JP5105793B2 - 断熱吸音材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
(1)従来技術による断熱吸音材において、上外皮材には空気孔が形成されているが、上外皮材および下外皮材の両者に接着剤を塗布した場合、この空気孔を閉塞してしまい、また、空気孔からの接着剤の流出により、製造ラインの汚れや詰まりの原因となる。
(2)また、特許文献1には、無機質繊維マットと前記熱可塑性樹脂シートが、接着剤を用いて前記無機質繊維マットの短辺方向において部分的に接着された無機質繊維断熱材が開示されているが、接着剤の塗布エリアにバラツキが生じた場合、接着が不充分となる。
(3)更に、接着剤を、下外皮材の無機質繊維マットが載置される部分の全面に塗布すると、接着剤の量が多くなり、コストが上昇する。また、製品を二つ折りにして圧縮梱包する場合、接着が強固なため、折り曲げた際に外皮材が破損することがある。
(1)図26(A)及び(B)に示すように、一つのパターンの接着剤塗布により、外皮材114(116)と無機質繊維マット12の接着部100、及び長辺方向(Y方向)における外皮材同士の接着部102を同時に形成する場合、接着剤の度合いが100の方に偏りがちになり、102の長辺方向における外皮材同士の接着が不充分となり、不良品の原因となる。特に、接着剤塗布にバラツキが生じた場合、この現象は顕著に現れる。
(2)また、無機質繊維マットは、製造工程において厚み方向に圧縮された状態で外皮材による被覆を施され、その後に更に圧縮されて梱包されるため、梱包された状態において厚み方向への反発力(復元力)を有している。圧縮梱包された状態で輸送、保管され、使用する際にこの梱包が解かれ、マットの復元力により製品の厚みが復元する。図27(A)は製造時の状態を示し、(B)は梱包が解かれた状態を示す。梱包が解かれた時の厚みT2 が製造時の厚みT1 よりも大きくなる場合がある。同時に、マット12の復元力により外皮材114、116 の被覆に張力を与え、結果として図27(B)に示すように外皮材114、116 の破損や接着部の剥がれ等に至る場合がある。
接着剤を用いてこの接着を行うと、II(1)で述べた問題と同様の問題が生じる。
特許文献1には熱溶着による接着を開示しているが、この場合、短辺方向の接着は熱溶着のみの接着のため、外皮材全体としての接着が不充分となる恐れがある。
特許文献1に開示の断熱材の場合、図28に示すように接着剤が塗付されていない領域104において外皮材114,116を切断する。図28において106は切断箇所、108は溶着箇所をしめす。領域104は接着剤が塗布されていないため、外皮材114,116同士が充分に密接しておらず、図29に示すように外皮材114,116のたるみ等が発生することにより、接着不良や外観不良を生じる恐れがある。
さらに、請求項1記載の発明は、「この塗布範囲はマットの下面の全面積に対して部分的に行われており」という構成を有するので項目「発明が解決しようとする課題」で説明したI(3)の問題点が解決される。
さらに、請求項1記載の発明は、「上外皮材には前記断熱吸音材の上面の空気孔と側面の空気孔を設けた」という構成を有するので、空気の流通を促進させ、圧縮梱包時の外皮材の破損の防止と、圧縮梱包から開梱した時の製品の復元(膨張)を助ける効果を有する。
また、請求項2記載の発明は、「マットと下外皮材の間に形成された接着部と前記長辺方向接着部は、前記短辺方向において間隙を有する」という構成を有するので上記II(2)の問題点が解決される。
また、請求項3記載の発明は、「下外皮材またはマットの下面に接着剤を塗布する工程」という構成を有するので項目「発明が解決しようとする課題」で説明したI(1)の問題点が解決される。
また、請求項3記載の発明は、「断熱吸音材の長辺方向における上外皮材と下外皮材が対向する部分に接着剤を連続的に塗布し、塗布後に専用ローラーにより押圧して両外皮材を接着させる工程」を有するのでII(1)の問題点が解決される。
また、請求項3 記載の発明は、「断熱吸音材の短辺方向における上外皮材と下外皮材を熱溶着により部分的に接着する工程」と、「断熱吸音材の長辺方向における上外皮材と下外皮材が対向する部分に接着剤を連続的に塗布し、塗布後に専用ローラーにより押圧して両外皮材を接着させる工程」の両方を有するので、項目「発明が解決しようとする課題」で説明したIII、IVの問題点が解決される。
さらに、請求項3 記載の発明は、「下外皮材またはマットの下面に接着剤を塗布する工程であって、その塗布範囲はマットの下面の全面積に対して部分的に行われ」る工程を有するので、項目「発明が解決しようとする課題」で説明したI(3)の問題点が解決される。
さらに、請求項3 記載の発明は、「前記マットと下外皮材の間に形成された接着部と前記長辺方向接着部は、前記短辺方向において間隙を有する工程」という構成を有するので上記II(2)の問題点が解決される。
1.無機質繊維マットの成形工程
まず、ガラス原料をマットとするための成形工程を説明する。
本成形工程は、ガラス原料を溶融後、これを遠心式紡糸装置2により繊維化して堆積させ、バインダー塗布装置4により接着剤(バインダー)を塗付し、集綿機6による集綿、加圧乾燥機8による加圧乾燥を経てマット状とする。これを切断装置(シャー)10により所定の寸法に切断して無機質繊維マット12とする。
上記成形工程を経て所定の寸法に切断された無機質繊維マット12は、ある一定の間隔を置いて製造ラインに流される。製造ライン上において、まず、図2にも示すように無機質繊維マット12の上部に上外皮材14が配置され、下部に下外皮材16が配置される。それぞれの外皮材14,16はロール状に巻き取られており、製造ラインの流れにあわせて送り出される。上外皮材14は厚み10μmのカラーポリエチレンフィルム、下外皮材16は厚み20μmのポリエチレン等の合成樹脂フィルムとすることができる。
図8、図9に示すように、マット12と下外皮材16の間に形成される接着部28,30と外被材14,16同士の長辺方向(図6に示したY方向)接着部24,26の間に形成される接着部24,26は、短辺方向(X方向)において間隙25,25を有するように設定されている。
マット12と下外皮材16の間に形成される接着部28,30は、上記接着剤供給装置及び図示しないセンサを用いて、マット12の位置を検出しながら塗布スプレーを動作させる電子制御により塗布される。
上下の外皮材14,16に接着剤が塗布された後に、上から上外皮材14、無機質繊維マット12、下外皮材16の順で各素材が重ね合わせられるが、図11、図12に示すように、まず上部からローラー32の押圧により無機質繊維マット12と下外皮材16との接着が行われ、次いで上外皮材14の両端部を折り曲げて下外皮材16と対峙させ、この部分を図13、図14に示すように専用ローラー34にて押圧して接着する(Y方向の外皮材14、16 同士の接着)。尚、図13、図14 の工程においても、外皮材及びマットの蛇行を防止し、接着を確実にするため、ローラー32 により上部を押圧しても良い。最後に、図15、図16 に示すようにX方向の外皮材14、16 同士を熱溶着により接着して接着部62、64 を形成すると同時に図17 に示すように外皮材を切断する。これを無機質繊維マット12の前後において行い、被覆が完了する(図18)。これらの熱溶着による接着及び外皮材の切断は図1に示す熱溶着及び切断装置35を用いて行われる。
図20は本発明による断熱吸音材の一実施例を示す斜視図、図21は同断面図である。
この断熱吸音材36は、無機質繊維のマット12の上下に配置した2枚の外皮材14,16によって被覆された直方体状を呈し、マット12の上に配置した上外皮材14と、マット12の下に配置した下外皮材16と、マット12と外皮材の間の接着部28,30と、上外皮材14と下外皮材16の間の接着部24,26,62,64とを有し、上外皮材14及び下外皮材16によって被覆され、前記上外皮材14と下外皮材16との間の接着部はマット12の長辺方向(Y方向)接着部24,26とマット12の短辺方向(X方向)接着部62,64を有する。
図13、図14に示したように、長辺方向接着部24,26は、外皮材が短辺方向に延出した部分の外皮材14,16同士が対向する部分に接着剤が連続的に塗布された後に専用のローラー34によって押圧されることにより形成されており、
上外皮材14には前記断熱吸音材の上面の空気孔20と側面の空気孔22が設けられている。
接着剤はホットメルト系接着剤である。
長辺方向接着部24,26は、上外皮材14または下外皮材16に接着剤を塗布することにより形成されている。
なお、以上図示した実施例においてはマット12と外皮材14,16の間に形成された接着部の形状はマット12の短辺方向(X方向)において線状であり、その数はマット12の1個当たり2本であるが、図23に示すように、マット12の短辺方向(X方向)においてマット12の1個当たり3本の線状の接着部70,72,74或いは4本以上の線状の接着部とすることもできる。さらに、図24に示すように、マット12の短辺方向(X方向)に対して斜めに形成された接着部76,78とすることもできる。
断熱吸音材はその保管、輸送のため、圧縮梱包される。所定枚数の断熱吸音材を配列させ、プレス等によって圧縮され、袋に挿入される。この圧縮の際、断熱吸音材内部の空気は空気孔から流出する。また、長尺物と呼ばれる吸音断熱材は、これを折り畳んでから圧縮梱包されるため、空気孔の作用が更に重要となる。図25(A)〜(E)は、長尺物の圧縮梱包の説明図で、(A)に示す平坦な状態から(B)に示すように折り畳まれ、(C)に示すように複数枚、例えば14枚重ね合わせられ、(D)に示すように上下方向に圧縮されて(E)に示すように袋詰めされる。圧縮の度合い、即ち(C)の状態における高さに対する(E)に示す状態における高さは例えば1/8である。図20等に示した上面の空気孔20、側面の空気孔22、前後の空気孔38、39の作用により、空気が抜けやすくなり、外皮材14,16の破損が減少する。また、下外皮材16とマットの接着を部分的にしたことにより、全面に接着する場合に比べて折り曲げた部分の外皮材14,16の損傷が減少する。
4 バインダー塗布装置
6 集綿機
8 加圧乾燥機
10 切断装置
12 無機質繊維マット
14 上外皮材
16 下外皮材
20 空気孔
22 空気孔
24 両外皮材の接着部
25 間隙
26 両外皮材の接着部
28 マットと下外皮材の間に形成される接着部
30 マットと下外皮材の間に形成される接着部
32 ローラー
34 専用ローラー
35 熱溶着及び切断装置
36 断熱吸音材
38 空気孔
39 空気孔
50 加圧容器
52 ヒータ
54 スプレー
60 外皮材同士の接着範囲
62 熱溶着による接着部
64 熱溶着による接着部
Claims (4)
- 無機質繊維のマットの上下に配置した2枚の外皮材によって被覆された直方体状の断熱吸音材であって、マットの上に配置した上外皮材と、マットの下に配置した下外皮材と、マットと外皮材の間の接着部と、上外皮材と下外皮材の間の接着部とを有し、上外皮材及び下外皮材によって被覆され、前記上外皮材と下外皮材との間の接着部はマットの長辺方向接着部とマットの短辺方向接着部を有する、直方体状の断熱吸音材において、
前記マットと外皮材の間に形成された接着部は、下外皮材またはマットの下面に接着剤を塗布することにより形成されており、この塗布範囲はマットの下面の全面積に対して30〜40%であり、この塗布範囲の形状はマットの短辺方向において線状であり、その数はマットの1個当たり少なくとも2本であり、
前記長辺方向接着部は、外皮材が短辺方向に延出した部分の外皮材同士が対向する部分にホットメルト系接着剤が連続的に塗布された後に専用のローラーによって押圧されることにより形成されており、
前記短辺方向接着部は、外皮材が長辺方向に延出した部分を熱溶着によって部分的に接着することにより形成され、未接着部分が空気孔として形成されており、
前記上外皮材には前記断熱吸音材の上面の空気孔と側面の空気孔を設けてあり、
前記長辺方向接着部は、上外皮材または下外皮材に接着剤を塗布することにより形成され、
前記マットと下外皮材の間に形成された接着部と前記長辺方向接着部は、前記短辺方向において間隙を有することを特徴とする、断熱吸音材。 - 前記マットと下外皮材の間に形成された接着部は、マットの短辺方向に対して斜めに形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の断熱吸音材。
- ガラス原料を溶融後、これを遠心式紡糸装置により繊維化して堆積させ、加圧加熱後に切断してマットとする工程と、
マットの上下に上外皮材及び下外皮材を送り出す工程と、
上外皮材に断熱吸音材の上面の空気孔と側面の空気孔を形成する工程と、
下外皮材またはマットの下面に接着剤を塗布する工程であって、その塗布範囲はマットの下面の全面積に対して30〜40%であり、この塗布範囲の形状はマットの短辺方向において線状であり、その数はマットの1個当たり少なくとも2本である工程と、
断熱吸音材の長辺方向における上外皮材と下外皮材が対向する部分にホットメルト系接着剤を長辺方向において連続的に塗布し、塗布後に専用ローラーにより押圧して両外皮材を接着させる工程であって、前記マットと下外皮材の間に形成された接着部と前記長辺方向接着部は、前記短辺方向において間隙を有する工程と、
断熱吸音材の短辺方向における上外皮材と下外皮材を熱溶着により部分的に接着し、未接着部分を空気孔として形成する工程と、
両外皮材を切断する工程を有し、
前記下外皮材またはマットの下面に接着剤を塗布する工程は、マットの位置を検出しながら自動的に行う電子制御システムを用い、
断熱吸音材の長辺方向における上外皮材と下外皮材が対向する部分に接着剤を塗布する工程における塗布は、上外皮材または下外皮材に行うことを特徴とする断熱吸音材の製造方法。 - 前記マットと下外皮材の間に形成された接着部は、マットの短辺方向に対して斜めに形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の断熱吸音材の製造方法。
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