以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態の調湿装置(10)は、室内の湿度調節と共に室内の換気を行うものであり、取り込んだ室外空気(OA)を湿度調節して室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)を室外に排出する。
〈調湿装置の全体構成〉
調湿装置(10)について、図1,図2を適宜参照しながら説明する。なお、ここでの説明で用いる「上」「下」「左」「右」「前」「後」「手前」「奥」は、特にことわらない限り、調湿装置(10)を前面側から見た場合の方向を意味している。
調湿装置(10)は、ケーシング(11)を備えている。また、ケーシング(11)内には、冷媒回路(50)が収容されている。この冷媒回路(50)には、第1吸着熱交換器(51)、第2吸着熱交換器(52)、圧縮機(53)、四方切換弁(54)及び電動膨張弁(55)が接続されている。冷媒回路(50)の詳細は後述する。
ケーシング(11)は、やや扁平で高さが比較的低い直方体状に形成されている。図1に示すケーシング(11)では、左手前の側面(即ち、前面)が前面パネル部(12)となり、右奥の側面(即ち、背面)が背面パネル部(13)となり、右手前の側面が第1側面パネル部(14)となり、左奥の側面が第2側面パネル部(15)となっている。
ケーシング(11)には、外気吸込口(24)と、内気吸込口(23)と、給気口(22)と、排気口(21)とが形成されている。外気吸込口(24)及び内気吸込口(23)は、背面パネル部(13)に開口している。外気吸込口(24)は、背面パネル部(13)の下側部分に配置されている。内気吸込口(23)は、背面パネル部(13)の上側部分に配置されている。給気口(22)は、第1側面パネル部(14)における前面パネル部(12)側の端部付近に配置されている。排気口(21)は、第2側面パネル部(15)における前面パネル部(12)側の端部付近に配置されている。
ケーシング(11)の内部空間には、上流側仕切板(71)と、下流側仕切板(72)と、中央仕切板(73)と、第1仕切板(74)と、第2仕切板(75)とが設けられている。これらの仕切板(71〜75)は、何れもケーシング(11)の底板に立設されており、ケーシング(11)の内部空間をケーシング(11)の底板から天板に亘って区画している。
上流側仕切板(71)及び下流側仕切板(72)は、前面パネル部(12)及び背面パネル部(13)と平行な姿勢で、ケーシング(11)の前後方向に所定の間隔をおいて配置されている。上流側仕切板(71)は、背面パネル部(13)寄りに配置されている。下流側仕切板(72)は、前面パネル部(12)寄りに配置されている。
第1仕切板(74)及び第2仕切板(75)は、第1側面パネル部(14)及び第2側面パネル部(15)と平行な姿勢で設置されている。第1仕切板(74)は、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間を右側から塞ぐように、第1側面パネル部(14)から所定の間隔をおいて配置されている。第2仕切板(75)は、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間を左側から塞ぐように、第2側面パネル部(15)から所定の間隔をおいて配置されている。
中央仕切板(73)は、上流側仕切板(71)及び下流側仕切板(72)と直交する姿勢で、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間に配置されている。中央仕切板(73)は、上流側仕切板(71)から下流側仕切板(72)に亘って設けられ、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間を左右に区画している。
ケーシング(11)内において、上流側仕切板(71)と背面パネル部(13)の間の空間は、上下2つの空間に仕切られており、上側の空間が内気側通路(32)を構成し、下側の空間が外気側通路(34)を構成している。内気側通路(32)は、内気吸込口(23)に接続するダクトを介して室内と連通している。内気側通路(32)には、内気側フィルタ(27)と内気湿度センサ(96)とが設置されている。外気側通路(34)は、外気吸込口(24)に接続するダクトを介して室外空間と連通している。外気側通路(34)には、外気側フィルタ(28)と外気湿度センサ(97)とが設置されている。
ケーシング(11)内における上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間は、中央仕切板(73)によって左右に区画されており、中央仕切板(73)の右側の空間が第1熱交換器室(37)を構成し、中央仕切板(73)の左側の空間が第2熱交換器室(38)を構成している。第1熱交換器室(37)には、第1吸着熱交換器(51)が収容されている。第2熱交換器室(38)には、第2吸着熱交換器(52)が収容されている。また、図示しないが、第1熱交換器室(37)には、冷媒回路(50)の電動膨張弁(55)が収容されている。これら第1及び第2熱交換器室(37,38)が空気通路及び吸着部材室を構成する。
各吸着熱交換器(51,52)は、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器の表面に吸着剤を担持させたものであって、全体として長方形の厚板状あるいは扁平な直方体状に形成されている。各吸着熱交換器(51,52)は、その前面及び背面が上流側仕切板(71)及び下流側仕切板(72)と平行になる姿勢で、熱交換器室(37,38)内に立設されている。
ケーシング(11)の内部空間において、下流側仕切板(72)の前面に沿った空間は、上下に仕切られており、この上下に仕切られた空間のうち、上側の部分が給気側通路(31)を構成し、下側の部分が排気側通路(33)を構成している。
上流側仕切板(71)には、開閉式のダンパ(41〜44)が4つ設けられている。各ダンパ(41〜44)は、概ね横長の長方形状に形成されている。具体的に、上流側仕切板(71)のうち内気側通路(32)に面する部分(上側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1内気側ダンパ(41)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2内気側ダンパ(42)が取り付けられる。また、上流側仕切板(71)のうち外気側通路(34)に面する部分(下側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1外気側ダンパ(43)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2外気側ダンパ(44)が取り付けられる。
下流側仕切板(72)には、開閉式のダンパ(45〜48)が4つ設けられている。各ダンパ(45〜48)は、概ね横長の長方形状に形成されている。具体的に、下流側仕切板(72)のうち給気側通路(31)に面する部分(上側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1給気側ダンパ(45)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2給気側ダンパ(46)が取り付けられる。また、下流側仕切板(72)のうち排気側通路(33)に面する部分(下側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1排気側ダンパ(47)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2排気側ダンパ(48)が取り付けられる。
ケーシング(11)内において、給気側通路(31)及び排気側通路(33)と前面パネル部(12)との間の空間は、仕切板(77)によって左右に仕切られており、仕切板(77)の右側の空間が給気ファン室(36)を構成し、仕切板(77)の左側の空間が排気ファン室(35)を構成している。
給気ファン室(36)には、給気ファン(26)が収容されている。また、排気ファン室(35)には排気ファン(25)が収容されている。給気ファン(26)及び排気ファン(25)は、何れも遠心型の多翼ファン(いわゆるシロッコファン)である。給気ファン(26)は、下流側仕切板(72)側から吸い込んだ空気を給気口(22)へ吹き出す。排気ファン(25)は、下流側仕切板(72)側から吸い込んだ空気を排気口(21)へ吹き出す。
給気ファン室(36)には、冷媒回路(50)の圧縮機(53)と四方切換弁(54)とが収容されている。圧縮機(53)及び四方切換弁(54)は、給気ファン室(36)における給気ファン(26)と仕切板(77)との間に配置されている。
ケーシング(11)内において、第1仕切板(74)と第1側面パネル部(14)の間の空間は、第1バイパス通路(81)を構成している。第1バイパス通路(81)の始端は、外気側通路(34)だけに連通しており、内気側通路(32)からは遮断されている。第1バイパス通路(81)の終端は、仕切板(78)によって、給気側通路(31)、排気側通路(33)、及び給気ファン室(36)から区画されている。仕切板(78)のうち給気ファン室(36)に臨む部分には、第1バイパス用ダンパ(83)が設けられている。
ケーシング(11)内において、第2仕切板(75)と第2側面パネル部(15)の間の空間は、第2バイパス通路(82)を構成している。第2バイパス通路(82)の始端は、内気側通路(32)だけに連通しており、外気側通路(34)からは遮断されている。第2バイパス通路(82)の終端は、仕切板(79)によって、給気側通路(31)、排気側通路(33)、及び排気ファン室(35)から区画されている。仕切板(79)のうち排気ファン室(35)に臨む部分には、第2バイパス用ダンパ(84)が設けられている。
これら給気側通路(31)、内気側通路(32)、排気側通路(33)、外気側通路(34)、排気ファン室(35)、給気ファン室(36)、第1バイパス通路(81)及び第2バイパス通路(82)が空気通路を構成する。また、第1内気側ダンパ(41)、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第2外気側ダンパ(44)、第1給気側ダンパ(45)、第2給気側ダンパ(46)、第1排気側ダンパ(47)、第2排気側ダンパ(48)、第1バイパス用ダンパ(83)及び第2バイパス用ダンパ(84)が流路切換機構及び開閉機構を構成する。
なお、図2の右側面図及び左側面図では、第1バイパス通路(81)、第2バイパス通路(82)、第1バイパス用ダンパ(83)、及び第2バイパス用ダンパ(84)の図示を省略している。
〈冷媒回路の構成〉
図3に示すように、冷媒回路(50)は、第1吸着熱交換器(51)、第2吸着熱交換器(52)、圧縮機(53)、四方切換弁(54)、及び電動膨張弁(55)が設けられた閉回路である。この冷媒回路(50)は、充填された冷媒を循環させることによって、蒸気圧縮冷凍サイクルを行う。この冷媒回路(50)が調湿手段を構成する。
冷媒回路(50)において、圧縮機(53)は、その吐出側が四方切換弁(54)の第1のポートに、その吸入側が四方切換弁(54)の第2のポートにそれぞれ接続されている。また、冷媒回路(50)では、第1吸着熱交換器(51)と電動膨張弁(55)と第2吸着熱交換器(52)とが、四方切換弁(54)の第3のポートから第4のポートへ向かって順に接続されている。
四方切換弁(54)は、第1のポートと第3のポートが連通して第2のポートと第4のポートが連通する第1状態(図3(A)に示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通して第2のポートと第3のポートが連通する第2状態(図3(B)に示す状態)とに切り換え可能となっている。
圧縮機(53)は、冷媒を圧縮する圧縮機構と、圧縮機構を駆動する電動機とが1つのケーシングに収容された全密閉型の圧縮である。圧縮機(53)の電動機へ供給する交流の周波数(即ち、圧縮機(53)の運転周波数)を変化させると、電動機により駆動される圧縮機構の回転速度が変化し、単位時間当たりに圧縮機(53)から吐出される冷媒の量が変化する。つまり、この圧縮機(53)、容量可変に構成されている。
前記電動膨張弁(55)は、開度が調節自在なパルスモータ駆動方式の電子膨張弁で構成されている。
冷媒回路(50)において、圧縮機(53)の吐出側と四方切換弁(54)の第1のポートとを繋ぐ配管には、高圧圧力センサ(91)と吐出管温度センサ(93)とが取り付けられている。高圧圧力センサ(91)は、圧縮機(53)から吐出された冷媒の圧力を計測する。吐出管温度センサ(93)は、圧縮機(53)から吐出された冷媒の温度を計測する。
また、冷媒回路(50)において、圧縮機(53)の吸入側と四方切換弁(54)の第2のポートとを繋ぐ配管には、低圧圧力センサ(92)と吸入管温度センサ(94)とが取り付けられている。低圧圧力センサ(92)は、圧縮機(53)へ吸入される冷媒の圧力を計測する。吸入管温度センサ(94)は、圧縮機(53)へ吸入される冷媒の温度を計測する。
また、冷媒回路(50)において、四方切換弁(54)の第3のポートと第1吸着熱交換器(51)とを繋ぐ配管には、配管温度センサ(95)が取り付けられている。配管温度センサ(95)は、この配管における四方切換弁(54)の近傍に配置され、配管内を流れる冷媒の温度を計測する。
〈コントローラの構成〉
調湿装置(10)には、制御部としてのコントローラ(60)が設けられている。図1及び図2では省略されているが、ケーシング(11)の前面パネル部(12)には電装品箱が取り付けられており、この電装品箱に収容された制御基板がコントローラ(60)を構成している。
コントローラ(60)には、内気湿度センサ(96)、内気温度センサ、外気湿度センサ(97)、及び外気温度センサの計測値が入力されている。また、コントローラ(60)には、冷媒回路(50)に設けられた各センサ(91,92,…)の計測値が入力されている。さらに、コントローラ(60)には、ユーザが操作するリモコン(図示省略)等から出力される操作信号が入力されている。
コントローラ(60)は、入力されたこれら操作信号及び計測値に基づいて、調湿装置(10)の運転制御を行う。具体的には、コントローラ(60)は、各ダンパ(41〜48,83,84)、各ファン(25,26)、圧縮機(53)、四方切換弁(54)及び電動膨張弁(55)の動作を制御して、調湿装置(10)の運転制御を行う。調湿装置(10)では、コントローラ(60)の制御動作によって、後述する除湿換気運転と加湿換気運転と単純換気運転とが切り換えられる。
具体的には、該コントローラ(60)は、調湿運転を制御する運転制御手段(61)を備えると共に、上記電動膨張弁(55)を制御するための開度制御手段(62)と初期設定手段(63)と補正手段(64)と開度低下手段(65)と開度増大手段(66)とを備えている。
上記運転制御手段(61)は、四方切換弁(54)で冷媒の循環方向を切り換え且つ、各ダンパ(41〜48,83,84)の開閉状態を制御することによって、第2吸着熱交換器(52)で空気の水分を吸着し且つ上記第1吸着熱交換器(51)で空気に水分を放出する第1バッチ運転と、上記第1吸着熱交換器(51)で空気の水分を吸着し且つ上記第2吸着熱交換器(52)で空気に水分を放出する第2バッチ運転とを交互に行い、除湿空気又は加湿空気である調湿空気を室内に供給するように構成されている。上記運転制御手段(61)は、各バッチ運転を所定のバッチ時間(例えば、3分)ごとに切り換えるように構成されている。
上記開度制御手段(62)は、電動膨張弁(55)の開度を制御するものであって、図3に示すように、各バッチ運転の開始から所定の弁制御開始時間T(例えば、168秒)が経過するまでは、原則として電動膨張弁(55)の開度を初期開度に制御する第1制御を行う一方、該弁制御開始時間Tが経過すると、電動膨張弁(55)の開度を調節して上記冷媒回路(50)の冷媒過熱度が所定の目標値になるようにフィードバック制御する第2制御を行う。尚、開度制御手段(62)は、第1制御中は、原則として、電動膨張弁(55)の開度を該初期開度に保持するように構成されている。
ただし、開度制御手段(62)は、調湿装置(10)の起動後、即ち、圧縮機(53)の起動後最初のバッチ運転では、そのバッチ運転の全期間において、電動膨張弁(55)の開度を調節して冷媒回路(50)の冷媒過熱度が所定の目標値になるようにフィードバック制御する。
上記初期設定手段(63)は、第1バッチ運転及び第2バッチ運転が終了する度に、その終了時(即ち、第2制御の終了時)の電動膨張弁(55)の弁開度を記憶している。そして、初期設定手段(63)は、第1バッチ運転の開始時(即ち、第1制御の開始時)には電動膨張弁(55)の前記初期開度を前回の第1バッチ運転の終了時の電動膨張弁(55)の開度に設定する一方、上記第2バッチ運転の開始時(即ち、第1制御の開始時)には電動膨張弁(55)の前記初期開度を前回の第2バッチ運転の終了時の電動膨張弁(55)の開度に設定する。つまり、上記初期設定手段(63)は、前回の同種のバッチ運転の電動膨張弁(55)の開度を引き継ぐように構成されている。
尚、上記初期設定手段(63)は、前回の各バッチ運転の終了時の電動膨張弁(55)の開度が存在しないときに他種のバッチ運転の終了時の電動膨張弁(55)の開度を初期開度に設定するように構成されている。
上記補正手段(64)は、圧縮機(53)の容量が変化すると、上記電動膨張弁(55)が圧縮機(53)の容量変化に対応した開度になるように開度制御手段(62)の制御開度を補正する。
上記開度低下手段(65)は、各バッチ運転の弁制御開始時間Tの経過前に上記冷媒回路(50)の冷媒過熱度が目標値より小さくなると、上記電動膨張弁(55)の開度が小さくなるように開度制御手段(62)の制御開度を小さくする。
上記開度増大手段(66)は、各バッチ運転の弁制御開始時間Tの経過前に上記冷媒回路(50)の冷媒過熱度が経時的に所定の上限過熱度以上に増大すると、上記電動膨張弁(55)の開度が大きくなるように開度制御手段(62)の制御開度を大きくする。
−運転動作−
本実施形態の調湿装置(10)は、除湿換気運転と、加湿換気運転と、単純換気運転とを選択的に行う。この調湿装置(10)は、除湿換気運転と加湿換気運転とを調湿運転として行う。以下に、各運転について詳しく説明した後に、調湿運転における電動膨張弁の開度制御について説明する。
〈除湿換気運転〉
除湿換気運転中の調湿装置(10)では、後述する第1バッチ運転と第2バッチ運転が所定のバッチ時間間隔(例えば3〜4分間隔)で交互に繰り返される。この除湿換気運転中において、第1バイパス用ダンパ(83)及び第2バイパス用ダンパ(84)は、常に閉状態となる。
除湿換気運転中の調湿装置(10)では、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ第1空気として取り込まれ、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ第2空気として取り込まれる。
先ず、除湿換気運転の第1バッチ運転について説明する。図4に示すように、この第1バッチ運転中には、第1内気側ダンパ(41)、第1外気側ダンパ(43)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が開状態となり、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。また、この第1バッチ運転中の冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)が第1状態(図3(A)に示す状態)に設定され、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器となって第2吸着熱交換器(52)が蒸発器となる。
外気側通路(34)へ流入して外気側フィルタ(28)を通過した第1空気は、第2外気側ダンパ(44)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(52)で除湿された第1空気は、第2給気側ダンパ(46)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
一方、内気側通路(32)へ流入して内気側フィルタ(27)を通過した第2空気は、第1内気側ダンパ(41)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(51)で水分を付与された第2空気は、第1排気側ダンパ(47)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
次に、除湿換気運転の第2バッチ運転について説明する。図5に示すように、この第2バッチ運転中には、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が閉状態となる。また、この第2バッチ運転中の冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)が第2状態(図3(B)に示す状態)に設定され、第1吸着熱交換器(51)が蒸発器となって第2吸着熱交換器(52)が凝縮器となる。
外気側通路(34)へ流入して外気側フィルタ(28)を通過した第1空気は、第1外気側ダンパ(43)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(51)で除湿された第1空気は、第1給気側ダンパ(45)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
一方、内気側通路(32)へ流入して内気側フィルタ(27)を通過した第2空気は、第2内気側ダンパ(42)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(52)で水分を付与された第2空気は、第2排気側ダンパ(48)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
〈加湿換気運転〉
加湿換気運転中の調湿装置(10)では、後述する第1バッチ運転と第2バッチ運転が所定の時間間隔(例えば3〜4分間隔)で交互に繰り返される。この加湿換気運転中において、第1バイパス用ダンパ(83)及び第2バイパス用ダンパ(84)は、常に閉状態となる。
加湿換気運転中の調湿装置(10)では、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ第2空気として取り込まれ、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ第1空気として取り込まれる。
先ず、加湿換気運転の第1バッチ運転について説明する。図6に示すように、この第1バッチ運転中には、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が閉状態となる。また、この第1バッチ運転中の冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)が第1状態(図3(A)に示す状態)に設定され、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器となって第2吸着熱交換器(52)が蒸発器となる。
内気側通路(32)へ流入して内気側フィルタ(27)を通過した第1空気は、第2内気側ダンパ(42)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(52)で水分を奪われた第1空気は、第2排気側ダンパ(48)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
一方、外気側通路(34)へ流入して外気側フィルタ(28)を通過した第2空気は、第1外気側ダンパ(43)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(51)で加湿された第2空気は、第1給気側ダンパ(45)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
次に、加湿換気運転の第2バッチ運転について説明する。図7に示すように、この第2バッチ運転中には、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が開状態となり、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。また、この第2バッチ運転中の冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)が第2状態(図3(B)に示す状態)に設定され、第1吸着熱交換器(51)が蒸発器となって第2吸着熱交換器(52)が凝縮器となる。
内気側通路(32)へ流入して内気側フィルタ(27)を通過した第1空気は、第1内気側ダンパ(41)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(51)で水分を奪われた第1空気は、第1排気側ダンパ(47)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
一方、外気側通路(34)へ流入して外気側フィルタ(28)を通過した第2空気は、第2外気側ダンパ(44)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(52)で加湿された第2空気は、第2給気側ダンパ(46)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
〈単純換気運転〉
単純換気運転中の調湿装置(10)は、取り込んだ室外空気(OA)をそのまま供給空気(SA)として室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)をそのまま排出空気(EA)として室外へ排出する。ここでは、単純換気運転中の調湿装置(10)の動作について、図8を参照しながら説明する。
単純換気運転中の調湿装置(10)では、第1バイパス用ダンパ(83)及び第2バイパス用ダンパ(84)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第2外気側ダンパ(44)、第1給気側ダンパ(45)、第2給気側ダンパ(46)、第1排気側ダンパ(47)、及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。また、単純換気運転中において、冷媒回路(50)の圧縮機(53)は停止状態となる。
単純換気運転中の調湿装置(10)では、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ取り込まれる。外気吸込口(24)を通って外気側通路(34)へ流入した室外空気は、第1バイパス通路(81)から第1バイパス用ダンパ(83)を通って給気ファン室(36)へ流入し、その後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
また、単純換気運転中の調湿装置(10)では、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ取り込まれる。内気吸込口(23)を通って内気側通路(32)へ流入した室内空気は、第2バイパス通路(82)から第2バイパス用ダンパ(84)を通って排気ファン室(35)へ流入し、その後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
このように除湿換気運転や加湿換気運転や単純換気運転を行う調湿装置(10)は、調湿運転を開始するときには、以下の起動制御を行い、それに続いて、以下の電動膨張弁制御を行いながら調湿運転を行う。
〈起動制御〉
まず、起動制御について詳しく説明する。
詳しくは、コントローラ(60)は、第1外気側ダンパ(43)、第2外気側ダンパ(44)、第1排気側ダンパ(47)、及び第2排気側ダンパ(48)が開状態とする一方、第1内気側ダンパ(41)、第2内気側ダンパ(42)、第1給気側ダンパ(45)、第2給気側ダンパ(46)、第1バイパス用ダンパ(83)、及び第2バイパス用ダンパ(84)が閉状態とする。そして、コントローラ(60)は、排気ファン(25)の運転を開始する。
すると、外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ流入した室外空気は、第1及び第2吸着熱交換器(51,52)を通過して、排気口(21)から室外へ流出していく(以下、外気循環運転ともいう)。
続いて、コントローラ(60)は、圧縮機(53)の運転周波数を所定の最低起動周波数に設定して、冷媒回路(50)内に油が行き渡り、油温が圧縮機(53)等の運転に支障がない程度上昇する所定の暖機時間が経過するまで圧縮機(53)の運転を開始する。次に、暖機時間が経過すると、コントローラ(60)は、冷媒回路(50)の高低差圧が所定の起動時差圧閾値より大きくなるように、圧縮機(53)の運転周波数を、前記最低起動周波数と、四方切換弁(54)を切り換えるために必要な最低の運転周波数である切換下限周波数(>最低起動周波数)との間で制御する。
こうして圧縮機(53)を起動制御するのと同時に、コントローラ(60)は、電動膨張弁(55)の起動制御も行う。まず、コントローラ(60)は、電動膨張弁(55)の開度を全閉状態に設定する。そして、コントローラ(60)は、冷媒回路(50)の高圧が所定の第1高圧閾値より高くなるか、又は、低圧が所定の第1低圧閾値より低くなるかの何れかを満たすと、電動膨張弁(55)の開度を所定の固定開度に設定する。その後、コントローラ(60)は、冷媒回路(50)の高低差圧が所定のPI差圧閾値より大きくなる、及び過熱度が所定の過熱閾値以上となるという両方を満たすと、電動膨張弁(55)の弁開度を調節して過熱度が所定の過熱閾値となるようにPI制御する。
こうして、圧縮機(53)と電動膨張弁(55)の起動制御は、所定の起動制御時間が経過し且つ電動膨張弁がPI制御に移行するまで続けられる。
起動制御が完了すると、冷媒回路(50)の冷凍サイクルは、調湿運転を実行可能な状態となっている。コントローラ(60)は、調湿運転を開始するときに、冷媒回路(50)の冷媒の循環方向を起動制御中の循環方向とは反対向きに切り換える。例えば、四方切換弁(54)が前記第2状態(図3(B)参照)で起動制御が行われていたときには、コントローラ(60)は、四方切換弁(54)を前記第1状態(図3(A)参照)に切り換えて調湿運転を開始する。すなわち、コントローラ(60)は、第1バッチ運転で起動制御が行われていたときには第2バッチ運転で調湿運転を開始する(あるいは、第2バッチ運転で起動制御が行われていたときには第1バッチ運転で調湿運転を開始する)。
〈電動膨張弁の開度制御〉
前記調湿運転中は、以下の電動膨張弁(55)の開度制御が行われる。以下の説明では、起動制御が第2バッチ運転で行われていた場合について図9を参照しながら説明する。起動制御が第1バッチ運転で行われていた場合は、以下の文中で第1バッチ運転と第2バッチ運転とを入れ換えた説明となる。
まず、起動制御完了後、運転制御手段(61)は、第1バッチ運転を第1バッチ運転に切り換える。この起動後最初のバッチ運転(本実施形態では最初の第1バッチ運転)では、開度制御手段(62)は、該バッチ運転の実行中、電動膨張弁(55)の開度を調節して冷媒回路(50)の冷媒過熱度が所定の目標値(例えば、5℃)になるようにフィードバック制御(具体的には、PI制御)する(以下、起動時フィードバック制御ともいう)。
そして、所定のバッチ時間が経過すると、運転制御手段(61)は、第1バッチ運転を第2バッチ運転に切り換える。ここで、開度制御手段(62)は、バッチ運転開始時には電動膨張弁(55)の開度を初期開度に固定する前記第1制御を実行し、弁制御開始時間Tが経過すると電動膨張弁(55)の開度を調節して冷媒過熱度が所定の目標値になるようにフィードバック制御する前記第2制御を実行する。起動制御完了後、2回目以降の各バッチ運転では、この制御動作を行う。この第2制御は、前記起動時フィードバック制御とは伝達関数や制御パラメータ等、詳細な制御内容が異なるように構成されている。尚、第2制御と起動時フィードバック制御とが同様の制御内容であってもよい。
ここで、前記第1制御を行うためには、設定すべき初期開度が必要となる。そこで、初期設定手段(63)が開度制御手段(62)の初期開度を設定する。この初期設定手段(63)は、第1バッチ運転の開始時には電動膨張弁(55)を前回の第1バッチ運転の終了時の電動膨張弁(55)の開度に設定し、上記第2バッチ運転の開始時には電動膨張弁(55)を前回の第2バッチ運転の終了時の電動膨張弁(55)の開度に設定する。すなわち、初期設定手段(63)は、前回の同種のハッチ運転の終了時の電動膨張弁(55)の開度を初期開度に設定する。
ただし、ここでいう前回の同種のバッチ運転は、調湿装置(10)を一旦起動してから停止するまでの一連の運転中のバッチ運転である。したがって、起動制御完了直後においては、前回の同種のバッチ運転が存在しない。そのため、開度制御手段(62)は、起動後最初のバッチ運転においては、前記第1及び第2制御を行わず、前述の如く、起動時フィードバック制御を行っている。
さらに、起動後2回目のバッチ運転(本実施形態では最初の第2バッチ運転)についても、前回の同種のバッチ運転が存在しない。そのため、初期設定手段(63)は、起動後最初のバッチ運転において、前記起動時フィードバック制御の最後の電動膨張弁(55)の開度を記憶しておき、起動後2回目のバッチ運転では、記憶しておいた最初のバッチ運転の終了時の電動膨張弁(55)の開度を初期開度として設定する。このように、起動後2回目のバッチ運転においては、バッチ運転の種類は異なるものの、最初のバッチ運転の終了時の電動膨張弁(55)の開度を初期開度として第1制御を行うと共に前記第2制御を行っている。
尚、起動制御完了後3回目以降のバッチ運転では、前回の同種のバッチ運転が存在するため、前述の如く、該前回の同種のバッチ運転の終了時の電動膨張弁(55)の開度を初期開度として設定する。
このように、開度制御手段(62)は、基本的には、各バッチ運転において、電動膨張弁(55)の開度を初期開度に固定する第1制御と、電動膨張弁(55)の開度を調節して冷媒過熱度が目標値となるようにフィードバック制御する第2制御とを行っている。
つまり、前記調湿装置(10)は、運転制御手段(61)によって第1バッチ運転と第2バッチ運転とが短時間で切り換わるので、冷媒過熱度が各バッチ運転時において安定する前にバッチ運転が切り換わることになる。そこで、各バッチ運転において、バッチ運転開始後、大半の期間は前記第1制御により電動膨張弁(55)の開度を初期開度で固定することによって、冷媒過熱度が不安定な状態でフィードバック制御を行うことにより電動膨張弁(55)の開度制御、ひいては冷媒過熱度をかえって不安定にしてしまうことを防止している。そして、冷媒過熱度が比較的安定する各バッチ運転の終了間際だけ第2制御を実行することによって、最終的には冷媒過熱度を所定の目標値に収束させて安定した冷凍サイクルを行わせるようにしている。
ここで、第1バッチ運転と第2バッチ運転とでは、冷媒の循環方向が異なり、冷媒の圧力損失が異なると共に、空気通路における空気の圧力損失が異なるなどの理由から、電動膨張弁(55)の開度も異なることになる。そこで、第1バッチ運転を開始するときには、前回の第1バッチ運転の電動膨張弁(55)の開度を引き継ぎ、第2バッチ運転を開始するときには、前回の第2バッチ運転の電動膨張弁(55)の開度を引き継ぐように構成している。
ただし、調湿装置(10)の起動直後には、前回の同種のバッチ運転が存在しないため、起動後最初のバッチ運転においては前記第1及び第2制御ではなく、前記起動時フィードバック制御を行う。また、起動後2回目のバッチ運転についても、前回の同種のバッチ運転が存在しないため、最初のバッチ運転における起動時フィードバック制御の終了時の電動膨張弁(55)の開度を初期開度として前記第1制御を行うと共に前記第2制御を行っている。
一方、上記各バッチ運転の弁制御開始時間Tの経過前であって、開度制御手段(62)が電動膨張弁(55)を初期開度に制御している状態において、冷媒過熱度が目標値より小さくなると、開度低下手段(65)が電動膨張弁(55)の開度を小さくする。
また、上記各バッチ運転の弁制御開始時間Tの経過前であって、開度制御手段(62)が電動膨張弁(55)を初期開度に制御している状態において、冷媒過熱度が経時的に所定過熱度以上に増大すると、開度増大手段(66)が電動膨張弁(55)の開度を大きくする。
つまり、上記圧縮機(53)を起動して除湿運転又は加湿運転を開始した後において、初期設定手段(63)が設定する開度制御手段(62)の初期開度が安定するまでに所定時間を要する。具体的に、各バッチ運転を切り換えた後に冷媒過熱度大きく上昇したり、急激に低下することがある。そこで、開度低下手段(65)及び開度増大手段(66)によって冷媒過熱度が上昇しすぎたり、低下しすぎたりすることを防止している。
このように電動膨張弁(55)の開度制御を行うと、例えば、図10に示すように、起動後最初のバッチ運転においては、不安定ながらも冷媒過熱度が所定の目標過熱度(図では5℃)に少しずつ収束する(図中のN0参照)一方、起動後2回目以降のバッチ運転においては、バッチ運転の切換直後に冷媒過熱度が急激に上昇するものの、すぐに低下し始め、迅速に目標過熱度に収束していく。そして、次のバッチ運転への切換前にはフィードバック制御により目標過熱度にさらに収束する(図中のN,M参照)。
尚、上記圧縮機(53)の容量が変化すると、補正手段(64)は、電動膨張弁(55)が圧縮機(53)の容量変化に対応した開度になるように開度制御手段(62)の制御開度を補正する。
また、上記初期設定手段(63)は、エラー等により前回の各バッチ運転の終了時の電動膨張弁(55)の開度が存在しないときには他種のバッチ運転の終了時の電動膨張弁(55)の開度を初期開度に設定する。
−実施形態の効果−
したがって、本実施形態によれば、各バッチ運転の開始から弁制御開始時間Tが経過すると冷媒過熱度が所定値になるように電動膨張弁(55)の開度を制御するようにしたために、電動膨張弁(55)の開度を比較的安定して制御することができる。つまり、各バッチ運転が短時間で切り換わるので、冷媒過熱度が各バッチ運転時において大きく変動する。そこで、冷媒過熱度が比較的安定する各バッチ運転の終了間際において、即ち、バッチ運転の切換前の所定期間だけ、電動膨張弁(55)の開度を調節して冷媒過熱度が所定値になるようにフィードバック制御するので、電動膨張弁(55)の開度の安定した制御を可能とすることができる。
また、上記各バッチ運転の開始から弁制御開始時間が経過するまで電動膨張弁(55)の開度を一定値に保持するので、電動膨張弁(55)の開度制御の安定化を図ることができる。
ここで、保持する一定値、即ち、前記初期開度として、上記第1バッチ運転の開始時には電動膨張弁(55)を前回の第1バッチ運転の終了時の電動膨張弁(55)の開度に設定し、上記第2バッチ運転の開始時には電動膨張弁(55)を前回の第2バッチ運転の終了時の電動膨張弁(55)の開度に設定するので、電動膨張弁(55)の開度を所定値に迅速に収束させることができる。
つまり、第1バッチ運転と第2バッチ運転とでは、冷媒の循環方向が異なり、冷媒の圧力損失が異なると共に、空気通路における空気の圧力損失が異なるなどの理由から、電動膨張弁(55)の開度も異なることになる。そこで、第1バッチ運転を開始するときには、前回の第1バッチ運転の電動膨張弁(55)の開度を引き継ぎ、第2バッチ運転を開始するときには、前回の第2バッチ運転の電動膨張弁(55)の開度を引き継ぐことにより、電動膨張弁(55)の開度を早期に収束させることができる。
ただし、このように前回の同種のバッチ運転の終了時の電動膨張弁(55)の開度を初期開度として電動膨張弁制御の第1制御を行う構成においては、調湿装置(10)の起動時直後においては、前回の同種のバッチ運転が存在しないため、設定すべき初期開度が存在しないことになる。そこで、本実施形態では、起動後最初のバッチ運転においては、電動膨張弁(55)の開度を調節して冷媒過熱度が所定の目標値となるようにフィードバック制御すると共に、起動後2回目のバッチ運転においては、バッチ運転の種類が異なるものの、該最初のバッチ運転の終了時の電動膨張弁(55)の開度を初期開度として第1制御を行い且つその後第2制御を行うように構成しえいる。こうすることによって、各バッチ運転の終了間際にしか、冷媒過熱度のフィードバック制御をしない構成においても、電動膨張弁(55)の開度制御を早期に安定させることができる。
つまり、起動後最初のバッチ運転を、冷凍サイクルの挙動を予め予測して求めておいた予測開度を用いて第1制御を行い、その後に第2制御を行うことも考えられる。しかしながら、全ての運転条件に適合する予測開度を求めることは困難であり、該予測開度と電動膨張弁(55)の開度制御によって最終的に収束する実際の開度とが大きく乖離している場合には、各バッチ運転の終了間際にしか、冷媒過熱度のフィードバック制御をしない構成では、収束までに長い時間がかかってしまう。それに対して、本実施形態では、起動直後という冷媒過熱度が安定しない環境でありながらも、フィードバック制御を行うことによって、電動膨張弁(55)の開度を実際の運転条件に即した値に予めできる限り近づけることができ、電動膨張弁(55)の開度制御を早期に安定させることができる。
また、上記各バッチ運転の弁制御開始時間Tの経過前において、冷媒過熱度が目標値より小さくなると、電動膨張弁(55)の開度を小さくするようにしたために、いわゆる湿り運転を防止することができ、液冷媒の圧縮機(53)への戻りを防止することができる。
また、上記各バッチ運転の弁制御開始時間Tの経過前において、冷媒過熱度が経時的に所定過熱度以上に増大すると、電動膨張弁(55)の開度を大きくするようにしたために、圧縮機(53)の過熱を確実に防止することができる。
また、上記圧縮機(53)の容量が変化すると、電動膨張弁(55)が圧縮機(53)の容量変化に対応した開度になるように補正するので、運転状態に適した開度に電動膨張弁(55)を制御することができ、電動膨張弁(55)の開度の安定化を図ることができる。
また、起動後3回目以降のバッチ運転において、前回の各バッチ運転の終了時の電動膨張弁(55)の開度が存在しないときには他種のバッチ運転の終了時の電動膨張弁(55)の開度を初期開度に設定するので、電動膨張弁(55)の開度を運転条件に近い開度に設定することができ、電動膨張弁(55)の開度を迅速に収束させることができる。
−実施形態の変形例1−
本実施形態の冷媒回路(50)では、冷凍サイクルの高圧が冷媒の臨界圧力よりも高い値に設定される超臨界サイクルを行ってもよい。その場合、第1吸着熱交換器(51)及び第2吸着熱交換器(52)は、その一方がガスクーラとして動作し、他方が蒸発器として動作する。
−実施形態の変形例2−
本実施形態の調湿装置(10)では、第1吸着熱交換器(51)及び第2吸着熱交換器(52)に担持された吸着剤を冷媒によって加熱し又は冷却しているが、第1吸着熱交換器(51)及び第2吸着熱交換器(52)に対して冷水や温水を供給することで、吸着剤の加熱や冷却を行ってもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。