本発明の一実施形態による画像読取装置を備えた画像形成装置について、スキャン機能やプリント機能など複数種の機能が搭載された複合機を例にとって説明する。
<複合機の構成>
図1に示すように、本実施形態の複合機100は、画像読取部1、印刷部2および操作パネル3を備える。
画像読取部1は、図2に示すような構成を有する。画像読取部1は、原稿Dを読み取って原稿Dの画像データを生成する。載置読取では、載置読取用コンタクトガラスG1の上面上に載置された原稿Dの読み取りが画像読取部1により行われる。搬送読取では、搬送読取用コンタクトガラスG2に向けて原稿Dが自動搬送され、搬送読取用コンタクトガラスG2の上面上を原稿Dが通過するとき、画像読取部1による原稿Dの読み取りが行われる。
画像読取部1は、光源11、イメージセンサー12、ミラー13およびレンズ14を含む。これら画像読取部1の各部材は、画像読取部1の筐体10の内部に収容される。画像読取部1の筐体10の上面には開口が形成される。載置読取用コンタクトガラスG1および搬送読取用コンタクトガラスG2は、筐体10の上面の開口に設置される。
また、画像読取部1の筐体10には、原稿搬送ユニット101が設置される。原稿搬送ユニット101は、搬送読取用コンタクトガラスG2に向けて原稿Dを自動搬送する。
原稿搬送ユニット101は、図3に示すように、画像読取部1の筐体10に開閉可能に取り付けられる。具体的には、筐体10の本体背面側に回転軸10aが設けられる。そして、原稿搬送ユニット101は、筐体10の回転軸10aに回動可能(開閉可能)に支持され、筐体10の回転軸10aを支点として回動する。すなわち、原稿搬送ユニット101は、本体正面側の部分を自由端とし、本体正面側の部分を上下方向に振るように回動する。
原稿搬送ユニット101が閉じられると、載置読取用コンタクトガラスG1および搬送読取用コンタクトガラスG2が原稿搬送ユニット101によって覆われる。これにより、載置読取用コンタクトガラスG1上に載置された原稿D(載置読取の対象となる原稿D)を原稿搬送ユニット101で押えることができる。この構成では、原稿搬送ユニット101が「原稿押え」に相当する。
たとえば、原稿搬送ユニット101がオプション装置であれば、原稿搬送ユニット101が装着されず、代わりに、載置読取用コンタクトガラスG1上に載置された原稿Dを押える機能のみを有する原稿カバーが装着される場合がある。そして、複合機100の出荷後、原稿搬送ユニット101が装着される場合がある。この場合、載置読取用コンタクトガラスG1および搬送読取用コンタクトガラスG2を最初から筐体10に設置しておくことにより、原稿カバーから原稿搬送ユニット101に交換するだけでよくなるので、原稿搬送ユニット101の有無にかかわらず、筐体10に搬送読取用コンタクトガラスG2を設置してもよい。
原稿搬送ユニット101の開閉を検知するため、画像読取部1の筐体10には開閉センサー111が設けられる。たとえば、開閉センサー111は、発光部および受光部を有する光センサーである。また、開閉センサー111は、発光部と受光部との間を上下方向に移動可能なアクチュエーター112を検知対象とする。
原稿搬送ユニット101を完全に開けているとき(図3の上図に示す状態のとき)、アクチュエーター112は筐体10の上面(載置読取用コンタクトガラスG1および搬送読取用コンタクトガラスG2の各上面)よりも上方に突出する。このとき、アクチュエーター112は開閉センサー111の光路を遮らない(開閉センサー111がオンする)。この状態で、原稿搬送ユニット101を閉じていくと、アクチュエーター112が原稿搬送ユニット101に当接して下方に押し込まれる。そして、原稿搬送ユニット101の傾斜角度(筐体10の上面との角度)が所定角度になるまで原稿搬送ユニット101を閉じたとき(図3の下図に示す状態のとき)、アクチュエーター112が開閉センサー111の光路を遮る(開閉センサー111がオフする)。その後、原稿搬送ユニット101を完全に閉じると、アクチュエーター112は原稿搬送ユニット101によってさらに下方に押し込まれるが、開閉センサー111の光路はアクチュエーター112によって遮られたままである。
図2に戻り、光源11は、LED素子(図示せず)を複数含む。複数のLED素子は、主走査方向(図2の紙面に対して垂直な方向)にライン状に配列される。載置読取では、光源11は載置読取用コンタクトガラスG1に向けて光を照射する(載置読取用コンタクトガラスG1を透過した光が載置読取用コンタクトガラスG1上の原稿Dを照射する)。搬送読取では、光源11は搬送読取用コンタクトガラスG2に向けて光を照射する(搬送読取用コンタクトガラスG2を透過した光が搬送読取用コンタクトガラスG2上の原稿Dを照射する)。原稿Dで反射された反射光は、ミラー13で反射され、レンズ14に導かれる。レンズ14は、反射光を集光する。
イメージセンサー12は、RGB各色に対応するラインセンサーを含む。各色のラインセンサーは、主走査方向にライン状に並ぶ複数の光電変換素子を有するCCDからなる。イメージセンサー12は、原稿Dからの反射光(レンズ14で集光された光)を受光すると、ライン単位で画素ごとに光電変換して電荷を蓄積する。そして、イメージセンサー12は、蓄積電荷に応じたアナログ信号(RGB信号)を出力する。
光源11およびミラー13は、主走査方向と直交する副走査方向に移動可能な移動枠15に装着される。移動枠15は、ワイヤー16に連結される。ワイヤー16は、巻取ドラム17に巻回される。巻取ドラム17は、巻取モーターMTの駆動力を受けて回転する。巻取モーターMTが駆動すると、巻取ドラム17が回転するので、移動枠15が副走査方向に移動する。すなわち、光源11およびミラー13が副走査方向に移動する。
載置読取では、ユーザーによって載置読取用コンタクトガラスG1上に原稿Dが載置される。載置読取用コンタクトガラスG1上への原稿Dの載置後、通常では、原稿搬送ユニット101が閉じられるが、原稿搬送ユニット101が閉じられない場合もある。原稿搬送ユニット101が開けられた状態であっても、載置読取は可能である。たとえば、原稿Dが書籍などであれば、原稿搬送ユニット101が開けられた状態で載置読取が行われる場合がある。
載置読取のときには、光源11を含む移動枠15が副走査方向(正面から見て左から右に向かう方向)に移動する。そして、移動枠15が副走査方向に移動しているとき、光源11が載置用コンタクトガラスG1に向けて光を照射する。イメージセンサー12は、載置読取用コンタクトガラスG1上の原稿Dで反射された反射光の光電変換を連続して繰り返し行う。これにより、原稿Dの読み取りがライン単位で行われる。
搬送読取では、原稿搬送ユニット101が閉じられ、ユーザーによって原稿搬送ユニット101に原稿Dがセットされる。そして、原稿搬送ユニット101は、搬送読取用コンタクトガラスG2に向けて原稿Dを搬送する。
搬送読取のときには、光源11を含む移動枠15が搬送読取用コンタクトガラスG2の下方に移動する。そして、搬送読取用コンタクトガラスG2の下方において、光源11が搬送読取用コンタクトガラスG2に向けて光を照射する。イメージセンサー12は、搬送読取用コンタクトガラスG2上を通過する原稿Dで反射された反射光の光電変換を連続して繰り返し行う。これにより、原稿Dの読み取りがライン単位で行われる。
図1に戻り、印刷部2は、用紙搬送路(図1では、破線で示す)に沿って用紙Pを搬送する。また、印刷部2は、印刷すべき画像の画像データに基づきトナー像を形成する。そして、印刷部2は、搬送中の用紙Pにトナー像を印刷する。たとえば、印刷部2は、画像読取部1による載置読取や搬送読取で得られた画像データに基づき印刷を行う(コピージョブを実行する)。
印刷部2は、給紙部21、画像形成部22および定着部23を含む。給紙部21は、カセットCAに収容された用紙Pを用紙搬送路に給紙する。用紙搬送路に給紙された用紙Pは用紙搬送路に沿って搬送される。
画像形成部22は、ブラック(K)、イエロー(Y)、シアン(C)およびマゼンタ(M)の各色にそれぞれ対応する機構部22K、22Y、22Cおよび22Mを含む。機構部22K、22Y、22Cおよび22Mは、それぞれ、対応する色のトナー像(画像)を形成し、中間ベルトに1次転写する。中間ベルトに転写されたトナー像は、搬送中の用紙Pに2次転写される。
定着部23は、トナー像が転写された用紙Pを加圧および加熱する。これにより、用紙Pにトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙Pは、用紙搬送路に沿ってそのまま搬送され、排出される。
操作パネル3は、タッチパネルディスプレイ31およびハードウェアキー32を含む。タッチパネルディスプレイ31は、ソフトウェアキーを配した設定画面を表示し、ユーザーから各種設定や指示を受け付ける。ハードウェアキー32は、操作パネル3に複数設けられる。たとえば、ハードウェアキー32としては、原稿Dの読み取りを伴うジョブ(たとえば、コピージョブ)の実行指示をユーザーから受け付けるためのスタートキーなどがある。
また、図4に示すように、複合機100は、制御部4およびメモリー5を備える。制御部4は、CPUを含む。制御部4は、制御用のプログラムおよびデータに基づき動作し、複合機100の各部を制御するための処理を行う。メモリー5は、不揮発性メモリー(ROM)および揮発性メモリー(RAM)を含む。制御用のプログラムおよびデータは、ROMに記憶され、RAMに展開される。
制御部4は、画像読取部1に接続される。そして、制御部4は、画像読取部1を制御する処理を行う。また、制御部4は、画像読取部1による載置読取や搬送読取で得られた画像データに対して画像処理を行う。たとえば、制御部4には、画像処理用の回路やメモリーが搭載される。
制御部4は、光源11およびイメージセンサー12に接続され、光源11の点消灯動作およびイメージセンサー12の読取動作を制御する。また、制御部4は、巻取モーターMTに接続される。制御部4は、巻取モーターMTの駆動を制御し、巻取ドラム17の回転と回転停止とを切り替えるとともに、巻取ドラム17の回転方向を切り替える。制御部4は、巻取モーターMTの駆動を制御することにより、光源11を含む移動枠15を副走査方向に適切に移動させる。また、制御部4は、原稿搬送ユニット101に接続され、原稿搬送ユニット101の搬送動作を制御する。
また、制御部4は、画像データ(イメージセンサー12のアナログ出力)を増幅する処理や、アナログ出力をデジタルの画像データに変換する処理などを行う。なお、これら処理を行うデータ処理部が制御部4とは別に設けられてもよい。また、制御部4は、画像データに対して、色変換処理(画像データをRGB形式からCMYK形式に変換する処理)や拡大縮小処理などを行う。
また、制御部4は、開閉センサー111に接続され、開閉センサー111の出力値に基づき、原稿搬送ユニット101の開閉を検知する。制御部4は、開閉センサー111の出力値が第1レベル(たとえば、Lレベル)から第2レベル(たとえば、Hレベル)に変化したことを検知すると、すなわち、開閉センサー111の光路が遮光状態から非遮光状態に変化すると、原稿搬送ユニット101が閉状態から開状態になったと判断する。その一方、制御部4は、開閉センサー111の出力値が第2レベルから第1レベルに変化したことを検知すると、すなわち、開閉センサー111の光路が非遮光状態から遮光状態に変化すると、原稿搬送ユニット101が開状態から閉状態になったと判断する。
また、制御部4は、印刷部2に接続され、印刷部2の印刷動作を制御する。さらに、制御部4は、操作パネル3に接続される。そして、制御部4は、操作パネル3の表示動作を制御するとともに、操作パネル3に対して行われた操作(タッチパネルディスプレイ31に対するタッチ操作およびハードウェアキー32に対する押下操作)を検知する。
<原稿外消去機能>
複合機100に対して載置読取を伴うジョブ(コピージョブなど)の実行を指示するのに際し、ユーザーは載置読取用コンタクトガラスG1上に原稿Dを載置する。そして、ユーザーは操作パネル3のスタートキーを押下する(複合機100に対してジョブの実行指示を与える)。
たとえば、載置読取用コンタクトガラスG1上の原稿Dが書籍などである場合、原稿搬送ユニット101を完全に閉じることはできない。したがって、この場合には、原稿搬送ユニット101が開けられた状態で、操作パネル3のスタートキーが押下される。
制御部4は、原稿搬送ユニット101が開けられた状態で、操作パネル3のスタートキーに対する押下操作を検知すると、載置読取を伴うジョブの実行指示を受け付けたと判断する。そして、制御部4は、画像読取部1に載置読取を行わせる。すなわち、原稿搬送ユニット101が開けられた状態であっても、画像読取部1による載置読取が行われる。コピージョブでは、画像読取部1による載置読取で得られた画像データに基づく画像が用紙Pに印刷される。
たとえば、図5に示すように、ユーザーにより指定された読取サイズ(原稿サイズ)がA4サイズ(たとえば、図5の破線で囲まれた領域のサイズがA4サイズに相当する)であり、ユーザーにより指定された用紙サイズ(コピージョブに用いる用紙サイズ)もA4サイズであったとする。なお、読取サイズおよび用紙サイズの指定は操作パネル3がユーザーから受け付ける。そして、載置読取用コンタクトガラスG1上に載置された原稿Dのサイズがユーザー指定の読取サイズよりも小さかったとする。
この例において、原稿搬送ユニット101が開けられた状態でコピージョブ(載置読取を伴うジョブ)が実行された場合、原稿内領域(図5の破線で囲まれた領域のうち原稿Dが存在する領域)では、光源11の光は原稿Dで反射されるので、イメージセンサー12の複数の光電変換素子のうち原稿内領域の光電変換素子は原稿Dで反射された反射光を受光する。その一方、原稿外領域(図5の破線で囲まれた領域のうち原稿Dが存在しない領域)では、原稿Dでの光の反射はないので、イメージセンサー12の複数の光電変換素子のうち原稿外領域の光電変換素子の受光量は原稿内領域の光電変換素子の受光量よりも少なくなる。
したがって、図6に示すような印刷済み用紙Pが出力される。すなわち、印刷済み用紙Pのうち原稿外領域に対応する領域A1(ハッチングで示す領域)では、黒のベタ塗り印刷が行われる。なお、図6において、印刷済み用紙Pのうち符号A2を付した領域は原稿Dの画像が印刷される領域である。
ベタ塗り印刷が行われた場合、トナーの消費量が増大し、トナーの減りが早くなる。また、印刷物の見栄えが悪くなる。このため、ユーザーによっては、ベタ塗り印刷が行われないよう設定したい場合がある。
そこで、複合機100には、原稿外領域の画像を消去する原稿外消去機能(原稿外領域の画素の画素値を白色値に置換する機能)が搭載される。原稿外消去機能を有効にするか無効にするかの設定は操作パネル3がユーザーから受け付ける。
制御部4は、原稿搬送ユニット101が開けられた状態で、操作パネル3のスタートキーに対する押下操作を検知すると、原稿外消去機能が有効に設定されているか無効に設定されているかを判断する。そして、制御部4は、原稿外消去機能が有効に設定されていれば、画像読取部1による載置読取で得られた画像データ(CMYK形式に変換したCMYデータ)を対象画像データとし、対象画像データに対して原稿外消去処理(判定処理および置換処理を含む処理)を行う。制御部4による判定処理では、対象画像データに含まれる複数の画素のそれぞれについて、原稿内領域の画素であるか原稿外領域の画素であるかが判定される。制御部4による置換処理では、原稿外領域の画素の画素値が白色値に置換される。原稿内領域の画素は置換処理の処理対象にならない。
なお、制御部4は、原稿搬送ユニット101が開けられた状態で、操作パネル3のスタートキーに対する押下操作を検知すると、載置読取用コンタクトガラスG1上に載置された原稿Dのサイズを検知するための読み取り(ここでは、サイズ検知用読取と称する)を画像読取部1に行わせる。画像読取部1によるサイズ検知用読取では、所定ライン数分の読み取りだけが行われる。
制御部4は、サイズ検知用読取で得られた画像データに基づき、載置読取用コンタクトガラスG1上に載置された原稿Dの主走査方向のサイズを検知する。たとえば、載置読取用コンタクトガラスG1上に載置された原稿Dのサイズが定型サイズであれば、原稿Dの主走査方向のサイズに基づき副走査方向のサイズも検知することができる。
制御部4は、載置読取用コンタクトガラスG1上に載置された原稿Dの主走査方向および副走査方向の各サイズを検知した結果、検知サイズがユーザー指定の読取サイズ(原稿サイズ)と同じであれば、原稿外消去機能が有効に設定されていても、原稿外消去処理は行わない。すなわち、原稿外消去機能が有効に設定されており、かつ、検知サイズがユーザー指定の読取サイズよりも小さい場合(あるいは、原稿Dの副走査方向のサイズが検知できない場合)に、制御部4による原稿外消去処理が行われる。なお、載置読取用コンタクトガラスG1上に載置された原稿Dのサイズにかかわらず、原稿外消去機能が有効に設定されていれば、制御部4による原稿外消去処理が行われてもよい。
以下に、図7に示すフローチャートを参照し、制御部4により行われる原稿外消去処理の流れを説明する。図7に示すフローチャートは、原稿搬送ユニット101が開けられた状態で、画像読取部1による載置読取が行われ、その後、画像読取部1による載置読取で得られた画像データを制御部4が取得したときにスタートする。なお、図7に示すフローチャートのスタート時点では、原稿外消去機能が有効に設定されているとする。
ステップS1において、制御部4は、画像読取部1による載置読取で得られた画像データ(CMYK形式に変換したCMYデータ)を対象画像データとし、対象画像データに含まれる複数の画素の1つを注目画素に設定する。このとき、対象画像データに含まれる複数の画素のうち、現時点で未だ判定処理の対象となっていない画素が注目画素に設定される。制御部4による判定処理では、対象画像データに含まれる複数の画素が1つずつ順番に注目画素に設定される(全画素が判定処理の対象となる)。
ステップS2において、制御部4は、注目画素のCMYの画素値(輝度値)に基づき、比較対象値を求める。ここでは、注目画素のCMYの画素値の平均値が比較対象値として制御部4により求められる。ただし、後に詳細に説明するが、制御部4は、比較対象値を求めるとき、注目画素のCMYの画素値を補正する。
ステップS3において、制御部4は、注目画素が原稿内領域の画素であるか原稿外領域の画素であるかを判定する判定処理を行う。具体的には、制御部4は、注目画素の比較対象値が予め定められた閾値よりも大きいか否かを判断する。
たとえば、CMYデータが8ビットである場合を例にとると、最も明るい白色画素の画素値(C,M、Y)は(0,0,0)となり、最も暗い黒色画素の画素値(C,M,Y)は(255,255,255)となる。注目画素が原稿外領域の画素である場合には、比較対象値(CMYの画素値の平均値)は「255」に近い値となり、注目画素が原稿内領域の画素である場合よりも大きい値となる。これにより、比較対象値と閾値とを比較することにより、注目画素が原稿内領域の画素であるか原稿外領域の画素であるかを判定することができる。
ステップS3において、注目画素が原稿外領域の画素である(注目画素の比較対象値が閾値よりも大きい)と制御部4が判断した場合には、ステップS4に移行する。ステップS4に移行すると、制御部4は、注目画素の画素値を白色値に置換する置換処理を行う。制御部4により置換処理が行われると、注目画素の画素値(C,M、Y)は(0,0、0)に置換される。
制御部4による置換処理後、ステップS4からステップS5に移行する。ステップS3において、注目画素が原稿内領域の画素である(注目画素の比較対象値が閾値以下である)と制御部4が判断した場合には、ステップS4の処理(置換処理)が省略され、ステップS5に移行する。
ステップS5に移行すると、制御部4は、対象画像データに含まれる全画素に対する判定処理が完了したか否かを判断する。その結果、全画素に対する判定処理が完了したと制御部4が判断した場合には、ステップS6に移行し、全画素に対する判定処理が完了していないと制御部4が判断した場合には、ステップS1に移行する。
ステップS6に移行すると、制御部4は、CMYデータ(制御部4により置換処理が行われた場合には置換処理後のCMYデータ)に基づき、出力用画像データを生成する。たとえば、実行ジョブがコピージョブである場合、制御部4は、画像形成部22にトナー像を形成させるためのデータ(露光装置の露光を制御するためのデータ)を出力用画像データとして生成する。当該出力用画像データに基づき印刷が行われることにより、印刷済み用紙Pのうち原稿外領域に対応する領域が白色となる。
<画素値の補正>
制御部4は、比較対象値を求めるとき、注目画素のCMYの画素値を補正する。具体的には、制御部4は、注目画素の画素値に乗じる係数を設定する係数設定処理を行う。そして、制御部4は、注目画素の画素値に係数を乗じた値(注目画素の補正後の画素値)に基づき、注目画素の比較対象値を求める。
以下に、図8に示すフローチャートを参照し、制御部4により行われる係数設定処理の流れを説明する。
ここで、制御部4は、開閉センサー111の出力値に基づき、原稿搬送ユニット101が開けられたか否かを判断する。そして、原稿搬送ユニット101が開けられたと制御部4が判断したとき、図8に示すフローチャートがスタートする。たとえば、載置読取を伴うジョブ(コピージョブなど)では、載置読取用コンタクトガラスG1上に原稿Dを載置するため、ユーザーは原稿搬送ユニット101を開ける。このため、載置読取を伴うジョブの実行直前に、制御部4による係数設定処理が行われる(図8に示すフローチャートがスタートする)。
ステップS11において、制御部4は、画像読取部1に搬送読取用コンタクトガラスG2の読み取りを行わせる。そして、ステップS12において、制御部4は、搬送読取用コンタクトガラスG2の読み取りで得られた画像データ(CMYK形式に変換したCMYデータ)を補正用画像データとして取得する。
ステップS13において、制御部4は、補正用画像データに含まれる複数の画素の1つを選択する。このとき、補正用画像データに含まれる全画素のうち、現時点で未だ選択されていない画素が制御部4により選択される。そして、ステップS14において、制御部4は、選択画素が所定条件を満たすか否かを判断する。たとえば、制御部4は、選択画素のCMYの画素値の全てが予め定められた画素値範囲内の値であれば、選択画素が所定条件を満たすと判断し、選択画素のCMYの画素値のうち少なくとも1つが前記画素値範囲から外れた値であれば、選択画素が所定条件を満たさないと判断する。
ステップS14において、所定条件を満たすと制御部4が判断した場合には、ステップS15に移行する。ステップS15に移行すると、制御部4は、所定条件を満たす選択画素のCMYの画素値を色ごとに保持(累積加算)する。その後、ステップS16に移行する。なお、ステップS14において、所定条件を満たさないと制御部4が判断した場合には、ステップS15の処理が省略され、ステップS16に移行する。
ステップS16に移行すると、制御部4は、ステップS13の処理で選択した画素が最終画素であるか否かを判断する。その結果、最終画素であると制御部4が判断した場合には、ステップ17に移行する。
ステップS16において、最終画素ではないと制御部4が判断した場合には、ステップS13に移行する。この場合には、ステップS13およびS14の各処理が制御部4により繰り返される。すなわち、制御部4は、補正用画像データに含まれる複数の画素のうち非選択の画素の1つを新たに選択する。そして、制御部4は、新たな選択画素が所定条件を満たしていれば、所定条件を満たす新たな選択画素のCMYの画素値を色ごとに保持する。このとき、制御部4は、画素値をCMYの色ごとに累積加算する。所定条件を満たさない画素の画素値(予め定められた画素値範囲から外れた画素値)は加算されない。
ステップS17に移行すると、制御部4は、所定条件を満たす画素の画素値をCMYの色ごとに平均した第1平均値を求める。すなわち、制御部4は、所定条件を満たす画素数を認識し、CMY各色について、画素値の累積値を当該画素数で除した値を第1平均値として求める。その後、ステップS18において、制御部4は、各色の第1平均値を平均した第2平均値を求める。
たとえば、CMYデータが8ビットである場合において、各色の第1平均値(C,M,Y)が(250,230,250)であったとする。この場合、第2平均値(=(250+230+250)/3)は「243.3・・・」となる。
第2平均値を求めた後、ステップS19に移行する。ステップS19に移行すると、制御部4は、CMYの1つを選択する。このとき、現時点で未だ選択されていない色が制御部4により選択される。そして、ステップS20において、制御部4は、選択色の第1平均値を認識し、当該認識した第1平均値が第2平均値以上であるか否かを判断する。その結果、第1平均値が第2平均値以上であると制御部4が判断した場合には、ステップ21に移行し、第1平均値が第2平均値未満であると制御部4が判断した場合には、ステップS22に移行する。
ステップS21に移行した場合、制御部4は、選択色の係数を「1」に設定する。ステップS22に移行した場合、制御部4は、選択色の係数を選択色の第1平均値で第2平均値を除した値(=第2平均値/第1平均値)に設定する。すなわち、ステップS22に移行した場合には、選択色の係数が1よりも大きい値となる。
たとえば、CMYデータが8ビットである場合において、各色の第1平均値(C,M,Y)が(250,230,250)であったとする。この例では、第2平均値は「243.3・・・」となるので、C色およびY色の各第1平均値は第2平均値以上であり、M色の第1平均値は第2平均値未満である。このため、C色およびY色の各係数は「1」に設定され、M色の係数(=第2平均値/第1平均値)は「1.0579・・・」に設定される。
その後、ステップS23に移行する。ステップS23に移行すると、制御部4は、CMYの全色の係数の設定が完了したか否かを判断する。その結果、全色の係数の設定が完了したと制御部4が判断した場合には、本フローは終了し、全色の係数の設定が完了していないと制御部4が判断した場合には、ステップS19に移行する。
制御部4は、CMY各色の係数を設定した後、各色の係数をメモリー5に記憶する。そして、制御部4は、注目画素の比較対象値を求めるとき(図7に示すステップS2の処理を行うとき)、注目画素の画素値を補正する。
制御部4は、注目画素の画素値を補正するとき、注目画素のCMY各色の画素値を認識し、各色の画素値のそれぞれに、対応する色の係数を乗算する。そして、制御部4は、注目画素の補正後の各色の画素値(係数を乗じた画素値)の平均値を注目画素の比較対象値として求める。
たとえば、CMYデータが8ビットである場合において、注目画素の画素値(C,M,Y)が(245,220,245)であったとする。また、C色およびY色の各係数が「1」であり、M色の係数が「「1.0579」であったとする。この例では、注目画素のC色およびY色の補正後の各画素値(=245×1)は「245」となる。注目画素のM色の補正後の画素値(=220×1.0579)は「233」となる。ここでは小数点以下を四捨五入する。その結果、注目画素の比較対象値(=(245+233+245)/3)は「241」となる。
たとえば、上記の例において、注目画素の画素値を補正しなかったとする。この場合、注目画素の比較対象値(=(245+220+245)/3)は「237」となる。ここでは小数点以下を四捨五入する。
ここで、上記の例において、注目画素が原稿外領域の画素であったとする。この場合、本来であれば、注目画素の各色の画素値は略同じ値となる。しかし、外光の影響やラインセンサーの劣化などにより、いずれかの色の画素値が他の色の画素値よりも低くなるという現象が発生し得る。上記の例では、C色およびY色の各画素値が「245」となっているのに対し、M色の画素値がより低い「220」となっている。
このため、たとえば、注目画素が原稿内領域の画素であるか原稿外領域の画素であるかの判定処理に用いる閾値が「240」に設定されている場合には、注目画素が原稿外領域の画素であるにもかかわらず、注目画素の比較対象値は「237」であるので、注目画素が原稿内領域の画素であると判定される。この場合には、注目画素の画素値は白色値に置換されない。したがって、実行ジョブがコピージョブであった場合には、原稿外領域に対応する領域に不必要な画像が印刷された用紙Pが出力されてしまう。
そこで、制御部4は、注目画素の比較対象値を求めるとき、注目画素の画素値を補正する。上記の例において、注目画素の画素値が補正された場合には、比較対象値が「241」となる。すなわち、注目画素の比較対象値「241」は閾値「240」よりも大きくなる。このため、注目画素の画素値は白色値に置換される。
本実施形態では、上記のように、制御部4は、注目画素が原稿内領域の画素であるか原稿外領域の画素であるかを判定する判定処理に用いる比較対象値を注目画素の画素値に基づき求める。注目画素が原稿外領域の画素である場合には、本来であれば注目画素は暗くなるが、たとえば、複合機100の設置場所によっては若干明るくなってしまうことがある。そこで、制御部4は、判定処理を行うとき(比較対象値を求めるとき)、注目画素の画素値を補正する。
制御部4は、注目画素の画素値を補正するため、原稿搬送ユニット101が開けられた状態での搬送読取用コンタクトガラスG2の読み取りで得られた画像データを補正用画像データとして取得する。その後、制御部4は、補正用画像データに含まれる複数の画素の画素値をCMYの色ごとに平均した第1平均値を求めるとともに、各色の第1平均値を平均した第2平均値を求め、第1平均値が第2平均値以上の色の係数の値を1に設定する一方、第1平均値が第2平均値未満の色の係数については当該色の第1平均値で第2平均値を除した値に設定する。
そして、制御部4は、判定処理を行うとき、注目画素の各色の画素値のそれぞれに、対応する色の係数を乗算し、当該乗算によって得られた値(注目画素の補正後の画素値)の平均値を比較対象値として求める。制御部4は、このようにして求めた比較対象値と閾値とを比較することにより、注目画素が原稿内領域の画素であるか原稿外領域の画素であるかを判定する。これにより、判定処理において誤判定が発生するのを抑制することができる。
なお、複合機100に載置読取を行わせるには、原稿搬送ユニット101を開けてから載置読取用コンタクトガラスG1上に原稿Dを載置する必要がある。このとき、搬送読取用コンタクトガラスG2上に原稿Dが載置されることはない。言い換えると、原稿搬送ユニット101が開けられているとき、搬送読取用コンタクトガラスG2上には原稿Dが存在しない。このため、原稿搬送ユニット101が開けられた状態での搬送読取用コンタクトガラスG2の読み取りで得られた画像データを補正用画像データとして取得するのが好ましい。
また、本実施形態では、上記のように、制御部4は、第1平均値を求めるとき、予め定められた画素値範囲から外れている画素値を除外する。これにより、第1平均値は蛍光灯などの写り込みの影響が排除された値となる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部4は、原稿搬送ユニット101が開けられた状態で操作パネル3がジョブ(コピージョブなど搬送読取を伴うジョブ)の実行指示を受け付けたとき、載置読取用コンタクトガラスG1上に載置された原稿Dのサイズを検知し、当該検知した原稿Dのサイズがユーザー指定の読取サイズよりも小さい場合に、載置読取の終了後、判定処理および置換処理を行う。ここで、載置読取用コンタクトガラスG1上に載置された原稿Dのサイズがユーザー指定の読取サイズと同じ場合や、載置読取用コンタクトガラスG1上に載置された原稿Dのサイズがユーザー指定の読取サイズよりも大きい場合には、搬送読取で得られた画像データには原稿外領域が出現しない。このため、載置読取用コンタクトガラスG1上に載置された原稿Dのサイズがユーザー指定の読取サイズよりも小さい場合にのみ、制御部4による判定処理および置換処理が行われる。これにより、ユーザーが複合機100に対して搬送読取を伴うジョブの実行を指示したとき、ジョブの実行前に、不必要な処理が行われるのを抑制することができる。
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。