JP7489516B2 - 製鋼用または製鉄用添加剤 - Google Patents

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Description

本発明は、製鋼工程または製鉄工程の際に系内(溶銑)に添加される添加剤に関するものである。具体的には、製鋼工程または製鉄工程の際に系内(溶銑)に投入することによって、昇温、フォーミング抑制(鎮静)、脱酸、脱硫、脱リン、加炭等を行う添加剤に関するものである。さらに詳しくは、従前の添加剤以上に、輸送・搬送の際の崩壊を抑制することができ、且つ長時間、形状を保った状態で系内(溶銑)に沈降させることができる添加剤に関するものである。
従来から、製鋼または製鉄を行う際には、様々な添加剤が用いられている。具体的には、加炭材、昇温材(特に無煙炭代替品)、フォーミング抑制(鎮静)材、脱酸材、脱硫材、脱リン材等の添加剤が用いられている。そして、このような添加剤の多くは、鉄屑、廃プラスチック、シュレッダーダスト等の廃材を原料として製造されている(特許文献1~3の[特許請求の範囲])。
ここで、係る添加剤は、製造メーカーから製鉄所への輸送の際や製鉄所内における搬送の際に崩壊しないようにする必要があることから、ある程度の強度が要求される。輸送中や搬送中に崩壊を起こしてしまうと、崩壊した粉状の添加剤の回収や廃棄等の処理作業が必要になってしまうだけでなく、集塵機などによって除去されるロス分が発生し、系内(溶銑)への添加量の歩留りが低下してしまうことになる。また、添加量の歩留りが低くなることは、購入量に比べて実際に使用される量が少なくなってしまうことであることから、経済的な観点からも問題となることになる。
そこで、添加剤の強度について着目して、具体的な数値が記載されている公報が公開されている(特許文献4~7の[特許請求の範囲])。
さらに、近年においては、膨張材を含有させることによって、輸送や搬送の際には崩壊を防止しつつ、系内(溶銑)に投入した後においては迅速な崩壊を促すことで系内(溶銑)への溶け残しを防止する技術も開発されている(特許文献8の[特許請求の範囲]、[0023]、[0024])。
特開2004-143491号公報 特開2007-21445号公報 特開2008-104940号公報 特開2003-27122号公報 特開2016-56412号公報 特開2016-108638号公報 国際公開第2013/128786号 特開2019-77922号公報
しかしながら、特許公報4~8に記載されている程度の強度では、輸送中や搬送中に依然として崩壊が発生してしまうという問題がある。例えば、最も高い圧縮強度が記載されている特許文献8の成型体(実施例のNo.2において、圧縮強度:126.2kgf(≒1237N)の記載あり)においても、輸送中や搬送中に崩壊を起こしてしまうことから、添加量の歩留りが低下してしまう、という課題があった。
また、特許公報4~8に記載されている程度の強度では、系内(溶銑)においても短い時間で崩壊して消滅してしまう(系内(溶銑)に留まっている時間が短い)ことから、添加剤としての効果(加炭、昇温、フォーミング抑制(鎮静)、脱酸、脱硫、脱リン等の効果)の持続時間が短くなってしまうという課題があった。すなわち、従前の添加剤は投入当初においては十分な効果を発現するものの、急激にその効果が低下してしまう、という課題が潜在的に存在しているのである。
従って、添加剤としての効果を維持しようとすると、添加剤を頻繁に投入しなければならないことになり、その結果、添加剤のトータルの投入量(使用量)が多くなってしまうという課題があった。
このように製鋼工程または製鉄工程においては、添加剤使用時における制御、換言すれば添加剤の効果を持続的(効率的)に制御することが難しく、従前においては専らオペレーター(作業員)の経験に基づいて使用されているのが現状となっているのである。
ここで、上記の問題を解決するためには添加剤の強度を向上させればいいのであるが、製鋼工程または製鉄工程においては鉛成分や銅成分等、鉄に混入することを抑制しなければならない成分が存在する。
従って、添加剤の原料についても自ずと制約を受けることになり、新規な原料を用いて強度を向上させることが難しいという課題もあった。そして、係る課題は原料に廃材を用いる際に特に顕著なものとなる。
今般、本願発明者らは、鋭意検討を行った結果、従前から使用されている原料を用いながらも、強度(圧潰強度)を飛躍的(80倍以上)に向上させた添加剤を作成することができた。そして、係る添加剤は、鉄を主原料とし、且つ高い圧潰強度を発現する(崩壊がほとんどない)ことから、搬送用マグネット(リフティングマグネット)を用いた搬送の際にも、従来品に比べてハンドリング性がよく、一回の搬送量も従来品以上の量を搬送することができる(工程の省力化を図ることができる)という知見を得ることができた。
また、係る添加剤を使用した場合には、輸送中や搬送中に崩壊を起こすことがほとんどなく、高い歩留りを達成することができるという知見を得ることができた。
さらに、従来品に比べてより長時間、形状を保った状態で系内に沈降させることができる、すなわち添加剤の効果を持続させることができるという知見を得ることができた。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、輸送・搬送の際の崩壊を従来品以上に抑制することができ、長い時間、形状を保った状態で系内(溶銑)に沈降させることができる製鋼用または製鉄用添加剤の提供を目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る製鋼用または製鉄用添加剤は、鉄と、樹脂類を主成分し、前記鉄の含有率が30~50wt%であり、前記樹脂類の含有率が50~70wt%である製鋼用または製鉄用添加剤であって、圧潰強度が80000N以上であり、真密度が1.4g/cm以上で且つ嵩密度が1.1g/cm以上であることを特徴とする。
本発明の請求項に係る製鋼用または製鉄用添加剤は、鉛の含有量が検出限界以下であることを特徴とする。
本発明の請求項に係る製鋼用または製鉄用添加剤は、樹脂類が廃プラスチックであることを特徴とする。
本発明に係る製鋼用または製鉄用添加剤によれば、鉄を主原料とするとともに圧潰強度を80000N以上とすることによって、以下の効果を発現させることができる。
(1)輸送・搬送の際の崩壊を従来品以上に抑制することができる。その結果、搬送用マグネット(リフティングマグネット)を用いた搬送の際にも、従来品に比べてハンドリング性がよく、一回の搬送量も従来品以上の量を搬送すること(工程の省力化を図ること)ができる。
また、従来品に比べて、投入時の歩留りも少なくすることができる。
(2)従来品に比べて、長時間、形状を保った状態で系内に沈降させることができる。その結果、本発明の添加剤を加炭材や昇熱材やフォーミング抑制剤として用いた場合には、従来品以上の加炭効果や昇熱持続効果やフォーミング抑制効果を発現させることができ、従来品に比べて投入量を削減することができる。
また、沈降性が向上することから、投入時や投入後の煙の発生も抑制することができ、作業性を向上させることができる。
さらに、本発明の添加剤は確実に溶銑の中に沈降することから、溶銑の表面で燃焼してしまうことがある従前の添加剤に比べて、樹脂類が燃焼した後に残る炭素成分も溶銑内に残る(いわゆる、溶け落ちカーボン値が上がる)ことになり、係る炭素成分が精錬時に寄与することになる。従って、精錬の際に投入するコークスの使用量を削減することも期待できる。
本発明に係る製鋼用または製鉄用添加剤によれば、密度を所定値以上とすることによって、上記の効果をより効果的に発現させることができる。
本発明に係る製鋼用または製鉄用添加剤によれば、鉄を一定以上含有することによって、上記の効果(特に(1)の効果)をより効果的に発現させることができる。
本発明の請求項に係る製鋼用または製鉄用添加剤によれば、鉛を含有しないことから、従来品のような製品(鉄材)への鉛の混入を防止することができる。また、残渣として発生するスラグを肥料等へと有効活用することができる。
本発明の請求項に係る製鋼用または製鉄用添加剤によれば、樹脂類を廃プラスチックとすることによって、プラスチックのリサイクル利用を行うことができる。
本発明に係る製鋼用または製鉄用添加剤の一の実施形態(実施例1)の加熱試験結果を示す写真である。 比較例1(従来品)の添加剤の加熱試験結果を示す写真である。
本発明の実施形態を説明する。なお、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。
なお、本発明は製鋼用または製鉄用添加剤であるが、本発明における「製鋼」および「製鉄」は以下の意味である。
製鋼:銑鉄と屑鉄から転炉・電気炉などを用いて鋼を製すること。
製鉄:銑鉱を製錬して鉄材を作ること。具体的には、溶鉱炉(高炉)により銑鉄を作るまでの工程(製銑)、または原料から最終銑鉄品を製造する工程全体を指す。
また、本発明の「添加剤」が対象とする具体的な用途としては特に限定されず、「製鋼工程」または「製鉄工程」において用いられる添加剤の用途全般が対象となる。具体的には、加炭材、昇温材、フォーミング抑制(鎮静)材、脱酸材、脱硫材、脱リン材等の用途が挙げられる。
(基本構成)
まず、本発明の製鋼用または製鉄用添加剤の構成を説明する。
本発明の製鋼用または製鉄用添加剤は、鉄と樹脂類を主成分とする。鉄を必須成分とすることによって、搬送用マグネット(リフティングマグネット)を用いて搬送することを可能とし、樹脂類を必須成分とすることによって、係る鉄をより高い密度で成形しつつ、高い圧潰強度を実現するのである。具体的には、鉄は、ニッケルやコバルトとは異なり、磁性体の中でも製鋼工程または製鉄工程において使用の制約を受けない金属(最終製品の品質に影響を与えない金属)であることから本発明における必須成分となり、樹脂類は係る鉄を集約して成形体とするための結合材の役目と加炭元の役目を担うことになる。
使用する鉄および樹脂類の種類については特に限定されるものではないが、ミルスケール、屑鉄、シュレッダーダストから分別した鉄、廃プラスチックを用いれば、各成分のリサイクル利用を行うことができるので好適である。
また、本発明に用いる鉄については、事前に細かく粉砕しておくことが好ましい。そして、上記の条件を具備することからミルスケールを用いるのが好ましい。
樹脂類については、鉄成分同士を結合する結合材の役目を担うことから、製造時の加温において溶融する熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
また、鉄およびプラスチックの添加剤への含有率についても特に限定されるものではないが、本願発明の技術的効果を効果的に発現させるためには、鉄の含有率(具体的には酸化第一鉄換算による含有率)については30~50wt%とすることが好ましく、その中でも30~45wt%とすることがより好ましい。また、樹脂類の含有率については50~70wt%とすることが好ましく、その中でも50~60wt%とすることがより好ましい。
さらに、本発明の製鋼用または製鉄用添加剤は、圧潰強度が80000N以上(より好ましくは100000N以上)であることを特徴とする。なお、係る高い圧潰強度は、後記する製造方法によって、今般始めて実現することができたものである。具体的には、本発明の添加剤は、従前の添加剤に比べてサイズが小さい、或いはより細かく粉砕した鉄成分を用いるとともに、係る鉄成分をより万遍なく添加剤中に分散し、係る分散状態で樹脂類によって結合することができたことから、高い圧潰強度を実現することができたものである。
なお、圧潰強度の数値については、JIS B 7721に準拠したオートグラフを用い、JIS A 1108に準拠して測定した数値である。
(密度)
本発明は従前の添加剤に比べてより強固な、換言すればより締まった状態の添加剤となる。
すなわち、従前の添加剤の中にも鉄と樹脂類を用いて成形している物があるものの、鉄成分が大きな塊(数mm大の状態)のままで添加剤中に存在していたり、鉄成分と樹脂類との間に空隙が存在していたりすることから、嵩のわりに軽い添加剤となるのであるが、本発明の添加剤は、上記のとおり、従前の添加剤に比べてより締まった状態の添加剤となることから、高い圧潰強度を実現できるのである。なお、この傾向は、鉄成分に3mm以下、より好ましくは1mm以下の粉状物を用いた場合に特に顕著となる。
従って、本発明の添加剤は、密度において従前の添加剤と大きく相違することになる。具体的には、真密度および嵩密度(特に、嵩密度)が高い値を示すことになり、真密度と嵩密度との差も小さくなる(真密度と嵩密度との比が高くなる)ことになる。そしてその中でも、真密度が1.4g/cm以上(より好ましくは1.5g/cm以上、さらに好ましくは1.8g/cm以上)、嵩密度が1.1g/cm以上(より好ましくは1.2g/cm以上、さらに好ましくは1.6g/cm以上)を示すことが好ましいこととなる。また、真密度と嵩密度との差は0.3g/cm以内(より好ましくは0.2g/cm以内)となることが好ましく、真密度と嵩密度との比(嵩密度/真密度)は78%以上(より好ましくは80%以上、さらに好ましくは89%以上)となることが好ましいこととなる。
(その他の成分)
本発明の添加剤には、必要に応じて、他の成分を含有することができる。
ここで、「製鋼工程」または「製鉄工程」においては、所望する銑鉄や製鋼を得る際に、副生物(残渣)としてスラグ(高炉スラグや製鋼スラグ)が発生する。そして、このスラグは、近年、肥料としての用途も検討され始めている。従って、添加剤の原料として有害金属成分である鉛成分や銅成分が混入している物を用いてしまうと、有害金属成分が混入したスラグが形成されることになってしまい、肥料として用いることができないことになる。
そこで、本発明において含有する他の成分は、鉛成分以外の成分とすることが好ましい。また、鉄成分にシュレッダーダストを用いる場合には、鉛成分や銅成分(特に、鉛成分)を分離したものを用いることが好ましい。
なお、その他の成分の具体例としては、水酸化アルミニウム(廃棄人工大理石等)を含有すれば、水酸化アルミニウムの脱水分解時に発生するガスの効果によって、高いフォーミング抑制(鎮静)効果を得ることができ、さらに脱酸効果も得ることができる。なお、脱水分解時の吸熱については樹脂類による昇温効果によって相殺することができるので好適である。
炭酸カルシウム(卵・貝の殻等)を含有すれば、炭酸カルシウムの熱分解時に発生するガスの効果によって、高いフォーミング抑制(鎮静)効果を得ることができ、さらに脱硫効果も得ることができる。
また、石灰を含有すれば脱硫効果を得ることができ、アルミ屑を含有すれば脱酸・昇熱効果を得ることができ、シリコンパウダーを含有すれば高い昇熱効果を得ることができる。
上記以外のその他の成分としては、木材(廃棄パレット等)や紙材(製紙スラッジや古紙等)も含有することができる。
なお、その他の成分の含有率については特に限定されず、必要に応じて適宜調整されることになるが、主成分による技術的効果に影響を及ぼさないためには20%以下とすることが好ましい。
(製造方法)
本発明の添加剤の製造方法としては、主成分である鉄および樹脂類を混錬して成形する方法であれば特に限定されないが、高い圧潰強度を発現させるためには、鉄成分と樹脂類とを均一に混錬することによって、添加剤中に万遍なく分散させる方法である必要がある。具体的には、このような混錬を可能とする2軸式の減容圧縮成形機を用いることが好ましい。また、係る減容圧縮成形機に用いるスクリューは、羽根(条数)が1つの1条スクリューではなく、複数の羽根(条数)を有する2条スクリュー以上のスクリューを用いることが好ましく、その中でも3条スクリューを用いることが好ましい。
また、加温しながら混錬することが好ましい。具体的には、120~160℃の範囲(より好ましくは130~150℃の範囲)で加温しながら混錬することが好ましい。
さらに、事前に細かく粉砕した鉄成分、或いはミルスケールを混合する際には、さらにサイズの大きいものを除去した上で混合することが好ましい。具体的には、篩にかけて5mm以下(好ましくは3mm以下、より好ましくは1mm以下)の状態にした上で混合することが好ましい。なお、ミルスケール(酸化皮膜)は脆いことから、混錬の際に細かく粉砕されるため、前処理としての粉砕処理が不要であり、篩処理についても不要或いは省力化することができるので好適である。
次に、上記のように構成された製鋼用または製鉄用添加剤の動作および作用を説明する。
本発明の添加剤は、従前の添加剤に比べて、鉄成分がより細かく粉砕されるとともに、より万遍なく添加剤中に分散し、係る分散状態で樹脂類によって結合されていることから、高い圧潰強度(80000N以上)を有することになる。
従って、輸送・搬送の際の崩壊を従来品以上に抑制することができる。具体的には、ドラムインロール試験(試料をドラムに入れて回転させた後にどの程度崩壊するかを評価する試験)における値(DI値)が99%以上となる。そしてその結果、搬送用マグネット(リフティングマグネット)を用いた搬送の際には、従来品に比べてハンドリング性がよく、一回の搬送量も従来品以上の量を搬送すること(工程の省力化を図ること)ができる。具体的には、従前の添加剤では一回の搬送で100kg程度しか運ぶことができなかったのに対して、本発明の添加剤は、一回の搬送で300~1000kgを運ぶことができる。また、従来品に比べて、投入時の歩留りも少なくすることができる。
さらに、沈降性が向上することから、従前の添加剤に比べて、投入時や投入後の煙の発生抑制効果も発現させることができ、作業性も向上させることができる。
また、高い圧潰強度を有することから、本発明の添加剤を加炭材や昇熱材やフォーミング抑制剤として用いた場合には、従来品に比べてより長い時間、形状を保った状態で系内に沈降させることができる。そしてその結果、従来品以上の加炭効果や昇熱持続効果やフォーミング抑制効果を発現させることができ、従来品に比べて投入量を削減することができる。具体的には、某製鉄メーカーにて評価を行った結果、プラントオペレーターによる評価では、効果の持続時間が長く、従前の添加剤に比べて一回の製造作業における添加剤の投入回数が明らかに削減(1/3程度に削減)できたという評価であった。また、評価期間内における添加剤の使用量についても、従前の添加剤に比べて大幅に削減できたという評価であった。
次に、本発明に係る製鋼用または製鉄用添加剤を実施例および比較例に基づいて詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
鉄成分としてミルスケールを酸化第一鉄換算として42.6wt%、樹脂類として廃プラスチック(廃棄食品容器、廃棄アルミ蒸着フィルム等)を50wt%、その他の成分として木くず、紙くずを7.4wt%用いた。そして、これらの原料を3条スクリューを用いた2軸式の減容圧縮成形機に投入し、設定温度(成形温度)を140℃にして混錬しながら溶融を行った。その後、ダイスから押し出されてくる溶融物を長さ5~10cm、直径3cmのペレットにカットして自然冷却することによって、実施例1の添加剤を作製した。
(実施例2)
鉄成分としてミルスケールを酸化第一鉄換算として30wt%、樹脂類として廃プラスチック(廃棄食品容器、廃棄アルミ蒸着フィルム等)を50wt%、その他の成分として木くず、紙くずを20wt%用いた。そして、これらの原料を3条スクリューを用いた2軸式の減容圧縮成形機に投入し、設定温度(成形温度)を140℃にして混錬しながら溶融を行った。その後、ダイスから押し出されてくる溶融物を長さ5~10cm、直径3cmのペレットにカットして自然冷却することによって、実施例2の添加剤を作製した。
(比較例1)
従前の添加剤を比較例1とした。なお、比較例1の組成は、鉄成分:60wt%、樹脂類(オレフィン系樹脂):40wt%、その他の成分:0wt%であった。
(比較例2、3)
従前のRPF(Refuse derived paper and plastics densified Fuel)2品をそれぞれ比較例2、3とした。
(比較例4)
鉄成分としてミルスケールを酸化第一鉄換算として10wt%、樹脂類として廃プラスチック(廃棄食品容器、廃棄アルミ蒸着フィルム等)を80wt%、その他の成分として木くず、紙くずを10wt%用いた。そして、これらの原料を1条スクリューを用いた2軸式の減容圧縮成形機に投入し、設定温度(成形温度)を140℃にして混錬しながら溶融を行った。その後、ダイスから押し出されてくる溶融物を長さ5~10cm、直径3cmのペレットにカットして自然冷却することによって、比較例4の添加剤を作製した。
(比較例5、6)
樹脂類として廃プラスチック(廃棄食品容器、廃棄アルミ蒸着フィルム等)を80wt%、その他の成分として木くず、紙くずを20wt%用いた。そして、これらの原料を1条スクリューを用いた2軸式の減容圧縮成形機に投入し、設定温度(成形温度)を140℃にして混錬しながら溶融を行った。その後、ダイスから押し出されてくる溶融物を長さ5~10cm、直径3cmのペレットにカットして自然冷却することによって、比較例5、6の添加剤を作製した。
(比較例7)
鉄成分としてミルスケールを酸化第一鉄換算として30wt%、樹脂類として廃プラスチック(廃棄食品容器、廃棄アルミ蒸着フィルム等)を50wt%、その他の成分として木くず、紙くずを20wt%用いた。そして、これらの原料を1条スクリューを用いた2軸式の減容圧縮成形機に投入し、設定温度(成形温度)を140℃にして混錬しながら溶融を行った。
しかしながら、その後、ダイスから溶融物を押し出そうとしたものの押し出すことができず、成型品を作製することができなかった。
次に、実施例および比較例の添加剤について各評価を行った。なお、実施例2、比較例2~6の添加剤については、混錬度合の評価と、加熱試験による耐崩壊性の評価のみを行った。
(混錬度合の評価)
混錬度合については、真密度と嵩密度を測定することによって評価した。具体的には、真密度についてはピクノメーター法によって測定した数値を用いて評価を行った。嵩密度については寸法および重量に基づいて算出した値を用いて評価を行った。
(強度の評価)
添加剤の強度については、JIS B 7721に準拠した圧縮試験機(三洋試験機工業株式会社製)を用い、JIS A 1108に準拠して測定した圧潰強度(最大荷重および平均値)を用いて評価した。なお、測定条件は以下のとおりである。
ロードセル:20KN
圧縮板:直径150mm金属製円板
測定速度:1mm/min
測定環境(温度):22℃
測定環境(湿度):51%
(耐崩壊性の評価)
耐崩壊性については、2つの試験(ドラムインロール試験と加熱試験)による評価を行った。
ドラムインロール試験については、試料を入れた厚さ9mm、内径1500mm、内のりの長さ1500mmの鋼製ドラムを30rpm×15minの条件で回転させた後、以下の計算式によって算出したDI値に基づいて評価を行った。
DI値(%)=((回転後の塊状状態の試料重量)/(投入時の試料重量))×100
加熱試験については、試料を所定温度の加熱炉に入れ、所定時間経過後の自然崩壊の状態を目視によって評価した。具体的な条件は以下のとおりである。
加熱条件1:800℃×30分
加熱条件2:800℃×60分
加熱条件3:900℃×60分
加熱条件4:1000℃×60分
(発熱量の評価)
発熱量については、高位発熱量と低位発熱量を測定することによって評価した。
結果を表1、2および図1、2に示す。
その結果、実施例の添加剤は高い混錬度合を示した。具体的には、真密度および嵩密度とも高い値を示した。さらに、真密度と嵩密度との差も小さく(真密度と嵩密度との比も高く)、強固でより締まった状態の添加剤となっていることが確認できた。そしてその結果、高い圧潰強度を示すことが確認できた。
また、DI値も高いことから機械的強度が高いことが確認できた。
さらに、加熱試験後の目視においても形状が変化し難いことから、比較例の添加剤に比べて、より長い時間、形状を保った状態で系内(溶銑)に沈降させることができること、すなわち、長時間に渡って、加炭効果や昇熱効果やフォーミング抑制効果を持続させることができることが確認できた。具体的には、実施例1の添加剤を例にとると、図1に示すように、全ての温度域において加熱後の自然崩壊を抑制することができることが確認できた。なお、実施例2の添加剤についても、図1と同様に、全ての温度域において温度による自然崩壊を抑制することができることが確認できた。
さらに、発熱量についても比較例と同等以上の発熱量を示したことから、昇温材(特に、無煙炭代替品)として使用することが可能であることが確認できた。
一方、比較例の添加剤は、全ての評価項目において実施例よりも劣る結果となった。
具体的には、比較例1の添加剤(従来品)は、真密度は高いものの嵩密度が低いことから締まった状態の添加剤とはならず、その結果、実施例1、2の添加剤に比べて圧潰強度が著しく低くなった。そして、その結果、DI値も低くなり、実施例1、2の添加剤に比べて脆い添加剤となってしまった。また、耐崩壊性の評価においても、図2に示すように、全ての温度域において加熱後に自然崩壊を起こしてしまった。
比較例2~6の添加剤については、真密度と嵩密度ともに低いことから、弱く且つ脆い添加剤となった。また、比較例5、6の添加剤については、鉄成分が配合されていないことから、混錬・溶融した後においても均一な混錬状態(いわゆる締まった状態の添加剤)とはならず、真密度と嵩密度ともに数値のバラつきが大きい物となった。なお、比較例5の添加剤については、真密度と嵩密度との差(0.29)が本願発明の数値範囲の範囲内となったが、真密度および嵩密度の数値自体が低いことから、弱く且つ脆い添加剤となった。
さらに、比較例2~6の添加剤についても、図2と同様に、全ての温度域において加熱後に自然崩壊を起こしてしまった。
本発明の添加剤は製鋼工程または製鉄工程に用いることができる。

Claims (3)

  1. 鉄と、樹脂類を主成分し、前記鉄の含有率が30~50wt%であり、前記樹脂類の含有率が50~70wt%である製鋼用または製鉄用添加剤であって、
    圧潰強度が80000N以上であり、
    真密度が1.4g/cm以上で且つ嵩密度が1.1g/cm以上であることを特徴とする製鋼用または製鉄用添加剤
  2. 鉛の含有量が検出限界以下であることを特徴とする請求項1に記載の製鋼用または製鉄用添加剤。
  3. 前記樹脂類が廃プラスチックであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の製鋼用または製鉄用添加剤。
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