JP5105438B2 - 弾球遊技機 - Google Patents

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Description

本発明は、ぱちんこ遊技機等の弾球遊技機に関し、特に弾球遊技機における遊技と演出を制御する技術に関する。
従来、各種の弾球遊技機のうち、いわゆる第1種ぱちんこ遊技機と呼ばれていた遊技機は、遊技盤の略中央に設けられた液晶ディスプレイなどの表示領域に複数の図柄を変動させながら表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。この遊技機は、複数列の図柄変動を停止させたときの図柄の組合せが特定の態様となった場合に、通常遊技より多くの賞球が得られる、いわゆる大当たりと呼ばれる特別遊技へと移行するものとして知られている。表示領域における図柄の変動表示は、単に複数の図柄が変動表示されるだけでなく、いわゆるリーチ画面と呼ばれる状態のように、あと一つ図柄が揃えば大当たりとなる状態で変動表示の時間を通常よりも長くする等、遊技者の期待感を高めるための演出が図られている。また、図柄等の画像にキャラクタを用いて変動表示にストーリーを持たせる演出や、特別遊技への移行期待度の高さを予告的に示唆する予告演出によっても遊技者の期待感を高めている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−246964号公報
従来、図柄の変動表示において、図柄が停止するかしないかの間際に特徴的な動作をさせることで、図柄が当たり態様と外れ態様のどちらで停止するかがなかなか確定しない形にして大当たりへの期待感を煽る演出手法がある。こうした演出は毎回の図柄変動で実行する類のものではなく、抽選によって低い頻度で実行するに留めることで、演出の実効性を高めている。しかし、そのような演出を実行するか否かについて決定する抽選は、停止図柄の態様を決定する抽選とは無関係に実行されるため、演出内容によっては実際に決定された停止図柄を用いては表示し得ないなどの矛盾が生じるおそれがあった。これは、表示内容に不具合を生じさせる原因となるだけでなく、そうした不具合を開発段階で除去するにはあらゆるケースを想定した事前対策が要求される。したがって、不具合を事前に除去する煩雑な作業が開発者にとって多大な負担となっていた。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、弾球遊技機において遊技者の期待を高めるための演出の整合性を効果的に担保することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の弾球遊技機は、遊技領域が形成された遊技盤と、遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球の入球が抽選の契機となる始動入賞口と、始動入賞口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態へ移行するか否かを判定するための当否抽選を実行する当否抽選手段と、当否抽選の結果を示すための複数の図柄が変動表示される図柄表示装置と、あらかじめ決定される変動パターンにしたがって複数の図柄を図柄表示装置に変動表示させる表示制御手段と、複数の図柄の変動態様が定められた複数種の変動パターンをあらかじめ記憶するとともに、当否抽選の結果に応じていずれかの変動パターンを選択する変動パターン決定手段と、変動パターンとして所定の特殊変動パターンが変動パターン決定手段により決定された場合に、その特殊変動パターンによる演出として図柄の組合せが停止間際に別の組合せに変化するように見せる動作である特殊変化動作を実行するか否かを決定する演出決定手段と、複数の図柄の組合せ表示態様として複数種の組合せ表示態様をあらかじめ記憶し、それぞれの組合せ表示態様と対応する特殊変化動作の種類を記憶するとともに、当否抽選の結果に応じていずれかの組合せ表示態様と特殊変化動作の種類を選択してその選択した組合せ表示態様と特殊変化動作の種類を示す情報を表示制御手段へ送信する図柄態様決定手段と、当否抽選の結果が当たりであったことを契機に、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、を備える。表示制御手段は、選択された組合せ表示態様に基づく複数の図柄の表示を実行する一方で、選択された種類の特殊変化動作を、特殊変化動作を実行する旨の決定がなされた場合に限り実行する。
ここで「組合せ表示態様」は、複数の図柄が停止するときの組合せの態様であってもよい。「特殊変動パターン」は、他の変動パターンと異なり、演出決定手段により「特殊変化動作」の実行が決定され得ることを前提とする演出として設けられた特殊な変動パターンであってもよい。「特殊変化動作」は、あと一つ揃えば大当たりとなる態様であるリーチ態様が成立するような図柄停止の間際に図柄がごく短時間だけ急激に移動してリーチ態様が不成立となるように変化する動作であってもよい。逆に、リーチ態様が不成立となるような図柄停止の間際に図柄がごく短時間だけ急激に移動してリーチ態様が成立するように変化する動作であってもよい。あるいは、リーチ態様の成立だけでなく、大当たり態様の成立と不成立の間で図柄が急激に移動する動作であってもよい。
この態様によると、複数の図柄の組合せ表示態様のそれぞれにはじめから特殊変化動作の種類を対応付けておき、実際に特殊変化動作が実行されるか否かにかかわらず組合せ表示態様と特殊変化動作を一括して選択する。これにより、動作内容と図柄の組合せに原理上の矛盾が生じることを設計段階または開発段階で回避することができる。また、複数の停止図柄をそれぞれ別個に抽選で決定するのとは異なり、設計段階または開発段階ではじめから複数の図柄の組合せ種類を固定的に規定する。したがって、それぞれ別個に抽選で決定するよりも図柄の組合せ数を少なく抑えることができ、特殊変化動作との関係で図柄の組合せに矛盾が生じることをより簡単に回避することができ、設計の負担や不具合発見の負担を軽減させることができる。さらに、特殊変化動作を実行するか否かは演出決定手段に委ねることにより、図柄態様決定手段は1回の抽選で複数の図柄組合せと特殊変化動作を一括して決定することができる。また、複数の図柄と特殊変化動作を特定する情報として図柄態様決定手段から演出決定手段へ送信される情報も、それぞれを別個に決定して別個の情報で特定する場合に比べてデータ量を小さく単純化することができるので、データの転送エラーやデータ不整合の可能性を低減させることができる。さらに、データの転送エラーやデータ不整合の可能性が低い分、そうした事態への対策として設けておくべき例外処理や監視処理の設計も単純化でき、設計上の負担が軽減される。
変動パターン決定手段は、特殊変動パターンとして、複数回の連続的な図柄変動を実行する変動パターンを記憶し、図柄態様決定手段は、特殊変動パターンが選択された場合、図柄の組合せ表示態様と特殊変化動作の種類とを複数回の図柄変動のそれぞれについて選択して表示制御手段へ送信し、演出決定手段は、特殊変動パターンが選択された場合、特殊変化動作を実行するか否かを複数回の図柄変動のそれぞれについて決定してもよい。
ここで「複数回の連続的な図柄変動」は、複数回の当否抽選結果に対応する複数回の図柄変動を演出内容が連続するように見せながら実行する演出であってもよいし、いわゆる擬似連続変動と呼ばれるような1回の当否抽選結果に対して複数回の図柄変動がなされているかのように見せる演出であってもよい。この態様によれば、複数回の図柄変動のそれぞれについて図柄の組合せ表示態様と特殊変化動作の種類を特定する情報を送信する必要があるものの、図柄変動1回分のデータが小型かつ単純である分、データ量の増大を低く抑えることができる。特に、複数の図柄と特殊変化動作の種類をそれぞれ別個の情報で複数変動回数分送信するのに比べて、データの小型化および単純化のメリットはより顕著となる。
表示制御手段は、図柄態様決定手段から受け取る情報の不整合により図柄の組合せ表示と特殊変化動作の正常な実行が妨げられる場合に、あらかじめ定められた非常時用の組合せ表示態様にて図柄を表示させてもよい。ここで「情報の不整合」は、例えば図柄の組合せと特殊変化動作の内容に矛盾が生じることであってもよいし、データの転送に不具合が生じて正しくデータが送られないことであってもよい。この態様によれば、図柄の組合せ表示態様と特殊変化動作の対応関係が単純化されているので、万が一それらの正常な実行が妨げられたような場合になされる非常処理もまた単純化できる。遊技機の開発においては、表示内容自体の制作過程と表示制御処理の設計開発とを分離して進行させる開発手法が一般的に用いられるが、そのような場合であっても非常時の処理が単純化されている分、それぞれの開発を円滑に進行でき、開発ミスを効果的に防止することができる。
なお、以上の構成要素の任意の組合せや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体、データ構造などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明の弾球遊技機によれば、遊技者の期待を高めるための演出の整合性を効果的に担保することができる。
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機として従来にいういわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。始動口62は、遊技球の入球を検出するための始動入賞検出装置74と、始動口62の拡開機構を拡開させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動口62の拡開機構が拡開されたとき、始動口62の開口幅が拡がって入球容易性が向上する。始動入賞検出装置74は、始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す始動入賞情報を生成する。一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を拡開させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、大入賞口66への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。
大入賞口66は、特別図柄192が所定の態様にて停止したときに「大当たり」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66はアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の通過を検出するセンサを備えて構成される。
遊技領域52の左方に設けられた特別図柄表示装置61および遊技領域52の略中央に設けられた演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄192の変動と、特別図柄192に連動する装飾図柄190を含む演出画像の変動を表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。ここで、特別図柄192は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が停止されたときの図柄態様が当たりと定められた図柄であった場合、その停止図柄が表示されたタイミングが大当たり発生タイミングとなる。特別図柄表示装置61は、例えば7セグメントLEDで構成される表示手段である。演出表示装置60は、特別図柄192の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示する液晶ディスプレイである。装飾図柄190は、特別図柄192で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を画面の中央領域に表示する。演出表示装置60は、この実施例では液晶ディスプレイで構成されるが、ドラムなどの機械式回転装置やLEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。なお、特別図柄192は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出表示装置60の左下方の特別図柄表示装置61にて目立たない大きさで表示させるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を演出表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は始動口62の拡開機構を拡開させるか否かを決定する開放抽選の契機となる。作動口68を遊技球が通過すると、開放抽選の結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。普通図柄表示装置59は演出表示装置60の右下方に設けられる。所定時間の経過後に普通図柄の変動表示が停止すると、通常、50%から80%程度の確率で始動口62が所定時間拡開する。
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、特別図柄表示装置61および演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。演出表示装置60の下方には、抽選保留ランプ20が設けられ、その対称的な位置である遊技領域52の右下部には、普通図柄表示装置59の下に作動保留ランプ22が設けられている。抽選保留ランプ20は、4個のランプからなり、その点灯個数によって当否抽選の保留数を表示する。当否抽選の保留数は、図柄変動中または特別遊技中に始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。作動保留ランプ22もまた4個のランプからなり、その点灯個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。さらに演出表示装置60の上方および下方には、それぞれ遊技効果ランプ90が設けられている。操作ボタン82は、遊技者が遊技機へ所定の指示を入力するために操作するボタンである。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄192および装飾図柄190が変動表示される。特別図柄192および装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された表示時間の経過後に停止される。停止時の特別図柄192および装飾図柄190が大当たりを示す図柄である場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口66の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄190は、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。特別遊技において、大入賞口66は、約30秒間開放された後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口66の開閉が所定回数、例えば15回繰り返される。
特別遊技が終了した後の通常遊技においては特定遊技の一つである変動時間短縮遊技(以下、適宜「時短」という)が開始される。変動時間短縮遊技においては、特別図柄および装飾図柄の変動時間が通常より短縮される。特別図柄および装飾図柄の変動時間は、所定の変動回数の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻される。特別遊技が発生した場合であってそのときの当たり停止図柄が特定の態様であった場合、特別遊技の終了後に特定遊技の一つである確率変動遊技(以下、適宜「確変」という)がさらに開始される。確率変動遊技においては、通常の確率状態より当たりの確率が高い抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生する。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口62へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容や複数の可動役物140の動作、遊技効果ランプ90の点灯を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させ、その演出の進行に沿って可動役物140や遊技効果ランプ90の点灯を作動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。セット基板39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、一般入賞口72、作動口68、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90、可動役物140のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や可動役物140、電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板102と、図柄の演出等を制御するサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、図柄態様決定手段131、演出決定手段132、演出表示制御手段134、役物制御手段136を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入賞したと判断し、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口66に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
当否抽選手段112は、始動口62への遊技球の入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するために乱数の値を当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。当否抽選手段112は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持する。複数の当否テーブルには、当たりまたは外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当たりの範囲設定に応じて当否確率が定まる。当否抽選手段112は、通常時には通常確率による当否判定のための当否テーブルを参照し、確率変動時には通常確率より当たりの確率が高くなる当否テーブルを参照する。当否抽選手段112は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当たりであるか否かを判定する。当否抽選手段112による判定結果は、特別図柄表示装置61において特別図柄の形で変動表示される。また、当否抽選手段112による判定結果を演出的に示す装飾図柄が演出表示装置60において変動表示される。
図柄決定手段114は、特別図柄表示装置61に表示させる特別図柄の停止図柄を、当否抽選手段112による抽選の結果に応じて決定する。また、図柄決定手段114は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を抽選により決定する。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。図柄決定手段114は、特別図柄や普通図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。
図柄決定手段114は、特別図柄を決定するための図柄決定抽選値を取得し、当否抽選手段112による当否判定結果と図柄決定抽選値とに応じて特別図柄の停止図柄を決定する。図柄決定手段114は、決定した停止図柄を示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。
図柄決定手段114は、遊技球が作動口68を通過した場合に、普通図柄を決定するための抽選乱数を取得し、その抽選乱数に応じて普通図柄の停止図柄を決定する。普通図柄の停止図柄が特定の図柄であった場合、開閉制御手段124が始動口62の普通電動役物を所定時間拡開する。
変動パターン決定手段115は、当否抽選の結果に応じて複数種の変動パターンからいずれかの変動パターンを選択する。変動パターン決定手段115は、変動パターンを決定するために参照すべきパターン決定テーブルを保持する。図柄決定手段114は、決定した変動パターンを示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。変動パターン決定手段115は、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動態様が定められた複数種の変動パターンを記憶する。複数種の変動パターンは、長短様々な変動時間をもつとともに、その変動時間にて複数の図柄で構成される装飾図柄による図柄変動も実行されることを前提として規定される。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄および装飾図柄の変動が停止される。
変動パターン決定手段115が記憶する変動パターンには、複数回の連続的な図柄変動を実行する特殊変動パターンが含まれる。本実施例における特殊変動パターンは、いわゆる擬似連続変動とも呼ばれる変動演出が実行されることを前提としたパターンであって、1回の当否抽選結果に対して複数回の装飾図柄変動を擬似的に連続表示するような演出のための変動パターンである。したがって、通常の平均的な変動パターンよりも変動時間が長く、本実施例においてはそれぞれ2回から5回の擬似的な連続図柄変動が収まる時間に相当する複数種の特殊変動パターンが含まれる。
保留制御手段116は、当否抽選手段112により取得された当否抽選値を保留球として保持する。当否抽選値は、その保留数が所定の上限に達するまで蓄積される。保留数の上限は4である。
メイン表示制御手段118は、当否抽選手段112による抽選の結果を、図柄決定手段114により決定された変動パターンにしたがって特別図柄の変動表示として特別図柄表示装置61に表示させる。メイン表示制御手段118は、特別図柄の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信することにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。メイン表示制御手段118は、普通図柄の変動を普通図柄表示装置59に表示させる。
特別遊技制御手段120は、当否抽選手段112による当否抽選結果が当たりであった場合に、特別遊技の実行処理を制御する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。単位遊技は例えば15回を上限として繰り返され、1回の単位遊技において大入賞口66を約30秒間開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の継続回数が上限回数に達していなければ、現在の単位遊技の終了後に次の単位遊技を開始させる。単位遊技の上限回数を消化した場合には、特別遊技を終了させる。
特定遊技実行手段122は、遊技状態を通常状態から特定遊技状態へ移行させる制御と、特定遊技状態から通常状態へ戻す制御を実行する。本実施例における特定遊技には、当否抽選の当選確率を通常確率の状態から高確率の状態へ切り替える確変と、図柄変動時間を通常時間より短時間へ切り替える時短とがある。
特定遊技実行手段122は、当否抽選値が確変状態へ移行すべき値であった場合に、特別遊技後の遊技状態を確変状態へ移行させる。確変状態は原則として次の大当たりが発生するまで続行され、その間は当否抽選手段112による当たり判定の確率が高い値のまま維持される。また、特定遊技実行手段122は、当否抽選値の如何に関わらず、特別遊技後に遊技状態を時短の状態へ移行させる。時短は、特別遊技後の特別図柄の変動回数が所定回数、たとえば100回に至るまで継続される。
開閉制御手段124は、始動口62の普通電動役物や大入賞口66の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、始動口62を開放させる。また、開閉制御手段124は、特別遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口66を開放させる。
パターン記憶手段130は、装飾図柄190の変動において演出表示装置60に表示させる演出的な画像内容とその表示過程が定められた複数の演出パターンを保持する。演出パターンには、装飾図柄190の変動表示における変動開始から停止までの変動過程と演出過程が定められた複数の変動演出パターンと、装飾図柄の変動表示とは別に表示されて大当たりへの期待度の高さを予告的に示唆する複数の予告演出パターンとが含まれる。
演出決定手段132は、当否抽選手段112による抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターンに応じて変動演出パターンを決定する。演出決定手段132は、変動演出パターンを決定するために参照すべきパターンテーブルを保持する。演出決定手段132は、決定した変動演出パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。
変動演出パターンには、通常の外れの図柄組合せを表示するときのパターンと、あと一つ図柄が揃えば大当たりとなるリーチ状態を経て外れの図柄組合せを表示するときのパターンと、リーチ状態を経て大当たりの図柄組合せを表示するときのパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれ、特殊変動演出パターンとしての擬似連続変動演出パターンも含まれる。各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、変動時間が等しい演出画像の変動演出パターンを選択する。
特殊変動演出パターンによる演出には、装飾図柄の組合せが停止間際に別の組合せに変化するように見せる動作である特殊変化動作が含まれる。特殊変化動作は、例えば「すべり」や「戻り」といった動作である。「すべり」は、リーチ成立となる図柄停止の間際に図柄がごく短時間だけ急激に進んでリーチ不成立となるように変化する動作やリーチ不成立となる図柄停止の間際に図柄がごく短時間だけ急激に進んでリーチ成立となるように変化する動作である。「戻り」は、リーチ不成立となる図柄停止の間際に図柄がごく短時間だけ急激に戻ってリーチ成立となるように変化する動作やリーチ成立となる図柄停止の間際に図柄がごく短時間だけ急激に戻ってリーチ不成立となるように変化する動作である。本実施例では、特殊変化動作としてリーチ成立となる図柄停止の間際に図柄がごく短時間だけ急激に進んでリーチ不成立となる「すべり」を実行する。
特殊変動演出パターンとしての擬似連続変動演出パターンは、特殊変化動作の他、擬似的な複数回の図柄変動の合間に複数の図柄が停止したかのように見せる表示(以下、「半停止表示」ともいう)を行って擬似的な図柄停止を表現する。このように、半停止表示によって図柄変動がいったん終了して次の図柄変動が開始されるように表現することで擬似的な複数回の連続図柄変動を表現する。本明細書では、「停止」ないし「図柄停止」と表現するときは、特殊変動演出パターンにおける半停止表示も含むものとする。
図柄態様決定手段131は、装飾図柄の停止図柄の組合せとその配置を、当否抽選手段112による抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターン、装飾図柄の変動演出パターンに応じて決定する。図柄態様決定手段131は、決定した停止図柄の組合せを示す情報を演出表示制御手段134へ送信する。図柄態様決定手段131は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。
装飾図柄の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、たとえば当否抽選手段112による判定結果が特別遊技への移行を示す場合は「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄として揃える数字には、特別図柄と同じ数字が選ばれるのが好ましい。たとえば、特別図柄が「3」の場合は装飾図柄が「333」となる。当否抽選手段112による判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せが選択される。ただし、当否判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合であって、リーチ付きの外れを示す特別図柄の変動パターンや装飾図柄の変動演出パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。
変動演出パターンとして特殊変動演出パターンが選択された場合、図柄態様決定手段131は、当否抽選の結果に応じていずれかの組合せ表示態様と特殊変化動作の種類を選択する。図柄態様決定手段131は、特殊変動演出パターン用に、複数の図柄の組合せ表示態様として複数種の組合せ表示態様をあらかじめ記憶するとともに、それぞれの組合せ表示態様と対応する特殊変化動作の種類を記憶する。これらの対応関係は演出表示制御手段134もあらかじめ記憶している。図柄態様決定手段131は、特殊変動演出パターンが選択された場合、図柄の組合せ表示態様と特殊変化動作の種類とを複数回の図柄変動のそれぞれについて選択して演出表示制御手段134へ送信する。図柄態様決定手段131から演出表示制御手段134に対して、いずれの対応関係が選択されたかを示す情報を送信するだけで、演出表示制御手段134は選択結果に応じた図柄組合せ表示態様と特殊変化動作を特定することができる。
演出決定手段132は、変動パターンとして所定の特殊変動パターンが変動パターン決定手段115により決定された場合、特殊変化動作を実行するか否かを特殊変動演出パターンに含まれる擬似的な複数回の図柄変動のそれぞれについて決定する。本実施例における特殊変動演出パターンには2回から5回の擬似的な連続図柄変動が含まれ、それぞれの図柄変動について特殊変化動作を実行するか否かを決定する。
予告演出パターンは、特定のキャラクタやモチーフの画像、アニメーション、映像などを一時的に画面表示させる演出パターンや、特定の音声を出力する演出パターンである。予告演出パターンによる演出は、図柄変動と並行して実行され、その図柄変動が大当たり態様にて停止する期待度が高いことを予告的に示唆する。例えば、キャラクタの画像を一つだけ画面に表示させるだけの通常予告演出や、多数のキャラクタの群れを画面の一端から他端へ通過させるように表示させる群予告演出がある。また、予告演出の表示過程を複数段階に分け、表示させる段階数を可変にして段階数が多いほど大当たりへの期待度が高くなるように設定されるステップアップ予告演出がさらに含まれる。
予告演出パターンには、装飾図柄190の表示態様がリーチ状態となった後のタイミングで演出が実行されて図柄の最終的な停止態様を予告するパターンと、装飾図柄190が一つも停止していないタイミングで演出が実行されてリーチ状態となることを同時に予告するパターンとがある。
演出決定手段132は、当否抽選の結果に応じて演出表示装置60に予告演出を表示させるか否かを所定の予告抽選により決定するとともに、表示させるべき予告演出パターンを決定する。演出決定手段132は、予告演出を表示させるか否かを決定するために参照すべき予告決定テーブルと、予告演出パターンの種類を選択するときに参照すべき予告種類テーブルとを保持する。予告決定テーブルは、当否抽選の結果に応じて異なる欄が参照されるように設定されており、当否抽選が当たりの場合は外れの場合よりも高い確率で予告演出を表示させるよう、当否抽選の結果と予告演出を表示するか否かの対応関係が定められる。これにより、予告演出が表示されること自体で大当たりへの期待度の高さを示唆することができる。
演出表示制御手段134は、当否抽選手段112による当否抽選の結果として、選択された変動演出パターンデータにしたがって演出表示装置60へ装飾図柄を含む演出画像を変動表示させる。演出表示制御手段134は、変動演出パターンとして特殊変動演出パターンが選択された場合、図柄態様決定手段131により選択された組合せ表示態様に基づく複数の図柄の表示を実行する一方で、選択された種類の特殊変化動作を実行する。ただし、特殊変化動作は、演出決定手段132により特殊変化動作を実行する旨の決定がなされた場合に限り実行する。特殊変動演出パターンが選択された場合には、演出表示制御手段134は図柄態様決定手段131から特殊変化動作の種類を特定する情報も受け取ることとなるが、特殊変化動作を実行しない旨が決定されたときはその情報を無視すればよい。
演出表示制御手段134は、特殊変動演出パターンが選択された場合であって図柄態様決定手段131から受け取る情報の不整合により図柄の組合せ表示と特殊変化動作の正常な実行が妨げられる場合に、あらかじめ定められた非常時用の組合せ表示態様にて図柄を表示させる。非常時用の組合せ表示態様は、図柄態様決定手段131が保持する図柄範囲テーブルに規定されてもよい。例えば、図柄範囲テーブルの一番最初の番号に規定された図柄の組合せ表示態様を選択すべき旨が定められてもよい。
演出表示制御手段134は、予告演出を表示させる旨が演出決定手段132により決定された場合、選択された予告演出パターンにしたがった予告演出を演出表示装置60へ表示させる。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
役物制御手段136は、演出表示制御手段134から受け取る指示にしたがい、演出表示装置60における演出内容や遊技効果ランプ90の点滅過程に沿って、可動役物140を演出的に動作させる。
図4は、特殊変化動作の例を模式的に示す図である。本図で例示する特殊変化動作は、リーチ成立間際に右図柄が1コマだけ「すべり」の動作をしてリーチが不成立となる動作である。図4(a)は左図柄210である「1」が最初に停止した状態を示し、次いで右図柄214である「1」が停止位置に差し掛かってリーチが成立する直前の状態を示す。右図柄214は停止する直前であるため、その変動速度は停止間際の緩やかな状態である。中図柄212は高速で変動したままである。図4(b)は図4(a)の状態から突然、右図柄214が次の図柄である「2」に切り替わるまでの短時間だけ急激な変動を見せる様子を示す。この急激な動きが「すべり」と表現される動作である。図4(c)は右図柄214が「すべり」の動作によって「2」に切り替わり終わって停止した状態を示す。このように図4(a)から(c)までの一連の動作によって、リーチが成立する間際にリーチ不成立の状態に変化する特殊変化動作が実現される。このようにリーチ成立間際から1コマだけ「すべり」の動作をする場合、停止する図柄の組合せ表示態様としては、リーチ成立の組合せとは図柄一つ分の違いである必要がある。もしそれ以上の違いが生じると、リーチ成立間際から1コマだけ「すべり」を実行しても、あらかじめ決定された組合せ表示態様にはならない。本図の場合、図柄の組合せ表示態様としては「1」「2」「2」の組合せと、「リーチ成立間際に1コマすべり」という特殊変化動作が対応付けられており、「1」「2」「2」は「1」のリーチ成立と右図柄が一つ分だけ違うだけであり、組合せと特殊変化動作に矛盾が生じない。
このように、特殊変化動作としてリーチ成立間際に移動させる図柄の移動幅を指定する場合には、その特殊変化動作に対応付けられる図柄組合せ表示態様としてはリーチ成立の態様から移動するときの図柄の移動幅が一致している必要がある。
図5は、複数の装飾図柄の組合せ表示態様と特殊変化動作の対応関係を模式的に示す図である。特殊変動演出パターン用図柄テーブル200には、左図柄、中図柄、右図柄、特殊変化動作の対応関係として、「0番」から「31番」までの対応関係が定められている。本実施例においては、装飾図柄の種類は「1」〜「7」の数字である。例えば、「0番」の対応関係においては、左図柄として「1」、中図柄および右図柄として「2」の図柄が規定されるとともに、特殊変化動作として「リーチ成立間際に右図柄1コマすべり」という動作が規定されている。この場合、左図柄が「1」で停止した後、右図柄も「1」で停止してリーチが成立しそうな態様を呈しながら、実際にはその停止間際に短時間だけ急激に右図柄が変動することで「1」を通過して次の図柄「2」で停止する、という動作がなされる。最後に中図柄も「2」で停止してその回の図柄変動が終了する。「0番」から「6番」までは、特殊変化動作として「リーチ成立間際に右図柄1コマすべり」が定義されているが、これらにおいてはすべて左図柄の数字と右図柄の数字の差は1となっており、リーチとなる態様から1コマだけ変動した数字同士となっている。したがって、「0番」から「6番」までの図柄は、それぞれに対応付けられた特殊変化動作と整合する。
一方、「7番」から「31番」までの対応関係においては、すべて特殊変化動作として「リーチ成立間際に右図柄すべり」という動作が規定されている。この動作の場合、「0番」〜「6番」とは異なり、リーチ成立間際の状態から右図柄がどの程度変動するかは一律でない。なお、図柄態様決定手段131から受け取る情報の不整合により図柄の組合せ表示と特殊変化動作の正常な実行が妨げられる場合の非常時用の組合せ表示態様は、本図の「0番」の組合せに設定される。
図5のように、複数の図柄の組合せ表示態様のそれぞれにはじめから特殊変化動作の種類を対応付けておき、実際に特殊変化動作が実行されるか否かにかかわらず組合せ表示態様と特殊変化動作を一括して選択する。これにより、動作内容と図柄の組合せに原理上の矛盾が生じることを設計段階または開発段階で回避することができる。また、複数の停止図柄をそれぞれ別個に抽選で決定するのとは異なり、設計段階または開発段階ではじめから複数の図柄の組合せ種類を固定的に規定する。したがって、それぞれ別個に抽選で決定するよりも図柄の組合せ数を少なく抑えることができ、特殊変化動作との関係で図柄の組合せに矛盾が生じることをより簡単に回避することができ、設計の負担や不具合発見の負担を軽減させることができる。さらに、特殊変化動作を実行するか否かは演出決定手段132に委ねることにより、図柄態様決定手段131は1回の抽選で複数の図柄組合せと特殊変化動作を一括して決定することができる。
また、複数の図柄と特殊変化動作を特定する情報として図柄態様決定手段から演出決定手段132へ送信される情報も「0番」「1番」のように小さく、単純化できる。特に、それぞれの図柄と動作を別個に決定して別個の情報で特定する場合に比べてデータ量を小さく単純化することができるので、データの転送エラーやデータ不整合の可能性を低減させることができる。また、図柄変動1回分のデータが小型かつ単純である分、特殊変動演出パターンのように複数変動回数分のデータであってもデータ量の増大を低く抑えることができる。したがって、複数の図柄と特殊変化動作の種類をそれぞれ別個の情報で複数変動回数分送信するのに比べて、データの小型化および単純化のメリットはより顕著となる。さらに、データの転送エラーやデータ不整合の可能性が低い分、そうした事態への対策として設けておくべき例外処理や監視処理の設計も「非常時は0番を参照する」のように単純化でき、設計上の負担が軽減される。また、図柄の組合せ表示態様と特殊変化動作の対応関係が単純化されているので、万が一それらの正常な実行が妨げられたような場合になされる非常処理もまた単純化できる。遊技機の開発においては、表示内容自体の制作過程と表示制御処理の設計開発とを分離して進行させる開発手法が一般的に用いられるが、そのような場合であっても非常時の処理が単純化されている分、それぞれの開発を円滑に進行でき、開発ミスを効果的に防止することができる。
図6は、特殊変動演出パターンに含まれる複数回の図柄変動における特殊変化動作の実行有無を決定するために演出決定手段132が参照するテーブルを模式的に示す図である。本図の特殊変化動作決定テーブル202の例では、「0番」から「7番」まで8通りのパターンが規定されている。それぞれのパターンには、「1変動目」から「5変動目」まで最大5回分の図柄変動のそれぞれにおいて特殊変化動作を実行するか否かが定められる。例えば、「0番」のパターンでは1変動目から5変動目まですべて「なし」と定められ、この「0番」のパターンが選択された場合には、一度も特殊変化動作が実行されないまま擬似的な複数回の連続図柄変動が表示される。「1番」のパターンが選択された場合、1変動目と2変動目に「あり」と定められているので1変動目と2変動目の停止間際に特殊変化動作が実行され、残りの3変動目から5変動目までは特殊変化動作が実行されない。このように、パターンの番号さえ決定されれば、本図のテーブルを参照するだけで各図柄変動において特殊変化動作を実行すべきか否かを判断できる。演出表示制御手段134は、演出決定手段132から本図のパターンの番号を受け取り、その番号に応じたパターンにしたがって各図柄変動における特殊変化動作の実行有無を判断する。ただし、選択された特殊変動演出パターンが4回以下の擬似連続変動演出であった場合は、その回数分の特殊変化動作の要否だけを参照して判断すればよい。
なお、特殊変化動作決定テーブル202における複数回の図柄変動のうち最後の図柄変動である「5変動目」はすべて「なし」と定められている。これは、最後の図柄変動ではそのときの当否抽選結果に応じて疑似ではなくリーチを成立させなければならない場合とリーチを成立させない場合とに分かれるからであり、特殊変化動作を経ずに通常の動作としてリーチ成立またはリーチ不成立を表示させることとなる。同様に、選択された特殊変動演出パターンが4回以下の擬似連続変動演出であった場合は、特殊変化動作決定テーブル202に定められた内容にかかわらず、最後の図柄変動では特殊変化動作を経ずに通常の動作としてリーチ成立またはリーチ不成立を表示させてもよい。
図7は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、遊技球が始動口62、一般入賞口72、大入賞口66などへ入賞した場合や、遊技球が作動口68を通過した場合の処理を実行し(S10)、特別遊技中でなければ(S12のN)、当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、特別遊技中であれば(S12のY)、特別遊技の制御処理を実行し(S16)、S10からS16までの処理における各種入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
図8は、図7におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。通常遊技制御処理において、当否抽選値の保留がなされている場合であって(S30のY)、図柄変動が表示中でなければ(S32のN)、当否抽選手段112が当否判定処理を実行する(S34)。その判定結果に応じてメイン表示制御手段118が変動表示を開始するとともに、変動開始コマンドを演出表示制御手段134へ送信し、これを受信した演出表示制御手段134が変動演出パターンデータにしたがって演出画像の変動表示を開始する(S36)。このとき、変動演出パターンが特殊変動演出パターンであれば、その擬似的な複数回の連続図柄変動のうちの1変動目を開始する。S30において当否抽選値が保留されていなかった場合は(S30のN)、S32からS36までの処理がスキップされ、S32において図柄変動が表示中であった場合は(S32のY)、S34およびS36の処理がスキップされる。続いて、図柄変動表示がすでに開始されていれば(S38のY)、図柄変動表示処理を実行し(S40)、図柄変動表示が開始されていないときは(S38のN)、S40をスキップする。
図9は、図8におけるS34の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、当否抽選手段112が当否抽選値を読み出して(S42)、その当否抽選値に基づいて当否を判定する(S44)。図柄決定手段114は、当否判定結果に基づいて特別図柄の停止図柄を決定し(S46)、特別図柄の変動パターンを選択する(S48)。演出決定手段132は、当否判定結果および特別図柄に基づいて装飾図柄の停止図柄組合せを決定し(S50)、装飾図柄の変動演出パターン選択処理を実行する(S52)。
図10は、図9におけるS52の変動演出パターン選択処理を詳細に示すフローチャートである。まず、装飾図柄の変動演出パターンを特別図柄の変動パターンに応じて選択し(S54)、その選択した変動演出パターンが特殊変動演出パターンであった場合(S56のY)、装飾図柄の図柄組合せ表示態様と特殊変化動作を特殊変動演出パターン用図柄テーブル200に基づいて決定し(S58)、擬似的な複数回の連続図柄変動のそれぞれについて特殊変化動作を実行するか否かを決定する(S60)。特殊変動演出パターンでない場合は、S58とS60をスキップする(S56のN)。
図11は、図8におけるS40の図柄変動表示処理を詳細に示すフローチャートである。まず、装飾図柄を変動させるためのフレーム画像を表示し(S100)、左図柄が停止タイミングに差し掛かっていれば(S102のY)、左図柄の停止処理を実行する(S104)。左図柄の停止タイミングでない場合はS104の処理をスキップする(S102のN)。右図柄が停止タイミングに差し掛かっている場合(S106のY)、もし特殊変化動作が「あり」に設定されているときは(S108のY)、特殊変化動作を実行して(S110)、右図柄の停止処理を実行する(S112)。特殊変化動作が「なし」に設定されているか、もともと特殊変動演出パターンでないときは(S108のN)、S110をスキップして右図柄の停止処理を実行する(S112)。右図柄の停止タイミングでない場合はS108からS112までの処理をスキップする(S106のN)。中図柄が停止タイミングに差し掛かっていれば(S114のY)、中図柄の停止処理を実行するとともに(S116)、特殊変動演出パターンの場合であって(S118のY)、続きの図柄変動が残っている場合は(S120のY)、擬似的な次の図柄変動を開始させる(S122)。中図柄の停止タイミングでない場合は(S114のN)、S116からS122までの処理をスキップする。特殊変動演出パターンでない場合や(S118のN)、特殊変動演出パターンであっても続きの図柄変動が残っていない場合は(S120のN)、S122をスキップする。
図12は、図7におけるS16を詳細に示すフローチャートである。まず、大入賞口66が開放済でなければ(S70のN)、演出表示制御手段134が特別遊技の演出処理を開始し(S72)、開閉制御手段124が大入賞口66を開放する(S74)。大入賞口66が開放済であればS72およびS74をスキップする(S70のY)。大入賞口66が開放されてから所定の開放時間が経過した場合(S76のY)、または、開放時間が経過していないものの(S76のN)、大入賞口66へ遊技球が9球以上入球した場合(S78のY)、開閉制御手段124が大入賞口66を閉鎖させる(S80)。開放時間が経過しておらず(S76のN)、大入賞口66への入球数も9球以上に達していない場合は(S78のN)、S80以降の処理をスキップしてS16のフローを終了する。
S80における大入賞口66の閉鎖後、単位遊技のラウンド数が15に達していた場合(S82のY)、演出表示制御手段134は特別遊技の演出処理を終了させ(S84)、特別遊技制御手段120は特別遊技を終了させる(S86)。ラウンド数が15に達していなければ(S82のN)、ラウンド数に1を加算してS16のフローを終了する(S90)。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
上記の実施例においては、特殊変動パターンないし特殊変動演出パターンとしていわゆる擬似連続変動のパターンを例にして説明した。変形例においては、図柄変動が連続しない単発の図柄変動における変動パターンないし変動演出パターンであってもよいし、複数回の当否抽選結果に対応する複数回の図柄変動において内容が連続するような複数回の変動パターンないし変動演出パターンであってもよい。複数回の当否抽選結果に対応する複数回の図柄変動として特殊変動パターンないし特殊変動演出パターンを実現する場合、変動開始タイミングを待つことなく当否抽選のタイミングでその都度変動パターンと変動演出パターンを決定する構成としてもよい。例えば、保留制御手段116に保持される保留球数、すなわち保持される当否抽選結果数が所定個数以上になったことを契機として、それら複数回の当否抽選結果に対応する複数回の図柄変動において連続的な内容の変動パターンないし変動演出パターンを選択してもよい。また、保留制御手段116に保持される複数の当否抽選結果が当たりに該当するか否かに応じてそれぞれの図柄変動におけるリーチ成立またはリーチ不成立を決定して特殊変化動作の要否を判定してもよい。保留制御手段116に保持される複数の当否抽選結果が当たりに該当するか否かは、それぞれの当否抽選結果そのものを参照して判定してもよいし、それぞれに対する変動パターンがいずれの種類に決定されたかに基づいて判定してもよい。
ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す図である。 ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す図である。 本実施例におけるぱちんこ遊技機の機能ブロックを示す図である。 特殊変化動作の例を模式的に示す図である。 複数の装飾図柄の組合せ表示態様と特殊変化動作の対応関係を模式的に示す図である。 特殊変動演出パターンに含まれる複数回の図柄変動における特殊変化動作の実行有無を決定するために演出決定手段が参照するテーブルを模式的に示す図である。 ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。 図7におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。 図8におけるS34の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。 図9におけるS52の変動演出パターン選択処理を詳細に示すフローチャートである。 図8におけるS40の図柄変動表示処理を詳細に示すフローチャートである。 図7におけるS16を詳細に示すフローチャートである。
符号の説明
1 ぱちんこ遊技機、 50 遊技盤、 52 遊技領域、 60 演出表示装置、 61 特別図柄表示装置、 62 始動口、 100 遊技制御装置、 112 当否抽選手段、 115 変動パターン決定手段、 118 メイン表示制御手段、 120 特別遊技制御手段、 131 図柄態様決定手段、 132 演出決定手段、 134 演出表示制御手段。

Claims (3)

  1. 遊技領域が形成された遊技盤と、
    前記遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球の入球が抽選の契機となる始動入賞口と、
    前記始動入賞口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態へ移行するか否かを判定するための当否抽選を実行する当否抽選手段と、
    前記当否抽選の結果を示すための複数の図柄が変動表示される図柄表示装置と、
    あらかじめ決定される変動パターンにしたがって前記複数の図柄を前記図柄表示装置に変動表示させる表示制御手段と、
    前記複数の図柄の変動態様が定められた複数種の変動パターンをあらかじめ記憶するとともに、前記当否抽選の結果に応じていずれかの変動パターンを選択する変動パターン決定手段と、
    前記変動パターンとして所定の特殊変動パターンが前記変動パターン決定手段により決定された場合に、その特殊変動パターンによる演出として図柄の組合せが停止間際に別の組合せに変化するように見せる動作である特殊変化動作を実行するか否かを決定する演出決定手段と、
    前記複数の図柄の組合せ表示態様として複数種の組合せ表示態様をあらかじめ記憶し、それぞれの組合せ表示態様と対応する前記特殊変化動作の種類を記憶するとともに、前記当否抽選の結果に応じていずれかの組合せ表示態様と前記特殊変化動作の種類を選択してその選択した前記組合せ表示態様と前記特殊変化動作の種類を示す情報を前記表示制御手段へ送信する図柄態様決定手段と、
    前記当否抽選の結果が当たりであったことを契機に、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、を備え、
    前記表示制御手段は、前記選択された組合せ表示態様に基づく前記複数の図柄の表示を実行する一方で、前記選択された種類の特殊変化動作を、前記特殊変化動作を実行する旨の決定がなされた場合に限り実行することを特徴とする弾球遊技機。
  2. 前記変動パターン決定手段は、前記特殊変動パターンとして、複数回の連続的な図柄変動を実行する変動パターンを記憶し、
    前記図柄態様決定手段は、前記特殊変動パターンが選択された場合、前記図柄の組合せ表示態様と前記特殊変化動作の種類とを前記複数回の図柄変動のそれぞれについて選択して前記表示制御手段へ送信し、
    前記演出決定手段は、前記特殊変動パターンが選択された場合、前記特殊変化動作を実行するか否かを前記複数回の図柄変動のそれぞれについて決定することを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
  3. 前記表示制御手段は、前記図柄態様決定手段から受け取る情報の不整合により前記図柄の組合せ表示と前記特殊変化動作の正常な実行が妨げられる場合に、あらかじめ定められた非常時用の組合せ表示態様にて前記図柄を表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の弾球遊技機。
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