JP5100969B2 - シリコンからの炭素除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコンから不純物の炭素(C)を除去する方法に関するものである。さらに詳しく述べれば、太陽電池に使用可能な純度のシリコンを得ることを目的とし、各種不純物の中で、特に炭素を除去する方法に関するものである。
太陽電池に使用されるシリコンは、一般に、99.9999%程度の純度が必要とされ、各種金属不純物は0.1質量ppm以下、又、Bは少なくとも0.3質量ppm以下、好ましくは0.1質量ppm以下であることが要求される。さらに、Cについては、3質量ppm以下が必要とされている。この純度を満たすシリコンとしては、半導体用シリコン、即ち、シリコン塩化物を蒸留後熱分解して得られる高純度シリコンがある。しかしながら、このシーメンス法はコストが高く、大量にシリコンを必要とする太陽電池には不向きである。
そこで、太陽電池に使用可能な安価なシリコンを製造する技術が各種研究されてきた。例えば、B、P、C以外の、Fe、Al、Ca等の各種金属不純物は、一方向凝固法で除去する技術が一般的である。即ち、シリコン融液が固化する際に、共存する融液シリコンに金属不純物は多く分配し、固化したシリコンにはわずかしか取り込まれないと言う現象を使用した精製方法である。
又、B、P、Cについても、各元素独自の除去方法が検討されてきた。
その中のC除去について述べると、(特許文献1)には、シリコンを一度凝固させ、固体シリコンの炭素固溶度(2.7質量ppm)以上の濃度の炭素は炭化珪素(SiC)として析出させた後、このシリコンを再度溶解し、前記析出SiCをフィルタで除去する方法が記載されている。この方法で、シリコン中のCは21〜30質量ppm程度となり、さらに一方向凝固法と組み合わせると、凝固シリコン中のC濃度は10質量ppm程度となると記載されている。
(特許文献2)には、溶融シリコンに、不活性ガス、又は不活性ガスと酸化性ガスを吹きつける方法が記載されている。このガス吹き付けにより、溶融シリコン表面のCO分圧を下げ、CをCOの形態で脱離させる。さらに、溶融シリコンにシリカ(SiO)の添加、及び、溶融シリコンを攪拌することも、C除去に有効であると記載されている。実施例によると、この方法で、シリコン中のCは、150〜250質量ppmから10〜20質量ppmまで低下すると記載されている。
(特許文献3)には、溶融シリコン表面に不活性ガスを吹きつけると共に、溶融シリコンに浸漬したランスから酸化剤を含む不活性ガスを吹き込むC除去法が記載されている。実施例によると、シリコン中のC濃度は、70〜80質量ppmから20質量ppm程度へ低下すると記載されている。
(特許文献4)には、溶融シリコンをフィルタで濾過すると共に、酸素含有ガスを供給する方法が記載されている。実施例によると、この方法によりシリコン中の炭素濃度は、2000質量ppmから20〜50質量ppmまで低下すると記載されている。
特開昭64−56312号公報 特開平1−176211号公報 特開平2−267110号公報 特開平4−231316号公報
シリコン中のC濃度を10質量ppm程度まで低下させる方法は、従来の技術で述べられているが、太陽電池用の原料シリコンとして必要な3質量ppm以下まで低下させる方法は、従来技術では存在しない。そこで、本発明は、シリコン中のCを3質量ppm以下まで下げるシリコンからの炭素除去方法を提供する。
本発明を構成する手段は、次の通りである。
(1)不活性ガスをチャンバー内に導入することで、雰囲気中CO分圧を800Paとし、この雰囲気中で鋳型内の溶融シリコンを攪拌して当該溶融シリコンの表面にSiC粒子を留めるようシリコン溶融状態を30分以上保持した後、該溶融シリコンを鋳型下部から上部に向け一方向凝固させることを特徴とするシリコンからの炭素除去方法。
(2)前記不活性ガスをArガスとすることを特徴とする(1)記載のシリコンからの炭素除去方法。
(3)前記溶融状態の温度が、シリコンの融点1414℃から1550℃以下であることを特徴とする(1)ないし(2)記載のシリコンからの炭素除去方法。
(4)前記一方向凝固中に溶融シリコンを攪拌することを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載のシリコンからの炭素除去方法。
(5)前記攪拌方法が、ガス吹き込みによる攪拌、電磁攪拌および機械的攪拌よりなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする(1)ないし(4)のいずれかに記載のシリコンからの炭素除去方法。
本発明により、凝固シリコン中のC濃度を3質量ppm以下に低減することが可能である。このC濃度は太陽電池用シリコンとして十分低いものであり、シリコン中のC以外の不純物低減方法と本発明の方法とを併用することにより、太陽電池に使用可能なシリコンを得ることができる。
また、従来は、太陽電池用シリコンをカーボン製の鋳型又はルツボで溶解、凝固を行うと、Cの汚染を受けると言われていたが、本発明の方法を使用すると、カーボン製の鋳型又はルツボを使用しても、シリコンはC汚染を受けることは無い。これにより、太陽電池製造プロセスとして、高価な石英鋳型の使用は必要なくなり、安価なカーボン製鋳型の使用が可能となった。
本発明の主構成は、次の通りである。
まず、本発明に使用する原料シリコンのC濃度は、例えば、数1000〜100質量ppm程度である。初期のC濃度は低い方が好ましいが、本発明では、特には規定するものではない。
最初に、上記原料シリコンを鋳型又はルツボ内で溶解する。この後、CO分圧が800Pa以下の雰囲気中で、鋳型内の溶融シリコンをシリコンの融点以上でシリコンの融点に近い温度に30分以上保持する。この際、全体の雰囲気圧力には特に制限は無い。CO以外の雰囲気ガスとしては、溶融シリコンと反応しないものが好ましく、不活性ガスのAr等が主成分であれば良い。また、特にガスを供給せず、真空ポンプで排気する減圧雰囲気でも良い。保持時間の上限値は、特に限定するものではないが、経済性を考慮すると、5時間以下が好ましい。
以上の操作は、溶融シリコン中の溶解C濃度を平衡値まで低下させるためである。例えば、1450℃程度で30分以上保持すると、溶解C濃度は50〜60質量ppmまで低下する。過剰なCは微細なSiC粒子として析出するが、溶融シリコンとの表面張力の関係により、溶融シリコン表面に微細なSiC粒子は浮上する。尚、SiC粒子浮上の原動力は溶融シリコン中の対流である。
このようにしてC濃度を平衡値まで下げた溶融シリコンを鋳型下部から上部へ向かって一方向凝固すると、凝固シリコン中のC濃度は、溶融シリコン中のC濃度の1/20程度となる。これは、C偏析係数(固相シリコン中のC濃度/共存する液相シリコン中のC濃度)が1/20であるからである。溶融シリコンを下方から上方へ一方向凝固させる方法としては、鋳型上部に固定されているヒーターのパワーを徐々に下げる方法、ヒーターに対し相対的に鋳型を徐々に下方へ引き下げる方法、鋳型の下方を冷却する方法などがある。この際、鋳型下部から上方へ一方向凝固させといっても、厳密にこの方向の凝固のみが起こるわけではない。凝固後にシリコン塊を縦に切断し断面観察を行うと、鋳型壁面に近い部分は、壁面から上方へ細長く曲がった結晶粒が観察される。ただ、重要なことは、結晶粒が曲がっていても、細長く成長しているかどうかということであり、細長く成長していれば、一方向凝固法による凝固精製がうまく機能している。反対に、結晶粒の縦横の長さがほぼ等しい等軸晶の結晶粒が観察されれば、その部分は一方向凝固法による凝固精製は機能していない。この細長い結晶粒の領域と、等軸晶の領域はシリコン塊の断面観察を行うと容易に見分けることができるが、一般には、シリコン塊の上方一割以下程度の領域が等軸晶で、下方の9割以上が細長い結晶粒のことが多い。
さて、一方向凝固中も過剰なCはSiC粒子として溶融シリコン表面へ浮上させ、溶融シリコン中のC濃度を平衡値とするようにする。凝固シリコンと接している溶融シリコンの温度は融点の1414℃であり、この温度のC平衡濃度はおよそ40質量ppmである。過剰なSiCを溶融シリコン表面に浮上させ、溶融シリコン中のC濃度を一方向凝固の間この平衡C濃度に維持すると、凝固シリコン中のC濃度は、理論的には、40質量ppm/20=2質量ppmまで低減可能である。以上の操業方法に基づいた本発明者らの操業実験では、凝固シリコン中のC濃度を3質量ppm以下まで低減することが可能であった。
次に、本発明を実施するための最良の形態を詳しく述べる。
雰囲気中のCO分圧を800Pa以下とする理由は、これよりもCO分圧が高いと、溶融シリコン中にCOが取り込まれ、溶融シリコン中のC濃度が上昇してしまうためである。CO分圧は低ければ低いほど好ましいが、800Pa以下なら本発明は実行可能である。さらに好ましくは、200Pa以下であり、このCO分圧では溶融シリコンが雰囲気中のCOから汚染を受ける懸念はない。CO分圧の下限には特に制限は無く、低ければ低い程良い。ただ、実際には、10−10Paレベルが簡易型の質量分析装置等の分析下限であり、このレベルより低くなるとCOの判別が困難となる。
鋳型内の溶融シリコンを保持する温度は、シリコンの融点1414℃に近い低温ほど、溶解C濃度の平衡値は低いので、好ましい。ただ、その後、溶融シリコンの下方から上方へ一方向凝固を行うので、溶融シリコン上方の表面は、溶融シリコンの下方よりも高温にすることが一般的である。ただ、この場合でも、溶融シリコンの表面を1550℃以下にすることが好ましい。この温度での保持時間は、C濃度が平衡に達するためには長い方が好ましいが、一般的には30分以上でよい。また、経済的観点からは、5時間以下であることが好ましい。
溶融シリコン中のC濃度が平衡値に達すると、過剰なCは微細なSiC粒子となって析出するが、溶融シリコン中の自然対流により表面へ運ばれる。一度、微細SiC粒子が溶融シリコン表面へ顔を出すと、表面張力によりそのまま表面に留まる。そして、SiC粒子が表面に留まり続けることにより、溶融シリコン中のC濃度は平衡値に保たれる。もし、表面に浮上したSiC粒子が再び沈んでしまうと、溶融シリコン中のC濃度は平衡値よりも高くなり、好ましくない。ただ、表面張力による、微細なSiC粒子を溶融シリコン表面に留めようとする力は大きく、一度浮上したSiC粒子が再度沈み込むことはほとんどない。むしろ、問題となるのは、SiC粒子を速やかに溶融シリコン表面まで浮上させるための自然対流が、溶融シリコン中に十分生じているかどうかという点である。この点を解決するために、積極的に溶融シリコンを攪拌し、対流を生じさせることも有効である。溶融シリコンの攪拌方法としては、溶融シリコン中へのガス吹き込みによる攪拌、電磁攪拌、またはプロペラ、棒、小型の水車等の攪拌治具による機械的攪拌が可能であり、これらを併用しても良い。
攪拌の程度としては、鋳型形状、溶融シリコン量等に依存するので一概に適正値は決まらないが、目安としては、溶融シリコンが1秒間に1cm以上対流すれば良い。この程度の対流速度で、ほとんど全てのSiC粒子を、凝固シリコンに取り込ませず、溶融シリコン表面へ輸送することが可能である。対流速度の上限はさほど重要ではないが、流速が速すぎると溶融シリコンが跳ねたりするので、1秒間に50cm以下の対流が好ましいと考えられる。ただ、上述したように、対流速度の適正値は鋳型形状等に依存し、これらの値はあくまでも目安である。
プロペラにより攪拌する場合には、プロペラの形状、回転数を制御し、1秒間に1〜50cmの対流を比較的容易に実現することができる。ガス吹き込みでは、例えば、シリコン量が60〜100kg程度であれば、本発明者らの経験では、アルゴンガスを毎分0.2リットル以上5リットル以下の量で吹き込めば良い場合が多い。電磁攪拌による場合は、計算により溶融シリコンの対流を見積もることも可能ではあるが、一般には、主として誘導を受ける鋳型、るつぼ等の形状を、結果を見て適宜改良する場合が多い。
シリコンを鋳型内で下部から上部へ向け一方向凝固をしている最中には、凝固シリコン中のC濃度は溶融シリコン中のそれより低いので、上部の溶融シリコン中のC濃度は一般には上昇してくる。しかし、本発明においては、溶融シリコン中のC濃度は常に平衡値とすることが好ましく、過剰なCは、微細なSiC粒子として溶融シリコン表面に浮上させることが好ましい。このため、一方向凝固中にも溶融シリコンを攪拌することが好ましい場合も多く、具体的な攪拌方法としては、上記同様の方法が選択可能である。
以上の方法により、一方向凝固時の溶融シリコン中のC濃度が平衡値となると、凝固シリコンと接している溶融シリコンの温度は融点の1414℃であるので、C濃度は、1414℃の平衡値となり、大凡40質量ppmを一方向凝固の間維持することとなる。したがって、凝固シリコン中のC濃度はこの値の約1/20となり、2質量ppmまでの低減が可能である。
(実施例1)
内径500mm、深さ450mmのカーボン製のルツボ内に、炭素を100質量ppm以上含有するシリコン塊を合計100kg入れ、抵抗ヒーターを有するチャンバー内の所定位置にセットした。チャンバー内をアルゴン1気圧に置換後、ヒーターに通電し、カーボンルツボを1550℃に昇温、シリコンを全て溶解させた。この後、1500℃へ降温し、1500℃で30分保持した。その後、ヒーターパワーを徐々に減らし、カーボンルツボ下部を冷却し、溶融シリコンを下方から上方へ一方向凝固させた。尚、チャンバーには逆流防止弁付きのガス排気口がついており、チャンバー内圧力が1気圧を超えた場合には、自動的にチャンバー内のガスが排気されるようになっている。
カーボンルツボ直上には、ガスサンプリング用のパイプがあり、ここからサンプリングしたガスを質量分析装置にて連続的に分析し、CO分圧を測定した。そして、シリコン溶解後1500℃へ降温して以降は、CO分圧が800Paを越えないように、Arをチャンバー内へ導入した。このAr導入量は、概ね、毎分1〜3リットルであった。
常温まで冷却後、カーボンルツボ内のシリコン塊を取り出し、カーボン濃度をSIMS(二次イオン質量分析装置)により分析した。分析サンプルを切り出した場所は、円柱状のシリコン塊の中心軸上で上方表面から10mm下、同じく中心軸上で底から10mm上、同じく中心軸上で1/2高さの地点、及び、1/2高さで側面から10mm内部の位置を中心軸の回りに90度毎に4ヶ所、の合計7ヶ所である。SIMSの分析では、各サンプルでC濃度は3質量ppmであった。また、シリコン塊の同様の場所を光学顕微鏡で観察したが、SiC粒子の析出は認められなかった。
(比較例1)
始めにチャンバー内をアルゴンに置換した後は、アルゴン導入を行わない他は、実施例1と同様の実験を行った。シリコン溶解後のCO分圧は、800Paを越えており、最大で1500Pa程度であった。
常温まで冷却後、実施例1と同様の7ヶ所のカーボン濃度をSIMS(二次イオン質量分析装置)により分析したところ、各地点で5〜10質量ppmであった。また、シリコン塊の同様の場所を光学顕微鏡で観察したところ、10〜200μm程度のSiC粒子の析出が認められた。
(実施例2)
内径500mm、深さ450mmのカーボン製のルツボ内に、炭素を100質量ppm以上含有するシリコン塊を合計100kg入れ、抵抗ヒーターを有するチャンバー内の所定位置にセットした。チャンバー内をアルゴン1気圧に置換後、ヒーターに通電し、カーボンルツボを1550℃に昇温、シリコンを全て溶解させた。この後、1500℃へ降温し、1500℃で30分保持した。この30分保持の間、シリコンの湯面から20mm下に直径80mmのカーボン製スクリューを入れ、毎分約200回の速度で回転させた。スクリューの形状から、スクリューの直下では、下向きに毎秒3〜4cm程度の流速があったと考えられる。このスクリューは、1500℃の30分保持が終了した時点で、上方へ引き上げ、溶融シリコンの外へ取り出した。スクリュー取出しと同時に、ヒーターパワーを徐々に減らし、カーボンルツボ下部は冷却し、溶融シリコンを下方から上方へ一方向凝固させた。尚、チャンバーには、逆流防止弁付きのガス排気口がついており、チャンバー内圧力が1気圧を超えた場合には、自動的にチャンバー内のガスが排気されるようになっている。
カーボンルツボ直上にはガスサンプリング用のパイプがあり、ここからサンプリングしたガスを質量分析装置にて連続的に分析し、CO分圧を測定した。そして、シリコン溶解後1500℃へ降温して以降は、CO分圧が800Paを越えないように、Arをチャンバー内へ導入した。このAr導入量は、概ね、毎分1〜3リットルであった。
常温まで冷却後、カーボンルツボ内のシリコン塊を取り出し、カーボン濃度をSIMS(二次イオン質量分析装置)により分析した。分析サンプルを切り出した場所は、円柱状のシリコン塊の中心軸上で上方表面から30mm下、同じく中心軸上で底から10mm上、同じく中心軸上で1/2高さの地点、及び、1/2高さで側面から10mm内部の位置を中心軸の回りに90度毎に4ヶ所、の合計7ヶ所である。SIMSの分析では、上方表面から30mm下のサンプルでC濃度は3質量ppm、他の6ヶ所のサンプルでは2.5質量ppmであった。また、シリコン塊の同様の場所を光学顕微鏡で観察したが、SiC粒子の析出は認められなかった。
(実施例3)
内径500mm、深さ450mmのカーボン製のルツボ内に、炭素を100質量ppm以上含有するシリコン塊を合計100kg入れ、抵抗ヒーターを有するチャンバー内の所定位置にセットした。チャンバー内をアルゴン1気圧に置換後、ヒーターに通電し、カーボンルツボを1550℃に昇温、シリコンを全て溶解させた。この後、1500℃へ降温し、1500℃で30分保持した。この30分保持終了後、シリコンの湯面から20mm下に直径80mmのカーボン製スクリューを入れ、毎分約200回の速度で回転させた。スクリューの形状から、スクリューの直下では、下向きに毎秒3〜4cm程度の流速があったと考えられる。また、スクリューでの撹拌開始と同時に、ヒーターパワーを徐々に減らし、カーボンルツボ下部は冷却し、溶融シリコンを下方から上方へ一方向凝固させた。スクリューは、シリコンがスクリュー近くまで凝固した時期に、上方へ引き上げ、溶融シリコンの外へ取り出した。尚、チャンバーには、逆流防止弁付きのガス排気口がついており、チャンバー内圧力が1気圧を超えた場合には、自動的にチャンバー内のガスが排気されるようになっている。
カーボンルツボ直上には、ガスサンプリング用のパイプがあり、ここからサンプリングしたガスを質量分析装置にて連続的に分析し、CO分圧を測定した。そして、シリコン溶解後1500℃へ降温して以降は、CO分圧が800Paを越えないように、Arをチャンバー内へ導入した。このAr導入量は、概ね、毎分1〜3リットルであった。
常温まで冷却後、カーボンルツボ内のシリコン塊を取り出し、カーボン濃度をSIMS(二次イオン質量分析装置)により分析した。分析サンプルを切り出した場所は、円柱状のシリコン塊の中心軸上で上方表面から30mm下、同じく中心軸上で底から10mm上、同じく中心軸上で1/2高さの地点、及び、1/2高さで側面から10mm内部の位置を中心軸の回りに90度毎に4ヶ所、の合計7ヶ所である。SIMSの分析では、底から10mm上のサンプルでC濃度は3質量ppm、他の6ヶ所のサンプルでは2.5質量ppmであった。また、シリコン塊の同様の場所を光学顕微鏡で観察したが、SiC粒子の析出は認められなかった。
(実施例4)
内径500mm、深さ450mmのカーボン製のルツボ内に、炭素を100質量ppm以上含有するシリコン塊を合計100kg入れ、抵抗ヒーターを有するチャンバー内の所定位置にセットした。チャンバー内をアルゴン1気圧に置換後、ヒーターに通電し、カーボンルツボを1550℃に昇温、シリコンを全て溶解させた。この後、1500℃へ降温し、1500℃で30分保持した。この30分保持開始の時点に、シリコンの湯面から20mm下に直径80mmのカーボン製スクリューを入れ、毎分約200回の速度で回転させた。スクリューの形状から、スクリューの直下では、下向きに毎秒3〜4cm程度の流速があったと考えられる。その後、ヒーターパワーを徐々に減らし、カーボンルツボ下部は冷却し、溶融シリコンを下方から上方へ一方向凝固させた。スクリューは、シリコンがスクリュー近くまで凝固した時期に、上方へ引き上げ、溶融シリコンの外へ取り出した。尚、チャンバーには、逆流防止弁付きのガス排気口がついており、チャンバー内圧力が1気圧を超えた場合には、自動的にチャンバー内のガスが排気されるようになっている。
カーボンルツボ直上には、ガスサンプリング用のパイプがあり、ここからサンプリングしたガスを質量分析装置にて連続的に分析し、CO分圧を測定した。そして、シリコン溶解後1500℃へ降温して以降は、CO分圧が800Paを越えないように、Arをチャンバー内へ導入した。このAr導入量は、概ね、毎分1〜3リットルであった。
常温まで冷却後、カーボンルツボ内のシリコン塊を取り出し、カーボン濃度をSIMS(二次イオン質量分析装置)により分析した。分析サンプルを切り出した場所は、円柱状のシリコン塊の中心軸上で上方表面から30mm下、同じく中心軸上で底から10mm上、同じく中心軸上で1/2高さの地点、及び、1/2高さで側面から10mm内部の位置を中心軸の回りに90度毎に4ヶ所、の合計7ヶ所である。SIMSの分析では、各サンプルでC濃度は2.5質量ppmであった。また、シリコン塊の同様の場所を光学顕微鏡で観察したが、SiC粒子の析出は認められなかった。
本方法により、シリコン中のCを太陽電池に使用可能なレベルまで簡便に低減することが可能であり、太陽電池用原料シリコン、太陽電池用のウエハを得るためのシリコンインゴットを安価かつ簡便に製造することが可能である。

Claims (5)

  1. 不活性ガスをチャンバー内に導入することで、雰囲気中CO分圧を800Paとし、この雰囲気中で鋳型内の溶融シリコンを攪拌して当該溶融シリコンの表面にSiC粒子を留めるようシリコン溶融状態を30分以上保持した後、該溶融シリコンを鋳型下部から上部に向け一方向凝固させることを特徴とするシリコンからの炭素除去方法。
  2. 前記不活性ガスをArガスとすることを特徴とする請求項1記載のシリコンからの炭素除去方法。
  3. 前記溶融状態の温度が、シリコンの融点1414℃から1550℃以下であることを特徴とする請求項1ないし2記載のシリコンからの炭素除去方法。
  4. 前記一方向凝固中に溶融シリコンを攪拌することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のシリコンからの炭素除去方法。
  5. 前記攪拌方法が、ガス吹き込みによる攪拌、電磁攪拌および機械的攪拌よりなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のシリコンからの炭素除去方法。
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