JP5096801B2 - 建材の製造方法 - Google Patents

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本発明は、家屋の屋根材や壁材、屋根や壁の擬石調などの装飾部材等として用いられる建材の製造方法に関するものである。
従来より、骨材を含有する建材が提案されており(例えば、特許文献1参照)、その中には樹脂成形材料を基材とする樹脂製の建材がある。このような建材Aは、図3(a)に示すように、骨材1を配合した樹脂成形材料2を型3内に配置してセットした後、図3(b)に示すように、プレス成形機4で加熱加圧して所望の形状に成形し、この後、脱型することにより製造することができる。しかし、骨材1を樹脂成形材料2中に配合した後に成形すると、図3(c)に示すように、骨材1を建材A全体に満遍なく分散させることは可能であるが、プレス成形の加圧により骨材1が建材Aの樹脂部分(樹脂成形材料2から形成される部分)に埋没してしまい、建材Aの表面上に骨材1による粒々感(ザラザラ感)が発現されずに、型3の成形面のフラット面が発現されてしまい、高級感や本物感(本物の石材やレンガ材を用いたような質感)などの質感を得ることができないという問題があった。
そこで、図4に示す方法が採用されている。この方法では、図4(a)に示すように、型3の成形面に骨材1を散布し、この後、骨材1を配合していない樹脂成形材料2を型3内に配置してセットし、次に、図4(b)に示すように、プレス成形機4で加熱加圧して所望の形状に成形し、この後、脱型することにより図4(c)に示すような建材Aを製造している。この場合、骨材1が建材1の表面側に集まりやすく、上記図3の方法よりも建材1の表面に粒々感が発現されやすく、また、骨材1の使用量も少なくすることができる。しかし、この方法においても、骨材1が建材Aの樹脂部分に埋没することには変わりなく、建材Aの表面に骨材1による粒々感が十分には発現されなかった。しかも、プレス成形中に樹脂成形材料2が変形、流動する際に、型3内に散布した骨材1も樹脂材料2とともに移動することになり、図4(c)に示すように、骨材1が一部分に偏って建材Aの表面に均一に分散させることができず、自然な意匠表現が困難になって、高級感や本物感などの質感を得ることができないという問題があった。
特開2006−192709号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、高級感や本物感などの質感を得ることができる建材の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に係る建材Aの製造方法は、骨材1を配合した樹脂成形材料2を成形して成形体5を形成し、この成形体5の樹脂部分が軟化状態のときにブラスト処理を行うことにより成形体5の表面に骨材1を露出させることを特徴とするものである。
本発明の請求項2に係る建材Aの製造方法は、請求項1において、成形体5を加温して樹脂部分を軟化状態にすることを特徴とするものである。
本発明の請求項3に係る建材Aの製造方法は、ブラスト処理に使用する投射材6を加温することを特徴とするものである。
請求項1の発明では、成形体5の表面に骨材1が露出するために、表面に骨材1による粒々感を十分に発現させることができ、高級感や本物感などの質感を得ることができるものである。また、骨材1を配合した樹脂成形材料2を成形するために、骨材1が成形体5の一部分に偏ることがなく、違和感のない自然な意匠表現が可能となる。また、成形体5の樹脂部分が軟化状態のときにブラスト処理を行うので、樹脂部分を骨材1よりも軟らかい状態にして硬度差を大きくすることにより、樹脂部分のみを選択的にブラスト処理で除去することができ、しかも、ブラスト処理により樹脂部分を圧縮することができ、成形体5による骨材1の保持効果をほとんど低下させることなく、効果的に骨材1の露出を行うことができてブラスト処理にかかる時間を短縮することができるものである。
請求項2の発明では、加温により樹脂部分の軟化状態を調整したり成形体5を硬化状態から軟化状態にしたりすることができ、効率よくブラスト処理を行うことができるものである。
請求項3の発明では、加温状態の投射材6により樹脂部分の除去や圧縮を効率よく行うことができ、ブラスト処理にかかる時間を短縮することができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明において骨材1としては、特に限定されるものではなく、例えば、天然石、セラミック粉、金属粉などを用いることができ、また、タイルやレンガなどの廃材(廃タイル、廃レンガ)の粉砕物であってもよい。骨材1の粒径は0.3〜5.0mmの範囲で、0.5〜3.0mmの範囲のものが好ましい。骨材1の粒径が0.3mmより小さいと、目立ちにくくなって、建材Aの意匠性が低下するおそれがある。また、骨材1の粒径が5.0mmよりも大きいと、後述の樹脂成形材料2に配合したときに、樹脂成形材料2の流れ不良などの成形性の低下や建材Aを切削加工する際の加工性の低下などが生じるおそれがある。
本発明において樹脂成形材料2は特に限定されるものではないが、無機粉粒体と、熱可塑性樹脂と、エラストマーとを配合した成形材料を用いることができる。このことにより、窯業系無機質建材(サイディング等)の廃材やプラスチック製品の廃材を大量に再利用して、高い曲げ強度を維持しつつ衝撃強度に優れた建材Aを作製することができるものである。
上記の無機粉粒体としては、無機質材料を粉砕したものを用いることができるものであり、例えば繊維セメント板など、窯業系無機質建材の廃材を粉砕したものを使用することができる。窯業系無機質建材の廃材は、製造段階から、建築物解体段階に至るまで発生し、累積発生量は大量となる。このような窯業系無機質建材の廃材を粉砕して原料として使用すれば、廃材の有効利用が可能になって、環境保護を有効に達成することができるものである。無機粉粒体は上記のような窯業系無機質建材の廃材を粉砕したものの他に、フライアッシュ、ペーパースラッジ灰、焼却灰、その溶融スラグなどの焼却灰を用いることもできる。これらの産業廃棄物にあっても、大量の有効再利用が可能になるものである。またこれらはもともと粉粒状であるため、粉砕を行なうことが不要であり、製造コストを低く抑えることができるものである。無機粉粒体の粒径は特に制限されるものではないが、平均粒径が0.01〜7mmの範囲のものを用いるのが好ましい。
また上記の熱可塑性樹脂としては、熱可塑性樹脂の成形品からなるプラスチック製品の廃材を用いることができるものである。プラスチック製品の廃材も窯業系無機質建材と同様に発生量は大量であるので、プラスチック製品を原料として使用すれば、廃材の有効利用が可能になるものである。プラスチック製品を構成する熱可塑性樹脂としては特に制限されるものではなく、ポリエチレン、ポリプロピレンなど任意のものを用いることができる。
そして上記の無機粉粒体と熱可塑性樹脂とを配合し、混合・混練することによって成形材料を得ることができるが、更にエラストマーを配合して、成形材料を調製するものである。エラストマーとしては特に限定されるものではなく、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等の適宜のものを用いることができる。成形材料中の無機粉粒体と熱可塑性樹脂とエラストマーの配合量は特に限定されるものではなく、各材料の特性をバランス良く発揮させるために適宜の割合で配合する。また、成形材料にはこれらの三成分の他に、必要に応じて着色剤等の微量成分を配合しても良いのはいうまでもない。
また、成形材料中に配合される熱可塑性樹脂及びエラストマーとしては、その一部又は全部として、エラストマーが添加された熱可塑性樹脂の成形品を用いることもでき、このときこのような成形品からなるプラスチック製品の廃材を用いることができる。このようなプラスチック製品も例えば自動車のバンパー等として広く用いられているため、その廃材も窯業系無機質建材と同様に発生量は大量であるので、プラスチック製品を原料として使用すれば、エラストマーの供給源としても廃材の有効利用が可能になるものである。
ここで、上記樹脂成形材料2中の各成分の配合量は適宜調整されるものであるが、特に無機紛粒体の含有量が50〜85質量%の範囲となるようにすることが好ましい。このとき成形材料を無機紛粒体と、エラストマーが添加された熱可塑性樹脂のプラスチック製品とで調製する場合には、樹脂成形材料2中のプラスチック製品の配合量が50〜15質量%の範囲となる。このように無機紛粒体の含有量を85質量%以下とすると成形材料を溶融した場合の流動性が良好なものとなり、この樹脂成形材料2を成形する際にショートの発生を抑制することができ、また曲げ強度や衝撃強度を更に向上することができると共に、比重を低減することもできるものである。また、特に前記含有量が65質量%未満であれば、成形材料の流動性を更に良好なものとすることができ、複雑な形状を有するプラスチック製品を製造する場合であってもショート等の不良発生率を低減することができる。また、無機紛粒体の含有量を50質量%以上とすることで、樹脂成形材料2の粘着性を低減することができて樹脂成形材料2を混練機等から型3へ移す際の混練機等への付着が生じにくくなり作業性が向上するものであり、さらに線膨張率を低減することができて熱寸法安定性が向上するものである。
そして、上記の無機粉粒体と熱可塑性樹脂とエラストマーを配合し、これを熱可塑性樹脂の溶融温度付近に加熱しながら強制的に混合・混練し、さらに、上記の骨材1を配合して強制的に混合・混練することによって、骨材1を配合した樹脂成形材料2を得ることができる。骨材1の配合量は、骨材1を含む樹脂成形材料2の全体量(骨材1と樹脂成形材料2の合計量)に対して1.0〜40質量%にするのが好ましい。例えば、平均粒径が1.5mmの3号珪砂を骨材1として用いた場合は、骨材1を含む樹脂成形材料2の全体量に対して10質量%の割合で配合することができる。
上記のようにして骨材1を配合した樹脂成形材料2を調製した後、図1(a)に示すように、骨材1を配合した樹脂成形材料2を型3内に配置してセットする。次に、図1(b)に示すように、型3内の骨材1を配合した樹脂成形材料2をプレス成形機4により加熱加圧成形する。ここで、加熱加圧条件は樹脂成形材料2の組成や骨材1の配合量等によって適宜設定可能であるが、樹脂成形材料2が所望の形状に成形できればよく、例えば、温度100〜120℃、圧力4〜8Pa、時間30〜120秒とすることができる。次に、型3から脱型して図1(c)のような板状の成形体5を得る。
このようにして成形体5は、熱可塑性樹脂をバインダーとして無機粉粒体及び骨材1を結合させたものであり、無機粉粒体と熱可塑性樹脂が成形体5中の大部分を占めるので、無機粉粒体として窯業系無機質建材の廃材を用いる場合、また熱可塑性樹脂としてプラスチック製品の廃材を用いる場合、これらの廃材を大量に有効再利用することが可能になるものである。また熱可塑性樹脂をバインダーとしているために、高い曲げ強度を得ることができるものである。しかもエラストマーを配合しているために耐衝撃性を向上することができ、曲げ強度に加えて衝撃強度が高い建材Aを得ることができるものである。
このようにして成形体5を得た後、図1(d)に示すように、成形体5の表面(上面)にブラスト処理(サンドブラスト)を行う。ブラスト処理は鉄粉などの投射材(ブラスト材)6を成形体5の上方からエアー圧などを利用して吹き付ける(ショットブラスト)ものであり、これにより、骨材1よりも軟らかい成形体5の樹脂部分(樹脂成形材料2から形成される部分)を除去(削除)したり圧縮したりして、図1(e)に示すように、成形体5の表面に骨材1を露出させた建材Aを得ることができる。骨材1は表面(上側)の略半分を露出させることができる。
そして、本発明では、ブラスト処理を行うときに、成形体5の少なくとも表面を軟化状態にして行う。ここで、「軟化状態」とは投射材6が成形体5の表面にめり込まない程度の軟らかさであり、例えば、JIS K 6253 タイプDデュロメーター硬さで概ね45〜55程度である。上記のような熱可塑性樹脂を用いて樹脂成形材料2を調製した場合、その熱可塑性樹脂の軟化温度付近であればよく、例えば、ブラスト処理時の成形体5の温度が70〜120℃の間、好ましくは100℃程度であれば、成形体5が適度な軟らかさを保持しており、ブラスト処理に最適である。成形体5の温度が高すぎると成形体5が軟らかすぎて投射材6のめり込みが発生し、成形体5の温度が低すぎると成形体5が硬くなりすぎてブラスト処理に時間がかかることになり、いずれの場合も好ましくない。また、成形体5を上記の温度にするには成形体5を成形後にヒーターや温風などで加温(加熱)することができるが、成形直後の成形体5は成形時の加熱によって上記の温度範囲にあるので、成形直後の成形体5にブラスト処理をすることにより、別途加温することなく、ブラスト処理を行うことができる。具体的には、成形直後の成形体5の温度が100℃である場合、エアー圧60〜70Pa(6〜7kgf/m)で約2分間のブラスト処理を行うことができる。尚、本発明では、成形体5の軟化状態によっては、ブラスト処理で成形体5の樹脂部分を削るよりも圧縮する効果の方が大きくなっている場合がある。また、このように成形体5の樹脂部分をブラスト処理により圧縮すると削る場合よりも、成形体5中の窯業系無機質建材の廃材に使用されている繊維が、建材Aの表面に表出しにくくなって、建材Aの外観低下を防止することができるものである。
また、軟化状態の成形体5に対して、ヒーター等で加温した投射材6を吹き付けるようにすることも好ましく、これにより、成形体5のブラスト処理をさらに効率よく行うことができる。この場合、ショットする際の投射材6の温度低下も考慮して、ブラスト処理装置から吹き出される直前の投射材6の温度を成形体5の温度よりも高くするのが好ましく、ブラスト処理時の成形体5の温度が70〜120℃である場合は、ブラスト処理装置から吹き出される直前の投射材6の温度を150〜200℃程度にするのが好ましい。
図1に示す方法では、成形体5全体を骨材1を配合した樹脂成形材料2で形成するようにしたが、この場合、表面に露出させない骨材1が成形体5の内部に多く存在して骨材1の使用量が多くなるおそれがある。そこで、図2に示すように、骨材1を配合した樹脂成形材料2と骨材1を配合していない樹脂成形材料7とを併用することができる。この場合、まず、図2(a)に示すように、骨材1を配合していない樹脂成形材料7の下側に骨材1を配合した樹脂成形材料2を配置して型3の成形面に接触させてセットする。次に、図2(b)に示すように、プレス成形機4を用いて骨材1を配合していない樹脂成形材料7の上側から加熱加圧成形して、骨材1を配合した樹脂成形材料2と骨材1を配合していない樹脂成形材料7とを所望の形状に成形する。この後、図2(c)に示すように、脱型することにより、骨材1を配合した樹脂成形材料2からなる表層と、骨材1を配合していない樹脂成形材料7からなる裏層とが積層した成形体5を得ることができる。そして、この成形体5の表層に上記と同様のブラスト処理を施して骨材1を露出させることにより、建材Aを形成することができる。この方法では、骨材1の使用量を削減することができ、経済的である。
本発明の実施の形態の一例を示し、(a)〜(e)は概略の断面図である。 同上の成形体の他の製造方法を示し、(a)〜(c)は概略の断面図である。 従来例を示し、(a)〜(c)は概略の断面図である。 他の従来例を示し、(a)〜(c)は概略の断面図である。
符号の説明
1 骨材
2 樹脂成形材料
5 成形体
6 投射材

Claims (3)

  1. 骨材を配合した樹脂成形材料を成形して成形体を形成し、この成形体の樹脂部分が軟化状態のときにブラスト処理を行うことにより成形体の表面に骨材を露出させることを特徴とする建材の製造方法。
  2. 成形体を加温して樹脂部分を軟化状態にすることを特徴とする請求項1に記載の建材の製造方法。
  3. ブラスト処理に使用する投射材を加温状態にすることを特徴とする請求項1又は2に記載の建材の製造方法。
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