JP2006175300A - シート状積層体およびその製造方法ならびに吸着素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 吸着・脱着能力に優れ、吸着素子を一層小型化し得るシート状積層体およびその製造方法、並びに、吸着ヒートポンプや調湿システムの吸着装置に使用される吸着素子を提供する。
【解決手段】 シート状積層体(1A)は、伝熱シート(2)に吸着層(3)を積層して構成され、吸着層(3)は、繊維状保持材に粉体状の吸着材をバインダーにより保持させて成る。シート状積層体の製造方法においては、伝熱シートに繊維状保持材を貼着し、粉体状の吸着材とバインダーとから成るスラリーを繊維状保持材に含浸させる。或いは、上記のスラリーを繊維状保持材に含浸させ、当該繊維状保持材を伝熱シートに貼着する。また、吸着素子は、板状に形成された複数のシート状積層体を配列し、これらに一筋の熱媒流路を貫通して構成される。また、吸着素子は、入口側ヘッダーと出口側ヘッダーを繋ぐ複数の直管状の熱媒流路の間にジグザグ帯状の吸着素子を挿入して構成される。
【選択図】 図1
【解決手段】 シート状積層体(1A)は、伝熱シート(2)に吸着層(3)を積層して構成され、吸着層(3)は、繊維状保持材に粉体状の吸着材をバインダーにより保持させて成る。シート状積層体の製造方法においては、伝熱シートに繊維状保持材を貼着し、粉体状の吸着材とバインダーとから成るスラリーを繊維状保持材に含浸させる。或いは、上記のスラリーを繊維状保持材に含浸させ、当該繊維状保持材を伝熱シートに貼着する。また、吸着素子は、板状に形成された複数のシート状積層体を配列し、これらに一筋の熱媒流路を貫通して構成される。また、吸着素子は、入口側ヘッダーと出口側ヘッダーを繋ぐ複数の直管状の熱媒流路の間にジグザグ帯状の吸着素子を挿入して構成される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、シート状積層体およびその製造方法ならびに吸着素子に関するものであり、詳しくは、吸着材によって熱移動を行う吸着ヒートポンプや除湿・加湿を行う調湿システムの吸着装置に使用される吸着素子を構成するための吸着能力に優れたシート状積層体およびその製造方法、並びに、前記のシート状積層体によって構成され且つ一層小型化し得る吸着素子に関するものである。
周知の通り、吸着ヒートポンプやデシカントシステムは、吸着材の吸着および脱着機能を利用し、熱移動や湿度調節を行うシステムであり、例えばコジェネレーションシステムにおいて低温排熱を利用する各種の冷却装置、冷暖房装置、調湿装置に適用される。そして、上記の吸着ヒートポンプやデシカントシステムに使用される吸着装置については、昨今、その内部に収容され且つ吸着材を保持する吸着素子に関し、吸着能力を高め、装置の小型化を図るため、熱交換用フィン等に吸着材を直接塗布する技術が検討されている。
熱交換用フィンに吸着材を塗布した吸着素子としては、吸着式冷凍機の熱交換器に使用される素子であって、多数設けられたアルミニウムフィンに粘着性のアクリルバインダーを塗布した後、その表面に20〜35メッシュ(粒径が約450〜850μm)の粉体状シリカゲルを接着させた吸着素子が提案されている。
特開平7−301469号公報
また、吸着式冷凍機用吸着材として、シリカゲル、グラファイト及び有機バインダーを混合し、水を添加して分散させたスラリー状またはペースト状の吸着材が提案されている。そして、熱交換器(素子)として、伝熱パイプに多数の伝熱フィンを付設して成り、且つ、上記のスラリー状の吸着材に素子自体を浸漬させて風乾した後、更に略70℃で加熱乾燥した一体成形構造の熱交換器が提案されている。なお、スラリー状の吸着材には、42メッシュ以下(粒径が約350μm以上)のシリカゲルが使用されている。
特開平10−286460号公報
ところで、上記の様な熱交換フィンに吸着材を直接塗布した熱交換素子においては、多数のフィンと共に、各フィンの表面を空気や吸着質蒸気に曝すための通気空間が必要であり、素子の単位体積あたりの吸着、脱着能力を高め、装置の小型化を図るためには、各フィンにおける吸着・脱着量および吸着・脱着速度を出来る限り高める必要がある。そこで、上記の熱交換素子においては、350μm以上または約450μm以上と言う比較的大きな粒径のシリカゲルを選択し、フィンの表面に塗布している。
しかしながら、吸着材粒子の粒径を大きくした場合には、個々の粒子内部での水蒸気や吸着質蒸気の拡散速度が低下するため、粒子の大きさに比べて然程大きな吸着、脱着能力を発揮できないと言う問題がある。一方、個々の吸着材粒子において吸着、脱着能力をより高めると言う観点からは、吸着材粒子の粒径を出来る限り小さくするのが望ましいが、粒径を小さくした場合には、実際、フィンに付着させ得る吸着材の量が少なくなり、各フィンにおける吸着・脱着能力が極端に低くなるために実用できない。従って、上記の熱交換素子の熱交換フィン等に適用される様な素材においては、より小さな粒径で且つ一層多量の吸着材を保持し得る構造が望まれる。
本発明は、上記の実情に鑑みなされたものであり、その目的は、吸着ヒートポンプや調湿システムの吸着装置に使用される吸着素子を構成するシート状積層体であって、吸着・脱着能力に優れ、吸着素子を構成した場合にこれを一層小型化し得るシート状積層体、及び、その製造方法、並びに、前記のシート状積層体によって構成された小型化可能な吸着素子を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明においては、熱交換素子のいわゆる熱交換フィン等に使用されるシート状部材として、伝熱シートの表面に粉体状の吸着材を積層して吸着層を構成するにあたり、繊維状保持材を使用してこれに吸着材をバインダーによって固着させることにより、より小さな粒径の吸着材を一層多量に積層する様にした。
すなわち、本発明の第1の要旨は、吸着ヒートポンプ又は調湿システムの吸着装置用の吸着素子を構成するシート状積層体であって、伝熱シートの少なくとも片面に吸着層を積層して構成され、且つ、前記吸着層は、繊維状保持材に粉体状の吸着材をバインダーにより保持させて成ることを特徴とするシート状積層体に存する。
また、本発明の第2の要旨は、上記の第1の要旨に記載のシート状積層体の製造方法であって、伝熱シートに繊維状保持材を貼着し、粉体状の吸着材とバインダーとから成るスラリーを前記繊維状保持材に含浸させることを特徴とするシート状積層体の製造方法に存する。
更に、本発明の第3の要旨は、上記の第1の要旨に記載のシート状積層体の製造方法であって、粉体状の吸着材とバインダーとから成るスラリーを繊維状保持材に含浸させ、当該繊維状保持材を伝熱シートに貼着することを特徴とするシート状積層体の製造方法に存する。
また、本発明の第4の要旨は、上記の第1の要旨に記載のシート状積層体を複数使用して構成され且つ前記各シート状積層体が板状に形成された吸着素子であって、一筋の熱媒流路を備え、前記各シート状積層体は、これらの各板面が平行かつ並列になる様に一定の通気空間を介して配列され、しかも、前記熱媒流路は、前記各シート状積層体を貫通した状態に配置され且つ前記各シート状積層体に接触していることを特徴とする吸着素子に存する。
そして、本発明の第5の要旨は、上記の第1の要旨に記載のシート状積層体を複数使用して構成され且つ前記各シート状積層体がその長手方向に沿ってジグザグに屈曲する波板状に形成された吸着素子であって、入口側ヘッダー及び出口側ヘッダーと、これらの間に平行かつ並列に架け渡された複数の直管状の熱媒流路とを備え、前記各シート状積層体は、その長手方向を前記熱媒流路に沿わせ且つ各隣接する熱媒流路の間に挿入され、当該シート状積層体の凹部が通気空間とされ、しかも、前記各熱媒流路は、これに隣接する前記シート状積層体の各凸部に接触していることを特徴とする吸着素子に存する。
本発明のシート状積層体によれば、繊維状保持材に粉体状の吸着材をバインダーにより保持させて吸着層が構成されており、吸着層において例えば粒径が10μm以下と言ったより小さな粒径の吸着材を多量に積層することが出来るため、吸着・脱着能力に優れており、吸着素子を構成した場合にこれを一層小型化することが出来る。また、本発明に係るシート状積層体の製造方法によれば、粉体状の吸着材とバインダーとから成るスラリーを繊維状保持材に含浸させることにより、より小さな粒径の吸着材が多量に積層された吸着層を形成できるため、吸着・脱着能力に優れたシート状積層体を容易に製造することが出来る。そして、本発明の吸着材素子は、上記の吸着・脱着能力に優れたシート状積層体を使用して構成されるため、一層小型化することが出来る。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るシート状積層体の一形態の構造を示す部分的な斜視図であり、図2は、本発明に係るシート状積層体の他の形態の構造を示す部分的な斜視図である。図3は、本発明に係る吸着素子の一形態を示す斜視図であり、図4は、図3の吸着素子におけるシート状積層体の配置間隔と吸着層の厚さの関係をシート状積層体の板面に直交する方向に破断して示す部分断面図である。図5は、本発明に係る吸着素子の他の形態を示す斜視図であり、図6は、図5の吸着素子におけるシート状積層体の屈曲ピッチと吸着層の厚さの関係をシート状積層体の長手方向に沿って且つ板面に直交する方向に破断して示す部分断面図である。
先ず、本発明のシート状積層体について説明する。本発明のシート状積層体は、図1及び図2中に符号(1)で示されており、斯かるシート状積層体(1)は、吸着ヒートポンプにおいて吸着材により吸着質の吸着・脱着操作を行う吸着装置、又は、調湿システムにおいて吸着材により水蒸気の吸着・脱着操作を行う吸着装置に適用される吸着素子(図3中に符号(4A)、図5中に符号(4B)でそれぞれ示す様な素子)を構成するための部材である。
周知の通り、吸着ヒートポンプは、吸着材の吸着・脱着現象に付随して起こる水、アルコール類などの吸着質の相変化を利用して熱を汲み上げるシステムであり、補助動力を用いることなく、低質熱エネルギーを熱源として作動させ得るため、省エネルギー化が求められるコジェネレーションシステム等の各種のシステムに適用して冷熱または温熱を生成することが出来る。
また、調湿システムは、倉庫内などの冷却を目的としたデシカント冷却装置を始め、建物の設備として設置される大型のデシカント空調装置、室内に設置される小型の除湿器や加湿器を含む除湿空調装置や加湿空調装置などとして構成され、吸着材の吸着・脱着作用を利用し、湿度調節すべき室内の空気または室内へ供給される空気から水分を除去してこれを屋外に排出したり、屋外の空気または屋外へ排出される空気から水分を吸着してこれを湿度調節すべき室内の空気または室内へ供給されるに供給するシステムであり、余剰の低質熱エネルギーを利用して湿度調節を行うことが出来る。
本発明のシート状積層体(1)は、吸着装置の構造に応じて種々の形状に形成できるが、例えば、図1に示す様な板状のシート状積層体(1A)、図2に示す様な長手方向に沿ってジグザグに屈曲する帯状のシート状積層体(1B)として形成される。図1に示すシート状積層体(1A)は、図3に示す様な所謂プレートフィン型の吸着素子(4A)を構成するものであり、図2に示すシート状積層体(1B)は、図5に示す様な所謂コルゲートフィン型の吸着素子(4B)構成するものである。そして、各シート状積層体(1)は、伝熱シート(2)の少なくとも片面に吸着層(3)を積層して構成される。通常は、吸着量を大きくするため、伝熱シート(2)の両面に吸着層(3)を積層して構成される。
伝熱シート(2)は、後述する吸着素子(4A),(4B)の熱媒流路(5),(7)を流れる熱媒体と吸着材との間で熱を伝達するための部材であり、シート状積層体(1A),(1B)の形状を保持するに足る剛性を備え、且つ、前記の熱媒流路(5),(7)との効率的な熱交換が可能な限り、各種の材料で構成できる。伝熱シート(2)の構成材料としては、金属、セラミックス、炭素材料などが挙げられるが、通常は、剛性、熱伝導度、製作コストの観点から、伝熱シート(2)は、アルミニウム、銅、真鍮、鉄、クロム、ニッケル、スチール、これらの合金などの金属によって構成される。中でも、アルミニウム又はアルミニウム合金、銅または銅合金が好ましい。
図3に示す様なプレートフィン型の吸着素子(4A)に使用されるシート状積層体(1A)の場合、伝熱シート(2)の形状(板面形状)は、吸着装置の構造によって円形、楕円形、正方形など各種の形状に形成できるが、例えば図1に示す様に長方形に形成される。斯かる伝熱シート(2)の場合、通常、1辺の長さは1〜100cm程度とされる。また、伝熱シート(2)には、吸着素子(4A)を制作する際に熱媒流路(5)としての配管を挿通するため、当該配管がきつく嵌合する程度の直径の配管挿通孔(10)が設けられる。なお、伝熱シート(2)は、シート状積層体(1A)を構成する場合、吸着材の保持量を大きくするため、波板に形成されてもよい。
また、図5に示すコルゲート型の吸着素子(4B)に使用されるシート状積層体(1B)の場合、伝熱シート(2)は、例えば図2に示す様に細幅の帯状に形成される。斯かる伝熱シート(2)の場合、通常、幅は1〜10cm程度、長さは1〜500cm程度とされる。
伝熱シート(2)の厚さは、特に制限は無いが、強度や吸着層(3)の厚さの関係から、図1に示すシート状積層体(1A)、図2に示すシート状積層体(1B)の何れの場合も、通常は50〜300μm、好ましくは100〜200μmに設定される。また、伝熱シート(2)は、その表面を保護する観点から、予め、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フッ素系樹脂などの薄い樹脂膜によってコーティングされてもよい。
本発明においては、より多量の粉体状の吸着材を伝熱シート(2)表面に付着させるため、吸着層(3)は、繊維状保持材に粉体状の吸着材をバインダーにより保持させて構成される。本発明においては、繊維状保持材を使用して吸着層(3)を構成することにより、伝熱シート(2)の表面に吸着材を所望の厚さで確実に固定でき、そして、吸着材の粒子間に適当な空間を生み出すことが出来、吸着・脱着する水蒸気や吸着質蒸気の拡散を促進することが出来る。
本発明において、繊維状保持材とは、無機あるいは有機の細長い形状をした繊維状物質の集合体を指し、それらは互いに絡み合っていてもよい。例えば、アスペクト比の大きなフィラーや、不織布なども「繊維状」の概念に包含される物質である。
具体的に、繊維状保持材を構成する材料としては、シリカ・アルミナを主成分としたセラミック繊維、ガラス繊維、PANやタールなど炭素を含む原料から製造された炭素繊維、繊維状の粘土物質などから成る鉱物系繊維、有機ケイ素ポリマーから製造された有機ケイ素系繊維、FeやCu、Al,Cr、Niなどの金属から製造された金属繊維などが挙げられる。化学繊維としては、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリクラール、ナイロン、レーヨン、ビニロン、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、アセテート、ポリエステル等の繊維が挙げられる。また、セルロース、絹、木綿等の天然系繊維を使用することも出来る。
特に、成形性、取扱性、製造コストを考慮すると、上記の繊維状保持材の材料としては、不織布が好ましい。斯かる不織布としては、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ビニロン、キュプラ、芳香族ポリアミドなどの化学繊維系の不織布が挙げられる。そして、上記の様な化学繊維系の不織布は、単独の繊維から成るもの又は2種以上の繊維を積層したものの何れでもよい。周知の通り、不織布は、湿式法、乾式法、スパンボンド法、メルトブロー法、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法などの製法によって製造される。上記の繊維状保持材の常態厚さは、通常は50〜1000μm、好ましくは100〜800μm、更に好ましくは200〜600μmである。
上記のバインダーは、吸着層(3)において繊維状保持材に吸着材を接着し、伝熱シート(2)に吸着層(3)を接着するために使用される。具体的には、有機系のバインダーとして、アクリル樹脂、酢ビ系樹脂、スチレン系樹脂、各種共重合樹脂、オレフィン系樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン系樹脂などの樹脂成分を有機溶剤に溶解した接着剤、或いは、アクリル系樹脂エマルジョン、酢ビ系樹脂エマルジョン、スチレン系樹脂エマルジョン、各種共重合樹脂エマルジョン、オレフィン系樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン、フェノール樹脂エマルジョン等の樹脂成分をエマルジョン化したエマルジョン系接着剤が挙げられる。
上記の様なバインダーの中、後述する様にスラリーから吸着層(3)を形成する際のスラリーの安定性、耐熱性やスラリーの粘度調整の観点から種々のものを選択することが出来るが、特に熱的安定性の観点からは、エポキシ樹脂系の接着剤、より具体的にはエポキシ樹脂系のエマルジョン系接着剤が好ましい。なお、繊維状保持材の材料や吸着層(3)の成形法によっては2種以上の接着剤を使用してもよい。
また、無機系のバインダとしては、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾルが挙げられる。更に、有機系、無機系バインダー(後述するスラリー)には、吸着層(3)の熱伝導を向上させるため、熱伝導率の良い金属繊維、炭素繊維などの繊維状物質やアルミ、銅、銀などの金属粉体やグラファイト等を添加されてもよい。なお、上記の様なバインダーは、液体に限らず、高粘度のペースト状の物質でもよい。
吸着層(3)を構成する吸着材としては、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、活性炭、高分子収着体、イオン交換樹脂などが挙げられる。中でも、吸着質蒸気および水蒸気を容易に吸着し且つ低温域で容易に脱着し得るゼオライトが好ましく、特に、骨格構造に少なくともAlとPを含む結晶性アルミノフォスフェート類が好ましい。吸着材個々の粒子における吸着質蒸気や水蒸気の拡散を高める観点から、吸着材の粒子の大きさは、通常は平均粒径が0.1〜300ミクロン、好ましくは0.5〜250ミクロン、更に好ましくは1〜200ミクロン、最も好ましくは2〜100ミクロンとされる。吸着材の目付量は5〜200g/m2である。
本発明に使用されるアルミノフォスフェート類(以下、ALPO類と適宜略記する)は、IZA(International Zeolite Association)の定める結晶性アルミノフォスフェートである。結晶性アルミノフォスフェートは、骨格構造を構成する原子がアルミニウム及びリンであり、その一部が他の原子で置換されていても良い。中でも、(I)アルミニウムがヘテロ原子(Me1:但し、Me1は周期表第三または第四周期に属し、2A族、7A族、8族、1B族、2B族、3B族(Alのぞく)の元素から選ばれる少なくとも一種類の元素を示す。)で一部置換されたMe−アルミノフォスフェート、(II)リンがヘテロ原子(Me2:但し、Me2は周期表第三または第四周期に属する4B族元素)で置換されたMe−アルミノフォスフェート、或いは、(III)アルミニウムとリンの両方がヘテロ原子(それぞれMe1、Me2)で置換されたMe−アルミノフォスフェートが吸着特性の点から好ましい。
Meは、1種でも2種以上含まれていても良い。好ましいMe(Me1,Me2)は、周期表第3、第4周期に属する元素である。Me1は2価の状態でイオン半径が3以上、0.8nm以下であるのが好ましく、更に好ましくは2価、4配位の状態でイオン半径が0.4以上、7nm以下である。上記の中でも、合成の容易さ、吸着特性の点から、Fe,Co,Mg,Znから選ばれる少なくとも一種類の元素であるのが好ましく、特にFeであるのが好ましい。Me2は、周期表第三または第四周期に属する4B族元素であり、好ましくはSiである。
また、上記のアルミノフォスフェート類としては、通常、そのフレームワーク密度(FD)が13T/nm3以上で且つ20T/nm3以下のものが使用される。フレームワーク密度の下限は、好ましくは13.5T/nm3以上であり、更に好ましくは14T/nm3以上である。一方、フレームワーク密度の上限は、好ましくは19T/nm3以下である。フレームワーク密度が上記の範囲未満では、構造が不安定となる傾向があり、耐久性が低下する。一方、フレームワーク密度が上記の範囲を越えると、吸着容量が小さくなり、吸着材としての使用に適さなくなる。なお、フレームワーク密度(単位:T/nm3)とは、単位体積(nm3)あたりに存在するT原子(ゼオライト1nm3当たりの酸素以外の骨格を構成する元素の数)を意味する。
アルミノフォスフェート類の構造としては、IZAが定めるコードで示すと、AEI、AEL、AET、AFI、AFN、AFR、AFS、AFT、AFX、ATO、ATS、CHA、ERI、LEV、VFIが挙げられる。中でも、吸着特性、耐久性の点からは、AEI、AEL、AFI、CHA、LEVの構造を備えたものが好ましく、特に、AFI、CHAの構造を備えたものが好ましい。
吸着材としては、上記の様なアルミノフォスフェート類の中、SAPO−34、FAPO−5が特に好ましい。また、1種または2種以上のALPO類を組み合わせて使用することも出来る。なお、FAPO及びSAPOは、製造条件は特に限定さないが、通常、アルミニウム源、リン源、必要に応じてSi,Fe等のMe源、および、テンプレートを混合した後、水熱合成して製造される。また、ALPO類は、例えば特公平1−57041、特開2003−183020、特開2004−136269等の公報に記載の公知の合成法を利用して合成することが出来る。
上記の様な本発明のシート状積層体(1A),(1B)は、繊維状保持材に粉体状の吸着材をバインダーにより保持させて吸着層(3)が構成されており、吸着層(3)において例えば粒径が10μm以下と言ったより小さな粒径の吸着材を多量に積層することが出来るため、吸着・脱着能力に優れており、吸着素子(4A),(4B)を構成した場合にこれを一層小型化することが出来る。しかも、本発明のシート状積層体(1A),(1B)においては、繊維状保持材の材料の選択、厚さ、密度の設定により、吸着層(3)の厚さ及び吸着材の量を吸着素子(4A),(4B)の構造や運転条件に応じて所望の厚さ及び量に簡単に調節できる。
次に、本発明に係るシート状積層体(1)の製造方法について説明する。シート状積層体(1)の製造方法としては、次の様な2つの方法が挙げられる。すなわち、第1の方法は、伝熱シート(2)に繊維状保持材を貼着し、粉体状の吸着材とバインダーとから成るスラリーを前記の繊維状保持材に含浸させることにより、伝熱シート(2)の表面に吸着層(3)を構成する方法であり、また、第2の方法は、粉体状の吸着材とバインダーとから成るスラリーを繊維状保持材に含浸させ、当該繊維状保持材を伝熱シート(2)に貼着することにより、伝熱シート(2)の表面に吸着層(3)を構成する方法である。
上記の第1の方法において、伝熱シート(2)は、繊維状保持材を貼着する前に予め所定形状に成形してもよいし、繊維状保持材を貼着した後に所定形状に成形してもよい。伝熱シート(2)に繊維状保持材を固定するには、粘着剤層が両面に設けられたいわゆる両面テープを伝熱シート(2)の表面にストライプ状に貼り付けるか、或いは、粘着剤を伝熱シート(2)の表面にストライプ状もしくは全面に塗布し、繊維状保持材を圧着するのが簡便である。
上記の両面テープとしては、不織布、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、カプトンフィルム、アクリルフォーム、銅箔、アルミ箔などの面状支持体の表面にアクリル系、ゴム系、シリコーン系などの粘着剤の層を設けたものが使用される。通常、面状支持体の厚さは4〜80μmであり、粘着剤層を含めた厚さは20〜100μmであるが、出来る限り薄いものが好ましい。また、両面テープとしては、面状支持体のない粘着剤のみから成るテープを使用することも出来る。両面テープを使用して伝熱シート(2)に繊維状保持材を貼着した場合は、両面テープの厚さに相当する空隙を伝熱シート(2)と繊維状保持材との間に設けることが出来、前記の空隙により一層多くの吸着材を保持できる。また、伝熱シート(2)の表面に粘着剤を塗布する場合は、粘着剤として、揮発しやすい有機溶剤にスチレンブタジェンゴムやアクリルゴムを溶解した粘着剤が使用される。
繊維状保持材に含浸させるスラリーは吸着材、バインダーおよび溶剤から成る。これ以外に、本発明の効果を損なわない程度に他の物質、例えば安定剤等が添加されてもよい。上記の例えば3成分からなるスラリーの配合割合は次の通りである。すなわち、吸着材が5〜60重量%、バインダーが0.1〜50重量%、溶剤が30〜94.9重量%の範囲である。好ましくは、吸着材が10〜45重量%、バインダーが1〜30重量%、溶剤が40〜80重量%の範囲である。更には、吸着材に対する溶剤の重量比率が1〜20%、好ましくは1.25〜5%の範囲にあり、バインダー量が吸着材の量を超えないことが好ましい。
スラリー中の吸着材、バインダーおよび溶剤の割合を上記の様に規定する理由は次の通りである。すなわち、溶剤に対する吸着材の割合が上限を超えた場合には、スラリー濃度が高過ぎて吸着材が円滑に含浸しない虞がある。逆に、下限を下回った場合には、一度に含浸できる吸着材の量が少なくなり非効率である。また、バインダー量が吸着材の量を超えた場合には、有効に利用されないバインダーが存在し、粒子同士の望ましくない凝集などを引き起こす虞がある。逆に、下限を下回った場合には、バインダーとしての機能を十分に果たすことが出来ない。
上記の様なスラリーを繊維状保持材に含浸させるには、繊維状保持材が貼着された伝熱シート(2)をスラリーに浸漬させるか、又は、伝熱シート(2)上の繊維状保持材にスラリーをスプレー塗布する。そして、スラリーを含浸させた後は、温風などによる乾燥処理を施し、伝熱シート(2)に吸着層(3)を形成する。
一方、上記の第2の方法においては、第1の方法におけるのと同様のスラリーを使用し、第1の方法と同様にしてスラリーを予め繊維状保持材に含浸させる。スラリーを含浸させた後は、スラリーが乾燥する前に、スラリー中のバインダーの接着力を利用して繊維状保持材を伝熱シート(2)に貼着する。そして、繊維状保持材を貼着した後は、上記と同様に乾燥処理を施し、伝熱シート(2)に吸着層(3)を形成する。また、伝熱シート(2)に貼着する前にスラリーを繊維状保持材に含浸させる方法においては、繊維状保持材を乾燥させた後、上記の様な両面テープや接着剤を使用し、乾燥した繊維状保持材を伝熱シート(2)に貼着することも出来る。
なお、シート状積層体(1)の製造においては、伝熱シート(2)を予め所定形状に成形せずに、例えば平板状またはロール状の素材形状のままの大面積の伝熱シート(2)を使用し、その表面に吸着層(3)を形成した後、所定形状に裁断成形してもよい。また、配管挿通孔(10)が開口された図1に示す様なシート状積層体(1A)の製造においては、穴開け加工が施された成形済みの伝熱シート(2)を使用することも出来るが、量産する場合は、通常、成形前の素材の状態のロール状の伝熱シート(2)(ロール状金属板)を自動フィンプレッサーに連続投入し、貼着すべき繊維状保持材ならびに粘着剤または両面テープをロール状金属板と共に巻き取ることにより繊維状保持材を圧着した後、パンチ装置により連続的に穴開け加工を施すのが効率的である。
上記の様な本発明に係るシート状積層体(1A),(1B)の製造方法によれば、粉体状の吸着材とバインダーとから成るスラリーを繊維状保持材に含浸させることにより、より小さな粒径の吸着材が多量に積層された吸着層(3)を伝熱シート(2)表面に形成できるため、吸着・脱着能力に優れた前述の様なシート状積層体(1A),(1B)を容易に製造することが出来る。
次に、上記のシート状積層体(1A),(1B)により構成された本発明の吸着素子(4A),(4B)について説明する。吸着素子は、前述の通り、吸着ヒートポンプや調湿システムの吸着装置に使用される。吸着ヒートポンプにおいて、吸着素子は、吸着質蒸気の出入口を備えたケーシングに収容され、真空閉鎖系を構成する蒸発器と凝縮器の間に吸着装置(吸着器)として配置される。また、調湿システムにおいて、吸着素子は、開放型のケーシングに収容され、空気の流通流路に吸着装置(デシカント装置)として配置される。本発明においては、前述のシート状積層体(1A)を使用した図3に示す様な吸着素子(4A)と、前述のシート状積層体(1B)を使用した図5に示す吸着素子(4B)の2つの態様を例示することが出来る。
図3に示す吸着素子(4A)は、所謂プレートフィン型の吸着装置を構成する素子であり、上記の図1に示す様な板状に形成されたシート状積層体(1A)を複数使用して構成される。具体的には、吸着素子(4A)は、例えば、図示する様に平板状に形成されたシート状積層体(1A)と、熱媒体(温熱媒体および冷熱媒体)が流れる一筋の熱媒流路(5)とを備えている。
吸着素子(4A)において、シート状積層体(1A)は、その形状、面積および吸着装置の能力にもよるが、通常は5〜50枚程度使用され、各シート状積層体(1A)は、これらの各板面が平行かつ並列になる様に、一定の微小な通気空間(40)(図4参照)を介して配列される。そして、熱媒流路(5)は、各シート状積層体(1A)を貫通した状態に配置される。しかも、熱媒流路(5)は、各シート状積層体(1A)に接触した状態に配置される。
熱媒流路(5)は、断面が円形の管によって構成され、その構成材料としては、伝熱シート(2)と同様に、剛性、熱伝導度、製作コストの観点から、通常、アルミニウム、銅、真鍮、鉄、クロム、ニッケル、スチール、これらの合金などの金属が挙げられる。中でも、アルミニウム又はアルミニウム合金、銅または銅合金が好ましい。吸着装置の能力にもよるが、通常、熱媒流路(5)を構成する管の外径は6〜20mm程度、管の肉厚は0.2〜1mm程度とされる。
熱媒流路(5)は、1本の連続した管路として構成され、その一端を熱媒体の入口ポート(51)、他端を熱媒体の出口ポート(52)とされる。シート状積層体(1A)に対する熱媒流路(5)の貫通状態、すなわち、熱媒流路(5)の引回し形態は、シート状積層体(1A)との熱交換効率を考慮して適宜に設計でき、例えば、シート状積層体(1A)の板面側から視た場合の貫通部分の配列が上下左右に並列状態、上段と下段とでずれた千鳥状態などの各種の引回しパターンを採用できる。すなわち、1本の連続した熱媒流路(5)は、シート状積層体(1A)の配列体に対し、これらシート状積層体の板面をジグザグに複数回貫通する様に配置される。
図3に示す吸着素子(4A)においては、シート状積層体(1A)の配列体に複数の直管を貫通させ、熱媒体の入口ポート(51)及び出口ポート(52)としての開放端部を除き、各隣接する前記の直管の各端部をU字管で順次に接続することにより、一筋の熱媒流路(5)が構成されている。なお、隣接する直管部の間の距離は、熱伝導効率を高める観点から、通常は10〜50mmに設定される。
また、熱媒流路(5)は、効率的な熱交換を行うため、各シート状積層体(1A)に接触した状態に配置される必要がある。好ましくは、熱媒流路(5)は、各シート状積層体(1A)の伝熱シート(2)に接触した状態とされる。これにより、熱媒流路(5)に流れる熱媒体の温熱および冷熱を各シート状積層体(1A)の吸着層(3)に速やかに伝達することが出来る。
更に、吸着素子(4A)においては、図4に示す様に、各シート状積層体(1A)の間に一定の通気空間(40)が設けられるが、素子の小型化を図り且つ必要な通気性を確保するため、隣接するシート状積層体(1A)の各伝熱シート(2)の間の距離(2L)は、シート状積層体(1A)の吸着層(3)の厚さ(t)の2倍よりも大きく且つ40倍以下に設定される。
伝熱シート間の距離(2L)を上記の範囲に設定する理由は次の通りである。すなわち、伝熱シート間の距離(2L)が厚さ(t)の2倍以下の場合は、通気空間(40)を確保できず、吸着・脱着すべき吸着質蒸気や水蒸気をシート状積層体(1A)の表面に流通させることが出来ない。一方、伝熱シート間の距離(2L)が厚さ(t)の40倍を超えた場合は、通気空間(40)が必要以上に大きくなり、吸着素子(4A)が大型化する。
換言すれば、隣接するシート状積層体(1A)の伝熱シート(2)間の距離(2L)の1/2の距離(一つの伝熱シート(2)から伝熱シート(2)間の中心までの距離)(L)に対する吸着層(3)の厚さ(t)が5〜95%となる様に通気空間(40)の大きさが決定される。伝熱シート間の距離(2L)に対する吸着層(3)の厚さ(t)は、吸着素子(4A)の形状、吸着装置の用途などにより最適値は異なるが、吸着ヒートポンプに適用する場合は10〜95%が好ましく、15〜95%がより好ましい。また、調湿システムに適用する場合は10〜90%が好ましく、10〜85%がより好ましい。
上記の吸着素子(4A)は、一定間隔で配置したシート状積層体(1A)の集合体に対し、熱媒流路(5)構成用の直管を所定の数だけ配管挿通孔(10)に圧入することにより、直管に各シート状積層体(1A)を固定する圧入法、または、一定間隔で配置したシート状積層体(1A)の集合体に対し、熱媒流路(5)構成用の直管を所定の数だけ配管挿通孔(10)に挿通した後、直管を拡径することにより、直管に各シート状積層体(1A)を固定する拡管法により製造することが出来る。なお、直管の隣接する端部は、各シート状積層体(1A)を固定した後、U字管によって接続する。
一方、図5に示す吸着素子(4B)は、所謂コルゲートフィン型の吸着装置を構成する素子であり、上記の図2に示す様なジグザグに屈曲された帯状に形成されたシート状積層体(1B)を複数使用して構成される。具体的には、吸着素子(4B)は、例えば、図示する様にその長手方向に沿ってジグザグに屈曲する帯状、すなわち、細長の波板状に形成されたシート状積層体(1B)と、熱媒体(温熱媒体および冷熱媒体)が供給される入口側ヘッダー(61)と、熱媒体を排出する出口側ヘッダー(62)と、これら各ヘッダーの間に平行かつ並列に架け渡され且つ熱媒体が流れる複数の直管状の熱媒流路(7)とを備ええている。
吸着素子(4B)において、シート状積層体(1B)は、吸着装置の能力にもよるが、通常は5〜50枚程度使用され、各シート状積層体(1B)は、その長手方向を熱媒流路(7)に沿わせ且つ各隣接する熱媒流路(7)の間に挿入され、そして、各シート状積層体(1B)の各凹部(屈曲部分における谷の部位)が通気空間(40)とされる。しかも、各熱媒流路(7)は、これに隣接するシート状積層体(1B)の各凸部(屈曲部分における山の部位)に接触した状態に配置される。
各熱媒流路(7)は、円弧状の短辺を有する扁平な略長方形に断面が形成された扁平管によって構成され、その構成材料としては、吸着素子(4A)におけるのと同様に、通常、アルミニウム、銅、真鍮、鉄、クロム、ニッケル、スチール、これらの合金などの金属が使用され、特に、アルミニウム又はアルミニウム合金、銅または銅合金が好ましい。熱媒流路(7)を構成する扁平管の長手方向に直交する断面の外形寸法は、長辺部が10〜100mm程度、短辺部が0.5〜10mm程度であり、管の肉厚は0.2〜1mm程度とされる。
各熱媒流路(7)は、短辺部が吸着素子(4B)の外側に向く様に、一端を入口側ヘッダー(61)に接続され、他端を出口側ヘッダー(62)に接続される。入口側ヘッダー(61)は、入口ポート(81)から供給された熱媒体を各熱媒流路(7)に分配する箱状の部材であり、出口側ヘッダー(62)は、各熱媒流路(7)に流れた熱媒体を集約して出口ポート(82)から排出する箱状の部材である。各熱媒流路(7)の配列ピッチ、すなわち、各隣接する熱媒流路(7)の間の距離は、熱伝導効率を高める観点から、通常、5〜100mmに設定される。
また、熱媒流路(7)は、吸着素子(4A)におけるのと同様に、効率的な熱交換を行うため、各シート状積層体(1B)に接触した状態に配置される必要がある。好ましくは、図示しないが、熱媒流路(7)は、各シート状積層体(1B)の伝熱シート(2)に接触した状態とされる。すなわち、シート状積層体(1B)の各凸部においては、外側の吸着層(3)が除去されて伝熱シート(2)が露出することにより、伝熱シート(2)が熱媒流路(7)に接触した構造になされている。これにより、熱媒流路(7)に流れる熱媒体の温熱および冷熱を各シート状積層体(1B)の吸着層(3)に速やかに伝達することが出来る。
更に、吸着素子(4B)においては、図6に示す様に、各シート状積層体(1A)の凹部と熱媒流路(7)とで囲まれた部位が通気空間(40)を構成しているが、素子の小型化を図り且つ必要な通気性を確保するため、1つの熱媒流路(7)側で隣接するシート状積層体(1A)の凸部の各伝熱シート(2)の間の距離(2L)が、シート状積層体(1A)の吸着層(3)の厚さ(t)の2倍よりも大きく且つ40倍以下に設定される。
伝熱シート間の距離(2L)を上記の範囲に設定する理由は、前述の吸着素子(4A)におけるのと同様である。換言すれば、シート状積層体(1A)の隣接する凸部の伝熱シート(2)間の距離(2L)の1/2の距離(一つの凸部の伝熱シート(2)から隣接する凸部の伝熱シート(2)間の中心までの距離)(L)に対する吸着層(3)の厚さ(t)が5〜95%となる様に通気空間(40)の大きさが決定される。伝熱シート間の距離(2L)に対する吸着層(3)の厚さ(t)は、吸着ヒートポンプに適用する場合は10〜95%が好ましく、15〜95%がより好ましい。また、調湿システムに適用する場合は10〜90%が好ましく、10〜85%がより好ましい。
上記の吸着素子(4B)は、熱媒流路(7)構成用の扁平管でシート状積層体(1B)を両側から挟み付ける様に各長手方向を揃えて配列した後、外側に位置する両方の扁平管を互いに接近する方向に加圧することにより、シート状積層体(1B)をジグザグの屈曲を僅かに引き伸ばす方向に弾性変形させ、次いで、入口側ヘッダー(61)及び出口側ヘッダー(62)の内側面に予め設けられたスリットに各扁平管の端部を差し込むことにより、各扁平管を入口側ヘッダー(61)及び出口側ヘッダー(62)に固定し且つ各扁平管の間にシート状積層体(1B)を固定する方法によって製造することが出来る。
なお、各シート状積層体(1A),(1B)の製造工程は前述の通りであるが、上記の様な本発明の吸着材素子(4A),(4B)を製造する場合、繊維状保持材を貼着した伝熱シート(2)及び熱媒流路(5),(7)構成用の管を使用し、素子の骨格を備えた構造体を予め組み立てた後、粉体状の吸着材とバインダーとから成るスラリーに前記の構造体を浸漬させることにより、各伝熱シート(2)表面の繊維状保持材にスラリーを含浸させるのが簡便である。
上記の様な本発明の吸着材素子(4A),(4B)は、粉体状の吸着材とバインダーとから成るスラリーを繊維状保持材に含浸させ、より小さな粒径の吸着材が多量に積層された吸着層(3)を伝熱シート(2)表面に形成して成る吸着・脱着能力に優れた前述のシート状積層体(1A),(1B)によって構成されているため、一層小型化することが出来、これにより、吸着・脱着性能に一層優れた小型の吸着装置を構成することが出来る。
実施例1:
図1に示すシート状積層体(1A)を作製した。伝熱シート(2)として、縦横の長さが25mm×50mm、厚さが300μm、板面に9.6φの配管挿通孔(10)が2箇開口されたアルミニウム平板を準備し、その両面に吸着層(3)を形成した。吸着層(3)を形成するにあたり、平均粒径が5μmのFAPO−5を40g、シリカ変性アクリル共重合樹脂が38wt%含まれたエマルジョンバインダーを10.5g、水を59.5g混合して吸着層形成用のスラリーを調製した。
図1に示すシート状積層体(1A)を作製した。伝熱シート(2)として、縦横の長さが25mm×50mm、厚さが300μm、板面に9.6φの配管挿通孔(10)が2箇開口されたアルミニウム平板を準備し、その両面に吸着層(3)を形成した。吸着層(3)を形成するにあたり、平均粒径が5μmのFAPO−5を40g、シリカ変性アクリル共重合樹脂が38wt%含まれたエマルジョンバインダーを10.5g、水を59.5g混合して吸着層形成用のスラリーを調製した。
次いで、接着剤としてスチレンブタジェンゴムを含有するスプレー接着剤を使用し、伝熱シート(2)の両面に繊維状保持材として厚さ300μmのポリプロピレン製の不織布を固定した後、上記のスラリーに伝熱シート(2)を浸漬させ、これを引き上げて液切りを行うことにより、不織布にFAPO−5のスラリーを含浸させた。そして、これを120℃のオーブンに30分間装填して加熱乾燥することにより、吸着層(3)の厚さが300μmのシート状積層体(1A)を得た。
上記のシート状積層体(1A)について、重量測定により吸着材の量を測定したところ、0.16gのFAPO−5が吸着層(3)に保持されていることが確認された。そして、シート状積層体(1A)の吸着能力に関し、温度20℃、湿度50%の条件下に5時間放置して重量測定により吸着量を測定した結果、水分を0.026g吸着していることが確認された。
比較例1:
繊維状保持材を使用しない点を除き、実施例1と同様の材料を使用し、実施例1と同様の方法でシート状積層体を作製した、すなわち、実施例1と同様のFAPO−5のスラリーに伝熱シート(2)を浸漬し、その両面に繊維状保持材を使用せずにスラリーを付着させ、実施例1と同様に加熱乾燥させて吸着層を形成した。そして、得られたシート状積層体の吸着材の量を測定したところ、0.03gのFAPO−5が吸着層に保持されていることが確認された。また、シート状積層体の吸着能力に関して、実施例1と同様の測定を行った結果、水分が0.005gしか吸着されていなかったことが確認された。
繊維状保持材を使用しない点を除き、実施例1と同様の材料を使用し、実施例1と同様の方法でシート状積層体を作製した、すなわち、実施例1と同様のFAPO−5のスラリーに伝熱シート(2)を浸漬し、その両面に繊維状保持材を使用せずにスラリーを付着させ、実施例1と同様に加熱乾燥させて吸着層を形成した。そして、得られたシート状積層体の吸着材の量を測定したところ、0.03gのFAPO−5が吸着層に保持されていることが確認された。また、シート状積層体の吸着能力に関して、実施例1と同様の測定を行った結果、水分が0.005gしか吸着されていなかったことが確認された。
実施例2:
図1に示すシート状積層体(1A)を作製し、これを利用して図3に示す吸着素子(4A)を作製した。伝熱シート(2)として、実施例1と同様のアルミニウム平板を16枚準備し、その両面に吸着層(3)を形成した。吸着層(3)を形成するにあたり、平均粒径が5μmのFAPO−5を80g、エポキシ樹脂が50wt%含まれたエマルジョンバインダーを16g、水を124g混合して吸着層形成用のスラリーを調製した。
図1に示すシート状積層体(1A)を作製し、これを利用して図3に示す吸着素子(4A)を作製した。伝熱シート(2)として、実施例1と同様のアルミニウム平板を16枚準備し、その両面に吸着層(3)を形成した。吸着層(3)を形成するにあたり、平均粒径が5μmのFAPO−5を80g、エポキシ樹脂が50wt%含まれたエマルジョンバインダーを16g、水を124g混合して吸着層形成用のスラリーを調製した。
伝熱シート(2)の両面には、繊維状保持材を固定するため、ポリエステル支持体にアクリル系粘着剤層が設けられた全体厚さ50μmの両面テープをストライプ状に貼着した。両面テープの幅は2mm幅であり、配列ピッチは10mmであった。次いで、伝熱シート(2)の両面に実施例1と同様の不織布を繊維状保持材として固定した。不織布を貼着した後は、配管挿通孔(10)を利用し、16枚のシート状積層体(1A)に対して熱媒流路(5)に相当する2本の銅管を挿通し、各シート状積層体(1A)を2mm間隔で整列させてプレートフィン型の構造体を組み立てた。そして、銅管の開口部にマスキングを施した後、上記のスラリーに構造体を浸漬させ、実施例1と同様に加熱乾燥してシート状積層体(1A)の吸着層(3)の厚さが300μmの吸着素子(4A)を製造した。吸着層(3)の厚さから、伝熱シート(2)間の距離(2L)の1/2の距離(L)に対する吸着層(3)の厚さ(t)は35.3%となった。
上記の吸着素子(4A)について、重量測定により吸着材の量を測定したところ、全てのシート状積層体(1A)の吸着層(3)を合せて、3gのFAPO−5が保持されていることが確認された。そして、吸着素子(4A)の吸着能力に関し、実施例1と同様に、温度20℃、湿度50%の条件下に5時間放置して重量測定により吸着量を測定した結果、水分を0.49g吸着していることが確認された。
比較例2:
繊維状保持材を使用しない点を除き、実施例2と同様の材料を使用し、実施例2と同様の方法でプレートフィン型の吸着素子を作製した、すなわち、実施例2と同様のFAPO−5のスラリーに構造体を浸漬し、各シート状積層体の両面に繊維状保持材を使用せずにスラリーを付着させ、実施例2と同様に加熱乾燥させて吸着素子を作製した。そして、得られた吸着素子における吸着材の量を測定したところ、0.5gのFAPO−5が吸着層にに保持されていることが確認された。また、吸着素子の吸着能力に関して、実施例2と同様の測定を行った結果、水分が0.08gしか吸着されていなかったことが確認された。
繊維状保持材を使用しない点を除き、実施例2と同様の材料を使用し、実施例2と同様の方法でプレートフィン型の吸着素子を作製した、すなわち、実施例2と同様のFAPO−5のスラリーに構造体を浸漬し、各シート状積層体の両面に繊維状保持材を使用せずにスラリーを付着させ、実施例2と同様に加熱乾燥させて吸着素子を作製した。そして、得られた吸着素子における吸着材の量を測定したところ、0.5gのFAPO−5が吸着層にに保持されていることが確認された。また、吸着素子の吸着能力に関して、実施例2と同様の測定を行った結果、水分が0.08gしか吸着されていなかったことが確認された。
比較例3:
浸漬・乾燥工程を10回繰り返した点を除き、比較例2と同様の条件および方法でシート状積層体を作製した。浸漬・乾燥を繰り返すことにより、各シート状積層体にFAPO−5を3g固着することが出来た。しかしながら、繰り返しの浸漬塗布の繰り返しにより、各シート状積層体の吸着層の厚さが不均一となり、シート状積層体の間の通気空間が部分的に吸着材で閉塞していた。
浸漬・乾燥工程を10回繰り返した点を除き、比較例2と同様の条件および方法でシート状積層体を作製した。浸漬・乾燥を繰り返すことにより、各シート状積層体にFAPO−5を3g固着することが出来た。しかしながら、繰り返しの浸漬塗布の繰り返しにより、各シート状積層体の吸着層の厚さが不均一となり、シート状積層体の間の通気空間が部分的に吸着材で閉塞していた。
実施例3:
図1に示すシート状積層体(1A)を作製し、これを利用して図3に示す吸着素子(4A)を作製した。伝熱シート(2)として、縦横の長さが44mm×151mm、厚さが200μm、板面に6mmφの配管挿通孔(10)が千鳥状に12箇開口された銅平板を56枚準備し、これらの両面に吸着層(3)を形成した。吸着層(3)を形成するにあたり、平均粒径が7μmのSAPO−34を800g、エポキシ樹脂が50wt%含まれたエマルジョンバインダーを128g、変性エチレン・酢ビ共重合体が57wt%含まれたエマルジョンバインダーを28g水を1244g混合して吸着層形成用のスラリーを調製した。
図1に示すシート状積層体(1A)を作製し、これを利用して図3に示す吸着素子(4A)を作製した。伝熱シート(2)として、縦横の長さが44mm×151mm、厚さが200μm、板面に6mmφの配管挿通孔(10)が千鳥状に12箇開口された銅平板を56枚準備し、これらの両面に吸着層(3)を形成した。吸着層(3)を形成するにあたり、平均粒径が7μmのSAPO−34を800g、エポキシ樹脂が50wt%含まれたエマルジョンバインダーを128g、変性エチレン・酢ビ共重合体が57wt%含まれたエマルジョンバインダーを28g水を1244g混合して吸着層形成用のスラリーを調製した。
伝熱シート(2)の両面には、繊維状保持材を固定するため、ポリエステル支持体にアクリル系粘着剤層が設けられた全体厚さ30μmの両面テープをストライプ状に貼着した。両面テープの幅は2mm幅であり、配列ピッチは10mmであった。次いで、伝熱シート(2)の両面に繊維状保持材としてポリエステルとポリエチレンから成る厚さ300μmの不織布を固定した。不織布をを貼着した後は、配管挿通孔(10)を利用し、56枚のシート状積層体(1A)に対して熱媒流路(5)に相当する12本の銅管を挿通し、各シート状積層体(1A)を1.8mm間隔で整列させてプレートフィン型の構造体を組み立てた。そして、銅管の開口部にマスキングを施した後、上記のスラリーに構造体を浸漬させ、実施例1と同様に加熱乾燥してシート状積層体(1A)の吸着層(3)の厚さが300μmの吸着素子(4A)を製造した。吸着層(3)の厚さから、伝熱シート(2)間の距離(2L)の1/2の距離(L)に対する吸着層(3)の厚さ(t)は37.5%となった。
上記の吸着素子(4A)について、重量測定により吸着材の量を測定したところ、全てのシート状積層体(1A)の吸着層(3)を合せて、98gのSAPO−34が保持されていることが確認された。そして、吸着素子(4A)の吸着能力に関し、実施例1と同様に、温度20℃、湿度50%の条件下に5時間放置して重量測定により吸着量を測定した結果、水分を23.5g吸着していることが確認された。
以上の様な実施例および比較例からすると、本発明のシート状積層体(1A)及びこれを使用した吸着素子(4A)においては、伝熱シート(2)表面に対し、繊維状保持材にスラリーを含浸させて吸着層(3)を構成することにより、より多量の吸着材を保持でき、且つ、均一な厚さで吸着層(3)を形成でき、その結果、吸着量を増大し得ることが判る。
以下、本発明に好適な吸着材であるFAPO−5及びSAPO−34の合成例を参考例として示す。
参考例1[FAPO−5の合成]:
水38.4gと85%リン酸17.6gの混合物に擬ベーマイト(25%水含有、サソール製)9.5gを加え、これを3時間攪拌した後、硫酸第一鉄7水和物6.78gを水36.6gに溶かした水溶液を前記の混合物に加え、更に、トリエチルアミン10.8gを混合して3時間攪拌して出発反応混合物を得た。次いで、斯かる出発反応混合物をテフロン(登録商標)製内筒が内装された内容積200ccのステンレス製オートクレーブに仕込み、静置状態にて190℃で12時間反応させた。反応後は、冷却してデカンテーションにより上澄みを除き、沈殿物を回収した。沈殿物は、水で3回洗浄した後、100℃のオーブンに入れて乾燥した。その後、乾式粉砕処理を施して平均5ミクロンまで粉砕した。そして、得られたテンプレート含有のサンプル3gを縦型の石英管に入れ、酸素5vol%含有の窒素200ml/分の気流下、1℃/分の昇温速度で550℃まで昇温した後、550℃の温度を維持して6時間焼成し、結晶性鉄アルミノフォスフェートを得た。
水38.4gと85%リン酸17.6gの混合物に擬ベーマイト(25%水含有、サソール製)9.5gを加え、これを3時間攪拌した後、硫酸第一鉄7水和物6.78gを水36.6gに溶かした水溶液を前記の混合物に加え、更に、トリエチルアミン10.8gを混合して3時間攪拌して出発反応混合物を得た。次いで、斯かる出発反応混合物をテフロン(登録商標)製内筒が内装された内容積200ccのステンレス製オートクレーブに仕込み、静置状態にて190℃で12時間反応させた。反応後は、冷却してデカンテーションにより上澄みを除き、沈殿物を回収した。沈殿物は、水で3回洗浄した後、100℃のオーブンに入れて乾燥した。その後、乾式粉砕処理を施して平均5ミクロンまで粉砕した。そして、得られたテンプレート含有のサンプル3gを縦型の石英管に入れ、酸素5vol%含有の窒素200ml/分の気流下、1℃/分の昇温速度で550℃まで昇温した後、550℃の温度を維持して6時間焼成し、結晶性鉄アルミノフォスフェートを得た。
上記の結晶性鉄アルミノフォスフェートについて、回折X線による構造解析(Cu−Kα線使用)を行ったところ、表1に示す様な解析結果が得られ、斯かる解析結果から、AFI型のFAPO−5であることが確認された。また、上記の結晶性鉄アルミノフォスフェートを塩酸水溶液で加熱溶解し、ICP分析により元素分析を行ったところ、骨格構造のAlとPとFeの合計に対する各成分の構成割合(モル比)は、Fe/Al/P=4.0/46.8/49.2%であった。
参考例2[SAPO−34の合成]:
水135gに85%リン酸65.3gを加え、これに擬ベーマイト(25%含水、サソール製)42.9gをゆっくり加えて3時間攪拌した(これをA液とする)。また、別途、fumedシリカ(アエロジル200)3.8g、モルホリン27.5g、トリエチルアミン32.1g、水180gの混合液を調製した。次いで、斯かる混合液をA液に攪拌しながらゆっくりと加え、これを更に3時間攪拌した。得られた混合物は、テフロン(登録商標)内筒が内装された内容積500ccのステンレス製オートクレーブに仕込み、200rpmで攪拌しながら190℃で48時間反応させた。反応後は、冷却してデカンテーションにより上澄みを除き、沈殿物を回収した。その後、水洗処理を施して100℃で乾燥し、次いで、乾式粉砕処理を施して平均7ミクロンまで粉砕した。そして、得られたテンプレート含有のサンプル3gを縦型の石英管に入れ、空気100ml/分の気流下、1℃/分の昇温速度で550℃まで昇温した後、550℃の温度を維持して6時間焼成し、結晶性シリコアルミノフォスフェートを得た。
水135gに85%リン酸65.3gを加え、これに擬ベーマイト(25%含水、サソール製)42.9gをゆっくり加えて3時間攪拌した(これをA液とする)。また、別途、fumedシリカ(アエロジル200)3.8g、モルホリン27.5g、トリエチルアミン32.1g、水180gの混合液を調製した。次いで、斯かる混合液をA液に攪拌しながらゆっくりと加え、これを更に3時間攪拌した。得られた混合物は、テフロン(登録商標)内筒が内装された内容積500ccのステンレス製オートクレーブに仕込み、200rpmで攪拌しながら190℃で48時間反応させた。反応後は、冷却してデカンテーションにより上澄みを除き、沈殿物を回収した。その後、水洗処理を施して100℃で乾燥し、次いで、乾式粉砕処理を施して平均7ミクロンまで粉砕した。そして、得られたテンプレート含有のサンプル3gを縦型の石英管に入れ、空気100ml/分の気流下、1℃/分の昇温速度で550℃まで昇温した後、550℃の温度を維持して6時間焼成し、結晶性シリコアルミノフォスフェートを得た。
上記の結晶性シリコアルミノフォスフェートについて、回折X線による構造解析(Cu−Kα線使用)を行ったところ、表2に示す様な解析結果が得られ、斯かる解析結果から、CHA型のSAPO−34であることが確認された。また、上記の結晶性シリコアルミノフォスフェートを塩酸水溶液で加熱溶解し、ICP分析により元素分析を行ったところ、骨格構造のAlとPとSiの合計に対する各成分の構成割合(モル比)は、Si/Al/P=8.0/49.9/42.1%であった。
因に、上記のX線分析においては、ターゲットにCuを使用し、40kv、30mAに出力設定されたX線管球を線源として使用し、試料により回折された回折X線をモノクロメーターにてKα線に単色化されたものを検出する。回折ピークの位置は、2θ(回折角)として表される。また、この回折角からオングストローム単位の面間隔(d)が得られる。なお、ピーク位置はピークトップとして表す。強度は、バックグラウンドを差し引いた後の回折ピークの高さから測定し、I/I0×100(%)の値で表わす。ここで、I0は最も強いピークの強度であり、Iは他のピークのそれぞれにおける強度である。
1 :シート状積層体
10:配管挿通孔
1A:シート状積層体
1B:シート状積層体
2 :伝熱シート
3 :吸着層
40:通気空間
4A:吸着素子
4B:吸着素子
5 :熱媒流路
51:入口ポート
52:出口ポート
61:入口側ヘッダー
62:出口側ヘッダー
7 :熱媒流路
81:入口ポート
82:出口ポート
2L:伝熱シート間の距離
t :厚さ
10:配管挿通孔
1A:シート状積層体
1B:シート状積層体
2 :伝熱シート
3 :吸着層
40:通気空間
4A:吸着素子
4B:吸着素子
5 :熱媒流路
51:入口ポート
52:出口ポート
61:入口側ヘッダー
62:出口側ヘッダー
7 :熱媒流路
81:入口ポート
82:出口ポート
2L:伝熱シート間の距離
t :厚さ
Claims (10)
- 吸着ヒートポンプ又は調湿システムの吸着装置用の吸着素子を構成するシート状積層体であって、伝熱シートの少なくとも片面に吸着層を積層して構成され、且つ、前記吸着層は、繊維状保持材に粉体状の吸着材をバインダーにより保持させて成ることを特徴とするシート状積層体。
- 伝熱シートが金属から成る請求項1に記載のシート状積層体。
- 繊維状保持材が不織布である請求項1又は2に記載のシート状積層体。
- 吸着材が、骨格構造にアルミニウムとリンを含むゼオライトである請求項1〜3の何れかに記載のシート状積層体。
- 請求項1〜4の何れかに記載のシート状積層体の製造方法であって、伝熱シートに繊維状保持材を貼着し、粉体状の吸着材とバインダーとから成るスラリーを前記繊維状保持材に含浸させることを特徴とするシート状積層体の製造方法。
- 請求項1〜4の何れかに記載のシート状積層体の製造方法であって、粉体状の吸着材とバインダーとから成るスラリーを繊維状保持材に含浸させ、当該繊維状保持材を伝熱シートに貼着することを特徴とするシート状積層体の製造方法。
- 請求項1〜4の何れかに記載のシート状積層体を複数使用して構成され且つ前記各シート状積層体が板状に形成された吸着素子であって、一筋の熱媒流路を備え、前記各シート状積層体は、これらの各板面が平行かつ並列になる様に一定の通気空間を介して配列され、しかも、前記熱媒流路は、前記各シート状積層体を貫通した状態に配置され且つ前記各シート状積層体に接触していることを特徴とする吸着素子。
- 隣接するシート状積層体の各伝熱シートの間の距離(2L)が、前記シート状積層体の吸着層の厚さ(t)の2倍よりも大きく且つ40倍以下に設定されている請求項7に記載の吸着素子。
- 請求項1〜4の何れかに記載のシート状積層体を複数使用して構成され且つ前記各シート状積層体がその長手方向に沿ってジグザグに屈曲する帯状に形成された吸着素子であって、入口側ヘッダー及び出口側ヘッダーと、これらの間に平行かつ並列に架け渡された複数の直管状の熱媒流路とを備え、前記各シート状積層体は、その長手方向を前記熱媒流路に沿わせ且つ各隣接する熱媒流路の間に挿入され、当該シート状積層体の凹部が通気空間とされ、しかも、前記各熱媒流路は、これに隣接する前記シート状積層体の各凸部に接触していることを特徴とする吸着素子。
- 1つの熱媒流路側で隣接するシート状積層体の凸部の各伝熱シートの間の距離(2L)が、前記シート状積層体の吸着層(3)の厚さ(t)の2倍よりも大きく且つ40倍以下に設定されている請求項9に記載の吸着素子。
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JP2004368389A JP2006175300A (ja) | 2004-12-20 | 2004-12-20 | シート状積層体およびその製造方法ならびに吸着素子 |
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-
2004
- 2004-12-20 JP JP2004368389A patent/JP2006175300A/ja active Pending
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