JP5105375B2 - 転倒防止装置およびこれを備えた自動販売機 - Google Patents

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Description

本発明は、床面上に設置される自動販売機等の設置体の転倒を防止する転倒防止装置に関する。
自動販売機、家具、ロッカー、キャビネット、冷蔵庫など背高で高重量の設置体の転倒を防止する装置として、例えば、特許文献1に開示された構成が知られている。この転倒防止装置50は、通常時においては図6(a)に示すように支持脚52,52が設置体54の内部に収納されており、地震の発生等により設置体が振動すると、係止片56と係止爪58との係合状態が解除されてウェイト部材60が自重により落下する。これに伴いリンク棒62,62が水平方向に張り出して、支持脚52,52が設置体54の外方に突出し、図6(b)に示すように、傾斜した設置体54が一方の支持脚52により支持される。支持脚52,52は、床面に接触するローラ64,64を備えており、ローラ64,64の転動により支持脚52,52の負荷が軽減される。
特開平11−103959号公報
上述した従来の転倒防止装置は、設置体54から突出する支持脚52,52を、通常時に邪魔にならないように収納可能に構成する必要があるため、構造が複雑となり、コスト高や作動不良の原因となるおそれがあった。
また、支持脚52が設置体54から受ける振動エネルギーをローラ64の転動のみで吸収するには限界があるため、振動が大きい場合には、支持脚52,52が破損したり、設置体54が転倒するおそれがあるという問題があった。
そこで、本発明は、設置体の転倒を安価で確実に防止することができる転倒防止装置の提供を目的とする。
本発明の前記目的は、床面上に設置される設置体の転倒を防止する転倒防止装置であって、設置体と床面との間に介在される装置本体に、前記設置体の水平方向の移動を規制する規制手段と、前記設置体の傾斜時に床面と接触する支持手段とを設けて構成され、前記支持手段は、前記設置体の傾斜により前記規制手段による規制が解除された状態で、前記設置体を水平移動可能に支持することを特徴とする転倒防止装置により達成される。
本発明の転倒防止装置によれば、自動販売機などの設置体の転倒を安価で確実に防止することができる。
本発明の一実施形態にかかる転倒防止装置を備えた自動販売機の正面図である。 図1に示す自動販売機における転倒防止装置の構成を示す要部側面図である。 図1に示す自動販売における転倒防止装置の機能を説明するための側面図である。 本発明の他の実施形態に係る転倒防止装置の概略側面図である。 シミュレーション結果の一例を示す図である。 従来の転倒防止装置の縦断面図である。
以下、本発明の実態形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる転倒防止装置を備えた自動販売機の正面図であり、図2は、その要部側面図である。転倒防止装置1,1は、筐体状の自動販売機30における左右の短辺に沿ってそれぞれ設けられており、自動販売機30と床面40との間に介在されて、自動販売機30を起立状態で支持する。
図2に示すように、転倒防止装置1は、平板状の装置本体2の下面側に、床面40と接する移動規制板4が設けられており、装置本体2の上面における前後両側に、固定金具6a,6bが取り付けられている。
移動規制板4は、天然ゴム、合成ゴム、ナイロンなど床面40との摩擦抵抗が大きい材質からなり、地震などで床面40が振動した際に、自動販売機30の水平方向の移動を規制する規制手段として機能する。移動規制板4は、本実施形態では矩形状のものを前後方向に間隔をあけて複数配置しているが、その形状、個数、配置等は特に限定されず、また、自動販売機30の下面全体に設けてもよい。
固定金具6a,6bは、自動販売機30の下面の四隅にそれぞれ設けられた高さ調整可能な脚部(レベリング脚)32,32が挿通される挿通孔8a,8bと、装置本体2の前後両側に配置されたローラ10a,10bとを備えている。自動販売機30への転倒防止装置1の取り付けは、自動販売機30と転倒防止装置1とが一体的に固定される限り他の取付手段を用いることも可能であり、例えば、自動販売機30の脚部を装置本体2に直接ねじ込むなどして取り付けてもよい。
ローラ10a,10bは、通常時には床面40との間に隙間が生じるように設けられており、自動販売機30の前後方向への傾斜時に床面40と接触して転動する。床面40との隙間の大きさは各ローラ10a,10bで相違しており、前方側に配置されたローラ10aと床面40との隙間t1が、後方側に配置されたローラ10bと床面40との隙間t2よりも大きくなるように設定される。この結果、自動販売機30の傾斜時においては、図3に示すように、前方への最大傾斜角度θ1が、後方への最大傾斜角度θ2よりも大きくなる。ここで、最大傾斜角度θ1,θ2は、自動販売機30が平らな剛性の高い床面に実際に設置された状態から、ローラ10a,10bが床面40に接するまでの自動販売機30の傾斜角度である。
θ1及びθ2の値は、大きすぎると自動販売機30が転倒するおそれが生じる一方、小さすぎるとローラ10a,10bの機能が十分果たせなくなるおそれがあることから、例えば自動販売機30が通常の大きさである場合、2〜12°の範囲にあることが好ましく、2〜4°がより好ましく、2〜3°が更に好ましい。
後方への最大傾斜角度θ2については、後方側に壁面が存在する場合には、壁面により後方側への移動が規制されるため、壁への復原機能を強化すると共に免震効果を高めることが好ましく、この観点からθ1より小さくすることが好ましい。具体的には、θ2をほぼ0°に設定することが可能である。θ2がほぼ0°とは、後方側のローラ10bと床面40との接触により、移動規制板4が床面40には一部接しているものの床面40との摩擦抵抗が軽減され、自動販売機30が後方側へ移動可能となっている状態をいう。
一般的には、重心高さをHとし、傾斜した際の支点と重心の底面への投影点との間の距離をLとしたときに、θc(=arctan(H/L))傾くと支点の鉛直上に重心が位置するので、このθcが、これ以上傾くと転倒する限界の角度(危険角度)となる。これに対し、傾斜
角度が0より大きければ、転倒防止の機能は生じる。
以上を考慮すれば、θ1、θ2の値は、0≦θ2≦θ1≦0.8θcであることが好ましく、0≦θ2<θ1≦0.5θcがより好ましい。この数値範囲において、θ1、θ2が小さいほど地震による設置体の(地面を基準とした)移動量は大きくなるが、その反面、免震効果が高くなる(伝搬振動が小さい)メリットがある。逆に、θ1、θ2が大きいほど地震による設置体の(地面を基準とした)移動量は小さくなるが、免震効果は小さくなる。
以上のように構成された転倒防止装置1を備える自動販売機30によれば、地震などにより床面40に水平方向の振動が発生した場合、振動が小さければ、移動規制板4と床面40との間に生じる摩擦抵抗によって自動販売機30の水平方向の移動が規制され、自動販売機30は元の起立状態に保持される。そして、床面40の振動がある程度大きくなると、上述した摩擦抵抗のみでは振動エネルギーを吸収しきれなくなり、自動販売機30は前後に揺れ始める。図3に示すように、自動販売機30が前方に倒れそうになると、傾斜角度θ1になった時点で前方側のローラ10aが床面40に接触し、自動販売機30は傾斜状態で支持される。この状態では、移動規制板4の大部分が床面40から離れるため水平方向に十分な移動規制力が働かず、自動販売機30は、ローラ10aの転動によって前方へ移動する。このように、自動販売機30に作用する振動エネルギーが大きい場合には、このエネルギーの一部を移動エネルギーとして吸収することができるので、自動販売機30の転倒を確実に防止することができる。
一方、自動販売機30が後方に傾いた場合は、後方側のローラ10bが床面40と接触して自動販売機30を支持し、ローラ10bが転動して自動販売機30が後方へ移動することにより、上記と同様に自動販売機30の転倒が防止される。本実施形態においては、前方への最大傾斜角度θ1が後方への最大傾斜角度θ2よりも大きくなるように各ローラ10a,10bを配置しているので、自動販売機30が前後に同じ大きさの揺れを生じる場合、前方よりも後方へ移動し易くなる。自動販売機30の後方への移動は、通常は設置エリアの後壁42によって規制されるため、前後に異なる傾斜角度で自動販売機30を支持するように各ローラ10a,10bを配置することで、自動販売機30を元の設置場所へ自動的に復帰させることが容易になり、自動販売機30が必要以上に前方へ飛び出すのを防止することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、本実施形態においては、装置本体2の前後両側にローラ10a,10bをそれぞれ配置しているが、自動販売機30の後方側を設置エリアの後壁42などで支持可能な場合には、装置本体2の前方側のみにローラ10aを設けてもよく、この場合も自動販売機30の転倒を確実に防止することができる。
また、本実施形態においては、各ローラ10a,10bによる移動方向が、自動販売機30の傾斜方向の水平成分と一致するようにしているが、例えば、移動方向を斜め前方にするなどして、自動販売機30が移動した際に安全な方向(例えば、設置エリアの側壁に向かう方向)に移動するように、各ローラ10a,10bの向きを適宜設定してもよい。また、各ローラ10a,10bによる移動方向を使用者自身が調節できるように、各ローラ10a,10bの向きを回転させて所望の角度で固定できるように構成することもできる。
また、本実施形態においては、自動販売機30の傾斜時に床面40と接触して自動販売機30を支持する支持手段として、ローラ10a,10bを使用しているが、自動販売機30を水平移動可能に支持できる限り他の構成であってもよく、例えば、球状の転動体や、摩擦抵抗が小さいブロック状の摺動体などをローラ10a,10bの代わりに設けてもよい。
また、本実施形態においては、転倒防止装置1を自動販売機30に取り付けた場合を例に説明したが、本発明の転倒防止装置は、家具、ロッカー、キャビネット、冷蔵庫など種々の設置体に適用可能である。本発明の転倒防止装置は、設置体と分離可能である必要はなく、装置本体が設置体の下部と一体化されていてもよい。
また、本実施形態においては、自動販売機30の前後方向への転倒を防止できるように
、自動販売機30の左右の短辺に沿って転倒防止装置1,1を配置しているが、転倒防止装置の形状や配置は、設置体の形状等に応じて適宜設定可能である。例えば、設置体が任意の方向に転倒するおそれがある場合には、設置体とほぼ同じ大きさの装置本体の下面中央に移動規制板を設けると共に、球状の転動体やブロック状の摺動体などの支持手段を、装置本体の外縁に沿って適当な間隔で複数配置(例えば、外縁が正方形状の場合は四隅に配置)することができる。この場合、各支持手段の傾斜角度をそれぞれ異ならせることで、地震などによる設置体の移動方向を制御することができる。
また、本実施形態においては、設置体の規制手段として移動規制板4を使用しているが、例えば、床面40に形成した設置孔に挿入される係合片を装置本体2の下面などに設け、設置孔と係合片との係合により設置体の移動を規制することもできる。この場合、設置体の傾斜時に設置孔と係合片との係合が解除されるように、係合片の挿入深さが設定される。
また、転倒防止装置1の端部や設置体の上縁部など、設置体の移動や傾斜によって設置エリアの壁面との衝突が想定される箇所には、低反発の緩衝材を設けてもよく、これによって、壁面との衝突による衝撃や跳ね返りを緩和して、反動による転倒を確実に防止することができると共に、設置体や壁面の損傷も防止できる。設置体の後面に緩衝材を取り付ける場合、後述するシミュレーション結果から、前方への移動距離を小さくするために取り付け高さが真ん中よりも上方であることが好ましい。緩衝材は、単一のものを幅方向の中央部に配置してもよく、或いは、複数を後面両側にそれぞれ配置してもよい。
緩衝材としては、発泡樹脂や発泡ゴム等を挙げることができ、特に、反発係数が低い軟質ウレタンフォーム(40倍発泡)を好ましく用いることができる。このように、設置体の後面に緩衝材を取り付ける場合には、壁面への衝突による反発を抑制可能であることから、自動復原機能を十分に発揮させるため、後方への最大傾斜角度θ2をほぼ0°に設定することが好ましい。
また、前方側への転倒防止が特に必要な場合には、図4に示すように、装置本体2内に突出部材20を収容し、突出部材20の前部及び後部にそれぞれ補助ローラ10c,10dを設けることにより、突出部材20が装置本体2の前方に向けて突出して、自動販売機30の傾斜時に前側の補助ローラ10cが床面40と接触するように構成してもよい。なお、図4において図1と同様の構成部分には同一の符号を付している。
この構成において、装置本体2内の下面には、先端が後方を向くように配置された楔状のストッパ22が間隔をあけて複数設けられている。後側の補助ローラ10dは、ストッパ22の傾斜面22aに沿って前方へ転動可能である一方、ストッパ22の段部22bにより後方への移動が規制される。傾斜面22aの傾斜角度は、例えば約10°とすることにより、加速度が1.8m/s2を超えない地震動に対しては突出部材20が収容された状態を維持する一方、これを超える大きな地震動に対して突出部材20が前方へ飛び出して、転倒を防止することができる。
ストッパ22群の前方には、これらのストッパ22とは逆向きに終端ストッパ24が配置されており、後側の補助ローラ10dは、終端ストッパ24の段部24bにより前方への移動が規制される。
このように構成された転倒防止装置1aによれば、通常の状態では、突出部材20が装置本体2内に収容されているため、自動販売機30の使用時などにおいて、突出部材20が邪魔になるおそれがない。そして、地震などによる揺れが発生すると、図4(a)に示す状態から、突出部材20が前方に突出して図4(b)に示す状態となり、突出部材20
の前側に配置された補助ローラ10cが床面40に接触可能となる。この結果、自動販売機30の傾斜により移動規制板4による規制が解除されると、図2の構成と同様にローラ10a,10bが支持手段として機能するのに加えて、補助ローラ10cが補助支持手段として機能する。
突出部材20は、装置本体2に対して前方へのみ移動可能であることから、時間の経過と共に、装置本体2からの突出部材20の突出長さは徐々に大きくなる。後述するシミュレーション結果から明らかなように、転倒防止装置1aの前部が自動販売機30の前面から前方に突出する長さが長いほど(すなわち、自動販売機30の前面から補助ローラ10cまでの長さが長いほど)、慣性モーメントの増加により転倒防止性能を向上させることができる。このような効果を確実に奏するように、突出部材20は自動販売機30の傾きに屈しない程度の剛性を有することが好ましい。
突出部材20を備える構成の場合、免震効果が高まることから、前方への飛び出しを最小に抑え、かつ、後方壁面への衝突速度も小さくすることができるように、θ1及びθ2の値は、上述した不等式で表される数値範囲を若干上方にシフトさせた数値範囲が好ましい。
図4に示す構成において、補助ローラ10c,10dは、上述したローラ10a,10bと同様に、球状の転動体や、摩擦抵抗が小さいブロック状の摺動体など他の構成であってもよい。また、ストッパ22の構成は、突出部材20の前方への突出を可能にする一方で、後方への移動を規制するものであれば、必ずしも図4の構成に限定されるものではない。
(1)シミュレーションによる検討
a.最大傾斜角度
本発明の効果を確認するため、有限要素解析ソフト「LS−DYNA」を用いて、本発明に係る転倒防止装置を装備した自動販売機の地震転倒性について検討した。対象とした自動販売機は、重心位置が中央にある薄型タイプ(幅995mm、奥行き440mm、高さ1810mm)で、質量380kgのものとした。FEMシミュレーションの出力画像の一例を
図5に示す。
また、自動販売機背面緩衝材の取付位置は、自動販売機の上面から1/4の高さ位置とし
た(図5参照)。緩衝材の材質および外寸法は、反発係数、緩衝性能から判断し、それぞれ、発泡倍率約40倍の軟質ウレタンフォーム、1000×250×130mmとした。
前方への最大傾斜角度θ1、及び、後方への最大傾斜角度θ2をパラメータとした実施例1〜3について、震度7に相当する正弦波(前後方向の一軸振動で、振動数1Hz、振動
加速度8m/s2、振動時間10秒)の地震波を与えたときの耐震性に関するシミュレーション
結果を表1に示す。
Figure 0005105375
表1の実施例1から3に示すように、転倒防止性能については、いずれの自動販売機も転倒せず、良好な結果が得られている。前方への最大傾斜角度θ1については、自動販売機前方に通常存在するスペースを考慮すれば、2°(実施例1)の場合でも自動販売機の前方への移動距離を許容範囲内とすることが可能であるが、これを3°(実施例2)とすることで、移動距離をより低減可能である。但し、ここでの最大傾斜角度θ1は、自動販売機の自重による変形を考慮しない状態での角度である(後述するθ2も同様)。
一方、後方への最大傾斜角度θ2については、自動販売機の背面側に壁面が存在しており、自動販売機と壁面との間に緩衝材が存在することにより、傾斜角度が0.1°であっても、転倒を有効に防止可能である。実施例3におけるθ2が−0.1°の場合は、実際の自動販売機の設置状態では、自動販売機の自重により後方側の支持手段に当初から荷重が分担されていること(即ち、自動販売機を設置した状態での実測値がほぼ0°)を示しており、この場合は、前方への自動販売機の移動距離が更に低減されている。
また、実施例1〜3に対する比較例として、転倒防止装置を設けずに自動販売機を従来通りに設置し、地震波を付与した場合の結果を表1に示す。地震波は、振動加速度が3m/s2の正弦波として、実施例1から3の場合よりも小さい振動(震度6弱相当)を与えたに
も拘わらず、約6秒後に転倒する結果となった。
以上より、平らな剛性の高い床面への実際の設置状態における自動販売機の最適な最大傾斜角度θ1,θ2は、前方側のθ1が2〜3°であり、後方側のθ2がほぼ0°である。

b.緩衝材の取り付け高さ
次に、自動販売機背面に取り付ける緩衝材の取付高さ(位置)が、転倒防止性能に与える影響を調査した。実施例4及び5は、θ1を2°、θ2を−1°(実際の設置状態ではほぼ0°)として、同一の振動条件(震度6強に相当)で振動させたものである。このシミュレーション結果を表2に示す。
Figure 0005105375

表2に示すように、実施例4及び5のいずれも転倒を防止可能であるが、緩衝材の取付位置を真ん中よりも上方とすることで、前方への移動距離を低減可能である。

c.装置前部突出長さ
次に、転倒防止装置の前部が自動販売機前面から前方に突出する突出長さが、転倒防止性能に与える影響を調査した。実施例6から8は、θ1を4°、θ2を−0.1°(実際の設置状態ではほぼ0°)として、同一の振動条件(震度6強に相当)で振動させたものである。このシミュレーション結果を表3に示す。
Figure 0005105375

表3に示すように、実施例6から8のいずれも転倒を防止可能であるが、装置前部の突出長さが長くなるほど、前方への移動距離を低減可能である。

(2)試作品を用いた検証
上記シミュレーションで用いた自動販売機及び転倒防止装置を用いて、実際に振動実験を行った。最大傾斜角度θ1,θ2は、それぞれ2°及び0°に設定した。
4種類の正弦波(振動数及び片振幅:1Hz 45mm, 1.5Hz 42mm, 1.8Hz 40mm, 2Hz 35mm)について、水平一方向加振(振動5強〜6強に相当)と、水平・垂直同時加振(震度6弱〜6強に相当)とをそれぞれ30秒間行ったところ、いずれの場合も自動販売機は転倒せず、また、前方側から元の位置へ向けた自動復帰も確認できた。
1 転倒防止装置
2 装置本体
4 移動規制板
6a,6b 固定金具
8a,8b 挿通孔
10a,10b ローラ
30 自動販売機
32 脚部
40 床面

Claims (9)

  1. 床面上に設置される設置体の転倒を防止する転倒防止装置であって、
    設置体と床面との間に介在される装置本体に、前記設置体の水平方向の移動を規制する規制手段と、前記設置体の傾斜時に床面と接触する支持手段とを設けて構成され、
    前記支持手段は、
    前記設置体の規制により前記規制手段による規制が解除された状態で、前記設置体を水平移動可能に支持するものであり、
    前方側に配置される第1の支持部と、後方側に配置される第2の支持部とを備え、
    前記第1の支持部と床面との間の間隔が、前記第2の支持部と床面との間の間隔よりも大きいことで、前方への最大傾斜角度が後方への最大傾斜角度よりも大きくなるように前記設置体を支持することを特徴とする転倒防止装置。
  2. 前記支持手段は、前記設置を挟んで前後両側に配置されており、それぞれ異なる傾斜角度で前記設置体を支持する請求項1に記載の転倒防止装置。
  3. 前記支持手段は、ローラを有する請求項1又は2に記載の転倒防止装置。
  4. 前記規制手段は、前記床面との摩擦抵抗により前記設置体の移動を規制する請求項1から3のいずれかに記載の転倒防止装置。
  5. 前記装置本体は、前方へ突出可能に収容された突出部材と、前記突出部材の後方への移動を規制するストッパ手段とを備えており、
    前記突出部材は、前方へ突出した状態で、前記設置体の傾斜により前記規制手段による規制が解除されたときに前記設置体を水平移動可能に支持する補助支持手段を備える請求項1から4のいずれかに記載の転倒防止装置。
  6. 前方への最大傾斜角度が2〜12°である請求項1から5のいずれかに記載の転倒防止装置。
  7. 後方への最大傾斜角度がほぼ0°である請求項1から6のいずれかに記載の転倒防止装置。
  8. 請求項1からのいずれかに記載の転倒防止装置を備える自動販売機。
  9. 後面の真ん中よりも上方に緩衝材が取り付けられた請求項に記載の自動販売機。
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