JP2005060451A - 回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法 - Google Patents

回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法 Download PDF

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Abstract

【課題】廃プラスチックの有効利用を図り、強固なコークスを製造する回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法を提供する。
【解決手段】回収された廃プラスチックに、微粉石炭を混合した混合物を加圧して、摩擦熱によって形成された成型体をコークス炉11に装入し、コークスを製造する際には、廃プラスチックがガス化して形成される空隙部に微粉石炭が存在し、この空隙部周囲の石炭が自由膨張するのを阻害して、脆弱なコークスの形成を抑制することができ、強固なコークスを製造することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回収された廃プラスチックを形成した成型体を用いたコークス炉の操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、廃プラスチックの処理方法として、例えば、特許文献1には、破砕した廃プラスチックとコークス炉用の石炭(配合炭)とを混合して装入炭を製造し、この装入炭をコークス炉に装入して、コークスを製造する方法が開示されている。
また、特許文献2には、廃プラスチックを減容固化、つまり、傾斜円筒型の乾燥機で、圧縮しながら加熱して廃プラスチックの見掛け密度を大きくして、コークス炉用の石炭と混合して装入炭を製造し、この装入炭をコークス炉に装入して、コークスを製造する方法が開示されている。
【0003】
一方、トナーの製造メーカで発生する廃トナーは、現状、専門業者に委託して埋め立て等の処理を行っているが、今後の環境規制の強化から埋め立てによる処理も困難な状況になってくる。この廃トナーも超微粉であり、かつ、撥水性がありコークス炉で使用する際は、例えば、廃トナーを重質油分と混合し、スラリー状又は加圧成型して、成型炭として使用していた(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平3−9989号公報
【特許文献2】
特開平9−241654号公報
【特許文献3】
特開2000−192049号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1及び2の方法では、図4(A)に示すように、コークス炉に装入された装入炭は、廃プラスチックが石炭中に混合された状態となっている。また、図4(B)に示すように、この装入炭が加熱されると、装入炭内の廃プラスチックが、ガス化して、廃プラスチックの存在していた場所に空隙部が形成される。この空隙部の周囲の石炭は、加熱されて膨張する際に、空隙部で自由膨張し、隣り合う石炭とは接触しないので、脆弱なコークスが製造される。
【0006】
また、特許文献3の発明では、スラリー状にすることにより、輸送過程において、例えば、ベルトコンベアの乗り継ぎ部(シュート)での落炭等が生じ、ハンドリング性が悪いという問題があった。また、成型炭にしても混練した後、成型しなければならず、成型設備が必要であった。更に、高価な重質油分を使用することによりコスト高となる問題もあった。また、廃トナーは、発塵防止のため、例えばビニール袋等の熱可塑性容器に収納して運搬や保管をしているが、処理時には破袋作業が必要であり、更に熱可塑性容器は分別して別に処理をしなければならなかった。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、廃プラスチックの有効利用を図り、強固なコークスを製造する回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明に係る回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法は、回収された廃プラスチックに、微粉石炭を混合した混合物を加圧して、摩擦熱によって形成された成型体をコークス炉に装入する。これによって、成型体及び石炭をコークス炉に装入してコークスを製造する際には、廃プラスチックがガス化して形成される空隙部に微粉石炭が存在し、この空隙部周囲の石炭が自由膨張するのを抑制して、脆弱なコークスの形成を防止することができる。
【0009】
ここで、廃プラスチックは、容器及び包装用等のプラスチックであり、市中より回収されたものである。この廃プラスチックは、コークス炉で熱分解される。また、微粉石炭は、石炭から発生した0.3mm未満、その多くは0.1mm以下の超微粉である。この微粉石炭は、石炭の輸送経路に設けられた集塵機等によって集められている。
【0010】
また、コークス炉内で加熱された廃プラスチックは、コークスの他に、水素、メタン、一酸化炭素等のコークス炉ガス、タール、ピッチ等の副生成物を生成し、これらの副生成物を回収して、精製、処理することによって、燃料用ガス、純水素ガス、ベンゼン、トルエン、キシレン等の化成品、ナフタリン、染料や炭素繊維などの有用な副生品を製造することができる。
【0011】
本発明に係る回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法において、前記混合物を加圧する手段にスクリュー式混合加圧機を用いて、前記成型体を射出成形により形成するのが好ましい。これによって、廃プラスチックと微粉石炭は、撹拌しながら混合することができる。また、廃プラスチックと微粉石炭は、押しつぶして圧縮されるので、廃プラスチックを減容固化することができる。更に、圧縮時に発生する摩擦熱によって、廃プラスチックは一部溶融し、微粉石炭と結合し、強固な成型体を製造でき、廃プラスチックを含む成型体の見掛け密度を高めることができる。
【0012】
ここで、スクリュー式混合加圧機は、射出成型機ともいわれ、廃プラスチック及び微粉石炭を撹拌しながら圧縮して押しつぶし、その際の摩擦熱によって廃プラスチック及び微粉石炭を80〜120℃まで加熱し、廃プラスチックの一部を溶かして微粉石炭と結合させる。微粉石炭の結合した廃プラスチックをスクリュー式混合加圧機の先端部に設けられたノズルから出して所定の長さで切断し、ペレット状の成型体を製造することができる。
【0013】
本発明に係る回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法において、前記混合物は、摩擦熱の他に加熱手段により熱が付与されて前記成型体としてもよい。これによって、混合物に摩擦熱よりも大きな熱、例えば80〜250℃の範囲の熱を与えることでき、摩擦熱のみでは不足する熱を付与することができるので、混合物に含まれる廃プラスチックや例えば廃トナーの軟化、溶融が良好になり成型体の凝縮を促進することができる。そして、成型体の見掛け密度を高めることができる。
【0014】
ここで、摩擦熱及び加熱による温度が80℃未満になると、混合物中に含まれる廃プラスチックや例えば廃トナーの軟化、溶融を十分に行えない場合があり、成型体の見掛け密度の低下や成型体の成形性が悪くなる。一方、摩擦熱及び加熱による温度が250℃を超えると混合物の(燃焼)分解ガス化や過剰の熱付与による加熱のエネルギーコストが増加する。
【0015】
本発明に係る回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法において、前記混合物には、更にトナーを含み、前記混合物に対して1〜30質量%で配合されているのが好ましい。これによって、成型体及び石炭をコークス炉に装入してコークスを製造する際に、廃プラスチック及び廃トナーがガス化して空隙部が形成されても、空隙部に微粉石炭が存在するため、空隙部周囲の石炭が自由膨張し難くなり、脆弱なコークスの形成を抑制することができる。また、産業廃棄物である廃トナーの処理ができる。更に、混合物を加熱して成型体を形成する際には、微粒子である廃トナーが廃プラスチックの隙間に入り込み、更に熱によって軟化、溶融して微粉石炭と結合するので、成型体を形成し易くなると共に、成型体の見掛け密度をより高めることができる。
【0016】
ここで、廃トナーは、0.1mm以下の超微粉であり、かつ、撥水性がある。また、樹脂系の廃トナーは、コークス炉内で溶融して微粉石炭と接着し易いので好ましい。また、脆弱なコークスの形成をより抑制できる。また、廃トナーの配合量が1質量%未満であると、処理される廃トナーの量が少なくなり、成型体の成形性が低下する。また、廃トナーの配合量が30質量%を超えると、コークス炉で製造されたコークスの強度が弱くなる。
【0017】
本発明に係る回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法において、前記廃トナーは、ビニール袋毎に梱包されたままの状態で添加することもできる。これによって、輸送時の発塵を防止できると共に、ビニール袋を破袋して除去しなくてもよくなる。ここで、袋に入れられた廃トナーは、サブホッパーで破袋して、廃トナーと他の原料とを混ぜることができる。
【0018】
本発明に係る回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法において、前記廃プラスチックには、250℃以下、好ましくは120℃以下で軟化あるいは溶融せず、粒度が0を超え10mm以下、好ましくは5mm以下の塩化ビニル系プラスチック、木屑及び紙類のいずれか1又は2以上の可燃物を予め又は後から混合することもできる。
これによって、成型体をコークス炉に装入してコークスを製造する際に、木屑、紙類はガス化せず、空隙部を形成しないため、空隙部周囲の石炭が自由膨張し難くなり、脆弱なコークスの形成を抑制することができる。
【0019】
ここで、市中から回収された廃プラスチックに含まれ、軟化、溶融し難く、混合物の成形性を阻害する塩化ビニル系プラスチック、木屑、及び紙類等の難成形性物の大きさ(粒度)が10mmを超えると、射出成型する際にノズルに詰まり易くなり、粘着する軟化、溶融した廃プラスチックや例えば廃トナーとの馴染みが悪くなり成形性が阻害される。この理由から難成形性物の大きさは限りなく小さい方がよいが、破砕コストを考慮すると0.1〜5mmがより好ましい。
【0020】
更に、難成形性物を250℃以下の温度で軟化、溶融しないものに限定したのは、混入物によってこの温度を超えると燃焼したり、分解ガス(塩素等の有害ガス)の発生に対するガス処理設備や加熱設備が大きくなり、設備費用や処理コストが増加するからである。この点からその温度を120℃以下にすることがより好ましい。
【0021】
本発明に係る回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法において、前記微粉石炭は、前記混合物に対して1〜75質量%で配合されているのが好ましい。ここで、微粉石炭の混合量が1質量%未満では、空隙部に存在する微粉石炭が少なくなり、空隙部の周囲の石炭が自由膨張し、脆弱なコークスが形成する。また、微粉石炭の混合量が75質量%を超えると、成型体を形成し難くなる。
【0022】
本発明に係る回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法において、前記成型体は、前記コークス炉に装入する石炭(コークスの原料炭)に対して、0.1〜10質量%で配合するのが好ましい。これによって、コークス強度の高いコークスが製造できる。ここで、石炭に対して成型体の配合量が、0.1質量%未満であると、廃プラスチックの処理量が少なくなり、また、10質量%を超えると、廃プラスチックが、ガス化して形成される空隙部が多くなり、空隙部の周囲の石炭が自由膨張し、脆弱なコークスが形成され易くなる。
【0023】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法を適用したコークス製造装置の説明図、図2(A)は成型体及び石炭をコークス炉内へ装入した直後の説明図、(B)はコークス炉内へ装入した成型体中の廃プラスチックが気化した際の説明図、図3は実施例2に係るコークス炉に装入する装入炭中の成型体の添加率とコークス強度の関係を示すグラフである。
【0024】
図1〜図3を参照して、本発明の一実施の形態に係る回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法を適用したコークス製造装置10について説明する。
【0025】
コークス製造装置10で使用する市中より回収された廃プラスチックは、容器及び包装用等のポリスチレン等の熱可塑性プラスチック及び塩化ビニルを含んだプラスチック、更には金属片等の異物を含むので事前処理を行う必要がある。
【0026】
ここで、事前処理とは、容器及び包装用のプラスチックを包む袋を破袋する開梱破袋処理、次にプラスチック以外のものを除去する手選別処理、プラスチックを破砕する粗破砕処理、プラスチック以外のものを選別機で除去する機械選別処理、及びプラスチックを破砕する二次破砕処理等であり、この事前処理が行われた後、0.1〜10mmに破砕された廃プラスチックが製造される。
【0027】
また、コークス製造装置10で使用する微粉石炭は、石炭から発生した0.3mm未満、その多くは0.1mm以下の超微粉であり、コークス工場11aに設けられた図示しない集塵機によって集められている。コークス製造装置10は、この微粉石炭を貯留する微粉石炭ホッパー12と、この微粉石炭を輸送する前にこの微粉石炭に散水し、微粉石炭の発塵を防止する散水調湿装置13と、散水された微粉石炭を貯留する微粉石炭ヤード14を有している。
【0028】
更に、コークス製造装置10は、廃トナーを貯留する廃トナーヤード15を有している。ここで、コークス製造装置10で使用する廃トナーは、0.1mm以下であって、鉄分の含有していない樹脂系のトナーであり、ビニール袋毎に梱包されたままの状態で廃トナーヤード15に貯留されている。
【0029】
コークス製造装置10は、微粉石炭ヤード14に貯留された微粉石炭と廃トナーヤード15に貯留された廃トナーとを混合する混合槽(サブホッパー)16を有している。また、コークス製造装置10は、微粉石炭ヤード14に貯留された微粉石炭及び廃トナーヤード15に貯留された廃トナーをすくって、混合槽16まで移動するショベルローダー17を有している。ここで、ショベルローダー17は、微粉石炭及び廃トナーを混合槽16まで移動するほかに、混合槽16内で微粉石炭及び廃トナーを混合すると共に、廃トナーを包んでいるビニール袋を破袋している。
【0030】
更に、コークス製造装置10は、混合槽16で混合された微粉石炭、廃トナー、及び破袋されたビニール袋(以下、総称して混合炭という)を貯留する混合炭ホッパー18を有し、ショベルローダー17によって混合槽16から混合炭ホッパー18に混合炭を移動している。
また、コークス製造装置10は、混合炭を調湿し、よく混合する散水機能付きの混練機19を有している。混練機19では、混合炭中のビニール袋を更に細かく粉砕し、微粉石炭の発塵を防止のため混合炭の水分を実質的に5質量%となるように散水している。混練機19によって、混練炭が製造される。
【0031】
コークス製造装置10は、0.1〜10mmに破砕された廃プラスチックと混練炭とを混合した混合物を加圧しながら加熱して成型体を形成するスクリュー式混合加圧機20を有している。スクリュー式混合加圧機20は、破砕筒内に設けられたスクリューの刃と、固定刃とによって混合物を破砕して、撹拌しながら、破砕筒の先端部に向かって混合物を圧縮する装置である。
【0032】
ここで、混合物は、破砕筒の先端部に近づくにつれて、強く圧縮され摩擦熱を発生し、この摩擦熱によって、混合物中の廃トナー及び廃プラスチックの一部が溶けて、微粉石炭と結合する。これをスクリュー式混合加圧機20の図示しないノズルから射出して、所定長さに切断してペレット状の成型体を形成する。廃プラスチック間の隙間には、微粉石炭及び廃トナーが入り込み、しかも、廃プラスチック及び廃トナーが溶融して、微粉石炭と結合しているので、高密度の成型体を製造できる。
【0033】
なお、廃プラスチックを圧縮する場合は、ポリ塩化ビニル(PVC)の隙間に入り込んだ廃トナーがスクリュー式混合加圧機20によって、摩擦熱で溶融し、PVCと微粉石炭を接着することができると共に、PVCの隙間に混練炭中の廃トナーが入り込むことによって、見掛け密度を増加させることができる。また、スクリュー式混合加圧機20には、内部に挿入した混合物を、摩擦熱よりも高い温度に加熱できる加熱手段の一例である電気式のヒータを設けて、廃プラスチックや廃トナーを溶かして、微粉石炭と接着させ、見掛け密度のより高い成型体を製造することもできる。
【0034】
この成型体は、図示しない配合槽から輸送された石炭(原料炭)と、石炭に対して、0.1〜10質量%で配合し、混合されて装入炭として、コークス炉11に装入される。コークス炉11では、石炭及び含炭微粉処理物(成型体)を1000〜1200℃の高温、例えば、1100℃で20時間乾留して、コークスを製造する。また、コークスの他に、水素、メタン、一酸化炭素等のコークス炉ガス、タール、ピッチ等の副生成物も生成する。これらの副生成物を回収し、これらを精製、処理することによって、燃料用ガス、純水素ガス、ベンゼン、トルエン、キシレン等の化成品、ナフタリン、染料や炭素繊維などの有用な製品が製造される。
【0035】
次に、コークス製造装置10を使用して行う本発明の一実施の形態に係る回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法について説明する。まず、市中から回収された廃プラスチックを、事前処理として、例えば、容器及び包装用のプラスチックを0.1〜10mmに破砕し、次にプラスチック以外のものを選別機で除去する。ここで、木屑、紙類等の可燃物は混入していてもよく、更には、新たに前記木屑、紙類等の可燃物を添加することができる。なお、塩化ビニル系プラスチック、木屑、紙類等の可燃物は、250℃以下、好ましくは120℃以下で軟化あるいは溶融しないものがよい。
【0036】
また、微粉石炭ホッパー12に貯留されている微粉石炭は、散水調湿装置13で散水した後、微粉石炭ヤード14に輸送して貯留する。微粉石炭は、散水により発塵し難くなっている。また、トナーの製造メーカで発生しビニール袋毎に梱包されている廃トナーは、廃トナーヤード15に貯留する。
【0037】
微粉石炭ヤード14に貯留されている微粉石炭と廃トナーヤード15に貯留されている廃トナーをショベルローダー17で混合槽16に挿入する。ショベルローダー17で混合槽16内をかき混ぜ、廃トナーを包んでいるビニール袋を破袋すると共に、微粉石炭、廃トナー、及び破袋したビニール袋を混合し、混合炭とする。
【0038】
混合槽16から混合炭をショベルローダー17によって、混合炭ホッパー18に輸送する。混合炭ホッパー18内の混合炭を、散水機能付きの混練機19内に輸送し、混練機19内で混合炭の水分が実質的に5質量%となるように散水する。また、混練機19内では、破袋したビニール袋は、より細かく破袋される。混練機19によって、微粉石炭、廃トナー、及び細かくなったビニール袋は、よく混合され、混練炭となる。
【0039】
事前処理によって0.1〜10mmに破砕された廃プラスチックと、混練機19によって製造された混練炭とを、スクリュー式混合加圧機20に入れ、この装入された混合物を、スクリュー式混合加圧機20で撹拌しながら圧縮する。その際の摩擦熱によって、廃プラスチックと廃トナーの一部が溶けて微粉石炭と結合する。これをスクリュー式混合加圧機20の図示しないノズルから射出して、所定長さに切断してペレット状の成型体を製造する。なお、廃プラスチックによって形成される隙間には、微粉石炭及び廃トナーが入り込み、しかも、廃プラスチック及び廃トナーが溶融して、微粉石炭と結合し、高密度の成型体となる。
【0040】
成型体は、図示しない配合槽から輸送された石炭(原料炭)に対して、0.1〜10質量%で配合し、混合して装入炭として、コークス炉11に装入する。コークス炉11内で、石炭及び処理物(成型体)を1000〜1200℃の高温、例えば、1100℃で20時間乾留して、コークスを製造すると共に、生成する水素、メタン、一酸化炭素等のコークス炉ガス、タール、ピッチ等の副生成物を回収する。回収した副生成物を精製、処理し、燃料用ガス、純水素ガス、ベンゼン、トルエン、キシレン等の化成品、ナフタリン、染料や炭素繊維などの有用な製品を製造する。
【0041】
図2(A)に示すように、コークス炉11に装入された装入炭は、成型体が石炭に混合されている状態となっている。また、図2(B)に示すように、コークス炉内で装入炭が加熱されると、装入炭内の成型体内の廃プラスチック及び廃トナーがガス化して空隙部が形成され、空隙部には成型体内の微粉石炭の粉体が存在している。空隙部の周囲の石炭は、空隙部内の微粉石炭によって、自由膨張が妨げられ、脆弱なコークスが形成し難くなる。
【0042】
【実施例】
(実施例1)
表1に示すような配合比で、廃プラスチック、微粉石炭、廃トナー、木屑、及び紙類を混合し、スクリュー式混合加圧機で成型体を形成し、その見掛け密度を測定した(No.1〜No.7)。なお、従来の廃プラスチックのみの場合も測定した(Ref.で示す)。
【0043】
【表1】
Figure 2005060451
【0044】
ここで、従来の廃プラスチックのみを圧縮して成型体とした場合には、見掛け密度が0.5g/cm であり、No.1〜No.7では、見掛け密度が0.7g/cm を超え、廃プラスチック間の隙間に微粉石炭、廃トナー、木屑、及び紙類が充填され、更に、スクリュー式混合加圧機で加圧された際の摩擦熱によって、廃プラスチック、廃トナーが溶融し、微粉石炭と結合して高密度の成型体が製造された。
【0045】
(実施例2)
図3に示すように、廃プラスチック75質量%及び微粉石炭25%を混合して形成した成型体A(■)、廃プラスチック45質量%及び微粉石炭45%並びに廃トナー10質量%を混合して形成した成型体B(△)、廃プラスチックのみで形成した成型体C(◆)を、それぞれ石炭との配合率を0〜6質量%に変えて混合してコークスを製造し、コークスの強度を測定した。
【0046】
成型体A及び成型体Bは、見掛け密度が高く、廃プラスチックが、ガス化して形成される空隙部に、微粉石炭が存在するため、空隙部周囲の石炭が自由膨張し難くなり、脆弱なコークスの形成を抑制することができるため、コークス強度が低下しない。また、成型体Cは、見掛け密度が低く、廃プラスチックが、ガス化して空隙部が形成され、空隙部の周囲の石炭が空隙部で自由膨張するので、脆弱なコークスが形成する。
【0047】
本発明は、前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記した実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
【0048】
例えば、前記実施の形態の回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法において、微粉石炭、廃トナー及び廃プラスチックを混合して成型体を形成したが、微粉石炭及び廃トナーを混合して成型体を形成してもよい。また、廃トナー及び廃プラスチックに、木屑及び/又は紙類を混合して成型体を形成してもよい。
【0049】
更に、微粉石炭と廃トナーを混練機で混練して混練物を形成した後、この混練物と廃プラスチックとをスクリュー式混合加圧機で成型体を形成したが、微粉石炭と廃トナーと廃プラスチックとをスクリュー式混合加圧機で混合、加圧して成型体を形成してもよい。
【0050】
【発明の効果】
請求項1〜8の回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法においては、回収された廃プラスチックに、微粉石炭を混合した混合物を加圧して、摩擦熱によって形成された成型体をコークス炉に装入するので、成型体の見掛け密度を高めることができ、更に、成型体と石炭とをコークス炉に装入してコークスを製造する際には、廃プラスチックがガス化して形成される空隙部に微粉石炭が存在し、この空隙部周囲の石炭が自由膨張するのを阻害して、脆弱なコークスの形成を抑制することができ、強固なコークスを製造することができる。
【0051】
特に、請求項2記載の回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法においては、混合物を加圧する手段にスクリュー式混合加圧機を用いて、成型体を射出成形により形成するので、廃プラスチックと微粉石炭は、撹拌しながら混合することができる。また、廃プラスチックと微粉石炭は、押しつぶして圧縮されるので、廃プラスチックを減容固化することができる。更に、圧縮時に発生する摩擦熱によって、廃プラスチックは一部溶融し、微粉石炭と結合し、強固な成型体を製造できる。
【0052】
請求項3記載の回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法においては、混合物は、摩擦の他に加熱手段により熱が付与されて成型体とされるので、混合物に摩擦熱よりも、大きな熱を与えることでき、摩擦熱によって溶かすことのできない廃プラスチックも溶解させ、見掛け密度をより高めることができる。
【0053】
請求項4記載の回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法においては、混合物には、更に廃トナーを含み、混合物に対して1〜30質量%で配合されているので、成型体及び石炭をコークス炉に装入してコークスを製造する際に、廃プラスチック及び廃トナーがガス化して空隙部が形成されても、空隙部に微粉石炭が存在するため、空隙部周囲の石炭が自由膨張し難くなり、脆弱なコークスの形成をより抑制し、強固なコークスを形成できる。また、産業廃棄物である廃トナーの処理ができる。更に、混合物を加熱して成型体を形成する際には、微粒子である廃トナーが廃プラスチックの隙間に入り込み、更に熱によって溶けて微粉石炭と結合するので、成型体を形成し易くなると共に、かさ密度を増加させることができる。
【0054】
請求項5記載の回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法においては、廃トナーは、ビニール袋毎に梱包されたままの状態で添加されるので、輸送時の発塵を防止できると共に、ビニール袋を破袋して除去しなくてもよくなり、作業の効率化を図ることができる。
【0055】
請求項6記載の回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法においては、廃プラスチックには、250℃以下で軟化あるいは溶融せず、粒度が10mm以下の塩化ビニル系プラスチック、木屑及び紙類のいずれか1又は2以上の可燃物が予め又は後から混合されているので、成型体をコークス炉に装入してコークスを製造する際に、木屑、紙類はガス化せず、空隙部を形成しないため、空隙部周囲の石炭が自由膨張し難くなり、脆弱なコークスの形成を抑制することができる。
【0056】
請求項7記載の回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法においては、微粉石炭は、混合物に対して1〜75質量%で配合されているので、脆弱なコークスの形成をより抑制でき、強固なコークスを製造を製造できる。
請求項8記載の回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法においては、成型体をコークス炉に装入する石炭に対して、0.1〜10質量%を配合するので、コークス強度の強いコークスが製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法を適用したコークス製造装置の説明図である。
【図2】(A)は成型体及び石炭をコークス炉内へ装入した直後の説明図、(B)はコークス炉内へ装入した成型体中の廃プラスチックが気化した際の説明図である。
【図3】実施例2に係るコークス炉に装入する装入炭中の成型体の添加率とコークス強度の関係を示すグラフである。
【図4】(A)従来の成型体及び石炭をコークス炉内へ装入した直後の説明図、(B)はコークス炉内へ装入した成型体中の廃プラスチックが気化した際の説明図である。
【符号の説明】
10:コークス製造装置、11:コークス炉、11a:コークス工場、12:微粉石炭ホッパー、13:散水調湿装置、14:微粉石炭ヤード、15:廃トナーヤード、16:混合槽、17:ショベルローダー、18:混合炭ホッパー、19:混練機、20:スクリュー式混合加圧機

Claims (8)

  1. 回収された廃プラスチックに、微粉石炭を混合した混合物を加圧して、摩擦熱によって形成された成型体をコークス炉に装入することを特徴とする回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法。
  2. 請求項1記載の回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法において、前記混合物を加圧する手段にスクリュー式混合加圧機を用いて、前記成型体を射出成形により形成することを特徴とする回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法。
  3. 請求項1及び2のいずれか1項に記載の回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法において、前記混合物は、摩擦熱の他に加熱手段により熱が付与されて前記成型体とされることを特徴とする回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法において、前記混合物には、更に廃トナーを含み、前記混合物に対して1〜30質量%で配合されていることを特徴とする回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法。
  5. 請求項4記載の回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法において、前記廃トナーは、ビニール袋毎に梱包されたままの状態で添加されることを特徴とする回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法において、前記廃プラスチックには、250℃以下で軟化あるいは溶融せず、粒度が10mm以下の塩化ビニル系プラスチック、木屑及び紙類のいずれか1又は2以上の可燃物が予め又は後から混合されていることを特徴とする回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法において、前記微粉石炭は、前記混合物に対して1〜75質量%で配合されていることを特徴とする回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法において、前記成型体は、前記コークス炉に装入する石炭に対して0.1〜10質量%で配合することを特徴とする回収された廃プラスチックの成型体を用いたコークス炉の操業方法。
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