JP5107562B2 - 建築物の衝撃緩和機構 - Google Patents

建築物の衝撃緩和機構 Download PDF

Info

Publication number
JP5107562B2
JP5107562B2 JP2006318510A JP2006318510A JP5107562B2 JP 5107562 B2 JP5107562 B2 JP 5107562B2 JP 2006318510 A JP2006318510 A JP 2006318510A JP 2006318510 A JP2006318510 A JP 2006318510A JP 5107562 B2 JP5107562 B2 JP 5107562B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
foundation
building
impact
concrete
buckling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006318510A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008133597A (ja
Inventor
浩之 中田
彰文 武田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Okumura Corp
Original Assignee
Okumura Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Okumura Corp filed Critical Okumura Corp
Priority to JP2006318510A priority Critical patent/JP5107562B2/ja
Publication of JP2008133597A publication Critical patent/JP2008133597A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5107562B2 publication Critical patent/JP5107562B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Foundations (AREA)
  • Building Environments (AREA)
  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
  • Vibration Dampers (AREA)

Description

本発明は、地震時の水平力により浮き上がりが生じる建築物に対する、浮き上がり後の復元時に生じる着地の衝撃を緩和する建築物の衝撃緩和機構に関する。
アスペクト比(建築物の高さ/建築物の幅)の大きい直接基礎の建築物では、地震時の転倒モーメントによって建築物の基礎の一部が支持面から浮き上がる場合がある。建築物が浮き上がった場合、復元時の着地による建築物への衝撃が問題となる。このような着地時の衝撃を緩和する技術として、特許文献1に、中間階または最下階の鋼管柱の下部と、最下階部より下の柱または基礎と一体化した定着用凸部とを嵌め合わせ、その隙間にエネルギー吸収装置を設置し地震時のエネルギーを吸収しつつ落下衝撃の緩和を図る技術が示されている。
特開2001−115683号公報
しかし、特許文献1に示された背景技術は、免震構造物を対象としているため、構造物の中間階又は最下階部分の鋼管柱下部とその下の柱または基礎と間の免震層を「浮き上がり境界面」として利用している。このため、免震構造物以外の建築物に適用すると構造体が「浮き上がり境界面」により分断されその一体性が損なわれしまう。また、特許文献1に示された背景技術の適用箇所は鋼管柱の下部に限られるため、鋼管柱を有しない建築物へは適用できない。さらに、鋼管柱に対して定着用凸部やエネルギー吸収装置を設ける構造は大がかりであり経済的でない。
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、建築物の構造体の一体性を損なうことがなく、鋼管柱を有しない建築物にも適用できる汎用性を有し、構造が簡単な建築物の衝緩和機構を提供することを目的とする。
支持地盤上のラップルコンクリートによって直接基礎が支持されている建築物に設けられ、水平力により該直接基礎が該ラップルコンクリートから浮き上がった該建築物の復元時の衝撃を緩和する衝撃緩和機構であって、上記直接基礎に一端部を固定し、他端部を上記ラップルコンクリートに固定して、中間部が浮き上がりに伴う引張力により塑性変形し、復元時の圧縮力により変形することにより復元時の衝撃を緩和する衝撃緩和部材を設けると共に、該衝撃緩和部材に、これを摺動自在に挿通して当該衝撃緩和部材の座屈を防止する座屈防止部材を設けたことを特徴とする。
前記座屈防止部材は、前記ラップルコンクリートから前記直接基礎にわたり、当該直接基礎の浮き上がりに伴い該直接基礎内で摺動可能に設けたことを特徴とする。
前記座屈防止部材は、前記直接基礎から前記ラップルコンクリートにわたり、当該直接基礎の浮き上がりに伴い該ラップルコンクリート内で摺動可能に設けたことを特徴とする。
前記座屈防止部材の摺動可能な範囲の長さが前記直接基礎の浮き上がり量より長く設定されていることを特徴とする。
本発明にかかる建築物の衝撃緩和機構にあっては、建築物の構造体の一体性を損なうことがなく、鋼管柱を有しない建築物にも適用できる汎用性を有し、簡単な構造で、浮き上がりが生じた建築物の復元時の衝撃を緩和できる。具体的には、衝撃緩和部材の座屈を防止する座屈防止部材を設けているため、浮き上がり空間における衝撃緩和部材の座屈を防止でき、衝撃緩和部材の塑性変形を有効に利用して建築物の落下エネルギーを吸収できる。これにより、建築物の着地時の衝撃を効果的に緩和できる。
以下に、本発明にかかる建築物の衝撃緩和機構の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態にかかる建築物の衝撃緩和機構は基本的には、図1から図3に示すように、支持地盤10上のラップルコンクリート1によって直接基礎2が支持されている建築物に設けられ、水平力により直接基礎2がラップルコンクリート1から浮き上がった該建築物の復元時の衝撃を緩和する衝撃緩和機構であって、直接基礎2に上端部3aを固定し、下端部3bをラップルコンクリート1に固定して、中間部3cが浮き上がりに伴う引張力により塑性変形し、復元時の圧縮力により変形することにより復元時の衝撃を緩和する衝撃緩和部材3と、ラップルコンクリート1から直接基礎2にわたり、直接基礎2の浮き上がりに伴い直接基礎2内で摺動可能に、衝撃緩和部材3の座屈を防止する座屈防止部材4が設けられている。
本実施形態の建築物はXY方向に所定の間隔をもって柱5が配置されている。当該建築物の直接基礎2は、各柱5を結ぶ基礎梁7と、柱5および基礎梁7の下部のフーチング8とにより構成される。フーチング8はラップルコンクリート1により支持されている。ラップルコンクリート1の下部は支持地盤10に達している。本実施形態におけるラップルコンクリート1は地盤改良の一種であり、建築物の直接基礎2の底面から支持地盤10にわたり打設されたコンクリートである。ラップルコンクリート1は建築物の荷重を支持地盤10(支持層)へ直接伝達する機能を有していれば良く、構造体としての強度は要求されない。このため本実施形態では貧調合コンクリートが用いられている。
直接基礎2の下部には衝撃緩和部材3が設けられている。衝撃緩和部材3は地震時の水平力で浮き上がりが生じ得る柱5および基礎梁7の下部に適宜間隔をもって配置されている。衝撃緩和部材3は、建築物の一部で直接基礎2がラップルコンクリート1から浮き上がった場合に、その浮き上がりに伴って伸び変形を生じる。その後建築物とともに直接基礎2が落下する際には、伸び変形した衝撃緩和部材3は圧縮力により変形して落下エネルギーを吸収し、直接基礎2がラップルコンクリート1へ着地する際の建築物への衝撃を緩和する。すなわち衝撃緩和部材3の作用は図7に示すように、直接基礎2の浮き上がり時の引張力により塑性変形し元の寸法よりも長くなり、次いで直接基礎2が復元する際の圧縮力により、浮き上がり時の塑性変形により長くなった分(残留ひずみ分)が圧縮変形されることで、落下時のエネルギーを吸収して、着地時の衝撃を緩和する機能を有している。圧縮力による衝撃緩和部材3の変形は、建築物の落下エネルギーの吸収に関与する塑性変形等の変形を意味する。
本実施形態における衝撃緩和部材3は異形ねじ鉄筋で構成されている。衝撃緩和部材3は、ラップルコンクリート1から直接基礎2にわたってほぼ垂直に配置されている。衝撃緩和部材3は、その下端部3bがラップルコンクリート1に定着され、上端部3aが直接基礎2に定着されている。衝撃緩和部材3の上端部3aおよび下端部3bの定着強度は、地震により直接基礎2の浮き上がりと復元が繰り返されても引き抜けないように設定されている。本実施形態において、衝撃緩和部材3の上端部3aには異形ねじ鉄筋に螺合するナットが取り付けられ、下端部3bはフック状に加工され、直接基礎2およびラップルコンクリート1との定着強度が確保されている。
中間部3cの外周面には、直接基礎2が浮き上がる際の引張力による中間部3cの変形が容易となるよう、直接基礎2およびラップルコンクリート1との付着力を小さくするための付着防止処理が施されている。付着防止処理としては、例えば、中間部3cの外周面をテープ等で被覆する処理がある。中間部3cは、この付着防止処理により直接基礎2が浮き上がる際の変形が容易になる。ただし、付着防止処理を施さなくても直接基礎2等との付着力が小さく、変形が容易である中間部3cの部分には、当該処理を省略しても良い。例えば、後述する座屈防止部材4に覆われる部分である。中間部3cの長さは、直接基礎2の浮き上がり時に中間部3cで塑性変形が生じつつも破断には至らないように設定されている。衝撃緩和部材3は、建築物の構造部材とは別部材であるため、構造部材に要求される強度や配置等に制限されることなく、その強度、配置、寸法等を容易に設定できる。
本実施形態の建築物の衝撃緩和機構には、座屈防止部材4が設けられている。座屈防止部材4には衝撃緩和部材3が挿通されている。座屈防止部材4は衝撃緩和部材3の中間部3cの一部又は全部を覆うように配置されている。座屈防止部材4は衝撃緩和部材3の中間部3cの全部を覆うように配置しても良い。座屈防止部材4は、その内方で衝撃緩和部材3が摺動自在となるよう、衝撃緩和部材3の中間部3cとの固定はされない。座屈防止部材4は衝撃緩和部材3の上端部3a、下端部3bを覆わないためこれらの定着には影響を与えない。座屈防止部材4は、浮き上がりにより直接基礎2の底面とラップルコンクリート1の間に生じた浮き上がり空間Sにおける、衝撃緩和部材3の座屈による変形を拘束し、衝撃緩和部材3の塑性変形によるエネルギー吸収の効率を高める機能を有している。本実施形態において座屈防止部材4は鋼管で構成されている。該鋼管の内径は、衝撃緩和部材3の座屈を防止でき、かつその摺動を阻害しない大きさに設定されている。座屈防止部材4の上部4aは、直接基礎2の浮き上がりの際に、直接基礎2内を摺動できるようにして、直接基礎2内に配置されている。そのため、座屈防止部材4の上部4aの外周面には、衝撃緩和部材3の中間部3cに施したのと同様な付着防止処理が施されている。座屈防止部材4の直接基礎2内で摺動可能な範囲、すなわち上部4aの長さは、建築物の浮き上がり量より長く設定されている。このため、座屈防止部材4は直接基礎2の浮き上がり時にも直接基礎2から抜けず位置が安定し、確実に衝撃緩和部材3の座屈を防止できる。座屈防止部材4の下部4bはラップルコンクリート1に埋設して固定されている。本実施形態では、座屈防止部材4の下部4bの外周面にはラップルコンクリート1との定着を補強するために突起部が設けられている。座屈防止部材4の下部4bの固定と、座屈防止部材4の上部4aへの付着防止処理により、上部4aの直接基礎2内における摺動性が確保される。なお、本実施形態における直接基礎2の浮き上がり量とは、建築物の衝撃緩和部材3の配置位置において、ラップルコンクリート1と直接基礎2の間に浮き上がりが生じた際の、ラップルコンクリート1の上面と直接基礎2の底面間の距離をいう。直接基礎2の浮き上がり量は、建築物の構造計算や地震力を入力して応答解析するシミュレーションにより算定される。直接基礎2の浮き上がり量は、各建築物の浮き上がりが生じ得る水平力のうち、各建築物で衝撃緩和のねらいとした水平力を基準として設定する。衝撃緩和部材3が破断しないように、ねらいとした水平力により生じる直接基礎2の最大の浮き上がり量で設定する。例えば、各建築物における建築基準法上の保有水平耐力時の浮き上がり量に設定できる。
以上説明した本実施形態にかかる建築物の衝撃緩和機構の作用について説明する。建築物に水平力が加わっていない状態(図3(a)参照)では、ラップルコンクリート1の上部に、基礎梁7とフーチング8で構成される直接基礎2が密着して配置されている。建築物に地震による水平力が作用した場合(図3(b)参照)、ラップルコンクリート1と直接基礎2の間で浮き上がりが生じる。この浮き上がりにより、衝撃緩和部材3の上端部3aは直接基礎2と共に上昇するが、下端部3bはラップルコンクリート1に定着しているため移動しない。このため、直接基礎2やラップルコンクリート1との付着力が弱い、衝撃緩和部材3の中間部3cに引張力による伸び変形が生じる。浮き上がりに伴って中間部3cの伸び変形は塑性域まで進む。一方、座屈防止部材4は、その上部4aが直接基礎2内で摺動可能であり、下部4bがラップルコンクリート1に固定されているため、ラップルコンクリート1に残る。この際、座屈防止部材4の上部4aは浮き上がり量より長く設定されているため、上部4aが直接基礎2から完全に抜け出る状態にはならない。これにより浮き上がり空間Sには座屈防止部材4が上下端部を直接基礎2又はラップルコンクリート1内に位置させた状態で露出される。
浮き上がり段階で加わっていた水平力がなくなると建築物は復元を開始する。直接基礎2は建築物の重量により落下し、直接基礎2がラップルコンクリート1に着地して復元が終了する。この際、中間部3cが圧縮力により変形し建築物の落下エネルギーを吸収する。これにより、直接基礎2がラップルコンクリート1へ着地する際の建築物への衝撃が緩和される。衝撃緩和部材3の中間部3cが圧縮力により変形する際、浮き上がり空間Sに位置する中間部3cの部分は、座屈防止部材4によりその座屈が防止される。浮き上がり空間S以外に位置する中間部3cの部分は、その周囲の、直接基礎2、ラップルコンクリート1および座屈防止部材4により座屈が防止される。なお、地震動により建築物の両側が交互に浮き上がる場合は上記作用を繰り返す。
以上説明した本実施形態の建築物の衝撃緩和機構は、ラップルコンクリート1から直接基礎2にわたり、直接基礎2の浮き上がりに伴い直接基礎2内で摺動可能に、衝撃緩和部材3の座屈を防止する座屈防止部材4を設けているため、浮き上がり空間Sにおける衝撃緩和部材3の座屈を防止でき、衝撃緩和部材3の塑性変形を有効に利用して建築物の落下エネルギーを吸収できる。これにより、建築物の着地時の衝撃が効果的に緩和される。さらに、座屈防止部材4の直接基礎2内で摺動可能な範囲の長さが、建築物の浮き上がり量より長いため、直接基礎2が浮き上がった際も、座屈防止部材4の上部4aが直接基礎2から完全に抜け出る状態にはならず、衝撃緩和部材3の座屈を確実に防止できる。
また、水平力により直接基礎2がラップルコンクリート1から浮き上がるため、ラップルコンクリート1と直接基礎2の間で浮き上がりが発生し、建築物の構造体には「浮き上がり境界面」が発生しない。このため建築物の構造体の一体性が確保できる。また、直接基礎2に上端部3aを定着し、下端部3bをラップルコンクリート1に定着し、中間部3cが浮き上がりに伴う引張力により塑性変形し、復元時の圧縮力により変形することにより復元時の衝撃を緩和する衝撃緩和部材3を設けている。衝撃緩和部材3の取り付けにおいて、直接基礎2のみが建築物の構造体でありラップルコンクリート1は支持地盤の一種であるため、構造体への影響を少なくして衝撃緩和部材3を設置できる。さらに、衝撃緩和部材3は建築物の構造部材とは別部材であるため、建築物の構造体に関係なく、RC造、SRC造、S造に幅広く適用できる。加えて、衝撃緩和部材3や座屈防止部材4に鉄筋や鋼管等の汎用材料を利用でき、構造も簡単になる。また、衝撃緩和部材3が地震力により、その塑性域で変形を繰り返すため地震による振動エネルギーも吸収できる。
本実施形態の変形例を図4から図6に示す。本変形例の衝撃緩和部材3は異形ねじ鉄筋で構成され、その上端部3aはナットが取り付けられて直接基礎2に定着され、下端部3bはフック状に加工されてラップルコンクリート1に定着されている。衝撃緩和部材3の中間部3cは、直接基礎2の底面より下方に位置し、ラップルコンクリート1内に配置されている。衝撃緩和部材3の中間部3cの周面には前述の実施形態と同様の付着防止処理が施されている。衝撃緩和部材3の中間部3cの上側は座屈防止部材4に挿通されている。座屈防止部材4は、直接基礎2からラップルコンクリート1にわたり、ラップルコンクリート1内で摺動可能に取り付けられている。座屈防止部材4は、衝撃緩和部材3の座屈を防止でき、かつその摺動を阻害しない内径を有する鋼管で構成され、その上端面の外周部には鋼板製のツバ部4fが設けられている。ツバ部4fの上面にはアンカー4gが複数突設されている。座屈防止部材4のツバ部4fより下方の胴体部4hは、摺動補助部材20に摺動自在に挿通されている。胴体部4hの長さ、すなわち摺動可能部分の長さは、建築物の浮き上がり量より長く設定されている。
摺動補助部材20は、座屈防止部材4の胴体部4h全体を覆って配置され、ラップルコンクリート1内に埋設されている。摺動補助部材20は、ラップルコンクリート1と座屈防止部材4の胴体部4hとの付着を防止し、座屈防止部材4の摺動性を確保している。本変形例における摺動補助部材20は、合成樹脂管で構成されている。摺動補助部材20の長さは胴体部4hよりやや長く設定されている。座屈防止部材4はアンカー4gを直接基礎2に埋設し、ツバ部4fを直接基礎2の底面と面一にして直接基礎2に固定されている。胴体部4hは摺動補助部材20に挿通された状態でラップルコンクリート1に配置され、その内方に衝撃緩和部材3が挿通され、衝撃緩和部材3の中間部3c上側を覆っている。
本変形例において直接基礎2が浮き上がった場合(図6参照)、衝撃緩和部材3は中間部3cで伸び変形し塑性域に達する。この際、座屈防止部材4はその上端面ツバ部4fのアンカー4gで直接基礎2に固定され、胴体部4hが摺動補助部材20によりラップルコンクリート1内で摺動自在であるため、座屈防止部材4は直接基礎2と共に上昇する。座屈防止部材4の胴体部4hは、建築物の浮き上がり量より長いため、胴体部4hがラップルコンクリート1から完全に抜け出る状態にはならず位置が安定している。座屈防止部材4の上昇時、摺動補助部材20はラップコンクリート1との付着により、ラップルコンクリート1内に残る。直接基礎2の復元時には、衝撃緩和部材3が圧縮力により変形し、座屈防止部材4は衝撃緩和部材3の座屈を防止しながら直接基礎2と共に降下(落下)し摺動補助部材20内部に再度収まる。
本変形例において、直接基礎2からラップルコンクリート1にわたり、摺動可能に、座屈防止部材4を設けているため、直接基礎2内での座屈防止部材4の摺動がなくなる。このため、直接基礎2内に座屈防止部材4の摺動による空間部が生じなくなり構造的に好ましくなる。さらに、直接基礎2内には、衝撃緩和部材3の中間部3cを配置していないため、直接基礎2内で動く部材がなくなり、構造的に好ましくなる。また、座屈防止部材4を、構造体としての強度を有する直接基礎2に固定するため、その固定強度が確保しやすく、その摺動が確実になる。座屈防止部材4の胴体部4hは摺動補助部材20で包囲されてラップルコンクリート1内に配置されているため、ラップルコンクリート1と付着することがなく、その摺動が円滑になる。また、摺動補助部材20により、座屈防止部材4周囲のラップルコンクリート1の面が保護され、座屈防止部材4が摺動した際のラップルコンクリート1の面の崩れ等を防止でき、座屈防止部材4の動きの円滑を確保できる。
以上の実施形態では直接基礎2の下部全体にラップルコンクリート1が設けられているが、一部の直接基礎2にラップルコンクリート1が存在する場合でも良い。さらに、衝撃緩和部材3の下端部3bを、建築物の浮き上がり時に定着させておくことができ、圧縮時に衝撃緩和部材3の中間部3cが変形できるものであれば、ラップルコンクリート1に限定されない。例えば定着用アンカー部を有する衝撃緩和部材3を支持地盤10の必要箇所へ埋設してもよい。
本実施形態の直接基礎2は布基礎形式であるが、この形式に限定されない。杭を有さない直接基礎であれば、独立フーチング方式、べた基礎方式でも良い。
衝撃緩和部材3は、直接基礎2の復元時の圧縮力により変形し落下エネルギーを吸収できるものであればよい。例えば極軟鋼の板材や棒材を使用しても良い。また、衝撃緩和部材3の上下端部3a、3bの形状は定着が確保できれば形状は限定されない。衝撃緩和部材3は、上下端部3a、3bと中間部3cを別素材で構成しても良い。ただし、中間部3cを別部材で構成した場合であっても、ラップルコンクリート1が支持地盤10から浮き上がらないように、衝撃緩和部材3の耐力を設定することは言うまでもない。
座屈防止部材4は筒体である必要はない。座屈防止部材4は、浮き上がり時に、直接基礎2内又はラップルコンクリート1内を摺動可能であり、かつその内方で衝撃緩和部材3が摺動自在であると同時に、浮き上がり空間Sで衝撃緩和部材3の座屈を防止できるものであれば良い。例えば、座屈防止部材4を格子筒状体としても良い。
変形例における、座屈防止部材4のツバ部4f、アンカー4gの代わりに、先の実施形態における座屈防止部材4の上部4aを適当な深さまで直接基礎2に埋設して固定しても良い。また、付着防止処理は、テープ等の被覆や合成樹脂管の摺動補助部材20に限定されず、剥離剤等を塗布しても良い。
本発明に係る衝撃緩和機構を適用する建築物の基礎の一部を示す平面図である。 図1における直接基礎の縦断面図である。 図2に示す直接基礎に浮き上がりが生じる場合の状態を説明する縦断面図である。 図2に示す衝撃緩和機構の変形例を示す直接基礎の縦断面図である。 図4に示す衝撃緩和機構の座屈防止部材の取り付け状況を示す拡大縦断面図である。 図4に示す直接基礎に浮き上がりが生じる場合の状態を説明する縦断面図である。 本発明に係る衝撃緩和機構に適用する衝撃緩和部材についての応力とそれによる変形量および吸収するエネルギー量の関係を模式的に示すグラフ図である。
符号の説明
1 ラップルコンクリート
2 直接基礎
3 衝撃緩和部材
4 座屈防止部材

Claims (4)

  1. 支持地盤上のラップルコンクリートによって直接基礎が支持されている建築物に設けられ、水平力により該直接基礎が該ラップルコンクリートから浮き上がった該建築物の復元時の衝撃を緩和する衝撃緩和機構であって、
    上記直接基礎に一端部を固定し、他端部を上記ラップルコンクリートに固定して、中間部が浮き上がりに伴う引張力により塑性変形し、復元時の圧縮力により変形することにより復元時の衝撃を緩和する衝撃緩和部材を設けると共に、該衝撃緩和部材に、これを摺動自在に挿通して当該衝撃緩和部材の座屈を防止する座屈防止部材を設けたことを特徴とする建築物の衝撃緩和機構。
  2. 前記座屈防止部材は、前記ラップルコンクリートから前記直接基礎にわたり、当該直接基礎の浮き上がりに伴い該直接基礎内で摺動可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の建築物の衝撃緩和機構。
  3. 前記座屈防止部材は、前記直接基礎から前記ラップルコンクリートにわたり、当該直接基礎の浮き上がりに伴い該ラップルコンクリート内で摺動可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の建築物の衝撃緩和機構。
  4. 前記座屈防止部材の摺動可能な範囲の長さが前記直接基礎の浮き上がり量より長く設定されていることを特徴とする請求項1から3いずれかの項に記載の建築物の衝撃緩和機構。
JP2006318510A 2006-11-27 2006-11-27 建築物の衝撃緩和機構 Expired - Fee Related JP5107562B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006318510A JP5107562B2 (ja) 2006-11-27 2006-11-27 建築物の衝撃緩和機構

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006318510A JP5107562B2 (ja) 2006-11-27 2006-11-27 建築物の衝撃緩和機構

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008133597A JP2008133597A (ja) 2008-06-12
JP5107562B2 true JP5107562B2 (ja) 2012-12-26

Family

ID=39558632

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006318510A Expired - Fee Related JP5107562B2 (ja) 2006-11-27 2006-11-27 建築物の衝撃緩和機構

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5107562B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015038267A (ja) * 2012-08-28 2015-02-26 株式会社 ゴウ構造 太陽光発電パネル受の支柱基礎工法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0971952A (ja) * 1995-09-06 1997-03-18 Taisei Corp 杭基礎構造
JP2001131991A (ja) * 1999-11-09 2001-05-15 Nishimatsu Constr Co Ltd 免震構造
JP4588844B2 (ja) * 2000-06-15 2010-12-01 株式会社竹中工務店 免震柱脚部構造
JP2002081081A (ja) * 2000-06-22 2002-03-22 Shimizu Corp 建 物
JP3909392B2 (ja) * 2002-02-05 2007-04-25 新日本製鐵株式会社 建造物の柱脚支持構造およびその施工方法
JP3882633B2 (ja) * 2002-02-07 2007-02-21 株式会社大林組 鋼管ダンパー及びこれを用いたロッキング基礎構造

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008133597A (ja) 2008-06-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5135034B2 (ja) 露出型柱脚構造
JP2016027239A (ja) 高架橋の倒壊防止構造
JP2007197930A (ja) アーチ橋,高橋脚,斜張橋及び吊り橋主塔等に用いる免震・制震装置
JP5107562B2 (ja) 建築物の衝撃緩和機構
JP2006241726A (ja) 落橋防止装置
JP2009203783A (ja) 制振パネルおよびそれを用いた骨組構造
JP3882633B2 (ja) 鋼管ダンパー及びこれを用いたロッキング基礎構造
JP4387039B2 (ja) 締着装置
JP5911743B2 (ja) 制震ダンパー及び制震構造
JP5868603B2 (ja) 既存建物の耐震補強工法
JP2019019664A (ja) 高層建物およびプレキャストプレストレストコンクリート柱
JP3803949B2 (ja) アスペクト比が大きい建物の免震方法及び免震構造
KR101011162B1 (ko) 내진보강장치를 이용한 구조물 내진보강구조 및 공법
JPH07238540A (ja) 引張り鋼材が除去可能なグランドアンカー
JP5411375B1 (ja) 制震柱状体を用いた建物
JP5159487B2 (ja) 制震間柱の施工方法、制震間柱、及び建築構造物
JP7245513B2 (ja) 連層耐力壁の損傷を抑制する方法及び設置構造
JP6104684B2 (ja) 圧縮ブレース
JP6148389B1 (ja) 鉛直プレストレストによる制震建造物
JP2014037762A (ja) 制震プレストレスを付与した鉄骨柱を用いた建造物
JP2006291469A (ja) 免震構造物
JP7382867B2 (ja) 建物本体の支持構造
JP2006002355A (ja) ロッキング機能を有した直接基礎構造
JP7330122B2 (ja) 上部構造物の支持構造
KR101166691B1 (ko) 구조물의 베어링장치 및 그 시공방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090812

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111111

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111122

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120911

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121004

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151012

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees