以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る画像読取装置1の外観構成を示すものであり、図2は、画像読取装置1の主要な内部構成を示すものである。本画像読取装置1は、例えば、コピー装置やファクシミリ装置、スキャナ装置、コピー機能やファクシミリ機構、スキャナ機能等を一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)等において、原稿の画像読取りを行うための画像読取部として実現される。
図1及び図2に示すように、画像読取装置1は、FBS(Flatbed Scanner)として機能する原稿載置台2に対して、自動原稿搬送機構であるオート・ドキュメント・フィーダ(ADF:Auto Document Feeder)3を備えた原稿カバー4が、背面側(紙面後方)の蝶番を介して開閉自在に取り付けられたものである。
原稿載置台2の正面側には、操作パネル5が設けられている。操作パネル5は、各種操作キー11と液晶表示部12とを具備する。画像読取装置1は、これら操作パネル5から所定の入力を受けて所定の動作を行う。画像読取装置1は、操作パネル5へ入力された指令のほか、コンピュータに接続されて該コンピュータからプリンタドライバやスキャナドライバ等を介して送信される指令によっても動作する。
図2に示すように、原稿載置台2には、原稿カバー4と対向する天面にプラテンガラス21が配設されている。原稿載置台2の内部には、プラテンガラス21に対向するようにして画像読取ユニット22が内蔵されている。
プラテンガラス21は、例えば透明なガラス板から構成され、画像読取装置1のADF3を使用する場合に原稿が配置される読取位置21aと、その読取位置21aと異なる位置にあり原稿が配置されない基準位置21bとが設けられている。原稿載置台2の読取位置21aには、プラテンガラス21を露出するための開口が形成されている。該開口から露出されたプラテンガラス21は、画像読取ユニット22の主走査方向の長さに対応して、画像読取装置1の奥行き方向に延設されている。
プラテンガラス21の読取位置21a上方には、原稿押さえ19が対向配置されている。この原稿押さえ19は、その自重により又はバネ等の弾性部材の付勢力を受けて、常時、図2の下方へ向かう。また、この原稿押さえ19は、画像読取ユニット22の主走査方向の長さに対応して、画像読取装置1の奥行き方向に延設されている。よって、後述する原稿搬送路32を介して読取位置21aへ搬送されてきた原稿は、この原稿押さえ19によりプラテンガラス21側へ押さえられ、プラテンガラス21と原稿との密着性が高められる。
一方、プラテンガラス21の基準位置21b上面には、白色テープ21cが貼着されている。これにより、白色テープ21cを、ゲイン調整、シェーディング補正データ作成のための白色基準板として機能させることができる。なお、ゲイン調整、シェーディング補正については、後述する。
画像読取ユニット22は、光源からプラテンガラス21を通じて上方に光を照射し、照射対象からの反射光をレンズにより受光素子に集光し画像信号として出力する。画像読取ユニット22は、走査機構であるベルト駆動機構によりプラテンガラス21の下方を往復移動可能に設けられており、キャリッジモータの駆動力を受けてプラテンガラス21と平行に往復移動する。
特に、画像読取ユニット22は、プラテンガラス21下方において、ADF3により給紙される原稿を読み取る際には、読取位置21a下方に移動する。そして、図2に示すように、画像読取ユニット22が、読取位置21aの下方に配置されているとき、画像読取ユニット22から照射される光は、プラテンガラス21を経て、読取位置21aに配置された原稿に照射される。
図3は、基準位置21b下方に画像読取ユニット22が移動した状態を示す図である。図3に示すように、基準位置21b下方に移動した画像読取ユニット22は、基準位置221bに光を照射し、基準位置21bからの反射光を読み取る。この基準位置21bに貼着された白色テープ21cは、白色基準板として機能するから、後述するシェーディング補正データを決定する際には、この白色テープ21cからの反射光を読み取ることにより得られたデジタルデータを用いて、シェーディング補正データが決定される。ここで、この白色テープ21cは、読取位置21aから離隔したところに配置されているから、原稿などから汚れが付着することが抑制され、適切なシェーディング補正データが決定される。
図1および図2に戻り説明する。原稿カバー4には、給紙トレイ30から原稿搬送路32を通じて排紙トレイ31へ原稿を連続搬送するADF3が備えられている。ADF3による搬送過程において、原稿がプラテンガラス21上の読取位置21aを通過し、プラテンガラス21の下方に待機する画像読取ユニット22が該原稿の画像を読み取るようになっている。
図2に示すように、ADF3の内部には、給紙トレイ30と排紙トレイ31とを、プラテンガラス21上の読取位置21aを経て連結するように、縦断面視において横向き略U字形状の原稿搬送路32が形成されている。原稿搬送路32は、ADF本体を構成する部材やガイド板、ガイドリブ等により、原稿が通過可能な所定幅の通路として連続的に形成されている。このように、給紙トレイ30と排紙トレイ31とが上下二段に設けられ、これらを連結するように、縦断面視において横向き略U字形状の原稿搬送路32が形成されることよりADF3の幅を狭くして小型化することができる。
原稿搬送路32には、給紙トレイ30から原稿搬送路32へ原稿を給送するための吸入ローラ33及び分離ローラ34と、搬送ローラ35A,35B,35C,35Dと、これらに圧接するピンチローラ37とが設けられている。搬送ローラ35A,35B,35C,35Dと、これらに圧接するピンチローラ37とが、搬送手段の一例に相当する。
原稿搬送路32の連結位置38には、スイッチバックパス39(スイッチバック搬送路)が連結されている。スイッチバックパス39は、両面読取りを行う場合に、読取位置21aにおいて第1面が読み取られた原稿を、先端と後端とを逆転させて読取位置21aの下流側から上流側の原稿搬送路32へ再送するためのものである。スイッチバックパス39は、連結位置38から給紙トレイ30の上側へ向かって斜め上方へ延出されて、原稿搬送路32の上側部分と交叉している。該上側部分とスイッチバックパス39との交叉位置40からスイッチバック搬送された原稿が原稿搬送路32へ戻される。スイッチバックパス39の終端41は、ADF3の上面に開口されている。
スイッチバックパス39の交叉位置40より終端41側の直下流には、スイッチバックローラ43が配設されている。スイッチバックローラ43は、モータ(図示せず)からの駆動力が伝達されて正逆双方向に回転駆動される。スイッチバックローラ43の対向位置には、ピンチローラ44が設けられている。ピンチローラ44は、その軸がバネに弾性付勢されることにより、スイッチバックローラ43のローラ面に圧接されており、スイッチバックローラ43の回転に従動して回転する。ピンチローラ44により、原稿がスイッチバックローラ43に圧接されて、スイッチバックローラ43の回転力が原稿に伝達される。
図2に示すように、原稿搬送路32には、原稿の搬送を検知するための複数のセンサが設けられている。詳細には、原稿搬送路32には、分離ローラ34の上流側及び下流側に、第1フロントセンサ52及び第2フロントセンサ53がそれぞれ配設されており、また、読取位置21aの直上流側にリアセンサ54が配設されている。これら各センサは、原稿搬送路32へ出没する検出子の回動をフォトインタラプタのオン/オフとして検出する所謂光学センサである。
給紙トレイ30に原稿が載置されると、第1フロントセンサ52がオンとなる。第1フロントセンサ52のオン/オフにより、給紙トレイ30に原稿が載置されたか否かが検知される。分離ローラ34の直下流に配設された第2フロントセンサ53は、そのオン/オフにより、原稿搬送路32に給送された原稿の先端又は後端を検知するためのものである。例えば、第2フロントセンサ53が原稿の後端を検知してからの搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの回転数をエンコーダやモータのステップ数等によって監視することにより、原稿搬送路における原稿の先端又は後端の位置が判断される。
読取位置21aの直上流に配設されたリアセンサ54は、そのオン/オフにより、原稿搬送路32を搬送される原稿の先端及び後端を検知するためのものである。リアセンサ54が原稿の先端又は後端を検知してからの搬送ローラ35A,35B,35C,35D
の回転数をエンコーダやモータのステップ数等によって監視することにより、原稿の先端又は後端が読取位置21aに到達したか否かが判断される。画像読取ユニット22の画像読取りは、このリアセンサ54の信号に基づいて制御され、原稿の先端が読取位置21aに到達すれば画像読取りが開始され、原稿の後端が読取位置21aに到達すれば画像読取りが終了される。
図4を参照して、画像読取ユニット22の構成、および画像読取ユニット22から出力された信号の流れの概略について説明する。図4(a)は、画像読取ユニット22および画像読取ユニット22から出力されるデータを処理する補正手段の一例であるASIC66の概略構成を示す図である。
図4に示すように、読取手段の一例である画像読取ユニット22は、例えば、冷陰極管で構成された光源22aと、少なくともプラテンガラス21の長辺である主走査範囲をカバーするCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサで構成された、撮像手段の一例であるイメージセンサ22bと、AFE(アナログフロントエンドIC)22cとを備える。画像読取ユニット22によれば、光源22aからの照射光が照射対象により反射された反射光をイメージセンサ22bで読み取る。そして、イメージセンサ22bは、反射光を光電変換し画像信号をAFE22cに出力する。AFE22cでは、画像信号をデジタルデータにA/D変換してASIC66に出力する。ASIC66に出力されるデジタルデータが、画像データの一例である。なお、イメージセンサ22bは、密着型のCIS(Contact Image Sensor)イメージセンサなど、他の種類のイメージセンサで構成されていても良い。また、AFE22cに代えてA/D変換器などを用いても良い。
画像読取ユニット22からASIC66に出力されたデジタルデータは、まず、ASIC66の黒補正部66aにより、黒補正される。黒補正部66aにより黒補正されたデジタルデータは、次に、ASIC66のシェーディング補正部66bにより、シェーディング補正される。ここでシェーディング補正とは、白読取時における主走査方向の各画素毎のばらつきを修正するために、主走査方向の各画素毎に設定されたシェーディング補正データを画素ごとのデジタルデータに乗じる処理である。
図5は、白読取時にイメージセンサ22から出力される画像信号と、読取位置21aにおける主走査方向位置との関係を示すグラフである。このグラフによれば、主走査方向中央部においては高い値が得られるのに対し、主走査方向両端部においては相対的に低い値が得られることが読み取れる。さらに、光源22aの光量のばらつきに加え、主走査方向におけるイメージセンサ22bの感度の不均一性もあるため、白読取時であっても、各画素の画像信号は不均一となる。すなわち、白読取時であっても、各画素に対応して画像読取ユニット22から出力される画像信号を補正せずにデジタル化した場合、各画素に対応するデジタルデータは、所定の最大基準値(例えば、255)とはならない。よって、シェーディング補正によって、主走査方向におけるばらつきを均一化する。
シェーディング補正部66bによりシェーディング補正されたデータは、さらに色変換、符号化処理などの各種処理が行われた後、RAM63の画像メモリ63fに、画像データとして記憶される。
図4に戻り説明する。図4(b)は、AFE22cの概略の構成を示す図である。図4(b)に示すように、AFE22cは、ゲイン補正部22c1と、変換手段の一例であるA/D変換部22c2とを備える。ゲイン補正部22c1は、イメージセンサ22bから出力される画像信号を、ゲイン値に従って増幅し、A/D変換部22cに出力する。このゲイン補正部22cでは、白色の読み取り時に得られる画像信号を増幅して得られる値が、A/D変換部22c2の最大のリファレンス値と一致するように調整されたゲイン値に従って、イメージセンサ22bから出力される画像信号に増幅して出力する。
A/D変換部22c2は、ゲイン補正部22cによりゲイン補正されたアナログの画像信号を既定のリファレンス値と比較し、例えば、00h〜FFh(16進数)のデジタルデータにA/D変換して出力する。
本実施形態の画像読取装置1によれば、まず、画像読取ユニット22が基準位置21b(図3参照)の下方に移動され、その白色テープ21cを読み取り、その結果イメージセンサ22bから出力される画像信号に基づいてゲインを調整し、ゲイン値を決定する。そして、ゲイン値が決定されると、そのゲイン値がゲイン補正部66aに設定され、イメージセンサ22bからの画像信号が、ゲイン補正部66aによりゲイン補正されてA/D変換部22c2に入力され、デジタルデータに変換される。
そして、画像読取ユニット22から出力されるデジタルデータに基づいて、黒補正データおよびシェーディング補正データが決定され、それぞれ黒補正部66a、シェーディング補正部66bに設定される。これらの設定が行われてから、画像読取ユニット22が読取位置21a(図2参照)の下方に移動されて原稿の読み取りが行われ、原稿の読み取りにより得られた画像信号が、ゲイン補正、A/D変換、黒補正、シェーディング補正、他の各種画像処理がされて、画像メモリ63eに入力されることとなる。
図6は、画像読取装置1の制御部60の構成を示している。制御部60は、ADF3のみでなく画像読取装置1の全体動作を制御するものである。制御部60は、図に示すように、CPU61、ROM62、RAM63、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)64を主とするマイクロコンピュータとして構成されており、バス65を介してASIC(Application Specific Integrated Circuit)66に接続されている。ROM62には、画像読取装置1及びADF3の各種動作を制御するためのプログラム等が格納されている。
RAM63は、CPU61が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又は作業領域として使用される。RAM63には、黒レベルデータ記憶エリア63a、黒補正データ記憶エリア63b、白レベルデータ記憶エリア63c、シェーディング補正データ記憶エリア63d、画像メモリ63eが設けられている。
黒レベルデータ記憶エリア63aは、基準位置21b下方に移動した画像読取ユニット22のうち、反射光が入光しない遮光領域に設けられたイメージセンサ22bを用いて取得されたデジタルデータを黒レベルデータとして記憶するエリアである。この黒レベルデータに基づいて、画像読取ユニット22から出力されるデジタルデータから差し引くべき黒補正データが決定される。
黒補正データ記憶エリア63bは、黒レベルデータに基づいて決定される黒補正データを記憶するエリアである。ASIC66の黒補正部66a(図4(a)参照)は、この黒補正データ記憶エリア63aに記憶される黒補正データに基づいて、画像読取ユニット22から出力されたデジタルデータを黒補正する。イメージセンサ22bの特性として光入力がない状態でも暗出力レベルの出力があるので、黒補正により、イメージセンサ22bの出力から黒補正データ分を差し引くのである。この黒補正データは、後述するシェーディング補正データの決定と同じタイミングで新たに決定され、値が更新される。
白レベルデータ記憶エリア63cは、基準位置21b下方に移動した画像読取ユニット22により、光源から白色基準板としての白色テープ21cに照射された反射光を主走査方向全幅について取得されたデジタルデータを、白レベルデータとして記憶するエリアである。よって、白レベルデータ記憶エリア63bに記憶された白レベルデータに基づいて、これら白レベルデータを、それぞれ白読取時の最大基準値(例えば、255)に均一化することができるように、画素毎のデジタルデータに乗じるべきシェーディング補正データが、各画素毎に決定される。
シェーディング補正データ記憶エリア63dは、補正データ記憶手段の一例であって、上記白レベルデータに基づいて決定されたシェーディング補正データが記憶されるエリアである。なお、シェーディング補正データが、補正データの一例である。このシェーディング補正データ記憶エリア63dに記憶されたシェーディング補正データは、シェーディング補正部66b(図4(a)参照)に設定される。したがって、このシェーディング補正データを用いて、シェーディング補正が行われることとなる。
画像メモリ63eは、ASIC66において黒補正、シェーディング補正、その他の画像処理が施されたデジタルデータが格納されるメモリである。この画像メモリ63eに格納されたデジタルデータは、ユーザからの指示または予め設定された内容に従って、画像読取装置1に接続された外部装置に転送される。
EEPROM64は、電源オフ後も記憶を保持すべき各種設定やフラグ等を格納する記憶領域である。
ASIC66は、上述した黒補正およびシェーディング補正に加えて、さらに、CPU61からの指令に従い、吸入ローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、スイッチバックローラ(SBローラ)43に駆動力を付与するモータ(図示せず)の制御を行う。
ASIC66には、ADF3により読取位置21aへ搬送される原稿の画像読取りを行う画像読取ユニット22が接続されている。ROM62に格納された制御プログラムに基づいて、画像読取ユニット22は原稿の画像読取りを行う。なお、図には示していなが、画像読取ユニット22を往復動させるための駆動機構も、ASIC66からの出力信号を受けて動作される。
ここで、図2,3に戻り、画像読取装置1において原稿の両面を読み取る時における、原稿の搬送順序を説明する。画像読取装置1では、給紙トレイ30に載置された原稿について、まず表面を読み取り、次に裏面を読み取る順序で、表面と裏面とを交互に読み取る。
まず、給紙トレイ30に載置された原稿を、その表面(第1面の一例)が画像読取ユニット22により読み取られる向きで、原稿搬送路32を経て読取位置21aへ搬送する。すなわち、読取位置21aにおいて、原稿の表面がプラテンガラス21に対向する向きで原稿を搬送する。この搬送を、以下、1パス目の搬送と称する。
次に、表面が読み取られ、読取位置21aを通過した原稿を、スイッチバックパス39へ導き、スイッチバックパス39において、その先端と後端とを反転させて、読取位置21aの下流側から上流側の原稿搬送路32へ戻し、裏面が画像読取ユニット22により読み取られる向きで読取位置21aへ搬送する。すなわち、原稿の裏面がプラテンガラス21に対向する向きで原稿を搬送する。この搬送を、以下、2パス目の搬送と称する。
次に、裏面が読み取られ、読取位置21aを通過した原稿(両面読み取り済み)を、スイッチバックパス39へ導き、そのスイッチバックパス39において、その先端と後端とを反転させて、読取位置21aの下流側から上流側の原稿搬送路32へ戻し、その原稿搬送路32を経て搬送された原稿を、読取位置21aを経て、排紙トレイ31へ排紙する。この搬送を、以下、3パス目の搬送と称する。
すなわち、1枚の原稿に対しては、表面を読み取るために、まず1パス目の搬送がされる。そして、表面が読み取られた原稿をスイッチバックパス39で反転させ、次に、裏面読取のために2パス目の搬送がされる。さらに、裏面が読み取られた原稿をスイッチバックパス39で反転させ、原稿搬送路32において搬送する3パス目の搬送がされる。3パス目において、原稿は読取位置21aを通過するものの、画像読取ユニット22による読み取りは実行されない。しかし、この3パス目の搬送を行うことにより、排紙トレイ31に排紙される原稿は、表面を下側として、読み取られた順番に下から積層されることとなるから、給紙トレイ30に載置されたときの原稿の順序が排紙トレイ31においてもそのまま保たれることとなる。よって、排紙トレイ31に排紙された原稿のページ順序をユーザが手作業で揃え直す必要がない。
また、この3パス目が設けられていることに起因して、原稿の裏面の読み取り終了後、次の原稿が搬送されてその表面が読取位置21aに到達するまでの時間は、原稿の表面の読み取り終了後、その原稿がスイッチバックパス39で反転されて、読取位置21aに到達するまでの時間よりも長い。
すなわち、原稿の裏面を読み取った後は、その原稿をスイッチバックパス39において反転させて原稿搬送路32経て排紙トレイ31に排紙する3パス目の搬送が行われ、その後、次の原稿を原稿搬送路32を経て読取位置21aまで搬送する1パス目の搬送が行われる。
これに対し、原稿の表面を読み取った後は、その原稿をスイッチバックパス39において反転させて原稿搬送路32を搬送させる(2パス目)だけである。よって、原稿の裏面読み取り後、次の原稿が搬送されてその表面が読取位置21aに到達するまでの時間は、原稿の表面の読み取り終了後、その原稿の裏面が読取位置21aに到達するまでの時間よりも長くかかるのである。
よって、本実施形態の画像読取装置1では、原稿の裏面を読み取った後に、補正データの更新を実行することとし、一方、原稿の表面を読み取った後は、補正データの更新を実行しないこととしているのである。このようにすれば、原稿の裏面の読み取り後、次の原稿の表面の搬送方向先端が読取位置21aに到達するまでの時間を有効に利用して補正データが更新されるので、読取速度の低減を抑制することができる。また、裏面読み取り毎に補正データの更新が行われるので、光量変動に応じて補正データを適宜更新することができる。
次に、図7および図8のフローチャートを参照して、上記のように構成される第1実施形態の画像読取装置1において実行される、ADF載置原稿読取処理について説明する。
図7は、画像読取装置1で実行されるADF載置原稿読取処理のフローチャートである。このADF載置原稿読取処理は、ADF3の給紙トレイ30に原稿が載置され、操作キー11を用いて両面読取が選択され、且つ「スタート」が入力されると起動する処理である。
このADF載置原稿読取処理では、まず、画像読取ユニット22を基準位置21b下方へ移動させる(S2)。次に、画像読取ユニット22の光源22aが安定するまで待機する(S4)。具体的には、光源22aから照射される光量の、単位時間当たりにおける変動量が所定値以下となったことを条件として、光源22aが安定したと判断される。なお、電源起動後に十分な時間が経過していれば、光源22aが安定していると判断し、このS4の処理をスキップすることとしても良い。
次に、ADF3の給紙トレイ30に載置された原稿の1ページを給紙し、その1パス目の搬送を開始する(S6)。上述したように、1パス目の搬送により、給紙トレイ30に載置された原稿は、その表面(第1面の一例)が画像読取ユニット22により読み取られる向きで、原稿搬送路32を経て読取位置21aへ搬送される。すなわち、読取位置21aにおいて、原稿の表面がプラテンガラス21に対向する向きで原稿が搬送される。
次に、供給された原稿の搬送方向先端が読取位置21aに到達したか否かを判断する(S12)。原稿の搬送方向先端が読取位置21aに到達しない間は(S12:No)、処理を待機する。そして、原稿の搬送方向先端が読取位置21aに到達すると(S12:Yes)、その原稿の片面をスキャン(読み取り)する(S14)。
このようにして原稿の片面の読み取りを終了すると、次に、その読み取った面が表面であるか裏面(第2面の一例)であるかを判断する(S18)。読み取った面が表面であると判断された場合(S18:Yes)、その原稿の2パス目の搬送を開始する(S20)。そして、S12の処理に戻る。これにより、以降のステップにおいて、その原稿の裏面が読み取られることとなる。
一方、読み取った面が裏面であると判断された場合(S18:No)、画像読取ユニット22を基準位置21bへ移動させる(S22)。これは、以降の補正データ決定処理(S10)において、白色テープ21cからの反射光を読み取り、ゲイン調整、シェーディング補正データの決定等を行うためである。
次に、3パス目の搬送を開始する(S24)。3パス目の搬送により、原稿は読取位置21aを経て排紙トレイ31へ排紙される。
次に、ADF3の給紙トレイ30上に次の原稿があるか否かを判断する(S28)。給紙トレイ30上に次の原稿があると判断された場合(S28:Yes)、原稿搬送路32において3パス目の搬送がされる原稿の搬送方向後端が、リアセンサ54を通過したか否かを判断する(S30)。原稿の搬送方向後端がリアセンサ54を通過しない間(S30:No)、処理を待機し、3パス目の搬送を進行させる。
このようにして3パスの搬送が進行し、3パス目の搬送がされる原稿の搬送方向後端が、リアセンサ54を通過したと判断されると(S30:Yes)、次に、S6の処理に戻り、給紙トレイ30に載置された原稿の1ページを給紙し、その1パス目の搬送を開始する(S6)。そして、補正データ決定処理(S10)を実行する。この補正データ決定処理(S10)によりゲイン調整、および黒補正データの決定、シェーディング補正データの決定が行われ、黒補正データ記憶エリア63b、シェーディング補正データ記憶エリア63dが更新される。
ここで、補正データ決定処理(S10)の実行の際には、画像読取ユニット22により基準位置21bからの反射光を読み取る必要があるが、本実施形態のADF載置原稿読取処理によれば、前ページの裏面読み取り後(S18:No)、画像読み取りユニット22が基準位置21b下方へ移動させられているので(S22)、補正データ決定処理(S10)の実行を迅速に開始することができ、読取速度を低減させることがない。
上述のようにして、本実施形態の画像読取装置1では、表面読み取り後は、補正データ決定処理(S10)は実行せず、一方、裏面読み取り後は、補正データ決定処理(S10)を実行する。
そして、このようにして処理を繰り返すうちに、給紙トレイ30上に次の原稿がないと判断されると(S28:No)、次に、搬送ローラ35による搬送を停止し(S32)、画像読取ユニット22を基準位置21b下方に移動させ(S34)、ADF載置原稿読取処理を終了する。
図8を参照して、補正データ決定処理(S10)について説明する。図8は、補正データ決定処理(S10)を示すフローチャートである。この補正データ決定処理(S10)の開始時、画像読取ユニット22は、基準位置21b下方へ移動させられている。
まず、基準位置21b下方にある画像読取ユニット22のイメージセンサ22bにより白色テープ21cからの反射光を読み取り、その読み取りにより得られた画像信号の最大輝度が、A/D変換部22c2に入力される既定のリファレンス値と一致するように、ゲイン値を決定するゲイン調整を行う(S102)。
次に、決定したゲイン値を、ゲイン補正部に設定し(S104)、基準位置21b下方において、画像読取ユニット22を16ライン分移動させつつ、16ライン分の領域を読み取り、デジタルデータを取得する(S106)。ここで取得するデジタルデータには、基準位置21bからの反射光が入光される位置に設けられたイメージセンサ22bにより読み取られた白レベルデータと、遮光領域に設けられたイメージセンサ22bにより読み取られる黒レベルデータとが含まれる。ここで取得された白レベルデータは、白レベルデータ記憶エリア63cに記憶され、黒レベルデータは、黒レベルデータ記憶エリア63aに記憶される(S108)。
次に、取得した黒レベルデータに基づいて、黒補正データを決定し、黒補正データ記憶エリア63b(図6参照)に記憶すると共に、ASIC66の黒補正部66a(図4(a)参照)に設定する(S110)。
次に、取得した白レベルデータに基づいて、シェーディング補正データを決定し、シェーディング補正データ記憶エリア63d(図6参照)に記憶すると共に、ASIC66のシェーディング補正部66b(図4(a)参照)に設定する(S112)。
そして、画像読取ユニット22を、基準位置21b下方から読取位置21a下方へ移動させる(S114)。これにより、光源22aの照射対象、すなわち画像読取ユニット22による読み取り対象が、基準位置21bから読取位置21aへ切り替わる。そして、補正データ決定処理(S10)を終了する。補正データ決定処理によれば、ゲイン値、シェーディング補正データが、現時点における光源22aからの光量に応じて決定される。そして、次の原稿の表面、裏面の読み取りの際には、その新たに決定されたゲイン値、シェーディング補正データが用いられるので、光量変化に対応した適切な補正が行われる。
第1実施形態の画像読取装置1によれば、裏面の読み取り後、表面の搬送方向先端が読取位置に到達するまでの時間を有効に利用してシェーディング補正データを更新することにより、読取速度の低減を抑制しつつ、光量変動に応じてシェーディング補正データを適宜更新することができる。また、表面の読み取り後は、シェーディング補正データの更新を行わないので、読取速度の低減を抑制することができる。
次に、図9,図10を参照して、本発明の第2実施形態の画像読取装置1について説明する。上記した第1実施形態の画像読取装置1は、原稿の表面の略全面、および裏面の略全面を読み取るものであった。これに対し、第2実施形態の画像読取装置1では、原稿面のうち、読み取り対象とすべき読取範囲をユーザに設定させ、その読取範囲のみ読み取らせるものである点において、第1実施形態の画像読取装置1と異なる。なお、この第2実施形態の画像読取装置1において、上記した第1実施形態の画像読取装置1と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
第2実施形態の画像読取装置1のROM62には、ページ間搬送距離、ページ間判定閾値が記憶されている。
図9を参照して、ページ間搬送距離について説明する。図9は、読み取り順序が連続する2ページの原稿101,102を模式的に示した図である。ここでは、原稿101の読み取り後、原稿102が読み取られるものとして説明する。
原稿搬送路32における用紙ジャムの発生を抑制するために、連続して原稿を搬送する場合、前ページとの間に所定間隔を設けて、次ページの搬送を行う。ここでは、先に搬送される原稿101と、後に搬送される原稿102との間には、例えば、80mmの間隔106が設けられる。そして、この間隔106の長さは、ページ間搬送距離としてROM62に記憶されている。後述する範囲指定片面読取処理の実行時には、このページ間搬送距離の間隔を空けて、各ページの原稿が順番に搬送されることとなる。
また、第2実施形態の画像読取装置1のRAM63には、先端側非読取領域高さ110、後端側非読取領域高さ112が記憶される領域が設けられている。
図9を参照して、先端側非読取領域高さ110と、後端側非読取領域高さ112とについて説明する。図9に示す図は、ユーザによって指定された読取範囲108をグレイ色で示している。なお、読取範囲108は、各ページ毎にそれぞれ異なる範囲を指定し得るが、図9においては、説明を簡単にするために、原稿101,102については、同一の読取範囲108が指定されているものとして説明する。
図9に示すように、原稿101,102の搬送方向先端から、読取範囲108の搬送方向先端までの長さが、先端側非読取領域高さ110として、RAM63に記憶される。また、読取範囲108の搬送方向後端から原稿101,102の搬送方向後端までの長さが、後端側非読取領域高さ112として、RAM63に記憶される。
先に搬送される原稿101と、後に搬送される原稿102との搬送の間隔106は固定であるから、ユーザによって読取範囲108が定められれば、原稿101の読み取り終了後、原稿102の読み取りを開始するまでの搬送距離は、後端側非読取領域高さ112と、ページ間搬送距離と、先端側非読取領域高さ110とを加算することにより求めることができる。
ここでは、後端側非読取領域高さ112が例えば148mmであり、原稿101,102の間隔106が例えば80mmであり、先端側非読取領域高さ110が10mmであるから、原稿101の読み取り終了後(すなわち読取範囲108の搬送方向後端までの読み取りが終了した後)、原稿102の読み取りを開始する(すなわち読取範囲108の搬送方向先端から読み取りを開始する)までにおける搬送距離は、238mm(=148mm+80mm+10mm)として算出される。
そして、搬送速度が、例えば、198mm/secであるとすると、その搬送速度で上記搬送距離と除算することにより、原稿101の読み取り終了後、原稿102の読み取りを開始するまでに要する時間が算出される。本実施形態では、この時間をページ間搬送時間として算出し、RAM63に記憶する。
そして、ページ間搬送時間は、ROM62に記憶された固定値であるページ間判定閾値と比較される。そして、ページ間搬送時間が、ページ間判定閾値以上である場合、上述した補正データ決定処理(S10)を実行する。ここで、ページ間判定閾値としては、補正データ決定処理(S10)の実行に要する時間と、その補正データ決定処理(S10)実行のために画像読取ユニット22を基準位置21a下方に移動させる時間とを加算した時間である。したがって、前ページの読取後、次ページの読取範囲108が読取位置21aに到達するまでの間に、画像読取ユニット22を基準位置21aへ移動させ、補正データ決定処理(S10)を実行することができる場合には、補正データ決定処理を実行することとしているのである。
図10を参照して、第2実施形態の画像読取装置1で実行される処理について説明する。図10は、第2実施形態の画像読取装置1で実行される範囲指定片面読取処理を示すフローチャートである。なお、図10に示す範囲指定片面読取処理において、図7を参照して説明したADF載置原稿読取処理と同一のステップについては同一の符号を付してその説明を省略する。
この範囲指定片面読取処理は、ADF3の給紙トレイ30に原稿が載置され、操作キー11を用いてユーザにより読取範囲108(図9参照)が指定され、且つ「スタート」が入力されると起動する処理である。ここで、ユーザにより設定される読取範囲108は、各ページ同一範囲であっても良いし、各ページ毎に個別に設定されても良い。
まず、ユーザによって指定された読取範囲108に従って、先端側非読取領域高さ110および後端側非読取領域高さ112(図9参照)を算出し、RAM63に記憶する(S1)。これにより読取範囲108が決定する。なお、各ページ個別に読取範囲108が設定された場合には、各ページ毎に先端側非読取領域高さ110および後端側非読取領域高さ112が算出され、ページ番号に対応付けて記憶される。
次に、第1実施形態において説明したS2,S4の処理を行い、ADF3の給紙トレイ30に載置された原稿の給紙を開始する(S60)。上述した第1実施形態では、原稿を両面読み取りする場合について説明したので、1枚の原稿は、1パス目から3パス目まで合計3回原稿搬送路32を搬送された。これに対し、本第2実施形態では、ADF3は、先行して給紙された原稿の搬送方向後端との間に、所定の間隔106(図9)を空けて、各原稿が1ページずつ給紙される。すなわち、各原稿は、それぞれ、原稿搬送路32を1回のみ通過した後、読取位置21aを経て、排紙トレイ31に排紙されることとなる。
次に、補正データ決定処理(S10)を実行する。この補正データ決定処理(S10)は、上述した第1実施形態の補正データ決定処理(S10)と同一の処理であるため、図示および説明を省略する。
次に、搬送方向先端が読取位置21aに到達すると(S120:Yes)、その原稿の片面の読取範囲108搬送方向先端からスキャン(読み取り)を開始する(S140)。そして原稿の読み取りが進行し、原稿の読取範囲108の搬送方向後端が読取位置21aを通過すると(S160:Yes)、読取範囲108の読み取りを終了する(S180)。
次に、給紙トレイ30上に次の原稿があるか否かを判断し(S200)、次の原稿がある場合(S200:Yes)、次のページの読取範囲108の搬送方向先端が、読取位置21aに到達するまでの搬送時間である、ページ間搬送時間を算出する(S220)。
次に、算出したページ間搬送時間が、ページ間判定閾値以上であるか否かを判断する(S240)。算出したページ間搬送時間が、ページ間判定閾値より小である場合(S240:No)、S120の処理に戻り、次ページ原稿の読取範囲108の搬送方向先端が読取位置21aに到達するまで待機し(S120)、搬送方向先端が読取位置21aに到達すると(S120)、その読取範囲108の読み取りを開始する(S140)。
一方、算出したページ間搬送時間が、ページ間判定閾値以上であると判断された場合(S240:Yes)、次に、画像読取ユニット22を、基準位置21b下方へ移動させる(S260)。そして、S10の処理に戻る。
そして、補正データ決定処理(S10)を実行する。本実施形態の範囲指定片面読取処理によれば、前ページの原稿の読取範囲108の読み取り終了後、画像読取ユニット22がすみやかに基準位置21b下方へ移動させられている。よって、遅滞なく、補正データ決定処理(S10)を実行させることができ、読取速度の低減を抑制できる。
このようにして処理を繰り返すうちに、給紙トレイ30上に次の原稿がないと判断されると(S200:No)、第1実施形態において説明したS32,S34の処理を行い、範囲指定片面読取処理を終了する。
第2実施形態の画像読取装置1によれば、次のページの原稿のおける読取範囲108の搬送方向先端が読取位置21aに到達するまでの時間を有効に利用してシェーディング補正データが更新されるので、読取速度の低減を抑制しつつ、光量変動に応じてシェーディング補正データを適宜更新することができる。
次に、図11から図13を参照して、本発明の第3実施形態の画像読取装置1について説明する。上記した第2実施形態の画像読取装置1は、原稿の片面の読取範囲108のみを読み取るものであった。これに対し、第3実施形態の画像読取装置1では、原稿の両面について、読み取り対象とすべき読取範囲をユーザに設定させ、その両面の読取範囲を画像読取ユニット22により読み取らせるものである点において、第2実施形態の画像読取装置1と異なる。なお、この第3実施形態の画像読取装置1において、上記した第1実施形態の画像読取装置1、または第2実施形態の画像読取装置1と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
第3実施形態の画像読取装置1のROM62には、表面読取後搬送距離、表面読取後判定閾値が記憶されている。
また、RAM63には、表面後端側非読取領域高さと、裏面先端側非読取領域高さと、表面読取後搬送時間とが記憶される領域が設けられている。
図11を参照して、表面後端側非読取領域高さと、裏面先端側非読取領域高さとについて説明する。図11は、1枚の原稿の表面201と裏面202とを模式的に示す図である。なお、本実施形態の画像読取装置1は、第1実施形態の画像読取装置1と同様に、表面201の読み取り後、裏面202が読み取られ、表面と裏面とが交互に読み取られる。
図11に示す図は、ユーザによって指定された読取範囲208をグレイ色で示している。なお、読取範囲208は、表面201と裏面202とでそれぞれ異なる範囲を指定し得るが、図11においては、説明を簡単にするために、表面201,裏面202については、同一の読取範囲208が指定されているものとして説明する。
図11に示すように、表面201の読取範囲208の搬送方向後端から表面102の搬送方向後端211までの長さが、表面後端側非読取領域高さ212として、RAM63に記憶される。
なお、ここでは、表面201の天が搬送方向先端209となり、表面201の地が搬送方向後端211となるように、原稿が給紙トレイ30(図1参照)に載置されたものとして説明する。上述したように、表面201の読み取り後、裏面202の読み取られるまでの間に、原稿はスイッチバックパス39において先端と後端とが反転させられて、読取位置21aへ搬送される。したがって、裏面202は、その天地が反転されて、読取位置21aへ搬送される。
そして、裏面202の搬送方向先端213から、読取範囲208の搬送方向先端までの長さが、裏面先端側非読取領域高さ214として、RAM63に記憶される。
ここで、表面201の搬送方向後端211が読取位置21aを通過した後、裏面の搬送方向先端213が読取位置21aに到達するまでの間の搬送距離は、固定値であって、表面読取後搬送距離としてROM62に記憶されている。
よって、ユーザによって読取範囲208が定められれば、表面201の読取範囲208の読み取り終了後、裏面202の読取範囲208の読み取りを開始するまでの搬送距離は、表面後端側非読取領域高さ212と、表面読取後搬送距離と、裏面側非読取領域高さ214とを加算することにより求めることができる。
そして、上記搬送距離を搬送速度で除算することにより、表面201の読取範囲208の読み取り終了後、裏面202の読取範囲208の読み取りを開始するまでに要する時間が算出される。本実施形態では、この時間を表面読取後搬送時間として算出し、RAM63に記憶する。
RAM63に記憶された表面読取後搬送時間は、表面読取後判定閾値と比較される。そして、表面読取後搬送時間が、表面読取後判定閾値以上である場合に、上述した補正データ決定処理(S10)が実行される。
図12,図13を参照して、第3実施形態の画像読取装置1で実行される処理について説明する。図12は、第3実施形態の画像読取装置1で実行される範囲指定両面読取処理を途中まで示すフローチャートであり、図13は図12に示す範囲指定両面読取処理の続きの処理を示すフローチャートである。
なお、図12,図13に示す範囲指定両面読取処理において、図7を参照して説明したADF載置原稿読取処理、または図10に示す範囲指定片面読取処理と同一のステップについては同一の符号を付してその説明を省略する。
この範囲指定両面読取処理は、ADF3の給紙トレイ30に原稿が載置され、操作キー11を用いてユーザにより読取範囲208(図11参照)が指定され、且つ「スタート」が入力されると起動する処理である。ここで、ユーザにより設定される読取範囲208は、各ページの表面201,裏面202で全て同一範囲であっても良いし、各ページの表面201、裏面202毎に個別に設定されても良い。
まず、ユーザによって指定された読取範囲208に従って、表面後端側非読取領域高さ212および裏面先端側非読取領域高さ214(図11参照)を算出し、RAM63に記憶する(S100)。なお、各ページの表面201,裏面202に個別に読取範囲208が設定された場合には、各ページの表面201と裏面202とについて先端側非読取領域高さ110および後端側非読取領域高さ112が算出され、ページ番号および表面か裏面かに対応付けて記憶される。
次に、第1実施形態で説明したS2,S4、S6の処理を行う。次に、補正データ決定処理(S10)を実行する。この補正データ決定処理(S10)は、上述した第1実施形態の補正データ決定処理(S10)と同一の処理であるため、図示および説明を省略する。
次に、読取範囲208の搬送方向先端が読取位置21aに到達すると(S120:Yes)、その読取範囲208の搬送方向先端からスキャン(読み取り)を開始する(S140)。そして、原稿の読み取りが進行し、読取範囲208の搬送方向後端が読取位置21aを通過すると(S160:Yes)、読取範囲208の読み取りを終了する(S180)。
図13を参照して、範囲指定両面読取処理の続きを説明する。読取範囲208の読み取りを終了すると(S180)、次に、その読み取った面が表面であるか裏面(第2面の一例)であるかを判断する(S300)。読み取った面が表面であると判断された場合(S300:Yes)、裏面202の読取範囲208の搬送方向先端が、読取位置21aに到達するまでの搬送時間である、表面読取後搬送時間を算出し、RAM63に格納する(S302)。
次に、算出した表面読取後搬送時間が、表面読取後判定閾値以上であるか否かを判断する(S304)。算出した表面読取後間搬送時間が、表面読取後判定閾値より小である場合(S304:No)、2パス目の搬送を開始する(S306)。そして、S120(図12参照)の処理に戻り、搬送方向先端が読取位置21aに到達すると(S120)、その裏面202の読取範囲208の読み取りを開始する(S140)。
一方、算出した表面読取後搬送時間が、表面読取後判定閾値以上であると判断された場合(S304:Yes)、次に、画像読取ユニット22を、基準位置21b下方へ移動させる(S308)。そして、2パス目の搬送を開始する(S310)。そして、S10(図12参照)の処理に戻り、補正データ決定処理(S10)を実行する。
そして、裏面202の読取範囲208を読み取ると、次に、S300の判断において、読み取った面が裏面であると判断されるので(S300:No)、次に、前回の表面201読み取り後、すなわち直近に裏面202が読み取られた原稿の表面201読み取り後に、補正データ決定処理(S10)を実行したか否かを判断する(S312)。
前回の表面201の読み取り後、補正データ決定処理(S10)を実行していない場合(S312:No)、画像読取ユニット22を、基準位置21b下方へ移動させる(S314)。次に、3パス目の搬送を開始する(S316)。そして、その原稿搬送路32を経て搬送された原稿が、読取位置21aを経て排紙トレイ31へ排紙される。
次に、給紙トレイ30上に次の原稿があると判断され(S318:Yes)、原稿の搬送方向後端が、リアセンサ64を通過したと判断されると(S320:Yes)、次に、給紙トレイ30に載置された原稿の1ページを給紙し、その1パス目の搬送を開始する(S322)。そして、補正データ決定処理(S10)を実行する。
一方、前回の表面201の読み取り後、補正データ決定処理(S10)を実行した場合(S312:Yes)、3パス目の搬送を開始する(S324)。そして、給紙トレイ30上に次の原稿があると判断され(S326:Yes)、原稿の搬送方向後端が、リアセンサ64を通過したと判断されると(S328:Yes)、次に、給紙トレイ30に載置された原稿の1ページを給紙し、その1パス目の搬送を開始する(S330)。そして、S120の処理に戻る。すなわち、補正データ決定処理(S10)を実行しない。
このようにして処理を繰り返すうちに、S318またはS326の判断において、給紙トレイ30上に次の原稿がないと判断されると(S318:NoまたはS326:No)、次に、第1実施形態において説明したS32,S34の処理を行い、範囲指定両面読取処理を終了する。
第3実施形態の画像読取装置1によれば、表面201の読取範囲208の読み取り後、裏面202の読取範囲208が読取位置21aに到達するまでの間に、画像読取ユニット22を基準位置21aへ移動させ、補正データ決定処理(S10)を実行することができる場合、裏面202の読み取り開始までの時間が有効に利用されて補正データ決定処理(S10)が実行されるので、裏面202の読み取り開始を遅延させることなく、シェーディング補正データを更新することができる。
一方、表面読取後搬送時間が、表面読取後判定閾値よりも小である場合、補正データ決定処理(S10)を実行しない。すなわち、表面読取後搬送時間が、画像読取ユニット22の移動時間と補正データ決定処理(S10)に要する時間とを加算した時間よりも小である場合、補正データ決定処理(S10)を実行しないので、補正データ決定処理実行のために、裏面202の読み取り開始が遅延させられることがない。
さらに、表面読取後、補正データ決定処理が実行されなかった場合は、裏面読取後の補正データ決定処理が実行されるので、光量変化に対応してシェーディング補正データを適宜更新することができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、第2実施形態の画像読取装置1では、ページ間搬送時間を算出し、ページ間判定閾値62cとの比較に基づいて、補正データ決定処理(S10)を実行するか否かを決定していたが、時間ではなく、搬送距離を閾値と比較することにより、補正データ決定処理(S10)を実行するか否かを決定しても良い。また、第3実施形態の画像読取装置1でも、同様に、表面読取後搬送時間を算出することに替えて、表面読み取り後、裏面読み取りまでの搬送距離を算出し、その搬送距離を閾値と比較することにより、補正データ決定処理(S10)を実行するか否かを決定しても良い。
また、上述した第1実施形態および第3実施形態では、1枚の原稿の両面のうち、画像読取装置1,200によって、先に読み取られる面を特許請求の範囲に記載の第1面に相当し、後に読み取られる面を特許請求の範囲に記載の第2面に相当するものとして説明したが、これとは逆に、先に読み取られる面が第2面に相当し、後に読み取られる面が第1面に相当するように構成されていても良い。