JP5096877B2 - 免震建物 - Google Patents
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Description
ところで、地震発生に伴って建物が横揺れすると、建物下部の横揺れ方向に沿う一方側は地盤側に押し込まれようとするので、その一方側の建物下部を支承する免震装置には圧縮力が作用し、このとき、建物下部の横揺れ方向に沿う他方側は地盤側から浮き上がろうとするので、その他方側の建物下部を支承する免震装置には引き抜き力が引っ張り力として作用し、建物下部を支承する免震装置のうちの、建物外周側に沿って設けてある外側免震装置としては、軸芯方向に沿った圧縮力(以下、圧縮軸力という)に対する耐力も、軸芯方向に沿った引っ張り力(以下、引っ張り軸力という)に対する耐力も大きい免震装置を設けることが望ましい。
しかしながら、積層ゴム支承方式の免震装置は、圧縮軸力に対する耐力が大きいものの、滑り支承式の免震装置に比べて引っ張り軸力に対する耐力が小さいので、地震発生時に引っ張り軸力が外側免震装置に作用しても免震効果が低下しないように、本来支持するべき建物荷重よりも大きな荷重が圧縮軸力として通常時に作用するように外側免震装置を設けておいて、地震発生に伴って外側免震装置に引っ張り軸力が作用しても、引っ張り軸力と通常時に作用している圧縮軸力との合力が圧縮力として作用するように外側免震装置を設けておく必要がある。
このため、従来の上記免震建物では、予め、建物下部における免震支承部の夫々に免震装置を設置してある状態で、建物外周側の建物下部をジャッキアップして、建物下部と外側免震装置との間に隙間を形成し、その隙間に耐圧縮部材を介在させた後、ジャッキアップを解除することにより、建物荷重が耐圧縮部材を介して、本来支持するべき建物荷重よりも大きな荷重が圧縮軸力として通常時に作用するように外側免震装置を設けてあったり、予め、建物下部における免震支承部の夫々に免震装置を設置してある状態で、内側免震装置近くの建物下部をジャッキアップして、建物下部と内側免震装置との間に隙間ができるように躯体の一部を除去した後、ジャッキアップを解除することにより、本来支持するべき建物荷重よりも小さな荷重が圧縮軸力として通常時に作用するように内側免震装置を設けて、その分、本来支持するべき建物荷重よりも大きな荷重が圧縮軸力として通常時に作用するように外側免震装置を設けてある(例えば、特許文献1参照)。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、建物下部における免震支承部の夫々に免震装置を設置した後に、資材や作業を特に追加することなく、耐震建物を簡便に構築できるようにすることを目的とする。
外側免震装置のうちで、出隅部の外側免震装置のそれぞれを、それ以外の残りの外側免震装置、及び、内側免震装置よりも鉛直方向の剛性が大きい免震装置で構成してあるので、建物下部における免震支承部の夫々に免震装置を設置して、それらの免震装置の夫々に建物荷重が圧縮軸力として作用している状態で、出隅部の建物下部を支承する鉛直方向の剛性が大きい外側免震装置のそれぞれには、本来支持するべき建物荷重よりも大きな荷重が圧縮軸力として通常時に作用する。
従って、本来支持するべき建物荷重よりも大きな荷重が圧縮軸力として通常時に作用するように出隅部の外側免震装置のそれぞれを設けるにあたって、建物下部における免震支承部の夫々に免震装置を設置した後に、資材や作業を特に追加することなく、出隅部の外側免震装置のそれぞれに本来支持するべき建物荷重よりも大きな荷重が圧縮軸力として通常時に作用させることができるので、耐震建物を簡便に構築できる。
内側免震装置よりも鉛直方向の剛性が大きい外側免震装置の積層ゴムは高減衰ゴム系材料で構成してあり、内側免震装置の積層ゴムは天然ゴム系材料で構成してあるので、本来支持するべき建物荷重よりも大きな荷重が少なくとも出隅部の外側免震装置に作用するように、内側免震装置も、それよりも鉛直方向の剛性が大きい外側免震装置も設け易い。
〔第1実施形態〕
図1,図2は、本発明による免震建物を示し、鉄筋コンクリート造りの高層の建物本体Aの建物下部を、建物基礎Bに設置してある複数の免震装置Cで支承してある。
図4は、水平方向に沿う横断面形状が長方形の建物本体Aに対応する免震装置Cの配置を示しており、建物本体Aにおける建物幅方向両端部の4箇所の出隅部の建物下部を支承する外側免震装置C1の各々の積層ゴムを高減衰ゴム系材料で構成して、内側免震装置C3よりも鉛直方向の剛性が大きい免震装置Cで構成してある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
〔第3実施形態〕
図5は、水平方向に沿う横断面形状がL字形の建物本体Aに対応する免震装置Cの配置を示しており、建物本体Aにおける5箇所の出隅部の建物下部を支承する外側免震装置C1の各々の積層ゴムを高減衰ゴム系材料で構成して、内側免震装置C3よりも鉛直方向の剛性が大きい免震装置Cで構成してある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
1.本発明による免震建物は、鉛プラグ入りの積層ゴム支承方式の外側免震装置や滑り支承式と積層ゴム支承方式とを併用してある外側免震装置を設けてあっても良い。
2.本発明による免震建物は、滑り支承式の内側免震装置や滑り支承式と積層ゴム支承方式とを併用してある内側免震装置を設けてあっても良い。
C1 外側免震装置
C2 外側免震装置
C3 内側免震装置
Claims (2)
- 積層ゴム支承方式の免震装置として、建物外周側に沿って複数の外側免震装置と、
前記外側免震装置よりも内側の内側免震装置とを設けてある免震建物であって、
前記外側免震装置のうちで、出隅部の外側免震装置のそれぞれを、それ以外の残りの外側免震装置、及び、前記内側免震装置よりも鉛直方向の剛性が大きい免震装置で構成してある免震建物。 - 前記内側免震装置よりも鉛直方向の剛性が大きい外側免震装置の積層ゴムは高減衰ゴム系材料で構成してあり、
前記内側免震装置の積層ゴムは天然ゴム系材料で構成してある請求項1記載の免震建物。
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