以下、発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、各図面において共通の部分は同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
(第1実施形態)
本実施形態においては、ぬれ性の低いマスクパターンを用いて所望の形状を有する膜パターンを形成する工程を、図1を用いて示す。なお、本実施形態で示すマスクパターンは、膜パターンを形成するために用いるマスクパターンである。
図1(A)に示すように、基板101上に、第1の膜102を成膜する。この上に、液滴吐出法、インクジェット法等によりぬれ性の低い第1のマスクパターン103を形成する。ここでは、マスクパターンの形成方法として液滴吐出法を用いる。
基板101としては、ガラス基板、石英基板、アルミナなど絶縁物質で形成される基板、後工程の処理温度に耐え得る耐熱性を有するプラスチック基板、シリコンウェハ、金属板等を用いることができる。この場合、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y)など、基板側から不純物などの拡散を防止するための絶縁膜を形成しておくことが望ましい。また、ステンレスなどの金属または半導体基板などの表面に酸化シリコンや窒化シリコンなどの絶縁膜を形成した基板なども用いることができる。また、基板101として、320mm×400mm、370mm×470mm、550mm×650mm、600mm×720mm、680mm×880mm、1000mm×1200mm、1100mm×1250mm、1150mm×1300mmのような大面積基板を用いることができる。ここでは、基板101としてガラス基板を用いる。
なお、基板101にプラスチック基板を用いる場合、PC(ポリカーボネート)、PES(ポリエチレンスルホン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)もしくはPEN(ポリエチレンナフタレート)等のガラス転移点が比較的高いものを用いることが好ましい。
第1の膜102としては、スパッタリング法、蒸着法、CVD法、塗布法等により形成された絶縁膜、導電膜、半導体膜のいずれをも用いることができる。絶縁膜で形成される第1の膜102は、公知の無機絶縁材料、又は有機絶縁材料を適宜用いる。代表例としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、アクリル、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、ポリシラザン系SOGや、シリケート系SOG(Spin on Glass)、アルコキシシリケート系SOG、シロキサンポリマーに代表されるSi−CH3結合を有するSiO2等を、液滴吐出法、塗布法、印刷法により形成することができる。また、窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化珪素等をPVD法(Physical Vapor Deposition)、CVD法(Chemical Vapor Deposition)、熱酸化法により形成することができる。また、Ag、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Ba等の金属酸化物を、蒸着法、陽極酸化法等により形成することができる。ここでは、スパッタリング法により酸化珪素膜を成膜する。
導電膜で形成される第1の膜102の材料としては、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Ba等の金属又はその合金、若しくはその金属窒化物、さらには透明導電膜として用いられる酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)、酸化珪素を含む酸化インジウムスズ、有機インジウム、有機スズ等の材料を適宜用いて形成することができる。また、1〜20%のニッケルを含むアルミニウムを用いることができる。ここでは、第1の導電膜をアルミニウムで形成する。
半導体膜で形成される第1の膜102の材料としては、シリコン、シリコン・ゲルマニウム(SiGe)等を用いた非晶質半導体、非晶質状態と結晶状態とが混在したセミアモルファス半導体、非晶質半導体中に0.5nm〜20nmの結晶粒を観察することができる微結晶半導体、及び結晶性半導体から選ばれたいずれの状態を有する膜を形成することができる。また、ポリチエニレンビニレン、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)、ポリアセチレン、ポリアセチレン誘導体、ポリアリレンビニレンなどの有機半導体材料を用いて形成しても良い。
ここでは、第1の膜として、酸化珪素膜をCVD法により形成する。
第1のマスクパターンは、後に形成する膜パターンを形成するためのマスクとして機能する。このため、ぬれ性が低いことが好ましい。
第1のマスクパターン103の形成方法としては、所定の場所にぬれ性の高い絶縁膜を形成し、該表面にフッ素プラズマを照射して形成する。また、誘電体が設けられた電極を用意し、誘電体が空気、酸素又は窒素を用いたプラズマに曝されるようにプラズマを発生させてプラズマ処理を行うことができる。この場合、誘電体が電極表面全体を覆う必要はない。誘電体としては、フッ素系樹脂を用いることができる。フッ素系樹脂を用いる場合、絶縁膜表面にCF2結合が形成されることにより表面改質が行われ、ぬれ性が低下する。
絶縁膜の材料として、ポリビニルアルコール(PVA)のような水溶性樹脂を、H2O等の溶媒に混合した材料を用いることができる。また、PVAと他の水溶性樹脂を組み合わせて使用してもよい。また、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド(ナイロン)、フラン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、レジスト等の有機樹脂などを用いることができる。
絶縁膜の作製方法としては、液滴吐出法、スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷等が挙げられ、これらにより所定の領域に形成することができる。
また、第1のマスクパターン103は、ぬれ性の低い材料を塗布又は吐出して形成することができる。ぬれ性の低い材料の代表例としては、フッ化炭素鎖を有する化合物が挙げられる。フッ化炭素鎖を有する化合物の組成物の一例としては、Rn−Si−X(4−n)(n=1、2、3)の化学式で表されるシランカップリング剤が挙げられる。ここで、Rは、アルキル基などの比較的不活性な基を含む物である。また、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基又はアセトキシ基など、基質表面の水酸基あるいは吸着水との縮合により結合可能な加水分解基からなる。
また、シランカップリング剤の代表例として、Rにフルオロアルキル基を有するフッ素系シランカップリング剤(フルオロアルキルシラン(FAS))を用いることにより、ぬれ性を低下させることができる。FASのRは、(CF3)(CF2)x(CH2)y(x:0以上10以下の整数、y:0以上4以下の整数)で表される構造を持ち、複数個のR又はXがSiに結合している場合には、R又はXはそれぞれすべて同じでも良いし、異なっていてもよい。代表的なFASとしては、ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシルトリクロロシラン、トリデカフルオロテトラヒドロオクチルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシラン(以下、FASという。)が挙げられる。
ぬれ性の低い溶媒としては、nーペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの炭化水素系溶媒又はテトラヒドロフランなどを用いる。
また、ぬれ性の低い材料の組成物の一例として、フッ化炭素鎖を有する材料(フッ素系樹脂)を用いることができる。フッ素系樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;四フッ化エチレン樹脂)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA;四フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)、パーフルオロエチレンプロピレンコーポリマー(PFEP;四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE;四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF;フッ化ビニリデン樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE;三フッ化塩化エチレン樹脂)、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE;三フッ化塩化エチレン−エチレン共重合樹脂)、ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー(TFE/PDD)、ポリビニルフルオライド(PVF;フッ化ビニル樹脂)等を用いることができる。
続いて、ぬれ性の低い材料が付着した表面をエタノール洗浄すると、極めて膜厚が薄くぬれ性の低い第1のマスクパターンを形成することができる。
微細な形状を有する膜パターンを形成する場合、図7(A)に示すように、第1の膜102上に形成する第1のマスクパターン103の形状は、閉曲線状のものが好ましい。この場合、図7(B)に示すように閉曲線状のマスクパターンの内側に、ぬれ性の高い材料111を吐出し、乾燥または焼成を行う。この結果、図7(C)に示すように、任意の形状でぬれ性の高い膜パターン121を形成することができる。図7(C)において、マスクパターンは除去され、薄膜表面上にマスクパターンの組成物122が残存している。
液滴吐出手段に用いるノズルの径は、0.1〜50μm(好適には0.6〜26μm)に設定し、ノズルから吐出される組成物の吐出量は0.00001pl〜50pl(好適には0.0001〜10pl)に設定する。この吐出量は、ノズルの径の大きさに比例して増加する。また、被処理物とノズル吐出口との距離は、所望の箇所に滴下するために、できる限り近づけておくことが好ましく、好適には0.1〜2mm程度に設定する。
なお、液滴吐出法に用いる組成物の粘度は300mPa・s以下が好適であり、これは、乾燥が起こることを防止し、吐出口から組成物を円滑に吐出できるようにするためである。なお、用いる溶媒や用途に合わせて、組成物の粘度、表面張力等は適宜調整するとよい。
次に、図1(B)に示すように、第1の膜102上であって、且つ第1のマスクパターン103の間に、第1のマスクパターンと比較してぬれ性の高い材料111を塗布する。
ここで、図29を用いてぬれ性の低い領域とぬれ性の高い領域の関係について示す。ぬれ性の低い領域103とは、図29に示すように、第1の膜102表面において液体の接触角θ1が大きい領域である。この表面上では液体は、半球状にはじかれる。一方、ぬれ性の高い領域104(図1(B)では、ぬれ性の高い材料111で形成される領域)は、第1の膜102表面において液体の接触角θ2が小さい領域である。この表面上では、液体はぬれ広がる。
このため、接触角の異なる二つの領域が接している場合、相対的に接触角の小さい領域がぬれ性が高い領域となり、接触角の大きい方の領域がぬれ性が低い領域となる。この二つの領域上に溶液を塗布又は吐出した場合、溶液は、ぬれ性が高い領域表面にぬれ広がり、ぬれ性が低い領域との界面で半球状にはじかれる。
ぬれ性の低い領域の接触角θ1とぬれ性の高い領域の接触角θ2の差は、30度、望ましくは40度以上であることが好ましい。この結果、ぬれ性の低い領域の表面でぬれ性の高い領域の材料が半球状にはじかれ、自己整合的に各マスクパターンを形成することが可能である。このため、第1のマスクパターン103の形成方法及び材料で列挙されたものの中で、互いの接触角の差が30度、望ましくは40度以上の場合、接触角の小さい材料で形成された領域はぬれ性の高い領域となり、接触角の大きい材料で形成された領域はぬれ性の低い領域となりうる。同様に、後にぬれ性の高い材料111として列挙されるものの中で、互いの接触角の差が30度、望ましくは40度以上の場合、接触角の小さい材料で形成された領域はぬれ性の高い領域となり、接触角の大きい材料で形成された領域はぬれ性の低い領域となりうる。
なお、表面が凹凸を有する場合、ぬれ性が低い領域ではさらに接触角が増大する。即ち、ぬれ性がより低下する。一方、ぬれ性が高い領域では、さらに接触角が低下する。即ち、ぬれ性がより向上する。このため、凹凸を有する各表面上にぬれ性の低い材料とぬれ性の高い材料を塗布又は吐出し、焼成することにより、端部が均一な膜を形成することができる。
ぬれ性の高い材料111としては、第1のマスクパターンと比較してぬれ性の高い絶縁材料、導電材料、及び半導体材料を適宜用いることができる。絶縁材料の代表例として、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド(ナイロン)、フラン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の有機樹脂、シロキサンポリマー、ポリシラザン、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、を用いることができる。
また、水、アルコール系、エーテル系、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスファミド、クロロホルム、塩化メチレン等の極性溶媒を用いた溶液を用いることもできる。
また、導電材料の代表例として、導電体を溶媒に溶解又は分散させたものを用いることができる。導電体としては、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Ba等の金属、又はハロゲン化銀の微粒子や分散性ナノ粒子を用いることができる。または、透明導電膜として用いられるITO、酸化珪素を含むITO、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛(ZnO)、窒化チタン(TiN:Titanium Nitride)等を用いることができる。
さらには、上記導電体の複数が溶解又は分散された導電体を用いることもできる。
また、半導体材料の代表例として、有機半導体材料を用いることができる。有機半導体材料としては、その骨格が共役二重結合から構成されるπ電子共役系の高分子材料が望ましい。代表的には、ポリチオフェン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリチオフェン誘導体、ペンタセン等の可溶性の高分子材料を用いることができる。
第1のマスクパターンと比較してぬれ性の高い材料を塗布する方法としては、液滴吐出法、インクジェット法、スピンコート法、ロールコート法、スロットコート法等を適用することができる。
次に、図1(C)に示すように、第1のマスクパターンと比較してぬれ性の高い材料を乾燥、焼成して膜パターン121を形成する。この結果、ぬれ性の高い材料が絶縁材料の場合、膜パターンは所望の形状を有する絶縁膜となる。また、ぬれ性の高い材料が導電材料の場合、膜パターンは所望の形状を有する導電膜となる。また、ぬれ性の高い材料が半導体材料の場合、膜パターンは所望の形状を有する半導体膜となる。なお、該工程において、第1のマスクパターンの溶媒は蒸発し、組成物は第1の膜102の表面に残存又は膜中に浸透する。なお、第1の膜表面に残存した組成物は、酸素を用いたアッシング、ウエットエッチング、ドライエッチング等の公知のエッチング方法により除去することができる。図1(C)においては、122は、第1の膜中に浸透したマスクパターンの組成物を示す。この工程において、乾燥及び焼成は適宜ぬれ性の高い材料にあわせて行えばよい。
なお、上記の工程に代えて、第1のマスクパターンの溶媒を乾燥した後、適宜ぬれ性の高い材料を塗布してもよい。すなわち、図24(A)に示すように、第1の膜102上にぬれ性の低い材料を用いて第1のマスクパターン103を形成した後、図24(B)に示すように、第1のマスクパターンを乾燥する。このとき、第1のマスクパターンの組成物は第1の膜102の表面に残存又は膜中に浸透する。図24(B)において、122は、第1の膜にマスクパターンの組成物が浸透した領域である。次に、図24(C)に示すように、第1のマスクパターンと比較してぬれ性の高い材料121を塗布する。この場合は、第1のマスクパターンが形成されていた領域には、第1のマスクパターンの組成物122が残存しているため、図24(C)に示すように、第1のマスクパターンと比較してぬれ性の高い材料は弾かれ、選択的に塗布される。この後、第1のマスクパターンと比較してぬれ性の高い材料を、適宜乾燥又は焼成することで膜パターン121が形成される。
以上の工程により、公知のフォトリソグラフィー工程を用いずとも、所望の形状を有する膜パターンを形成することができる。このため、作製工程数を大幅に削減することが可能である。
(第2実施形態)
本実施形態においては、撥液表面を形成する材料で形成されるマスクパターンを用いて所望の形状を有する膜パターンを形成する工程を、図32を用いて示す。なお、本実施形態で示すマスクパターンは、膜パターンを形成するために用いるマスクパターンである。
図32(A)に示すように、基板1001上に、第1の膜1002を成膜する。この上に、液滴吐出法、インクジェット法等により保護膜(第1のマスクパターン)1003を形成する。ここでは、マスクパターンの形成方法として液滴吐出法を用いる。第1の膜1002としては、親液表面を有する膜であることが好ましい。なお、基板1001表面が親液性を示す場合、第1の膜は成膜する必要はない。
基板1001としては、ガラス基板、石英基板、アルミナなど絶縁物質で形成される基板、後工程の処理温度に耐え得る耐熱性を有するプラスチック基板、シリコンウェハ、金属板等を用いることができる。この場合、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y)など、基板側から不純物などの拡散を防止するための絶縁膜を形成しておくことが望ましい。また、ステンレスなどの金属または半導体基板などの表面に酸化シリコンや窒化シリコンなどの絶縁膜を形成した基板なども用いることができる。
第1のマスクパターン1003としては、撥液表面を形成する溶液を用いて形成する。撥液表面を形成する溶液の組成物の一例としては、Rn−Si−X(4−n)(n=1、2、3)の化学式で表されるシランカップリング剤を用いる。ここで、Rは、アルキル基などの比較的不活性な基を含む物である。また、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基又はアセトキシ基など、基質表面の水酸基あるいは吸着水との縮合により結合可能な加水分解基からなる。
また、シランカップリング剤の代表例として、Rにフルオロアルキル基を有するフッ素系シランカップリング剤(フルオロアルキルシラン(FAS))を用いることにより、より撥液性を高めることができる。FASのRは、(CF3)(CF2)x(CH2)y(x:0以上10以下の整数、y:0以上4以下の整数)で表される構造を持ち、複数個のR又はXがSiに結合している場合には、R又はXはそれぞれすべて同じでも良いし、異なっていてもよい。代表的なFASとしては、ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシルトリクロロシラン、トリデカフルオロテトラヒドロオクチルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシラン(以下、FASという。)が挙げられる。
撥液表面を形成する溶液の溶媒としては、nーペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの炭化水素系溶媒又はテトラヒドロフランなど、撥液表面を形成する溶媒を用いる。
また、撥液表面を形成する溶液の組成物の一例として、フッ素炭素鎖を有する材料(フッ素系樹脂)を用いることができる。フッ素系樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;四フッ化エチレン樹脂)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA;四フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)、パーフルオロエチレンプロピレンコーポリマー(PFEP;四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE;四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF;フッ化ビニリデン樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE;三フッ化塩化エチレン樹脂)、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE;三フッ化塩化エチレン−エチレン共重合樹脂)、ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー(TFE/PDD)、ポリビニルフルオライド(PVF;フッ化ビニル樹脂)等を用いることができる。
また、マスクパターンとして撥液表面を形成しない(即ち、親液表面を形成する)有機物を用い、後にCF4プラズマ等による処理を行って、撥液表面を形成してもよい。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)のような水溶性樹脂を、H2O等の溶媒に混合した材料を用いることができる。また、PVAと他の水溶性樹脂を組み合わせて使用してもよい。さらには、マスクパターンが撥液表面を有する場合であっても、該プラズマ処理等を行うことによって、撥液性をより向上させることができる。
微細な形状を有する膜を形成する場合、図33(A)に示すように、親液表面を有する第1の膜1002上に形成する第1のマスクパターン1003の形状は、閉曲線状のものが好ましい。この場合、図33(B)に示すように閉曲線状のマスクパターンの内側に、後に示す第2の溶液1011を吐出し、乾燥または焼成を行う。この結果、図33(C)に示すように、任意の形状の膜パターン1021を形成することができる。図33(C)において、マスクパターンは除去され、親液性を有する表面上にマスクパターンの組成物1022が残存している。
液滴吐出手段に用いるノズルの径は、0.1〜50μm(好適には0.6〜26μm)に設定し、ノズルから吐出される組成物の吐出量は0.00001pl〜50pl(好適には0.0001〜10pl)に設定する。この吐出量は、ノズルの径の大きさに比例して増加する。また、被処理物とノズル吐出口との距離は、所望の箇所に滴下するために、できる限り近づけておくことが好ましく、好適には0.1〜2mm程度に設定する。
なお、液滴吐出法に用いる組成物の粘度は300mPa・s以下が好適であり、これは、乾燥が起こることを防止し、吐出口から組成物を円滑に吐出できるようにするためである。なお、用いる溶媒や用途に合わせて、組成物の粘度、表面張力等は適宜調整するとよい。
次に、図32(B)に示すように、第1のマスクパターン1003の間に、第2の溶液1011を塗布する。第2の溶液としては、親液性を有する溶液が挙げられる。親液性を有する溶液の代表例としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド(ナイロン)、フラン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の有機樹脂、シロキサン、ポリシラザンを用いることができる。また、水、アルコール系、エーテル系、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスファミド、クロロホルム、塩化メチレン等の極性溶媒を用いた溶液を用いることもできる。第2の溶液を塗布する方法としては、液滴吐出法、インクジェット法、スピンコート法、ロールコート法、スロットコート法等を適用することができる。
次に、図32(C)に示すように、第2の溶液1011を乾燥、焼成して膜パターン1021を形成する。なお、該工程において、マスクパターンの溶媒は蒸発し、組成物は第1の膜1002の表面に残存又は膜中に浸透する。なお、第1の膜表面に残存した組成物は、酸素を用いたアッシング、ウエットエッチング、ドライエッチング等の公知のエッチング方法により除去することができる。図32(C)においては、1022は、第1の膜中に浸透したマスクパターンの組成物を示す。この工程において、乾燥及び焼成は適宜第2の溶液の材料にあわせて行えばよい。
なお、上記の工程に代えて、第1のマスクパターンの溶媒を乾燥した後、第2の溶液を塗布してもよい。すなわち、図34(A)に示すように、第1の膜1002上に撥液表面を形成する溶液を用いて第1のマスクパターン1003を形成した後、図34(B)に示すように、第1のマスクパターンを乾燥する。このとき、マスクパターンの組成物は第1の膜1002の表面に残存又は膜中に浸透する。図34(B)において、1022は、第1の膜にマスクパターンの組成物が浸透した領域である。次に、図34(C)に示すように、親液性の第2の溶液1011を塗布する。この場合は、マスクパターンが形成されていた領域には、第1のマスクパターンの組成物1022が残存しているため、図34(C)に示すように、第2の溶液は、弾かれ選択的に塗布される。この後、第2の溶液1011を、適宜乾燥、焼成して第2の膜パターン1021を形成する。
以上の工程により、公知のフォトリソグラフィー工程を用いずとも、所望の形状を有する膜パターンを形成することができる。このため、作製工程数を大幅に削減することが可能である。
(第3実施形態)
以下の実施形態及び実施例においては、第1実施形態を用いて説明する。しかしながら、適宜第2実施形態を適用することが可能である。
本実施形態においては、ぬれ性の低い第1のマスクパターン及びぬれ性の高い第2のマスクパターンを用いて所望の形状を有する膜パターンを形成する工程を、図2を用いて示す。なお、本実施形態で示す第1のマスクパターンは、第2のマスクパターンを形成するために用いるマスクパターンであり、第2のマスクパターンはエッチング用マスクパターンである。
図2(A)に示すように、第1の基板101上に第1の膜201を形成し、第1の膜201上に第2の膜202を形成する。第1の膜の材料としては、適宜用いることができる。また、第2の膜としては、第1実施形態の第1の膜102と同様の材料を用いることができる。
次に、第2の膜202上に、液滴吐出法によりぬれ性の低い材料を塗布してぬれ性の低い第1のマスクパターン103を形成する。このとき、ぬれ性の低い材料に適宜あわせて、ぬれ性の低い材料を乾燥及び焼成する。
次に、図2(B)に示すように、ぬれ性の高い材料を塗布して、ぬれ性の高い第2のマスクパターン212を形成する。ぬれ性の高い材料は、ぬれ性の低い材料と比較してぬれ性が高いため、第1のマスクパターン103と接触した部分が弾かれ、図2(B)に示すように、第1のマスクパターンが形成されていない領域にぬれ性の高い材料が塗布される。ぬれ性の高い材料を塗布する方法としては、液滴吐出法、インクジェット法、スピンコート法、ロールコート法、スロットコート法等を適用することができる。この後、必要に応じてぬれ性の高い材料を乾燥し焼成する。この結果、エッチング用マスクパターンである第2のマスクパターン212を形成することができる。
次に、図2(C)に示すように、第1のマスクパターン103を除去する。本実施形態では、アッシングにより第1のマスクパターン103を除去する。この後、第2の膜の露出した領域をドライエッチング、ウエットエッチング等の公知の手法によりエッチングして、所望の形状を有する膜パターン221を形成することができる。なお、第1のマスクパターンが柱状又は円柱状である場合、膜パターンは、コンタクトホールを有する膜となる。
なお、図2(D)に示すように、第2のマスクパターン212を除去し、所望の形状を有する膜パターン221を露出してもよい。
以上の工程により、公知のフォトリソグラフィー工程を用いずとも、マスクパターンを形成することができる。このため、従来より少ない工程数で膜を所望の形状にエッチングすることが可能である。また、従来より少ない工程数で、膜パターン又は良好なコンタクトホールを形成することも可能である。
(第4実施形態)
以下、半導体素子の作製方法について示す。なお、以下の実施形態では、半導体素子としてTFTを用いて説明するが、これに限定されるものではなく、有機半導体トランジスタ、ダイオード、MIM素子、記憶素子、ダイオード、光電変換素子、容量素子、抵抗素子等を用いることができる。
本実施形態では、本発明を用いて半導体素子として逆スタガ型TFTの代表例としてチャネルエッチ型TFTを形成する工程を、図3を用いて説明する。
図3(A)に示すように、基板101上にゲート電極301を形成する。ゲート電極の形成方法としては、液滴吐出法、印刷法、電界メッキ法、PVD法、CVD法を用いて導電膜を形成する。なお、PVD法またはCVD法を用いて導電膜を形成する場合、第3実施形態の手法またはフォトリソグラフィー工程によって、導電膜上にマスクパターンを形成し、所望の形状にエッチングしてゲート電極を形成する。本実施形態においては、液滴吐出法を用いて、基板101上に導電材料を含む組成物を選択的に吐出する。この場合、マスクパターンを用いたエッチング工程が不要となるので、作製工程を大幅に簡略化することができる。
液滴吐出法でゲート電極を形成する場合、吐出口から吐出する組成物は、第1実施形態でぬれ性の低い材料に列挙した導電体を溶媒に溶解又は分散させたものを用いることができる。また、導電膜を積層してゲート電極301を形成することができる。
なお、吐出口から吐出する組成物は、比抵抗値を考慮して、金、銀、銅のいずれかの材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いることが好ましい。より好ましくは、低抵抗且つ安価な銀又は銅を用いるとよい。但し、銅を用いる場合には、不純物対策のため、合わせてバリア膜を設けるとよい。溶媒は、酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤等を用いればよい。
ここで、銅を配線として用いる場合のバリア膜としては、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化タンタル(TaN:Tantalum Nitride)など窒素を含む絶縁性又は導電性の物質を用いると良く、これらを液滴吐出法で形成しても良い。
なお、液滴吐出法に用いる組成物の粘度は5〜20mPa・sが好適であり、これは、乾燥が起こることを防止し、吐出口から組成物を円滑に吐出できるようにするためである。また、表面張力は40mN/m以下が好ましい。なお、用いる溶媒や用途に合わせて、組成物の粘度等は適宜調整するとよい。一例として、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)、酸化珪素を含む酸化インジウムスズ、有機スズを溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜20mPa・s、銀を溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜20mPa・s、金を溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は10〜20mPa・sである。
各ノズルの径や所望のパターン形状などに依存するが、ノズルの目詰まり防止や高精細なパターンの作製のため、導電体の粒子の径はなるべく小さい方が好ましく、好適には粒径0.1μm以下が好ましい。組成物は、電解法、アトマイズ法又は湿式還元法等の公知の方法で形成されるものであり、その粒子サイズは、一般的に約0.5〜10μmである。ただし、ガス中蒸発法で形成すると、分散剤で保護されたナノ分子は約7nmと微細であり、またこのナノ粒子は、被覆剤を用いて各粒子の表面を覆うと、溶剤中に凝集がなく、室温で安定に分散し、液体とほぼ同じ挙動を示す。したがって、被覆剤を用いることが好ましい。
組成物を吐出する工程は、減圧下で行っても良い。これは、組成物を吐出して被処理物に着弾するまでの間に、該組成物の溶媒が揮発し、後の乾燥と焼成の工程を省略又は短くすることができるためである。溶液の吐出後は、溶液の材料により、常圧下又は減圧下で、レーザ光の照射や瞬間熱アニール、加熱炉等により、乾燥と焼成の一方又は両方の工程を行う。乾燥と焼成の工程は、両工程とも加熱処理の工程であるが、例えば、乾燥は100度で3分間、焼成は200〜350度で15分間〜120分間で行うもので、その目的、温度と時間が異なるものである。乾燥と焼成の工程を良好に行うためには、基板を加熱しておいてもよく、そのときの温度は、基板等の材質に依存するが、100〜800度(好ましくは200〜350度)とする。本工程により、溶液中の溶媒の揮発又は化学的に分散剤を除去し、周囲の樹脂が硬化収縮することで、融合と融着を加速する。雰囲気は、酸素雰囲気、窒素雰囲気又は空気で行う。但し、金属元素を分解又は分散している溶媒が除去されやすい酸素雰囲気下で行うことが好適である。
なお、液滴吐出法により形成した導電膜は、導電体である微粒子が3次元に不規則に重なり合って形成されている。即ち、3次元凝集体粒子で構成されている。このため、表面は微細な凹凸を有する。また、導電膜の温度及びその加熱時間により、微粒子が溶融し微粒子の集合体となる。このときの集合体の大きさは、導電膜の温度及びその加熱時間により増大するため、表面の高低差が大きい膜となる。なお、微粒子が溶融した領域は、多結晶構造となる場合もある。
また、加熱温度、雰囲気、時間により導電膜には、有機物で形成されるバインダーが残存する。
レーザ光の照射は、連続発振またはパルス発振の気体レーザ又は固体レーザを用いれば良い。前者の気体レーザとしては、エキシマレーザ、YAGレーザ等が挙げられ、後者の固体レーザとしては、Cr、Nd等がドーピングされたYAG、YVO4等の結晶を使ったレーザ等が挙げられる。なお、レーザ光の吸収率の関係から、連続発振のレーザを用いることが好ましい。また、パルス発振と連続発振を組み合わせた所謂ハイブリッドのレーザ照射方法を用いてもよい。但し、基板の耐熱性に依っては、レーザ光の照射による加熱処理は、数マイクロ秒から数十秒の間で瞬間に行うとよい。瞬間熱アニール(RTA)は、不活性ガスの雰囲気下で、紫外光乃至赤外光を照射する赤外ランプやハロゲンランプなどを用いて、急激に温度を上昇させ、数マイクロ秒から数分の間で瞬間的に熱を加えて行う。この処理は瞬間的に行うために、実質的に最表面の薄膜のみを加熱することができ、下層の膜には影響を与えないという利点がある。
次に、ゲート電極301にゲート絶縁膜302を形成する。ゲート絶縁膜302はプラズマCVD法またはスパッタリング法などの薄膜形成法を用い、窒化シリコン、酸化シリコン、その他の珪素を含む絶縁膜の単層又は積層構造で形成する。また、ゲート絶縁膜をゲート電極に接する側から、窒化珪素膜(窒化酸化珪素膜)、酸化珪素膜、及び窒化珪素膜(窒化酸化珪素膜)の積層構造とすることが好ましい。この構造では、ゲート電極が、窒化珪素膜と接しているため、酸化による劣化を防止することができる。
次に、ゲート絶縁膜302上に、第1の半導体膜303を形成する。第1の半導体膜303としては、非晶質半導体、非晶質状態と結晶状態とが混在したセミアモルファス半導体(SASとも表記する)、非晶質半導体中に0.5nm〜20nmの結晶粒を観察することができる微結晶半導体、及び結晶性半導体から選ばれたいずれの状態を有する膜で形成する。特に、0.5nm〜20nmの結晶を粒観察することができる微結晶状態はいわゆるマイクロクリスタル(μc)と呼ばれている。いずれも、シリコン、シリコン・ゲルマニウム(SiGe)等を主成分とする膜厚は、10〜60nmの半導体膜を用いること
ができる。
SASは、非晶質構造と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)との中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体である。また短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいる。そして少なくとも膜中の一部の領域には、0.5〜20nmの結晶領域を観測することができ、珪素を主成分とする場合にはラマンスペクトルが520cm−1よりも低波数側にシフトしている。X線回折では珪素結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。また未結合手(ダングリングボンド)の中和剤として、SASは水素或いはハロゲンを1原子%、又はそれ以上含んでいる。
SASは、珪化物気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的な珪化物気体としては、SiH4であり、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることができる。珪化物気体を水素、水素とヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種又は複数種の希ガス元素で希釈して用いることによりSASの形成を容易なものとすることができる。このとき希釈率が10倍〜1000倍の範囲となるように、珪化物気体を希釈すると好ましい。またSi2H6及びGeF4を用い、ヘリウムガスで希釈する方法を用いてSASを形成することができる。グロー放電分解による被膜の反応生成は減圧下で行うと好ましく、圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲で行えばよい。グロー放電を形成するための電力は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzの高周波電力を供給すればよい。基板加熱温度は300度以下が好ましく、100〜250度の基板加熱温度が推奨される。
また結晶性半導体膜は、非晶質半導体膜を加熱又はレーザ照射により結晶化して形成することができる。また、直接、結晶性半導体膜を形成してもよい。この場合、GeF4、又はF2等のフッ素系ガスと、SiH4、又はSi2H6等のシラン系ガスとを用い、熱又はプラズマを利用して直接、結晶性半導体膜を形成することができる。
次に、導電性を有する第2の半導体膜304を成膜する。導電性を有する第2の半導体膜304はnチャネル型のTFTを形成する場合には、15属の元素、代表的にはリンまたはヒ素を添加する。また、pチャネルTFTを形成する場合には、13属の元素、代表的にはボロンを添加する。第2の半導体膜は、珪化物気体にボロン、リン、ヒ素のような13属又は15属の元素を有する気体を加えたプラズマCVD法で成膜する。また、半導体膜を成膜したのち、13属または15属の元素を有する溶液を半導体膜上に塗布しレーザ光を照射して導電性を有する第2の半導体膜を形成することができる。レーザ光としては、公知のパルス発振のレーザ又は連続発振のレーザから照射されるレーザ光を適宜用いる。
次に、導電性を有する第2の半導体膜304の上に、第1のマスクパターン305を液滴吐出法により形成する。この第1のマスクパターン305は、耐熱性高分子材料を用いて形成することが好ましく、芳香環、複素環を主鎖にもち、脂肪族部分が少なく高極性のヘテロ原子基を含む高分子を用いることが好ましい。そのような高分子物質の代表例としてはポリイミド又はポリベンゾイミダゾールなどが挙げられる。ポリイミドを用いる場合には、ポリイミドを含む組成物を、ノズルから第2の半導体膜304上に吐出し、200℃で30分焼成して形成することができる。
次に、図3(B)に示すように、第1のマスクパターン305を用いて、第1の半導体膜303及び第2の半導体膜304をエッチングし、所望の形状を有する第1の半導体領域312及び第2の半導体領域313を形成する。エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6、NF3、CHF3などを代表とするフッ素系ガス、あるいはO2を用いることができる。第1のマスクパターン305は、エッチング後に除去する。
次に、第2の半導体領域313上に、ソース電極及びドレイン電極314を、導電材料を液滴吐出法によって吐出することにより形成する。導電材料としては、ゲート電極301に用いた材料と同様の材料を、溶媒に溶解又は分散させたものを用いることができる。ここでは、Agを含む組成物(以下「Agペースト」という。)を選択的に吐出し、上記に示すようなレーザ光照射又は熱処理による乾燥及び焼成を適宜行い膜厚600〜800nmの各電極を形成する。
なお、この焼成をO2雰囲気中で行うと、Agペースト内に含まれているバインー(熱硬化性樹脂)などの有機物が分解され、有機物をほとんど含まないAg膜を得ることができる。また、膜表面を平滑にすることができる。さらに、Agペーストを減圧下で吐出することにより、ペースト中の溶媒が揮発するため、後の加熱処理を省略、又は加熱処理時間を短縮することができる。
なお、ソース電極及びドレイン電極314は、導電膜を予めスパッタ法等によって成膜しておき、マスクパターンを液滴吐出法によって形成した後に、エッチングにより形成してもよい。このマスクパターンも、上述した材料を用いて形成することができる。
次に、図3(C)に示すように、ソース電極及びドレイン電極314をマスクとして、第2の半導体領域をエッチングして第1の半導体領域312を露出する。ここでは、エッチングして分断された第2の半導体領域を第3の半導体領域321と示す。なお、エッチング条件は、上で述べた条件を適宜適用する。また、本実施形態では、ソース電極及びドレイン電極を用いて第2の半導体領域をエッチングしたが、この工程に限定されるものではなく、上記に示したマスクパターンを形成して該半導体膜をエッチングしてもよい。
なお、第1の半導体領域312を、有機半導体材料を用い、印刷法、スプレー法、スピン塗布法、液滴吐出法などで形成することができる。この場合、上記エッチング工程が必要ないため、工程数を削減することが可能である。本発明に用いる有機半導体材料としては、その骨格が共役二重結合から構成されるπ電子共役系の高分子材料が望ましい。代表的には、ポリチオフェン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリチオフェン誘導体、ペンタセン等の可溶性の高分子材料を用いることができる。
その他にも本発明に用いることができる有機半導体材料としては、可溶性の前駆体を成膜した後で処理することにより第2の半導体領域を形成することができる材料がある。なお、このような前駆体を経由する有機半導体材料としては、ポリチエニレンビニレン、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)、ポリアセチレン、ポリアセチレン誘導体、ポリアリレンビニレンなどがある。
前駆体を有機半導体に変換する際には、加熱処理だけではなく塩化水素ガスなどの反応触媒を添加することがなされる。また、これらの可溶性有機半導体材料を溶解させる代表的な溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、クロロホルム、ジクロロメタン、γブチルラクトン、ブチルセルソルブ、シクロヘキサン、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、シクロヘキサノン、2−ブタノン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)または、THF(テトラヒドロフラン)などを適用することができる。
なお、第1の半導体領域312に有機半導体を用いた場合、第3の半導体領域321の代わりに、ポリアセチレン、ポリアニリン、PEDOT(poly−ethlyenedioxythiophen)、PSS(poly−styrenesulphonate)のような有機導電性材料で形成される導電膜を形成することができる。導電膜は、コンタクト層、又はソース電極及びドレイン電極として機能する。
また、第3の半導体領域321の代わりに、金属元素で形成される導電膜を用いることができる。この場合、多くの有機半導体材料が電荷を輸送する材料がキャリアとして正孔を輸送するp型半導体であることからその半導体膜とオーミック接触を取るために仕事関数の大きい金属を用いることが望ましい。
具体的には、金や白金、クロム、パラジウム、アルミニウム、インジウム、モリブデン、ニッケル等の金属又は合金等が望ましい。これらの金属又は合金材料を用いた導電性ペーストを用いて印刷法やロールコーター法、液滴吐出法で形成することができる。
さらには、有機半導体材料で形成される第1の半導体領域、有機導電性材料で形成される導電膜、及び金属元素で形成される導電膜を積層してもよい。
なお、第1の半導体領域312がSASで形成されている場合、本実施形態のように、ソース領域及びドレイン領域がゲート電極を覆っている構造のほかに、ソース領域及びドレイン領域の端部とゲート電極の端部が一致しているいわゆるセルフアライン構造とすることができる。さらには、ソース領域及びドレイン領域がゲート電極を覆わず、一定の距離を隔てて形成されている構造とすることができる。この構造の場合、オフ電流を低減することができるため、該TFTを表示装置のスイッチング素子として用いた場合、コントラストを向上させることができる。さらに、第2の半導体領が域複数のゲート電極を覆ういわゆるマルチゲート構造のTFTとしても良い。この場合も、オフ電流を低減することができる。
次に、ソース電極及びドレイン電極314上に、パッシベーション膜を成膜することが好ましい。パッシベーション膜は、プラズマCVD法又はスパッタリング法などの薄膜形成法を用い、窒化珪素、酸化珪素、窒化酸化珪素、酸化窒化珪素、酸化窒化アルミニウム、または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素(CN)、その他の絶縁性材料を用いて形成することができる。
次に、ぬれ性の低い第2のマスクパターン322を形成する。第2のマスクパターンは、後に形成される層間絶縁膜を形成するためのマスクパターンである。第2のマスクパターンは、第1実施形態に示される第1のマスクパターン103と同様の材料を用いて形成する。
次に、第2のマスクパターン以外の領域に、絶縁性材料を塗布してぬれ性の高い層間絶縁膜323を形成する。第2のマスクパターン322は層間絶縁膜323と比較してぬれ性が低く、所望の形状を有する層間絶縁膜が形成される。層間絶縁膜323の材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテル、ポリウレタン,シロキサンポリマー、ポリシラザンを適宜用いることができる。
次に、図3(D)に示すように、酸素を用いたアッシングにより第2のマスクパターン322を除去し、ソース電極及びドレイン電極314を露出する。なお、ソース電極及びドレイン電極上にパッシベーション膜を成膜した場合は、該パッシベーション膜も除去する。次に、ソース電極及びドレイン電極それぞれに接続する導電膜331を形成する。ここでは、液滴吐出法により導電材料を溶媒に溶解又は分散したペーストを吐出し、焼成して導電膜を形成する。導電膜の導電材料としては、ソース電極及びドレイン電極と同様の材料を用いることができる。なお、導電膜331は、接続配線又は画素電極として機能する。
以上の工程により、チャネルエッチ型TFTを作製することができる。
(第5実施形態)
本実施形態においては、チャネル保護型(チャネルストッパ型)TFTの作製工程について図4を用いて示す。
図4(A)に示すように、第4実施形態と同様に基板101上にゲート電極301、ゲート絶縁膜302、及び第1の半導体膜303を形成する。
次に、第1の半導体膜303上であって、且つゲート電極301に重畳する領域に保護膜401を形成する。形成方法及び材料は、第4実施形態に示す第1のマスクパターン305と同様のものを用いることができる。
次に、第4実施形態と同様に第2の半導体膜(導電性を有する半導体膜)304を成膜する。次に、第1のマスクパターン305を第4実施形態と同様に形成する。
次に、図4(B)に示すように、第1のマスクパターンを用いて、第1の半導体膜をエッチングして第1の半導体領域312を形成し、第2の半導体膜をエッチングして、第2の半導体領域313を形成する。次に、第2の半導体領域313上にソース電極及びドレイン電極314を形成する。
次に、図4(C)に示すように、ソース電極及びドレイン電極314をマスクとして、第2の半導体領域をエッチングして保護膜401を露出させると共に、第2の半導体膜を分断し、ソース領域及びドレイン領域321を形成する。なお、本実施形態では、ソース電極及びドレイン電極を用いて第2の半導体膜をエッチングしたが、この工程に限定されるものではなく、上記に示した第1のマスクパターンと同様にマスクを形成して該半導体
膜を選択的にエッチングしてもよい。
次に、図4(D)に示すように、ソース電極及びドレイン電極314上にパッシベーション膜を成膜する。次に、ぬれ性の低い第2のマスクパターン322を形成した後、ぬれ性の高い絶縁材料を用いて層間絶縁膜323を形成する。
次に、図4(E)に示すように、第2のマスクパターン322を除去した後、第4実施形態と同様にソース電極及びドレイン電極314に接続する導電膜331を形成する。
以上の工程により、チャネル保護型TFTを形成することができる。保護膜401はチャネル保護膜として機能するため、不純物が添加された半導体膜をエッチングする際、チャネル領域となる第1の半導体領域のオーバーエッチング等による損傷を防止することができる。これによって、安定した特性で高移動度化が可能なTFTを得ることができる。
(第6実施形態)
本実施形態においては、順スタガ型TFTの作製工程について図5を用いて示す。
図5(A)に示すように、基板101上にソース電極及びドレイン電極501を形成する。ソース電極及びドレイン電極501の材料は、第4実施形態に示したソース電極及びドレイン電極314と同様のものを適宜用いる。形成方法としては、液滴吐出法、印刷法、電界メッキ法、PVD法、CVD法を用いる。なお、PVD法またはCVD法を用いた場合、第3実施形態の手法またはフォトリソグラフィー工程によって、マスクパターンを形成し、所望の形状にエッチングする。
次に、13属又は15属の不純物を有する導電性を有する第1の半導体膜502を成膜する。第1の半導体膜502は、第4実施形態の第2の半導体膜303と同様の形成方法を適宜適用する。次に、ソース電極及びドレイン電極501の間及びソース電極及びドレイン電極上の第1の半導体膜502の一部をエッチングするための第1のマスクパターン503を形成する。第1のマスクパターンは、第4実施形態の第1のマスクパターン305と同様の材料及び作製方法を適宜用いて形成する。
次に、図5(B)に示すように、第1のマスクパターン503により第1の半導体膜を公知の手法によりエッチングしてソース領域及びドレイン領域511を形成する。次に、第2の半導体膜512及びゲート絶縁膜513を順次成膜する。第2の半導体膜512及びゲート絶縁膜513はそれぞれ、第4実施形態に示した第1の半導体膜303及びゲート絶縁膜302の材料及び作製方法を適宜用いる。
次に、ソース領域及びドレイン領域511の間にゲート電極514を形成する。次に、第2のマスクパターン515を形成する。ゲート電極514及び第2のマスクパターン515はそれぞれ、第4実施形態に示すゲート電極301及び第1のマスクパターン305の材料及び形成方法を適宜適用する。
次に、図5(C)に示すように、第2のマスクパターン515を用いて、ゲート絶縁膜513をエッチングしゲート絶縁膜521を形成し、第2の半導体膜512をエッチングして半導体領域522を形成すると共にソース電極及びドレイン電極501の一部を露出する。
次に、図5(D)に示すように、露出されたソース電極及びドレイン電極501表面に、ぬれ性の低い第3のマスクパターン531を形成した後、ぬれ性の高い材料を用いて層間絶縁膜323を形成する。第3のマスクパターン531は、第4実施形態に示す第2のマスクパターン322の材料及び形成方法を適宜用いる。
次に、図5(E)に示すように、第3のマスクパターン531を除去した後、導電膜331を形成する。
以上の工程により、順スタガ型TFTを形成することができる。
(第7実施形態)
本実施形態においては、トップゲートのコプレナー構造のTFTの作製工程について図6を用いて示す。
図6(A)に示すように、基板上101に第1の絶縁膜602を成膜する。第1の絶縁膜としては、基板101からの不純物が後に形成されるTFTに侵入するのを防止するためのものであり、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜等の膜を、PVD法、CVD法等の公知の手法により成膜する。なお、基板101から不純物がTFTに侵入しない材料、代表的には石英等で形成されている場合には、第1の絶縁膜602を成膜する必要はない。
次に、第1の絶縁膜602上に半導体領域603を形成する。半導体領域603は、第
4実施形態で示される第1の半導体膜303を、第3実施形態、若しくは公知のエッチング法により所望の形状にエッチングして形成する。
次に、半導体領域603上に13属又は15属の不純物を有する溶液604を液滴吐出法に吐出した後、レーザ光605を照射する。この工程により、図6(B)に示されるように、導電性を有する半導体領域(ソース領域及びドレイン領域)611を形成することができる。このため、13属又は15属の不純物を有する溶液は、後のソース領域及びドレイン領域となる半導体領域上に吐出することが好ましい。
次に、図6(B)に示すように、ソース領域及びドレイン領域611上にぬれ性の低い第1のマスクパターン612を形成する。第1のマスクパターン612は、後に形成されるゲート絶縁膜及び層間絶縁膜の形成を妨げるためのものであるので、後のコンタクトホール及び接続配線を形成する領域に吐出することが好ましい。第1のマスクパターン612は、第4実施形態で示される第2のマスクパターン322と同様の材料及び形成方法を適宜用いる。
次に、シロキサンポリマー、ポリシラザン等の有機SOG、無機SOG等のぬれ性の高い材料を液滴吐出法又は塗布法により形成し、乾燥及び焼成を行ってゲート絶縁膜613を形成する。なお、有機SOG、無機SOG等はぬれ性が高いため、第1のマスクパターン612で弾かれる。また、該工程において、第1のマスクパターン612は乾燥され、図6(C)に示すように、半導体領域603中又は表面に第1のマスクパターンの組成物622が残存する。
次に、図6(C)に示すように、半導体領域603上において、ソース領域及びドレイン領域611の間であって、ゲート絶縁膜613上にゲート電極621を形成する。ゲート電極621は、第4実施形態に示されるゲート電極301と同様の材料及び作製方法を適宜用いる。
次に、ぬれ性の高い絶縁材料を塗布して層間絶縁膜323を形成する。第1のマスクパターンの組成物622はぬれ性が低いため、ぬれ性の高い絶縁材料は弾かれる。このため、選択的に層間絶縁膜323を形成することができる。
次に、導電膜331を形成する。
以上の工程により、トップゲートのコプレナー構造のTFTを形成することができる。
(第8実施形態)
本実施形態においては、トップゲートのコプレナー構造のTFTの作製工程について、第7実施形態と異なる作製工程を、図25を用いて説明する。第7実施形態では、塗布法又は液滴吐出法によりゲート絶縁膜を形成したTFTについて述べたが、本実施形態では、CVD法又はPVD法でゲート絶縁膜を成膜したTFTについて示す。
図25(A)に示すように、第7実施形態と同様に半導体領域603を形成し、半導体領域603上に13属又は15属の不純物を有する溶液604を液滴吐出法に吐出した後、レーザ光605を照射し、図25(B)に示すように、導電性を有する半導体領域(ソース領域及びドレイン領域)611を形成する。
次に、半導体領域及び第1の絶縁膜602上に、CVD法又はPVD法によってゲート絶縁膜713を成膜する。この場合は、基板表面上全面にゲート絶縁膜が成膜される。次に、半導体領域603上において、ソース領域及びドレイン領域611の間であって、ゲート絶縁膜713上にゲート電極621を形成する。
次に、図25(C)に示すように、ソース領域及びドレイン領域611とゲート絶縁膜713が重畳する領域に、ぬれ性の低い第1のマスクパターン612を形成する。第1のマスクパターン612は、後に形成される層間絶縁膜の形成を妨げるためのものであるので、後のコンタクトホール及び接続配線を形成する領域に吐出することが好ましい。次に、ぬれ性の高い絶縁材料を塗布して層間絶縁膜323を形成する。第1のマスクパターンはぬれ性が低いため、ぬれ性の高い絶縁材料は第1のマスクパターン612に弾かれる。
次に、図25(D)に示すように、層間絶縁膜323をマスクとして、酸素を用いたアッシングにより第1のマスクパターン612を除去し、ゲート絶縁膜713の一部を露出する。次に、ゲート絶縁膜の露出された領域をエッチングして、ソース領域及びドレイン領域を露出する。次に、ソース領域及びドレイン領域それぞれに接続する導電膜331を形成する。
以上の工程により、トップゲートのコプレナー構造のTFTを形成することができる。また、同様のコンタクトホールを形成する工程及び公知の手法により、ボトムゲートのコプレナー構造のTFTを形成することができる。
(第9実施形態)
本実施形態では、上記実施形態におけるマスクパターン形成に用いることができる液滴吐出装置の一態様について説明する。図20において、基板1900上において、1つのパネル1930が形成される領域を点線で示す。
液滴吐出手段1905は、ヘッドを有し、ヘッドは複数のノズルを有する。本実施の形態では、十個のノズルが設けられたヘッドを三つ(1903a、1903b、1903c)有する場合で説明するが、ノズルの数や、ヘッドの数は処理面積や工程等により設定することができる。
ヘッドは、制御手段1907に接続され、制御手段がコンピュータ1910により制御することにより、予め設定されたパターンを描画することができる。描画するタイミングは、例えば、ステージ1931上に固定された基板1900等に形成されたマーカー1911を基準点として行えばよい。また、基板1900の縁を基準点として行ってもよい。これら基準点をCCDなどの撮像手段1904で検出し、画像処理手段1909にてデジタル信号に変換させる。デジタル変化された信号をコンピュータ1910で認識して、制御信号を発生させて制御手段1907に送る。このようにパターンを描画するとき、パターン形成面と、ノズルの先端との間隔は、0.1cm〜5cm、好ましくは0.1cm〜2cm、さらに好ましくは0.1cm前後とするとよい。このように間隔を短くすることにより、液滴の着弾精度が向上する。
このとき、基板1900上に形成されるパターンの情報は記憶媒体1908に格納されており、この情報を基にして制御手段1907に制御信号を送り、各ヘッド1903a、1903b、1903cを個別に制御することができる。すなわち、ヘッド1903a、1903b、1903cが有する各ノズルから異なる組成物を吐出することができる。例えばヘッド1903a、1903bが有するノズルは絶縁膜材料を有する組成物を吐出し、ヘッド1903cが有するノズルは導電膜材料を有する組成物を吐出することができる。
さらに、ヘッドが有する各ノズルを個別に制御することもできる。ノズルを個別に制御することができるため、特定のノズルから異なる材料を有する組成物を吐出することができる。例えば同一ヘッド1903aに、導電膜材料を有する組成物を吐出するノズルと、絶縁膜材料を有する組成物を吐出するノズルとを設けることができる。
なお、ノズルは組成物が充填されたタンクと接続されている。
また、層間絶縁膜の形成工程のように大面積に対して液滴吐出処理を行う場合、層間絶縁膜材料を有する組成物を全ノズルから吐出させるとよい。さらに、複数のヘッドが有する全ノズルから、層間絶縁膜材料を有する組成物を吐出するとよい。その結果、スループットを向上させることができる。もちろん、層間絶縁膜形成工程において、一つのノズルから層間絶縁膜材料を有する組成物を吐出し、複数走査することにより大面積に対して液滴吐出処理を行ってもよい。
そしてヘッドをジグザグ又は往復させ、大型マザーガラスに対するパターン形成を行うことができる。このとき、ヘッドと基板を相対的に複数回走査させればよい。ヘッドを基板に対して走査するとき、進行方向に対してヘッドを斜めに傾けるとよい。
ヘッドの幅は、大型マザーガラスから複数のパネルを形成する場合、ヘッドの幅は1つのパネルの幅と同程度とすると好ましい。1つのパネル1930が形成される領域に対して一回の走査でパターン形成することができ、高いスループットが期待できるからである。
また、ヘッドの幅は、パネルの幅より小さくしてもよい。このとき、複数の幅の小さなヘッドを直列に配置し、1つのパネルの幅と同程度としてもよい。複数の幅の小さなヘッドを直列に配置することにより、ヘッドの幅が大きくなるにつれて懸念されるヘッドのたわみの発生を防止することができる。もちろん、幅の小さなヘッドを複数回走査することにより、パターン形成を行ってもよい。
このような液滴吐出法により溶液の液滴を吐出する工程は、減圧下で行うと好ましい。溶液を吐出して被処理物に着弾するまでの間に、該溶液の溶媒が蒸発し、溶液の乾燥と焼成の工程を省略することができるからである。また、減圧下で行うと、導電体の表面に酸化膜などが形成されないため好ましい。また溶液を滴下する工程は、窒素雰囲気中や有機ガス雰囲気中で行ってもよい。
また、液滴吐出法として、ピエゾ方式を用いることができる。ピエゾ方式は、液滴の制御性に優れインク選択の自由度の高いことからインクジェットプリンターでも利用されている。なお、ピエゾ方式には、ベンダー型、(代表的にはMLP(Multi Layer Piezo)タイプ)とピストン型(代表的にはMLChip(Multi Layer Ceramic Hyper Integrated Piezo Segments)タイプ)、サイドウォール型、ルーフウォール型がある。また溶液の溶媒によっては、発熱体を発熱させ気泡を生じさせ溶液を押し出す、いわゆるサーマル方式を用いた液滴吐出法でもよい。
次に、アクティブマトリクス基板及びそれを有する表示パネルの作製方法について図8〜図13を用いて説明する。本実施例では、表示パネルとして液晶表示パネルを用いて説明する。図8〜10は、画素部及び接続端子部の縦断面構造を模式的に示したものであり、A−B及びC−Dに対応する平面構造を図11〜13に示す。
図8(A)に示すように、基板800表面を400度で酸化して膜厚100nmの絶縁膜801を形成する。この絶縁膜は、後に形成する導電膜のエッチングストッパー膜の機能を果たす。次に、絶縁膜801上に第1の導電膜802を成膜し、第1の導電膜上に液滴吐出法により第1のマスクパターン803〜805を形成する。基板800には、旭硝子社製AN100ガラス基板を用い、第1の導電膜802には、タングステンターゲット及びアルゴンガスを用いてスパッタリング法により膜厚100nmのタングステン膜を成膜する。第1のマスクパターンには、ポリイミドを液滴吐出法により吐出し、200度30分加熱して焼成する。第1のマスクパターンは、後に形成されるゲート配線、ゲート電極及び接続導電膜上に吐出する。
次に、図8(B)に示すように、第1のマスクパターン803〜805を用いて第1の導電膜の一部をエッチングして、ゲート配線811、ゲート電極812、及び接続導電膜813を形成する。この後、第1のマスクパターン803〜805を、剥離液を用いて剥離する。
次に、プラズマCVD法によりゲート絶縁膜814を成膜する。ゲート絶縁膜814としては、400度で加熱したチャンバーでSiH4とN2O(流量比SiH4:N2O=1:200)を用いたプラズマCVD法により、膜厚110nmの酸化窒化珪素膜(H:1.8%, N:2.6%, O:63.9%, Si:31.7%)を成膜する。
次に、第1の半導体膜815及びn型を呈する第2の半導体膜816を成膜する。第1の半導体膜815としては、プラズマCVD法により膜厚150nmのアモルファスシリコン膜を成膜する。次に、アモルファスシリコン膜の表面の酸化膜を除去した後、シランガスとフォスフィンガスを用いて膜厚50nmのセミアモルファスシリコン膜を成膜する。
次に、第2の半導体膜上に第2のマスクパターン817、818を形成する。第2のマスクパターンは、ポリイミドを液滴吐出法により第2の半導体膜816上に吐出し、200度30分加熱して形成する。第2のマスクパターン817は、後の半導体領域が形成される領域上に吐出する。
次に、図8(C)に示すように、第2のマスクパターンを用いて第2の半導体膜816をエッチングして、第1の半導体領域821、822(ソース及びドレイン領域)を形成する。第2の半導体膜816は、流量比がCF4:O2=10:9の混合ガスを用いてエッチングする。この後、第2のマスクパターン817、818を、剥離液を用いて剥離する。
次に、第3のマスクパターン823を形成する。第3のマスクパターンは、ポリイミドを液滴吐出法により第1の半導体領域821、822及び第1の半導体膜815の一部の上に吐出し、200度30分加熱して形成する。
次に、図8(D)に示すように、第3のマスクパターン823を用いて第1の半導体膜815をエッチングして、第2の半導体領域831を形成する。なお、図8(D)は縦断面構造を模式的に示し、A−B及びC−Dに対応する平面構造を図11に示すので同時に参照する。この後、第3のマスクパターン823を、剥離液を用いて剥離する。
次に、図8(E)に示すように、ぬれ性の低い第4のマスクパターン832を形成する。ぬれ性の低い第4のマスクパターンは、液滴吐出法によりゲート絶縁膜814と接続導電膜813とが重畳する領域に、フッ素系シランカップリング剤を溶媒に溶解した溶液を吐出して形成する。なお、第4のマスクパターン832は、後のドレイン電極と接続導電膜813とが接続する領域にコンタクトホールを形成するための第5のマスクパターンを形成するための保護膜である。
次に、ぬれ性の高い材料を用いて第5のマスクパターン833を形成する。第5のマスクパターンは、第1のコンタクトホールを形成するためのマスクであり、ポリイミドを液滴吐出法により吐出し、200度で30分加熱して形成する。このとき、第4のマスクパターン832はぬれ性が低く、第5のマスクパターン833はぬれ性が高いため、第4のマスクパターンが形成される領域には、第5のマスクパターン833は形成されない。
次に、図9(A)に示すように、酸素アッシングにより第4のマスクパターン832を除去してゲート絶縁膜の一部を露出する。次に、第5のマスクパターン833を用いて、露出されたゲート絶縁膜をエッチングする。ゲート絶縁膜は、CHF3を用いてエッチングする。この後、酸素アッシング及び剥離液を用いたエッチングにより第5のマスクパターンを剥離する。
次に、ソース配線841及びドレイン配線842を液滴吐出法で形成する。このとき、ドレイン配線842は、第2の半導体領域822及び接続導電膜813に接続されるように形成する。ソース配線841、及びドレイン配線842は、Ag(銀)粒子が分散された溶液を吐出し、100度30分加熱して乾燥した後、酸素濃度10%の雰囲気中で230度1時間加熱して焼成する。次に、保護膜843を成膜する。保護膜は、シリコンターゲット、及びスパッタリングガスとしてアルゴン並びに窒素(流量比Ar:N2=1:1)を用いたスパッタリング法により、膜厚100nmの窒化珪素膜を成膜する。
なお、図9(A)のA−B及びC−Dに対応する平面図を図12に示す。
次に、図9(B)に示すように、保護膜843と接続導電膜813とが重畳する領域、及びゲート配線並びにソース配線が接続端子と接続する領域に、ぬれ性の低い第6のマスクパターン851、852を形成した後、層間絶縁膜853を形成する。第6のマスクパターンは、後に形成する層間絶縁膜のマスクである。第6のマスクパターンとして、液滴吐出法によりフッ素系シランカップリング剤を溶媒に溶解した溶液を吐出し、層間絶縁膜853として、液滴吐出法によりぬれ性の高い絶縁材料であるポリイミドを吐出した後、200度30分の加熱及び300℃1時間の加熱により、両方を焼成する。
次に、図9(C)に示すように、CF4、O2、及びHeの混合ガス(流量CF4:O2:He=8:12:7)を用いて第6のマスクパターン851をエッチングした後、保護膜843及びゲート絶縁膜814の一部をエッチングして、第2のコンタクトホールを形成する。このエッチング工程において、ゲート配線並びにソース配線が接続端子と接続する領域の保護膜843及びゲート絶縁膜814をエッチングする。
次に、第2の導電膜861を成膜した後、第7のマスクパターン862を形成する。第2の導電膜は、スパッタリング法により膜厚110nmの酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITO)を成膜し、後に画素電極を形成する領域にポリイミドを液滴吐出法により滴下し、200度で30分加熱する。
本実施例では、透過型の液晶表示パネルを作製するため、画素電極を、酸化珪素を含むITOで形成したが、これに代わってインジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)などを含む組成物により所定のパターンを形成し、焼成によって画素電極を形成しても良い。また、反射型の液晶表示パネルを作製する場合には、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅))、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用いることができる。
次に、図9(D)に示すように、第7のマスクパターンを用いて第2の導電膜をエッチングして画素電極871を形成する。このエッチング工程において、ゲート配線並びにソース配線が接続端子と接続する領域に形成された第2の導電膜もエッチングする。この後、第7のマスクパターンを、剥離液を用いて剥離する。なお、図9(D)のA−B及びC−Dに対応する平面図を図13に示す。
画素電極871は、第2のコンタクトホールにおいて、接続導電膜813と接続している。接続導電膜813は、ドレイン配線842と接続しているため、画素電極871とドレイン配線842とは、電気的に接続している。本実施例においては、ドレイン配線842は銀(Ag)で形成されており、画素電極871は酸化珪素を含むITOで形成されているが、これらが直接接続していないため、銀が酸化されず、コンタクト抵抗を高めずとも、ドレイン配線と画素電極とを電気的に接続することができる。
また、画素電極を形成する他の方法としては、選択的に導電材料を含む溶液を液滴吐出法で滴下して、エッチング工程無しに画素電極を形成することができる。さらには、後に画素電極が形成されない領域にぬれ性の低いマスクパターンを形成した後、導電性を有する溶液を吐出して、画素電極を形成することができる。この場合、マスクパターンは、酸素を用いたアッシングで除去することができる。また、マスクパターンを除去せず、残存させておいてもよい。
以上の工程により、アクティブマトリクス基板を形成することができる。
次に、図10(A)に示すように、画素電極871を覆うように印刷法やスピンコート法により、絶縁膜を成膜し、ラビングを行って配向膜872を形成する。なお、配向膜872は、斜方蒸着法により形成することもできる。次に、画素を形成した周辺の領域に液滴吐出法によりシール材873を形成する。
次に、図10(B)に示すように、ディスペンサ式(滴下式)により、シール材873で形成された閉ループ内側に、液晶材料を滴下する。
ここで、図28を用いてアクティブマトリクス基板に液晶滴下法により液晶材料を滴下する工程を示す。図28(A)は、ディスペンサ2701によって液晶材料を滴下する工程の斜視図であり、図28(B)は、図28(A)のA―Bにおける断面図である。
シール材2702で囲まれた画素部2703を覆うように液晶材料2704を液晶ディスペンサ2701から滴下、または、吐出させている。液晶ディスペンサ2701を移動させてもよいし、液晶ディスペンサ2701を固定し、基板2700を移動させることによって液晶層を形成することができる。また、複数の液晶ディスペンサ2701を設置して一度に液晶を滴下してもよい。
図28(B)に示すように、シール材2702で囲まれた領域のみに選択的に液晶材料2704を滴下、または吐出させている。
次に、真空中で、配向膜883及び対向電極882が設けられた対向基板881と貼り合
わせ、紫外線硬化を行って、液晶材料を充填して液晶層884を形成する。
シール材873には、フィラーが混入されていてもよく、さらに、対向基板にはカラーフィルタや遮蔽膜(ブラックマトリクス)などが形成されていても良い。また、液晶層884を形成する方法として、ディスペンサ式(滴下式)の代わりに、対向基板を貼り合わせてから毛細管現象を用いて液晶材料を注入するディップ式(汲み上げ式)を用いることができる。
また、ここでは画素部に液晶材料を滴下したが、対向基板側に液晶材料を滴下した後、画素部を有する基板を張り合わせても良い。
次に、図10(C)に示すように、ゲート配線811、ソース配線(図示しない)それぞれに、異方性導電膜885を介して接続端子(ゲート配線に接続される接続端子886、ソース配線に接続される接続端子は図示せず。)を貼り付けて液晶表示パネルを形成することができる。
なお、層間絶縁膜853及び配向膜872を、基板全面に形成することができる。この場合、シール材を形成する前に、液滴吐出法によりマスクを形成した後、公知のエッチング法により、これらの絶縁膜を除去して、ソース配線及びゲート配線を露出する。
以上の工程により液晶表示パネルを作製することができる。なお、静電破壊防止のための保護回路、代表的にはダイオードなどを、接続端子とソース配線(ゲート配線)の間、または画素部に設けてもよい。この場合、上記したTFTと同様の工程で作製し、画素部のゲート配線とダイオードのドレイン又はソース配線とを接続することにより、静電破壊を防止することができる。
なお、第1実施形態乃至第9実施形態のいずれをも本実施例に適用することができる。また、本実施例では、表示パネルとして液晶表示パネルの作製方法を示したが、これに限られるものではなく、有機材料又は無機材料で形成された発光物質を発光層として有する発光表示装置、DMD(Digital Micromirror Device;デジタルマイクロミラーデバイス)、PDP(Plasma Display Panel;プラズマディスプレイパネル)、FED(Field Emission Display;フィールドエミッションディスプレイ)、電気泳動表示装置(電子ペーパー)等のアクティブ型表示パネルに適宜適用することができる。
本実施例では、表示モジュールの一例として、発光表示モジュールの外観について、図30を用いて説明する。図30(A)は、第1の基板と、第2の基板との間を第1のシール材1205及び第2のシール材1206によって封止されたパネルの上面図であり、図30(B)は、図30(A)のA−A’における断面図に相当する。
図30(A)において、点線で示された1201は信号線(ソース線)駆動回路、1202は画素部、1203は走査線(ゲート線)駆動回路である。本実施例において、信号線駆動回路1201、画素部1202、及び走査線駆動回路1203は第1のシール材及び第2のシール材で封止されている領域内にある。第1のシール材としては、フィラーを含む粘性の高いエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、第2のシール材としては、粘性の低いエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、第1のシール材1205及び第2のシール材はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。
また、画素部1202とシール材1205との間に、乾燥剤を設けてもよい。さらには、画素部において、走査線又は信号線上に乾燥剤を設けてもよい。乾燥剤としては、酸化カルシウム(CaO)や酸化バリウム(BaO)等のようなアルカリ土類金属の酸化物のような化学吸着によって水(H2O)を吸着する物質を用いるのが好ましい。但し、これに限らずゼオライトやシリカゲル等の物理吸着によって水を吸着する物質を用いても構わない。
また、透湿性の高い樹脂に乾燥剤の粒状の物質を含ませた状態で第2の基板1204に固定することができる。ここで、透湿性の高い樹脂としては、例えば、エステルアクリレート、エーテルアクリレート、エステルウレタンアクリレート、エーテルウレタンアクリレート、ブタジエンウレタンアクリレート、特殊ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、アミノ樹脂アクリレート、アクリル樹脂アクリレート等のアクリル樹脂を用いることができる。この他、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリシジルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を用いることができる。また、この他の物質を用いても構わない。また、例えばシロキサンポリマー、ポリイミド、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、等の無機物等を用いてもよい。
乾燥剤を走査線と重畳する領域に設けることで、また、透湿性の高い樹脂に乾燥剤の粒状の物質を含ませた状態で第2の基板に固定することで、開口率を低下せずに表示素子への水分の侵入及びそれに起因する劣化を抑制することができる。
なお、1210は、信号線駆動回路1201及び走査線駆動回路1203に入力される信号を伝送するための接続配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリント配線)1209から、接続配線1208を介してビデオ信号やクロック信号を受け取る。
次に、断面構造について図30(B)を用いて説明する。第1の基板1200上には駆動回路及び画素部が形成されており、TFTを代表とする半導体素子を複数有している。駆動回路として信号線駆動回路1201と画素部1202とを示す。なお、信号線駆動回路1201はnチャネル型TFT1221とpチャネル型TFT1222とを組み合わせたCMOS回路が形成される。
本実施例においては、同一基板上に信号線駆動回路、走査線駆動回路、及び画素部のTFTが形成されている。このため、発光表示装置の容積を縮小することができる。
また、画素部1202はスイッチング用TFT1211と、駆動用TFT1212とそのドレインに電気的に接続された反射性を有する導電膜からなる第1の画素電極(陽極)1213を含む複数の画素により形成される。
また、これらのTFT1211、1212、1221、1222の層間絶縁膜1220としては、無機材料(酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコンなど)、有機材料(ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、ベンゾシクロブテン、またはシロキサンポリマー)を主成分とする材料を用いて形成することができる。また、層間絶縁膜の原料としてシロキサンポリマーを用いると、シリコンと酸素を骨格構造に有し、側鎖に水素又は/及びアルキル基を有する構造の絶縁膜となる。
また、第1の画素電極(陽極)1213の両端には絶縁物(バンク、隔壁、障壁、土手などと呼ばれる)1214が形成される。絶縁物1214に形成する膜の被覆率(カバレッジ)を良好なものとするため、絶縁物1214の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。絶縁物1214の材料としては、無機材料(酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコンなど)、有機材料(ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、ベンゾシクロブテン、またはシロキサンポリマー)を主成分とする材料を用いて形成することができる。また、絶縁物の原料としてシロキサンポリマーを用いると、シリコンと酸素を骨格構造に有し、側鎖に水素又は/及びアルキル基を有する構造の絶縁膜となる。また、絶縁物1214を窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜、炭素を主成分とする薄膜、または窒化珪素膜からなる保護膜(平坦化膜)で覆ってもよい。また、絶縁物1214として、黒色顔料、色素などの可視光を吸収する材料を溶解又は分散させてなる有機材料を用いることで、後に形成される発光素子からの迷光を吸収することができる。この結果、各素のコントラストが向上する。また、層間絶縁膜1220も遮光性を有する絶縁物で設けることによって、絶縁物1214とのトータルで遮光の効果を得ることができる。
また、第1の画素電極(陽極)1213上には、有機化合物材料の蒸着を行い、発光物質を含む層1215を選択的に形成する。
発光物質を含む層1215は公知の構造を適宜用いることができる。ここで、発光物質を含む層の構造を、図31を用いて示す。
図31(A)は第1の画素電極11を透光性の酸化物導電性材料で形成した例であり、酸化珪素を1〜15原子%の濃度で含む酸化物導電性材料で形成している。その上に正孔注入層若しくは正孔輸送層41、発光層42、電子輸送層若しくは電子注入層43を積層した発光物質を含む層16を設けている。第2の画素電極17は、LiFやMgAgなどアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む第1の電極33とアルミニウムなどの金属材料で形成する第2の電極34で形成している。この構造の画素は、図中に矢印で示したように第1の画素電極11側から光を放射することが可能となる。
図31(B)は第2の画素電極17から光を放射する例を示し、第1の画素電極11はアルミニウム、チタンなどの金属、又は該金属と化学量論的組成比以下の濃度で窒素を含む金属材料で形成する第1の電極35と、酸化珪素を1〜15原子%の濃度で含む酸化物導電性材料で形成する第2の電極32で形成している。その上に正孔注入層若しくは正孔輸送層41、発光層42、電子輸送層若しくは電子注入層43を積層した発光物質を含む層16を設けている。第2の画素電極17は、LiFやCaFなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む第3の電極33とアルミニウムなどの金属材料で形成する第4の電極34で形成するが、いずれの層も100nm以下の厚さとして光を透過可能な状態としておくことで、第2の電極17から光を放射することが可能となる。
図31(E)は、両方向、即ち第1の電極及び第2の電極から光を放射する例を示し、第1の画素電極11に、透光性を有し且つ仕事関数の大きい導電膜を用い、第2の画素電極17に、透光性を有し且つ仕事関数の小さい導電膜を用いる。代表的には、第1の画素電極11を、酸化珪素を1〜15原子%の濃度で含む酸化物導電性材料で形成し、第2の画素電極17を、それぞれ100nm以下の厚さのLiFやCaFなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む第3の電極33とアルミニウムなどの金属材料で形成する第4の電極34で形成すればよい。
図31(C)は第1の画素電極11から光を放射する例を示し、かつ、発光物質を含む層を電子輸送層若しくは電子注入層43、発光層42、正孔注入層若しくは正孔輸送層41の順に積層した構成を示している。第2の画素電極17は、発光物質を含む層16側から酸化珪素を1〜15原子%の濃度で含む酸化物導電性材料で形成する第2の電極32、アルミニウム、チタンなどの金属、又は該金属と化学量論的組成比以下の濃度で窒素を含む金属材料で形成する第1の電極35で形成している。第1の画素電極11は、LiFやCaFなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む第3の電極33とアルミニウムなどの金属材料で形成する第4の電極34で形成するが、いずれの層も100nm以下の厚さとして光を透過可能な状態としておくことで、第1の画素電極11から光を放射することが可能となる。
図31(D)は第2の画素電極17から光を放射する例を示し、かつ、発光物質を含む層を電子輸送層若しくは電子注入層43、発光層42、正孔注入層若しくは正孔輸送層41の順に積層した構成を示している。第1の画素電極11は図31(A)の第2の画素電極と同様な構成とし、膜厚は発光物質を含む層で発光した光を反射可能な程度に厚く形成している。第2の画素電極17は、酸化珪素を1〜15原子%の濃度で含む酸化物導電性材料で構成している。この構造において、正孔注入層若しくは正孔輸送層41を無機物である金属酸化物(代表的には酸化モリブデン若しくは酸化バナジウム)で形成することにより、第2の画素電極17を形成する際に導入される酸素が供給されて正孔注入性が向上し、駆動電圧を低下させることができる。
図31(F)は、両方向、即ち第1の画素電極及び第2の画素電極から光を放射する例を示し、第1の画素電極11に、透光性を有し且つ仕事関数の小さい導電膜を用い、第2の画素電極17に、透光性を有し且つ仕事関数の大きい導電膜を用いる。代表的には、第1の画素電極11を、それぞれ100nm以下の厚さのLiFやCaFなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む第3の電極33とアルミニウムなどの金属材料で形成する第4の電極34で形成し、第2の画素電極17を、酸化珪素を1〜15原子%の濃度で含む酸化物導電性材料で形成すればよい。
こうして、図30(B)に示すように、第1の画素電極(陽極)1213、発光物質を含む層1215、及び第2の画素電極(陰極)1216からなる発光素子1217が形成される。発光素子1217は、第2の基板1204側に発光する。
また、発光素子1217を封止するために保護積層1218を形成する。保護積層は、第1の無機絶縁膜と、応力緩和膜と、第2の無機絶縁膜との積層からなっている。次に、保護積層1218と第2の基板1204とを、第1のシール材1205及び第2のシール材1206で接着する。なお、第2のシール剤を実施例1の図28に示す液晶を滴下する装置のように、シール剤を滴下する装置を用いて滴下することが好ましい。シール剤をディスペンサから滴下、又は吐出させてシール剤をアクティブマトリクス基板上に塗布した後、真空中で、第2の基板とアクティブマトリクス基板とを貼り合わせ、紫外線硬化を行って封止することができる。
なお、第2の基板1204表面には、偏光板1225が固定され、偏光板1225表面には、1/2λ又は1/4λの位相差板1229及び反射防止膜1226が設けられている。また、第2の基板1204から順に、1/4λ板の位相差板及び1/2λ板の位相差板1229、偏光板1225を順次設けてもよい。位相差板及び偏光板を設けることにより、外光が画素電極で反射することを防止することが可能である。なお、第1の画素電極1213及び第2の画素電極1216を透光性又は半透光性を有する導電膜で形成し、層間絶縁膜1220を可視光を吸収する材料、又は可視光を吸収する材料を溶解又は分散させてなる有機材料を用いて形成すると、各画素電極で外光が反射しないため、位相差板及び偏光板を用いなくとも良い。
接続配線1208とFPC1209とは、異方性導電膜又は異方性導電樹脂1227で電気的に接続されている。さらに、各配線と接続端子との接続部を封止樹脂で封止することが好ましい。この構造により、断面部からの水分が発光素子に侵入し、劣化することを防ぐことができる。
なお、第2の基板1204と、保護積層1218との間には、不活性ガス、例えば窒素ガスを充填した空間を有してもよい。水分や酸素の侵入の防止を高めることができる。
画素部1202と偏光板1225の間に着色層を設けることができる。この場合、画素部に白色発光が可能な発光素子を設け、RGBを示す着色層を別途設けることでフルカラー表示することができる。また、画素部に青色発光が可能な発光素子を設け、色変換層などを別途設けることによってフルカラー表示することができる。さらには、各画素部、赤色、緑色、青色の発光を示す発光素子を形成し、且つ着色層を用いることもできる。このような表示モジュールは、各RBGの色純度が高く、高精細な表示が可能となる。
また、第1の基板1200又は第2の基板1204の一方、若しくは両方にフィルム又は樹脂等の基板を用いて発光表示モジュールを形成してもよい。このように対向基板を用いず封止すると、表示装置の軽量化、小型化、薄膜化を向上させることができる。
なお、第1実施形態乃至第9実施形態のいずれをも本実施例に適用することができる。また、本実施例では、表示モジュールとして発光表示モジュールを示したが、これに限られるものではなく、発光表示装置、DMD(Digital Micromirror Device;デジタルマイクロミラーデバイス)、PDP(Plasma Display Panel;プラズマディスプレイパネル)、FED(Field Emission Display;フィールドエミッションディスプレイ)、電気泳動表示装置(電子ペーパー)等の表示モジュールに適宜適用することができる。