JP5107493B2 - 炭酸カルシウムの製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、石灰石或いは炭酸カルシウムを含有する材料(以下、炭酸カルシウム含有材料という)を用いて炭酸カルシウムを製造する方法に係り、特に焼成工程を行うことなく効率よく炭酸カルシウムを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
よく知られるように炭酸カルシウムには、石灰石や白亜などを粉砕して製造される重質炭酸カルシウムと、化学的方法、典型的には石灰乳に炭酸ガスを吹き込むことにより製造される沈降炭酸カルシウム(以下、PCCという)がある。化学的方法は、得られる炭酸カルシウムの粒度分布と形状の制御が容易で、且つ純度の高いものが得られることから、化学的方法によって製造されたPCCは、製紙、顔料、ゴム・プラスチックス用フィラーなど幅広い用途に利用されている。
【0003】
PCCの原料である石灰乳は、一般的には石灰石や貝などの炭酸カルシウム含有材料を焼成して生石灰とし、これを水と反応させることにより生成した消石灰から製造する。また近年、リサイクルという観点から、使用済みの工業製品や製造工程で廃棄される廃棄物を焼成し、その焼成灰からPCCを回収して使用する技術も提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように従来のPCCの製造方法では、原料の焼成工程が不可欠であったが、焼成工程は炭酸ガスの排出を伴う工程であり、製造費用の点からも、また地球環境規模での炭酸ガス排出量低減という要請からも好ましくない。
【0005】
また工場廃棄物の場合には、炭酸カルシウムのほかに鉄、亜鉛等の重金属やケイ素、アルミニウムなどが混在しているため、これを焼成した場合、焼成温度等の条件によって、これらカルシウム以外の金属とカルシウムとの混合酸化物が生成する場合がある。このような混合酸化物の生成は、純度の高い炭酸カルシウムの生成を妨げる原因となる。
【0006】
一方、採石場から塊状石灰石を産出するときに、多量の粉末石灰石が副生する。しかし粉末石灰石については焼成技術が未発達のため、これを生石灰にすることは難しく、その殆どが飼料および道路用フィラーとして使われるか廃棄されているのが現状である。
【0007】
そこで本発明は、従来廃棄されていた副生石灰石粉末や工場廃棄物を利用して、焼成を行うことなく炭酸カルシウムを製造することができる方法を提供することを目的とする。また本発明は、炭酸カルシウムの製造工程で排出或いは除去される水溶液や残渣をすべて利用することが可能であり、廃棄物の生成のない炭酸カルシウムの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明者らは、石灰石および炭酸カルシウムの溶解性について鋭意研究した結果、カルシウムイオンを含有しない所定のイオン強度以上の強電解質水溶液を用いた場合に、水に難溶であるカルサイトの溶解量を工業的生産に十分な程度まで高めうることを見出し本発明に至ったものである。
【0009】
すなわち本発明の炭酸カルシウムの製造方法は、石灰石または炭酸カルシウムを含有する材料を、強電解質水溶液に懸濁した後、この懸濁液に炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスを吹き込み、その後、懸濁液をろ過後のろ液または懸濁液の上澄み液を分取し、前記ろ液または上澄み液に消石灰の粉末または懸濁液を添加することにより、炭酸カルシウムを沈殿物として生成することを特徴とするものである。
【0010】
以下、本発明の炭酸カルシウムの製造方法について詳述する。
原料となる石灰石は、塊状のものでもよいが、粒状或いは粉末状であることが好ましい。廃棄物を利用するという観点から、特に塊状石灰石を産出する過程で副生する粉末石灰石を用いることが好ましい。
【0011】
炭酸カルシウム含有材料としては、製紙スラッジ、漆喰系建築材;珪酸カルシウム系建築材等の建築材、セメント或いはコンクリートブロック等のセメントの派生物、プラスチックス系複合材料およびほたて貝;カキ貝がら等の貝殻類を用いることができる。これらは1種のみでも2種以上を混合して用いてもよく、さらに石灰石を適宜混合したものを用いてもよい。
原料の粒度は、特に限定されないが、一般に粒度が細かいほど強電解質水溶液への溶解速度が高い。従って粒度は、好ましくは相当球直径換算で1μm〜10mmの範囲とする。
【0012】
強電解質水溶液は、イオン強度が0.1〜4重量モル濃度の範囲であることが好ましい。なお、イオン強度は次式に示すように、水溶液中に溶解しているn種のイオン(i=1,2,…n)について、イオンの価数(Z)の二乗と重量モル濃度(m)との積を合計したものの1/2と定義される。
【0013】
【数1】
Figure 0005107493
【0014】
イオン強度が0.1重量モル濃度未満では、十分な溶解量が得られない。ちなみに純水(イオン強度=1.82×10-9mol/1000g・H2O、25℃)におけるカルサイトの溶解量は1.433×10-2g/Lであり、工業的生産規模には適しない。水に石灰石あるいは炭酸カルシウム含有材料を懸濁させた液に炭酸ガスを吹き込んだ場合には、カルサイトの溶解量をCaCO3換算、20℃で1.3g/L程度まで向上することができるが、それでも工業的生産には不十分である。本発明の炭酸カルシウム製造方法では、石灰石あるいは炭酸カルシウム含有材料を懸濁させる水溶液として、上記イオン強度範囲の強電解質水溶液を用いたことにより、炭酸ガスを吹き込んだときにカルサイトの溶解量をCaCO3換算、20℃で2.6〜2.8g/Lと純水の場合に比較しほぼ倍増させることができる。
【0015】
一方、イオン強度が4重量モル濃度を超えると活量係数が極端に小さくなっていき、そのため未解離分子濃度が大きくなって不経済である。
【0016】
このようなイオン強度の強電解質水溶液が含有する電解質としては、アルカリ金属の塩酸塩、硫酸塩やカルシウムを除くアルカリ土類金属の塩酸塩、硫酸塩を使用することができる。具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが挙げられる。これらの1種または2種以上を上記イオン強度となるように水に溶解せしめることにより強電解質水溶液を得る。
【0017】
また強電解質水溶液としては、新たに調製したもののみならず、本発明の炭酸カルシウムの製造方法において生成した炭酸カルシウムを分離した後のろ液または上澄み液を使用することも可能である。このようなろ液または上澄み液は、必要に応じて上記電解質を添加し、所定のイオン強度となるように調整する。
【0018】
ところで、上述した範囲のイオン強度の範囲のものとして天然の海水或いはそれとほぼ同様の成分とした人工海水があるが、海水或いは人工海水は通常、塩化カルシウム(無水物)換算で0.097重量%〜0.485重量%程度のカルシウムイオンを含む。このようなカルシウムイオンの存在は、電解質水溶液に炭酸カルシウムを溶解する場合、溶解度を低減する効果(共通イオン効果)を生じる。従って、本発明の炭酸カルシウムの製造方法において、強電解質は実質的にカルシウムイオンを含有しないことが好ましい。「実質的に」とは、上記アルカリ金属塩或いはアルカリ土類金属塩に不可避的に混入されたカルシウムが含まれる場合を含む意味である。
【0019】
このような強電解質水溶液に石灰石或いは炭酸カルシウム含有材料を加え、懸濁する。添加する原料の添加量は特に限定されないが、通常3g/L〜15g/L程度とする。懸濁液の温度は、常温(15℃〜25℃)でよい。
【0020】
懸濁液に吹き込むガスとしては、炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスを用いる。
炭酸ガス含有ガスとは、各種燃焼工程などで排出された二酸化炭素を含有する混合ガスで、ガス中の炭酸ガス含有量が5〜100容量%のものを用いる。具体的には石灰石焼成キルン排ガスなどの石灰石焼成排ガス、パルプ製造プラントの石灰キルン排ガスなどの石灰焼成排ガス、発電ボイラー排ガス、ゴミ焼却排ガスなどを用いることができる。工業的にはこのような排ガスを利用することが好ましい。
【0021】
上記懸濁液への炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガス(以下、両者をまとめて炭酸ガス含有ガスという)の吹き込み反応は、半回分式或いは連続槽(1段または多段)のいずれで行ってもよい。吹き込み反応は、炭酸ガス量として原料1kgあたり毎分15L〜25L、好適には18L〜20Lリットルの割合で吹き込みながら、2〜4時間程度行うことが好ましい。
【0022】
このように炭酸ガス含有ガスを吹き込むことにより、石灰石或いは炭酸カルシウム含有材料の溶解量を大幅に高めることができ、水相に2.6g/L〜2.8g/Lの炭酸カルシウムを溶解させることができる。溶解している炭酸カルシウムは、液のpHが中性から酸性の範囲では炭酸水素カルシウム(Ca(HCO32)の形態をとっており、pHをアルカリサイドにすることにより、炭酸カルシウム(CaCO3)として沈殿させることができる。
【0023】
本発明では、炭酸ガス含有ガスの吹き込み反応後、懸濁液をろ過したろ液或いは懸濁液の上澄み液に消石灰を添加することによって炭酸カルシウムを沈殿させる。消石灰は、粉末でも水溶液或いは懸濁液として添加してもよい。懸濁液の場合、粒子濃度3g/L〜300g/Lのものを用いる。また消石灰の添加量は、添加前のろ液または上澄み液中に溶解している炭酸水素カルシウムに対して、Ca(OH)2換算で1当量以上とする。これにより下記反応式に基づき、溶解している炭酸水素カルシウムを炭酸カルシウムとして析出させることができる。
【0024】
【化1】
Figure 0005107493
【0025】
なお水に溶解している炭酸カルシウムを沈殿させために、従来のPCCの製造方法では加熱を採用しているが、本発明では消石灰を用いることにより、加熱することなく炭酸カルシウムを析出させることができ、しかも炭酸水素カルシウムから析出する炭酸カルシウムの2倍量の炭酸カルシウムを製造することができる。
【0026】
吹き込み反応後の懸濁液からろ液或いは上澄み液を除いた後の残渣は、原料が石灰石やコンクリートブロックの場合、再度建材用砂や建築材として利用することができる。
【0027】
一方、消石灰の添加によってろ液或いは上澄み液から析出した炭酸カルシウムは、ろ別後、必要に応じて分散、分級等の処理を行い、さらに水洗或いは乾燥等を経て、最終製品である粉末或いは炭酸カルシウム水性懸濁液とする。このようにして得られる炭酸カルシウムは、結晶形がカルサイト、平均粒径が約1μ〜3μの範囲であり、石灰乳の炭酸化によって得たバージンPCCとほぼ同様の品質が得られる。
【0028】
析出した炭酸カルシウムを除去後のろ液は、炭酸ガス含有ガスを吹き込むことによって過剰の消石灰を中和し、除去した後、前述したように再度本発明による炭酸カルシウム製造の強電解質水溶液として利用することができる。すなわち本発明の炭酸カルシウムの製造方法では、強電解質水溶液を繰り返し再利用することができる。
【0029】
以上、説明したように本発明の炭酸カルシウムの製造方法によれば、焼成工程や加熱工程を経ることなく、高い効率で炭酸カルシウムを得ることができる。また本発明の炭酸カルシウムの製造工程で副生する残渣、ろ液、上澄み液等は、リサイクルして利用することができるので、製造工程からの廃棄物の排出をなくすことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の炭酸カルシウムの製造方法を石灰石を原料とする製造フローに適用した一実施形態を図1に示す。図1において、溶解反応槽101〜103に石灰石粉タンク100から石灰石粉を供給すると共に、電解質溶液槽104から強電解質水溶液を供給して、これらを混合して懸濁液を作成する。一方、石灰焼成炉105で発生した炭酸ガスを洗浄塔を経て溶解反応槽101〜103に所定時間吹き込み、原料中の炭酸カルシウムの溶解量を高める。
【0031】
この溶解反応槽101〜103の反応液は、シックナー106において、上澄み液と残渣に分離され、上澄み液は溶解液受けタンクを経て炭酸化反応槽107〜109に送られる。残渣は再度建築用砂として利用されるか、廃棄される。
【0032】
溶解反応槽101〜103に消石灰タンク110から消石灰を所定量添加し、pHをアルカリサイドに上げて、炭酸水素カルシウムの形態で溶解しているカルシウムを炭酸カルシウムとして析出させる。析出した炭酸カルシウムを含む反応液をデカンター111でろ別して、ろ液は電解質溶解槽104に戻す。この際、必要に応じて、ろ液に炭酸ガス含有ガスを吹き込んで過剰な消石灰を炭酸カルシウムとして沈殿させた後、ろ過し、ろ液を電解質溶解槽104に戻してもよい。
【0033】
デカンター111で別された炭酸カルシウムは、再スラリー化タンク112において、清水タンク113からの水によって再スラリー化し、回転ろ過機114でろ過することによって洗浄し、さらに濃調タンク115で濃度を調整し、製品化する。
【0034】
なお、図は本発明による炭酸カルシウムの製造フローの一例であって、核反応槽やろ過機等の構成は、図示するものに限定されず任意に変更することができる。例えば図には溶解反応槽および炭酸化反応槽がそれぞれ3槽の場合を示したが、それより多くても少なくてもよい。
また、原料として石灰石を用いた炭酸カルシウムの製造フローを説明したが、原料によって種々の変更を加えることも可能である。例えば製紙スラッジのように炭酸カルシウム以外に二酸化けい素やアルミナの含有量が多いものでは、炭酸ガス吹き込み工程後のろ過によって得られた残渣から、二酸化けい素やアルミナを回収する工程を付加することも可能である。またマグネシウムの含有量が多い原料の場合には、マグネシウムは、シックナー106による分離の再に溶解液側に存在するので、炭酸化反応工程において、炭酸カルシウムは析出するがマグネシウムは沈殿しないpH範囲で炭酸カルシウムを析出させ、その後pHを上げることによってマグネシウムを回収することも可能である。
【0035】
このような炭酸カルシウムの製造方法によれば、製造工程から排出する廃棄物量をなくし、しかも加熱工程を含まずエネルギー効率よく炭酸カルシウムを製造することができる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明の炭酸カルシウムの製造方法の実施例を説明する。
【0037】
[参考例]
石灰石を懸濁させる溶媒として、水、強電解質水溶液A(NaCl /MgCl2 /Na2SO4混合溶媒:イオン強度0.53)および強電解質水溶液B(NaCl /MgCl2 /CaCl2 /Na2SO4混合溶媒:イオン強度0.55)を用いて、それぞれ2Lに石灰石10g(5g/L)投入して懸濁させた後、炭酸ガスを吹き込み速度20L-CO2/kg-CaCO3・minで吹き込み、反応させた。反応時間10分、30分、60分、120分、180分の時点におけるCaCO3の溶解量を求めた。なお溶解量は、液中の炭酸カルシウム濃度からブランクの濃度を差し引いた値として求めた。結果を図2に示す。
【0038】
図中、■は強電解質水溶液A、△は強電解質水溶液Bを示す。
図2からもわかるように、カルシウムイオンを含まない強電解質水溶液Aでは、水およびカルシウムイオンを含む強電解質水溶液のイオン強度Bに比べ、大幅(約2倍)に炭酸カルシウムの溶解量が増加していた。
【0039】
[実施例1]
325メッシュ篩を通し、粒度を44μm以下に調整した石灰石粉6gを、表1に示す電解質成分の強電解質水溶液(イオン強度0.7[mol/1000g-H2O])2Lに懸濁させた。この懸濁液の温度を20℃に調整した後、100%濃度の炭酸ガスを20L-CO2/kg-CaCO3・minの吹込み速度で、懸濁液中に120分間吹込み,吹込み中止後懸濁液をNo5Cのろ紙を用いてヌッチェろ過し清澄液を得た。得られた清澄液に消石灰粉3.4gを添加し攪拌した後、ろ過し得られたろ過ケーキを150℃、3時間乾燥し、9.2gの炭酸カルシウムを得た。
【0040】
[実施例2]
325メッシュ篩を通し,粒度を44μm以下に調整したほたて貝がら24gを、表1に示す電解質成分の強電解質水溶液(イオン強度I=4.0[mol/1000g-H2O])2Lに懸濁させた。
この懸濁液の温度を20℃に調整した後、100%濃度の炭酸ガスを20L-CO2/kg-CaCO3・minの吹込み速度で180分間吹込み、吹込み中止後懸濁液をNo5Cのろ紙を用いてヌッチェろ過し清澄液を得た。得られた清澄液に消石灰粉3.4gを添加し攪拌した後、ろ過し得られたろ過ケーキを150℃、3時間乾燥し、9.2gの炭酸カルシウムを得た。
【0041】
[実施例3]
325メッシュ篩を通し,粒度を44μm以下に調整した石灰石粉6gを、表1に示す電解質成分の強電解質水溶液(イオン強度 I=3.0[mol/1000g-H2O])2Lに懸濁させた。
この懸濁液の温度を20℃に調整した後、100%濃度の炭酸ガスを20L-CO2/kg-CaCO3・minの吹込み速度で60分間吹込み、吹込み中止後懸濁液をNo5Cのろ紙を用いてヌッチェろ過し清澄液を得た。得られた清澄液に消石灰粉10gを添加し攪拌した後、同時に炭酸ガス含有ガスを吹込んでpH7まで懸濁液のpHが下がったことを確認後、ろ過し得られたろ過ケーキを150℃、3時間乾燥し、18.12gの炭酸カルシウムを得た。
【0042】
[実施例4]
粒度を1mm以下に調整した石灰石粉10gを、表1に示す電解質成分の強電解質水溶液(イオン強度I=4.0[mol/1000kg-H2O])2Lに懸濁させた。
この懸濁液の温度を20℃に調整した後、30%炭酸ガス濃度の炭酸ガス含有ガスを15L-CO2/kg-CaCO3・minの吹込み速度で120分間吹込み、吹込み中止後懸濁液をNo5Cのろ紙を用いてヌッチェろ過し清澄液を得た。得られた清澄液に消石灰粉4.12gを添加し攪拌した後、ろ過し得られたろ過ケーキを150℃、3時間乾燥し、11.2gの炭酸カルシウムを得た。
【0043】
[実施例5]
実施例2で炭酸カルシウムを生成させた後のろ液1.5Lに、粒度を1mm以下に調整した石灰石粉10gを投入し、攪拌しながら30%炭酸ガス濃度の炭酸ガス含有ガスを15L-CO2/kg-CaCO3・minの吹込み速度で120分間吹込み、吹込み中止後懸濁液をNo5Cのろ紙を用いてヌッチェろ過し清澄液を得た。得られた清澄液に消石灰粉3.09gを添加し攪拌した後、ろ過し得られたろ過ケーキを150℃、3時間乾燥し、8.4gの炭酸カルシウムを得た。
【0044】
[比較例1]
粒度100μm〜200μmの石灰石粉10gを2Lの純水中に投入し、その後100%濃度の炭酸ガスを20L-CO2/kg-CaCO3・minの吹込み速度で、20℃に温度を調整した石灰石粉懸濁液中に120分間吹込み、吹込み中止後懸濁液をNo5Cのろ紙を用いてヌッチェろ過し清澄液を得た。得られた清澄液に消石灰粉0.96gを添加し攪拌した後、ろ過し得られたろ過ケーキを150℃、3時間乾燥し、2.6gの炭酸カルシウムを得た。この場合の炭酸カルシウムの量は、実施例1の場合の1/5程度であった。
【0045】
【表1】
Figure 0005107493
なお、表中の成分量はモル比である。
【0046】
[実施例6]
325メッシュ篩を通し、粒度を44μm以下に調整した石灰石粉6gを、電解質成分として、Na2CO3、K2CO3をモル比(Na2CO3):(K2CO3)=0.95:0.05で含む強電解質水溶液(イオン強度0.7[mol/1000g-H2O])2Lに懸濁させた。この懸濁液の温度を20℃に調整した後、100%濃度の炭酸ガスを0.5L-CO2/kg-CaCO3・minの吹込み速度で、懸濁液中に60分間吹込み、吹込み中止後懸濁液をNo5Cのろ紙を用いてヌッチェろ過し清澄液を得た。得られた清澄液に消石灰粉3.4gを添加し攪拌した後、ろ過し得られたろ過ケーキを150℃、3時間乾燥し、9.2gの炭酸カルシウムを得た。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、所定のイオン強度の強電解質と炭酸ガス吹き込み反応を組み合わせることにより、焼成工程を経ることなく工業的に実用的な規模で炭酸カルシウムを製造することができる。また原料として採石場で副生される不要な石灰石粉末や、コンクリートフロック等の建築廃材等をそのまま利用することができる。さらに本発明によれば、製造工程からの廃棄物の排出をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の炭酸カルシウムの製造方法の一実施形態を示すフロー図
【図2】 本発明の炭酸カルシウムの製造方法の予備実験の結果を示すグラフ

Claims (6)

  1. 石灰石または炭酸カルシウムを含有する材料を、強電解質水溶液に懸濁した後、この懸濁液に炭酸ガスまたは炭酸ガス含有ガスを吹き込み、その後、懸濁液をろ過して得られるろ液または懸濁液の上澄み液を分取し、前記ろ液または上澄み液に消石灰の粉末または懸濁液を添加することにより、炭酸カルシウムを沈殿物として生成する炭酸カルシウムの製造方法。
  2. 前記強電解質水溶液は、イオン強度が0.1〜4重量モル濃度であることを特徴とする請求項1記載の炭酸カルシウムの製造方法。
  3. 前記強電解質水溶液は、電解質として塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムのいずれか1種または2種以上を含み、実質的にカルシウムイオンを含有しないことを特徴とする請求項1または2に記載の炭酸カルシウムの製造方法。
  4. 前記石灰石または炭酸カルシウムを含有する材料は、その粒度が相当球直径換算で1μm〜10mmの範囲であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の炭酸カルシウムの製造方法。
  5. 前記石灰石または炭酸カルシウムを含有する材料は、石灰石、製紙スラッジ、建築材、セメント或いはその派生物、プラスチックス複合材料および貝殻類から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の炭酸カルシウムの製造方法。
  6. 前記石灰石または炭酸カルシウムを含有する材料を懸濁する強電解質水溶液の全部または一部として、沈殿物として生成した炭酸カルシウムを分離した後のろ液または上澄み液を使用することを特徴とする請求項1記載の炭酸カルシウムの製造方法。
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