JP5103749B2 - 吸着素子および調湿用空調装置 - Google Patents

吸着素子および調湿用空調装置 Download PDF

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Description

本発明は、吸着素子および調湿用空調装置に関するものであり、詳しくは、調湿空調用のデシカントロータ等に使用されるハニカム構造の吸着素子ならびに当該吸着素子を利用した調湿用空調装置に関するものである。
吸着剤を担持させたハニカム構造の吸着素子を使用し、吸着材の吸着、脱着機能により空気を除湿したり加湿したりする調湿技術が種々提案されている。例えば、ハニカム構造の吸着素子は、工場などの除湿やビル等の除加湿、家庭用除湿機、自動車などの車輌室内における除加湿にも利用可能である。そして、上記の様な調湿技術においては、吸着素子の利用分野の多様化に伴い、空気質の観点から、臭気が重要な問題となる。
上記の調湿技術における臭気の問題としては、吸着素子に水滴が付着して臭気を発生させるケースが挙げられる。例えば、除湿する場合にプレクールを行うことにより相対湿度を上げて除湿効率を高める運転方法があるが、プレクールを行う熱交換器に結露した水が高速気流に同伴して吸着素子に付着し、臭気が発生することがある。また、吸着素子の温度が露点以下になった場合も、結露した水が付着して臭気が発生することがある。
自動車の空調臭に関する研究では、不快臭との関連で特に重要な因子は湿度であるとされており、無機粉末の臭いについて湿度の影響が調べられている。これによると、乾いた無機粉末は殆ど無臭であるが、湿った無機粉末は埃臭などが発現するとされている。また、「湿度が高いと数ランク上の不快臭として人のセンサは感じる」と報告されており、その原因として「これは、センサが水溶性被膜により覆われていることやさまざまな化学物質や粒子が水分により運び出されている影響と考えている」とされている。通常、ハニカム構造の吸着素子は無機繊維で作製されているため、吸着素子に水滴を付着させた場合に発生する臭気の原因としては、湿った無機粉末が飛散してヒトの鼻空孔内に侵入し、臭気として感知されると考えられている。そして、上記の研究では、無機粉末の一例として「ほこり」が挙げられている(非特許文献1)。
一般に、吸着素子は、吸着材とバインダーとハニカム等の担体から成り、吸着材が有機テンプレートを使用して合成されたゼオライト類である場合、有機テンプレートを除去せずにハニカム体に吸着剤を固着させ、最後に焼成を行って製造される。そして、焼成工程においては、吸着剤を固着させたハニカム体を400〜600℃で焼成している。斯かる吸着素子の製造方法は、工程を削減できると言う点において好ましい方法である(特許文献1)。
空気調和・衛生工学,第79巻第1号第21〜26頁,図3 特開2005−23813号公報
ところで、上記の様に、ハニカム体を焼成して製造される吸着素子は、実際、水滴が付着した場合などにこれを通過した空気に臭気が含まれることがあり、その対策が望まれている。本発明は、斯かる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、臭気の発生を抑制し得るハニカム構造の吸着素子を提供することにあり、また、臭気を発生させることなく除湿および加湿が可能な調湿空調装置を提供することにある。
本発明者等は、上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、ハニカム構造の吸着素子に水滴を付着させた場合に発生する臭気は、湿った無機粉末に由来するものではないことを実験により確認し、更に種々検討の結果、前記の臭気は、微量の有機物によるものであるとの知見を得た。
具体的には、湿った無機粉末に由来するとの従来の知見に基づき、0.5ミクロン以上の粒子量が計測可能なレーザーパーティクルカウンターで計測したところ、素子に水滴を付着させた場合に発生する臭気に相当する微粒子は検出されなかった。一方、ハニカム構造の吸着素子は、製造時の最終的な焼成操作により、有機物が概ね除去されるが、通常は焼成条件などを詳細に管理することがないため、少量の有機物が残存している可能性はある。そこで、水滴を付着させた場合のハニカム吸着素子の水滴付近の空気をGC−MSで分析したところ、実際、有機物が検出された。焼成後に残存する有機物の量は炭素原子の量を分析することにより定量化できる。そして、残存する炭素原子の量からして、残存する有機物は、有機テンプレート、バインダーに含まれる有機物、ハニカム体を形成させるときに使用する接着剤、ハニカム体自体に含まれる有機物と考えられる。
吸着素子中の少量の有機物については、除加湿性能を極端に低下させることがないため、これまで焼成後の残存量を詳細に調べることはなく、また、仮に少量の有機物が残存していたとしても、それが臭気の原因であるとの認識はかった。これに対し、本発明者らは、水滴を付着させたハニカム吸着素子から有機物が発生していることを初めて確認し、臭気の原因はハニカム吸着体に含まれる有機物であるとの知見を得た。そして、斯かる知見に基づき、素子中の炭素原子の量を低減することにより、吸着素子における臭気の発生を抑制する様にした。
すなわち、本発明の第1の要旨は、吸着素子を使用して構成され、当該吸着素子に水滴が付着することによって発生する臭気を抑制する調湿用空調装置であって、吸着素子がハニカム体に吸着材をバインダーにより固着させて成る素子であり、吸着材が有機テンプレートを使用して合成されたゼオライト又はメソポーラスシリカであり、素子中の炭素原子の量が当該素子に対して0.5wt%以下であることを特徴とする調湿用空調装置に存する。
また、本発明の第2の要旨は、吸着材がIZAが定める構造のコードでAFI、AFX、BEA、CFI、CHA、CON、DDR、DON、EMT、EUO、FER、GON、IFR、ISV、ITE、LEV、MEL、MFI、MOR、MTF、MTT、MTW、NES、MWW、RUT、SFE、SFF、STF、STT又はTONで示されるアルミノシリケートである上記の調湿用空調装置に存する。
更に、本発明の第3の要旨は、吸着材がIZAが定める構造のコードでAEI、AEL、AET、AFI、AFN、AFR、AFS、AFT、AFX、APC、AST、ATO、ATS、CHA、ERI、LEV、又はVFIで示されるアルミノフォスフェートである上記の調湿用空調装置に存する。
また、本発明の第4の要旨は、吸着素子が、有機テンプレートを含有する吸着材をバインダーによりハニカム体に固着させ、当該ハニカム体を500〜850℃で焼成して成る素子である上記の調湿用空調装置に存する。
本発明によれば、従来技術では解決できなかった、水滴が付着した場合に発生する臭気が抑制され、臭気の発生が無い除湿や加湿などの調湿が可能となる。また、本発明の吸着素子は、ロータの形状などに形成でき、そして、調湿の他、脱臭や触媒反応用などにも使用でき、斯かる用途においても臭気の発生を抑制することが出来る。
本発明の吸着素子は、担体としてのハニカム体に吸着材をバインダーにより固着させて構成される。そして、本発明に適用される吸着材としては、有機テンプレートを使用して合成されたゼオライト又はメソポーラスシリカが挙げられる。本発明において、ゼオライトとは、アルミノシリケート又はアルミノフォスフェートであり、これらについては後述する。また、メソポーラスシリカは規則的細孔構造を有し、その中でも、アルミノフォスフェートが好ましい。吸着材の大きさ(粒径)は、通常は0.1〜300ミクロン、好ましくは0.5〜100ミクロン、更に好ましくは1〜50ミクロン、より一層好ましくは2〜20ミクロンである。
ゼオライトの構造は、素子の一部を粉砕して粉末X線回折を行い、その回折パターンを例えばゼオライトのXRDのデータ集であるInternational Zeolite Association(以下、「IZA」と言う。)の「Collection of Simulated XRD Powder Patterns for Zeolites 3rd.editon (ELSEVIER,1996)」で照合することにより特定できる。更に、アルミノシリケートとアルミノフォスフェートとは元素分析を行うことにより判別できる。また、規則的細孔構造を持つメソポーラスシリカの場合の簡便な判定方法としては、一般的に使用されるCuKα線による粉末X線回折を行い、2θが5度未満の領域で最大ピークが現れたものをメソポーラスシリカとする判定方法が挙げられる。
有機テンプレートを使用して合成されるアルミノシリケートとしては、IZAが定める構造のコードで、例えば、AFI、AFX、BEA、CFI、CHA、CON、DDR、DON、EMT、EUO、FER、GON、IFR、ISV、ITE、LEV、MEL、MFI、MOR、MTF、MTT、MTW、NES、MWW、RUT、SFE、SFF、STF、STT、TON等で示されるものが挙げられる。中でも、吸着特性、耐久性の点から、BEA、CHA、DDR、FER、LEV、MEL、MFI、MOR、MTW、MWWが好ましい。
上記のゼオライトは、例えば「ゼオライトの科学と工学(講談社版,2000年)」に一般的な製造方法が記載されており、シリカ源(珪酸ナトリウム、コロイダルシリカ、fumedシリカ、シリカアルコキシド等)、アルミナ源(水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、アルミニウムアルコキシド、水和アルミナ、擬ベーマイト等)、更に必要に応じて骨格を形成させるための他の金属源、必要に応じて添加される鉱化剤(アルカリ金属の水酸化物、フッ化物)、構造規定剤とも呼ばれる有機テンプレート、および、水から成る反応混合物をオートクレーブに仕込み、所定温度(通常は250℃以下)で加熱することにより合成される。通常、細孔内に含まれる有機テンプレートは焼成により除去される。
アルミノシリケートを製造する場合、有機テンプレートとしては、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムブロマイドなどの4級アンモニウム塩、モルホリン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリエタノールアミン、ピペリジン、シクロヘキシルアミンなどの1級アミン、2級アミン、3級アミン、ポリアミン等が使用される。なお、上記のゼオライトを合成するために使用する有機テンプレートは、IZAのホームページから容易に調べることが出来るが、その他に、「Molecular Sieves Science and Technology,volume1(Sringer,1998)」の第44〜46頁の「Table2a」及び「2b」、第53頁の「Table7」等に例示されている。
本発明に適用されるアルミノフォスフェート(以下、「AlPO」と適宜略記する。)は、IZAの定める結晶性アルミノフォスフェートである。結晶性アルミノフォスフェートは、骨格構造を構成する原子がアルミニウム及びリンであり、その一部が他の原子で置換されていてもよい。中でも、I)アルミニウムがヘテロ原子(Me1:但し、Me1は周期表第三または第四周期に属し、2A族、7A族、8族、1B族、2B族、3B族(Al除く)の元素から選ばれる少なくとも一種類の元素を示す。)で一部置換されたMe−アルミノフォスフェート、II)リンがヘテロ原子(Me2:但し、Me2は周期表第三または第四周期に属する4B族元素)で置換されたMe−アルミノフォスフェート、あるいは、III)アルミニウムとリンの両方がヘテロ原子(それぞれMe1、Me2)で置換されたMe−アルミノフォスフェートが吸着特性の点から好ましい。
ここで、骨格構造を構成しているMe、Al及びPの構成割合(モル比)は、通常、以下の式(1−1)〜(3−1)に示すモル比であり、好ましくは、以下の式(1−2)〜(3−2)に示すモル比である。xが以下の式の範囲より小さいと、吸着質の圧力が低い領域において吸着量が小さくなったり、合成が困難になる傾向があり、以下の式の範囲より大きいと、合成時に不純物が混入し易いと言う傾向がある。また、y、zが以下の式の範囲外の場合は合成が困難である。
上記のMeは、1種でもよいし、2種以上含まれていてもよい。好ましいMe(Me1、Me2)は、周期表第3、第4周期に属する元素である。
Me1は、好ましくは2価の状態でイオン半径が3Å以上、0.8Å以下であり、更に好ましくは2価、4配位の状態でイオン半径が0.4Å以上、7Å以下である。中でも、Me1は、合成の容易さ、吸着特性の点から、Fe、Co、Mg、Znから選ばれる少なくとも一種類の元素であるのが好ましく、Feであるのが特に好ましい。Me2は、周期表第三または第四周期に属する4B族元素であり、好ましくはSiである。
また、本発明において、アルミノフォスフェートは、そのフレームワーク密度(FD)が、通常は13T/nm以上20T/nm以下、好ましくは下限値が13.5T/nm以上であり、更に好ましくは下限値が14T/nm以上である。一方、上限値は19T/nm以下が好ましい。上記の範囲未満では、構造が不安定となる傾向があり、耐久性が低下すると言う問題がある。また、上記の範囲を越えると、吸着容量が小さくなり、吸着材としての使用に適さなくなる傾向がある。なお、T/nmは、単位体積(nm)当たりに存在するT原子(ゼオライト1nm当たりの酸素以外の骨格を構成する元素の数)を意味し、フレームワーク密度(FD)を示す単位である。
上記のアルミノフォスフェートの構造としては、IZAが定めるコードで、AEI、AEL、AET、AFI、AFN、AFR、AFS、AFT、AFX、APC、AST、ATO、ATS、CHA、ERI、LEV、VFIが挙げられるが、中でも、吸着特性、耐久性の点から、AEI、AEL、AFI、APC、CHA、LEVから選ばれる何れかであるのが好ましく、特にAFI、CHAが好ましい。なお、AlPO類は1種又は2種以上組み合わせて使用することが出来る。
AlPOは公知の方法によって合成できる。合成方法は、特に限定さないが、例えば特公平1−57041に記載されている。通常、AlPOは、アルミニウム源、リン源、必要に応じて添加されるSi、Fe等のMe源およびテンプレートを混合した後、水熱合成して製造される。
アルミニウム源としては、特に限定されないが、通常、擬ベーマイト、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムトリエトキシド等のアルミニウムアルコキシド、水酸化アルミニウム、アルミナゾル、アルミン酸ナトリウム等が挙げられる。中でも、取り扱い易く、反応性が高い点において、擬ベーマイトが好ましい。
Me源は、前述のアルミノフォスフェート類におけるヘテロ原子を意味し、Me源としては、好ましくはSi、Fe、Co、Mg、Zn等が挙げられる。これらのMe源は、通常、これらの硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩などの有機酸塩、あるいは、有機金属化合物の形態で使用される。また、場合によっては、コロイド状の水酸化物などを使用してもよい。
ケイ素源としては、fumedシリカ、シリカゾル、コロイダルシリカ、水ガラス、ケイ酸エチル、ケイ酸メチル等が使用される。また、リン源としては、通常、リン酸が使用されるが、リン酸アルミニウムを使用してもよい。
テンプレートとしては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩、モルホリン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−イソプロピルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジン、シクロヘキシルアミン、2−メチルピリジン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、コリン、N,N’−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルピペリジン、3−メチルピペリジン、N−メチルシクロヘキシルアミン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、キヌクリジン、N,N’−ジメチル−1,4−ジアザビシクロ−(2,2,2)オクタンイオン、ジ−n−ブチルアミン、ネオペンチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、イソプロピルアミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、ピロリジン、2−イミダゾリドン、ジ−イソプロピル−エチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、N−メチル−n−ブチルアミン、ヘキサメチレンイミン等の1級アミン、2級アミン、3級アミン、ポリアミンが挙げられる。これらは混合して使用してもよい。
上記のなかでも、モルホリン、トリエチルアミン、シクロヘキシルアミン、イソプロピルアミン、ジ−イソプロピル−エチルアミン、N−メチル−n−ブチルアミン、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドが反応性の点で好ましく、モルホリン、トリエチルアミン、シクロヘキシルアミンが工業的により安価である点で更に好ましい。これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
上記のアルミニウム源、リン源、必要に応じて添加されるMe源およびテンプレートの混合においては水性ゲルを調合する。混合順序は条件により異なるが、通常は、先ず、リン酸源、アルミニウム源を混合し、次いで、これにMe源およびテンプレートを混合する。
Me−AlPOの合成における上記の水性ゲルの組成は、酸化物のモル比で表して、0.01≦MeOx/P≦1.5(xはMeが2価の場合は1、3価の場合は1.5)であり、更に合成のし易さの観点からは0.02≦MeO/P≦1.0が好ましく、0.05≦MeO/P≦0.8が更に好ましい。また、P/Alの比は、0.6以上1.7以下であり、合成のし易さの観点からは0.7以上1.6以下が好ましく、0.8以上1.5以下が更に好ましい。また、水の割合の下限は、Alに対して、モル比で3以上であり、合成のし易さの観点からは5以上が好ましく、10以上が更に好ましい。水の割合の上限は、200以下、合成のし易さや生産性の高さの観点からは150以下が好ましく、120以下が更に好ましい。水性ゲルのpHは、4〜10であり、合成のし易さの観点からは5〜9が好ましく、5.5〜8.5が更に好ましい。
なお、各水性ゲル中には、所望により、上記以外の成分を共存させてもよい。この様な成分としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物や塩、アルコール等の親水性有機溶媒が挙げられる。
上記の様な水性ゲルを調合した後は、水性ゲルを耐圧容器に入れ、自己発生圧下または結晶化を阻害しない気体の加圧下において、攪拌しつつ又は静置状態で所定温度を保持することにより、水熱合成を行う。水熱合成の温度条件は、通常は100〜300℃であり、合成のし易さの観点から、好ましくは120〜250℃、更に好ましくは150〜220℃である。
反応時間は、通常は3時間〜30日であり、合成のし易さの観点から、好ましくは5時間〜15日、更に好ましくは7時間〜7日である。水熱合成後は、生成物を分離し、水洗、乾燥し、焼成などの方法により、含有する有機物を除去し、骨格に少なくともAlとPを含む結晶性アルミノフォスフェート類を得る。
本発明に適用されるメソポーラスシリカは、有機テンプレートを使用して製造されたものであるが、その様なメソポーラスシリカの例としては、MCM−41、MCM−48、FSM−16、SBA−1、HMS、MSU−1、MSU−3、SBA−12、SBA−15、SBA−16等が挙げられる。
これらのメソポーラスシリカの合成方法も、「ゼオライトの科学と工学」に記載されているが、通常は、シリカ源、必要に応じて添加されるヘテロ原子となるアルミナ源、リン源、必要に応じて添加される鉱化剤、テンプレート及び水から合成される。この場合のテンプレートとしては、界面活性剤が使用される。界面活性剤の種類としては、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド等の長鎖トリエチル等の4級アンモニウム塩、ドデシルアミン等の長鎖のアミン、ジェミニ型界面活性剤、ポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシド、あるいは、それらを組み合わせたトリブロックポリマー等が使用される。メソポーラスシリカも、一般的には水熱合成により合成されるが、場合によっては室温、常圧下でも合成される。通常、細孔内に含まれる有機テンプレートは焼成により除去される。
吸着材を固着させるためのバインダーとしては、有機系、無機系バインダーの何れでもよいが、例えば、有機系バインダーとしては、アクリル樹脂、酢ビ系樹脂、スチレン系樹脂、各種共重合樹脂、オレフィン系樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン系樹脂などの樹脂成分を有機溶剤に溶解した接着剤、あるいは、アクリル系樹脂エマルジョン、酢ビ系樹脂エマルジョン、スチレン系樹脂エマルジョン、各種共重合樹脂エマルジョン、オレフィン系樹脂エマルジョン、エポキシ系樹脂エマルジョン、ウレタン系樹脂エマルジョン、フェノール樹脂エマルジョン等の樹脂成分をエマルジョン化したエマルジョン系接着剤が挙げられる。無機系のバインダーとしては、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル等が挙げられる。
上記のバインダーには、熱伝導性のよい金属繊維、炭素繊維などの繊維状物質、アルミ、銅、銀などの金属粉体、グラファイト等を添加してもよい。また、セピオライト、イモゴライトなどの粘土や繊維状無機化合物を添加させることも、固着性の向上などに有効である。これらのうち、ハニカム体に固着させる場合は、無機系のバインダーが好ましく、中でも、シリカゾルが特に好ましい。
本発明において、吸着材を固着させる担体としてのハニカム体は、通気用の小孔を多数備えた多孔状の構造体であり、小孔の開口形状、すなわち、ハニカムの形状としては、略三角、略四角、略六角形などの各種形状が利用可能である。
ハニカム体の材質としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、真鍮、銅、ステンレス鋼などの金属が挙げられる。金属の他には、無機繊維状物質、具体的には、シリカ、アルミナを主成分としたセラミックスペーパー等のセラミックス繊維、ガラス繊維、FeやCu、Al、Cr、Ni等の金属から成る金属繊維などが使用可能である。中でもセラミックス繊維が好ましい。セラミックス繊維は、通常、直径が1〜10μmの範囲のものが使用される。
ハニカム体の製造においては、上記の繊維状物質を結束させるため等の目的で、パルプやセルロース等の有機繊維状物質や有機バインダーが使用される。また、ハニカム体の製造において、コルゲート加工時に平板と波板を接着させる場合は、通常、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂などの接着剤が使用される。
セラミックハニカムは、セラミックス繊維とパルプ等を混抄したセラミックシートから成り、コルゲート加工した波型セラミックシートと、平面セラミックシートを交互に積層または捲回することにより製造される。この様にして得られるハニカムは、ガスの流れ方向に直線状の小孔を有するため、圧力損失が少ない。開口形状(小孔の断面形状)は略三角形となるが、好ましくは配列ピッチを1〜4mm、波高さを1.5〜5mm、更に好ましくは配列ピッチを1.5〜3.5mm、波高さを2〜4mmの範囲に設定される。配列ピッチが1mm未満、波高さが1.5mm未満の場合は、通気断面が小さくなり、圧力損失が大きくなるために不利である。また、配列ピッチが4mmを越え、波高さが5mmを越える場合は、気体との接触効率が悪くなり、結果として調湿性能が悪化する虞がある。
デシカント空調装置などにハニカムローターとして使用されるハニカム体の場合、外形を円盤状に形成され且つその中心に配置された回転軸と平行に多数の小孔が設けられるが、通常、ハニカム体の外径は10〜450cm、ハニカム体の厚さ(小孔の通気方向の長さ)は2〜50cmとされ、好ましくは前記の外径は20〜300cm、前記の厚さは5〜40cmとされる。
本発明の吸着素子は、その製造方法は特に限定されないが、通常、吸着材、バインダー、水などの溶剤から成る水系分散液を上記のハニカム体に塗布するか、あるいは、ハニカム体を前記の水系分散液に浸漬させる等の方法により、水系分散液を担持させた後、乾燥または焼成することにより製造される。また、吸着材をバインダーにより保持させたシートを作製し、ハニカム体を構成する方法も可能である。
上記の水系分散液には、本発明の効果を損なわない程度に安定剤などの他の物質が添加されてもよい。水系分散液の上記3成分の配合割合は、通常、吸着材が5〜60重量%、バインダーが0.1〜50重量%、溶剤が30〜94.9重量%の範囲である。好ましくは、吸着材が10〜45重量%、バインダーが1〜30重量%、溶剤が40〜80重量%の範囲である。更には、吸着材に対する溶剤の重量比率は、通常は1〜20%、好ましくは1.25〜5%の範囲であり、バインダーの量が吸着材の量を超えないことが好ましい。
水系分散液に占める吸着材とバインダーの固形分量は、通常、20〜50重量%であり、好ましくは、吸着材に対するバインダー固形分の割合は0.05〜1である。更に好ましくは、固形分が25〜45重量%で且つバインダーの割合が0.1〜0.6の範囲である。固形分量が20重量%未満の場合は、除湿性能が不足する可能性があり、50重量%を越える場合は、担時困難でハニカム(小孔)が閉塞し、圧力損失が増大する可能性がある。また、吸着材に対するバインダー固形分の割合が0.05未満の場合は、吸着材の剥離を生じる可能性があり、バインダー固形分の割合が0.6を越える場合は、除湿性能が悪化する虞がある。
吸着材が固着されたハニカム体は、通常は50〜140℃、好ましくは90〜140℃で乾燥の後、それよりも高温で焼成される。有機テンプレートを使用して合成したゼオライトをそのままハニカム体に固着させた場合、すなわち、有機テンプレートを除去せずにハニカム体に固着させた場合は必ず焼成を行う必要がある。この様な焼成は、例えば、特開2005−23813号公報に記載されており、素子の製造工程を削減できる等の効果が得られるため、好ましい手法である。なお、上記の特許文献には、400〜600℃と言う焼成温度が開示されている。また、予め有機テンプレートの除去操作を行った後に吸着剤を担持させた場合も、有機物除去のために焼成を行う。斯かる焼成操作により、有機物が概ね除去される。
本発明の吸着素子において、吸着材の目付け量は、ハニカム体に対して、通常は30〜200kg/mで且つ20〜700g/kgであり、好ましくは40〜180kg/mで且つ30〜600g/kgである。目付け量が上記の範囲よりも少ない場合は、十分な吸着量が得られない。また、多すぎる場合は、目詰まりや、水蒸気や処理空気を通気させた際に抵抗となり、十分な性能が出ない。
焼成後に残存する有機物の量は、炭素原子の量を分析することにより定量的に特定できる。上記の炭素原子は、有機テンプレート、バインダーに含まれる有機物、ハニカム体を形成すると際に使用される接着剤、ハニカム体自体に含まれる有機物などに由来していると考えられる。特に、有機テンプレートを含んだ吸着剤をハニカム体に固着させた後に焼成する場合には、有機テンプレート由来のものが多くなり、炭素原子の残存量も多くなる傾向にある。
本発明の吸着素子は、上記の様に、ハニカム体に吸着材をバインダーにより固着させて成り且つ吸着材が有機テンプレートを使用して合成されるゼオライト類であり、そして、本発明の吸着素子においては、水滴の付着による臭気の発生を抑制するため、素子中の炭素原子の量が当該素子に対して0.5wt%以下、好ましくは0.3wt%以下、更に好ましくは0.15wt%以下、より一層好ましくは0.05wt%以下とされる。
吸着素子に含まれる炭素原子の含有量の測定は、市販の炭素硫黄分析計を使用して行うことが出来る。すなわち、炭素含有物質を酸素気流の下、高周波炉で高温に加熱すると一酸化炭素や二酸化炭素を生成する。従って、これを赤外線分析計で定量することにより、元の試料に含有されていた炭素原子の含有量が測定できる。具体的には次の様な手順で行われる。
分析試料においては、120℃で乾燥後、吸湿しない様に室温まで冷却し、0.1gを電子天秤で精秤する。そして、試料を助燃剤と共に磁性るつぼに装填する。加熱では、燃焼コントロール機能付き高周波誘導加熱炉を使用し、陽極出力を2.3KW、周波数を18MHzに設定し、プレート電流は自動制御とする。燃焼開始後、発生ガスを赤外線吸収で分析することにより、炭素量を求めることが出来る。測定回数は3回とし、その平均値を試料(吸着素子)中の炭素原子の残存量とする。
上記の範囲に炭素原子の量を制御する方法としては、通常、焼成条件を適宜変更することにより行う。具体的には、空気または酸素含有雰囲気下で通常は500〜850℃、好ましくは600〜800℃の温度を保持し、10分〜12時間、好ましくは30分〜6時間焼成を行う。焼成温度が高すぎる場合は、炭素原子の残存量は少なくなるが、吸着材の構造が破壊され、吸着性能の低下を引き起こすことがあるので好ましくない。また、焼成温度が低すぎる場合は、炭素原子の残存量が多くなるので好ましくない。
残存する炭素原子の量は、ハニカム体の大きさ、ゼオライトの種類、酸素含有ガスの酸素濃度、ハニカム体との接触方法などにより異なるため、上記の焼成条件の範囲で焼成後、炭素原子の量を分析し、あるいは、場合によっては何度か実験を行い、それぞれの素子について最適な条件を選択する必要がある。また、一度焼成を行い、炭素原子の残存量が多い場合には、再度焼成を行うことにより、本発明における炭素原子の量まで低減できることが多い。更に、室温から100℃以下、好ましくは50℃以下の水や有機溶媒による洗浄によっても、本発明における炭素原子の量のものが得られ易い。
上記の吸着素子は、各種のロータの形状に形成でき、調湿の他にも、水分が存在する状態での脱臭や触媒反応用などとして使用できる。そして、その様な用途においても、臭気の発生を効果的に抑制することが出来る。脱臭は、具体的には、吸着素子に有機物を補足し、その物質を熱で脱着、分解または酸化触媒の存在下で分解したり、吸着素子に触媒を担持し、斯かる触媒に有機物を接触させて分解する等して行う。また、Ti等の光触媒を吸着素子に担持し、太陽光やLED等の光を照射することにより、VOC除去機能を発揮させることも出来る。この場合に担持させる触媒成分としては、Fe、Cr、Co、Ni、Mn、Ce、Pd、Pt、Au、Ru、Ti等が挙げられる。
本発明の吸着素子を製造し、水滴の付着による臭気の測定を行った。一般的に、臭気の測定方法としては、各種の特定悪臭物質ごとに予め設定された濃度を基準に臭気強度を評価する方法や、においモニターと呼ばれる分析計を使用する方法があるが、機器による測定は、臭い物質の種類が極めて多く、物質ごとに測定方法が異なること、測定結果と嗅覚とが対応しないこと等から、本発明の評価に適用し難いことが判明した。そこで、本発明では、以下の通り、健康人である10人のモニター(測定者)による嗅覚比較により臭気の測定を行った。
吸着素子から発生する臭気の測定においては図1に示す様な測定装置を使用した。斯かる測定装置は、内容積30cmのアクリル製の容器(1)と、当該容器に下方から無臭空気を300ml/minで供給する空気供給管(2)と、容器(1)の上部から当該容器内の空気を排出する内径10mmの煙突構造の空気排出管(3)と、容器(1)内を上下に仕切り且つ中央部に多数の開口が設けられた試料支持板(4)と、容器(1)内の天井部に設けられ且つ試料支持板(4)上の試料(6)に微量の水を噴霧するノズル(5)から構成されている。
臭気の測定においては、上記の測定装置を室温20℃、湿度50±5%RHに調整された試験室に設置し、先ず、試料(6)が収容されていない空の容器(1)に無臭空気を300ml/minで供給する。無臭空気は、(社)におい・かおり環境協会測定評価部会の「臭気簡易評価技術の活用の関する報告書」(http://www.orea.or.jp/PDF/data/kanihyoukagijutu.pdf)に示された「ゼロエアーの調整方法」に準じ、活性炭フィルターを通過させた空気に水分を同伴させて20℃、50%RHに調湿することにより調製する。そして、初めに、空気排出管(3)にモニターが鼻を近づけて無臭空気を嗅ぐ。すなわち、吸着素子を通過していない無臭空気を確認する。なお、10人のモニターは、測定の客観性を保つため、喫煙習慣のない健康な25〜55歳の男女半々で構成する。
次いで、測定すべき吸着素子を試料(6)として容器(1)に収納し且つ試料支持板(4)の中央(多数の開口の上)に載せ、同様に無臭空気を供給し、その2分後から3分間空気排出管(3)の空気の臭気を嗅ぐ。続いて、ノズル(5)から水を1〜5ml噴霧し、試料(6)に水滴を付着後させると共に、噴霧1分後から3分間、空気排出管(3)から排出される空気の臭気を嗅ぎ、これを判定する。
また、試料(6)の交換の際は、容器(1)に試料(6)を収容しない状態で排出空気に臭気が感じられなくなるまで無臭空気を十分に流通させることとした。更に、モニターは、臭気が激しく、3分間の吸気に耐えられない場合、測定を中止してもよいこととした。なお、実際の測定においては、無臭空気の相対湿度を1%から95%に変化させても、排出空気の臭気には変化が見られなかったため、判定は水を噴霧した場合の臭気について行った。
一方、吸着素子に残存する炭素原子の量の測定には、堀場製作所(株)製の商品名「EMIA−520」として市販の炭素硫黄分析計を使用した。測定方法は、前述の通り、酸素気流の下、高周波炉で炭素含有物質を高温に加熱し、生成する一酸化炭素や二酸化炭素を赤外線分析計で定量することにより、試料に含有されていたC含有量を測定する方法であり、以下の例においては、斯かる方法により、前述の条件に基づいて炭素原子の量を測定した。
製造例1(FAPO−5の合成):
水38gと85%リン酸17.5gの混合物に擬ベーマイト(25%水含有、サソール製)9.5gを加えて攪拌した。3時間攪拌した後、これに硫酸第一鉄7水和物6.78gを水37gに溶かした水溶液を加え、更にトリエチルアミン10.8gを混合して3時間攪拌し、出発反応混合物を得た。これをテフロン(登録商標)製の内筒が装入された200ccのステンレス製オートクレーブに仕込み、静置状態において温度190℃で10時間反応させた。反応後、冷却し、デカンテーションにより上澄みを除き、沈殿物を回収した。次いで、その沈殿物を水で3回洗浄した後、温度100℃のオーブンに入れて乾燥した。そして、乾式の粉砕方法により平均粒径5ミクロンまで粉砕した。
こうして得られた結晶性鉄アルミノフォスフェートのXRD(Cu−Kα線使用)を測定した結果、AFI型のFAPO−5であった。また、斯かるFAPO−5を塩酸水溶液で加熱溶解させ、ICP分析により元素分析を行ったところ、骨格構造のAlとPとFeの合計に対する各成分の構成割合(モル比)は、Fe/Al/P=4.2/46.6/49.2%であった。
製造例2(SAPO−34の合成):
水130gと85%リン酸65.5gの混合物に擬ベーマイト(25%含水、サソール製)43gをゆっくり加え、3時間攪拌した。これをA液とする。これとは別に、fumedシリカ(商品名「アエロジル200」)3.8g、モルホリン27.5g、トリエチルアミン32.1g、水185gを混合した液を調製した。これをA液に攪拌しながらゆっくりと加え、更に3時間攪拌した。この混合物をテフロン(登録商標)製の内筒が装入された1リットルのステンレス製オートクレーブに仕込み、300rpmで攪拌しながら温度190℃で48時間反応させた。反応後、冷却し、デカンテーションにより上澄みを除き、沈殿物を回収した。次いで、その沈殿物を水洗した後、温度100℃のオーブンに入れて乾燥した。そして、乾式の粉砕方法により平均粒径6ミクロンまで粉砕した。
こうして得られた結晶性シリコアルミノフォスフェートのXRD(Cu−Kα線使用)を測定した結果、CHA型のSAPO−34であった。また、斯かるSAPO−34を塩酸水溶液で加熱溶解させ、ICP分析により元素分析を行ったところ、骨格構造のAlとPとSiの合計に対する各成分の構成割合(モル比)は、Si/Al/P=8.2/49.8/42.0%であった。
比較例1:
製造例1の方法を繰り返すことによって得られ且つ有機テンプレートを含有する平均粒径5μmのFAPO−5を40g、触媒化成工業(株)製の商品名「Cataloid S−20L」として市販のシリカゾル(SiOとして20wt%)をバインダーとして85.7g、水17.2gを混合してスラリーを調製した。
一方、吸着材を担時させるハニカム体として、コルゲート加工されたセラミックス繊維シートを積層して作製され且つ小孔の開口形状が略三角形のハニカム体を準備した。ハニカム体の外形寸法は、縦70mm、横50mm、高さ15mmであり、小孔は、配列ピッチが3.4mm、波高さが2.0mmであった。次いで、準備したハニカム体を上記のスラリーに浸漬させた後、引き上げて液切りを行い、FAPO−5を含浸させた。これを温度140℃のオーブンに装入して120分間乾燥した後、更に、オーブン内で空気雰囲気下において温度550℃で4時間焼成を行い、ハニカム構造の吸着素子を製造した。
得られた吸着素子について、素子中の炭素原子の量を分析したところ、0.71wt%であった。そして、この吸着素子に1.5mlの水噴霧を行い、水滴の付着によって発生する臭気の測定を行ったところ、臭気発生が著しく、モニター全員が3分間の吸気を行うことが出来なかった。この結果から、上記の吸着素子については、通常の生活空間において使用できないと判断された。
実施例1:
比較例1の吸着素子を再び空気雰囲気下において温度600℃で1時間焼成した。焼成後の吸着素子について、素子中の炭素原子の量を分析したところ、0.105wt%であった。そして、この吸着素子について、比較例1と同様に、水滴の付着によって発生する臭気の測定を行ったところ、モニター全員から、3分間の吸気が可能であり、殆ど臭気が感じられないとの評価が得られた。
比較例2:
製造例2の方法で得られた平均粒径6μmのSAPO−34を40g、触媒化成工業(株)製の商品名「Cataloid S−20L」として市販のシリカゾル(SiOとして20wt%)をバインダーとして107.7g、水10gを混合してスラリーを調製した。
比較例1と同様のハニカム体を準備し、これを上記のスラリーに浸漬させた後、引き上げて液切りを行い、SAPO−34を含浸させた。これを比較例1と同様の条件で乾燥させ、同様の条件で焼成し、ハニカム構造の吸着素子を製造した。
得られた吸着素子について、素子中の炭素原子の量を分析したところ、0.585wt%であった。そして、この吸着素子について、比較例1と同様の条件で臭気の測定を行ったところ、臭気発生が著しく、モニター全員が3分間の吸気を行うことが出来なかった。この結果から、上記の吸着素子については、通常の生活空間において使用できないと判断された。
実施例2:
比較例2の吸着素子を再び空気雰囲気下において800℃で1時間焼成した。焼成後の吸着素子について、素子中の炭素原子の量を分析したところ、0.045wt%であった。そして、この吸着素子について、比較例1と同様の条件で臭気の測定を行ったところ、モニター全員から、3分間の吸気が可能であり、殆ど臭気が感じられないとの評価が得られた。
臭気の測定に使用される測定装置の構造を示す縦断面図である。
符号の説明
1:容器
2:空気供給管
3:空気排出管
4:試料支持板
5:ノズル
6:試料(吸着素子)

Claims (6)

  1. 吸着素子を使用して構成され、当該吸着素子に水滴が付着することによって発生する臭気を抑制する調湿用空調装置であって、吸着素子がハニカム体に吸着材をバインダーにより固着させて成る素子であり、吸着材が有機テンプレートを使用して合成されたゼオライト又はメソポーラスシリカであり、素子中の炭素原子の量が当該素子に対して0.5wt%以下であることを特徴とする調湿用空調装置。
  2. 吸着材がIZAが定める構造のコードでAFI、AFX、BEA、CFI、CHA、CON、DDR、DON、EMT、EUO、FER、GON、IFR、ISV、ITE、LEV、MEL、MFI、MOR、MTF、MTT、MTW、NES、MWW、RUT、SFE、SFF、STF、STT又はTONで示されるアルミノシリケートである請求項1に記載の調湿用空調装置。
  3. 吸着材がIZAが定める構造のコードでAEI、AEL、AET、AFI、AFN、AFR、AFS、AFT、AFX、APC、AST、ATO、ATS、CHA、ERI、LEV、又はVFIで示されるアルミノフォスフェートである請求項1に記載の調湿用空調装置。
  4. アルミノフォスフェートがAFI又はCHAである請求項3に記載の調湿用空調装置。
  5. 吸着材がメソポーラスシリカである請求項1に記載の調湿用空調装置。
  6. 吸着素子が、有機テンプレートを含有する吸着材をバインダーによりハニカム体に固着させ、当該ハニカム体を500〜850℃で焼成して成る素子である請求項1に記載の調湿用空調装置。
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