JP5093309B2 - クラッチ装置の冷却構造 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等に搭載され、内燃機関と変速機との間に介装されるクラッチ装置を空気により冷却する冷却構造に係る。特に、本発明は、冷却効率の向上を図るための対策に関する。
一般に、車両に搭載される内燃機関と変速機との間に介装されるクラッチ装置は、クラッチ機構を構成するクラッチディスク、プレッシャプレート、ダイヤフラムスプリングが、クラッチハウジング内に収容された構成となっている。このようにクラッチ機構は、周囲がクラッチハウジングによって覆われているため、放熱性が悪く、温度が上昇しやすいものである。特に、車両の発進動作(クラッチ機構が解放状態から係合状態になる動作)が短期間の間に繰り返される状況ではクラッチ機構の発熱量が多くなりやすく、クラッチ機構の各構成部材の温度が上昇してしまう。このようにクラッチ機構の各構成部材の温度が上昇すると、クラッチ装置の特性の変化や寿命の短縮化を招いてしまう可能性がある。そのため、クラッチハウジング内に外気を導入して、上記クラッチ機構を冷却することが提案されている。
一般に、クラッチ装置は内燃機関の後方に配設されていることから、このクラッチ装置の周辺には、ラジエータを通過して高温となった空気や、エンジンの周辺を通過して高温となった空気が流れている。つまり、クラッチ装置の前方から流れてくる空気は比較的温度が高くなっており、この空気をクラッチハウジング内に導入したとしても高い冷却効率を期待することはできない。
このため、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されているように、クラッチ装置の下側からクラッチハウジング内に外気を導入する空気導入通路を設け、この導入した外気によりクラッチハウジング内のクラッチ機構を冷却することが提案されている。
特開2005−308121号公報 特開2009−222095号公報
ところが、クラッチ装置の近傍には、エンジンからの排気ガスを車体後方側へ導いて排出するための排気管が配設されており、この排気管の外面からの輻射熱がクラッチ装置に悪影響を与える可能性がある。つまり、単にクラッチ装置の下側からクラッチハウジング内に外気を導入する構成では、上記排気管からの輻射熱によって高温となった空気がクラッチハウジング内に導入されてしまう可能性があり、この場合、クラッチ機構の冷却効率が著しく悪化してしまう可能性がある。
本発明の発明者は、この点に鑑み、クラッチ装置の下側からクラッチハウジング内に外気を導入する場合、その外気導入箇所と、クラッチ装置の下側空間のうち排気管からの輻射熱を受ける領域とを考慮する必要があることを見出し本発明に至った。尚、上記各特許文献にあっては、クラッチハウジング内に外気を導入する空気導入通路と排気管との位置関係については何ら考慮されていない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、クラッチハウジング内に比較的温度の低い外気を導入することでクラッチ機構の冷却効率を高めることが可能なクラッチ装置の冷却構造を提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、クラッチ装置の下側空間のうち排気管からの輻射熱の影響を殆ど受けない領域からクラッチハウジング内に向けて外気を導入することにより、冷却効率を高めるようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、エンジンからの駆動力を受けるクラッチ機構がクラッチハウジング内に収容されていると共に、このクラッチハウジングの底板に設けられた外気導入開口から空気を導入することによってクラッチ機構を冷却するようにしたクラッチ装置の冷却構造を前提とする。そして、上記エンジンからの排気ガスを排出する排気管を、クラッチハウジングに対してエンジンの配設位置とは反対側の位置でクラッチハウジングに近接させる。また、上記クラッチハウジングの底板に、ロアプレートとアッパプレートとが一体的に接合されて成り且つクラッチハウジングの下側空間から外気を導入して上記外気導入開口に導くダクトを取り付け、このダクトのロアプレートに、クラッチハウジングにおけるエンジン配設位置側の端縁よりもエンジン配設位置寄りに位置する外気導入孔を形成する。また、上記ダクトのロアプレートとアッパプレートとの間に空気流路を形成すると共に、この空気流路の反エンジン配設位置側において、上記ロアプレートとクラッチハウジングの底板との間に空間を形成する。そして、上記クラッチハウジングにおけるエンジン配設位置側の端縁よりもエンジン配設位置寄りに位置する外気導入孔から導入された空気が、上記ロアプレートとアッパプレートとの間の空気流路をエンジン配設位置側から反エンジン配設位置側に向かって流れた後、上記ロアプレートとクラッチハウジングの底板との間の空間を更に反エンジン配設位置側に向かって流れ、その後、上記外気導入開口からクラッチハウジング内に導かれる構成としている。
この特定事項により、排気管からの輻射熱は、クラッチハウジングに対してエンジンの配設位置とは反対側の空間に存在する空気を温度上昇させている。これに対し、クラッチハウジングの内部空間に空気を導入するためのダクトの外気導入孔はエンジンの配設位置寄りに設けられている。このため、上記排気管からの輻射熱の影響を殆ど受けていない空気(外気)が外気導入孔からクラッチハウジング内に向けて導入されることになる。例えば、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)型の自動車の場合には、クラッチハウジングに対してその後方側で排気管が近接している構成に対して、外気導入孔をクラッチハウジングの前側位置に設けることになる。このように排気管の配設状態に応じて外気導入孔の位置を特定することにより、クラッチハウジング内に比較的低温度の空気が導入されることになり、クラッチ機構を効果的に冷却することが可能になる。
クラッチ機構の冷却効率をよりいっそう高めるための構成として以下の構成が挙げられる。つまり、上記クラッチハウジングの内部に、上記空気導入口から導入された空気をクラッチ機構の回転中心部に向けて導く非回転プレートを配設した構成である。
この場合、この非回転プレートを、クラッチ機構に対してエンジンの配設位置とは反対側の位置に配設すると共に、その中央部に開口を形成し、この非回転プレートによって、クラッチハウジングの内部空間を、エンジンの配設位置とは反対側の第1空間と、エンジンの配設位置側の第2空間とに仕切る。これにより、上記中央部に形成された開口によって第1空間と第2空間とを連通させるようにする。そして、上記空気導入口を上記第1空間に連通させ、クラッチハウジングに形成されている空気排出口を上記第2空間に連通させている。
この構成によれば、上記空気導入口からクラッチハウジング内に導入された空気は、先ず、第1空間(エンジンの配設位置とは反対側の空間)を流れた後、非回転プレートの中央部に形成された開口を通過して第2空間(エンジンの配設位置側の空間)に流れ込む。つまり、この第2空間では、クラッチ機構の中央部分から外周部分に亘って流れることになり、このクラッチ機構の略全体に亘って空気を流すことで、広範囲に亘って冷却効果を発揮させることが可能となる。その結果、クラッチハウジング内に導入した空気を効果的に利用してクラッチ機構の全体を冷却でき、クラッチ機構が局部的に高温になってしまう(例えば軸心部分のみが冷却できずに高温になってしまう)といった状況を回避できる。
また、クラッチハウジング内から空気を排出するための空気排出口を、上記クラッチハウジングにおいて、クラッチ機構を構成している回転部材の外周囲に対向する位置に形成している。
これにより、クラッチ機構を構成している回転部材(クラッチディスクやクラッチカバー等)の回転に伴ってクラッチハウジング内で発生する旋回流を利用した空気の排出を効果的に行うことができ、クラッチハウジング内での空気の流速を高めることができて冷却効率の向上に寄与させることができる。
本発明では、クラッチ装置の下側空間のうち排気管からの輻射熱の影響を殆ど受けない領域からクラッチハウジング内に向けて外気を導入するようにしている。このため、クラッチハウジング内に比較的低温度の空気が導入されることになり、クラッチ機構を効果的に冷却することが可能になる。
クラッチ装置の内部構造を示す縦断面図である。 クラッチ装置に備えられた油圧式クラッチレリーズ機構を示す縦断面図である。 クラッチハウジングに対するダクトの取り付け作業を説明するための斜視図である。 クラッチハウジング、変速機ケース及び排気管を上側から見た斜視図である。 クラッチハウジング、変速機ケース及び排気管を下側から見た斜視図である。 図6(a)はダクトの底面図、図6(b)は図6(a)におけるB矢視図、図6(c)は図6(a)におけるC矢視図、図6(d)は図6(a)におけるD−D線に沿った断面図である。 図7(a)はバッフルプレートの正面図、図7(b)は図7(a)におけるE−E線に沿った断面図である。 クラッチハウジング周辺の各部の温度の測定結果を示す図である。 実施形態におけるクラッチハウジング内温度及び従来例におけるクラッチハウジング内温度それぞれの測定結果を示す図である。 クラッチハウジング内の空間形状を模式的に示す図であって、図10(a)はバッフルプレートとクラッチハウジング内壁とを連結した場合の空気の流れを示し、図10(b)はバッフルプレートとクラッチハウジング内壁とを分離した場合の空気の流れを示す図である。 バッフルプレートを取り付けた場合及び取り外した場合それぞれのクラッチハウジング内への吸気量の測定結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)型の自動車に搭載され、エンジン(内燃機関)と変速機との間に介装されるクラッチ装置に本発明を適用した場合について説明する。また、V型エンジンを搭載した場合について説明する。
クラッチ装置の冷却構造について説明する前に、クラッチ装置の概略構成及び基本動作について説明する。このクラッチ装置は、図示しないエンジンと手動変速機との間に配置されており、エンジンのクランクシャフトから手動変速機のインプットシャフト(入力軸)に伝達される駆動力を断続するものである。
−クラッチ装置の概略構成−
図1はクラッチ装置1の内部構造を示す縦断面図であり、図2はクラッチ装置1に備えられた油圧式クラッチレリーズ機構5を示す縦断面図である。
図1に示すように、クラッチ装置1は、クラッチハウジング2と、このクラッチハウジング2に収納されたクラッチ機構3とを備えている。
上記クラッチハウジング2の一方(車両前方側:図1の左側)は、図示しないエンジンのクランクケースにボルト止めによって接続されている。クラッチハウジング2の他方(車両後方側:図1の右側)は、変速機ケース4にボルト止めによって接続されている。また、このクラッチハウジング2の内部には、クラッチハウジング2の内部空間中央側に向かって延びる隔壁部21が一体成形されており、この隔壁部21によって、クラッチハウジング2の内部空間と変速機ケース4の内部空間とが仕切られている。また、この隔壁部21は、変速機ケース4の内部に配設されたインプットシャフト41及びアウトプットシャフト(カウンタシャフトとも呼ばれる)42を、ベアリング43,44を介して回転自在に支持する機能をも兼ね備えている。
変速機ケース4内には複数の変速ギヤ等を備えた変速機構が収納されており(図示省略)、この変速ギヤは潤滑油によって潤滑及び冷却されている。尚、この変速機構は上記インプットシャフト41及びアウトプットシャフト42にそれぞれ複数の変速ギヤが設けられており、シンクロナイザー機構によって変速ギヤの噛み合い位置を変更することにより、エンジンからの駆動力を変速して図示しない駆動輪に伝達するようになっている。
また、エンジンから延びるクランクシャフト6の端部(後端部)には、フライホイール61が回転一体に取り付けられており、このフライホイール61にはクラッチカバー31が取り付けられている。このクラッチカバー31は、上記フライホイール61との間で、後述するダイヤフラムスプリング32、プレッシャプレート33、クラッチディスク34等を収容する空間を形成するように屈曲形成されており、その外周部がフライホイール61にボルト止めされている。
上記クラッチカバー31の内部にはダイヤフラムスプリング32が配設されている。このダイヤフラムスプリング32は、プレッシャプレート33をクラッチディスク34側に付勢することによって、クラッチディスク34をフライホイール61に押圧して、これらクラッチディスク34とフライホイール61とを係合(摩擦接触)させるものである。このダイヤフラムスプリング32は、径方向の中間部位がスプリングリテーナ35に保持されており、外周部分がプレッシャプレート33に当接している。
クラッチディスク34は、フライホイール61に対向配置されており、このクラッチディスク34のボス部34aは、変速機のインプットシャフト41の先端部に形成されたスプライン部41aにスプライン嵌合されている。これにより、クラッチディスク34は、インプットシャフト41に対して周方向には固定され(相対回転不能とされ)、軸方向には摺動可能となっており(相対移動可能となっており)、インプットシャフト41と一体的に回転するようになっている。
また、上記インプットシャフト41は、クランクシャフト6と同軸上に配置されており、一端部(前端部)が上記隔壁部21を貫通してクラッチハウジング2の内部空間に突出している。
また、上述した如く、クラッチディスク34は、ダイヤフラムスプリング32によってプレッシャプレート33を介してフライホイール61側に押圧されている。この状態がクラッチ装置1の接続(係合)状態であり、クランクシャフト6の駆動力は、フライホイール61からクラッチディスク34を経てインプットシャフト41に伝達される。
また、クラッチ装置1は、油圧式クラッチレリーズ機構(以下、単にレリーズ機構という)5によって操作(係合/解放の切り換え操作)されるようになっており、このレリーズ機構5の作動に伴って、クランクシャフト6からインプットシャフト41に伝達される動力の遮断が可能となっている。すなわち、クラッチ装置1を切断(解放)可能となっている。
本実施の形態では、上記クラッチカバー31、ダイヤフラムスプリング32、プレッシャプレート33、クラッチディスク34、スプリングリテーナ35が上記クラッチ機構3を構成している。
図2に示すように、レリーズ機構5は、中空ハウジング51を備えており、この中空ハウジング51は、内側ハウジング51a及び外側ハウジング51bを備えている。内側ハウジング51aはインプットシャフト41の外周囲を囲むように円筒形状に形成されている。
外側ハウジング51bの一端部(車両後方側の端部)には、周方向の複数箇所にフランジ51cが設けられている。これらフランジ51cには、その厚さ方向に貫通する貫通孔51dが形成されている。また、上記クラッチハウジング2の隔壁部21にはボルト孔21aが形成されており、これら貫通孔51d及びボルト孔21aが位置合わせされてボルトB1が挿通されることによって、中空ハウジング51が隔壁部21に固定されている。
また、上記中空ハウジング51の外側ハウジング51bは、内側ハウジング51aの外周面との間に所定空間を存するように配設されており、これら内側ハウジング51aと外側ハウジング51bとの間に環状ピストン52が収容されている。この環状ピストン52は、外側ハウジング51bと内側ハウジング51aとの間に形成されているシリンダ室53内において、インプットシャフト41の軸方向に沿って移動自在となっている。
上記環状ピストン52は、内側ハウジング51aと外側ハウジング51bとの間のシリンダ室53に収容された小径部52aと、この小径部52aのダイヤフラムスプリング32側(図2における左側)に連続し且つこの小径部52aよりも大径に形成された大径部52bとを備えている。そして、これら内側ハウジング51a、外側ハウジング51b及び環状ピストン52の小径部52aによって画成される上記シリンダ室53に作動油が供給されるようになっている。
また、環状ピストン52の小径部52aの端部にはシール部材54が設けられている。このシール部材54は、シリンダ室53から作動油が漏出するのを防止するように内側ハウジング51aの外周面及び外側ハウジング51bの内周面に密着している。
また、環状ピストン52の大径部52bの内周部にはレリーズベアリング55が設けられている。このレリーズベアリング55は、大径部52bの内周部に固定されたアウターレース55aと、アウターレース55aの内周部に球体55cを介して回転自在に設けられたインナーレース55bとを備えている。
また、上記シリンダ室53には配管(図示省略)の一端部が接続されており、この配管の他端部は図示しないマスタシリンダの油圧経路に接続されている。このマスタシリンダは、車室内のクラッチペダルが踏み込まれたときに配管を通してシリンダ室53に作動油を供給するようになっている。シリンダ室53に作動油が供給されると、環状ピストン52がインプットシャフト41の軸方向に沿ってダイヤフラムスプリング32側に移動し、レリーズベアリング55が環状ピストン52と共にインプットシャフト41の軸方向に沿って移動する。
そして、レリーズベアリング55のインナーレース55bがダイヤフラムスプリング32と共に回転しながら、このダイヤフラムスプリング32の内周端を加圧する。このとき、ダイヤフラムスプリング32は、スプリングリテーナ35による保持部を支点として外周側がクラッチディスク34から離れる方向に変位し、フライホイール61に対するクラッチディスク34の押圧を解除する。このようにしてクラッチ装置1の動力伝達が遮断されることになる。すなわち、クラッチペダルの操作に基づいてレリーズベアリング55は、環状ピストン52と共に前進してクラッチを切断する。
また、上記外側ハウジング51bと環状ピストン52との間にはコイルスプリング56が介装されている。このコイルスプリング56は、環状ピストン52をダイヤフラムスプリング32側に付勢して、レリーズベアリング55のインナーレース55bをダイヤフラムスプリング32の内周端に軽く押し付けている。
また、外側ハウジング51b及び環状ピストン52の外周部にはダストカバー57が装着されている。
−クラッチ装置1の冷却構造−
次に、上述の如く構成されたクラッチ装置1を冷却するための構造(本実施形態の特徴とする構造)について説明する。この冷却構造は、クラッチハウジング2の内部に比較的低温の外気を導入し、この外気によってクラッチ機構3を構成している各部材(クラッチディスク34やプレッシャプレート33等)を冷却するものである。また、このクラッチハウジング2の内部に導入する外気を、クラッチハウジング2の中心付近にまで導くことで高い冷却効率が得られるようにするものである。以下、具体的に説明する。
図3はクラッチハウジング2を下側から見た斜視図(後述するダクト8をクラッチハウジング2に対して取り付ける作業を説明するための斜視図)である。また、図4は、クラッチハウジング2、変速機ケース4及び排気管7L,7Rを上側から見た斜視図である。図5は、クラッチハウジング2、変速機ケース4及び排気管7L,7Rを下側から見た斜視図である。
本実施形態に係る車両はV型エンジンを搭載しているため、排気管7L,7Rとしては、左側バンク用の排気管(エンジンの左側バンクから排出された排気ガスが流れる排気管)7Lと、右側バンク用の排気管(エンジンの右側バンクから排出された排気ガスが流れる排気管)7Rとを備えている。これら排気管7L,7Rは、クラッチハウジング2及び変速機ケース4の下方に配設され、エンジンから排出された排気ガスを車体後方側へ導いて排出するようになっている。
具体的には、左側バンク用の排気管7Lは、クラッチハウジング2及び変速機ケース4の左側斜め下方に配設され、車体後方に向かうに従って車幅方向中央側に傾斜するように配置されている。同様に、右側バンク用の排気管7Rは、クラッチハウジング2及び変速機ケース4の右側斜め下方に配設され、車体後方に向かって車幅方向中央側に傾斜するように配置されている。このように各排気管7L,7Rが配設されているため、クラッチハウジング2に対しては、その後方側(車両後方側:クラッチハウジング2に対してエンジンの配設位置とは反対側の位置)において排気管7L,7Rが近接していることになる。つまり、クラッチハウジング2に対する排気管7L,7Rからの輻射熱は、その大部分がクラッチハウジング2の側面及び後方側から伝達される構成となっている。また、この排気管7L,7Rからの輻射熱は、クラッチハウジング2の側方及び後方の空間に存在する空気を加熱することになる。
また、各排気管7L,7Rの外周囲はインシュレータ(遮熱板)71L,71Rによって覆われており、各排気管7L,7Rからの輻射熱がクラッチハウジング2及び変速機ケース4に伝わり難い構成とされている。しかしながら、このクラッチハウジング2や変速機ケース4に伝わる輻射熱を完全に阻止することは困難であり、この輻射熱は、上述した如くクラッチハウジング2に対してその側面及び後方側から伝達され、また、クラッチハウジング2の側方及び後方の空間に存在する空気を加熱することになる。つまり、このクラッチハウジング2の側方及び後方の空間には、各排気管7L,7Rからの輻射熱によって温度上昇した空気が存在している。
尚、図5に示すように、各排気管7L,7R同士は、変速機ケース4の下側に配設されたステー72によって互いに連結されており、各排気管7L,7Rの相対位置が規制されている。
本実施形態では、上記各排気管7L,7Rからの輻射熱の影響を受け難い領域に存在する外気をクラッチハウジング2内に導入し、この外気によってクラッチ機構3を冷却するものである。
具体的には、図1及び図3に示すように、クラッチハウジング2の底板22には、この底板22を上下方向に貫通する外気導入開口23が設けられている。また、このクラッチハウジング2の底板22には、クラッチハウジング2の下側空間に存在する外気を上記外気導入開口23に向けて案内するためのダクト8が取り付けられている。
上記外気導入開口23は、クラッチハウジング2の底板22のうち、比較的後方側の位置に形成されている。具体的には、図1に示すように、上記隔壁部21に近接し、この隔壁部21の直前方位置に形成されている。また、この外気導入開口23の開口形状としては、クラッチハウジング2の底面視において略台形状となっている。この形状はこれに限定されるものではなく、任意に設定可能である。
また、クラッチハウジング2には、上記外気導入開口23の開口縁からクラッチハウジング2の内部空間に向けての外気の流れを案内するためのハウジング内壁25が形成されている。具体的に、このハウジング内壁25は、外気導入開口23における車両後方側の端縁からクラッチハウジング2の内部空間に延びる後方側内壁25aと、外気導入開口23における車両前方側の端縁からクラッチハウジング2の内部空間に延びる前方側内壁25bとを備えている。
上記後方側内壁25aは、略鉛直方向に延び、その上端が上記隔壁部21に連続している。一方、上記前方側内壁25bは、車両後方側に向かって斜め上方に延びる傾斜部25cと、この傾斜部25cの上端部に形成されたプレート取付部25dとを備えている。このプレート取付部25dと上記後方側内壁25aとの間には車両前後方向に所定間隔(図1における寸法t1)が設けられており、この両者25d,25a間で形成される空間が外気流通路の一部分(後述する第1空間S1)を構成している。また、上記傾斜部25cとクラッチ機構3(具体的にはクラッチカバー31の外面)との間にも車両前後方向に所定間隔(図1における寸法t2)が設けられており、これらの間で形成される空間も外気流通路の一部分(後述する第2空間S2)を構成している。
また、図3に示す如く、上記クラッチハウジング2の底板22には、上記外気導入開口23の開口縁から下方に向かって突出する枠形状のフランジ24が形成されている。このフランジ24は、上記外気導入開口23の開口形状に略合致するようにクラッチハウジング2の底面視が略台形状となっている。具体的には、上記外気導入開口23の開口縁の前端部から下方に延びる第1フランジ部24a、外気導入開口23の開口縁の後端部から下方に延びる第2フランジ部24b、第1フランジ部24aの右側端縁と第2フランジ部24bの右側端縁との間を連結する第3フランジ部24c、第1フランジ部24aの左側端縁と第2フランジ部24bの左側端縁との間を連結する第4フランジ部24dを備えている。そして、このフランジ24における各コーナ部、つまり、各フランジ部24a〜24d同士の接続部には、後述するダクト8を締結するためのボルト孔24e,24e,…が形成されている。また、クラッチハウジング2の底板22における上記フランジ24の前方位置(第1フランジ部24aの前方位置)にもダクト8を締結するためのボルト孔24f,24fが形成されている。
(ダクト8)
次に、上記クラッチハウジング2の底板22に取り付けられるダクト8の構成について説明する。図6はダクト8を示す図であり、図6(a)はダクトの底面図、図6(b)は図6(a)におけるB矢視図、図6(c)は図6(a)におけるC矢視図、図6(d)は図6(a)におけるD−D線に沿った断面図である。
これらの図に示すように、ダクト8は、ロアプレート81とアッパプレート82とが一体的に接合された構成となっている。
上記ロアプレート81は、その中央部分が下側(クラッチハウジング2に取り付けられた状態で下側)に膨出しており、その膨出部分83における車両前方側(クラッチハウジング2の底板22に取り付けられた状態で車両前方側に位置する部分)に多数の貫通孔で成る外気導入孔(空気導入口)83a,83a,…が形成されている。より具体的に、上記膨出部分83は、ロアプレート81の底面視において略五角形状に形成されており、そのうちの車両前方側の約半分の領域に外気導入孔83a,83a,…が形成されており、車両後方側の約半分の領域には孔や開口は形成されていない。
また、このロアプレート81の外縁部には、上記フランジ24に形成されている各ボルト孔24e,24e,…、及び、上記フランジ24の前方位置に形成されているボルト孔24f,24fに対応する同様の貫通孔81a,81aが形成されている。つまり、上記膨出部分83の外側に形成されている平板部84の各所に、外側に延びるフランジ84a,84a,…が形成されており、これら各フランジ84a,84a,…に、その厚さ方向に貫通する貫通孔81a,81a,…が形成されている。
一方、アッパプレート82(図6(a)では破線で示している)は、上記ロアプレート81の上面(このロアプレート81における上記平板部84の上面)に接合されており、このロアプレート81の車両前方側の上方を覆っている。つまり、このアッパプレート82は、ロアプレート81に形成されている上記外気導入孔83a,83a,…の上方を覆うように配設されている。これにより、これらロアプレート81とアッパプレート82との間には、上記ロアプレート81における膨出部分83の形成領域において、上記外気導入孔83a,83a,…から導入した外気を車両後方に向けて流すための空間(空気流路)Xが形成されている。また、アッパプレート82の後端縁は、上方に向けて屈曲されたガイド部82aが形成されている。つまり、上記ロアプレート81における膨出部分83の車両後方側の縁部とアッパプレート82の後端縁部との間には上方へ開放する開口85が形成されており、この開口85における車両前方側の縁部に上記ガイド部82aが設けられた構成となっている。
このような構成であるため、上記外気導入孔83a,83a,…からダクト8の内部に導入された外気は、ロアプレート81とアッパプレート82との間の空間Xを車両後方に向けて流れた後、上記ガイド部82aに沿って上記開口85から上方に向けて流れるようになっている。
このような構成とされたダクト8が、上記クラッチハウジング2の底板22にボルト止めされている。つまり、図3に示すように、ダクト8の各貫通孔81aとフランジ24及びクラッチハウジング2の底板22に形成されている各ボルト孔24e,24fとがそれぞれ位置合わせされた状態で、これらにボルトB3(図1参照)が挿入されることによってダクト8がクラッチハウジング2に取り付けられている。
(バッフルプレート)
上記クラッチハウジング2の内部空間には、上述の如くダクト8を通過して外気導入開口23から導入された外気の流れを案内するためにバッフルプレート(非回転プレート)9が配設されている。図7はバッフルプレート9を示す図であり、図7(a)はバッフルプレート9の正面図、図7(b)は図7(a)におけるE−E線に沿った断面図である。
これらの図に示すようにバッフルプレート9は、中央部に略円形の開口91を有する円板状の部材であって、その軸心方向に対して直交方向に延びる外周円板部92と、この外周円板部92の内周縁から内周側に向かうに従って車両前方側(クラッチハウジング2の内部空間に配設された状態で車両前方側)に延びる内周円板部93とを備えている。
また、上記外周円板部92の周方向に亘る複数箇所には、このバッフルプレート9をクラッチハウジング2の内面に取り付けるためのボルト孔94,94,…が形成されている。
上記クラッチハウジング2の隔壁部21及び上記ハウジング内壁25のプレート取付部25dには車両前後方向に延びるボルト孔が形成されており、上記バッフルプレート9に形成されているボルト孔94,94,…を、この隔壁部21及びプレート取付部25dに形成されているボルト孔に位置合わせした状態でこれらにボルトB2を挿通することによって、上記バッフルプレート9がクラッチハウジング2の内面に取り付けられている。この場合、バッフルプレート9の中央の開口91には、上記レリーズ機構5及びインプットシャフト41が挿通される。また、このバッフルプレート9の開口91の内径寸法は、上記レリーズ機構5の外径寸法(より具体的には上記ダストカバー57の外径寸法)よりも僅かに大きく設定されている。このため、これらバッフルプレート9の開口91の内周縁とレリーズ機構5の外周面との間には所定寸法の間隔(図1における寸法t3)が形成されており、これによって、クラッチハウジング2の内部空間におけるバッフルプレート9の後側空間(第1空間S1)と前側空間(第2空間S2)とは連通されている。
また、上記ハウジング内壁25の前方側内壁25bとバッフルプレート9の外周縁部とが連結されているため、クラッチハウジング2の内部空間における下側部分では、上記外気導入開口23から導入した外気をクラッチハウジング2の内部空間の中央部に案内する空間として、上記前方側内壁25b及びバッフルプレート9の車両後方側の空間で成る第1空間S1が形成されている。また、この第1空間S1に連続し且つクラッチハウジング2の内部空間の中央部に案内された外気をクラッチハウジング2の内部空間の外周囲に案内する空間として、上記前方側内壁25b及びバッフルプレート9の車両前方側の空間で成る第2空間S2が形成されている。これら第1空間S1と第2空間S2とは、上記バッフルプレート9の開口91の内周縁とレリーズ機構5の外周面との間に形成されている空間(上記寸法t3の空間)を介して互いに連通されている。言い換えると、上記第1空間S1と第2空間S2とは、クラッチハウジング2の内部空間の中央部分で互いに連通されている。
尚、上記クラッチハウジング2における車両前方側の端縁近傍には、このクラッチハウジング2の内部空間に導入した外気を外部に排出するための外気導出開口(空気排出口)26が形成されている。この外気導出開口26は、クラッチハウジング2の車両前端縁に形成されているフランジ27に形成され且つ半径方向に貫通する開口で成っている。また、この外気導出開口26は、クラッチハウジング2の周方向の複数箇所に形成され、且つ上記クラッチ機構3に対してその外周側で対向する位置に形成されている。
−クラッチ装置1の冷却動作−
次に、上記構成におけるクラッチ装置1の冷却動作について説明する。
クラッチ装置1の係合状態(エンジンの駆動力が変速機に伝達されている状態)では、クラッチハウジング2内でのクラッチ機構3(クラッチカバー31、ダイヤフラムスプリング32、プレッシャプレート33、クラッチディスク34等)の回転に伴って、このクラッチハウジング2の内部空間では旋回流が発生している。これにより、このクラッチハウジング2の内部空間では、外気導入開口23から外気導出開口26に向かう気流が発生している。
このため、クラッチハウジング2の下側空間に存在してる外気は、ダクト8の外気導入孔83a,83a,…からダクト8の内部に流入される。このダクト8の内部に流入した空気は、このダクト8の内部空間Xを前方から後方に向かって、つまり、外気導入孔83a,83a,…の形成位置から開口85の形成位置に向かって流れる(図1における気流Iを参照)。そして、この空気は、ダクト8の開口85からクラッチハウジング2の外気導入開口23を経て、このクラッチハウジング2の内部空間に流入される。このクラッチハウジング2の内部空間では、空気は、先ず、第1空間S1に流れ込み、この第1空間S1におけるクラッチハウジング2の外周部から内周部に向かう流れとなる(図1における気流IIを参照)。第1空間S1の内周端に達した空気は、上記バッフルプレート9の開口91の内周縁とレリーズ機構5の外周面との間に形成されている空間を通過して第2空間S2に流れ込み、この第2空間S2におけるクラッチハウジング2の内周部から外周部に向かう流れとなる(図1における気流IIIを参照)。つまり、この第2空間S2では、クラッチ機構3の中央部分(回転中心部分)から外周部分に亘って空気が流れることになり、このクラッチ機構3の略全体に亘って空気を流すことで、広範囲に亘って冷却効果を発揮させることが可能となる。このような空気の流れ(図1における気流II及び気流IIIの流れ)がクラッチハウジング2内の全周囲において発生している。
第2空間S2の外周部に達した空気は、上記旋回流によりクラッチハウジング2の周方向に沿って流れた後、このクラッチハウジング2に形成されている上記外気導出開口26から外部に排出される(図1における気流IVを参照)。このような空気の流れが連続的に発生している。
以上説明したように、本実施形態では、上記各排気管7L,7Rからの輻射熱の影響を受け難い領域(クラッチハウジング2の下側空間のうち前側寄りの領域)に存在する外気を、ダクト8を介してクラッチハウジング2内に導入し、この外気によってクラッチ機構3を冷却するようにしている。このため、比較的温度の低い空気を効果的に利用してクラッチ機構3の全体を冷却でき、クラッチ機構3が局部的に高温になってしまう(例えば軸心部分のみが冷却できずに高温になってしまう)といった状況を回避できて、クラッチ装置の特性の変化や寿命の短縮化を抑制することができる。
また、上記クラッチハウジング2に形成されている外気導出開口26は、クラッチ機構3に対してその外周側で対向しているため、クラッチ機構3の回転に伴ってクラッチハウジング2内で発生する旋回流を利用した空気の排出を効果的に行うことができ、クラッチハウジング2内での空気の流速を高めることができて冷却効率をよりいっそう高めることが可能である。
−実験例−
本実施形態の効果を確認するために行った各種実験及びその結果について以下に説明する。
(実験例1)
先ず、クラッチハウジング2の内部空間に導入される外気の温度が比較的低いことを確認するために行った実験の結果について説明する。つまり、本実験では、クラッチハウジング2の周辺の5箇所の空気温度を温度センサによって検出し、上記ダクト8の外気導入孔83a,83a,…の周辺の空気温度が比較的低温であることを確認するものである。
具体的には、図4及び図5に示した測定点a〜eの空気温度を測定した。測定点aはクラッチハウジング2の右側位置、測定点bはクラッチハウジング2の左側位置、測定点cはクラッチハウジング2の上側位置、測定点dはクラッチハウジング2の下側空間のうち車両前後方向中央位置、測定点eはクラッチハウジング2の下側空間のうち車両前後方向前寄り位置(上記ダクト8の外気導入孔83a,83a,…の形成位置に相当)である。
測定結果を図8に示す。この図8から明らかなように、測定点e(クラッチハウジング2の下側空間のうち車両前後方向前寄り位置)の空気温度が、他の測定点a〜dよりも低くなっており、これによって、クラッチハウジング2の内部空間に導入される外気の温度が比較的低いものであることが確認された。つまり、クラッチハウジング2の内部空間に導入された外気により高い冷却効果が得られることが確認された。
(実験例2)
次に、上記実施形態の如く、ダクト8を使用してクラッチハウジング2の下側空間のうち車両前寄りの空気を導入した場合と、従来の如く、単にクラッチハウジング2の下面中央部から空気を導入した場合とのクラッチハウジング内温度それぞれの測定結果について説明する。これは、クラッチハウジング2の内部空間の中央部に温度センサを配設することにより行った。
測定結果を図9に示す。この図9から明らかなように、ダクト8を使用してクラッチハウジング2の下側空間のうち車両前寄りの空気を導入した場合の方がクラッチハウジング内温度が低くなっており、クラッチ機構3の冷却効果が高いことが確認された。
(実験例3)
次に、バッフルプレート9とハウジング内壁25の前方側内壁25bとを連結した場合の空気の流れと、バッフルプレート9と前方側内壁25bとを分離した場合(両者間に空間がある場合)の空気の流れとの解析結果について説明する。図10は、クラッチハウジング2内の空間形状を模式的に示す図であって、図10(a)はバッフルプレート9と前方側内壁25bとを連結した場合の空気の流れを示し、図10(b)はバッフルプレート9と前方側内壁25bとを分離した場合の空気の流れを示す図である。この図では、矢印の長さが空気の流速を示しており、矢印の長さが長いほど空気の流速が高いことを表している。
これらの図から明らかなように、バッフルプレート9と前方側内壁25bとを連結した場合、クラッチハウジング2の内部空間における空気の流速が高くなっており、クラッチ機構3の冷却効果が高いことが確認された。その理由として、バッフルプレート9と前方側内壁25bとを分離した場合、第2空間S2を流れている空気の一部がバッフルプレート9と前方側内壁25bとの間から第1空間S1に流れ込むことになり、この流れ込みに伴う空気の乱れの影響や、バッフルプレート9と前方側内壁25bとの間を空気が流れる際の圧力損失等の影響によって空気の流速が低くなるためであると考えられる。
(実験例4)
次に、上記実施形態の如く、バッフルプレート9によってクラッチハウジング2の内部空間を区画した場合と、従来の如く、バッフルプレート9を配設しない場合とのクラッチハウジング2内への吸気量(単位時間当たりの空気の導入量)の測定結果について説明する。これは、ダクト8からの吸気量をセンサによって測定することにより行った。
測定結果を図11に示す。この図11から明らかなように、バッフルプレート9によってクラッチハウジング2の内部空間を区画した場合の方がクラッチハウジング2内への吸気量が多く得られており、クラッチ機構3の冷却効果が高いことが確認された。その理由として、バッフルプレート9を配設しない場合、クラッチハウジング2の内部空間での整流作用(バッフルプレート9による整流作用)が無くなり、このクラッチハウジング2の内部空間での気流の乱れの影響によって吸気量が減少するためであると考えられる。
−他の実施形態−
以上説明した実施形態はFR型の自動車に搭載されたクラッチ装置1に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型の自動車に搭載されたクラッチ装置に対しても適用可能である。また、エンジンとしては、V型エンジンに限らず、直列型エンジンや水平対向エンジンであってもよい。また、自動車以外に搭載されるクラッチ装置にも本発明は適用可能である。更には、ガソリンエンジン及びディーゼルエンジンの何れに接続されるクラッチ装置に対しても本発明は適用可能である。
また、上記実施形態では、ダイレクトシリンダタイプのクラッチ装置1に対して本発明を適用した場合について説明したが、その他のタイプのクラッチ装置に対しても本発明は適用可能である。
また、上記クラッチハウジング2に対する各排気管7L,7Rの配設位置としては、クラッチハウジング2の下側(斜め下方)には限定されず、クラッチハウジング2付近であれば本発明の効果を発揮することが可能である。
本発明は、クラッチハウジングの下側から導入した外気を利用するクラッチ装置の冷却構造に適用可能である。
1 クラッチ装置
2 クラッチハウジング
22 底板
23 外気導入開口
26 外気導出開口(空気排出口)
3 クラッチ機構
31 クラッチカバー
32 ダイヤフラムスプリング
33 プレッシャプレート
34 クラッチディスク
7L,7R 排気管
8 ダクト
81 ロアプレート
82 アッパプレート
83a 外気導入孔(空気導入口)
85 開口(空気供給口)
9 バッフルプレート(非回転プレート)
91 開口
S1 第1空間
S2 第2空間
X 空間(空気流路)

Claims (4)

  1. エンジンからの駆動力を受けるクラッチ機構がクラッチハウジング内に収容されていると共に、このクラッチハウジングの底板に設けられた外気導入開口から空気を導入することによってクラッチ機構を冷却するようにしたクラッチ装置の冷却構造において、
    上記エンジンからの排気ガスを排出する排気管が、クラッチハウジングに対してエンジンの配設位置とは反対側の位置でクラッチハウジングに近接しており、
    上記クラッチハウジングの底板には、ロアプレートとアッパプレートとが一体的に接合されて成り且つクラッチハウジングの下側空間から外気を導入して上記外気導入開口に導くダクトが取り付けられており、このダクトのロアプレートには、クラッチハウジングにおけるエンジン配設位置側の端縁よりもエンジン配設位置寄りに位置する外気導入孔が形成されており、
    上記ダクトのロアプレートとアッパプレートとの間には空気流路が形成されていると共に、この空気流路の反エンジン配設位置側には、上記ロアプレートとクラッチハウジングの底板との間に空間が形成されており、
    上記クラッチハウジングにおけるエンジン配設位置側の端縁よりもエンジン配設位置寄りに位置する外気導入孔から導入された空気が、上記ロアプレートとアッパプレートとの間の空気流路をエンジン配設位置側から反エンジン配設位置側に向かって流れた後、上記ロアプレートとクラッチハウジングの底板との間の空間を更に反エンジン配設位置側に向かって流れ、その後、上記外気導入開口からクラッチハウジング内に導かれる構成とされていることを特徴とするクラッチ装置の冷却構造。
  2. 請求項1記載のクラッチ装置の冷却構造において、
    上記クラッチハウジングの内部には、上記空気導入口から導入された空気をクラッチ機構の回転中心部に向けて導く非回転プレートが配設されていることを特徴とするクラッチ装置の冷却構造。
  3. 請求項2記載のクラッチ装置の冷却構造において、
    上記非回転プレートは、クラッチ機構に対してエンジンの配設位置とは反対側の位置に配設されていると共に中央部に開口が形成されており、クラッチハウジングの内部空間を、エンジンの配設位置とは反対側の第1空間と、エンジンの配設位置側の第2空間とに仕切るように配設されていると共に、上記中央部に形成された開口によって第1空間と第2空間とが連通している一方、
    上記空気導入口が上記第1空間に連通し、クラッチハウジングに形成されている空気排出口が上記第2空間に連通していることを特徴とするクラッチ装置の冷却構造。
  4. 請求項1、2または3記載のクラッチ装置の冷却構造において、
    上記クラッチハウジングには、クラッチ機構を構成している回転部材の外周囲に対向する位置に空気排出口が形成されていることを特徴とするクラッチ装置の冷却構造。
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