以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る画像読取装置1の外観構成を示すものであり、図2は、画像読取装置1の主要な内部構成を示すものである。本画像読取装置1は、例えば、コピー装置やファクシミリ装置、スキャナ装置、コピー機能やファクシミリ機構、スキャナ機能等を一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)等において、原稿の画像読取りを行うための画像読取部として実現される。
図1及び図2に示すように、画像読取装置1は、FBS(Flatbed Scanner)として機能する原稿載置台2に対して、自動原稿搬送機構であるオート・ドキュメント・フィーダ(ADF:Auto Document Feeder)3を備えた原稿カバー4が、背面側(紙面後方)の蝶番を介して開閉自在に取り付けられたものである。
原稿載置台2の正面側には、操作パネル5が設けられている。操作パネル5は、各種操作キー11と液晶表示部12とを具備する。画像読取装置1は、これら操作パネル5から所定の入力を受けて所定の動作を行う。画像読取装置1は、操作パネル5へ入力された指令のほか、コンピュータに接続されて該コンピュータからプリンタドライバやスキャナドライバ等を介して送信される指令によっても動作する。
図2に示すように、原稿載置台2には、原稿カバー4と対向する天面にプラテンガラス21が配設されている。原稿載置台2の内部には、プラテンガラス21に対向するようにして画像読取ユニット22が内蔵されている。
プラテンガラス21は、例えば透明なガラス板から構成され、画像読取装置1のADF3を使用する場合に原稿が配置される読取位置21aと、その読取位置21aと異なる位置にあり原稿が配置されない基準位置21bとが設けられている。このプラテンガラス21が、本発明の透光手段の一例に相当する。原稿載置台2の読取位置21aには、プラテンガラス21を露出するための開口が形成されている。該開口から露出されたプラテンガラス21は、画像読取ユニット22の主走査方向の長さに対応して、画像読取装置1の奥行き方向に延設されている。
プラテンガラス21の読取位置21a上方には、反射手段の一例である原稿押さえ19が対向配置されている。この原稿押さえ19は、その自重により又はバネ等の弾性部材の付勢力を受けて、常時、図2の下方へ向かう。また、この原稿押さえ19は、画像読取ユニット22の主走査方向の長さに対応して、画像読取装置1の奥行き方向に延設されている。よって、後述する原稿搬送路32を介して読取位置21aへ搬送されてきた原稿は、この原稿押さえ19によりプラテンガラス21側へ押さえられ、プラテンガラス21と原稿との密着性が高められる。
一方、プラテンガラス21の基準位置21b上面には、白色テープ21cが貼着されている。これにより、白色テープ21cを、ゲイン調整、シェーディング補正データ作成のための白色基準板として機能させることができる。なお、ゲイン調整、シェーディング補正については、後述する。また、プラテンガラス21の白色テープ21cが設けられた部分が、基準板の一例に相当する。
画像読取ユニット22は、光源からプラテンガラス21を通じて上方に光を照射し、照射対象からの反射光をレンズにより受光素子に集光し画像信号として出力する。画像読取ユニット22は、走査機構であるベルト駆動機構によりプラテンガラス21の下方を往復移動可能に設けられており、キャリッジモータの駆動力を受けてプラテンガラス21と平行に往復移動する。
特に、画像読取ユニット22は、プラテンガラス21下方において、ADF3により給紙される原稿を読み取る際には、読取位置21a下方に移動する。そして、図2に示すように、画像読取ユニット22が、読取位置21aの下方に配置されているとき、画像読取ユニット22から照射される光は、プラテンガラス21を経て、読取位置21aに配置された原稿に照射される。
なお、原稿押さえ19のプラテンガラス21に対向する面は、白色とされる。そして、原稿が読取位置21aに無いとき、この原稿押さえ19は、プラテンガラス21下方にある画像読取ユニット22からの照射光を、その画像読取ユニット22へ反射する。本実施形態の画像読取装置1によれば、原稿押さえ19からの反射光を画像読取ユニット22により読み取り、その結果得られるデジタルデータに基づいて光量変化量を評価することとしている。すなわち、原稿押さえ19を、原稿押さえとして機能させると共に反射手段としても機能させることにより、部品点数を低減している。
図3は、基準位置21b下方に画像読取ユニット22が移動した状態を示す図である。図3に示すように、基準位置21b下方に移動した画像読取ユニット22は、基準位置221bに光を照射し、基準位置21bからの反射光を読み取る。この基準位置21bに貼着された白色テープ21cは、白色基準板として機能するから、後述するシェーディング補正データを決定する際には、この白色テープ21cからの反射光を読み取ることにより得られたデジタルデータを用いて、シェーディング補正データが決定される。ここで、この白色テープ21cは、読取位置21aから離隔したところに配置されているから、原稿などから汚れが付着することが抑制され、適切なシェーディング補正データが決定される。
図1および図2に戻り説明する。原稿カバー4には、給紙トレイ30から原稿搬送路32を通じて排紙トレイ31へ原稿を連続搬送するADF3が備えられている。ADF3による搬送過程において、原稿がプラテンガラス21上の読取位置21aを通過し、プラテンガラス21の下方に待機する画像読取ユニット22が該原稿の画像を読み取るようになっている。
図2に示すように、ADF3の内部には、給紙トレイ30と排紙トレイ31とを、プラテンガラス21上の読取位置21aを経て連結するように、縦断面視において横向き略U字形状の原稿搬送路32が形成されている。原稿搬送路32は、ADF本体を構成する部材やガイド板、ガイドリブ等により、原稿が通過可能な所定幅の通路として連続的に形成されている。
原稿搬送路32には、給紙トレイ30から原稿搬送路32へ原稿を給送するための吸入ローラ33及び分離ローラ34と、原稿搬送路32に給送された原稿を排紙トレイ31へ搬送するための搬送手段とが配設されている。詳細には、図に示すように、原稿搬送路32に設けられた搬送ローラ35A,35B,35C,35Dと、これらに圧接するピンチローラ37とが搬送手段の一例に相当する。
図2に示すように、原稿搬送路32には、原稿の搬送を検知するための複数のセンサが設けられている。詳細には、原稿搬送路32には、分離ローラ34の上流側及び下流側に、第1フロントセンサ52及び第2フロントセンサ53がそれぞれ配設されており、また、読取位置21aの直上流側にリアセンサ54が配設されている。これら各センサは、原稿搬送路32へ出没する検出子の回動をフォトインタラプタのオン/オフとして検出する所謂光学センサである。
給紙トレイ30に原稿が載置されると、第1フロントセンサ52がオンとなる。第1フロントセンサ52のオン/オフにより、給紙トレイ30に原稿が載置されたか否かが検知される。分離ローラ34の直下流に配設された第2フロントセンサ53は、そのオン/オフにより、原稿搬送路32に給送された原稿の先端又は後端を検知するためのものである。例えば、第2フロントセンサ53が原稿の後端を検知してからの搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの回転数をエンコーダやモータのステップ数等によって監視することにより、原稿搬送路における原稿の先端又は後端の位置が判断される。
読取位置21aの直上流に配設されたリアセンサ54は、そのオン/オフにより、原稿搬送路32を搬送される原稿の先端及び後端を検知するためのものである。リアセンサ54が原稿の先端又は後端を検知してからの搬送ローラ35A,35B,35C,35D
の回転数をエンコーダやモータのステップ数等によって監視することにより、原稿の先端又は後端が読取位置21aに到達したか否かが判断される。画像読取ユニット22の画像読取りは、このリアセンサ54の信号に基づいて制御され、原稿の先端が読取位置21aに到達すれば画像読取りが開始され、原稿の後端が読取位置21aに到達すれば画像読取りが終了される。
図4を参照して、画像読取ユニット22の構成、および画像読取ユニット22から出力された信号の流れの概略について説明する。図4(a)は、画像読取ユニット22および画像読取ユニット22から出力されるデータを処理する補正手段の一例であるASIC66の概略構成を示す図である。
図4に示すように、読取手段の一例である画像読取ユニット22は、例えば、冷陰極管で構成された光源22aと、少なくともプラテンガラス21の長辺である主走査範囲をカバーするCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサで構成された、撮像手段の一例であるイメージセンサ22bと、AFE(アナログフロントエンドIC)22cとを備える。画像読取ユニット22によれば、光源22aからの照射光が照射対象により反射された反射光をイメージセンサ22bで読み取る。そして、イメージセンサ22bは、反射光を光電変換し画像信号をAFE22cに出力する。AFE22cでは、画像信号をデジタルデータにA/D変換してASIC66に出力する。このASIC66に出力されるデジタルデータが、画像データの一例に相当する。なお、イメージセンサ22bは、密着型のCIS(Contact Image Sensor)イメージセンサなど、他の種類のイメージセンサで構成されていても良い。また、AFE22cに代えてA/D変換器などを用いても良い。
画像読取ユニット22からASIC66に出力されたデジタルデータは、まず、ASIC66の黒補正部66aにより、黒補正される。
黒補正部66aにより黒補正されたデジタルデータは、次に、ASIC66のシェーディング補正部66bにより、シェーディング補正される。ここでシェーディング補正とは、白読取時における主走査方向の各画素毎のばらつきを修正するために、主走査方向の各画素毎に設定されたシェーディング補正データを画素ごとのデジタルデータに乗じる処理である。
図5は、白読取時にイメージセンサ22から出力される画像信号と、読取位置21aにおける主走査方向位置との関係を示すグラフである。このグラフによれば、主走査方向中央部においては高い値が得られるのに対し、主走査方向両端部においては相対的に低い値が得られることが読み取れる。さらに、光源22aの光量のばらつきに加え、主走査方向におけるイメージセンサ22bの感度の不均一性もあるため、白読取時であっても、各画素の画像信号は不均一となる。すなわち、白読取時であっても、各画素に対応して画像読取ユニット22から出力される画像信号を補正せずにデジタル化した場合、各画素に対応するデジタルデータは、所定の最大基準値(例えば、255)とはならない。よって、シェーディング補正によって、主走査方向におけるばらつきを均一化する。
シェーディング補正部66bによりシェーディング補正されたデータは、さらに色変換、符号化処理などの各種処理が行われた後、RAM63の画像メモリ63kに、画像データとして記憶される。
図4に戻り説明する。図4(b)は、AFE22cの概略の構成を示す図である。図4(b)に示すように、AFE22cは、画像信号補正手段の一例であるゲイン補正部22c1と、変換手段の一例であるA/D変換部22c2とを備える。ゲイン補正部22c1は、イメージセンサ22bから出力される画像信号を、ゲイン値に従って増幅し、A/D変換部22cに出力する。このゲイン補正部22cでは、白色の読み取り時に得られる画像信号を増幅して得られる値が、A/D変換部22c2の最大のリファレンス値と一致するように調整されたゲイン値に従って、イメージセンサ22bから出力される画像信号を増幅して出力する。なお、ゲイン補正部22c1にて画像信号の増倍率を決定するゲイン値が、本発明の画像信号補正値の一例に相当する。
A/D変換部22c2は、ゲイン補正部22cによりゲイン補正されたアナログの画像信号を既定のリファレンス値と比較し、例えば、00h〜FFh(16進数)のデジタルデータにA/D変換して出力する。
本実施形態の画像読取装置1によれば、まず、画像読取ユニット22が基準位置21b(図3参照)の下方に移動され、白色テープ21cを読み取り、その結果イメージセンサ22bから出力される画像信号に基づいてゲインを調整し、ゲイン値を決定する。そして、ゲイン値が決定されると、そのゲイン値がゲイン補正部66aに設定され、イメージセンサ22bからの画像信号が、ゲイン補正部66aによりゲイン補正されてA/D変換部22c2に入力され、デジタルデータに変換される。
そして、画像読取ユニット22から出力されるデジタルデータに基づいて、黒補正データおよびシェーディング補正データが決定され、それぞれ黒補正部66a、シェーディング補正部66bに設定される。これらの設定が行われてから、画像読取ユニット22が読取位置21a(図2参照)の下方に移動されて原稿の読み取りが行われ、原稿の読み取りにより得られた画像信号が、ゲイン補正、A/D変換、黒補正、シェーディング補正、他の各種画像処理がされて、画像メモリ63kに入力されることとなる。
図6は、画像読取装置1の制御部60の構成を示している。制御部60は、ADF3のみでなく画像読取装置1の全体動作を制御するものである。制御部60は、図に示すように、CPU61、ROM62、RAM63、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)64を主とするマイクロコンピュータとして構成されており、バス65を介してASIC(Application Specific Integrated Circuit)66に接続されている。
ROM62には、画像読取装置1及びADF3の各種動作を制御するためのプログラム等が格納されている。ROM62には、第1範囲62a、第2範囲62b、判定用補正値の一例である光量変化判定用ゲイン値62cが記憶されている。これら各値については、図8を参照して後述する。
RAM63は、CPU61が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又は作業領域として使用される。RAM63には、補正時ゲイン値記憶エリア63a、白レベルデータ記憶エリア63b、シェーディング補正データ記憶エリア63c、黒レベルデータ記憶エリア63d、黒補正データ記憶エリア63e、補正時A/Dデータ最大輝度記憶エリア63f、ページ間A/Dデータ最大輝度記憶エリア63g、A/Dデータ最大輝度変化率記憶エリア63h、一時ゲイン値記憶エリア63i、スキャンページ数カウンタ63j、画像メモリ63kが設けられている。
補正時ゲイン値記憶エリア63aは、画像信号補正値記憶手段の一例であって、シェーディング補正データを決定するに際し、その決定の直前のゲイン調整により決定されたゲイン値を、補正時ゲイン値として記憶するエリアである。この補正時ゲイン値記憶エリア63aに記憶された補正時ゲイン値は、ゲイン補正部22c1(図4(b)参照)に設定される。したがって、この補正時ゲイン値を用いて、イメージセンサ22bから出力される画像信号がゲイン補正される。
白レベルデータ記憶エリア63bは、基準位置21b下方に移動した画像読取ユニット22により、光源から白色基準板としての白色テープ21cに照射された反射光を主走査方向全幅について取得されたデジタルデータを、白レベルデータとして記憶するエリアである。よって、白レベルデータ記憶エリア63bに記憶された白レベルデータに基づいて、これら白レベルデータを、それぞれ白読取時の最大基準値(例えば、255)に均一化することができるように、画素毎のデジタルデータに乗じるべきシェーディング補正データが、各画素毎に決定される。
シェーディング補正データ記憶エリア63cは、補正データ記憶手段の一例であって、上記白レベルデータに基づいて決定されたシェーディング補正データが記憶されるエリアである。このシェーディング補正データ記憶エリア63cに記憶されたシェーディング補正データは、シェーディング補正部66b(図4(a)参照)に設定される。したがって、このシェーディング補正データを用いて、シェーディング補正が行われることとなる。
黒レベルデータ記憶エリア63dは、基準位置21b下方に移動した画像読取ユニット22のうち、反射光が入光しない遮光領域に設けられたイメージセンサ22bを用いて取得されたデジタルデータを黒レベルデータとして記憶するエリアである。この黒レベルデータに基づいて、画像読取ユニット22から出力されるデジタルデータから差し引くべき黒補正データが決定される。
黒補正データ記憶エリア63eは、黒レベルデータに基づいて決定される黒補正データを記憶するエリアである。ASIC66の黒補正部66a(図4(a)参照)は、この黒補正データ記憶エリア63eに記憶される黒補正データに基づいて、画像読取ユニット22から出力されたデジタルデータを黒補正する。イメージセンサ22bの特性として光入力がない状態でも暗出力レベルの出力があるので、黒補正により、イメージセンサ22bの出力から黒補正データ分を差し引くのである。この黒補正データは、上述したシェーディング補正データの決定と同じタイミングで新たに決定され、値が更新される。
補正時A/Dデータ最大輝度記憶エリア63fは、補正時最大輝度記憶手段の一例であって、補正時A/Dデータ最大輝度を記憶するエリアである。補正時A/Dデータ最大輝度とは、シェーディング補正データが決定された後に取得された1ライン分のデジタルデータのうち、最大輝度に相当する値である。
具体的には、シェーディング補正データ決定後、画像読取ユニット22を読取位置21a下方に移動させて、原稿押さえ19(図2参照)から反射される反射光を1ライン分読み取り、画像読取ユニット22から出力されるデジタルデータを取得する。そして、その取得したデジタルデータのうち、値が大きいものから例えば16画素分のデジタルデータを抽出し、その平均値を補正時A/Dデータ最大輝度として算出し、補正時A/Dデータ最大輝度記憶エリア63fに記憶する。この補正時A/Dデータ最大輝度は、シェーディング補正データが新たに決定される毎に算出され、更新される。なお、光源からの光が照射される1ライン分の範囲が本発明の所定範囲の一例に相当する。
ページ間A/Dデータ最大輝度記憶エリア63gは、ページ間最大輝度記憶手段の一例であって、読み取りが終了した1ページの原稿の搬送方向後端が読取位置21aを通過し、且つ次のページの原稿の搬送方向先端が搬送されて読取位置21aに到達するまでの間、すなわち、読取位置21aに原稿が配置されていないページ間において、読取位置21a下方にある画像読取ユニット22によって原稿押さえ19からの反射光を読み取って取得されたデジタルデータのうち、最大輝度に相当する値を、ページ間A/Dデータ最大輝度として記憶するエリアである。具体的には、読取位置21a下方において画像読取ユニット22により取得したデジタルデータのうち、値が大きいものから例えば16画素分のデジタルデータを抽出し、その平均値をページ間A/Dデータ最大輝度として算出し、ページ間A/Dデータ最大輝度記憶エリア63gに記憶するのである。このページ間A/Dデータ最大輝度記憶エリア63gに記憶された値は、例えば5ページの原稿の読み取りが終了する毎に算出され、更新される。
A/Dデータ最大輝度変化率記憶エリア63hは、補正時A/Dデータ最大輝度に対する、ページ間A/Dデータ最大輝度の変化量を示す、A/Dデータ最大輝度変化率を記憶するエリアである。具体的には、例えば、下記式(1)で算出される値が、A/Dデータ最大輝度変化率として算出され、A/Dデータ最大輝度変化率記憶エリア63hに記憶される。
A/Dデータ最大輝度変化率={(ページ間A/Dデータ最大輝度÷補正時A/Dデータ最大輝度)−1}×100・・・(1)
図7を参照して、光源22aの経時的な光量変化についてさらに詳細に説明する。図7は、イメージセンサ22bから出力される画像信号と、読取位置21aにおける主走査方向位置との関係を示すグラフであり、前回のシェーディング補正データ決定時において読み取られた画像信号はG1として示し、前回のシェーディング補正時から所定時間経過して読み取られた画像信号はG2として示すグラフである。図7に示すように、所定時間経過後である画像信号(G2)は前回のシェーディング補正時に読み取られた画像信号(G1)に比較して、イメージセンサ22bからの出力が全体的に高くなっていることが分かる。これは、時間の経過に伴なって光源22aからの光量が高まったことに起因する。
さらに、図7に示すグラフによれば、画像信号が低い値を示す主走査方向両端に比べて、画像信号が高い値を示す主走査方向中央において、よりが大きく値が変動していることが分かる。換言すれば、前回のシェーディング補正データ決定時において読み取られた最大輝度に対し、現時点において読み取られた最大輝度が大きく変動している場合、光源22aからの光量も全体として大きく変動していると判断することができる。一方、最大輝度の変化量が小さい場合は、光源22aからの光量は全体として大きくは変動していないと判断することができる。
よって、本実施形態の画像読取装置1によれば、前回のシェーディング補正データ決定時に取得された補正時A/Dデータ最大輝度に対する、現時点において取得されたページ間A/Dデータ最大輝度の変化量を示すA/Dデータ最大輝度変化率を算出し、このA/Dデータ最大輝度変化率に基づいて、前回のシェーディング補正データ決定時から現時点までにおける光量変化量を評価することとしている。
具体的には、算出されたA/Dデータ最大輝度変化率を第1範囲62aと比較し、A/Dデータ最大輝度変化率が第1範囲62a外であれば、前回のシェーディング補正データの決定時からの光量変化量が大きいと判断し、画像読取ユニット22を基準位置21b下方に移動させて白色テープ21cからの反射光を読み取りシェーディング補正データを新たに決定し、更新する。なお、第1範囲62aは、例えば−5%以上+5%以下に設定されている。
一方、A/Dデータ最大輝度変化率が、第1範囲62a内である場合、本実施形態の画像読取装置1によれば、画像読取ユニット22は、読取位置21aに待機させたままとする。すなわち、画像読取ユニット22を基準位置21b下方に戻さず、ゲイン調整、シェーディング補正データの更新を行わなわない。よって、光量変化量が小さい場合は、画像読取ユニット22が読取位置21aと基準位置21bとの間を往復する必要がないので、読取処理に要する時間を短縮することができる。
但し、A/Dデータ最大輝度変化率が、第1範囲62a内であると判断された場合であっても、第2範囲62b外であると判断された場合は、前回のシェーディング補正データ決定時から有る程度の光量変動があったと判断することができる。よって、本実施形態の画像読取装置1によれば、補正時ゲイン値記憶エリア63aに記憶された補正時ゲイン値およびA/Dデータ最大輝度変化率から、仮の画像信号補正値の一例である一時ゲイン値を算出する。なお、第2範囲62bは、第1範囲62aよりも狭い範囲であり、例えば−2%以上+2%以下に設定されている。
図6に戻り説明する。一時ゲイン値記憶エリア63iは、補正時ゲイン値およびA/Dデータ最大輝度変化率から算出された一時ゲイン値を記憶するエリアである。上述したように、ゲイン補正部22c1には、補正時ゲイン値記憶エリア63aに記憶されたゲイン値が設定されるが、この一時ゲイン値が決定された後における、5ページ分の原稿(特許請求の範囲に記載の所定ページ数の原稿の一例)の読み取りに限っては、この一時ゲイン値がゲイン補正部22c1(図4(b)参照)に設定され、この一時ゲイン値を用いて、イメージセンサ22bから出力される画像信号がゲイン補正される。
このようにすれば、光源22aの光量変動がある場合であっても、画像読取ユニット22を基準位置21a下方へ移動させることなく、その光量変動に対応した適切な一時ゲイン値を決定し、その適切な一時ゲイン値を用いて、画像信号をゲイン補正することができる。
スキャンページ数カウンタ63jは、読み取りを行ったページ数を計数するカウンタである。
画像メモリ63kは、ASIC66において黒補正、シェーディング補正、その他の画像処理が施されたデジタルデータが格納されるメモリである。この画像メモリ63kに格納されたデジタルデータは、ユーザからの指示または予め設定された内容に従って、画像読取装置1に接続された外部装置に転送される。
EEPROM64は、電源オフ後も記憶を保持すべき各種設定やフラグ等を格納する記憶領域である。
ASIC66は、上述した黒補正およびシェーディング補正に加えて、さらに、CPU61からの指令に従い、吸入ローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、スイッチバックローラ(SBローラ)43に駆動力を付与するモータ(図示せず)の制御を行う。
ASIC66には、ADF3により読取位置へ搬送される原稿の画像読取りを行う画像読取ユニット22が接続されている。ROM62に格納された制御プログラムに基づいて、画像読取ユニット22は原稿の画像読取りを行う。なお、図には示していないが、画像読取ユニット22を往復動させるための駆動機構も、ASIC66からの出力信号を受けて動作される。
次に、図8から図11のフローチャートを参照して、上記のように構成される第1実施形態の画像読取装置1において実行される、ADF載置原稿読取処理について説明する。
図8は、画像読取装置1で実行されるADF載置原稿読取処理のフローチャートである。このADF載置原稿読取処理は、ADF3の給紙トレイ30に原稿が載置され、操作キー11を用いて「スタート」が入力されると起動する処理であり、まず、画像読取ユニット22を基準位置21b下方へ移動させる(S2)。次に、画像読取ユニット22の光源22aが安定するまで待機する(S4)。具体的には、光源22aから照射される光量の、単位時間当たりにおける変動量が所定値以下となったことを条件として、光源22aが安定したと判断される。なお、電源起動後に十分な時間が経過していれば、光源22aが安定していると判断し、このS4の処理をスキップすることとしても良い。
次に、スキャンページ数カウンタ63jの値を「0」とし(S5)、ADF3の給紙トレイ30に載置された原稿の供給を開始する(S6)。そして、補正データフル決定処理(S10)を実行する。この補正データフル決定処理(S10)は、ゲイン補正部22c1におけるゲイン調整、および黒補正データの決定、シェーディング補正データの決定を行う処理であるが、詳細は図10を参照して後述する。
次に、供給された原稿の搬送方向先端が読取位置21aに到達したか否かを判断する(S12)。原稿の搬送方向先端が読取位置21aに到達しない間は(S12:No)、処理を待機する。そして、原稿の搬送方向先端が読取位置21aに到達すると(S12:Yes)、その原稿をスキャン(読み取り)する(S14)。
このようにして1ページの原稿の読み取りを終了すると、次に、スキャンページ数カウンタ63jの値に「1」を加算し(S16)、スキャンページ数カウンタ63jの値が「5」以上になったかを判断する(S18)。最初は、スキャンページ数カウンタ63jの値は「5」未満であるので(S18:No)、S26の処理に進み、次の原稿の搬送方向先端が、読取位置21aに到達したか否かを判断する(S26)。そして、次のページの原稿の搬送方向先端が読取位置21aに到達しないと判断された場合(S26:No)、次に、所定距離以上の搬送したかを判断する(S38)。この判断が否定される場合(S38:No)、S26の処理に戻る。
このようにして処理を繰り返すうちに、次のページの原稿の搬送方向先端が、読取位置21aに到達したと判断された場合(S26:Yes)、S14に戻り、次ページの読み取りを開始する。
そして処理を繰り返すうちに、5ページ分の原稿を読み取ると、スキャンページ数カウンタ63jの値が「5」以上であると判断されるので(S18:Yes)、次に、A/Dデータ最大輝度変化率算出処理(S20)を実行する。このA/Dデータ最大輝度変化率算出処理は、読み取りが終了した1ページの原稿の搬送方向後端が読取位置21aを通過し、且つ次のページの原稿の搬送方向先端が読取位置21aに到達するまでの間に、前回のシェーディング補正データ決定時から現時点までにおける光源22aの光量変化量を示すA/Dデータ最大輝度変化率を算出する処理であるが、詳細は、図9を参照して後述する。
次に、算出したA/Dデータ最大輝度変化率が、第2範囲62b(図6参照)外か否かを判断する(S22)。例えば、算出したA/Dデータ最大輝度変化率が−2%未満または+2%より大である場合、A/Dデータ最大輝度変化率は、第2範囲62b外と判断され(S22:Yes)、次に、そのA/Dデータ最大輝度変化率が、第1範囲62a外かを判断する(S28)。
ここで、例えば、A/Dデータ最大輝度変化率が−5%未満または+5%よりも大である場合、第1範囲62a外であると判断され(S28:Yes)、前回のシェーディング補正データの決定時から現時点までの間における、光源22aの光量変化量が大きいと判断することができる。よって、シェーディング補正データを再度決定し、更新するために、画像読取ユニット22を基準位置21b下方へ移動させる(S32)。
次に、補正データフル決定処理(S36)を実行する。なお、この補正データフル決定処理(S36)は、上述した補正データフル決定処理(S10)と同じ処理であり、詳細は図10を参照して説明するが、この補正データフル決定処理(S36)により、ゲイン補正値、黒補正データ、およびシェーディング補正データが決定され、その決定された値または補正データで補正時ゲイン値記憶エリア63a、シェーディング補正データ63c、黒補正データ記憶エリア63eが更新される。次に、スキャンページ数カウンタの値が「0」に設定され(S25)、次の原稿の読み取りが開始される。
S22に戻って説明する。算出したA/Dデータ最大輝度変化率が、第2範囲62b外と判断され(S22:Yes)、且つ、そのA/Dデータ最大輝度変化率が、第1範囲62a内であると判断された場合(S28:No)、光量変動が見られるが、シェーディング補正データを更新するほどではないと判断することができるので、一時ゲイン値を決定し、その決定した一時ゲイン値を、ゲイン補正部22c1に設定する補正データ簡易決定処理(S30)を実行する。この補正データ簡易決定処理(S30)により一時ゲイン値が決定されると、次にスキャンページ数カウンタ63jの値を「0」に設定し(S25)、次のページの原稿の読み取りを開始する。
このようにすれば、一時ゲイン値の決定後、5ページ分の原稿の読み取りの際には、その一時ゲイン値を用いて、イメージセンサ22bからの画像信号がゲイン補正されることとなる。よって、前回の補正データフル決定処理(S10,S36)の実行時から現時点までに光量の変動があったとしても、その光量変動に対応した一時ゲイン値により、適切なゲイン補正を行うことができる。
S22に戻り説明する。算出したA/Dデータ最大輝度変化率が、第2範囲62b内であると判断された場合(S22:No)、補正時ゲイン値記憶エリア63aに記憶された補正時ゲイン値をゲイン補正部22c1に設定し(S24)、スキャンページ数カウンタ63jの値を「0」に設定し(S25)、次のページの原稿を読み取る。すなわち、前回の補正データフル決定処理(S10,S36)の実行時から現時点までの光量変動が小さいと判断された場合、その後に読み取る5ページ分の原稿の読み取りの際には、前回補正データフル決定処理(S10,S36)で決定された、ゲイン値、黒補正データ、シェーディング補正データを用いるのである。
このようにして処理を繰り返すうちに、次の原稿の搬送方向先端が、読取位置21aに到達せず(S26:No)、且つ、所定距離以上の搬送が行われたと判断された場合(S38:Yes)、次のページの原稿はないと判断することができるので、搬送ローラ35A,35B,35C,35Dによる搬送を停止し(S40)、画像読取ユニット22を基準位置21b下方に移動させ、ADF載置原稿読取処理を終了する。
図9を参照して、A/Dデータ最大輝度変化率算出処理(S20)について説明する。図9は、A/Dデータ最大輝度変化率算出処理(S20)のフローチャートである。このA/Dデータ最大輝度変化率算出処理(S20)は、ページ間A/Dデータ最大輝度を決定し、そのページ間A/Dデータ最大輝度と、前回の補正データフル決定処理(S10,S36)の実行時に決定された補正時A/Dデータ最大輝度とから、A/Dデータ最大輝度変化率を決定する処理である。
フローチャートの説明に入る前に、このA/Dデータ最大輝度変化率算出処理(S20)において、ページ間A/Dデータ最大輝度を決定するために用いられる光量変化判定用ゲイン値62c(図6参照)について説明する。
上述したように、ページ間A/Dデータ最大輝度決定のためには、画像読取ユニット22において原稿押さえ19が1ライン分読み取られ、その読み取られた画像信号がゲイン補正により増幅され、その増幅された画像信号がA/D変換部22c2においてA/D変換されることにより、デジタルデータが取得される。
ここで、前回の補正データフル決定処理(S10,S36)で決定されたゲイン値を用いて画像信号が増幅され、A/D変換部22c2に入力される場合、前回の補正データフル決定処理(S10,S36)実行時から現時点までの間に、光量が急激に増大していると、ゲイン補正後の画像信号が、A/D変換部22c2(図4(b)参照)で変換可能な最大輝度に飽和してしまい、光量変化量を評価するために有意な値が得られない。
よって、本実施形態の画像読取装置1によれば、原稿押さえ19の読み取りにより得られる画像信号が、A/D変換部22c2で変換可能な最大輝度に飽和することを抑制するために、原稿押さえ19の読み取り時には、既定の光量判定用ゲイン値62cをゲイン補正部22c1に設定して、原稿押さえ19を読み取ることとしている。
この光量変化判定用ゲイン値62cとしては、補正データフル決定処理(S10,S36)により決定されるゲイン値、または補正データ簡易決定処理(S30)により決定された一時ゲイン値よりも十分に小さく設定された値であって、例えば、増幅率1倍に相当する値が用いられる。このように十分小さく設定された光量変化判定用ゲイン値62cを用いてゲイン補正を行うことにより、ゲイン補正後の画像信号の値が、A/D変換部22c2で変換可能な最大輝度に飽和することが抑制される。その結果、前回の補正データフル決定処理(S10,S36)から現時点までに、光量が急激に増大したとしても、光量変化量を評価するために有意なページ間A/Dデータ最大輝度を決定することができるのである。
図9に示すフローチャートを参照して、さらに詳細に説明する。A/Dデータ最大輝度変化率算出処理(S20)では、まず、光量変化判定用ゲイン値62c(図6参照)を、ゲイン補正部22c1に設定する(S202)。そして、原稿押さえ19からの反射光を1ライン分読み取る(S204)。ここで読み取った1ライン分の画像信号は、S202の処理で設定された光量変化判定用ゲイン値62cを用いてゲイン補正されることとなる。
次に、1ライン分の画像信号が、AEF22cにおいてゲイン補正され、A/D変換されることにより取得された1ライン分のデジタルデータのうち、値が大きいものから16画素分のデジタルデータを抽出する(S205)。なお、ここで抽出するデジタルデータは、黒補正及びシェーディング補正が行われていないデータである。そして、その抽出した16画素分のデジタルデータの平均値を、ページ間A/Dデータ最大輝度として算出し、ページ間A/Dデータ最大輝度記憶エリア63gに記憶する(S206)。
次に、補正時A/Dデータ最大輝度記憶エリア63fに記憶された補正時A/Dデータ最大輝度と、ページ間A/Dデータ最大輝度とに基づいて、A/Dデータ最大輝度変化率を算出する(S208)。
このようにして算出されたA/Dデータ最大輝度変化率を用いて、上述したADF載置原稿読取処理(図8参照)では、前回の補正データフル決定処理(S10,S36)からの光量変化量を判定するのである。
A/Dデータ最大輝度変化率算出処理(S20)によれば、光量変化量を判定するためのA/Dデータ最大輝度変化率を、画像読取ユニット22を基準位置21b下方に移動させることなく、すなわち画像読取ユニット22を読取位置21a下方に待機させたまま算出することができる。よって、前ページ読み取り後、次ページ読み取りまでの間、画像読取ユニット22は基準位置21bと読取位置21aとを往復移動する必要がなく、次のページの原稿の読み取りを、迅速に開始することができる。
また、このA/Dデータ最大輝度変化率算出処理(S20)は、前ページの読取位置通過後、次ページが読取位置に通過するまでにおいて実行されるので、次ページ到達するまでの時間が有効利用され、読取処理に要する時間を抑制することができる。
図10を参照して、補正データフル決定処理(S10,S36)について説明する。図10は、補正データフル決定処理(S10,S36)を示すフローチャートである。この補正データフル決定処理(S10,S36)の開始時、画像読取ユニット22は、基準位置21b下方へ移動させられている。
まず、基準位置21b下方にある画像読取ユニット22のイメージセンサ22bにより白色テープ21cを読み取り、その画像信号の最大輝度が、A/D変換部22c2に入力される既定のリファレンス値と一致するように、ゲイン値を決定するゲイン調整を行う。そして、決定されたゲイン値を補正時ゲイン値として、補正時ゲイン値記憶エリア63aに記憶する(S102)。
次に、決定した補正時ゲイン値を、ゲイン補正部に設定し(S104)、基準位置21b下方において、画像読取ユニット22を16ライン分移動させつつ、16ライン分の領域を読み取り、デジタルデータを取得する(S106)。ここで取得するデジタルデータには、白色テープ21cからの反射光が入光される位置に設けられたイメージセンサ22bにより読み取られた白レベルデータと、遮光領域に設けられたイメージセンサ22bにより読み取られる黒レベルデータとが含まれる。ここで取得された白レベルデータは、白レベルデータ記憶エリア63bに記憶され、黒レベルデータは、黒レベルデータ記憶エリア63dに記憶される(S108)。
次に、取得した黒レベルデータに基づいて、黒補正データを決定し、黒補正データ記憶エリア63e(図6参照)に記憶すると共に、ASIC66の黒補正部66a(図4(a)参照)に設定する(S110)。
次に、取得した白レベルデータに基づいて、シェーディング補正データを決定し、シェーディング補正データ記憶エリア63c(図6参照)に記憶すると共に、ASIC66のシェーディング補正部66b(図4(a)参照)に設定する(S112)。
そして、画像読取ユニット22を、基準位置21b下方から読取位置21a下方へ移動させる(S114)。これにより、光源22aの照射対象、すなわち画像読取ユニット22による読み取り対象が、基準位置21bから読取位置21aへ切り替わる。
次に、光量変化判定用ゲイン値62cを、ゲイン補正部22c1に設定する(S116)。これは、以降のステップにおいて、補正時A/Dデータ最大輝度を算出するためである。すなわち、上述したように、補正時A/Dデータ最大輝度と、ページ間A/Dデータ最大輝度とから、光量変化量を示すA/Dデータ最大輝度変化率を算出するので、光量変化量を正確に判断することができるよう、ページ間A/Dデータ最大輝度を算出するために用いられるゲイン値と同じ値である、光量変化判定用ゲイン値62cを用いて、補正時A/Dデータ最大輝度を決定するのである。
次に、読取位置21a下方に移動した画像読取ユニット22により、原稿押さえ19を1ライン分読み取り、1ライン分のデジタルデータを取得する(S118)。ここで読み取った1ライン分の画像信号は、S116の処理で設定された光量変化判定用ゲイン値62cを用いてゲイン補正されることとなる。
次に、1ライン分の画像信号が、AEF22cにおいてゲイン補正され、A/D変換されることにより取得された1ライン分のデジタルデータのうち、値が大きいものから16画素分のデジタルデータを抽出する(S119)。そして、その抽出した16画素分のデジタルデータの平均値を、補正時A/Dデータ最大輝度として算出し、補正時A/Dデータ最大輝度記憶エリア63fに記憶する(S120)。
そして、補正時ゲイン値をゲイン補正部22c1に設定し(S122)、補正データフル決定処理(S10,S36)を終了する。補正データフル決定処理によれば、ゲイン値、シェーディング補正データが、現時点における光源22aからの光量に応じて決定される。そして、次のページから5ページ分の原稿の読み取りの際には、その新たに決定されたゲイン値、シェーディング補正データが用いられて、各種補正が行われるので、以降に読み取る原稿について、光源22aからの光量に応じた適切な補正を行うことができる。
図11を参照して、補正データ簡易決定処理(S30)について説明する。図11は、補正データ簡易決定処理(S30)を示すフローチャートである。
補正データ簡易決定処理(S30)では、まず、A/Dデータ最大輝度変化率と補正時ゲイン値とに基づいて、一時ゲイン値を決定し、一時ゲイン値記憶エリア63i(図6参照)に記憶する(S302)。一時ゲイン値は、例えば、下記(2)式に示す演算によって決定される。
一時ゲイン値=補正時ゲイン値×100/(100+A/Dデータ最大輝度変化率) ・・・(2)
すなわち、白色テープ21cからの反射光に基づいてゲイン値を調整し、決定することに替えて、前回の補正データフル決定処理(S10,S36)において決定された補正時ゲイン値に、現時点までの光量変化量を示すA/Dデータ最大輝度変化率を反映させることにより、光量変動に対応した適切なゲイン値を決定するのである。
そして、決定された一時ゲイン値をゲイン補正部22c1に設定し(S304)、この補正データ簡易決定処理(S30)を終了する。この補正データ簡易決定処理(S30)によれば、基準位置21bに画像読取ユニット22を戻すことなく、光量変化量に対応したゲイン値(一時ゲイン値)を決定することができる。そして、この一時ゲイン値決定後の5ページ分の原稿の読み取りの際には、この一時ゲイン値が用いられて、画像信号を適切にゲイン補正することができる。
さらに、この補正データ簡易決定処理(S30)によれば、一時ゲイン値算出のために、画像読取ユニット22を基準位置21bに戻す必要がないので、次のページの読み取りを迅速に開始することができる。
第1実施形態の画像読取装置1によれば、原稿押さえ19からの反射光を読み取って得られるデジタルデータが所定の条件を満たす場合に、補正データフル決定処理(S36)が実行される。そして、前回の補正データフル決定処理(S10,S36)実行時からの光量変化量がそれほど大きくない場合には、補正データフル決定処理(S36)が実行されないので、画像読取ユニット22は基準位置21b下方に移動する必要がない。よって、迅速に次ページの読み取りを開始することができ、読取処理に要する時間を短縮することができる。一方、前回の補正データフル決定処理(S10,S36)実行時からの光量変化量が大きいときには、補正データフル決定処理(S36)が実行されるので、適切なタイミングで補正データの更新を行うことができ、ゲイン補正、シェーディング補正を好適に実行することができる。
次に、図12から図14を参照して、本発明の第2実施形態の画像読取装置1について説明する。上記した第1実施形態の画像読取装置1では、補正時A/Dデータ最大輝度とページ間A/Dデータ最大輝度とからA/Dデータ最大輝度変化率が算出され、そのA/Dデータ最大輝度変化率に基づいて、補正データフル決定処理(S36)を実行するか否かが判断されていた。これに対し、第2実施形態の画像読取装置1では、最大輝度だけではなく、最小輝度も反映したA/Dデータ変化比を算出し、そのA/Dデータ変化比に基づいて、補正データフル決定処理(S36)を実行するか否か判断する点が、第1実施形態の画像読取装置1と異なる。なお、この第2実施形態の画像読取装置1において、上記した第1実施形態の画像読取装置1と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
ここで、上述した第1実施形態では、RAM63の補正時A/Dデータ最大輝度記憶エリア63fに記憶される補正時A/Dデータ最大輝度は、画像読取ユニット22により取得したデジタルデータのうち、値が大きいものから16画素分のデジタルデータを取得し、その平均値が補正時A/Dデータ最大輝度として算出されたものであった。
これに対し、第2実施形態では、シェーディング補正データおよび黒補正データが決定された後、画像読取ユニット22が読取位置21a下方に移動して取得されたデジタルデータのうち、最大の値を示す1画素分のデジタルデータが、補正時A/Dデータ最大輝度として決定され、RAM63に記憶される。
また、第2実施形態の画像読取装置1では、補正時A/Dデータ最大輝度として決定される最大輝度を示す画素の主走査方向位置が、最大輝度位置としてRAM63に記憶される。また、上述した第1実施形態では、原稿押さえ19から反射される光を1ライン分読み取って画像読取ユニット22から出力されるデジタルデータを取得し、その取得したデジタルデータのうち、値が大きいものから16画素分のデジタルデータを抽出し、その平均値をページ間A/Dデータ最大輝度として算出していた。これに対し、第2実施形態の画像読取装置1では、RAM63に記憶された最大輝度位置により特定される画素を読み取って得られたデジタルデータが、ページ間A/Dデータ最大輝度として決定され、RAM63に記憶される。すなわち、補正時A/Dデータ最大輝度と、ページ間A/Dデータ最大輝度とは、主走査方向位置が同じ画素から得られるデジタルデータである。
また、本第2実施形態の画像読取装置1では、シェーディング補正データおよび黒補正データが決定された後、画像読取ユニット22が読取位置21a下方に移動することにより取得されたデジタルデータのうち、最小の値を示す1画素分のデジタルデータが、補正時A/Dデータ最小輝度としてRAM63に記憶される。
また、補正時A/Dデータ最小輝度として決定される最小輝度を示す画素の主走査方向位置が、最小輝度位置としてRAM63に記憶される。
そして、読み取りが終了した1ページの原稿の搬送方向後端が読取位置21aを通過し、且つ次のページの原稿の搬送方向先端が搬送されて読取位置21aに到達するまでの間、すなわち、読取位置21aに原稿が配置されていないページ間において、読取位置21a下方にある画像読取ユニット22によって取得されたデジタルデータのうち、最小輝度に相当する値が、ページ間A/Dデータ最小輝度としてRAM63に記憶される。具体的には、RAM63に記憶された最小輝度位置により特定される画素を読み取って得られたデジタルデータが、ページ間A/Dデータ最小輝度として記憶される。すなわち、補正時A/Dデータ最小輝度と、ページ間A/Dデータ最小輝度とは、主走査方向位置が同じ画素から得られるデジタルデータである。
また、第2実施形態の画像読取装置1では、上記補正時A/Dデータ最小輝度に対する、ページ間A/Dデータ最小輝度の変化量を示す、最小輝度A/Dデータ変化率を算出し、RAM63に記憶する。具体的には、例えば、下記式(3)により、最小輝度A/Dデータ変化率が算出される。
最小輝度A/Dデータ変化率={(ページ間A/Dデータ最小輝度÷補正時A/Dデータ最小輝度)−1}×100・・・(3)
また、第2実施形態の画像読取装置1では、上記補正時A/Dデータ最大輝度に対する、ページ間A/Dデータ最大輝度の変化量を示す、最大輝度A/Dデータ変化率を算出し、RAM63に記憶する。具体的には、例えば、下記式(4)により、最大輝度A/Dデータ変化率が算出される。
最大輝度A/Dデータ変化率={(ページ間A/Dデータ最大輝度÷補正時A/Dデータ最大輝度)−1}×100・・・(4)
また、第2実施形態の画像読取装置1では、前回の補正データフル決定処理(S10,S36)実行時から現時点までにおける光源22aの光量変化量を示すA/Dデータ変化比を算出し、RAM63に記憶する。第2実施形態の画像読取装置1においては、このA/Dデータ変化比に基づいて、補正データフル決定処理を実行するか否かを判断することとしている。
具体的には、例えば、下記式(5)で算出されるA/Dデータ変化比が決定されて、RAM63に記憶される。
A/Dデータ変化比=最大輝度A/Dデータ変化率÷最小輝度A/Dデータ変化率 ・・・(5)
ここで、図7に戻り、本第2実施形態において光量変化量を評価するために用いられるA/Dデータ変化比ついて説明する。
図7に示すように、画像信号の値が低い主走査方向端部では、経時的な変動が小さいのに対し、画像信号の値が高い主走査方向中央部では、経時的な変動が大きく出ている。したがって、上述した最大輝度A/Dデータ変化率は、経時的変動の影響を強く受けて高い値を示すのに対し、最小輝度A/Dデータ変化率は、経時的変動の影響を受けにくく最大輝度A/Dデータ変化率に比較して低い値を示すこととなる。そして、光源22aからの光量変動が大きくなればなるほど、その差違は顕著となる。よって、光量変動が大きいほど、最大輝度A/Dデータ変化率と最小輝度A/Dデータ変化率との比で表されるA/Dデータ変化比が大きい値を示すこととなる。
したがって、予めROM62に記憶されたA/Dデータ変化比閾値62bとA/Dデータ変化比を比較してその大小を判断することにより、光量変化量を評価し、補正データフル決定処理を実行するか否かを判断することができるのである。
図12から図14を参照して、第2実施形態の画像読取装置1で実行される処理について説明する。図12は、第2実施形態の画像読取装置1で実行されるADF載置原稿読取処理を示すフローチャートである。なお、図12に示すADF載置原稿読取処理において、図8を参照して説明したADF載置原稿読取処理と同一のステップについては同一の符号を付してその説明を省略する。
特に、第2実施形態のADF載置原稿読取処理において実行される補正データフル決定処理(S100,S360)は、ゲイン値、黒補正データ、シェーディング補正データを決定する処理であるという点において、第1実施形態のADF載置原稿読取処理において実行される補正データフル決定処理(S10,S36)と共通するが、細部が第1実施形態とは異なるため、図13を参照して後述する。
第2実施形態のADF載置原稿読取処理では、スキャンページ数カウンタ63jの値が「5」以上となった場合(S18:Yes)、第1実施形態のADF載置原稿読取処理と同様に、前回の補正データフル決定処理の実行時からの光量変化量を評価する。
なお、最大輝度A/Dデータ変化率、最小輝度A/Dデータ変化率、およびA/Dデータ変化比を算出するための処理である、A/Dデータ変化比算出処理(S200)については、図14を参照して後述する。
次に、算出したA/Dデータ変化比が、第3範囲外かを判断する(S220)。算出したA/Dデータ変化比が、第3範囲外と判断された場合(S220:Yes)、前回の補正データフル決定処理の実行から現時点までの間における、光源22aの光量変化量が大きいと判断することができる。よって、再度、補正データフル決定処理を実行するために、画像読取ユニット22を基準位置21b下方へ移動させる(S320)。
次に、補正データフル決定処理(S360)を実行する。補正データフル決定処理(S360)により、ゲイン補正値、黒補正データ、およびシェーディング補正データが決定され、補正時ゲイン値記憶エリア63a、シェーディング補正データ63c、黒補正データ記憶エリア63eが更新されると、次に、スキャンページ数カウンタの値が「0」に設定され(S25)、次の原稿の読み取りが開始される。
S220に戻って説明する。算出したA/Dデータ変化比が、第3範囲内であると判断された場合(S220:No)、次に、A/Dデータ変化比算出処理(S200)において算出された最大輝度A/Dデータ変化率が、第4範囲外かを判断する(S230)。最大輝度A/Dデータ変化率が第4範囲外であると判断される場合(S230:Yes)、光量の変動により、イメージセンサ22bにより読み取られる画像信号の最大輝度に大きな変動が生じていると判断できるから、補正データ簡易決定処理(S300)により、一時ゲイン値を決定し、その一時ゲイン値を、ゲイン補正部22c1に設定する。なお、上述した第1実施形態の補正データ簡易決定処理(S30)においては、一時ゲイン値を算出するために、A/Dデータ最大輝度変化率と補正時ゲイン値とに基づいて一時ゲイン値が決定されていたが、本第2実施形態の補正データ簡易決定処理(S300)においては、一時ゲイン値は、例えば、下記(6)式に示す演算によって決定される。
一時ゲイン値=補正時ゲイン値×100/(100+最大輝度A/Dデータ変化率) ・・・(6)
このようにすれば、一時ゲイン値の決定後、5ページ分の原稿の読み取りの際には、その一時ゲイン値を用いて、イメージセンサ22bからの画像信号がゲイン補正されることとなる。よって、前回の補正データフル決定処理(S100,S360)の実行時から現時点までに光量の変動があったとしても、その光量変動に対応した一時ゲイン値により、適切なゲイン補正を行うことができる。
S220に戻り説明する。算出したA/Dデータ変化比が、第3範囲内であると判断された場合(S220:No)、補正時ゲイン値記憶エリア63aに記憶された補正時ゲイン値をゲイン補正部22c1に設定し(S24)、スキャンページ数カウンタ63jの値を「0」に設定し(S25)、次のページの原稿を読み取る。すなわち、前回の補正データフル決定処理(S100,S360)の実行時から現時点までの光量変動が小さいと判断された場合、その後に読み取る5ページ分の原稿の読み取りの際には、前回補正データフル決定処理(S10,S36)で決定された、ゲイン値、黒補正データ、シェーディング補正データを用いるのである。
図13を参照して、第2実施形態の画像読取装置1で実行される補正データフル決定処理(S100,S360)について説明する。図13は、第2実施形態の画像読取装置1で実行される補正データフル決定処理(S100,S360)を示すフローチャートである。なお、図13に示す補正データフル決定処理において、図10を参照して説明した補正データフル決定処理(S10,S36)と同一のステップについては同一の符号を付してその説明を省略する。特に、第2実施形態の補正データフル決定処理(S100,S360)は、第1実施形態の補正データフル決定処理(S100,S360)におけるS119、S120のステップに替えて、S1180,S1182,S1184,S1186のステップが設けられている点において、第1実施形態と異なる。
第2実施形態の補正データフル決定処理(S100,S360)では、第1実施形態の補正データフル決定処理(S10,S36)と同様にゲイン値、黒補正データ、シェーディング補正データを決定した後、画像読取ユニット22を読取位置21aに移動させ(S114)、光量変化判定用ゲイン値62cをゲイン補正部22c1に設定する(S116)。そして、読取位置21a下方に移動した画像読取ユニット22により、原稿押さえ19を1ライン分読み取る(S118)。
次に、1ライン分の画像信号が、AEF22cにおいてゲイン補正され、A/D変換されることにより取得された1ライン分のデジタルデータのうち、最大の値を示す1画素分のデジタルデータが、補正時A/Dデータ最大輝度として決定され、RAM63に記憶される(S1180)。そして、補正時A/Dデータ最大輝度として決定された最大輝度を示す画素の主走査方向位置を、最大輝度位置としてRAM63に記憶する(S1182)。
次に、S118の読み取りにより取得された1ライン分のデジタルデータのうち、最小の値を示す1画素分のデジタルデータが、補正時A/Dデータ最小輝度として決定され、RAM63に記憶される(S1184)。そして、補正時A/Dデータ最小輝度として決定された最小輝度を示す画素の主走査方向位置が、最小輝度位置としてRAM63に記憶される(S1186)。
第2実施形態の補正データフル決定処理(S100,S360)によれば、シェーディング補正データ決定時に取得されたデジタルデータの最大輝度、最小輝度、およびそれらに対応する主走査方向位置が記憶される。
図14を参照して、A/Dデータ変化比算出処理(S200)について説明する。図14は、第2実施形態の画像読取装置1で実行されるA/Dデータ変化比算出処理(S200)のフローチャートである。このA/Dデータ変化比算出処理(S200)は、ページ間A/Dデータ最大輝度、ページ間A/Dデータ最小輝度を決定し、それらに基づいて、光量変化量を評価するために用いられるA/Dデータ変化比を決定する処理である。
図14に示すように、A/Dデータ変化比算出処理(S200)では、まず、光量変化判定用ゲイン値62cを、ゲイン補正部22c1に設定し、原稿押さえ19からの反射光を1ライン分読み取る(S2004)。
次に、1ライン分の画像信号が、AEF22cにおいてゲイン補正され、A/D変換されることにより取得された1ライン分のデジタルデータのうち、RAM63に記憶された最大輝度位置により特定される画素を読み取って得られたデジタルデータを、RAM63に記憶する(S2006)。
次に、補正時A/Dデータ最大輝度記憶エリア63fに記憶された補正時A/Dデータ最大輝度と、ページ間A/Dデータ最大輝度とに基づいて、最大輝度A/Dデータ変化率を取得し、RAM63に記憶する(S2008)。
次に、S2004の読み取りにより取得された1ライン分のデジタルデータのうち、RAM63に記憶された最小輝度位置により特定される画素を読み取って得られたデジタルデータを、ページ間A/Dデータ最小輝度として決定し、RAM63に記憶する(S2010)。
次に、RAM63に記憶された補正時A/Dデータ最小輝度と、ページ間A/Dデータ最小輝度とに基づいて、最小輝度A/Dデータ変化率を算出し、RAM63に記憶する(S2012)。
そして、上述のようにして決定された最大輝度A/Dデータ変化率と、最小輝度A/Dデータ変化率とに基づいて、A/Dデータ変化比を決定してRAM63に記憶し、A/Dデータ変化比算出処理を終了する。
A/Dデータ変化比算出処理によれば、主走査方向位置に基づいて、ページ間A/Dデータ最大輝度、ページ間A/Dデータ最小輝度を決定するので、主走査方向における画素数が多くても、該当のデジタルデータを短時間で取得することができる。すなわち、1ライン分のデジタルデータのうち、最大輝度に相当する値および最小輝度に相当する値を検索し、その検索された値を用いてページ間A/Dデータ最大輝度およびページ間A/Dデータ最小輝度を決定することも考えられるが、このようにすると、取得されたデジタルデータの中から、最大輝度および最小輝度に相当する値を検索する処理の分、処理の負担および処理時間が増大するおそれがあるのである。
第2実施形態の画像読取装置1によれば、第1実施形態の画像読取装置10と同様の効果が得られる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、第1実施形態の画像読取装置1によれば、原稿押さえ19を1ライン分読み取ることにより、補正時A/Dデータ最大輝度およびページ間A/Dデータ最大輝度を決定していたが、例えば、複数ライン分の読み取りにより、これらの最大輝度を決定するものであっても良い。また、1ライン中、主走査方向中央部のみを用いて、補正時A/Dデータ最大輝度およびページ間A/Dデータ最大輝度を決定するように構成しても良い。また、第2実施形態の画像読取装置1についても同様に、複数ライン分の読み取りに基づいて、補正時A/Dデータ最大輝度、補正時A/Dデータ最小輝度を決定するように構成しても良い。
また、画像読取装置1において、原稿押さえ19のプラテンガラス21に対応する面は白色で構成されているものとして説明したが、光量変化量を検出するために支障がなければ、白色以外、例えば灰色などで構成されていても良い。
また、画像読取装置1によれば、5ページの原稿を読み取る毎に、前回シェーディング補正データ決定時からの光量変化量を判断することとしていたが、各ページ毎におよび各ページ毎に前回補正時と比較しても良い。
また、上述したADF載置原稿読取処理(図8,図12)では、ADFに載置された原稿の片面のみを読み取る処理であったが、両面読み取りの際においても、本発明を適用することができる。すなわち原稿の片面を読み取る毎に、A/Dデータ最大輝度変化率またはA/Dデータ変化比を算出し、それらに基づいて光量変化量を判断するように構成しても良い。