JP6564988B1 - フォーミング抑制剤およびフォーミング抑制剤の製造方法 - Google Patents

フォーミング抑制剤およびフォーミング抑制剤の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】成分として鉛を含有せず、フォーミング抑制効果に優れ、さらにリサイクル用途が極めて限定されていた廃棄粉体塗料を有効活用することができるフォーミング抑制剤が望まれていた。【解決手段】本発明に係るフォーミング抑制剤は、廃棄粉体塗料を主原料とする溶融固化物からなること、または廃棄粉体塗料の溶融固化物からなることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、製鉄工程において発生するスラグの膨張や泡立ちを抑制するためのフォーミング抑制剤に関するものである。詳しくは、成分として鉛を含有せず、フォーミング抑制効果に優れ、さらにリサイクル用途が極めて限定されていた廃棄粉体塗料を有効活用することができるフォーミング抑制剤に関するものである。
製鉄工程は、高炉において鉄鉱石から銑鉄を製造する工程と、転炉において銑鉄に酸素や酸化剤などを投入して製鋼を製造する工程に大きく分類することができる。
ここで、高炉や転炉あるいはその後の混銑車内などにおいて、溶銑上に発生するスラグが膨張したり泡立つという、フォーミング現象が問題となっており、このフォーミング現象を抑制するためのフォーミング抑制剤が各種開発されている(特許文献1〜5)。係るフォーミング抑制剤は、溶銑内に投入した際に熱分解を起こして水素ガスや炭酸ガスや炭化水素ガスとなることによって、スラグの膨張や泡立ちの原因となる気泡を消泡し鎮静化するものである。
従前のフォーミング抑制剤としては、廃棄自動車や廃棄家電などを粉砕したシュレッダーダストや建築廃材を原料としたもの(特許文献1、2)、廃棄プラスチックや古紙・木屑などを原料としたもの(特許文献3)、廃棄人工大理石や製紙スラッジを原料としたもの(特許文献4、5)などが開発されている。また、本願出願人においても、建築廃材と廃棄プラスチックを原料として、これらの材料を粉砕して溶融固化したものを製造している(図4)。
しかしながら、特許文献1〜3に記載されているフォーミング抑制剤は、原料とする上記廃棄物に鉛などの有害金属が入っている恐れが否めないという課題がある(例えば、特許文献2の[0044]、後記する特許文献6の[0002]、[0003]、特許文献7の[0011]を参照)。また、特許文献4、5に記載されているフォーミング抑制剤は、原料に廃棄人工大理石を用い、係る廃棄人工大理石を粉砕することによって製造されるものであるが、人工大理石は非常に硬い材料であることから製造設備(特に、粉砕装置)に大きな負荷がかかり、設備の寿命や性能に悪影響を及ぼすという課題がある。さらに、特許文献4、5に記載されているフォーミング抑制剤については、廃棄される人工大理石の量自体が少ないことから、原料の入手が困難であり、フォーミング抑制剤として安定供給が難しいという課題もある。
なお、製鉄工程においては、所望する銑鉄や製鋼を得る際に、副生物(残渣)としてスラグ(高炉スラグや製鋼スラグ)が発生する。このスラグは、現在のところセメント原料、骨材、路盤材などとして活用されているのが一般的な状況であるが、近年、肥料としての用途も検討され始めている。
しかし、上記のとおり、従前のフォーミング抑制剤には原料由来あるいは製造工程由来の有害金属成分が混入してしまうという恐れがあり、このようなフォーミング抑制剤を用いた場合には、有害金属成分が混入したスラグが形成されることになってしまい、肥料として用いることができないことになる。実際、本願出願人が上記の廃棄物を用いて試作したフォーミング抑制剤の中には分析によって微量の鉛成分が検出されたものもあった。
そこで、このような有害金属成分の混入リスクを防止することを目的としたフォーミング抑制剤も提案されている(特許文献6、7)。具体的には、製紙スラッジと衛生陶器排水汚泥を原料としたもの(特許文献6)や廃棄PETと必要に応じて無機物を原料としたもの(特許文献7)が提案されている。
特許第5749386公報 特開2012−201954号公報 特許第4324024公報 特許第6005310公報 特許第6281800公報 特開2009−256755号公報 特開2001−98315号公報
しかしながら、特許文献6に記載のフォーミング抑制剤は、特許文献6の[0016]にも記載されているとおり、原料となる衛生陶器排水汚泥は品質を厳格に管理する必要があるものであり、特許文献6の出願人のような衛生陶器メーカーでなければ作製することができないという課題がある。また、特許文献7に記載のフォーミング抑制剤は、廃棄PETを原料とするものであるが、廃棄PETについては焼却処理ではない再利用の用途がほぼ確立されているという現状がある(例えば、PETボトルに至っては80%以上がリサイクルされている状況である(URL:http://www.petbottle-rec.gr.jp/data/calculate.html、PETボトルリサイクル推進協議会HPを参照))。従って、廃棄PETを焼却処理に近いフォーミング抑制剤の原料とすることは現実的ではないという課題がある。
ここで、廃棄処理が困難な産業廃棄物の1つに廃棄粉体塗料がある。粉体塗料は、有機溶剤を用いないことや塗装時に被塗物に塗着しなかった塗料も回収して再度塗装に用いることができることなどから、環境調和型の塗料として家電製品や鋼製家具などにおいては主たる塗料として広く用いられているものである。また、家電製品においては、欧米においてRoHS指令、RoHS法によって鉛など有害金属の家電製品への使用が実質上禁止されていることから、家電製品の主たる塗装に用いられる粉体塗料についても鉛フリー化が図られており、現在においては鉛などの有害金属成分が含有している粉体塗料は本願発明者が知り得る限り上市されていない。
しかしながら、粉体塗料は、理論上は被塗物に塗着しなかった塗料も回収して再度塗装に用いることができるものの、実際には塗装環境が悪い(汚い)などの理由で粉体塗料を回収したとしても再利用に耐え得るものとはならずに廃棄されることが多いのが現状となっている。
また、粉体塗料は粉体であるが故に、保管中に粉体同士が付着して塊状となってしまうブロッキング現象が発生することが知られており、使用期限(保証期間)が設定されている塗料となっている。さらに、細心の注意を払って保管管理をした場合でもブロッキング現象が発生してしまう場合や、過不足が生じないように必要数量を購入したつもりでも使用期限が経過してしまう場合があることから、被塗物に塗着せずに回収された粉体塗料の他に未使用のまま廃棄されてしまう粉体塗料も相当量発生しているのが現状となっている。
そして、このように塗膜として用いられることなく廃棄される粉体塗料は、そのほとんどが埋立処理や焼却処理に回されることになるのであるが、粉体であるが故に飛散や粉塵爆発の危険性があることから、廃棄処理自体も困難なものとなっているのが現状である。
さらに、粉体塗料は有機溶剤を使用しない塗料であることから、今後、VOC(揮発性有機化合物)規制がますます進んでいくことを考慮すると、現在有機溶剤を用いている塗料が主に使用されている自動車などの業界においても、将来粉体塗料に切り替わっていくことが予想され、そうすると廃棄される粉体塗料の量も今後ますます増加していくことが予想される。
一方、粉体塗料は、フォーミング抑制剤として必要となる水素ガスや炭酸ガスや炭化水素ガスの素となる炭素(C)や水素(H)を樹脂成分内に多く含有するものであり、また、上記のとおり、鉛などの有害金属成分を含有しないものであることから、飛散や粉塵爆発の危険性を除去できれば、最適なフォーミング抑制剤(鉛フリーのフォーミング抑制剤)となり得ることとなる。
今般、本願発明者は鋭意検討した結果、廃棄粉体塗料を特定の条件で溶融固化することによって、ガスの素となる元素を多く含みつつ鉛などの有害金属成分を含有せず、飛散や粉塵爆発の危険性を除去したフォーミング抑制剤を作製することができるという、知見を得るに至った。
また、このようにして作製したフォーミング抑制剤は、以下の技術的効果も発現するものであることが分かった。
(1)炭素成分、水素成分の比率の高いフォーミング抑制剤が得られることから、効率よくフォーミング現象を抑制でき、かつ残渣量(スラグの発生量)も少なくすることができる。
(2)粉体塗料(樹脂成分)の比重が大きいことから、炉に投入した際にフォーミング抑制剤を溶銑内に確実に沈み込ませることができ、フォーミング抑制効果を向上させることができる。
(3)原料(廃棄粉体塗料)の品質管理が容易である。
(4)再利用が困難な廃棄粉体塗料を有用化することができる。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、成分として鉛を含有せず、フォーミング抑制効果に優れ、さらにリサイクル用途が極めて限定されていた廃棄粉体塗料を有効活用することができるフォーミング抑制剤の提供を目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るフォーミング抑制剤は、原料の過半数の重量を廃棄粉体塗料とする溶融固化物からなることを特徴とする。
本発明の請求項2に係るフォーミング抑制剤は、廃棄粉体塗料の溶融固化物からなることを特徴とする。
本発明の請求項3に係るフォーミング抑制剤は、オートグラフ(島津製作所製AG−IS、JIS B 7721(2009):1等級)を用いて以下の方法で測定した圧縮強度が45〜250kgfであることを特徴とする。
(1)ロードセル:5kN
(2)圧縮板:直径250mmの金属製円板
(3)測定速度:10mm/min
(4)測定環境(温度):23±2℃
(5)測定環境(湿度):50±5%
本発明の請求項4に係るフォーミング抑制剤は、含水率が10%以下であることを特徴とする。
本発明の請求項5に係るフォーミング抑制剤は、鉛の含有量が検出限界以下であることを特徴とする。
本発明の請求項6に係るフォーミング抑制剤の製造方法は、原料の少なくとも過半数の重量を廃棄粉体塗料とし、廃棄粉体塗料を硬化温度未満の温度で加温しながら混錬した後、成形して塊状物を得ることを特徴とする。
本発明のフォーミング抑制剤によれば、ガスの素となる元素を多く含みつつ鉛などの有害金属成分を含有せず、飛散や粉塵爆発の危険性を除去したフォーミング抑制剤を得ることができる。また、以下の技術的効果も発現させることができる。
(1)炭素成分、水素成分の比率の高いフォーミング抑制剤が得られることから、効率よくフォーミング現象を抑制でき、かつ残渣量(スラグの発生量)も少なくすることができる。
(2)粉体塗料(樹脂成分)の比重が大きいことから、炉に投入した際にフォーミング抑制剤を溶銑内に確実に沈み込ませることができ、フォーミング抑制効果を向上させることができる。
(3)原料(廃棄粉体塗料)の品質管理が容易である。
(4)再利用が困難な廃棄粉体塗料を有用化することができる。
本発明の請求項2に係るフォーミング抑制剤によれば、上記に加えて、以下の技術的効果を発現させることができる。
(5)製品(フォーミング抑制剤)としての品質をより安定させることができる。
(6)シュレッダーダスト等の金属くずを比重調整用の重り材として使用せずに済むことから、原料(重り材)由来および製造工程由来の有害金属成分(特に鉛)の混入を抑制することができる。
(7)比重調整用の他の材料を加える必要がなく、残渣量(スラグの発生量)をより少なくすることができる。
本発明の請求項3に係るフォーミング抑制剤によれば、特定の圧縮強度とすることによって、輸送時や供給時に破砕され難いフォーミング抑制剤を得ることができる。また、塊状物として炉に投入することができることから、より効率よくフォーミング現象を抑制することができる。すなわち、フォーミング抑制剤が溶銑上に浮くことなく溶銑内に確実に沈み込ませることができることになる。さらに、破砕片がほとんど発生しないことから、炉に投入する際に集塵機によって吸引除去されるロス分を少なくすることができる。
本発明の請求項4に係るフォーミング抑制剤によれば、フォーミング抑制剤自体の含水率を特定の数値以下とすることによって、上記の効果を発現させつつ、炉に投入した際の水蒸気爆発を防止することができる。
なお、原料に特定の硬化剤(例えば、β−ヒドロキシアルキルアミド)を用いた廃棄粉体塗料を用いた際には、製造時の条件によって塗料の樹脂成分と硬化剤成分との脱水反応が起こり、生じた水が内部に留まった状態のものが製造される場合があるが、係る場合については発生する水の量が程良い量である(大量ではない)ことから、寧ろフォーミング抑制剤内の水分が炉に投入した際にガス化することによってフォーミング抑制効果をさらに向上させることができる。
本発明の請求項5に係るフォーミング抑制剤によれば、鉛を含有しないことから、残渣として発生するスラグを肥料等へと有効活用することができる。
本発明の請求項6に係るフォーミング抑制剤の製造方法によれば、粉体塗料を構成する熱硬化性樹脂の硬化温度未満の温度で加温混錬することで、上記の効果を発現させることができ、かつ成形性が良好で圧縮強度が高いスラグフォーミング抑制剤を作製することができる。
本発明のフォーミング抑制剤の実施形態の例(実施例1のフォーミング抑制剤)を示す写真である。 圧縮強度の測定の様子を示す写真である。 実施例1〜3のフォーミング抑制剤を示す写真である。 従前のフォーミング抑制剤の一例を示す写真である。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。
(基本構造)
本発明のフォーミング抑制剤は、廃棄粉体塗料を主原料とする溶融固化物からなるものである。このように、本発明のフォーミング抑制剤は、ガスの素となる炭素元素、水素元素を多く含む樹脂成分をその大部分とする廃棄粉体塗料を主原料に用いていることから、炉内に投入した際に効率よくフォーミング現象を抑制できるのである。また、残差として残るのは顔料成分や微量の添加剤成分となることから、残渣量(スラグの発生量)も少なくすることができるのである。さらに、粉体塗料は樹脂成分が大部分を占め、硬化度合にもよるが塗膜になった際(固化した際)は比重が1.2〜1.8の範囲になることから、炉に投入した際にフォーミング抑制剤を溶銑内に確実に沈み込ませることができ、フォーミング抑制効果を向上させることができるのである。
また、段落[0011]にも記載のとおり、粉体塗料は被塗物に塗着することなく廃棄されたり、あるいは未使用のまま廃棄されたりするものであることから、フォーミング抑制剤の原料という観点から見ると、シュレッダーダストなどの従前のフォーミング抑制剤の原料に比べて品質が極めて安定しているものであると言える。従って、本発明のフォーミング抑制剤は、従前のフォーミング抑制剤に比べて、フォーミング抑制剤の品質管理が容易であり、安定した品質のフォーミング抑制剤を作製することができるのである。
ここで、本明細書における「主原料」とは、原料の少なくとも過半数の重量を廃棄粉体塗料が占めるという意である。そして、その中でも原料に占める廃棄粉体塗料の割合が60重量%以上であることが好ましく、さらにその中でも70重量%以上であることが好ましく、さらにその中でも80重量%以上であることが好ましく、さらにその中でも90重量%以上であることが好ましく、さらにその中でも95重量%以上であることが好ましい。
なお、上記のとおり、本発明のフォーミング抑制剤は、廃棄粉体塗料を主原料とするものであれば必要に応じてシュレッダーダストなどの他の原料成分を混合することが可能であるが、他の原料成分を混合することは鉛などの重金属成分の混合のリスクに繋がることから、廃棄粉体塗料のみを原料として溶融固化したものとすることが好ましい。
なお、使用する廃棄粉体塗料の種類としては特に限定されるものではなく、1種類の廃棄粉体塗料を用いても良いし、複数種類の廃棄粉体塗料を混入しても良い。
(圧縮強度)
本発明のフォーミング抑制剤は廃棄粉体塗料を溶融固化したものであるが、輸送時や供給時に破砕が進んで破砕片や粉状物が多く発生してしまうと、炉に投入した際にこれらの粉状物が溶銑内に沈み込まず、その結果フォーミング抑制効果が低下してしまうことになる。また、破砕片や粉状物が混じってしまうと、炉への供給の際に吸引機に詰まり(ブリッジ)が生じたり、粉塵が生じたりすることになる。従って、本発明のフォーミング抑制剤は、適度な強度を有するものであることが好ましい。また、集塵機などによって吸引除去されるロス分を少なくすることができる点からも適度な強度を有するものであることが好ましい。
具体的には、以下の方法で測定した際の圧縮強度が45〜250kgfであることが好ましく、その中でも58〜205kgfであることが好ましい。
(圧縮強度の測定方法)
図2に示すように、フォーミング抑制剤をオートグラフ(島津製作所製AG−IS、JIS B 7721(2009):1等級)を用いて圧縮した際の最大値(極大点)をフォーミング抑制剤の圧縮強度とした。なお、測定条件は以下のとおりである。
ロードセル:5kN
圧縮板:直径250mmの金属製円板
測定速度:10mm/min
測定環境(温度):23±2℃
測定環境(湿度):50±5%
(含水率)
また、本発明のフォーミング抑制剤は廃棄粉体塗料を溶融固化したものであることから、製紙スラッジなどを原料とする従前のフォーミング抑制剤に比べて含水率が低いものとなる。従って、本発明のフォーミング抑制剤は、炉に投入した際の水蒸気爆発を有効に防止することができるのである。具体的には、後記する特殊な廃棄粉体塗料を用いる場合を除いて、原則として含水率が1%以下であることが好ましい。
なお、粉体塗料の中には、主体樹脂としてポリエステル樹脂を、硬化剤としてβ−ヒドロキシアルキルアミドなどを用いる、いわゆるポリエステル−プリミド硬化系の粉体塗料がある。係る粉体塗料は、下記反応式のように樹脂と硬化剤との間で脱水反応を起こして硬化(塗膜の形成)を行うものであることから、硬化の際に副生物として水が発生することになる。
従って、本発明のフォーミング抑制剤の原料として、係るポリエステル−プリミド硬化系の廃棄粉体塗料を用いた場合には、フォーミング抑制剤の製造時の条件によって塗料の樹脂成分と硬化剤成分との間で脱水反応が起こり、生じた水の一部がフォーミング抑制剤の内部に留まった状態、より具体的にはフォーミング抑制剤内に形成される空隙内に水が存在している状態のフォーミング抑制剤が製造される場合がある。
ところが、係る水の量自体は微量であることから、寧ろフォーミング抑制剤内に存在している水が炉に投入した際にガス化することによってフォーミング抑制効果をさらに向上させることができるのである。換言すれば、本発明のフォーミング抑制剤の原料として、ポリエステル−プリミド硬化系の廃棄粉体塗料を用いた場合には、程良い量の水分が含有したフォーミング抑制剤を作製することができるのである。
なお、係る場合の含水率としては10%以下であることが好ましく、その中でも6%以下であることが好ましく、さらにその中でも5.2%以下であることが好ましい。
(有害金属成分)
さらに、本発明のフォーミング抑制剤は、RoHS指令、RoHS法などの規制に対応している粉体塗料の廃棄物を原料とするものであることから、シュレッダーダストなどを原料とする従前のフォーミング抑制剤とは異なり、鉛やクロムなどの有害金属成分の含有リスクが生じないものとなる。従って、本発明のフォーミング抑制剤は、製鉄工程後に残渣として発生するスラグを安心して肥料に有効活用することができることになるのである。具体的には、有害金属成分(鉛、水銀、カドミウム、六価クロムなど)の量が検出限界値未満となることになる。
(製造方法)
粉体塗料は、段落[0011]にも記載のとおり、飛散や粉塵爆発の危険性があることから、廃棄粉体塗料についても粉体の状態のままではフォーミング抑制剤として取り扱うことができない。そこで、本発明のフォーミング抑制剤を得るためには廃棄粉体塗料を固形化、すなわち廃棄粉体塗料を昇温して樹脂成分を溶融して固形化する必要がある。
一方、廃棄粉体塗料を溶融し固形化する際の温度を硬化温度以上にしてしまうと廃棄粉体塗料の硬化が進んでしまうことになり、その結果、冷却後の固化物が1つの大きな塊状物になってしまったり、あるいは製造装置と強固に付着してしまって取り出すことができなかったりする状態となってしまったりすることになる。また、温度を上げ過ぎてしまうと、今度は塊状からサラサラの粉状(砂状)になってしまい、このようなフォーミング抑制剤は炉に投入しても溶銑内に沈み込まないことからフォーミング抑制効果が低下してしまうことになる。
従って、本発明のフォーミング抑制剤の製造方法としては、廃棄粉体塗料を硬化温度未満の温度で加温しながら混錬した後、成形して塊状物を得る方法を採用することが好ましい。
具体的には、以下の方法が挙げられる。
(1)まず、減容成形機の温度を廃棄粉体塗料の硬化温度未満に設定して、廃棄粉体塗料を袋に梱包されている状態のままで同成形機に投入して混錬しながら溶融する。
(2)次に、押し出されてきた溶融物を適当な大きさに成形して冷却する、あるいは押し出されてきた溶融物をベルトコンベアなどで搬送しながら空冷することによって粗熱を取り、その後切断機などを用いて適当な大きさに切断する。
なお、溶融する際の温度(「硬化温度未満の温度」)としては100〜200℃の範囲とすることが好ましく、その中でも100〜150℃の範囲とすることが好ましく、さらにその中でも100〜120℃の範囲とすることが好ましい。
次に、本発明に係るフォーミング抑制剤を実施例および比較例に基づいて詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
減容成形機(DOKEX社製、品番:TYPE600)の設定温度(成形温度)を100℃にし、未使用のまま廃棄されたポリエステル−プリミド硬化系の粉体塗料(RoHS指令対応品)を、ビニール袋に梱包された状態のまま同成形機に投入して混錬しながら溶融を行った。その後、押し出されてくる溶融物を水槽内に誘導し、水槽内で耐熱手袋を装着した手によって、適当な大きさにちぎり分けることによって実施例1のフォーミング抑制剤を作製した。なお、作製の際、溶融した廃棄粉体塗料による減容成形機の詰まりや減容成形機への溶融固化物の付着は確認されなかった。
(実施例2)
減容成形機の設定温度(成形温度)を150℃にした以外は実施例1と同様にして実施例2のフォーミング抑制剤を作製した。なお、作製の際、溶融した廃棄粉体塗料による減容成形機の詰まりや減容成形機への溶融固化物の付着は確認されなかった。
(実施例3)
減容成形機の設定温度(成形温度)を200℃にした以外は実施例1と同様にして実施例3のフォーミング抑制剤を作製した。なお、作製の際、溶融した廃棄粉体塗料による減容成形機の詰まりや減容成形機への溶融固化物の付着は確認されなかった。
次に、作製した各実施例のフォーミング抑制剤(図3)について、圧縮強度、含水率の測定を行った。なお、サンプル数についてはn=2にて行った。
(圧縮強度の測定)
圧縮強度の測定については、段落[0035]に記載の方法にて行った。
(含水率の測定)
含水率の測定については、初期重量を測定した後、サンプルを105℃±5℃の恒温槽に入れ、恒量となった重量から算出した。
各項目の測定結果を表に示す。
表1の結果から、実施例のフォーミング抑制剤は、圧縮強度がいずれも45〜250kgfの範囲内という適度な強度となり、輸送時や供給時に破砕され難く、形状をほぼ維持したままで炉に投入することができるものであることが分かった。
また、含水率については、実施例1、2のフォーミング抑制剤については減容成形機の設定温度(溶融温度)が廃棄粉体塗料の硬化温度未満の温度であったことから、含水率が1%未満のものとなった。一方、実施例3のフォーミング抑制剤については、減容成形機の設定温度(溶融温度)が廃棄粉体塗料の硬化温度以上の温度であったことから、溶融時に硬化反応(脱水反応)が進み、同反応によって生じた水がフォーミング抑制剤内に形成される空隙内に留まったため、含水率が5.2%となった。なお。実施例3のフォーミング抑制剤については、圧縮強度の測定後、破壊されたフォーミング抑制剤の断面を指で触れたところ、僅かに湿り気があることが確認された。
(フォーミング抑制効果の評価)
次に、各実施例のフォーミング抑制剤と図4に示す従前のフォーミング抑制剤について、某製鉄メーカーにてフォーミング抑制効果の評価を行った。その結果、プラントオペレーターによる評価は、実施例のフォーミング抑制剤は図4に示す従前のフォーミング抑制効果に比べて、炉に投入した際に発生するガスの量が多く、高いフォーミング抑制効果を発現するというものであった。
本発明のフォーミング抑制剤は、製鉄工程に用いることができる。
1 本発明のフォーミング抑制剤
101 従前のフォーミング抑制剤

Claims (6)

  1. 原料の過半数の重量を廃棄粉体塗料とする溶融固化物からなるフォーミング抑制剤。
  2. 廃棄粉体塗料の溶融固化物からなるフォーミング抑制剤。
  3. オートグラフ(島津製作所製AG−IS、JIS B 7721(2009):1等級)を用いて以下の方法で測定した圧縮強度が45〜250kgfであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフォーミング抑制剤。
    (1)ロードセル:5kN
    (2)圧縮板:直径250mmの金属製円板
    (3)測定速度:10mm/min
    (4)測定環境(温度):23±2℃
    (5)測定環境(湿度):50±5%
  4. 含水率が10%以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のフォーミング抑制剤。
  5. 鉛の含有量が検出限界以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のフォーミング抑制剤。
  6. 原料の少なくとも過半数の重量を廃棄粉体塗料とし、前記廃棄粉体塗料を硬化温度未満の温度で加温しながら混錬した後、成形して塊状物を得ることを特徴とするフォーミング抑制剤の製造方法。
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