JP5103791B2 - 還元ラノリンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ラノリンを直接水素化し還元ラノリンを製造する方法に関し、詳しくは、溶媒の存在下、非クロム系又は非カドミウム系触媒を使用し還元ラノリンを製造する方法、及び、水素化により得られた還元ラノリンを酸で処理し金属含有量が1ppm以下の還元ラノリンを製造する方法に関する。
還元ラノリンは、ラノリンの直接水素添加によって得られ、主として脂肪族アルコールおよびコレステロールを含有し、皮膚への浸透性、抱水力がラノリンより良好で、香料、色素との混和性が良好なため、化粧品用又は医薬品用の親水性軟膏、吸収基材、保水剤、乳化剤として使用されている。
従来の還元ラノリンの製造方法としては、羊毛より得られたウールグリースを精製することにより得られたラノリンを、銅−クロム系、銅−カドミウム系の触媒を使用して高圧水素化する方法(特許文献1、特許文献2)が通常であった。その他、ラノリンをラノリン脂肪酸とラノリンアルコールにケン化分別し、更に、そのラノリン脂肪酸を水素化する方法が知られている(特許文献3、特許文献4)。
ケン化分別後水素化する方法は、ケン化工程を経ることから生産性、経済性の面で不利となり、工業的には高圧水素化が望ましい。
しかしながら、原料ラノリンは沸点が高く蒸留が困難であり、蒸留による精製が可能なエステルを原料とする場合と異なり、触媒への被毒物を多く含み、かつ反応系において水分を生成するため、クロム、カドミウムを使用して触媒への耐被毒性、耐水性を向上させることが必要不可欠であった。しかしこれらの触媒を使用した場合、1)製品中に有毒なクロムもしくはカドミウムが混入する場合がある、2)使用済み触媒中に大量のクロム又はカドミウムが存在するため産業廃棄物として処理する際に環境に負荷がかかる等の問題点があった。
上記の金属を分子蒸留により製品より除去する方法があるが、還元ラノリンの沸点が高いため、真空度10−3kPa以下の条件下で実施する必要があり、設備コストの面から問題がある。従って、クロム、カドミウムを含有しない触媒を用いたラノリンの水素化方法が望まれている。
また、特許文献2にあるように還元ラノリンの炭素数C7〜9が主成分の低沸点留分を溶媒として水素化を行ったが、融点が高く、粘度も高いため、高温且つ長時間のろ過が必要となり、所望する色相の良い還元ラノリンを得ることはできなかった。
国際公開第89/10952号パンフレット 東ドイツ特許第38347 特開昭51−110505号公報 特開昭56−57724号公報
本発明は、環境への負荷が低減され、ろ過性の優れた還元ラノリンの製造方法、並びに、金属含有量の低い還元ラノリンを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、以下の事実を見いだした。
(1)炭化水素系溶媒の存在下、通常使用されている銅−クロム系触媒に代えて、銅−亜鉛系触媒、又は銅−カルシウム系触媒を使用した場合、銅−クロム系使用時と同等品質の還元ラノリンを製造し得る。
(2)前記で得られた還元ラノリンを酸水溶液で処理することにより、金属含有量が1ppm以下の還元ラノリンを得ることができる。
即ち、本発明は、以下の還元ラノリンの製造方法を提供するものである。
[項1]
ラノリンを水素化する還元ラノリンの製造方法であって、炭化水素系溶媒を使用し、且つ触媒が銅−亜鉛、銅−亜鉛−アルミニウム、銅−カルシウム、銅−カルシウム−ケイ素及びこれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする還元ラノリンの製造方法。
[項2]
項1で得られた還元ラノリンを酸水溶液で処理することを特徴とする精製還元ラノリンの製造方法。
本発明によれば、環境への負荷が低減され、工業的にも有利にラノリンを水素化することができ、高品質な還元ラノリンを得ることができる。
<原料ラノリン>
原料として用いられるラノリンは、羊の表皮の皮脂腺から分泌され、羊毛に付着して出現する羊の皮表脂質を精製したものであり、脂肪酸と高級アルコール、ステロールのエステルから構成される。具体的には、日本精化製の商品名ラノリンTR、工業用ラノリンCやクローダジャパン製の商品名スーパーラノリン、精製ラノリンなどが例示される。
原料ラノリンは下記1)、2)の特性を有する精製ラノリンが好適である。
1)酸価:1.0mgKOH/g以下である。
本発明において、酸価とは、JIS−K0070に規定されているものであり、具体的には試料1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数のことであり、この値が小さいほどラノリン中の脂肪酸が還元されていることを示す。
2)ヨウ素価:18gI/100g以上36gI/100g以下である(JIS−K0070に準拠して測定する)。
<触媒>
本発明に用いられる水素化触媒としては、銅−亜鉛、銅−亜鉛−アルミニウム、銅−カルシウム、銅−カルシウム−ケイ素及びこれらの酸化物から選ばれた少なくとも1種の金属触媒が好ましい。また、これらの金属触媒に、モリブデン、タングステン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ジルコニウム、マンガン、ニッケル、ケイ素及びこれらの酸化物等を添加した変性触媒を用いることもできる。又、上記触媒の混合物も使用できる。
上記触媒を構成する各金属酸化物の含有比率は特に限定されないが、例えば、銅−亜鉛酸化物系触媒の場合、CuO/ZnO/Al=35〜65/35〜65/0〜20(重量比)、特に、40〜60/40〜60/0〜15が好ましい。
また、銅−カルシウム酸化物系触媒の場合、CuO/CaO/SiO=30〜80/20〜70/0〜20(重量比)、特に、65〜77/12〜30/5〜15が好ましい。
触媒は、直接用いることもできるが、活性炭、アルミナ、シリカ、チタニア及びゼオライトなどの坦体に坦持して使用することもできる。これらの坦持触媒の製造方法は、公知の、例えば、含浸法、共沈法等の方法により容易に製造できるほか、市販されているものをそのまま使用することもできる。
また、触媒は、そのまま使用することもできるが、使用する前に還元処理等の適当な活性化処理をした後で反応に供することもできる。
これらの触媒の形態は、特に限定されず、選択される形態に応じて粉末状、スポンジ状、タブレット状(円筒状)、ペレット状、ヌードル状(三つ葉クローバー状、四つ葉クローバー状、円柱状)等適宜選択して使用される。具体的には、回分或は連続の懸濁反応には粉末触媒が、又、固定床反応にはタブレット触媒等が用いられる。
粉末状の触媒の平均粒径としては、特に限定されないが、反応性及びろ過性を考えた場合1μm〜200μm、好ましくは3μm〜80μmの範囲である。
タブレット状の触媒は、その表面積としては10m/g〜200m/gが例示され、好ましくは20m/g〜100m/gである。10m/g未満では反応速度が遅く、200m/gを越えると反応速度の促進効果少なくなり、圧壊強度も低く、しかも反応中における強度の保持率が低下しやすい。
またタブレット状の触媒のサイズは、使用する反応塔の内径により決定される。サイズは直径2〜10mm、高さ2〜10mm、好ましくは直径2〜6mm、高さ2〜6mmの範囲である。ヌードル状の触媒のサイズは直径1〜10mm、好ましくは2〜6mmである。
上記触媒の使用量は、反応原料の種類や量、触媒、運転条件によって適宜選択することができ、特に限定されないが、ラノリン100重量%に対して、好ましくは1.0〜20重量%、より好ましくは1.5〜10重量%である。1.0重量%未満では反応率が低く、一方、20重量%を越える場合では配管(特に、高圧バルブ)詰まり等の操作上の問題が起こり易くなる傾向が見られる。
<炭化水素系溶媒>
本発明は、炭化水素系溶媒を使用することにより、ろ過性、水洗時の分離を短時間で行うことができ、高品質の還元ラノリンを得ることができる。ラノリン100重量%に対し3〜70重量%、好ましくは5〜20重量%使用するのがよい。
炭化水素系溶媒としては、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素、パラフィン系炭化水素の何れも使用可能である。
具体的には、芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ブチルベンゼン、クメン、トリメチルベンゼン、アルキル(炭素数6〜14)ベンゼン、テトラヒドロナフタレン、エクソンモービル(有)製商品名ソルベッソ#150、同ソルベッソ#200、シェルジャパン(株)製商品名シェルゾールA100、同シェルゾールA150、新日本石油(株)製商品名日石ハイゾールSASなど、
ナフテン系炭化水素としては、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、シェルジャパン(株)製商品名シェルゾールD40、同シェルゾールD70、新日本石油(株)製商品名ナフテゾール、エクソンモービル(有)製商品名ナッパー(Nappar)、新日本理化(株)製商品名リカソルブ800、同リカソルブ900など、
パラフィン系炭化水素としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、ノナン、シェルジャパン(株)製商品名シェルゾールS、同シェルゾールTG、エクソンモービル(有)製商品名アイソパー(Isopar)、同ノルパー(Norpar)、新日本石油(株)製商品名ノルマルパラフィン、同日石アイソゾールなどが例示される。
<反応装置>
本発明の還元ラノリンの生産方式としては、公知の回分式、懸濁床式、固定床式のいずれの水素化方法も適用できるが、原料による触媒の被毒が大きいことより、好ましくは懸濁床式である。
懸濁床式の反応器としては、懸濁床気泡塔型反応器及び懸濁床攪拌型反応器等が知られているが、前者は攪拌機の軸シール等の問題がなく、反応器の維持が容易である上、製造費が安価で、大量生産には好適な装置である。
回分式の反応器としては、公知のジャケット方式、内部コイル方式、管内部方式、外部熱交換方式、外部還流凝縮器方式、直火方式などの加熱器を備えた攪拌式反応器の何れも使用可能である。
固定床式の反応器としては、単管式反応器及び多管式反応器等が使用可能である。
<水素化>
水素化の反応温度としては、200〜350℃、好ましくは220〜300℃が挙げられ、反応時間としては通常0.5〜10時間である。200℃未満では反応速度が遅く、350℃を越えると副生物が生成し、いずれの場合も実用性に欠ける。
水素化の反応圧力としては、15〜30MPaの範囲が好ましく、特に20〜25MPaの範囲が好ましい。15MPa未満では反応速度が遅く、30MPaを越えても反応速度は上がらず、設備の面でも経済的ではない。
本発明において、固定床式及び懸濁床式の反応器を使用した場合、固定床式の場合、水素化の水素ガスの空塔線速度としては、2〜40cm/秒が好ましく、より好ましくは8〜25cm/秒である。2cm/秒未満では反応率が低く、一方、40cm/秒を超える場合は、
設備上高価になる。懸濁床式の場合、水素化の水素ガスの空塔線速度としては、2〜20cm/秒が好ましく、より好ましくは3〜6cm/秒である。2cm/秒未満では反応率が低く、一方、20cm/秒を超える場合は、触媒が高濃度になりすぎる傾向が見られる。
<酸水溶液>
水素化して得られた還元ラノリンを酸水溶液で処理することにより、製品中における触媒由来の金属である銅、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、ケイ素の合計含有量を1ppm以下、更には検出限界以下まで低減することが可能である。
上記酸水溶液に使用される酸としては、硫酸、硝酸、塩酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、スルファミン酸、クエン酸、マロン酸、亜リン酸、リン酸、ギ酸、グルタミン酸、サリチル酸、アルギン酸、ホスホン酸、フェノールなどが挙げられるが、装置への腐食性、取扱い易さより好ましくはクエン酸、リン酸である。これらの酸は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これら酸水溶液の酸の濃度としては、水に対し、酸が0.1〜90重量%のものを使用することができるが、取り扱い易さ及び装置への腐食性を考えた場合、好ましくは5〜20重量%である。
水素化して得られた還元ラノリンは、触媒をろ過により分別した後、真空下或いは不活性ガス存在下で撹拌しながら50℃以上90℃以下、望ましくは60℃以上80℃以下に加熱する。50℃未満では製品の固化が生じるため処理が困難であり、一方、90℃を超える場合は製品の着色が生じる。
所定の温度に達すれば、酸水溶液を還元ラノリン100重量%に対して5〜100重量%、好ましくは5〜50重量%、更に好ましくは5〜20重量%を添加し、真空下或いは不活性ガス存在下で撹拌を継続する。このとき、酸水溶液の添加量が5重量%未満では効率が悪く製品中の金属の除去が十分ではなく、一方、100重量%を超える場合は、効果が上がらずかつ廃水の量が多くなるため適当ではない。
上記酸処理は10分〜5時間行う。10分未満では効率が悪く製品中の金属の除去が十分ではなく、一方、5時間を超える場合は製品の着色が生じる。
反応終了後、撹拌を停止し分層するまで静置後、酸水溶液である下層を抜き出す。
<還元ラノリン>
原料ラノリンを、高圧高温下で水素化すると、不飽和の二重結合は飽和され、ラノリンを構成する脂肪酸も還元されてアルコールとなる。即ち、還元ラノリンは、ラノリンを構成する高級アルコール類が水素添加されたアルコールと脂肪酸の水素添加によるアルコールの混合物である。
水素化により得られる還元ラノリンは下記1)〜5)の特性、酸水溶液により得られる精製還元ラノリンは更に下記6)の特性を有し、化粧品、医薬品原料として好適である。
1)酸価:1.0mgKOH/g以下、好ましくは0.2mgKOH/g以下である。
本発明において、酸価とは、JIS−K0070に規定されているものであり、具体的には試料1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数のことであり、この値が小さいほどラノリン中の脂肪酸が還元されていることを示す。
2)ケン化価:10mgKOH/g以下、好ましくは6mgKOH/g以下である(JIS−K0070に従って測定する)。
3)ヨウ素価:20gI/100g以下、好ましくは18gI/100g以下である(JIS−K0070に準拠して測定する)。
4)水酸基価:120mgKOH/g〜170mgKOH/g、好ましくは130mgKOH/g〜160mgKOH/g(JIS−K0070)。
5)色相:150以下である(JIS−K0071に準拠してハーゼン色数を測定する)。
1)金属(銅、亜鉛、カルシウム、ケイ素)含有量:1ppm以下、好ましくは検出限界以下である(ICP発光分析装置を使用して測定する)。
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。尚、各例において得られた還元ラノリンの特性は、以下の方法により測定し評価した。
酸価は、JIS−K0070(1992)に準拠して測定した。
ケン化価は、JIS−K0070(1992)に準拠して測定した。
ヨウ素価は、JIS−K0070(1992)に準拠して測定した。
水酸基価は、JIS−K0070(1992)に準拠して測定した。
色数は、JIS−K0071(1998)に準拠して測定した。
金属含有量分析はICP発光分析装置(パーキンエルマー社製 Optima 2000DV)を使用して分析した。検出限界はいずれの金属も0.1ppm以下であった。
[実施例1]
(a)ラノリンの水素化
ラノリン(酸価:0.45mgKOH/g、ケン化価:101.6mgKOH/g、ヨウ素価:28.1gI/100g、水酸基価:28.7mgKOH/g)、イソパラフィン系炭化水素溶媒(商品名アイソパーL、エクソンモービル(有)製)をラノリン100重量%に対し20重量%、及び銅―亜鉛−アルミニウム酸化物触媒(CuO/ZnO/Al=43.0/44.0/5.5(重量比))をラノリン100重量%に対し2重量%含有した懸濁溶液を200Lでオーバーフローする仕組みの円筒型高圧気泡塔(内径30cm×長さ3.2m)に、水素ガスを気泡塔型反応器底部より空塔線速度5cm/秒、反応温度270℃に保ちながら、100L/h(平均滞留時間2時間)で供給し、20時間連続運転し還元ラノリンを得た。還元ラノリンのケン化価を測定し反応開始後10時間で定常状態に達していることを確認した。定常状態での還元ラノリンのケン化価は1.0〜5.0であった。得られた還元粗物をフィルタープレスでろ過した。その結果、酸価:0.06mgKOH/g、ケン化価:1.6mgKOH/g、ヨウ素価:12.8gI/100g、水酸基価:156mgKOH/g、色数:50、金属含有量が、銅:0.5ppm、亜鉛:0.8ppm、アルミニウム:1.8ppmの還元ラノリンを得た。
(b)精製工程
1mの攪拌機付き水洗缶に(a)で得られた還元ラノリン50Lと、10重量%リン酸水溶液5Lを仕込み、窒素気流下にて80℃、1時間、攪拌を行った。その後1時間静置しリン酸水溶液の分離を行った後、水洗し、水及び溶媒を留去した。得られた還元ラノリンの物性を表1に示す。また、金属含有量は、銅、亜鉛、アルミニウムの何れも検出限界以下であった。
[実施例2]
(a)ラノリンの水素化
触媒として銅−亜鉛−アルミニウムの代わりに銅−亜鉛酸化物(CuO/ZnO=49.0/45.0(重量比))を使用する以外は、実施例1(a)と同様の方法で水素化を行った。その結果、金属含有量が銅:0.6ppm、亜鉛:1.2ppmである還元ラノリンを得た。
(b)精製工程
実施例1(b)と同様に精製を行った結果、得られた還元ラノリンの物性を表1に示す。また金属含有量は銅、亜鉛の何れも検出限界以下であった。
[実施例3]
(a)ラノリンの水素化
触媒として銅−亜鉛−アルミニウムの代わりに銅−カルシウム−ケイ素酸化物(CuO/CaO/SiO=70/18/12(重量比))を使用する以外は、実施例1(a)と同様の方法で水素化を行った。その結果、金属含有量が銅:0.7ppm、カルシウム:0.9ppm、ケイ素1.9ppmである還元ラノリンを得た。
(b)精製工程
実施例1(b)と同様に精製を行った結果、得られた還元ラノリンの物性を表1に示す。また金属含有量は銅、カルシウム、ケイ素の何れも検出限界以下であった。
[実施例4]
(a)ラノリンの水素化
電磁攪拌機を備えた500mlのステンレス製オートクレーブにラノリン(実施例1と同じ)100g、イソパラフィン系炭化水素溶媒(商品名アイソパーL、エクソンモービル(有)製)70g、銅―亜鉛−アルミニウム酸化物触媒(CuO/ZnO/Al=43/44/2.5(重量比))3.5gを仕込み、系内を窒素で置換した後、水素圧10MPaまで水素を導入し、水素パージ口より系外へ15ml/minの速度で水素及び水及び低沸物を放出しながら、290℃、19.6MPaの条件下で3時間水素化を行った。反応終了後、得られた還元粗物を80℃まで冷却、触媒を濾別し、金属含有量が銅:0.4ppm、亜鉛:0.2ppm、アルミニウム:1.1ppmの還元ラノリンを得た。
(b)精製工程
(a)で得られた還元ラノリンを、窒素気流下にて80℃、1時間、10重量%リン酸水溶液(イオン交換水使用)100gと混合して攪拌し、水洗した後、水及び溶媒を留去した。
得られた還元ラノリンの物性を表1に示す。また、金属含有量は銅、亜鉛、アルミニウムの何れも検出限界以下であった。
[実施例5]
(a)ラノリンの水素化
ラノリンおよびラノリン100重量%に対しイソパラフィン系溶媒(商品名アイソパーL、エクソンモービル(有)製)70重量%とを80℃、30分間加熱溶解した溶液を、銅―カルシウム−ケイ素酸化物触媒(CuO/CaO/SiO=59/15/19(重量比))385gを充填した0.35L(内径2.1cm×長さ100cm)の固定床連続水素化反応器へ、水素を反応器上部より空塔線速度で10cm/秒、反応温度230℃、反応圧力20MPaにて、1,200g/h(平均滞留時間0.5時間)で供給しながら、12時間連続運転し、水素化を行った。その抜出物を80℃まで冷却した後、触媒をろ過し、金属含有量が銅:0.6ppm、カルシウム:0.8ppm、ケイ素:1.5ppmの還元ラノリンを得た。
(b)精製工程
実施例1(b)と同様に精製を行った結果、得られた還元ラノリンの物性を表1に示す。また金属含有量は銅、カルシウム、ケイ素の何れも検出限界以下であった。
[実施例6]
(a)ラノリンの水素化
イソパラフィン系炭化水素溶媒の代わりに芳香族炭化水素溶媒(商品名ソルベッソL、エクソンモービル(有)製)を使用する以外は、実施例1(a)と同様の方法で水素化を行った。その結果、金属含有量が銅:0.7ppm、亜鉛:0.9ppm、アルミニウム:1.9ppmである還元ラノリンを得た。
(b)精製工程
実施例1(b)と同様に精製を行った結果、得られた還元ラノリンの物性を表1に示す。また金属含有量は銅、亜鉛、アルミニウムの何れも検出限界以下であった。
[参考例]
(a)ラノリンの水素化
触媒として銅−亜鉛−アルミニウムの代わりに銅−クロム酸化物(CuO/CrO=44/43(重量比))を使用する以外は、実施例1(a)と同様の方法で水素化を行った。その結果、金属含有量が銅:1.1ppm、クロム:1.5ppmである還元ラノリンを得た。
(b)精製工程
実施例1(b)と同様に精製を行った結果、得られた還元ラノリンの物性を表1に示す。また金属含有量は、クロム:0.4ppm、銅は検出限界以下であった。
[比較例1]
(a)ラノリンの水素化
溶媒を使用しない以外は、実施例1(a)と同様の方法で水素化を行った。その結果、金属含有量が銅:1.4ppm、亜鉛:2.1ppm、アルミニウム:3.2ppmの還元ラノリンを得た。途中、触媒をろ過する際、ろ過時間を実施例1と比較して3倍必要とし、相当困難であった。
(b)精製工程
実施例1(b)と同様に精製を行った結果、得られた還元ラノリンの物性を表1に示す。ろ過が困難であり、時間を要したため酸化劣化により着色が生じた。また金属含有量は銅、亜鉛、アルミニウムのいずれも検出限界以下であった。
Figure 0005103791
表1からわかるように、本発明の製造方法は、比較例1に記載の無溶媒系と比較して、色相の優れた還元ラノリンを得ることができ、また、従来のクロム系触媒を用いた参考例と同等以上の還元ラノリンを得ることができた。
[実施例7]
(b)精製工程
酸水溶液として10重量%リン酸水溶液の代わりに10重量%クエン酸水溶液を使用する以外は実施例1(b)と同様に、実施例1(a)で得られた還元ラノリン50Lの精製を行った。その結果、得られた還元ラノリンの物性は、酸価:0.06mgKOH/g、ケン化価:1.6mgKOH/g、ヨウ素価:12.9gI/100g、水酸基価:154mgKOH/g、色数:80であった。また金属含有量は銅、亜鉛、アルミニウムの何れも検出限界以下であった。
[実施例8]
(b)精製工程
酸水溶液として10重量%リン酸水溶液の代わりに2重量%塩酸水溶液を使用し、温度を80℃に代えて室温で実施する以外は実施例1(b)と同様に、実施例1(a)で得られた還元ラノリン50Lの精製を行った。その結果、得られた還元ラノリンの物性は、酸価:0.06mgKOH/g、ケン化価:1.6mgKOH/g、ヨウ素価:12.9gI/100g、水酸基価:155mgKOH/g、色数:110であった。また金属含有量は銅、亜鉛、アルミニウムの何れも検出限界以下であった。
[実施例9]
(b)精製工程
酸水溶液として10重量%リン酸水溶液の代わりに10重量%リンゴ酸水溶液を使用する以外は実施例1(b)と同様に、実施例1(a)で得られた還元ラノリン50Lの精製を行った。その結果、得られた還元ラノリンの物性は、酸価:0.06mgKOH/g、ケン化価:1.6mgKOH/g、ヨウ素価:12.8gI/100g、水酸基価:155mgKOH/g、色数:100であった。また金属含有量は銅、亜鉛、アルミニウムの何れも検出限界以下であった。
[比較例2]
(b)精製工程
酸水溶液として10重量%リン酸水溶液の代わりにイオン交換水を使用する以外は実施例1(b)と同様に、実施例1(a)で得られた還元ラノリン50Lの精製を行った。その結果、得られた還元ラノリンの物性は、酸価:0.06mgKOH/g、ケン化価:1.6mgKOH/g、ヨウ素価:12.8gI/100g、水酸基価:154mgKOH/g、色数:60であった。また金属含有量は、銅:0.5ppm、亜鉛:0.8ppm、アルミニウム1.8ppm検出され、低減されなかった。
還元ラノリンを水で処理した場合(比較例2)は金属含有量が低減されていないが、本発明の精製方法はクロム系触媒(参考例)以外は検出限界以下となり、顕著な低減効果が認められた。
本発明に係る還元ラノリンは、医薬品原料或いは化粧品原料として有用である。

Claims (1)

  1. 炭化水素系溶媒中、ラノリンを、銅−亜鉛、銅−亜鉛−アルミニウム、銅−カルシウム、銅−カルシウム−ケイ素及びこれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種の触媒の存在下、水素化して還元ラノリンを得、その還元ラノリンを酸水溶液で処理することを特徴とする精製還元ラノリンの製造方法。
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