JP5855106B2 - ε−カプロラクトン及び1,6−ヘキサンジオールの製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、2010年9月8日付けで提出された米国仮出願61/380731を参照によって含める。
本発明は、少なくとも99%の純度を有するε−カプロラクトンを製造するための、並びにジカルボン酸溶液(DCL)から1,6−ヘキサンジオールを製造するための、以下の(a)DCLをアルコールでエステル化する工程、(b)エステルを接触部分水素化する工程、(c)1,6−ヘキサンジオールを蒸留分離する工程、及び(d)塔底留分中に含まれた6−ヒドロキシカプロン酸エステルを環化する工程を包含する方法に関し、その際、該方法は、ε−カプロラクトンを基準として沸点がより高いアルコールの存在下で環化が行われるように実施する。殊に本発明は、ε−カプロラクトンを基準として沸点がより高いアルコールをすでにDCLのエステル化(工程(a))のために用いる方法、並びに水素化(工程(b)及び/又は引き続く蒸留(c))の条件を、方法において生じる1,6−ヘキサンジオールが、エステル化のために本来用いられる低沸点アルコールをエステル交換反応によって置換するように選択する方法に関する。そのうえ本発明は、工程(c)の1,6−ヘキサンジオール及び/又は工程(d)のε−カプロラクトンを蒸留によりさらに精製するこの方法の実施形態に関する。
ε−カプロラクトン若しくはそれから重付加によって製造されるポリカプロラクトンはポリウレタンの製造に役立つ。1,6−ヘキサンジオールは、主としてポリエステル分野及びポリウレタン分野で用いられるモノマー構成単位である。
シクロヘキサノール及びシクロヘキサノンを製造するための生産プラントの統合並びにε−カプロラクトン及び1,6−ヘキサンジオールを製造するための出発生成物としての廃棄物であるジカルボン酸溶液(DCL)の利用は、純粋な6−ヒドロキシカプロン酸若しくは純粋なアジピン酸と比べて有利な原料費につながる。これは、そのうえ環境に優しい廃棄物の利用である。
シクロヘキサノール及びシクロヘキサノンへのシクロヘキサンの酸化(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th ed.,1987,vol.A8,p.219を参照のこと)に際して副生成物として生じるジカルボン酸水溶液(DCL)は、(水不含で質量%において計算して)一般的に10〜40質量%のアジピン酸、10〜60質量%の6−ヒドロキシカプロン酸、1〜10質量%のグルタル酸、1〜10質量%のヒドロキシ吉草酸、0.5〜5質量%の5−ホルミル吉草酸、1〜5質量%の1,2−シクロヘキサンジオール、1〜5質量%の1,4−シクロヘキサンジオール、2〜10質量%のギ酸、並びに多数の更なるモノカルボン酸及びジカルボン酸、エステル、オキソ化合物及びオキサ化合物を含有し、それらの個々の含有率は一般的に5%を超過しない。例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、シュウ酸、マロン酸、ジヒドロムコン酸、コハク酸、4−ヒドロキシ酪酸、γ−ブチロラクトン及びε−カプロラクトンがモノカルボン酸及びジカルボン酸、エステル、オキソ化合物及びオキサ化合物として挙げられる。DCLを、DCL中に含まれた6−ヒドロキシカプロン酸及びアジピン酸から出発して、1,6−ヘキサンジオール及び純粋なε−カプロラクトンの取得のために使用することが所望されている。
これまでに挙げられていた従来技術は、DCLとモノアルコールから製造されたアジピン酸ジエステルを、約96〜99%の高い収率で1,6−ヘキサンジオールへと水素化できることを示している。この場合、水素化のために、銅及び酸化亜鉛、銅及び酸化アルミニウム、又は銅、酸化アルミニウム及び酸化亜鉛をベースとする触媒が使用されていた。
DCLからのカプロラクトンの製造は、例えばDE1618143にすでに記載されている。この場合、脱水されたDCLがリン酸と熱により反応させられ、そしてジカルボン酸、カプロラクトン並びに多数の他の成分からの混合物が分別される。その際、塔底物が一部で固体かつ難溶性で発生する。しかし、カプロラクトンは更なる蒸留後処理後も98%の純度しか有さない。
そのうえ、6−ヒドロキシカプロン酸又はそのエステルをカプロラクトンへと反応させることもしばしば記載されている(例えばDE2013525、EP−A349861及びその中で引用された文献)。
DE19607954の実施例には、脱水されたDCLをメタノールでエステル化し、そして該エステル混合物を低沸点物の分離後にアジピン酸ジメチルエステル留分とヒドロキシカプロン酸メチルエステル留分とに分離することが記載されている。それに従って、アジピン酸ジメチルエステル留分は、銅、酸化亜鉛及び酸化アルミニウムを含有する触媒の存在下で1,6−ヘキサンジオール及びメタノールへと水素化され、その際、エステル変換率は220℃及び220barで99.5%であり、1,6−ヘキサンジオール選択率は>99%であった。ヒドロキシカプロン酸メチルエステル留分はカプロラクトンへと接触環化され、その際、蒸留完了後の純度は99.9%であった。DCLのエステル化のためにメタノール又は他の低沸点アルコールが選択される場合、カプロラクトンへの6−ヒドロキシカプロン酸エステルの環化が満足のいく収率で行われることができるように、環化前にアジピン酸エステルが完全に6−ヒドロキシカプロン酸エステル留分から分離されなければならない。これを保証するために、一方では分離の複雑性を大いに要し、かつ他方では6−ヒドロキシカプロン酸エステルの一部をアジピン酸エステルと一緒に分離する必要があり、ひいてはそれが環化のために使えなくなる。DCLのエステル化のための沸点がより高いアルコールの使用は、この方法においては、アジピン酸エステル留分と6−ヒドロキシカプロン酸エステル留分との分離を困難にする。DCLのエステル化のためのメタノール又は他の低沸点アルコールの使用によるこの方法の欠点はまた、非常に高い圧力を回避するために比較的低い温度(<200℃)でエステル化が実施されなければならなく、通常そのためには、エステル化を効果的なものにするために、触媒、一般には硫酸が使用されることである。しかし、硫酸は、これらのケースではエステル化後に再び複雑に除去されなければならない。さらに、低沸点アルコールを使用した場合の反応水の除去は非常に高い複雑性を伴ってしか成功しないことから、これは実際には実施されない。それからエステル化における水の存在は比較的乏しい変換率を招く原因になることから、比較的少量の酸がエステル化排出物中になお含まれている。これらは後の処理段階において(特に蒸留において)塔底留分中で特にポリヒドロキシカプロン酸エステルの形成をもたらす。これらは複雑に後処理かつ回収されなければならないか、又はカプロラクトン又はヘキサンジオールを得るための更なる加工のために失われる。
さらにDE19607954は、殊に、技術的な複雑性は最小限に少量のカプロラクトンを製造するためのプロセス変形(変形例E)を記載している。それに従って、DCLのエステル化のために、カプロラクトンより沸点の高いアルコールが使用され、かつ反応は、アジピン酸エステル留分の分離なしに、バッチ式にワンポット反応においてエステル化触媒の存在下で実施される。次いでカプロラクトンが留出物として取得されることができ、他方で高沸点アジピン酸エステルは塔底に留まる。この場合の欠点は、プロセス操作が不連続的であることと、そのようにして得られるカプロラクトンの純度が平均的なものでしかない(約98%)ことである。
それゆえ、本発明の基礎をなしている課題は、DCLから出発して−1,6−ヘキサンジオール及び非常に純粋なε−カプロラクトンを製造し、かつ、その際、従来技術の欠点、すなわち、製造の高いコスト又は生成物の不十分な純度及び収率のいずれかを回避することとみなされることができる。この課題は、以下に記載し、かつ特許請求の範囲に記載した実施形態によって解決される。
相応して、本発明は、以下の工程:
(a)DCLをアルコールでエステル化する工程、
(b)エステルを接触部分水素化する工程、
(c)1,6−ヘキサンジオールを塔頂生成物として蒸留分離する工程、並びに
(d)塔底留分中に含まれた6−ヒドロキシカプロン酸エステルをε−カプロラクトンへと、該ε−カプロラクトンの沸点より高い沸点を有するアルコールの存在下で環化する工程を包含する、1,6−ヘキサンジオール及び非常に純粋なε−カプロラクトンをジカルボン酸溶液(DCL)から製造する方法に関する。
殊に本発明は、以下の工程:
(a)DCLをアルコールでエステル化する工程、
(b)エステルを接触部分水素化する工程、
(c)1,6−ヘキサンジオールを塔頂生成物として蒸留分離する工程、並びに
(d)塔底留分中に含まれた6−ヒドロキシカプロン酸エステルをε−カプロラクトンへと、該ε−カプロラクトンの沸点より高い沸点を有するアルコールの存在下で環化する工程を包含し、その際、工程(a)におけるエステル化のためにすでに該ε−カプロラクトンの沸点より高い沸点を有するアルコールを使用する、1,6−ヘキサンジオール及び非常に純粋なε−カプロラクトンをジカルボン酸溶液(DCL)から製造する方法に関する。
さらに本発明は、以下の工程:
(a)DCLをアルコールでエステル化する工程、
(b)エステルを接触部分水素化する工程、
(c)1,6−ヘキサンジオールを塔頂生成物として蒸留分離する工程、並びに
(d)塔底留分中に含まれた6−ヒドロキシカプロン酸エステルをε−カプロラクトンへと、該ε−カプロラクトンの沸点より高い沸点を有するアルコールの存在下で環化する工程を包含し、その際、工程(b)での水素化及び/又は工程(c)での蒸留において、工程(a)からの場合により低沸点のエステル化アルコールを、水素化の際に生じる1,6−ヘキサンジオールによりエステル交換反応に従って置換することを可能にする条件下で実施する、1,6−ヘキサンジオール及び非常に純粋なε−カプロラクトンをジカルボン酸溶液(DCL)から製造する方法に関する。かかる条件は、例えば、工程(b)での水素化のための酸点又は塩基点を有する水素化触媒の使用、工程(c)の蒸留に際しての少量の酸又は塩基(蒸留段階(c)への供給部における少なくとも0.01の酸価若しくは塩基価)の存在、並びに/又は工程(b)の水素化及び/又は(c)の蒸留に際しての(少なくとも1ppmの量における)エステル交換触媒−例えばナトリウムメトキシド−の存在である。
1,6−ヘキサンジオール及び非常に純粋なε−カプロラクトンを製造するための本発明による方法は、出発原料としてジカルボン酸溶液(DCL)を使用する。かかるDCLは、水溶液の形で、シクロヘキサンからシクロヘキサノール及びシクロヘキサンへの酸化の副生成物として発生する(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th ed.,1987,vol.A8,p.219を参照のこと)。該副生成物は、(水不含で質量%において計算して)一般的に10〜40質量%のアジピン酸、10〜60質量%の6−ヒドロキシカプロン酸、1〜10質量%のグルタル酸、1〜10質量%のヒドロキシ吉草酸、0.5〜5質量%の5−ホルミル吉草酸、1〜5質量%の1,2−シクロヘキサンジオール、1〜5質量%の1,4−シクロヘキサンジオール、2〜10質量%のギ酸、並びに多数の更なるモノカルボン酸及びジカルボン酸、エステル、オキソ化合物及びオキサ化合物を含有し、それらの個々の含有率は一般的に5%を超過しない。例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、シュウ酸、マロン酸、ジヒドロムコン酸、コハク酸、4−ヒドロキシ酪酸、γ−ブチロラクトン及びカプロラクトンがモノカルボン酸及びジカルボン酸、エステル、オキソ化合物及びオキサ化合物として挙げられる。DCLは、一般的に20〜80質量%の水分を有する水溶液である。
5−ホルミル吉草酸のようなアルデヒド並びに1,4−シクロヘキサンジオン及び4−ヒドロキシシクロヘキサノンのようなケトンは、ジオールによるエステル化(工程(a))に際してアセタール及びケタールを形成し得る。これによって、5−ホルミル吉草酸は、ε−カプロラクトン及び1,6−ヘキサンジオールの製造におけるアセタールの続く反応によって失われる可能性がある。アセタール−又はケタール形成によって、そのつど結合していたアルコールは完全に又は部分的に失われる可能性がある。
それゆえ、DCLの組成に応じて、含有されるアルデヒド及びケトンをエステル化工程(a)前にアルコールへと接触水素化することが好ましい場合もある。シクロヘキサンの酸化が、脱過酸化触媒、例えばナフテン酸コバルトの不在下で実施された場合、DCLは、DE−A1951250及びEP−A847979に記載されるように6−ヒドロペルオキシカプロン酸を含む。脱過酸化触媒の存在下で酸化された場合、6−ヒドロペルオキシカプロン酸はごく少量で含まれている。シクロヘキサンの酸化が触媒なしで実施された場合、生じた6−ヒドロペルオキシカプロン酸は5−ホルミル吉草酸と同様に6−ヒドロキシカプロン酸へと水素化され得る。その時、この任意の水素化は、本発明による方法の工程(a)の前に行われる。
場合により本発明による方法の工程(a)の前に行われる水素化に際しては、一方ではヒドロペルオキシ基が、他方ではアルデヒド基が水素化されなければならないので、双方の化合物の最適な水素化条件は異なる。ヒドロペルオキシカプロン酸は単に熱的にも(しかし水素化の場合より選択的ではない)6−ヒドロキシカプロン酸に変わり得るので、それはDE−A1951250によれば、パラジウム、ロジウム又は白金触媒の存在下で15〜130℃、好ましくは50〜100℃で、つまり程よい温度で水素化される。ケト基及びアルデヒド基は、DE−A1951250における6−ヒドロペルオキシカプロン酸の水素化の条件下では水素化されない。このためには、より高い温度と圧力が必要である。
場合により本発明による方法の工程(a)の前に実施される水素化は、10〜200℃、有利には30〜180℃、特に有利には50〜170℃で行われる。その際、水素の分圧は、1〜100bar、有利には10〜80bar、特に有利には30〜60barである。
場合により本発明による方法の工程(a)の前に実施される接触水素化には、周期律表の第7族〜第12族の少なくとも1種の金属、例えばルテニウム、パラジウム、ロジウム、ニッケル、コバルト、鉄、レニウム、白金、イリジウム、銅、オスミウム及び亜鉛を含有する触媒が役立つ。さらに、担体を含まず、かつ金属、金属酸化物又はそれらの混合物から成るいわゆる非担持触媒が良く適している。ここで有利なのは、非担持鉄触媒及び殊に非担持コバルト触媒である。
DCL中に含まれたカルボン酸の本発明による方法の工程(a)に従ったエステル化のために1〜30個の炭素原子を有するアルコールが使用可能であり、有利なのは、10〜1500mbarの圧力範囲内でε−カプロラクトン(例えば20mbarで96〜97℃及び1013mbarで235℃)より沸点が高いアルコールである。その際、モノアルコール並びにジオール及び他の多価アルコールが使用されることができる。同様に、かかるアルコールの混合物又はかかるアルコールを含有する(有利には少なくとも30質量%の割合で、特に有利には少なくとも50質量%の割合で)組成物が使用されることができる。この種のアルコールの例は、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、1−オクタデカノール、1−イコサノール、ブチルエチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ビス(6−ヒドロキシヘキシル)エーテルである。特に適しているのは、多価アルコール、6〜12個の炭素原子を有する殊にジオール、殊にα,ω−ジオールである。特に有利なのは1,6−ヘキサンジオールであり、なぜなら、このエステル化アルコールは本発明による方法の目標生成物に相当するからである。
ε−カプロラクトンより沸点が高いアルコールを、DCLの本発明によるエステル化のために使用することは、本発明による方法の環化工程(d)に際してアジピン酸若しくはアジピン酸エステルの存在下で6−ヒドロキシカプロン酸エステルの満足のいく変換を達成するために好ましい。エステル化アルコールとして低沸点アルコール、例えばメタノールが使用される限りにおいては、水素化工程(b)及び/又は蒸留工程(c)を、該水素化に際して形成された1,6−ヘキサンジオールが、カプロラクトンと比べて沸点が高いアルコールとして、初めのエステル化アルコールをそのエステルからの低沸点物として置換し、それにより環化工程(d)において存在することから、該環化をアジピン酸当量の存在下で効果的に行うことができるように実施することを前提にして、本発明による方法を同様に適用可能である。
形成されたヘキサンジオールが、水素化及び引き続く蒸留中に、低沸点アルコールをそのエステルから置換することができるように、ある特定の前提条件が満たされなければならない。水素化触媒は、酸点又は塩基点、ルイス点及び/又はブレンステッド点を有しているべきである。万が一水素化触媒が、エステル交換する触媒点を有さないか又は不十分にしか有さない場合、水素化供給物にエステル交換触媒、例えばナトリウムメトキシドが加えられることができる。この添加は、1〜1000ppm、有利には5〜500ppm、特に有利には10〜300ppmの供給量を基準とした量で加えられる。蒸留に際してヘキサンジオールが低沸点アルコールをそのエステルから放出できるように、酸又は塩基が少量で存在しているべきである。これは、例えばすでにアジピン酸又はアジピン酸半エステル又はヒドロキシカプロン酸のようなカルボン酸であってよく、その含有率は工程(c)への供給部において0.01〜5の酸価をもたらす。そのうえ、当然のことながら、ナトリウムメトキシド又はテトラ−n−ブチルチタネートといったチタネートのような添加剤も、1〜5000ppm、有利には5〜3000ppm、特に有利には10〜2000ppmの量で可能である。
本発明による方法の1つの実施形態においては、純粋な1,6−ヘキサンジオールの代わりに、工程(b)の水素化排出物の一部が、工程(a)によるDCLのエステル化のために使用される。水素化排出物はアルコール組成物であり、これは一般的に30〜90質量%の1,6−ヘキサンジオール、1〜10質量%の1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール及び1,4−シクロヘキサンジオール(それぞれ5質量%未満)、さらに5質量%までのモノアルコール、例えばn−ブタノール、n−ペンタノール及びn−ヘキサノール、並びに1〜50質量%の1,6−ヘキサンジオールと比べてオリゴマー若しくはポリマーの高沸点物を含有する。
本発明による方法の更なる実施形態においては、蒸留工程(c)からの塔頂生成物の一部がアルコール組成物として工程(a)でのDCLのエステル化のために使用される。
エステル化アルコールとしての、ジオール、殊にα,ω−ジオールの使用は、モノアルコールと比べて利点を示す。エステル化アルコールの損失が軽減し、かつ水素化排出物の後処理が簡素化される。
DCLに、本発明による方法の工程(a)でのエステル化のために、有利にはε−カプロラクトンより沸点が高いアルコール、殊に相応するα,ω−ジオール、例えば1,6−ヘキサンジオール又はかかるアルコールの混合物又はかかるアルコールを含んだ(かかるアルコールの、有利には少なくとも30質量%の割合、特に有利には少なくとも50質量%の割合を有する)組成物が加えられる。かかる組成物として、蒸留分離(工程(c))の水素化排出物の部分量又は塔頂生成物の部分量が役立ち得る。ここで、DCL対アルコールの質量比は、ジオールが使用される場合、有利には1:0.2〜1:0.8、殊に1:0.3〜1:0.7、特に有利には1:0.4〜1:0.6である。モノアルコールが使用される場合、アルコール量は2倍であるべきであり、ポリオールの場合、アルコール量は相応して減らされているべきであり、例えばトリオールの場合は1.5倍、テトラオールの場合は2倍、ペンタオールの場合は2.5倍、ヘキサオールの場合は3倍といった具合に減らされているべきである。アルコールを含有する組成物がエステル化のために使用される場合(例えば工程(b)の水素化排出物)−そのアルコール分を基準として−相応する高められた量の組成物が選択されるべきである。
水性DCLの水の分離及び本発明による方法の工程(a)に従ったエステル化は、有利には1つの処理工程で実施される。このために、管型反応器、流管及び/又は塔が使用可能である。有利には、水分離及びエステル化は、蒸留塔が取り付けられた少なくとも1つの反応器中で行われる。カルボン酸のエステル化に際しての完全な変換及び完全な水分離を達成するために、塔が取り付けられた2〜6つの、有利には3〜5つのカスケード接続された反応器を用いる。
本発明による方法の工程(a)に従ったDCLのエステル化反応は、触媒の添加なしに進み得る。しかし、反応速度を高めるために触媒をエステル化のために添加することができる。これは、均一な溶解触媒又は不均一な触媒であってよい。
エステル化のための均一な触媒は、例示的に、硫酸、リン酸、塩酸、スルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸、ヘテロポリ酸、例えばタングストリン酸又はルイス酸、例えばアルミニウム化合物、バナジウム化合物、チタン化合物、ホウ素化合物が挙げられる。有利なのは無機酸、殊に硫酸である。カルボン酸に対する均一な触媒の質量比は、一般に0.0001〜0.5、有利には0.001〜0.3である。
均一な触媒として、酸性若しくは超強酸性の材料、例えば酸性及び超強酸性の金属酸化物、例えばSiO2、Al23、SnO2、ZrO2、層状ケイ酸塩又はゼオライト(これらは全て硫酸又はリン酸のような無機酸残分でドープされていてよい)、又はスルホン酸基若しくはカルボン酸基を有する有機イオン交換体が適している。固体触媒は固定床として配置してよいか、又は懸濁液として用いてよい。
有利には、触媒を添加せずにエステル化される。
塔が取り付けられた反応器中での塔底温度は200〜250℃である。エステル化は、DCL中に含まれた水並びに反応水を同時に分離しながら行われる。エステル化及び水分離は、0.1〜5bar、有利には0.5〜3bar、特に有利には0.8〜1.3barの圧力で実施されることができる。全ての撹拌槽にわたって計算した滞留時間は、0.5〜12時間、有利には1〜11時間、特に有利には2〜10時間である。エステル化は、連続的に又は不連続的に実施されることができる。
取り付けられた塔の塔頂生成物として、DCL中に含まれていた水とエステル化の際に生じた水が得られる。塔頂生成物は、さらに有機副生成物、例えば低級モノカルボン酸、例えばギ酸を含有してよい。
最後の反応器の塔底生成物としてエステル混合物(ジオールを使用した場合、オリゴエステルとポリエステルの混合物)が発生し、これはDCL中に含まれたカルボン酸、シクロヘキサンジオール及び添加されたアルコールから形成されていた。塔底生成物には、それ以外に変換されなかったアルコールが含まれている。この混合物は、続く本発明による方法の工程(b)での接触水素化のために使用される。
カルボン酸混合物中に存在する遊離カルボキシル基の変換が完了したことは、エステル化後に測定される酸価(mg KOH/g)により確かめられる。それは場合により触媒として添加された酸を差し引いて1〜20、有利には2〜15、特に有利には5〜10mg KOH/gである。
溶解された酸がエステル化のために触媒として用いられた場合、エステル混合物は適切に塩基で中和され、その際、触媒の酸1当量あたり1〜1.5当量の塩基が添加される。塩基として、一般にアルカリ金属酸化物若しくはアルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩若しくはアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物若しくはアルカリ土類金属水酸化物又はアルカリ金属アルコキシド若しくはアルカリ土類金属アルコキシド、又はアミンがバルクで又はエステル化アルコール中に溶解して使用される。添加された酸は、エステル混合物を弱塩基性イオン交換体に通すことによっても除去されることができる。
本発明による方法の工程(b)でのエステル混合物の水素化は、液相中で、固定床触媒又は懸濁床触媒、有利には固定床触媒の存在下で触媒作用的に行われる。100〜350℃、有利には120〜300℃、特に有利には140〜280℃の温度及び30〜350bar、有利には40〜320bar、特に有利には50〜300barの圧力で操作される。触媒負荷量は、触媒1kgかつ1時間当たり0.2〜1.5kgのエステルである。
工程(b)での水素化は、本発明により部分的に、つまり少なくとも一部で行われ、完全には行われない。
本発明による方法の工程(b)での水素化における変換は、環化してε−カプロラクトンを得る(工程(d))のに、より高い割合の6−ヒドロキシカプロン酸エステルを確保するために意図的に制限されている。有利には、40〜97%、特に有利には50〜95%の範囲の水素化変換率を有する部分水素化に調整される。これは、例えば水素化温度の変化、負荷量の増大、圧力の低下、又は原則的に後反応器に迂回させることによっても行われることができる。
水素化変換率は、水素化前の反応混合物における全体のエステル価に対する水素化中の反応混合物における減少したエステル価(EZ)の比として定義している:
H%=100*(EZR,V−EZR,N)/EZR,V
EZR,V:水素化前の反応混合物のエステル価
EZR,N:水素化後の反応混合物のエステル価
H%:水素化変換率
エステル価(EZ)は、混合物の鹸化価(VZ)と酸価(SZ)の差から測定される:
EZR=VZR−SZR
EZR:そのつどの反応混合物のエステル価
VZR:そのつどの反応混合物の鹸化価
SZR:そのつどの反応混合物の酸価
鹸化価(VZ)はDIN 53401に従って測定され、そして酸価(SZ)は、DIN54302(新版DIN EN ISO 2114)に従って測定される。
代替的に、水素化変換率は、他の方法を手がかりにして、例えば反応混合物中の水素の消費量から突きとめることも可能である。
本発明による方法の工程(b)での水素化変換率は、そのつどの出発条件(プラント、触媒、及び出発物質の性質)を求めて所望の値に調整されることができる。水素化変換率が高すぎると確認されたら、これは、段階的に水素化温度、反応器圧力若しくは単位時間当たりの送り込まれる水素量を下げるか、又は単位時間当たりの供給量を高めることによって減少させられることができる。逆に、水素化変換率が低すぎると確認されたら、これは、段階的に水素化温度、反応器圧力若しくは単位時間当たりの送り込まれる水素量を上げるか、又は単位時間当たりの供給量を下げることによって高められることができる。その際、変更は1つ行うか、又は2つ以上行うことができる。各々の変更後に、新しく調整された水素化変換率は、十分な時間が経ってから測定されなければならず、かつ場合により更なる変更が加えられなければならない。
本発明による方法の工程(b)での水素化は、基本的に1つの反応器中で実施されることができる。しかしながら、この運転の仕方には欠点がある:エステル水素化は発熱を大いに伴うものであり、加えて高い温度のまま実施されなければならない。例えば、US−A3,524,892に従った水素化温度(この場合、DCLから製造されたオリゴエステルの水素化は、酸化バリウムによってドープされた亜クロム酸銅の存在下で行われていた)は260〜270℃である。反応器から確実に熱を除去するために大いに手間を必要としなければならない。それゆえ、水素化は有利には少なくとも2つのカスケード接続された反応器中で実施される。固体触媒が用いられる場合、水素化供給物はアップフローモード又はダウンフローモードで触媒に通すことができる。アップフローモードで行われる場合、水素ガスが液状反応混合物で充満された反応器中に導入され、その際、水素は触媒床を、上昇する気泡の形で通過する。ダウンフローモードで行われる場合、液状エステル混合物を、水素圧を下回る反応器中で、これに配置された触媒床に落下させ、その際、触媒上に液体薄膜が形成される。有利な実施形態によれば、複数の反応器が使用され、その際、第一の反応器中で大部分のエステルが水素化される。第一の反応器は、有利には熱交換器による熱除去のために液体を循環させて動かし、かつ後続の(複数の)反応器は有利にはシングルパスで、変換を完全なものにするために循環させずに動かす。この運転の仕方は循環モードと呼ばれる。
本発明による方法の工程(b)での水素化は、連続的に又は不連続的に行われることができる。
本発明による方法の工程(b)での水素化は、一般的に、エステル化に際して発生する、過剰のアルコールを含有するエステル混合物により付加的な溶媒なしで実施される。しかし、反応条件下で不活性な溶媒の存在下で行うことも好ましい場合がある。溶媒として、例えば、エステル化のために使用される全てのアルコール、さらにテトラヒドロフラン、ジオキサン及び1〜6個の炭素原子を有するモノアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール又は前述の化合物の混合物が考慮に入れられる。その際、溶媒量は、エステル混合物を基準として5〜50質量%、有利には10〜30質量%である。有利には、水素化は溶媒なしで実施される。
エステル化に際して発生するエステル混合物に塩基を計量供給することも好ましい場合がある。有利にはリチウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシド及びカリウムアルコキシド、特に有利にはナトリウムメトキシドが用いられる。その際、塩基の量は、エステル混合物を基準として20〜180ppm、有利には30〜90ppmである。>1mg KOH/gの残存酸価を有するエステル混合物の場合、残存酸は些細な量でのみ中和される。添加された塩基は、ふつうは水素化に際して生じる可能性がある副生成物、例えばヘキサノール又はエーテル化合物の形成を抑えるのに役立つ。
本発明による方法の工程(b)での水素化は触媒の存在下で行われる。触媒として、原則的に、カルボニル基の水素化に適した全ての均一及び不均一な触媒、例えば金属、金属酸化物、金属化合物又はそれらからの混合物が考慮に入れられる。均一な触媒の例は、H.Kropf,Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie,Band IV/Ic,Georg Thieme Verlag Stuttgart,1980の第45頁〜第67頁に記載されており、そして不均一な触媒の例は、Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie,Band IV/Icの第16頁〜第26頁に記載されている。
有利には、元素の周期律表の第I副族及び第IV副族〜第VIII副族からの1種以上の元素、有利には銅、クロム、モリブデン、マンガン、レニウム、ルテニウム、コバルト、ニッケル及びパラジウム、特に有利には銅、コバルト又はレニウムを含有する。
触媒は活性成分からのみ成っていてよいか、又は活性成分が担体に施与されていてよい。担体材料として、例えばCr2O3、Al23、SiO2、ZrO2、TiO2、ZnO2、BaO及びMgO又はそれらからの混合物が適している。
有利なのは、EP0552463に記載されているような触媒である。これらは、酸化物の形で組成物CuaAlbZrcMndxを有する触媒であり、ここで、a>0、b>0、c≧0、d>0、a>b/2、b>a/4、a>c、a>dが適用され、かつxは電気的中性を確保するために化学式単位当たりに必要とされる酸素イオンの数を表す。これらの触媒の製造は、例えばEP0552463の記載に従って、相応する金属イオンを塩の形で含有する溶液から難溶性化合物を沈殿させることによって行われることができる。適した塩は、例えばハロゲン化物塩、硫酸塩及び硝酸塩である。沈殿剤として適しているのは、かかる不溶性の中間生成物(これらは熱処理によって酸化物に変換されることができる)の形成を引き起こす全ての試剤である。特に適した中間生成物は、水酸化物塩及び炭酸塩若しくは炭酸水素塩であることから、特に有利な沈殿剤としてアルカリ金属炭酸塩又はアンモニウム炭酸塩が用いられる。触媒の製造にとって重要なことは、500℃〜1000℃の温度での中間生成物の熱処理である。触媒のBET表面積は10〜150m2/gである。
1つの実施形態においては、本発明による方法の工程(b)での水素化のために、成形体前駆体が、酸化銅、酸化アルミニウム、及びランタン、タングステン、モリブデン、チタン、ジルコニウム又は鉄の酸化物の少なくとも1種のほかに、さらに金属銅、銅フレーク、粉末状のセメント、グラファイト又は混合物も、ジオールによるDCLのオリゴエステル及びポリエステルの水素化法においてすでに記載されていたように含有する触媒が使用される。触媒及びその製造は、WO2004/085356、WO2006/005505及びWO2007/006719に記載されている。
1つの実施形態においては、本発明による方法の工程(b)での水素化は、触媒前駆体が、
(i)酸化銅、酸化アルミニウム、及びランタン、タングステン、モリブデン、チタン、ジルコニウム又は鉄の酸化物の少なくとも1種を包含する酸化物材料を準備し、
(ii)酸化物材料に粉末状の金属銅、銅フレーク、粉末状のセメント、グラファイト又はそれらの混合物を添加し、かつ
(iii)工程(ii)から生じる混合物を成形体へと形作る
ことによって製造可能である触媒成形体を用いて実施される。
殊に、ジオール又はジオール混合物によるDCLの本発明によるエステル化に際して生じるような異なる組成のオリゴマーエステルの水素化は、相応する触媒に高い要求を課し、なぜなら、これは毒せられてはならず、それにも関わらず高い活性及び選択性を示さなければならないからである。触媒の成形体前駆体が、酸化銅、酸化アルミニウム、及びランタン、タングステン、モリブデン、チタン、ジルコニウム又は鉄の酸化物の少なくとも1種のほかに、さらに金属銅、銅フレーク、粉末状のセメント、グラファイト又は混合物も含有する上記の触媒がこの適用のために特に適していると判明した。
成形体は、触媒としての使用前に自体公知の手法で、還元媒体、例えば水素を用いて活性化される。活性化は、予め還元炉内で行われるか又は反応器中への設置後に行われるかのいずれかである。触媒前駆体が予め還元炉内で活性化されている場合、それは反応器中に設置され、かつ水素圧下で水素化溶液が直接送り込まれる。
工程(b)の水素化排出物は、一般的に30〜90質量%の1,6−ヘキサンジオール、1〜10質量%の1,5−ペンタジオール、<5質量%の1,4−ブタンジオール、<5質量%の1,2−シクロヘキサンジオール、<5質量%の1,4−シクロヘキサンジオール、<5質量%のモノアルコール及び1〜50質量%のアジピン酸及び6−ヒドロキシカプロン酸のオリゴマー若しくはポリマーエステル(1,6−ヘキサンジオールと比べて高沸点物)の組成を有する。組成は、殊に水素化変換率の調整値に依存する(本発明により、40〜97%の間で、有利には50〜95%の間で調整されるべきである)。比較的高い水素化変換率は、本発明による方法において可能な限り大量の1,6−ヘキサンジオールが取得されることが予定される場合に調整される。比較的低い水素化変換率は、本発明による方法において可能な限り大量の純粋なε−カプロラクトンが製造されることが予定される場合に調整される。完全な水素化の場合には、6−ヒドロキシカプロン酸エステル全体が水素化されることになり、したがってε−カプロラクトンへの環化のための出発原料としてもはや利用可能ではなくなる。他方では、水素化工程及びその際に生じる1,6−ヘキサンジオールの引き続く蒸留分離が必要であり、なぜなら、このようにして1,2−シクロヘキサンジオールが環化反応前に効果的に一緒に除去され、それにより非常に純粋なかつ実際に1,2−シクロヘキサンジオール不含のε−カプロラクトンが取得されることができるからである(残存するエステル流中で1,2−シクロヘキサンジオール0.05質量%未満)。
本発明による方法の1つの実施形態においては、高い割合の1,6−ヘキサンジオールを含有する水素化排出物の一部が、直接又は蒸留精製後に、純粋な1,6−ヘキサンジオールの代わりにDCLのエステル化のために使用される。この方法の利点は、その他のジオール、例えば1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール(これらは部分的に副生成物を表す)が1,6−ヘキサンジオールを代用することにある。それによって、1,6−ヘキサンジオールの損失が減らされ、かつ後処理されるべき水素化流は減少する。
工程(b)の水素化排出物から、本発明による方法の蒸留工程(c)において、第一の塔内でジオール、例えば1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール及びさまざまの低沸点物が分離される。塔は1〜30段の理論段を有する。120〜250℃の塔底温度及び5〜500mbarの圧力で操作される。
この蒸留工程(c)からの塔頂生成物は、一般的に75〜95質量%の1,6−ヘキサンジオール、3〜10質量%の1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール及び1,4−シクロヘキサンジオール(それぞれ5質量%未満)、さらに5質量%までのモノアルコール、例えばn−ブタノール、n−ペンタノール及びn−ヘキサノール並びに5質量%未満の1,6−ヘキサンジオールと比べて沸点の高い成分を含有する。高い収率でのカプロラクトンの精製が上手くいくように、1,2−シクロヘキサンジオールを蒸留工程において塔頂生成物を介して分離することが重要である。
本発明による方法の1つの実施形態においては、蒸留工程(c)の塔頂生成物の一部がエステル化(工程(a))に返送される。この変形例は、1,6−ヘキサンジオール流の高い純度によってプロセスにおける生成物流が減少させられるという利点を有する。
本発明による方法の1つの実施形態においては、取得された留出物は第二の塔に供給され、そこで1,6−ヘキサンジオールの精密精製が行われる。その際、>97%の1,6−ヘキサンジオール純度が達成される。
蒸留工程(c)の塔底排出物は、水素化(工程(b))で変換されなかったエステル、殊に6−ヒドロキシカプロン酸及びアジピン酸と使用されたアルコールとのエステルを含有する。これらのエステルは、1,6−ヘキサンジオールと比べて高沸点物である。
蒸留工程(c)の塔底排出物は、ヘキサンジオールの残分を取得するために、場合により再び蒸留されることができる。その際、前と同じ条件下で再び1,6−ヘキサンジオール塔頂生成物が得られ(>95%の1,6−ヘキサンジオール)、これは前の塔頂生成物と合わせてよい。
塔底排出物は、より精確にメタノリシス(メタノールによる全てのエステルのエステル交換及び生じたメチルエステルの分析)によって分析することができ、それによれば(DCLエステル化のために1,6−ヘキサンジオールを使用した場合)次のように構成される:10〜40質量%の1,6−ヘキサンジオール(遊離して存在するか又はエステル化された形で)、10〜40質量%の6−ヒドロキシカプロン酸等価物(6−ヒドロキシカプロン酸は、例えば1,6−ヘキサンジオールとの6−ヒドロキシカプロン酸エステルとして塔底流中に含まれている)、1〜30質量%のアジピン酸等価物(アジピン酸は、例えば1,6−ヘキサンジオールとのアジピン酸エステルとして塔底流中に含まれている)、0.1〜3質量%の1,4−シクロヘキサンジオール、0.1〜10質量%のビス(6−ヒドロキシヘキシル)エーテル(遊離して存在するか又はエステル化された形で)、それらに加えて、さらには同定されなかったその他の高沸点物。1,2−シクロヘキサンジオールは、この流中で検出され得ない。
ε−カプロラクトンの高い純度にとって重要なことは、ヒドロキシカプロン酸エステルからの1,2−シクロヘキサンジオールの分離であり、なぜなら、これらの成分は共沸混合物を互いに形成するからである。(ε−カプロラクトンと比較して)高沸点のアルコールによるDCLのエステル化と、生じたエステルの接触水素化との本発明による組合せに従って−DCL中に含まれた1,2−シクロヘキサンジオールを1,6−ヘキサンジオールと一緒に、6−ヒドロキシカプロン酸エステルを含有する塔底留分から蒸留によりほぼ完全に分離できることは予測できなかった。これにより経済的にε−カプロラクトンを99%、有利には99.9%の純度で製造することが、DCLから出発して1,2−シクロヘキサンジオールを実質的に含まない(0.05質量%未満)6−ヒドロキシカプロン酸エステルの環化によって可能になる。
工程(c)からの塔底留分は、ε−カプロラクトンへと6−ヒドロキシカプロン酸エステルを環化するのに使用される。
環化(工程(d))は、触媒を用いてか又は触媒を用いずに行われる。触媒として、一般的に酸、殊にルイス酸を使用してよい。かかる触媒の例は、チタン−、ホウ素−、アルミニウム−、バナジウム−、鉄−、亜鉛−又はジルコニウム化合物である。有利なのはチタンテトラアルコキシドTi(OR)4であり、その際、Rは、1〜12個の炭素原子を有する脂肪族基又は芳香族基を表す。触媒は、0.01〜1.0質量%の量で用いてよい。
本発明による方法の液相中での環化(工程(d))には、塔(>1段〜30段の理論段)を備えた装置が使用され、これは連続的に又は不連続的に操作されることができる。180〜300℃の塔底温度及び5〜500mbarの圧力が用いられる。
留出物は、一般的に(ヘキサンジオールがエステル化アルコールとして使用される場合)40〜75%のヘキサンジオール、15〜50%のカプロラクトン、並びに1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、バレロラクトン(それぞれ<5%)を含有するが、しかし、1,2−シクロヘキサンジオールは含有しない。通常、塔底物中には、殊にヘキサンジオール及びビス(6−ヒドロキシヘキシル)エーテルとのアジピン酸エステル、並びに他の高沸点物、並びに使用環化触媒が残留する。塔底物は、利用可能なアジピン酸エステルの含有量に応じて返送又は灰化されることができる。
環化工程(d)の塔底排出物は、より精確にメタノリシスによって分析することができ、それによれば(ヘキサンジオールをエステル化アルコールとして使用した場合)次のように構成される:0〜30質量%の1,6−ヘキサンジオール(遊離して存在するか又はエステル化された形で)、0〜20質量%の6−ヒドロキシカプロン酸等価物(6−ヒドロキシカプロン酸は、例えば1,6−ヘキサンジオールとの6−ヒドロキシカプロン酸エステルとして塔底流中に含まれている)、1〜60質量%のアジピン酸等価物(アジピン酸は、例えば1,6−ヘキサンジオールとのアジピン酸エステルとして塔底流中に含まれている)、0〜1質量%の1,4−シクロヘキサンジオール、0.1〜30質量%のビス(6−ヒドロキシヘキシル)エーテル(遊離して存在するか又はエステル化された形で)、それらに加えて、さらには同定されなかったその他の高沸点物。
ε−カプロラクトンの蒸留精製(工程(e))は、本発明により1つ又は2つの蒸留塔内で行われることができる。それは不連続的にバッチ法で又は連続的に、側方抜き出し部を介して生成物を取り出すことにより行われることができる。2つの蒸留塔が使用される場合、一般的に第一の塔で低沸点物が分離され、そして第二の塔で高沸点物が分離される。通常、蒸留は1〜30段の理論段を有する塔で行われる。一般に、100〜250℃の塔底温度及び5〜500mbarの圧力が用いられる。低沸点物(1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、バレロラクトン)の分離後、1,2−シクロヘキサンジオールを含まない(0.1質量%未満)ε−カプロラクトンが良好な純度で得られる。この方法は、99.9%を超える純度でのカプロラクトンの製造を可能にする。塔底留分中には、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール及び他の高沸点物が残留する。必要な場合、塔底物からさらに1,6−ヘキサンジオールが取得されることができる。
本発明は、以下の工程:
a)DCLをアルコールでエステル化する工程、
b)工程a)から得られたエステル混合物を接触部分水素化する工程、
c)工程b)から得られた水素化排出物を蒸留し、かつ該蒸留に際して1,6−ヘキサンジオールを含んだ塔頂生成物を分離する工程、並びに
d)工程c)の塔底留分からの6−ヒドロキシカプロン酸エステルを、使用される圧力範囲内でε−カプロラクトンの沸点より高い沸点を有する少なくとも1種のアルコールの存在下で環化する工程を包含し、その際、このアルコールは遊離しているか又は有利には塔底留分のエステルの構成成分としても結合して存在している、ジカルボン酸溶液(DCL)から1,6−ヘキサンジオール及びε−カプロラクトンを製造する方法に関する。
本発明による方法のエステル化(工程(a))のためのアルコールは、この場合、10〜1500mbarの圧力範囲内でε−カプロラクトン(例えば20mbarで96〜97℃又は1013mbarで235℃)より沸点が高いアルコール、並びにそれらの混合物又はかかるアルコールを含有する(有利には少なくとも30質量%の割合で、特に有利には少なくとも50質量%の割合で)組成物である。かかるアルコール含有組成物は、例えば工程(b)の水素化排出物又はジオール混合物であり、これらは引き続く蒸留(工程(c))に際して塔頂生成物として分離されることができる。その際、モノアルコール並びにジオール及び他の多価アルコールが使用されることができる。特に適しているのは、多価アルコール、殊にジオール、殊に6〜12個の炭素原子を有するα,ω−ジオールである。特に有利なのは1,6−ヘキサンジオールであり、なぜなら、このエステル化アルコールは本発明による方法の目標生成物に相当するからである。この種のアルコールの例は、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1−トリデカノール、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、1−オクタデカノール、1−エイコサノール、ブチルエチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ビス(6−ヒドロキシヘキシル)エーテルである。
殊に本発明は、以下の工程:
a)DCLをアルコールでエステル化する工程、
b)工程a)から得られたエステル混合物を接触部分水素化する工程、
c)工程b)から得られた水素化排出物を蒸留し、かつ該蒸留に際して1,6−ヘキサンジオールを含んだ塔頂生成物を分離する工程、並びに
d)工程c)の塔底留分からの6−ヒドロキシカプロン酸エステルを、使用される圧力範囲内でε−カプロラクトンの沸点より高い沸点を有する少なくとも1種のアルコールの存在下で環化する工程を包含し、その際、このアルコールは遊離しているか又は有利には塔底留分のエステルの構成成分としても存在しており、かつε−カプロラクトンの沸点より高い沸点を有するアルコールをすでにエステル化工程でエステル化アルコールとしてプロセスに導入する、ジカルボン酸溶液(DCL)から1,6−ヘキサンジオール及び非常に純粋なε−カプロラクトンを製造する方法に関する。
本発明による方法のエステル化(工程(a))のためのアルコールは、この場合、10〜1500mbarの圧力範囲内でε−カプロラクトン(例えば20mbarで96〜97℃又は1013mbarで235℃)より沸点が高いアルコール、並びにそれらの混合物又はかかるアルコールを含有する(有利には少なくとも30質量%の割合で、特に有利には少なくとも50質量%の割合で)組成物である。かかるアルコール含有組成物は、例えば工程(b)の水素化排出物又はジオール混合物であり、これらは引き続く蒸留(工程(c))に際して塔頂生成物として分離されることができる。その際、モノアルコール並びにジオール及び他の多価アルコールが使用されることができる。特に適しているのは、多価アルコール、殊にジオール、殊に6〜12個の炭素原子を有するα,ω−ジオールである。特に有利なのは1,6−ヘキサンジオールであり、なぜなら、このエステル化アルコールは本発明による方法の目標生成物に相当するからである。この種のアルコールの例は、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1−トリデカノール、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、1−オクタデカノール、1−エイコサノール、ブチルエチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ビス(6−ヒドロキシヘキシル)エーテルである。
殊に本発明は、以下の工程:
a)DCLを低沸点アルコールでエステル化する工程、
b)工程a)から得られたエステル混合物を接触部分水素化する工程、
c)工程b)から得られた水素化排出物を蒸留し、かつ該蒸留に際して1,6−ヘキサンジオールを含んだ塔頂生成物を分離する工程、並びに
d)工程c)の塔底留分からの6−ヒドロキシカプロン酸エステルを、使用される圧力範囲内でε−カプロラクトンの沸点より高い沸点を有する少なくとも1種のアルコールの存在下で環化する工程を包含し、その際、このアルコールは遊離しているか又は有利には塔底留分のエステルの構成成分としても結合して存在しており、かつ工程(b)での水素化及び/又は工程(c)での蒸留を、水素化の際に生じる1,6−ヘキサンジオールによりエステル交換反応に従って工程(a)からの比較的低沸点のエステル化アルコールの置換を可能にする条件下で実施する、ジカルボン酸溶液(DCL)から1,6−ヘキサンジオール及び非常に純粋なε−カプロラクトンを製造する方法に関する。かかる条件は、例えば、工程(b)での水素化のために酸点若しくは塩基点を有する水素化触媒の使用、少量の酸若しくは塩基の存在(蒸留段階(c)への供給部において少なくとも0.01、有利には0.01〜5の酸価若しくは塩基価)、並びに/又は工程(b)の水素化及び/若しくは工程(c)の蒸留に際してのエステル交換触媒の存在である。
適したエステル交換触媒は、例えば、水素化工程(b)の際に1〜1000ppm、有利には5〜500ppm、特に有利には10〜300ppmの供給量を基準とした量の、若しくは蒸留工程(c)の際に1〜5000ppm、有利には5〜3000ppm、特に有利には10〜2000ppmの供給量を基準とした量のナトリウムメトキシド又はチタネート、例えばテトラ−n−ブチルチタネートである。本発明による方法のエステル化(工程(a))のためのアルコールは、この場合、1〜30個の炭素原子を有する個々のアルコールであり、有利なのは、10〜1500mbarの圧力範囲内でε−カプロラクトン(20mbarで96〜97℃及び1013mbarで235℃)より沸点が低いアルコール、並びにそれらの混合物又はかかるアルコールを含有する(有利には少なくとも30質量%の割合で、特に有利には少なくとも50質量%の割合で)組成物である。特に有利なのは、エステル化アルコールとしてのメタノールである。
エステルの接触部分水素化(本発明による方法の工程(b))は、有利には、水素化変換率が、40〜97%、有利には50〜95%の範囲で達成されるように調整している。
本発明による方法の環化(工程(d))は、1段より多い理論段を有する塔を備えた装置において液相中で行われる。
本発明による方法のDCLは、
I)シクロヘキサンを酸素又は酸素含有ガスで酸化して、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン及び6個までの炭素原子を有するカルボン酸から成る混合物を得て、並びに
II)工程(I)に従って得られた反応混合物を水と反応させ、DCLを液状の二相反応混合物から分離する
ことによって得られる。
本発明による方法の水素化工程(b)のための有利な触媒は、以下の工程
(i)酸化銅、酸化アルミニウム、及びランタン、タングステン、モリブデン、チタン、ジルコニウム又は鉄の酸化物の少なくとも1種を含有する酸化物材料を準備する工程、
(ii)工程(i)からの酸化物材料に粉末状の金属銅、銅フレーク、粉末状のセメント、グラファイト又は混合物を添加する工程、及び
(iii)工程(ii)から生じる混合物を成形体へと形作る工程
を包含する製造法によって得られる。
かかる触媒が、長い反応時間にわたって供給物としてのオリゴエステル及び残存酸価を使用した場合に、高い活性と同時に高い側方圧縮強さひいては高い機械的強度を維持することは予測できなかった。
本発明による方法の1つの変形例においては、用いられるDCLはまず、その中に含まれる5−ホルミル吉草酸及び場合により6−ヒドロペルオキシカプロン酸が6−ヒドロキシカプロン酸に、そして1,4−シクロヘキサンジオン及び4−ヒドロキシシクロヘキサノンが1,4−シクロヘキサンジオールに変換されるように水素化される。
本発明による方法の1つの変形例においては、1,6−ヘキサンジオールは、工程(c)の蒸留の塔頂留分から蒸留によりさらに精製される。
本発明による方法の1つの変形例においては、ε−カプロラクトンは、工程(d)の留出物から蒸留によってさらに精製される(工程(e))。
本発明による方法により、経済的に、DCL、シクロヘキサン酸化の廃棄物、1,6−ヘキサンジオール及び非常に純粋なε−カプロラクトン(少なくとも99%、有利には少なくとも99.9%の純度)の製造が可能になる。
本発明による方法の場合、各工程段階の塔底生成物は、続く工程の出発原料として使用されるので、有価材料の損失又は煩雑な回収が回避される。
そのうえまた、本発明による方法は、ある程度、水素化転換率を変化させることによってε−カプロラクトンと1,6−ヘキサンジオールとの生成物比を調節することが可能である。
図の説明
図は、本発明による方法を具体的に示す。用いたジカルボン酸溶液(DCL)を、有利には高沸点アルコール(ROH)、例えば1,6−ヘキサンジオール(HDO)と一緒に、かつ低沸点物(LS)及び水の分離下でエステル化し(工程(a))、引き続き水素(H2)の添加下で接触部分水素化する(工程(b))。次いで水素化排出物から、1,6−ヘキサンジオール(HDO)、低沸点物及び後のε−カプロラクトンの精製に際して妨げとなる1,2−シクロヘキサンジオールを分離する(工程(c))。そのようにして分離した1,6−シクロヘキサンジオールはさらに精製することができる。蒸留(工程(c))の塔底留分を、続く環化(工程(d))において、場合により環化触媒の添加後にさらに処理する。塔頂留分からε−カプロラクトン(CLO)を取得し、これは蒸留(工程(e))により低沸点物(LS)及び高沸点物の分離下でさらに非常に純粋なε−カプロラクトン(CLO)へと精製することができる。工程(d)の高沸点留分(HS)は、場合により水素化工程(b)に返送することができる。工程(b)及び/又は(c)からのアルコール含有留分の一部を、場合により更なる精製後に、工程(a)でのDCLのエステル化のために使用することができる。
本発明による方法を具体的に示す図
実施例
例1:
1.ジカルボン酸−ヘキサンジオール混合物のブレンド
使用したジカルボン酸溶液(DCL)は、空気によるシクロヘキサンの酸化により発生した反応排出物の水抽出によって得ていた。エステル化のために使用した1,6−ヘキサンジオールを含有するジオール混合物は、オリゴエステル及びポリエステル水素化の水素化排出物から(ジオールと比べて)高沸点物及び低沸点物の蒸留分離によって製造した(ステップ4a及び4bを参照されたい)。なかでもアジピン酸(ADS、21.6質量%)、6−ヒドロキシカプロン酸(HCS、14.5質量%)及び水(48質量%)を含有し、部分的にオリゴマーの形の(オリゴヒドロキシカプロン酸、アジピン酸単位とヒドロキシカプロン酸単位とから成るオリゴマー)DCL(酸価:268mg KOH/g)209kgに、1,6−ヘキサンジオールを含有するジオール混合物94kgを添加した。このヘキサンジオールを含有するジオール混合物は、なかでも1,6−ヘキサンジオール(約83質量%)、1,5−ペンタンジオール(約8質量%)、並びに1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール及び1,2−シクロヘキサンジオール(それぞれ<2質量%)を含有していた。
2.オリゴマーエステル混合物の製造(処理工程(a))
ステップ1のDCL−ヘキサンジオール混合物を、連続的に蒸発器(脱水ステップ、150℃、周囲圧力)に275g/hの流量にて配量した。その際、水と低沸点成分を留去した(127g/h)。塔底排出物を、引き続き5段の撹拌槽カスケードに移し(180g/h、220℃、1〜1.4bar(絶対))、そこでほぼ完全な変換に達するまでエステル化を行った(酸価:6mg KOH/g、98%の変換率に相当)。エステルカスケードにおいて同様に低沸点成分を留去し(14g/h)、これを脱水プロセスに返送した。塔底排出物として、初めに供給していたカルボン酸誘導体とジオールのエステルを主として含有するオリゴマー混合物を得た(156g/h、供給流全体を基準とした質量収率57%、エステル価:348mg KOH/g)。
3.オリゴマーエステル混合物の水素化(処理工程(b))
ステップ2のオリゴマーエステルに60ppmのナトリウムメトキシドを混ぜ、引き続き連続的にCu触媒上で水素化した。触媒はWO2007/6719の例3に従って製造かつ活性化した。
反応器系は、主反応器(管型反応器、400mL、触媒600g)と後反応器(管型反応器、100mL、触媒150g)から成っていた。水素化供給物は、ダウンフローモードで固定床触媒に通した。水素化の際に発生する熱を除去するために、主反応器は液体を循環させて操作し、後反応器はシングルパスで操作した。
水素化反応器は240℃及び255bar(H2)で600時間操作した。250g/hの供給量の場合(触媒負荷量:0.63kgL-1-1、主反応器)、93%の変換率が達成された(エステル価:24mg KOH/g)。水素化排出物を引き続き容器中で周囲圧力に減圧し、かつ周囲温度に冷却した。1,6−ヘキサンジオールの含有率が71質量%である排出物が得られた。水素化は92%の収率で1,6−ヘキサンジオールを生じる形で行われた(該収率は、DCL中に存在し、水素化によって1,6−HDOを生ずることができるC6成分を基準とする:6−ヒドロキシカプロン酸、6−オキソカプロン酸(5−ホルミル吉草酸)、アジピン酸及びジヒドロムコン酸)。
1,6−ヘキサンジオールの含有率をガスクロマトグラフィーにより調べた:DB−5(Aglient J&W)、30m×0.2mm×1μm;温度プロファイル:60℃(5分)〜220℃(16℃/分、10分)〜260℃(20℃/分、21分)〜290℃(20℃/分、10分)。ジエチレングリコールジメチルエーテル(DEGDME)を内部標準として使用し、tR(DEGDME)=8.8分、40tR(1,6−ヘキサンジオール)=11.8分であった。
4a.水素化排出物からの高沸点物の分離(方法ステップ(c))
塔(DN50、内部構造物1m、織物充填物750m2/m3)が取り付けられた蒸留釜に、ステップ3の水素化排出物(38kg)を蒸留により分離した。50mbar及び178℃の塔底温度で、塔頂生成物32kgが得られ(還流比1:1)、これは81質量%の1,6−ヘキサンジオールを含有していた(それに加えて8質量%のペンタンジオール、2質量%の1,2−シクロヘキサンジオール、1.4質量%の1,4−シクロヘキサンジオール、その他7質量%)。さらに6kgの塔底生成物が生じ、これはガスクロマトグラフィーによれば33質量%の1,6−ヘキサンジオール、並びにアジピン酸エステル及びヒドロキシカプロン酸エステル(定量化しておらず)を含有していた。
4b.高沸点物の濃縮
塔(DN50、内部構造物1m、織物充填物750m2/m3)が取り付けられた蒸留釜に、ステップ4aの塔底排出物(1.7kg)を蒸留により濃縮した、その際、20mbar及び220℃の塔底温度(還流比17:1)で、95%を超えるヘキサンジオール割合を有する塔頂生成物0.54kgを得た。塔底生成物として、1.16kgの濃縮された高沸点物を得た。ガスクロマトグラフィーによれば、この流はさらに9%のヘキサンジオールを含有していた。
この流のメタノリシスによって組成をより精確に測定した:そのために、塔底排出物15gにメタノール150ml及びテトラ−n−ブチルチタネート0.05gを混ぜ、そして300mlのオートクレーブ中で170℃に6時間加熱した。1,6−ヘキサンジオール(HDO)、6−ヒドロキシカプロン酸メチルエステル(HCSMe)、アジピン酸ジメチルエステル(ADSDMe)、1,2−シクロヘキサンジオール(1,2−CHDO)及び1,4−シクロヘキサンジオール(1,4−CHDO)の含有量をガスクロマトグラフィーにより測定した(DB−5、30m×0.23mm×1μm、60℃(5分)〜220℃(16℃/分、10分)〜260℃(20℃/分、10分);内部標準としてジエチレングリコールジメチルエーテル、保持時間 1,2−CHDO:10.8分;1,4−CHDO:11.1分及び11.2分、HDO:11.5分;HCSMe:12.1分;ADSDMe:12.6分;DiHDO:19.2分)。それに従って、用いた試料は、22.7質量%のHDO、14.2質量%の6−ヒドロキシカプロン酸(HCS)、8.9質量%のアジピン酸(ADS)、0.6質量%の1,4−CHDO及び7.2質量%のDiHDOを含有していた。1.2−CHDOは、この留分中に検出されなかった。
5.環化(処理工程(d))
ステップ4bで発生した塔底流(501g)を、蒸留塔の塔底容器中に加え(30cm、5×5mmのガラスラシヒリングで充填)、そして1gのテトラ−n−ブチルチタネートを混ぜた。30mbarで初めに180℃の塔底温度を調整し、該温度は蒸留期間の増大とともに連続的に270℃にまで高めた(還流比50:10)。以下の成分を含有する、198gの塔頂生成物を全体で得た:4質量%のペンタンジオール、1質量%のδ−バレロラクトン、1質量%の1,4−シクロヘキサンジオール、55質量%の1,6−ヘキサンジオール、30質量%のε−カプロラクトン。これは、用いた流中に含まれるヒドロキシカプロン酸単位を基準として97%のε−カプロラクトン収率に相当し、かつ用いたヘキサンジオール単位を基準として96%の1,6−ヘキサンジオール収率に相当する。留出分中で1,2−シクロヘキサンジオールは検出可能ではなかった。
塔底排出物として271gを得た。メタノリシスによれば(ステップ4bと同じ)、この排出物はさらに0.5質量%の1,6−ヘキサンジオール、0.4質量%のヒドロキシカプロン酸、13.9質量%のアジピン酸及び12.5質量%のビス−(6−ヒドロキシヘキシル)エーテルを含有していた。1,2−及び1.4−シクロヘキサンジオールはこの留分中で検出可能ではなかった。
6.ε−カプロラクトンの精製蒸留
ε−カプロラクトンを含有する、ステップ5で発生した留出物を、蒸留塔の塔底容器中に加えた(1m、5×5の金属ラシヒリングで充填)。混合を、10mbar及び145℃の塔底温度で実施した(還流比20:10)。前留出物(20質量%のε−カプロラクトン割合)30gの抜き出し後、主留分を150〜155℃の塔底温度で取り出した(41g、ε−カプロラクトン割合99.9%、残分バレロラクトン)。続けて蒸留を完了した。必要であれば、塔底中に残留していたヘキサンジオールを留去することが可能であった。
例2:EP883591A1に記載された方法("変形E")と類似した比較例:
ヘキサンジオールでエステル化したDCL流からの環化
例1のステップ2と同じように取得したエステル混合物(メタノリシスによれば、0.2質量%の1,2−シクロヘキサンジオール、1.6質量%の1,4−シクロヘキサンジオール、45.4質量%のヘキサンジオール、17.7質量%の6−ヒドロキシカプロン酸等価物、20.0質量%のアジピン酸等価物)707gを、1mの蒸留塔(5×5mmのワイヤーメッシュ状リングで充填された)の塔底容器中に注入し、かつチタネートを添加せずに20mbar及び200〜246℃の塔底温度で蒸留した(還流比10:1)。以下の組成を有する留出物65gを得た:1.0質量%の1,2−シクロヘキサンジオール、5.4質量%の1,4−シクロヘキサンジオール、22質量%のヘキサンジオール、44質量%のカプロラクトン。それに加えて、さらに詳しくは同定しなかった一連の副生成物を検出した。
そのため、第一の蒸留ステップにおいては、用いた1,2−シクロヘキサンジオール46%、用いた1,4−シクロヘキサンジオール31%、ヘキサンジオール4%及びカプロラクトン26%を留去した。
残留していた塔底物に0.5gのテトラ−n−ブチルチタネートを加え、再び20mbar及び210〜255℃の塔底温度で蒸留した(還流比10:1)。その際、以下の組成を有する、154gの塔頂生成物を全体で得た:0.4質量%の1.2−シクロヘキサンジオール、2.1質量%の1,4−シクロヘキサンジオール、29質量%のヘキサンジオール、44質量%のカプロラクトン。それに加えて、さらに詳しくは同定しなかった一連の副生成物を検出した。
そのため、第二の蒸留ステップにおいては、1,2−シクロヘキサンジオール量44%、1,4−シクロヘキサンジオール量29%、ヘキサンジオール量14%及びカプロラクトン量63%を留去した。
つまり、この場合、カプロラクトンの高い純度を達成し得るように1,2−シクロヘキサンジオールを実際のカプロラクトン取得前に蒸留により分離することには成功しなかった。
ROH 高沸点アルコール、 HDO 1,6−ヘキサンジオール、 DCL ジカルボン酸溶液、 LS 低沸点物、 HS 高沸点物、 CLO ε−カプロラクトン

Claims (16)

  1. 1,6−ヘキサンジオール及びε−カプロラクトンの製造法であって、
    以下の工程:
    a)DCLをアルコールでエステル化する工程、
    b)工程a)から得られたエステル混合物を接触部分水素化する工程、
    c)工程b)から得られた水素化排出物を蒸留し、かつ該蒸留に際して1,6−ヘキサンジオールを含んだ塔頂生成物を分離する工程、
    d)工程c)の塔底留分からの6−ヒドロキシカプロン酸エステルを、使用される圧力範囲内でε−カプロラクトンの沸点より高い沸点を有する少なくとも1種のアルコール、その混合物又はかかるアルコールを含有する組成物の存在下で環化する工程、ここで、このアルコールは遊離しているか又は該塔底留分のエステルの構成成分としても結合している、並びに
    e)ε−カプロラクトンを工程(d)の留出物から蒸留によって精製する工程
    を包含し、その際、工程(d)での該環化を、二段以上の理論段数を有する塔を備えた装置において液相中で実施する、前記製造法。
  2. 工程(d)での前記6−ヒドロキシカプロン酸エステルの環化を、使用される圧力範囲内で前記ε−カプロラクトンの沸点より高い沸点を有する少なくとも1種のアルコールの存在下で
    実施し、その際、このアルコールが前記塔底留分のエステルの構成成分として結合している、請求項1記載の方法。
  3. 工程(a)での前記エステル化を、10〜1500mbarの圧力範囲内でε−カプロラクトンより沸点が高いアルコール、その混合物又はかかるアルコールを含有する組成物を用いて実施する、請求項1又は2記載の方法。
  4. 工程(a)での前記エステル化のために使用されるアルコールが、多価アルコール、殊にジオールであることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. 工程(b)の前記水素化排出物の一部を、アルコールを含有する組成物として、工程(a)での前記DCLのエステル化のために使用することを特徴とする、請求項3又は4記載の方法。
  6. 工程(c)での前記蒸留からの塔頂生成物として取得される、前記アルコールを含有する組成物の一部を、工程(a)での前記DCLのエステル化のために使用することを特徴とする、請求項3から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. 1,6−ヘキサンジオールを、工程(a)での前記DCLのエステル化のために使用することを特徴とする、請求項3から6までのいずれか1項記載の方法。
  8. 工程(a)での前記エステル化を、10〜1500mbarの圧力範囲内でε−カプロラクトンの沸点より低い沸点を有するアルコール、その混合物又はかかるアルコールを含有する組成物を用いて実施し、並びに
    工程(b)での前記水素化及び/又は工程(c)での前記蒸留を、前記水素化に際して生じる1,6−ヘキサンジオールによりエステル交換反応に従って工程(a)からの、より低い沸点の前記エステル化アルコールの置換を可能にする条件下で実施する、請求項1又は2記載の方法。
  9. 前記エステル交換反応を可能にする条件が、
    酸点又は塩基点を有する水素化触媒の工程(b)での使用、
    蒸留段階への供給部において少なくとも0.01の酸価若しくは塩基価を生じさせる量の工程(c)での酸又は塩基の存在、並びに/又は
    少なくとも1ppmの供給量を基準とした量の工程(b)及び/又は(c)でのエステル交換触媒の存在である、請求項8記載の方法。
  10. 工程(b)での前記部分水素化を、40〜97%の範囲の水素化変換率が達成されるように調節する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
  11. 前記DCLを、
    I)シクロヘキサンを酸素又は酸素含有ガスで酸化して、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン及び6個までの炭素原子を有するカルボン酸から成る混合物を得て、並びに
    II)工程(I)に従って得られた反応混合物を水と反応させ、そして前記DCLを液状の二相反応混合物から分離する
    ことによって取得する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
  12. 工程(c)の前記蒸留の塔頂留分からの前記1,6−ヘキサンジオールを蒸留によりさらに精製する、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
  13. 前記アルコールを含有する組成物が、少なくとも30質量%の割合で、前記相応するアルコールから成る、請求項1又は請求項3から12までのいずれか1項記載の方法。
  14. 工程(a)からの前記エステル化混合物の工程(b)での前記水素化を、触媒成形体の存在下に液相中で水素化し、その前駆体を、
    (i)酸化銅、酸化アルミニウム、及びランタン、タングステン、モリブデン、チタン、ジルコニウム又は鉄の酸化物の少なくとも1種を含有する酸化物材料を準備し、
    (ii)工程(i)からの該酸化物材料に粉末状の金属銅、銅フレーク、粉末状のセメント、グラファイト又は混合物を添加し、並びに
    (iii)工程(ii)から生じる混合物を成形体へと形作る
    ことによって得る、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
  15. 工程(a)での前記エステル化を触媒の添加なしに実施する、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
  16. 工程(c)で1,2−シクロヘキサンジオールを塔頂より分離する、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
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