動作と第2パージ動作とが1回ずつ行われる。第1パージ動作や第2パージ動作の各動作時間は、通常運転(除湿換気運転及び加湿換気運転)の各動作の動作時間よりも長い値に設定される。具体的に、各パージ動作の動作時間は、室外空気の温度と室外空気の湿度とから求められる室外空気の絶対湿度に基づいて決定される。即ち、制御部(120)は、室外空気の絶対湿度が低くなるほど上記動作時間を長く設定し、室外空気の絶対湿度が高くなるほど動作時間を短く設定する。また、ここで、パージ運転の各動作の動作時間は、10分間以上50分以下の範囲内で設定される。
図10に示すように、パージ運転中の調湿装置(10)では、第1外気側ダンパ(43)、第2外気側ダンパ(44)、第1排気側ダンパ(47)、及び第2排気側ダンパ(48)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2内気側ダンパ(42)、第1給気側ダンパ(45)、第2給気側ダンパ(46)、第1バイパス用ダンパ(83)、及び第2バイパス用ダンパ(84)が閉状態となる。また、パージ運転中の調湿装置(10)では、排気ファン(25)だけが運転され、給気ファン(26)は停止したままとなる。
パージ運転中において、外気側通路(34)へ流入した室外空気は、その一部が第1外気側ダンパ(43)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、残りが第2外気側ダンパ(44)を通って第2熱交換器室(38)へ流入する。第1熱交換器室(37)へ流入した空気は、第1吸着熱交換器(51)を通過後に第1排気側ダンパ(47)を通って排気側通路(33)へ流入する。第2熱交換器室(38)へ流入した空気は、第2吸着熱交換器(52)を通過後に第2排気側ダンパ(48)を通って排気側通路(33)へ流入する。そして、排気側通路(33)へ流入した空気は、排気ファン室(35)へ流入し、排気口(21)を通って室外へ排出される。
先ず、第1パージ動作について説明する。第1パージ動作中の冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)が第1状態(図3(A)に示す状態)に設定され、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器となって第2吸着熱交換器(52)が蒸発器となる。第1吸着熱交換器(51)では、冷媒が室外空気に対して放熱して凝縮する。第2吸着熱交換器(52)では、室外空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じる吸着熱を吸熱して冷媒が蒸発する。
第1パージ動作中において、第2吸着熱交換器(52)における冷媒の蒸発温度が室外空気の露点温度となるように圧縮機(53)の容量が調節され、第2吸着熱交換器(52)から流出した冷媒の吸入過熱度が所定の目標値となるように電動膨張弁(55)の開度が調節される。
このように、第1パージ動作中には、第2吸着熱交換器(52)に空気中の水分が吸着されてゆく。そして、第1パージ動作の終了直前において、第2吸着熱交換器(52)の含水率(即ち、吸着熱交換器に吸着されている水分量の、吸着熱交換器が吸着可能な水分量に対する割合)が90%以上になる。除湿換気運転や加湿換気運転において、第1通常動作の終了直前における第2吸着熱交換器(52)の含水率は、70%程度である。従って、第1パージ動作の終了直前における第2吸着熱交換器(52)の含水量は、第1通常動作の終了直前における第2吸着熱交換器(52)の含水量よりも多くなる。
ここで、調湿装置(10)は空気の湿度を調節するためのものであるため、そこでは水(H2O)を吸着する能力の高い吸着剤が用いられる。また、空気中に存在する水蒸気の量は臭気物質の量に比べて非常に多くいため、空気における水蒸気の分圧は臭気物質の分圧に比べて非常に高い。従って、吸着熱交換器(51,52)の吸着剤に対する吸着力は、水の方が臭気物質に比べて高くなる。
このため、第1パージ動作によって第2吸着熱交換器(52)の含水率が高くなると、吸着剤に対する吸着力の強い水蒸気が優先的に吸着剤に吸着され、それまで吸着剤に吸着されていたアンモニア等の臭気物質が吸着剤から脱離してゆく。第2吸着熱交換器(52)から脱離した臭気物質は、第2吸着熱交換器(52)を通過する室外空気と共に流れて室外へ排出される。
次に、第2パージ動作について説明する。第2パージ動作中の冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)が第2状態(図3(B)に示す状態)に設定され、第2吸着熱交換器(52)が凝縮器となって第1吸着熱交換器(51)が蒸発器となる。第2吸着熱交換器(52)では、冷媒が室外空気に対して放熱して凝縮する。第1吸着熱交換器(51)では、室外空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じる吸着熱を吸熱して冷媒が蒸発する。
第2パージ動作中において、第1吸着熱交換器(51)における冷媒の蒸発温度が室外空気の露点温度となるように圧縮機(53)の容量が調節され、第1吸着熱交換器(51)から流出した冷媒の過熱度が所定の目標値となるように電動膨張弁(55)の開度が調節される。
このように、第2パージ動作中には、第1吸着熱交換器(51)に空気中の水分が吸着されてゆく。そして、第2パージ動作の終了直前において、第1吸着熱交換器(51)の含水率が90%以上になる。除湿換気運転や加湿換気運転において、第2通常動作の終了直前における第1吸着熱交換器(51)の含水率は、70%程度である。従って、第2パージ動作の終了直前における第1吸着熱交換器(51)の含水量は、第1通常動作の終了直前における第1吸着熱交換器(51)の含水量よりも多くなる。
上述したように、吸着熱交換器(51,52)の吸着剤に対する吸着力は、水の方が臭気物質に比べて高くなる。このため、第2パージ動作によって第1吸着熱交換器(51)の含水率が高くなると、吸着剤に対する吸着力の強い水蒸気が優先的に吸着剤に吸着され、それまで吸着剤に吸着されていたアンモニア等の臭気物質が吸着剤から脱離してゆく。第1吸着熱交換器(51)から脱離した臭気物質は、第1吸着熱交換器(51)を通過する室外空気と共に流れて室外へ排出される。
−運転開始時のモード判定運転について−
調湿装置(10)の運転開始時には、上述した各運転へ移行する前に以下のようなモード判定運転が実行される。以下には、モード判定運転の詳細について図11を参照しながら説明する。
停止状態の調湿装置(10)の制御部(120)に対して、リモコン等から運転開始の指令が入力されると、まず、複数のダンパ(41〜50)の異常検出動作が行われる。この異常検出動作では、各ダンパ(41〜50)を開状態とする指令、及び閉状態とする指令が順に出力され、これに連動して各ダンパ(41〜50)が適切に動作しているか否かが、リミットスイッチ等により確認される。
異常検出動作の後には、モード判定運転へ移行する。モード判定運転の実行指令が出力されると、ダンパ(43,44,47,48)が開状態となり、ダンパ(41,42,45,46,49,50)が閉状態となる。その後、排気ファン(25)の起動指令が出力されて排気ファン(25)が運転状態となる。一方、給気ファン(26)の起動指令は出力されず給気ファン(26)は停止したままである。即ち、モード判定運転では、各ファン(25,26)及び各ダンパ(41〜50)の状態が、上記パージ運転と同様となる(図10参照)。一方、モード判定運転では、パージ運転と異なり圧縮機(53)は停止したままである。つまり、モード判定運転では、各吸着熱交換器(51,52)での冷媒の流通が休止状態となり、各吸着熱交換器(51,52)の機能は実質的に停止したままである。
図10に示すように、排気ファン(25)が起動されると、室外空気(OA)がケーシング(11)に取り込まれ外気側通路(34)に流入する。外気側通路(34)に流入した空気は、外気湿度センサ(97)の近傍を流れながら一部が第1外気側ダンパ(43)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、残りが第2外気側ダンパ(44)を通って第2熱交換器室(38)へ流入する。第1熱交換器室(37)へ流入した空気は、第1吸着熱交換器(51)を通過後に第1排気側ダンパ(47)を通って排気側通路(33)へ流入する。第2熱交換器室(38)へ流入した空気は、第2吸着熱交換器(52)を通過後に第2排気側ダンパ(48)を通って排気側通路(33)へ流入する。そして、排気側通路(33)へ流入した空気は、排気ファン室(35)へ流入し、排気口(21)を通って室外へ排出される。
以上のようにモード判定運転では、ケーシング(11)へ取り込まれた室外空気が外気湿度センサ(97)の近傍を流れるようにして最終的には室外へ排出される。このような状態で、モード判定部(124)は外気湿度センサ(97)で検出した室外空気の湿度等に基づいて、その後にどの運転を行うべきかを判定する。
具体的に、モード判定部(124)では、外気湿度Rzoや外気温度To等に基づいて、上述した除湿換気運転、加湿換気運転、及び単純換気運転のいずれを行うかが判定される。なお、外気温度Toは、室外温度センサによって検出される室外空気の温度である。また、外気湿度Rzoは、外気湿度センサ(97)で検出した湿度(相対湿度)と上記外気温度Toとから求めた、室外空気の絶対湿度である。
また、モード判定運転では、排気ファン(25)の送風する空気の風量が一定となるようにモータ回転数が制御される。具体的に、モード判定運転の開始時には、排気ファン(25)が所定の回転数(例えば1500rpm程度)で運転される。ここで、制御部(120)には電力計で計測した排気ファン(25)の消費電力が入力される。計測した消費電力が低すぎる場合には、通路の抵抗が小さく風量が大きすぎると想定されるので、この場合には排気ファン(25)の目標回転数を小さくする補正が行われる。また、計測した消費電力が大きすぎる場合には、通路の抵抗が大きく風量が小さすぎると想定されるので、この場合には排気ファン(25)の風量を大きくする補正が行われる。以上のように、本実施形態のモード判定運転時には、ファンモータの消費電力に併せて目標回転数が段階的に補正されることで、排気ファン(25)の風量が一定となるように制御される。
このようなモード判定運転において、例えば以下の少なくとも2つの条件を全て満たす場合には「除湿換気運転」のモードが選択される。第1条件は、外気絶対湿度Rzoが所定の演算値以上であることである。この所定の演算値は、目標温度Taの飽和絶対湿度(以下、目標絶対湿度Rssatdという。)に所定の除湿係数を乗じた値である。目標温度Taは、ユーザによりリモコンに設定された室内温度の目標値である。第2条件は、外気絶対湿度Rzoが所定値以上であることである。
また、モード判定運転において、例えば以下の少なくとも4つの条件を全て満たす場合、「加湿換気運転」もモードが選択される。第1条件は、外気絶対湿度Rzoが所定の演算値以下であることである。この所定の演算値は、目標温度Taの飽和絶対湿度(以下、目標絶対湿度Rssathという。)に所定の加湿係数を乗じた値である。第2条件は、外気絶対湿度Rzoが所定値以下であることである。第3条件は、外気温度Toが所定の下限値Tomin以下であることである。第4条件は、外気温度Toが内気温度Tr未満であるか、または外気温度Toが所定値未満であることである。
また、モード判定運転において、上述した各条件以外の場合は、「単純換気運転」のモードが選択される。
以上のようなモード判定運転による運転モード判定は、排気ファン(25)の起動指令が出力されてタイマーがスタートしてから、このタイマーが所定時間後(例えば2分後)にカウントアップするまで継続的に行われる。そして、モード判定運転が終了すると、モード判定運転で判定された運転(除湿換気運転、加湿換気運転、及び換気運転)がその後に開始される。なお、上記モード判定運転について、外気湿度等の運転条件に基づいて上記パージ運転へ移行するかを判定するようにしても良い。また、上述したモード判定運転での判定方法を上述した除湿換気運転中、加湿換気運転中、単純換気運転中に行うようにしても良い。この場合には、上述した各運転の第1動作と第2動作の切り換えタイミングに併せて(例えば12分置きに)いずれの運転へ移行するかを同様の方法で判定する。なお、この場合には、室外外気を室内へ供給すると同時に室内空気を室外へ排出しながら同様の判定を行う。
−実施形態の効果−
上記実施形態では、調湿装置(10)の運転開始時にケーシング(11)内に取り込んだ室外空気の湿度を外気湿度センサ(97)で検出し、検出した外気湿度に基づいて各運転のいずれを行うかのモード判定運転を行うようにしている。これにより、ケーシング(11)内に外気湿度センサ(97)を配置しながら、外気湿度センサ(97)の周りを確実に室外空気の雰囲気として外気湿度を検出できる。従って、例えば外気湿度センサ(97)をケーシング(11)の外部の室外に配置する場合と比較して、装置構造の簡素化を図ることができる。また、外気湿度の検出精度を向上できる。その結果、この調湿装置(10)において、いずれの運転が最適であるかを正確に判断し、その後に判断された運転を開始させて室内の湿度管理を行うことができる。
また、上記モード判定運転時においては、外気湿度センサ(97)を通過させた室外空気を室外へ排出するようにしている。このため、このモード判定運転中においては、取り込んだ室外空気を室内へ供給することなく、外気湿度センサ(97)の周囲を室外空気の雰囲気とすることができる。従って、外気湿度センサ(97)で検出する外気湿度の精度を向上でき、且つ室外空気が室内へ供給されて室内の湿度状態が悪化してしまうことも回避できる。
また、停止状態の調湿装置(10)の運転を開始する際、いきなり空気を室内へ供給すると、ケーシング(11)内に溜まり込んでいた臭気(例えばタバコ臭、アンモニア臭、カビ臭等)が同時に室内へ供給されて室内の快適性が損なわれてしまう虞がある。しかしながら、調湿装置(10)の運転開始時には上記モード判定運転により、ケーシング内の空気が室外へ排出されるので、このような臭気を確実に室外へ追い出すことができる。従って、その後の除湿換気運転や加湿換気運転の開始時には、清浄な空気を室内へ供給することができる。
加えて、吸着熱交換器(51,52)の吸着剤には、上述のように臭気成分が吸着されている場合もある。ここで、モード判定運転時には、室外空気を吸着熱交換器(51,52)にも通過させてから室外へ排出することで、吸着熱交換器(51,52)の吸着剤に吸着されていた臭気成分も室外へ追い出すことが可能となる。
更に、モード判定運転中には、排気ファン(25)の風量を一定となるように制御しているので、外気湿度センサ(97)により正確に外気湿度を検出でき、各運転への移行判定の精度が更に向上する。また、モード判定運転中には、圧縮機(53)を停止させて冷媒回路(50)で冷凍サイクルを行っていないので、圧縮機(53)で無駄な動力を費やすことなく、各運転のモード判定を行うことができる。
−実施形態の変形例1−
本実施形態の冷媒回路(50)では、冷凍サイクルの高圧が冷媒の臨界圧力よりも高い値に設定される超臨界サイクルを行ってもよい。その場合、第1吸着熱交換器(51)及び第2吸着熱交換器(52)は、その一方がガスクーラとして動作し、他方が蒸発器として動作する。
−実施形態の変形例2−
本実施形態の調湿装置(10)では、第1吸着熱交換器(51)及び第2吸着熱交換器(52)に担持された吸着剤を冷媒によって加熱し又は冷却しているが、第1吸着熱交換器(51)及び第2吸着熱交換器(52)に対して冷水や温水を供給することで、吸着剤の加熱や冷却を行ってもよい。つまり、熱媒体が流れる冷水や温水が流れる冷温水回路を熱媒回路として構成しても良い。
参考形態1
図12に示すように、参考形態1の調湿装置(10)は、冷媒回路(100)と2つの吸着素子(111,112)とを備えている。冷媒回路(100)は、圧縮機(101)と凝縮器(102)と膨張弁(103)と蒸発器(104)が順に接続された閉回路である。冷媒回路(100)で冷媒を循環させると、蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。第1吸着素子(111)及び第2吸着素子(112)は、ゼオライト等の吸着剤を備えている。各吸着素子(111,112)には多数の空気通路が形成されており、この空気通路を通過する際に空気が吸着剤と接触する。以上のように、この調湿装置(10)では、吸着素子(111,112)が吸着ユニットを構成しており、各吸着素子(111,112)が空気の湿度を調節するための調湿手段を構成している。
参考形態1の調湿装置(10)は、除湿換気運転と、加湿換気運転と、単純換気運転とを選択的に行う。
除湿換気運転中や加湿換気運転中の調湿装置(10)は、第1動作と第2動作を所定の時間間隔で交互に繰り返し行う。除湿換気運転中の調湿装置(10)は、室外空気を第1空気として取り込み、室内空気を第2空気として取り込む。一方、加湿換気運転中の調湿装置(10)は、室内空気を第1空気として取り込み、室外空気を第2空気として取り込む。
先ず、除湿換気運転及び加湿換気運転の第1動作について、図12(A)を参照しながら説明する。第1動作中の調湿装置(10)は、凝縮器(102)で加熱された第2空気を第1吸着素子(111)へ供給する。第1吸着素子(111)では、吸着剤が第2空気によって加熱され、吸着剤から水分が脱離する。また、第1動作中の調湿装置(10)は、第1空気を第2吸着素子(112)へ供給し、第1空気中の水分を第2吸着素子(112)に吸着させる。第2吸着素子(112)に水分を奪われた第1空気は、蒸発器(104)を通過する際に冷却される。
次に、除湿換気運転及び加湿換気運転の第2動作について、図12(B)を参照しながら説明する。第2動作中の調湿装置(10)は、凝縮器(102)で加熱された第2空気を第2吸着素子(112)へ供給する。第2吸着素子(112)では、吸着剤が第2空気によって加熱され、吸着剤から水分が脱離する。また、第1動作中の調湿装置(10)は、第1空気を第1吸着素子(111)へ供給し、第1空気中の水分を第1吸着素子(111)に吸着させる。第1吸着素子(111)に水分を奪われた第1空気は、蒸発器(104)を通過する際に冷却される。
そして、除湿換気運転中の調湿装置(10)は、除湿された第1空気(室外空気)を室内へ供給し、吸着素子(111,112)から脱離した水分を第2空気(室内空気)と共に室外へ排出する。また、加湿換気運転中の調湿装置(10)は、加湿された第2空気(室外空気)を室内へ供給し、吸着素子(111,112)に水分を奪われた第1空気(室内空気)を室外へ排出する。
単純換気運転中の調湿装置(10)では、冷媒回路(100)の圧縮機(101)が停止状態になると共に、第1吸着素子(111)と第2吸着素子(112)のうち一方を室外空気が通過して他方を室内空気が通過する。そして、室外空気は吸着素子(111,112)を通過後に室内へ供給され、室内空気は吸着素子(111,112)を通過後に室外へ排出される。単純換気運転中の調湿装置(10)において、室外空気や室内空気の流通経路の切り換えは行われない。
この参考形態1においても、停止状態の調湿装置(10)の運転開始時において、上記実施形態と同様にして、除湿換気運転、加湿換気運転、及び単純換気運転のモード判定を行い、これらの運転を自動的に実行させるようにしても良い。
参考形態2
図13に示すように、参考形態2の調湿装置(10)は、本体ユニット(150)と熱源ユニット(165)とを備えている。
本体ユニット(150)の内部空間は、給気通路(151)と排気通路(152)とに区画されている。給気通路(151)は、その始端が外気吸込口(153)に連通し、その終端が給気口(154)に連通している。給気通路(151)には、その始端から終端へ向かって順に、利用側熱交換器(161)と、加湿エレメント(162)と、給気ファン(157)とが配置されている。排気通路(152)は、その始端が内気吸込口(155)に連通し、その終端が排気口(156)に連通している。排気通路(152)には、排気ファン(158)が配置されている。
熱源ユニット(165)は、一対の連絡配管(166)を介して利用側熱交換器(161)と接続されている。図示しないが、熱源ユニット(165)は、圧縮機や膨張弁などを備えている。この熱源ユニット(165)は、利用側熱交換器(161)と共に冷媒回路(167)を形成している。利用側熱交換器(161)は、空気を冷媒と熱交換させる空気熱交換器である。冷媒回路(167)は、利用側熱交換器(161)が蒸発器となる冷凍サイクル動作と、利用側熱交換器(161)が凝縮器となる冷凍サイクル動作とを選択的に行う。
図示しないが、加湿エレメント(162)では、水通路と空気通路とが透湿膜を挟んで形成されている。水通路では、外部から供給された水道水が流通する。空気通路では、給気通路(151)を流れる空気が流通する。透湿膜は、液体である水は通過させずに水蒸気だけを通過させる。加湿エレメント(162)は、空気の湿度を調節するための調湿手段を構成している。
参考形態2の調湿装置(10)は、除湿換気運転と、加湿換気運転と、単純換気運転とを選択的に行う。
除湿換気運転中の調湿装置(10)では、利用側熱交換器(161)が蒸発器となる冷凍サイクル動作を冷媒回路(167)が行うと共に、加湿エレメント(162)に対する給水が停止される。この運転中において、利用側熱交換器(161)における冷媒の蒸発温度は、室外空気の露点温度よりも低い値に設定される。給気通路(151)へ流入した室外空気は、利用側熱交換器(161)を通過する際に冷却され、室外空気中の水分が凝縮してドレン水となる。利用側熱交換器(161)を通過した室外空気は、加湿エレメント(162)を通過した後に給気口(154)を通って室内へ供給される。利用側熱交換器(161)で生じたドレン水は、室外へ排出される。排気通路(152)へ流入した室内空気は、排気口(156)を通って室外へ排出される。
加湿換気運転中の調湿装置(10)では、利用側熱交換器(161)が凝縮器となる冷凍サイクル動作を冷媒回路(167)が行うと共に、加湿エレメント(162)に対する給水が行われる。給気通路(151)へ流入した室外空気は、利用側熱交換器(161)を通過する際に加熱された後に加湿エレメント(162)へ送られる。加湿エレメント(162)では、透湿膜を通過した水蒸気が空気に付与される。加湿エレメント(162)で加湿された空気は、給気口(154)を通って室内へ供給される。排気通路(152)へ流入した室内空気は、排気口(156)を通って室外へ排出される。
単純換気運転中の調湿装置(10)では、冷媒回路(167)の運転と加湿エレメント(162)に対する給水の両方が停止され、給気ファン(157)及び排気ファン(158)の運転だけが行われる。給気通路(151)へ流入した室外空気は、利用側熱交換器(161)と加湿エレメント(162)を順に通過し、その後に給気口(154)を通って室内へ供給される。排気通路(152)へ流入した室内空気は、排気口(156)を通って室外へ排出される。
参考形態2においても、停止状態の調湿装置(10)の運転開始時において、上記実施形態と同様にして、除湿換気運転、加湿換気運転、及び単純換気運転のモード判定を行い、これらの運転を自動的に実行させるようにしても良い。
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、モード判定運転時において、外気湿度センサ(97)で検出した外気湿度に基づいて各運転のモード判定を行っているが、この外気湿度に加えて内気湿度センサ(96)で検出した室内空気の湿度も用いてモード判定を行うようにしても良い。この場合、停止中の調湿装置(10)では、内気湿度センサ(96)の周囲の湿度が室内空気の雰囲気となっているので、モード判定運転中に給気ファン(26)を運転せずとも室内空気の湿度を正確に検出することができる。そして、このように検出した外気湿度と内気湿度とを用いることで、室内の湿度条件を考慮しながら最適な運転を判定することができる。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、2つの吸着熱交換器で空気の湿度調節を行う調湿装置に関し、特に低差圧運転時における圧縮機の保護対策について有用である。
前面側から見た調湿装置をケーシングの一部および電装品箱を省略して示す斜視図である。 調湿装置の一部を省略して示す概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。 冷媒回路の構成を示す配管系統図であって、(A)は第1動作中の動作を示すものであり、(B)は第2動作中の動作を示すものである。 調湿装置の制御部のブロック図である。 除湿換気運転の第1通常動作における空気の流れを示す調湿装置の概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。 除湿換気運転の第2通常動作における空気の流れを示す調湿装置の概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。 加湿換気運転の第1通常動作における空気の流れを示す調湿装置の概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。 加湿換気運転の第2通常動作における空気の流れを示す調湿装置の概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。 単純換気運転における空気の流れを示す調湿装置の概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。 パージ運転における空気の流れを示す調湿装置の概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。 運転開始から各運転へ移行するまでのモード判定運転における、ファンとダンパの動作を示すタイムチャートである。 参考形態1の調湿装置を示す概略構成図であって、(A)は第1動作中の動作を示すものであり、(B)は第2動作中の動作を示すものである。 参考形態2の調湿装置を示す概略構成図である。
10 調湿装置
11 ケーシング
25 排気ファン(送風ファン)
50 熱媒回路(冷媒回路,調湿手段)
51 第1吸着熱交換器(吸着ユニット,調湿手段)
52 第2吸着熱交換器(吸着ユニット,調湿手段)
97 外気湿度センサ(外気湿度検出部)
100 冷媒回路(調湿手段)
111 第1吸着素子(吸着ユニット,調湿手段)
112 第2吸着素子(吸着ユニット,調湿手段)
120 制御部(制御手段)
162 加湿エレメント(調湿手段)

Claims (3)

  1. ケーシング(11)と、該ケーシング(11)内に設けられて空気の除湿と加湿とを選択的に行う調湿手段(50,51,52)とを備え、上記ケーシング(11)に取り込んだ室外空気を調湿手段(50,51,52)で除湿して室内へ供給する除湿運転と、ケーシング(11)に取り込んだ空気を調湿手段(50,51,52)で加湿して室内へ供給する加湿運転とを行う調湿装置であって、
    上記ケーシング(11)内には、取り込んだ室外空気の湿度を検出する外気湿度検出部(97)が設けられ、
    上記調湿手段は、熱交換器室(37,38)に収容され且つ表面に吸着剤が担持される吸着熱交換器(51,52)が接続されると共に、上記除湿運転時に吸着熱交換器(51,52)の吸着剤を加熱し、上記加湿運転時に吸着熱交換器(51,52)の吸着剤を冷却する熱媒体が流れる熱媒回路(50)を備え、
    上記ケーシング(11)内には、上記熱交換器室(37,38)を開閉して空気流路を切り換えるための複数のダンパ(41〜48)が設けられ、
    停止中に運転開始の信号が入力されると、上記吸着熱交換器(51,52)を停止状態としたまま、ケーシング(11)内に取り込んだ室外空気が上記外気湿度検出部(97)上記熱交換器室(37,38)を順に通過し室外へ排出されるように送風ファン(25)を運転させると共に、外気湿度検出部(97)で検出した湿度に基づいて上記除湿運転と加湿運転とのいずれを行うかを判定するモード判定運転を行い、該モード判定運転で判定された運転をその後に開始させる制御手段(120)を備え
    上記複数のダンパ(41〜48)は、上記モード判定運転の前の停止中において、上記熱交換器室(37,38)を閉空間とするように閉状態となることを特徴とする調湿装置。
  2. 請求項1において、
    上記熱媒回路(50)には、第1と第2の熱交換器室(37,38)に収容される第1と第2の吸着熱交換器(51,52)が接続され、
    上記モード判定運転時には、室外空気が第1と第2の熱交換器室(37,38)とを通過して室外へ排出させることを特徴とする調湿装置。
  3. 請求項1又は2において、
    上記モード判定運転時には、上記送風ファン(25)の風量を一定に維持させるように該送風ファン(25)を制御することを特徴とする調湿装置。
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