JP5061581B2 - 吸着素子およびそれを用いた調湿用空調装置 - Google Patents

吸着素子およびそれを用いた調湿用空調装置 Download PDF

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Description

本発明は、吸着素子に関するものであり、詳しくは、吸着式冷凍機または調湿空調用のデシカント用のロータ等の吸着素子に関するものである。
吸着素子は、吸着材、担体およびバインダーより構成され、シート状をはじめ、平板状、フィン状あるいはハニカム状といった様々な構造に形成される。吸着性能に大きく関与するものは吸着材であるが、実際の吸着性能は吸着素子自体、すなわち吸着材がバインダーにより担体に固着されたものの吸着性能によって決まる。
例えば、調湿用空調デシカントでは、できるだけ低温での再生が可能であることが望まれている。それにより、これまで捨てられていた排熱を利用することができ、省エネ空調となる。高湿度の空気を除湿する場合に、できるだけ低温で再生するためには、吸着素子として高い相対湿度領域での吸着の相対湿度と脱着の相対湿度での吸着量差ができるだけ大きいことが望ましい。また、冬などに乾燥している空気を加湿する場合、今度は低湿度の空気から水分を吸着し、低温で再生して、その脱着した水分で加湿するということができなければならない。そのためには、10%以下を含む、低い相対湿度領域での吸着の相対湿度と脱着の相対湿度の吸着量差ができるだけ大きいことが望ましい。
従来公知の吸着材のうち、上記要求に応えられるような比較的高性能なものとして特定の構造を有するアルミノフォスフェート(ALPO)が挙げられる(特許文献1)。しかしこの文献では、担体に担持した場合にどのような吸着性能を有するかについては開示がなく、また示唆もない。
吸着素子(吸着材を担持させたものをいう)の吸着性能は、担体やバインダーの種類、組み合わせ、固着方法などにより変化することが予測されるが、吸着素子自体についての吸着性能を研究した例は少なく、特に吸着等温線を報告した文献は少ない。
その代表的な例として、吸着素子であるハニカムロータとして、シリケートやゼオライトをセラミック繊維に担持したものが知られており、その吸着等温線が開示されている(非特許文献1、図9)。
この文献において筆者らはシリケートあるいはゼオライトを、異なる担持方法、具体的には、合成固着法(carrying by synthesis reaction)あるいは含浸法(carrying by impregnating)により担持してハニカムロータを作成している。そのロータの吸着性能(吸着等温線)は図9に記載されており、吸着材の種類、担体の種類、および担持方法によって当該曲線の形が異なることが理解できる。
つまり、吸着材の吸着等温線が知られていても、それを担体に担持した場合の吸着素子の吸着等温線は構成材の組み合わせ、担持条件等によって全く異なる曲線となるため、当業者には予測できないことが理解される。
また、除湿とともに低湿度の空気中から水分を吸着し、低温熱源により加熱して吸着した水分を放出して加湿を行うというような用途の場合には、低湿度領域、具体的には相対湿度10%以下についての吸着特性が重要になってくる。しかしながら、文献1にはそのような低湿度領域の記載は無い。
したがって、吸着材をはじめとする、吸着素子の構成材、担持条件等による組み合わせによってできる吸着素子の低湿度から高湿度までの吸着特性を詳しく調べることにより、それらの構成要素、吸着素子作成条件などと低湿度から高湿度までの吸着特性との関係を詳しく調べ、はじめて除湿、加湿など種々の調湿条件に対応できる吸着素子が完成するの
である。
特開平9−178292 第7回吸着基礎国際会議要旨集(7th Internatinal Conference on Fundamentals of Adsorption May 20-25, 2001 Nagasaki)
しかしながら、非特許文献1で開示された吸着素子ではまだその性能が充分ではなく、市場要求に十分応えられるものではなかった。
本発明は、高湿度空気の除湿や低湿度空気の加湿などの両方が可能となるような調湿用デシカント空調装置を実現するための吸着素子を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、25℃の吸着等温線において、相対湿度が28%と相対湿度5%との吸着量の差が0.05g/g以上であり、かつ相対湿度70%と相対湿度90%との吸着量の差が0.05g/g以上の吸着素子、好ましくは相対湿度が28%と相対湿度7%との吸着量の差が0.05g/g以上であり、かつ相対湿度72%と相対湿度90%との吸着量の差が0.05g/g以上の吸着素子を用いることにより、本発明を完成させた。
本発明により、従来技術では解決できなかった、高湿度空気の除湿や低湿度空気の加湿などの両方が可能となるような調湿用デシカント空調装置を実現することが可能となる。加えて、50℃以下での低温での再生も可能となり、これまで使用されていなかった排熱などの利用にも有効である。
吸着性能の定義:
高湿度の空気の低温での再生を行う場合、例えば、夏場の35℃で相対湿度約90%の空気を除湿し、この空気を排熱などを利用し、40℃にして再生に用いようとすると相対湿度約70%が脱着空気の湿度となる。さらにより低温での再生にしようとすると、脱着の空気の湿度はより高くなり、例えば72%などになる。
また、低湿度の空気を加湿する場合、例えば、冬場の12℃で相対湿度28%の空気を利用して室内などを加湿する場合、この空気から水分を吸い取る必要があるので、吸着の相対湿度は約28%となり、この空気を、低温廃熱などを利用して40℃にし、再生させて脱着させた水分により加湿しようとすると、脱着の相対湿度は約5%となる。さらにより低温での再生にしようとすると、脱着の空気の湿度はより高くなり、例えば7%となる。
このような高湿度、低湿度の空気の両方において除湿、加湿の調湿が可能である吸着素子が必要であることになる。そのためには、上記のような吸着と脱着の相対湿度における吸着量差が大きくなければならない。
この吸着量差は処理する空気量、温湿度条件により必要な吸着量差は異なるが、吸着量差が大きいほど吸着素子の大きさは小さくなる。例えば、家庭用除湿機は、約6L/日の除湿性能があるが、ロータの回転数が約30回/hで重量が約160gであることから、1回のロータの除湿量は約8g/回となり、吸着素子の重量当たりの吸着量差としては約0.05g/gとなる。
これらのことから、望ましい吸着素子の吸着性能としては、吸着素子の重量当たりの吸着量の差で表すと、25℃の吸着等温線において、相対湿度が28%と相対湿度5%との吸着量の差が0.05g/g以上であり、かつ相対湿度70%と相対湿度90%との吸着量の差が0.05g/g以上の吸着素子、好ましくは相対湿度が28%と相対湿度7%との吸着量の差が0.05g/g以上であり、かつ相対湿度72%と相対湿度90%との吸着量の差が0.05g/g以上である。
吸着素子:
吸着素子は、吸着材とバインダーと担体よりなる。本発明における吸着素子には、これらから成るいわゆるシート状、平板状、フィン状などの吸着機能を発揮する部材、および、これらを加工したハニカム状などの吸着機能を発揮する種々の構造の部品が含まれる。
吸着材:
本発明で用いる吸着材は、吸着素子とした場合に、上記のような吸着性能が生じるものであれば、何でもよいが、通常、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、アルミナ、高分子収着体、イオン交換樹脂などがあげられる。
中でも、水蒸気の吸着が容易であるゼオライトが好ましい。アルミノシリケートのゼオライトにおいては、シリカアルミナ比(SiO/Alのモル比)が5.5以上、好ましくは6以上、さらに好ましくは7以上が良い。ゼオライトのなかでも、水蒸気の低温での脱着がより容易である、骨格に少なくともAlとPを含む結晶性アルミノフォスフェート類がより好ましい。
これらの吸着材を用いる場合、特に好ましいアルミノフォスフェート類の場合は、吸着素子を構成する担体、バインダーの種類、あるいは担体に固着する場合の吸着材を含む水性スラリーの調整方法や固着方法についての広い範囲から本発明の吸着性能を持った吸着素子を作成することが比較的容易である。
これに対して、他の吸着材の場合には、例えばアルミノシリケートのゼオライトの場合には、比較的シリカアルミナ比が高いゼオライトを選び、担体、バインダーも下記に例示するものから好ましい種類のものを選び、また水性スラリーの調整方法や固着方法などについてもそのゼオライトに適した条件を選ぶことによって、本発明の吸着素子を得ることが可能と考えられる。
吸着素子における水蒸気の吸着等温線において、高相対圧部分(相対湿度70%と相対湿度90%の間)で吸着量が増加するのは、吸着素子中にメソポア(メソ孔)が存在していることを示唆している。メソポアとは、吸着材が坦体に固着する場合に、吸着材の粒子同士の隙間、あるいは吸着材と担体との間に生じた間隙を通常メソポアと呼び、一般に、約2〜50nmの穴の大きさに相当する。
すなわち、本発明の吸着素子を得るためには、吸着材を担体に固着させた際、吸着素子中にメソポアを形成することが好ましい。
吸着材の大きさは通常、0.1から300ミクロン、好ましくは0.5から100ミクロン、さらに好ましくは1から50ミクロン、最も好ましくはメソポアを形成し易い点において2から20ミクロンである。
アルミノフォスフェート類:
本発明に用いられるアルミノフォスフェート類(以下、ALPO類と略することがある)は、IZA(International Zeolite Association)の定める結晶性アルミノフォスフェートである。
結晶性アルミノフォスフェートは、骨格構造を構成する原子がアルミニウム及びリンであり、その一部が他の原子で置換されていても良い。中でも、I)アルミニウムがヘテロ原子(Me1:但し、Me1は周期表第三または第四周期に属し、2A族、7A族、8族、1B族、2B族、3B族(Alのぞく)の元素から選ばれる少なくとも一種類の元素を示す。)で一部置換されたMe−アルミノフォスフェート、II)リンがヘテロ原子(Me2:但し、Me2は周期表第三または第四周期に属する4B族元素)で置換されたMe−アルミノフォスフェート、あるいは、III)アルミニウムとリンの両方がヘテロ原子(それぞれMe1、Me2)で置換されたMe−アルミノフォスフェートが吸着特性の点から好ましい。
ここで、骨格構造を構成しているMe、Al及びPの構成割合(モル比)は、通常、下記式1−1〜3−1のモル比であり、好ましくは、下記式1−2〜3−2である。xが上記範囲より小さいと、吸着質の圧力が低い領域での吸着量が小さくなったり、合成が困難となる傾向があり、上記範囲より大きいと、合成時に不純物が混入しやすい傾向がある。又、y、zが上記範囲外であると、合成が困難である。
0≦x≦0.3 ・・・1−1
(xは、Me、Al、Pの合計に対するMeのモル比を示す)
0.2≦y≦0.6 ・・・2−1
(yは、Me、Al、Pの合計に対するAlのモル比を示す)
0.3≦z≦0.6 ・・・・3−1
(zは、Me、Al、Pの合計に対するPのモル比を示す)
0.01≦x≦0.3 ・・・1−2
(xは、Me、Al、Pの合計に対するMeのモル比を示す)
0.3≦y≦0.5・・・2−2
(yは、Me、Al、Pの合計に対するAlのモル比を示す)
0.4≦z≦0.5 ・・・3−2
(zは、Me、Al、Pの合計に対するPのモル比を示す)
Meは、1種でも2種以上含まれていても良い。好ましいMe(Me1,Me2)は、周期表第3、第4周期に属する元素である。
Me1は2価の状態でイオン半径が3以上、0.8nm以下であるのが好ましく、更に好ましくは2価、4配位の状態でイオン半径が0.4以上、7nm以下である。上記の中でも、合成の容易さ、吸着特性の点から、Fe,Co,Mg,Znから選ばれる少なくとも一種類の元素であるのが好ましく、特にFeであるのが好ましい。Me2は、周期表第三または第四周期に属する4B族元素であり、好ましくはSiである。
また、本発明のアルミノフォスフェート類は、そのフレームワーク密度(FD)が、通常、13T/nm以上20T/nm以下、好ましくは、13.5T/nm以上であり、更に好ましくは14T/nm以上であり、一方、19T/nm以下が好ましい。ここで、T/nmは、単位体積nmあたり存在するT原子(ゼオライトの1nm当たりの酸素以外の骨格を構成する元素の数)を意味し、フレームワーク密度:FDを示す単位である。上記範囲未満では、構造が不安定となる傾向があり耐久性が低下する問題があり、一方、上記範囲を越えると吸着容量が小さくなり、吸着材としての使用に適さなくなる傾向がある。
また、本発明のアルミノフォスフェート類は、その構造としては、International Zeolite Association(IZA)が定めるコードで、AEI、AEL、AET、AFI、AFN、AFR、AFS、AFT、AFX、ATO、ATS、CHA、ERI、LEV、VFIが挙げられるが、中でも、吸着特性、耐久性の点から、AEI、AEL、AFI、CHA、LEVから選ばれるいずれかであるのが好ましく、特にAFI、CHAが好ましい。尚、ALPO類は1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
AlPO類の合成は公知の方法を用いて合成できる。例えば、特公平1−57041などに合成法が記載されている。以下に例を示す。
AlPO類の合成方法は特に限定さないが、通常、アルミニウム源、リン源、必要に応じてSi,FeなどのMe源、及びテンプレートを混合した後、水熱合成して製造される。
先ず、アルミニウム源、必要に応じて鉄源又はケイ素源などのMe源、リン源、及び、テンプレートを混合する。
アルミニウム源:アルミニウム源は特に限定されず、通常、擬ベーマイト、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムトリエトキシド等のアルミニウムアルコキシド、水酸化アルミニウム、アルミナゾル、アルミン酸ナトリウムなどが挙げられるが、擬ベーマイトが取り扱い易く反応性が高いので好ましい。
Me源:ヘテロ原子としては、上記のアルミノフォスフェート類の説明におけるMeを意味し、好ましくは、Si,Fe,Co,Mg、Znなどである。これらのMe源としては通常これらの硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩等の有機酸塩、あるいは有機金属化合物のかたちで用いられる。場合によっては、コロイド状の水酸化物等を用いても良い。
ケイ素源:ケイ素源としてはfumedシリカ、シリカゾル、コロイダルシリカ、水ガラス、ケイ酸エチル、ケイ酸メチルなどが用いられる。
リン源:リン源としては通常リン酸が用いられるが、リン酸アルミニウムを用いてもよい。
テンプレート:テンプレートとしては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩、モルホリン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−イソプロピルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジン、シクロヘキシルアミン、2−メチルピリジン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、コリン、N,N‘−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルピペリジン、3−メチルピペリジン、N−メチルシクロヘキシルアミン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、キヌクリジン、N,N’−ジメチル−1,4−ジアザビシクロ−(2,2,2)オクタンイオン、ジ−n−ブチルアミン、ネオペンチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、イソプロピルアミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、ピロリジン、2−イミダゾリドン、ジ−イソプロピル−エチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、N−メチル−n−ブチルアミン、ヘキサメチレンイミン、等の1級アミン、2級アミン、3級アミン、ポリアミンが挙げられる。これらは混合して用いてもよい。
このなかでも、モルホリン、トリエチルアミン、シクロヘキシルアミン、イソプロピルアミン、ジ−イソプロピル−エチルアミン、N−メチル−n−ブチルアミン、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドが反応性の点で好ましく、工業的にはより安価なモルホリン、トリエチルアミン、シクロヘキシルアミンがより好ましい。これらは単独で使用しても良いし、2種以上組み合わせて用いても良い。
水性ゲルの調製:
上述のアルミニウム源、リン源、必要に応じてMe源及びテンプレートを混合して水性ゲルを調合する。混合順序は条件により異なるが、通常は、先ず、リン酸源、アルミニウム源を混合し、これにMe源と、テンプレートとを混合する。
MeAPOに係る水性ゲルの組成は、酸化物のモル比で表して、0.01≦MeOx(xはMeが2価の場合は1、3価の場合は1.5)/P≦1.5であり、さらに合成のし易さの観点からは0.02≦MeO/P≦1.0が好ましく、0.05≦MeO/P≦0.8がより好ましい。また、P/Alの比は、0.6以上1.7以下であり、さらに合成のし易さの観点からは0.7以上1.6以下が好ましく、0.8以上1.5以下がより好ましい。また、水の割合の下限としては、Alに対して、モル比で3以上であり、合成のし易さの観点からは5以上が好ましく、10以上がより好ましい。水の割合の上限としては、200以下、合成のし易さや生産性の高さの観点からは150以下が好ましく、120以下がより好ましい。水性ゲルのpHは、4〜10であり、合成のし易さの観点からは5〜9が好ましく、5.5〜8.5がより好ましい。
なお、各水性ゲル中には、所望により、上記以外の成分を共存させても良い。このような成分としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物や塩、アルコール等の親水性有機溶媒が挙げられる。
水熱合成:
水熱合成は、水性ゲルを耐圧容器に入れ、自己発生圧下、又は結晶化を阻害しない気体の加圧下で、攪拌又は静置状態で所定温度を保持することにより、行われる。水熱合成の条件は、100〜300℃であり、合成のし易さの観点からは120〜250℃が好ましく、150〜220℃がより好ましい。
反応時間は、3時間〜30日であり、合成のし易さの観点からは5時間〜15日が好ましく、7時間〜7日がより好ましい。水熱合成後、生成物を分離し、水洗、乾燥し、焼成等の方法により、含有する有機物を除去し、骨格に少なくともAlとPを含む結晶性アルミノフォスフェート類を得る。
担体:
担体とは、吸着材を固着させ、吸着材を一体化させて使用、加工するための基材を言い、例えば、紙状物、シート状物、板状物、繊維状物、樹脂、粒状物などが挙げられる。吸着材を固着させる担体の形状、すなわち、素子を構成する場合の形状としては、シート状を始めとし、平板状、フィン状、あるいは穴の形状が略三角、略四角、略六角形等のハニカム状等が挙げられる。
担体の材質は、シート状、平板、フィン状の素子では、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス鋼等の金属が挙げられ、ハニカム状の素子では、金属の他に、無機あるいは有機の繊維状物質の集合体、具体的にはシリカ、アルミナを主成分としたセラミックスペーパーなどのセラミックス繊維、ガラス繊維、FeやCu,Al、Cr、Niなどの金属から製造された金属繊維、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリクラール、ナイロン、レーヨン、ビニロン、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、アセテート、ポリエステル等の化学繊維、あるいは、セルロース、絹、木綿等の天然系繊維を使用することも出来る。また炭素繊維も使用可能である。
これらの中で、吸着材を固着することにより、メソポアの生成により高湿領域での吸着量が増加する傾向にあるハニカム状の担体が好ましく、材質としては繊維状物質のものが好ましく、なかでもセラミックス繊維のものが好ましい。セラミックス繊維の直径は、通常1〜10μmの範囲であるものが使用される。
吸着素子の構造:
吸着素子の構造としては、図6〜図10に示す様な各種の構造が挙げられる。図6に示す吸着素子(1a)は、シート状に形成された素子であり、担体である基材シート(12)の表面に吸着材層(13)を配置して構成される。吸着素子(1a)は、各種の形状に整形して吸着式冷凍機やデシカントに使用できる。また、図8に示す様なプレートフィン型の構造の吸着素子(2A)を構成できる。
図8に示す吸着素子(2A)は、いわゆるプレートフィン型の素子であり、例えば長方形の平板状に形成された多数の吸着素子(1a)と、熱媒体(温熱媒体および冷熱媒体)が流れる一筋の熱媒流路(3)とを備えている。各吸着素子(1a)は、これらの各板面が平行かつ並列になる様に、一定の微小な通気空間を介して配列される。そして、熱媒流路(3)は、各吸着シート(1a)を貫通した状態に配置される。熱媒流路(3)の一端は、熱媒体の入口ポート(31)であり、他端は、熱媒体の出口ポート(32)である。
図7に示す吸着素子(1b)は、図6の素子と同様に、基材シート(12)の表面に吸着材層(13)を配置して構成される。吸着素子(1b)は、基材シート(12)を波板状に形成されたものであり、例えば、図9に示す様なコルゲートフィン型の構造の吸着素子(2B)を構成できる。
図9に示す吸着素子(2B)は、いわゆるコルゲートフィン型の素子であり、長さ方向に沿ってジグザグに屈曲する帯状の吸着素子(1b)を複数備えている。吸着素子(2B)は、熱媒体(温熱媒体および冷熱媒体)が供給される入口側ヘッダー(41)と、熱媒体を排出する出口側ヘッダー(42)と、これら各ヘッダーの間に平行かつ並列に架け渡され且つ熱媒体が流れる複数の直管状の熱媒流路(4)とを備えており、帯状の各吸着素子(1b)は、図示する様に熱媒流路(4)の間に挿入される。なお、符号(43)、(44)は、ヘッダーへ熱媒体を供給する入口ポート、および、ヘッダーから熱媒体を回収する出口ポートを示す。
更に、シート状の担体を立体的に加工することにより、図10に示す様なハニカム構造の吸着素子(2C)を構成することも出来る。吸着素子(2C)は、一方の端面から他方の端面へ通気可能に構成されることにより溶質蒸気や水蒸気を吸脱着する円柱状のローター型素子であり、吸着ヒートポンプや各種のデシカントシステムに適用される。
吸着素子(2C)は、繊維質の担体から成る多数のシート状の吸着素子(1)により円柱状(例えば短軸円柱状)のハニカム構造体に構成される。そして、略波板状に形成された吸着シート(1a)及び略平板状に形成された吸着シート(1b)が交互に直径方向に沿って積層状態に配列されることにより、略三角形の開口形状を有する通気用のセル(50)が端面に多数設けられる。すなわち、吸着素子(2C)は、平板状の吸着素子(1a)に波板状の吸着素子(1b)を重ねることにより一列のセル(50)を形成したハニカムシートが中心軸の周りに多数積層された構造を備えている。なお、符号(X)は、セル(50)の配列方向を示している。
上記の吸着素子(2C)におけるハニカムは、通常、セラミックス繊維とパルプなどを混抄したセラミックシートをコルゲート加工した波型シートと、平面シートを交互積層または捲回することにより得られる。このようにして得られるハニカムは、ガスの流れ方向に直線の孔を有することから圧力損失が少ない。断面形状は略三角形となり、ピッチが1〜4mm、波高さが1.5〜5mmが好ましく、より好ましくはピッチが1.5〜3.5mm、波高さが2〜4mmの範囲にあるものが良い。ピッチが1mm未満、波高さが1.5mm未満の場合、ハニカムのガス通気孔が小さいため、圧力損失が大きくなり不利である。またピッチが4mmを越えて、波高さが5mmを越える場合は、接触効率が悪くなり結果として除湿性能が悪化する可能性がある。
デシカント空調装置に用いられるハニカムローターの場合、回転軸と平行にハニカムの孔を有する円盤状のセラミックハニカムの外径は、通常10〜450cmで、流れ方向の長さは2〜50cmが好ましく、通常は外径20〜300cmで、流れ方向の長さは5〜40cmの範囲にあるものがより好ましい。
吸着材を固着させるためのバインダーとしては、有機系、無機系バインダーのいずれでも良いが、例えば、有機系バインダーとしては、アクリル樹脂、酢ビ系樹脂、スチレン系樹脂、各種共重合樹脂、オレフィン系樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン系樹脂などの樹脂成分を有機溶剤に溶解した接着剤、あるいはアクリル系樹脂エマルジョン、酢ビ系樹脂エマルジョン、スチレン系樹脂エマルジョン、各種共重合樹脂エマルジョン、オレフィン系樹脂エマルジョン、エポキシ系樹脂エマルジョン、ウレタン系樹脂エマルジョン、フェノール樹脂エマルジョン等の樹脂成分をエマルジョン化したエマルジョン系接着剤が挙げられる。無機系のバインダーとしては、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾルなどが挙げられる。これらに熱伝導性の良い金属繊維、炭素繊維などの繊維状物質やアルミ、銅、銀などの金属粉体やグラファイト等を添加しても良い。これらの中で吸着材を固着させるバインダーとしては、メソポアを形成し易い点で無機系のバインダーが好ましい。メソポアを一層形成し易くする観点からは、シリカゾルがより好ましい。
また、セピオライト、イモゴライトなどの粘土や繊維状無機化合物を添加させることも、固着性の向上やメソポアの生成による高湿度領域での吸着量の増加に有効である。これらの中で、ハニカム状担体に固着させる場合は、メソポアをより生成し易い点で無機系のバインダーが好ましい。中でもシリカゾルが好ましい。
吸着素子の製造:
吸着素子の製造方法は、製造される素子が本発明の吸着性能を満足する限り特に限定されないが、通常、担体に、吸着材、バインダー、水などの溶剤からなる水系分散液を塗布するか、担体を上記水系分散液に浸漬させる等の方法により添着した後、乾燥または焼成することにより製造される。なかでも、担体を水系分散液に浸漬させる方法がメソポアを生成し易い点で好ましい。
この水系分散液には、本発明の効果を損なわない程度に安定剤などの他の物質が添加されても良い。水系分散液の上記3成分の配合割合は、通常、吸着材が5〜60重量%、バインダーが0.1〜50重量%、溶剤が30〜94.9重量%の範囲である。好ましくは、吸着材が10〜45重量%、バインダーが1〜30重量%、溶剤が40〜80重量%の範囲である。更には、吸着材に対する溶剤の重量比率は、通常は1〜20%、好ましくは1.25〜5%の範囲にあり、バインダーの量が吸着材の量を超えないことが好ましい。
水系分散液に占める吸着材とバインダの固形分重量は通常20〜50重量%、吸着材に対するバインダ固形分の割合は0.05〜1が好ましく、より好ましくは固形分が25〜45重量%でバインダの割合が0.1〜0.6の範囲である。固形分重量が20重量%未満の場合は除湿性能が不足する可能性があり、50重量%を越える場合は、担時困難でハニカム孔が閉塞し圧力損失が増大する可能性がある。吸着材に対するバインダ固形分の割合が0.05未満の場合は、吸着材の剥離を生じる可能性があり、バインダ固形分の割合が0.6を越える場合は除湿性能が悪化する恐れがある。
乾燥温度は通常50〜140℃、好ましくは90〜140℃である。焼成の場合は200〜700℃、好ましくは300〜600℃である。
吸着材の目付け量は、通常、吸着素子に対して、30〜250kg/mかつ20〜900g/kgであり、好ましくは、メソポアを形成し易い目付量である40〜180kg/m、かつ30〜600g/kgである。
目付け量が少なすぎると、十分な吸着量が得られない。また多すぎる場合は、メソポアが形成され難く、目詰まりや、水蒸気や処理空気の通風において抵抗となったりして十分な性能が出ない。
製造例1:
FAPO−5の合成:
水38gと85%リン酸17.5gの混合物に、擬ベーマイト(25%水含有、サソール製)9.5gを加えて攪拌した。これを3時間攪拌し、これに硫酸第一鉄7水和物6.78gを水37gに溶かした水溶液を加え、さらにトリエチルアミン10.8gを混合して3時間攪拌して、出発反応混合物を得た。これをテフロン(登録商標)製内筒の入った200ccのステンレス製オートクレーブに仕込み、静置状態で190℃10時間反応させた。反応後冷却して、デカンテーションにより上澄みを除いて、沈殿物を回収した。その沈殿物を水で3回洗浄して、100℃のオーブンに入れて乾燥した。その後、乾式で平均5ミクロンまで粉砕した。こうして得られたテンプレート含有のサンプル3gを縦型の石英管に入れて、200ml/分の5vol%酸素含有の窒素気流下、1℃/分で550℃まで昇温し、そのまま550℃で6時間焼成した。
こうして得られた結晶性鉄アルミノフォスフェートのXRD(Cu−Kα線使用)を測定した。その結果、AFI型のFAPO−5であった。また、塩酸水溶液で加熱溶解させ、ICP分析により、元素分析を行ったところ、骨格構造のAlとPとFeの合計に対する各成分の構成割合(モル比)は、Fe/Al/P=4.2/46.6/49.2%であった。
製造例2:
SAPO−34の合成:
水130gに85%リン酸65.5gを加え、これに擬ベーマイト(25%含水、サソール製)43gをゆっくり加え、3時間攪拌した。これをA液とする。これとは別に、fumedシリカ(アエロジル200)3.8g、モルホリン27.5g、トリエチルアミン32.1g、水185gを混合した液を調製した。これをA液に攪拌しながらゆっくりと加えた。これをさらに3時間攪拌した。この混合物をテフロン(登録商標)内筒入りの1Lステンレス製オートクレーブに仕込み、300rpmで攪拌しながら190℃48時間反応させた。反応後、冷却し、デカンテーションにより上澄みを除いて沈殿物を回収した。その後水洗し、100℃で乾燥した。その後、乾式で平均6ミクロンまで粉砕した。
こうして得られたテンプレート含有のサンプル3gを縦型の石英管に入れて、100ml/分の空気気流下、1℃/分で550℃まで昇温し、そのまま550℃で6時間焼成した。こうして得られた結晶性シリコアルミノフォスフェートのXRD(Cu−Kα線使用)を測定した。その結果CHA型のSAPO−34であることがわかった。また、塩酸水溶液で加熱溶解させ、ICP分析により、元素分析を行ったところ、骨格構造のAlとPとSiの合計に対する各成分の構成割合(モル比)は、Si/Al/P=8.2/49.8/42.0%であった。
製造例3:
AIPO−5の合成:
水38gと85%リン酸17.5gの混合物に、擬ベーマイト(25%水含有、サソール製)10.3gを加えて攪拌した。これを3時間攪拌し、これに水37gを加え、さらにトリエチルアミン6.8gを混合して3時間攪拌して、出発反応混合物を得た。これをテフロン(登録商標)製内筒の入った200ccのステンレス製オートクレーブに仕込み、静置状態にて190℃で12時間反応させた。反応後冷却して、デカンテーションにより上澄みを除いて、沈殿物を回収した。その沈殿物を水で3回洗浄して、100℃のオーブンに入れて乾燥した。その後、乾式で平均5ミクロンまで粉砕した。こうして得られたテンプレート含有のサンプル3gを縦型の石英管に入れて、200ml/分の5vol%酸素含有の窒素気流下、1℃/分の昇温速度で550℃まで昇温し、そのまま550℃で6時間焼成した。
こうして得られた結晶性鉄アルミノフォスフェートのXRD(Cu−Kα線使用)を測定した。その結果、AFI型のAIPO−5であった。
実施例1:
平均粒径が5μmのFAPO−5を40g、バインダーとして触媒化成工業(株)のシリカゾル Cataloid S−20L(SiOとして20wt%)を85.7g、水17.2gを混合したスラリーを調製した。
吸着材を担時するハニカムは、縦50mm 横50mm 高さ10mmのサイズで、セラミックス繊維シートを用いピッチ3.4mm 波高さ2.0mmの略三角形の孔を有するようコルゲート加工し積層したものである。
このハニカムを前記水スラリーに浸漬、その後引き上げて、液きりを行い、FAPO−5を含浸させた。これを140℃のオーブンに120分間入れて乾燥し、吸着素子を作った。重量測定から、FAPO−5の含有量は吸着素子に対して406g/kgであった。体積あたりの重量は、99.3kg/mである。
この吸着素子の一部について約5mm四方に切り取って25℃における水蒸気の吸着等温線を測定した。吸着等温線の測定は、日本ベル(株)社製の容量法の装置である“ベルソープ18”(商品名)を使用し、前処理を5Pa以下の真空条件下、120℃の温度で5時間行った後、50℃の空気恒温槽において、吸着温度25℃、初期導入圧力3torr、飽和蒸気圧23.755torr、平衡時間500秒の条件で行った。その結果を図1に示す。
吸着等温線より求められる吸着素子の重量当たりの相対湿度0.7と0.9における吸着量差は0.068g/gであり、相対湿度0.72と0.9における吸着量差は0.063g/gであり、相対湿度0.05と0.28における吸着量差は0.079g/gであり、相対湿度0.07と0.28における吸着量差は0.076g/gである。
実施例2:
平均粒径が6μmのSAPO−34を40g、バインダーとして触媒化成工業(株)のシリカゾル Cataloid S−20L(SiOとして20wt%)を107.7g、水10gを混合したスラリーを調製した。
実施例1と同じセラミックハニカムをこの水スラリーに浸漬、その後引き上げて、液きりを行い、SAPO−34を含浸させた。これを140℃のオーブンに120分間入れて乾燥し、吸着素子を作った。重量測定から、SAPO−34の含有量は吸着素子に対して350g/kgであった。体積あたりの重量は、76.2kg/mである。
この吸着素子の一部について実施例1と同様に25℃における水蒸気の吸着等温線を測定した。その結果を図2に示す。これにより吸着素子の重量当たりの相対湿度0.7と0.9における吸着量差は0.062g/gであり、相対湿度0.72と0.9における吸着量差は0.060g/gであり、相対湿度0.05と0.28における吸着量差は0.083g/gであり、相対湿度0.07と0.28における吸着量差は0.069g/gである。
実施例3:
平均粒径が5μmのAIPO−5を40g、バインダーとして触媒化成工業(株)のシリカゾル Cataloid S−20L(SiOとして20wt%)を107.7g、水10gを混合したスラリーを調製した。
実施例1と同じセラミックハニカムをこの水スラリーに浸漬、その後引き上げて、液きりを行い、AIPO−5を含浸させた。これを140℃のオーブンに120分間入れて乾燥し、吸着素子を作った。重量測定から、AIPO−5の含有量は吸着素子に対して380g/kgであった。体積あたりの重量は、93.2kg/mである。
この吸着素子の一部について実施例1と同様に25℃における水蒸気の吸着等温線を測定した。その結果を図3に示す。これにより吸着素子の重量当たりの相対湿度0.7と0.9における吸着量差は0.070g/gであり、相対湿度0.72と0.9における吸着量差は0.060g/gであり、相対湿度0.05と0.28における吸着量差は0.072g/gであり、相対湿度0.07と0.28における吸着量差は0.069g/gである。
比較例1:
平均粒径が1μmの市販のY型のアルミノシリケートゼオライト(シリカアルミナ比5)を40g、バインダーとして触媒化成工業(株)のシリカゾル Cataloid S−20L(SiOとして20wt%)を107.7g、水10gを混合したスラリーを調製した。
実施例1と同じセラミックハニカムをこの水スラリーに浸漬、その後引き上げて、液きりを行い、Yゼオライトを含浸させた。これを140℃のオーブンに120分間いれて乾燥し、吸着素子を作った。重量測定から、Yゼオライトの含有量は吸着素子に対して348g/kgであった。体積あたりの重量は、75.8kg/mである。
この吸着素子の一部について実施例1と同様に25℃における水蒸気の吸着等温線を測定した。その結果を図3に示す。これにより吸着素子の重量当たりの相対湿度0.7と0.9における吸着量差は0.047g/gであり、相対湿度0.72と0.9における吸着量差は0.044g/gであり、相対湿度0.05と0.28における吸着量差は0.030g/gであり、相対湿度0.07と0.28における吸着量差は0.022g/gであり、低湿側、高湿側ともに吸着量は不十分であることがわかる。
比較例2:
(シリカ素子)
実施例1と同じセラミックハニカムをケイ酸ソーダ(3号)水溶液に浸漬し、その後引き上げて、水きりを行い、水洗後、150℃で乾燥してシリカの含浸を行い、吸着素子を作った。シリカの含有量は、吸着素子に対して420g/kgであった。体積あたりの重量は、88kg/mであった。
この吸着素子の一部について実施例1と同様に25℃における水蒸気の吸着等温線を測定した。その結果を図5に示す。これにより吸着素子の重量当たりの相対湿度0.7と0.9における吸着量差は0.025g/gであり、相対湿度0.72と0.9における吸着量差は0.024g/gであり、相対湿度0.05と0.28における吸着量差は0.041g/gであり、相対湿度0.07と0.28における吸着量差は0.036g/gであり、低湿側、高湿側ともに吸着量は不十分であることがわかる。
除湿実験:
低湿度環境と高湿度環境において、実施例1のFAPO−5を担持させたロータ(吸着素子)と、実施例2のシリカを担持させたロータ(吸着素子)について、除湿性能を比較した。
実施例4:
FAPO−5・ロータの作成:
実施例1と同様に、ピッチ3.4mm、波高さ2.0mmの略三角形の孔を構成する様に、セラミック繊維シートをコルゲート加工し、これを捲回して円盤状のハニカムを形成した。このハニカムにFAPO−5を実施例1と同様の方法で含浸させ、後処理を行い、FAPO−5・ロータの作成した。ハニカムの大きさは、直径300mm、内径44mm、厚さ200mmである。FAPO−5の含有量は、ロータに対して300g/kg、体積あたりの重量は、75kg/mであった。
比較例3:
シリカ・ロータの作成:
実施例1と同様に、ピッチ3.4mm、波高さ2.0mmの略三角形の孔を構成する様に、セラミック繊維シートをコルゲート加工し、これを捲回して円盤状のハニカムを形成した。次に、ケイ酸ソーダ水溶液を含浸させ、液きりをした後にゲル化処理を行った。処理後、十分に水洗し、150℃で乾燥させた。得られたシリカ・ロータは、ハニカム部分が直径300mm、内径44mm、厚さ200mmである。シリカゲルの含有量は480g/kg、体積あたりの重量は、100kg/mであった。
除湿実験方法:
ロータ有する除湿装置を用い、次式で示す除湿量Gを求めた。この測定は、装置の運転開始から1時間経過後に吸着と脱着が十分に繰り返され、処理がスの出口絶対湿度が安定して変化しなくなってから測定した。ロータの回転数は24rpmとした。測定条件である低湿度環境条件および高湿度環境条件は次表の通りである。そして、測定の結果、以下の表に示す結果が得られた。
実施例1で得られた吸着素子の水蒸気吸着等温線である。 実施例2で得られた吸着素子の水蒸気吸着等温線である。 実施例3で得られた吸着素子の水蒸気吸着等温線である。 比較例1で得られた吸着素子の水蒸気吸着等温線である。 比較例2で得られた吸着素子の水蒸気吸着等温線である。 本発明の吸着素子の一形態であるシート状の吸着素子を示す部分的な斜視図である。 本発明の吸着素子の他の形態であるシート状の吸着素子を示す部分的な斜視図である。 本発明の吸着素子の更に他の形態であるプレートフィン型の吸着素子を示す斜視図である。 本発明の吸着素子の更に他の形態であるコルゲートフィン型の吸着素子を示す斜視図である。 本発明の吸着素子の更に他の形態である円柱状ハニカム構造のローター型の吸着素子を示す斜視図およびセルの形状を示す部分拡大図である。
符号の説明
1 :吸着素子
1a:吸着素子
1b:吸着素子
12:基材シート
13:吸着材層
2A:吸着素子
2B:吸着素子
2C:吸着素子
3 :熱媒流路
4 :熱媒流路
41:入口側ヘッダー
42:出口側ヘッダー
50:セル

Claims (6)

  1. 担体に吸着材をバインダーにより固着させてなる吸着素子であって、吸着材が、骨格構造に少なくともAlとPを含む結晶性アルミノフォスフェート類であり、バインダーが無機系バインダーであり、吸着素子に対する吸着材の目付け量が30〜250kg/m であり、かつ、吸着素子の25℃の吸着等温線における相対湿度90%での吸着量と相対湿度70%での吸着量の差が0.05g/g以上であり、かつ、相対湿度5%での吸着量と相対湿度28%での吸着量の差が0.05g/g以上であることを特徴とする吸着素子。
  2. 担体が繊維状物質である請求項に記載の吸着素子。
  3. 担体がセラミックス繊維である請求項1又は2に記載の吸着素子。
  4. 吸着素子の形状がハニカムである請求項1〜3の何れかに記載の吸着素子。
  5. 吸着材の目付量が、吸着素子に対して40〜180kg/m 、かつ30〜600g/kgであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の吸着素子。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の吸着素子を用いることを特徴とする調湿用空調装置。
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