地上デジタル放送では、建物によるゴースト妨害、例えば、建物等で反射された反射波と直接波とが干渉することにより信号が減衰するマルチパスや、前記反射波同士が干渉することにより信号が減衰するフェージングの克服に好適な変調方式として、マルチキャリアのOFDM変復調方式が知られている。
OFDM変復調方式とは、1チャンネル帯域内に多数(256〜1024程度)のサブ・キャリアを設けて、映像信号や音声信号を効率よく伝送することが可能なデジタル変調・復調方式である。
OFDM変調方式では、全キャリアを高速フーリエ逆変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)することによって、OFDM変調されたベースバンド(BB:BaseBand)信号を生成する。
図15は、OFDM変調波の伝送シンボル300の構造を示す図である。伝送シンボル300は、有効シンボル301を含む。本明細書において、Tuは、有効シンボル期間(有効シンボル301の期間長)を表す。IFFTの処理窓の期間が、有効シンボル期間Tuに一致するように行われる。有効シンボル301を基本単位として、デジタル変調された全キャリアを加え合わせたものを、OFDM伝送シンボルという。
実際の伝送シンボル300は、通常、図15に示すように、有効シンボル301の他に、ガードインターバル302を含む。本明細書において、Tgはガードインターバル期間(ガードインターバル302の期間長)を表す。ガードインターバル302の信号波形は、有効シンボル301の一部(ドットパターンで示した部分303)の信号波形が複写されたものになっている。伝送シンボル期間(伝送シンボル300の期間長)Tsは、有効シンボル期間Tuとガードインターバル期間Tgとの和となる。
非特許文献2に記載の放送規格によると、有効シンボル期間Tuは、MODEと呼ばれるパラメータによって下記表1のように定義されている。
さらに、ガードインターバル期間(単位:μs)は、各有効シンボル期間に対する比であるGI期間長(GI比)と呼ばれるパラメータによって、下記表2のように定義されている。
また、伝送シンボルを幾つか集めたものを伝送フレームという。これは、情報伝送用シンボルが100個程度集まったものに、フレーム同期用シンボルやサービス識別用シンボルを付加したものである。たとえば非特許文献1では、1フレームが204シンボルと定義されている。
また、非特許文献2によると、QPSK、16QAM、または64QAM変調された1伝送シンボルには、1セグメント当たり、下記表3に示すキャリアが配置されている。
この表において、SPは、SP(Scattered Pilot)信号を意味する。このSP信号は、周期的に挿入されるパイロット信号であり、たとえば、キャリア方向において、12キャリアに1回、シンボル方向において、4シンボルに1回、挿入される。
TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号は、フレーム同期信号や伝送パラメータを伝送するための信号である。
AC1(Auxiliary Channel)信号は、付加情報を伝送するための信号である。TMCCおよびAC1は、SPと異なり、各キャリアにおいて、非周期的に配置されている。
次に、従来のOFDM復調装置について、図16〜図19に基づいて説明する。
図16は、非特許文献1に記載の望ましい仕様に基づいて構成された、従来のOFDM復調装置100の構成を示すブロック図である。
図16に示すように、OFDM復調装置100は、OFDM復調LSI(大規模集積回路)101と、アンテナ102と、チューナ103とを備える構成である。また、OFDM復調LSI101は、内部にベースバンド信号処理部104と、誤り訂正処理部116とを備える。
ベースバンド信号処理部104は、アナログデジタル変換器(ADC)105と、直交復調回路106と、キャリア周波数誤差補正回路107と、AGC(自動利得制御)回路108と、シンボル同期回路109と、狭帯域キャリア周波数誤差検出回路110と、NCO(数値制御発振回路)111と、FFT演算回路112と、TMCC復号回路113と、広帯域キャリア周波数誤差検出回路114と、波形等化回路115とを有する構成である
放送局から放送されたデジタル放送の放送波は、OFDM復調装置100のアンテナ102により受信され、RF(高周波)信号としてチューナ103に供給される。チューナ103は、アンテナ102を通じてそれぞれ受信されたRF信号を、IF(中間周波数)信号に周波数変換する。チューナ103は、周波数変換したIF信号を、ベースバンド信号処理部104に設けられたADC105に供給する。
チューナ103から出力されたIF信号は、ADC105によりデジタル化される。デジタル化されたIF信号は、直交復調回路106に供給される。
直交復調回路106は、所定の周波数(キャリア周波数)のキャリア信号を用いて、デジタル化されたIF信号を直交復調し、ベースバンドのOFDM信号を出力する。ベースバンドのOFDM信号は、直交復調された結果、実軸成分(Iチャネル信号)と、虚軸成分(Qチャネル信号)とから構成される複素信号となる。直交復調回路106から出力されるベースバンドのOFDM信号は、キャリア周波数誤差補正回路107に供給される。
キャリア周波数誤差補正回路107は、デジタル直交復調回路106から出力されたベースバンドのOFDM信号に対して、NCO111から出力される周波数補正信号(複素信号)を複素乗算することによって、OFDM信号の中心周波数のズレを補正する。
一般に、OFDMの復調では、2種類のキャリア周波数誤差を独立に検出し、その2種類のキャリア周波数誤差を加算して、NCO111に与える制御信号としている。2種類のキャリア周波数誤差のうちの一つは、サブキャリアの周波数間隔の精度の周波数誤差である、広帯域キャリア周波数誤差である。もう一つは、サブキャリアの周波数間隔に対して±1/2以下の精度の周波数誤差である、狭帯域キャリア周波数誤差である。
広帯域キャリア周波数誤差検出回路114は、FFT演算された後の各サブキャリアからパイロット信号を抽出し、抽出したパイロット信号に基づいて広帯域キャリア周波数誤差を検出する。検出された広帯域キャリア周波数誤差は、NCO111に入力される。
狭帯域キャリア周波数誤差検出回路110は、OFDM信号におけるキャリア周波数以下の中心周波数のずれ量に対応する位相回転量を検出する。検出された位相回転量は、狭大域キャリア周波数誤差として、NCO111に入力される。狭帯域キャリア周波数誤差検出回路110については、図16および図17に基づいて後で詳しく説明する。
FFT演算回路112は、ベースバンドのOFDM信号に対してFFT演算を行い、各サブキャリアに直交変調されている信号を抽出して出力する。FFT演算回路112は、1つのOFDMシンボルから有効シンボル長分の信号を抜き出し、抜き出した信号に対してFFT演算を行う。すなわち、FFT演算回路112は、1つのOFDMシンボルからGI期間長分の信号を除き、残った信号に対してFFT演算を行う。
FFT演算を行うために抜き出される信号の範囲は、該抜き出された信号点が連続する場合、1つのOFDM伝送シンボル中の任意の位置でよい。つまり、その抜き出される信号の範囲の開始位置は、ガードインターバル期間中のいずれかの位置となっている。FFT演算回路112により抽出される各サブキャリアに変調された信号は、実軸成分(Iチャネル信号)と虚軸成分(Qチャネル信号)とから構成される複素信号である。FFT演算回路112により抽出された信号は、TMCC復号回路113、広帯域キャリア周波数誤差補正回路114、および、波形等化回路115に供給される。
波形等化回路115には、FFT演算回路112から出力された各サブキャリアから復調された後の信号が供給される。波形等化回路115は、図示しないが、特許文献1に記載の波形等化回路のように、FFT復調信号からSPキャリアを抽出するSP抽出回路と、SP基準キャリアを発生するSP発生回路と、前記抽出したSPキャリアを前記基準キャリアで除算する複素除算回路と、SP補間LPFと、データ抽出回路と、データ抽出回路によって抽出されたデータキャリアをSP補間LPFから取得したデータキャリア伝達関数で除算する複素除算回路とを備え、これらにより、FFT復調信号に対してキャリア復調を行う。ISDB−T規格のOFDM信号を復調する場合であれば、波形等化回路115は、たとえば、DQPSKの差動復調、または、QPSK、16QAM、及び64QAMなどの同期復調を行う。
TMCC復号回路113は、OFDM伝送フレームにおける所定の位置に変調されている、TMCCなどの伝送制御情報を復号する。誤り訂正処理部116は、波形等化回路115により波形等化されたOFDM信号の誤りを訂正する。
OFDM復調装置100に含まれる、シンボル同期回路109と狭帯域キャリア周波数誤差検出回路110とについて、図17および図18を参照して説明する。
図17は、シンボル同期回路109、および、狭帯域キャリア周波数誤差検出回路110の構成を示すブロック図である。シンボル同期回路109は、ガード相関回路121、フィルタ122、振幅算出回路123、および、最大値検出回路124を含んで構成される。また、狭帯域キャリア周波数誤差検出回路110は、ガード相関回路121、フィルタ122、および、位相算出回路125を含んで構成される。ガード相関回路121とフィルタ122とは、シンボル同期回路109、および、狭帯域キャリア周波数誤差検出回路110に共通に含まれる。
ガード相関回路121には、キャリア周波数誤差補正回路107から出力された、図18の(A)に示すような、ベースバンドのOFDM信号が入力される。ガード相関回路121は、入力されたOFDM信号に基づいて、ガード相関信号を生成する。具体的には、図18の(B)に示すような、入力されたOFDM信号を有効シンボル期間Tu分遅延させた遅延信号を生成し、入力されたOFDM信号と該遅延信号とを複素乗算することにより、図18の(C)および(D)に示すような、ガード相関信号を得る。
フィルタ122には、ガード相関回路121により生成されたガード相関信号が入力される。フィルタ122は、入力された上記ガード相関信号をフィルタリングする。一般的には、フィルタ122は、入力されたガード相関信号に対してガードインターバル長の移動平均処理を行い、図18の(E)および(F)に示すようなフィルタリングされたガード相関信号を生成する。フィルタリングされたガード相関信号は、ちょうどOFDMシンボルの境界位置において、振幅成分がピークを有する複素信号となる。
振幅算出回路123には、フィルタ122によりフィルタリングされたガード相関信号が入力される。振幅算出回路123は、フィルタリングされたガード相関信号の実数成分および虚数成分の振幅または電力を算出し、それぞれの振幅または電力を加算することにより、図18の(G)に示すような、振幅成分を算出する。最大値検出回路124は、振幅算出回路123により算出された振幅成分のピーク位置を検出する。
図18の(H)は、最大値検出回路124により検出されるピーク位置を示す。このピーク位置から1サンプリングタイミング遅れたタイミングがシンボル先頭位置となる。最大値検出回路124は、シンボル境界を示すシンボルタイミング信号を生成し、生成したシンボルタイミング信号をFFT演算回路112、および、位相算出回路125に供給する。
位相算出回路125には、フィルタ122によりフィルタリングされたガード相関信号が入力される。位相算出回路125は、最大値検出回路122により生成されたシンボルタイミング信号を参照し、図18の(G)に示すような、シンボル境界におけるガード相関信号の位相を検出する。
ここで、位相算出回路125にて検出された位相成分は、デジタル直交復号後のOFDM信号の中心周波数がずれていなければ0となる。逆に、中心周波数がずれていれば、この位相成分は、そのずれ量分だけ位相回転する。つまり、位相算出回路125にて検出される位相成分は、直交復調後のOFDM信号における中心周波数のずれ量を示している。もっとも、この位相成分は、サブキャリアの周波数間隔で一回転してしまうため、サブキャリアの周波数間隔の±1/2以下の精度の情報となる。
上記の中心周波数のずれ量をδFcとし、送信信号をs(t)とすると、受信信号をr(t)は、(1)式のように表される。
また、ガード相関回路121により生成されるガード相関信号は、(2)式のように表される。
ここで、X*は、Xの複素共役を表す。
なお、(2)式、および、以下の説明におけるTg期間とは、有効シンボル期間Tu遅延されたOFDM信号のガードインターバル期間Tg(図18(B)参照)、すなわち、ガード相関信号においてOFDM信号の相関が現れる期間(図18(C)および(D)参照)である。(2)式に示されるように、ガード相関回路121により生成されたガード相関信号は、Tg期間において、一定の位相−2πδFcTuをもつ。そのため、フィルタ122により、例えば、単純にガードインターバル長の移動平均を行うことにより、図18の(E)および(F)に示すような相関波形が得られる。図18の(F)に示されるピーク位置における位相はガードインターバル期間のみの平均結果である。従って、上記ピーク位置における位相は揺らぎを抑制されており、狭帯域キャリア周波数誤差δFcを用いて、位相回転量exp(−j2πδFc・Tu)を精度よく検出できる。位相算出回路125は、図16に示したように、検出した位相を累積して、NCO111に出力する。その後、NCO111から出力される周波数補正信号(複素信号)に基づいて、キャリア周波数誤差補正回路107において検出した狭帯域キャリア周波数誤差δFcによる位相回転が補正される。
しかしながら、前記のシンボル同期回路109や、狭帯域キャリア周波数誤差検出回路110では、伝送帯域内における特定の周波数で強いピークをもつスプリアス妨害波や、伝送帯域内にアナログテレビ放送など他の伝送信号が存在するような場合、ガード相関回路121によって生成されたガード相関信号に、妨害波による相関が付加され、正確なシンボル境界、および、狭帯域キャリア周波数誤差を検出できないという問題を生じる。
伝送帯域内にスプリアス妨害波が混入した場合について、図19を用いて説明する。図19の(A)は、OFDM信号を示す。図19の(B)は、受信信号r(t)に含まれるスプリアス妨害波を示す。なお、ここでは、説明の簡単化のために、スプリアス妨害波を、以下の(3)式で表される正弦波としている。
(3)式で示したスプリアス妨害波が受信信号r(t)に含まれている場合、ガード相関回路121により生成されるガード相関信号は、以下の(4)式のようになる。
(4)式における互いに無相関な項を無視すると、以下の(5)式が得られる。
(5)式から分かるように、ガード相関回路121により生成されるガード相関信号には、図19の(C)および(D)に示したように、一定の相関値を有する妨害波同士の相関が付加される。このため、振幅算出回路123により算出される、フィルタリングされたガード相関信号の振幅成分は、図19の(E)に示されるような波形となり、ピーク位置が見えなくなってしまう。
また、伝送帯域内にスプリアス妨害波が混入した場合、(5)式により示されるように、狭帯域キャリア周波数誤差検出回路110にて検出すべき狭帯域キャリア周波数誤差δFcによる位相回転量exp(−j2πδFc・Tu)に加え、スプリアス妨害波による一定な位相回転量exp(−j2πFi・Tu))をオフセット回転量として含む位相回転量が、位相算出回路125により検出される。つまり、位相検出回路125は、位相回転量をFiだけ誤検出してしまう。
上記の問題に対し、特許文献2には、図19の(C)および(D)により示されるガード相関信号にオフセットとして含まれる一定の相関値を検出し、検出したオフセットを除去する技術が開示されている。特許文献2に記載の技術によりオフセットを除去されたガード相関信号は、図19の(F)および(G)のようになる。オフセットを除去されたガード相関信号からは、図19の(H)に示したような振幅成分が得られるので、そのピークを正しく検出することができる。
ここで、スプリアス妨害波に起因する、ガード相関信号にオフセットとして含まれる一定の相関値は、(5)式における、Tg期間外のガード相関信号に一致する。また、スプリアス妨害波に起因する上記一定の相関値と、OFDM信号自体の本来の相関値との和は、(5)式におけるTg期間内のガード相関信号に一致する。したがって、後者から前者を減算した差が、OFDM信号自体の本来の相関値に一致する。したがって、上記のようにしてオフセット除去を行ったガード相関信号に基づいて狭帯域キャリア周波数誤差を算出すれば、Fiだけ誤検出することなく、正しくδFcを検出することが可能である。
日本国公開特許公報「特開2004−214960号公報」(公開日:2004年7月29日)
日本国公開特許公報「特開2005−322954号公報」(公開日:2005年11月17日)
地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式、ARIB STD−B30(望ましい仕様) 1.2版、社団法人電波産業会、平成13年5月31日策定、平成15年7月29日1.2改定
地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式、ARIB STD−B31(伝送規格) 1.2版、社団法人電波産業会、平成13年5月31日策定、平成15年7月29日1.2改定
しかしながら、ガード相関信号をガードインターバルに渡って積分する上記従来の構成では、ガード相関信号に含まれる妨害波による振動成分のうち、ガードインターバルより十分短い周期の振動成分しか打ち消すことができず、一定のオフセット値が得られなかった。例えば、伝送帯域内に特定の周波数で強いピークをもつスプリアス妨害波が複数存在する場合、異なる妨害波同士の振動する相関を打ち消すことができず、一定のオフセット値が得られなかった。そのため、上記のような振動成分がある場合、OFDM信号自体のガード相関を抽出することができず、狭帯域キャリア周波数誤差の補正とシンボル同期(シンボルタイミング検出)とが正確に行えないという問題を生じていた。
上記問題について、より具体的に説明すれば、以下のとおりである。
ここでは一例として、伝送帯域内にスプリアス妨害波が2波混入した場合について考える。ここで、説明の簡単化のために、第1のスプリアス妨害波は、以下の(6)式より表される正弦波であり、また、第2のスプリアス妨害波は、以下の(7)式により表される正弦波であるものとする。
この時、ガード相関回路121によって生成されるガード相関信号は、以下の(8)式のように表せる。
(8)式において、互いに無相関な項は無視すると、以下の(数9)を得る。
(9)式に示されているように、ガード相関回路121によって算出されるガード相関信号は、同一妨害波同士の一定の相関(Tg期間内の第2項および第3項、ならびに、Tg期間外の第1項および第2項)に加え、異なる妨害波同士の振動する相関(Tg期間内の第4項および第5項、ならびに、Tg期間外の第3項および第4項)を含む。
そのため、フィルタ122によってガードインターバル期間Tgの移動平均をとっても、図20の(C)および(D)で示すように、移動平均後のガード相関信号は、オフセットを持ち、同時に振動もする。したがって、図20の(E)に示される、振幅算出回路123により算出された振幅成分も、伝送シンボルの境界にピークをもたない。また、図20の(F)および(G)は、同一妨害波同士の一定の相関を除いたガード相関信号である。このように同一妨害波同士の一定の相関を除いても振動成分は残り、OFDM信号自体の相関が埋もれてしまう。図20の(H)は、図20(F)および(G)の振幅の和であるが、ガードインターバル期間Tg以外にもピークが確認され、伝送シンボルの境界を検出することは困難となる。
次に、狭帯域キャリア周波数誤差の検出について、図21を参照して考える。
スプリアス妨害波が無い場合、狭帯域キャリア周波数誤差検出回路110は、狭帯域キャリア周波数誤差検出結果として、図21の(A)のように、検出すべきデジタル直交復調後のOFDM信号の中心周波数のずれ量δFcを検出する。一方、(3)式により示される単一のスプリアス妨害波が混入された場合、図21の(B)のように、δFcにスプリアスの位相であるδFiが付加されて検出される。ただし、δFiは一定値であり、特許文献2の技術で除去可能である。しかし、スプリアス妨害波が2波混入した場合、例えシンボル先頭位置が分かりガードインターバル期間Tgが分かったとしても、図21の(C)のように、狭帯域キャリア周波数誤差検出値はスプリアス妨害波同士の相関の為に振動してしまう。このように検出値が振動してしまう場合、特許文献2の技術では、その妨害波のもつ相関を除去する能力は十分ではなくなる。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、妨害波による相関が一定でない場合にも、ガード相関信号に含まれる妨害波による振動成分を打ち消すことができ、狭帯域キャリア周波数誤差の補正とシンボル同期とを正確に行うことができるOFDM復調装置を実現することにある。
本発明に係るOFDM復調装置は、上記課題を解決するために、有効シンボルと該有効シンボルの一部の信号波形が複写されたガードインターバルとを含む伝送シンボルを伝送単位とするOFDM信号を復調するOFDM復調装置であって、OFDM信号と有効シンボル期間遅延されたOFDM信号との複素相関値を1伝送シンボル期間おきに加算することによって、シンボルナンバー方向に積分された複素相関値を算出するシンボルナンバー方向積分手段と、上記積分された複素相関値に基づいて推定したオフセットを、上記積分された複素相関値から除去するオフセット除去手段と、オフセットが除去された上記積分された複素相関値に基づいて、狭帯域キャリア周波数誤差を検出する誤差検出手段と、上記誤差検出手段により検出された狭帯域キャリア周波数誤差の安定性を判定する安定性判定手段と、を備えている、ことを特徴としている。
上記の構成によれば、OFDM信号と有効シンボル期間遅延されたOFDM信号との相関値に妨害波による振動成分が含まれている場合でも、上記シンボルナンバー方向積分手段が上記相関値をシンボルナンバー方向に積分することにより、上記振動成分は打ち消される。すなわち、シンボルナンバー方向に積分された相関値は、OFDM信号自体の相関値と、妨害波による一定のオフセットとの和になる。上記オフセット除去手段は、シンボルナンバー方向に積分された相関値からオフセットを除去する。したがって、オフセットが除去された相関値は、OFDM信号自体の相関値になる。このため、狭帯域キャリア周波数誤差補正手段は、OFDM信号自体の相関値に基づいて、狭帯域キャリア周波数誤差を正確に検出することができるという効果を奏する。
本発明に係るOFDM復調方法は、上記課題を解決するために、有効シンボルと該有効シンボルの一部の信号波形が複写されたガードインターバルとを含む伝送シンボルを伝送単位とするOFDM信号を復調するOFDM復調方法であって、OFDM信号と有効シンボル期間遅延されたOFDM信号との複素相関値を1伝送シンボル期間おきに加算することによって、シンボルナンバー方向に積分された複素相関値を算出するシンボルナンバー方向積分工程と、上記積分された複素相関値に基づいて推定したオフセットを、上記積分された複素相関値から除去するオフセット除去工程と、オフセットが除去された上記積分された複素相関値に基づいて、狭帯域キャリア周波数誤差を検出する狭帯域キャリア周波数誤差検出工程と、上記狭帯域キャリア周波数誤差検出工程により検出された狭帯域キャリア周波数誤差の安定性を判定する安定性判定工程と、を含んでいる、ことを特徴としている。
上記の構成によれば、OFDM信号と有効シンボル期間遅延されたOFDM信号との相関値に妨害波による振動成分が含まれている場合でも、上記シンボルナンバー方向積分手段が上記相関値をシンボルナンバー方向に積分することにより、上記振動成分は打ち消される。すなわち、シンボルナンバー方向に積分された相関値は、OFDM信号自体の相関値と、妨害波による一定のオフセットとの和になる。上記オフセット除去手段は、シンボルナンバー方向に積分された相関値からオフセットを除去する。したがって、オフセットが除去された相関値は、OFDM信号自体の相関値になる。このため、狭帯域キャリア周波数誤差補正工程においては、OFDM信号自体の相関値に基づいて、狭帯域キャリア周波数誤差を正確に検出することができるという効果を奏する。
本発明に係るOFDM復調装置では、上記安定性判定手段は、上記シンボルナンバー方向積分手段が1伝送シンボルおきに加算する複素相関値の個数を判定結果に応じて定めることが好ましい。
上記の構成によれば、上記シンボルナンバー方向積分手段は、上記安定性判定手段により定められた個数の相関値を加算すればよく、時間が経過するにつれて加算するべき相関値が上限なく増加することはない。したがって、上記シンボルナンバー方向積分手段の応答性が低下することを防止することができるという効果を奏する。
本発明に係るOFDM復調装置では、上記安定性判定手段は、上記シンボルナンバー方向積分手段が記憶している1伝送シンボルおきに加算された複素相関値の和を判定結果に応じてリセットすることが好ましい。
上記の構成によれば、上記シンボルナンバー方向積分手段は、上記安定性判定手段によりリセットされるまで相関値を加算すればよく、時間が経過するにつれて加算するべき相関値が上限なく増加するこはない。したがって、上記シンボルナンバー方向積分手段の応答性が低下することを防止することができるという効果を奏する。
なお、本発明に係るOFDM復調装置において、上記安定性検出手段は、一定期間における上記位相回転量の最大値と最小値との差を所定の閾値と比較することにより、上記位相回転量の安定性を判定するように構成してもよい。
また、本発明に係るOFDM復調装置において、上記安定性検出手段は、一定期間における上記位相回転量の分散を所定の閾値と比較することにより、上記位相回転量の安定性を判定するように構成してもよい。
なお、上記OFDM復調装置は、コンピュータによって実現してもよい。この場合、コンピュータを上記各手段として動作させることにより、上記OFDM復調装置をコンピュータにおいて実現するOFDM復調プログラム、および、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
本発明の他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分分かるであろう。また、本発明の利点は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
本発明のいくつかの実施形態について、図1から図14に基づいて説明すれば以下のとおりである。
なお、以下に説明する各実施形態に係るOFDM(直交周波数分割多重方式)復調装置は、概略的には、図17に示した従来のOFDM復調装置と同様に構成することが可能であり、その特徴点は、シンボル同期回路、および、狭帯域キャリア周波数誤差検出回路にある。そこで、以下では、各実施形態に係るOFDM復調が備えている、シンボル同期回路、および、狭帯域キャリア周波数誤差検出回路について説明する。
また、各実施形態に係るOFDM復調装置は、シンボル同期回路、および、狭帯域キャリア周波数誤差検出回路を除いて、図16に示した従来のOFDM復調装置と同様に構成されているものとし、その説明を繰り返さない。ただし、本発明に係るOFDM復調装置はこれらに限定されるものではなく、シンボル同期回路、および、狭帯域キャリア周波数誤差検出回路を除くその他の構成を適宜変更してなるOFDM復調装置も本発明の範疇に入る。
〔実施の形態1〕
本発明の第1の実施形態に係るOFDM復調装置について、図1から図5に基づいて説明すれば以下のとおりである。
図1は、本実施形態に係るOFDM復調装置に含まれる、シンボル同期回路109、および、狭帯域キャリア周波数誤差検出回路110の構成を示すブロック図である。
まず、図1を参照して、本実施形態に係るシンボル同期回路109について説明する。
本実施形態に係るシンボル同期回路109は、図1に示したように、ガード相関回路121、シンボル積分回路131、オフセット除去回路132、フィルタ122、振幅算出回路123、および、最大値検出回路124を含んで構成されている。
ガード相関回路121には、キャリア周波数誤差補正回路107から出力された、ベースバンドのOFDM信号が入力される。ガード相関回路121は、入力されたOFDM信号に基づいて、ガード相関信号を生成するための手段である。具体的には、ガード相関回路121は、例えば、入力されたOFDM信号を有効シンボル期間遅延させた遅延信号を生成し、入力されたOFDM信号と生成した遅延信号とを複素乗算することにより、ガード相関信号を得る。
シンボル積分回路131には、ガード相関回路121よって生成されたガード相関信号が入力される。シンボル積分回路131は、入力されたガード相関信号をシンボル間隔積分するための手段である。ここで、シンボル間隔積分とは、ガード相関信号の値を1伝送シンボル期間おきに加算すること、つまり、時間とシンボルナンバーとの関数として表せるガード相関信号を、シンボルナンバー方向に積分することである。このシンボル積分回路131は、本発明の特徴をなす構成であるので、参照する代えて後でより具体的に説明する。
オフセット除去回路132には、シンボル積分回路131によってシンボル間隔積分されたガード相関信号が入力される。オフセット除去回路132は、シンボル間隔積分されたガード相関信号にオフセットとして含まれる妨害波同士の相関値を除去するための手段である。オフセット除去回路132についても、参照する図面を代えて後でより具体的に説明する。
フィルタ122には、オフセット除去回路132によってオフセットが除去されたガード相関信号が入力される。フィルタ122は、オフセットが除去されたガード相関信号に対して、所定のフィルタリング処理を行うための手段である。フィルタ122が行うフィルタリング処理としては、例えば、入力されたガード相関信号に対する移動平均処理が挙げられる。
振幅算出回路123には、フィルタ122によりフィルタリングされたガード相関信号が入力される。振幅算出回路123は、フィルタリングされたガード相関信号の振幅を算出するための手段である。具体的には、振幅算出回路123は、例えば、フィルタリングされたガード相関信号の実数成分および虚数成分の振幅または電力をそれぞれ算出し、これらの振幅または電力を加算することによって、フィルタリングされたガード相関信号の振幅を得る。フィルタ122によってフィルタリングされたガード相関信号の振幅は、ちょうど伝送シンボル境界においてピークを有する。
最大値検出回路124には、振幅算出回路123によって算出された、フィルタリングされたガード相関信号の振幅が入力される。最大値検出回路124は、フィルタリングされたガード相関信号の振幅に基づいて、伝送シンボルの境界を示すシンボルタイミング信号を生成するための手段である。最大値検出回路124は、生成したシンボルタイミング信号を、FFT演算回路112、位相算出回路125、および、オフセット除去回路132に供給する。
次に、図1を参照して、本実施形態に係る狭帯域キャリア周波数誤差検出回路110について説明する。
本実施形態に係る狭帯域キャリア周波数誤差検出回路110は、上述した、ガード相関回路121、シンボル積分回路131、オフセット除去回路132、および、フィルタ122の他に、位相算出回路125を含んで構成される。
位相算出回路125には、シンボル積分回路131によってシンボル間隔積分されたガード相関信号であって、オフセット除去回路132によってオフセットが除去され、さらに、フィルタ122によってフィルタリングされたガード相関信号が入力される。また、最大値検出回路124によって生成されたシンボルタイミング信号が入力される。位相算出回路125は、シンボルタイミング信号に基づいて、入力されたガード相関号の伝送シンボル境界における位相を検出し、検出した位相を累積することによって、狭帯域キャリア周波数誤差を算出する。
広帯域キャリア周波数誤差検出回路114は、FFT演算された後の各サブキャリアからパイロット信号を抽出し、抽出したパイロット信号に基づいて、サブキャリアの周波数間隔精度の広帯域キャリア周波数誤差を検出する。NCO111は、広帯域キャリア周波数誤差検出回路114によって検出された広帯域キャリア周波数誤差と、狭帯域キャリア周波数誤差検出回路110によって検出された狭帯域キャリア周波数誤差とに基づいて、複素信号である周波数補正信号を算出する。キャリア周波数誤差補正回路107は、NCO111によって算出された周波数補正信号を複素乗算することによって、直交復調後のOFDM信号の中心周波数のズレを補正する。
伝送帯域内に強いスプリアス妨害波や、アナログテレビ放送など他の伝送信号が存在する場合、ガード相関信号に妨害波による振動成分が含まれる。このような場合であっても、図1に示したシンボル同期回路109の構成によれば、シンボル間隔積分されたガード相関信号に基づいて伝送シンボル境界を正しく検出することができる。また、図1に示した狭帯域キャリア周波数誤差検出回路110構成によれば、直交復調後のOFDM信号の中心周波数のずれ量を正しく検出することができる。
上記の効果について、(6)式および(7)式で示した2つのスプリアス妨害波n1(t)およびn2(t)が受信信号r(t)に含まれる場合を例に、図2を参照してもう少し具体的に説明する。
上述したとおり、ガード相関回路121によって算出されるガード相関信号は、(9)式に示したように、同一妨害波同士の一定の相関(Tg期間内の第2項および第3項、ならびに、Tg期間外の第1項および第2項)に加え、異なる妨害波同士の振動する相関(Tg期間内の第4項および第5項、ならびに、Tg期間外の第3項および第4項)を含む。すなわち、ガード相関回路121によって算出されるガード相関信号は、図2の(C)および(D)に示したように、オフセットをもち、かつ、振動する。
なお、異なる妨害波同士の振動する相関は、以下の(10)式に示すように、振動周期|Fi1−Fi2|よりも十分長い時間間隔に渡って積分することにより、打ち消すことができる。
しかしながら、(9)式に示すガード相関信号を時間軸方向に積分する場合、積分区間がTs程度に大きくなると、積分値においてピークを見出すことができなるという問題を生じる。
そこで本発明では、シンボル間隔積分回路131により、(9)式に示したガード相関信号をシンボルナンバー方向に積分する。ガード相関信号をシンボルナンバー方向に十分長い期間に渡って積分すると、異なる妨害波同士の振動する相関は、以下の(11)式に示すように打ち消される。
さらに、シンボル間隔積分では、伝送シンボル期間おきにガード相関信号の値が加算されるので、ガードインターバル期間内のデータは、常に、他のシンボルのガードインターバル期間内のデータと加算される。OFDM信号自体の相関値は、各伝送シンボルのTg期間内で略一定の値をとるので、シンボル間隔積分されたガード相関信号は、図2の(E)および(F)に示すように、OFDM信号自体の相関に妨害波同士の一定の相関を加えたものとなる。
オフセット除去回路132には、図2の(E)および(F)に示す、一定のオフセットを有するガード相関信号が入力される。このため、オフセット除去回路132は、妨害波同士の相関による一定のオフセットを完全に除去し、図2の(G)および(H)示すようなOFDM信号自体の相関値を得ることができる。したがって、フィルタ122によりフィルタリングされたガード相関信号は、図2の(I)および(J)のようになり、また、振幅算出回路123により算出される振幅は、図2の(K)に示すようなる。すなわち、振幅算出回路123により算出される振幅のピークは、伝送シンボルの境界に正確に一致する。このため、最大値検出回路124は、振幅算出回路123により算出された振幅のピークを検出することにより、伝送シンボルの境界を正確に検出することができる。
また、オフセット除去回路132によりオフセットが除去されたガード相関信号は、妨害波同士の相関値を含まない。このため、位相算出回路125は、伝送シンボル境界におけるフィルタリングされたガード相関の位相を検出することによって、直交復調後のOFDM信号の中心周波数のずれ量δFを正確に検出することができる。
次に、シンボル同期回路109に含まれるシンボル積分回路131について、図3および図4に基づいて、もう少し具体的に説明する。
図3は、シンボル積分回路131の構成例を示すブロック図である。図3に示したシンボル積分回路131は、加算回路141と、遅延回路142と、乗算回路(ゲイン)143とを備えている。
加算回路141は、時刻tにおいて、ガード相関回路121によって生成されたガード相関信号C(t)=r(t)r(t−Tu)と遅延回路142の出力D(t)とを加算し、和C(t)+D(t)を遅延回路142および乗算回路143に供給する。遅延回路142は、加算回路141から出力された和を1伝送シンボル期間Ts遅延して、加算回路141に出力する。すなわち、遅延回路142は、時刻tにおいて、D(t)=C(t−Ts)+D(t−Ts)を出力する。乗算回路143は、加算回路141から出力された和C(t)+D(t)に所定の係数(定数または変数)αを乗じ、積α[C(t)+D(t)]をオフセット除去回路132に供給する。
図3に示したシンボル積分回路131の構成によれば、時刻t=s+kTs(0<s<Ts)において加算回路141が出力する和C(t)+D(t)は、ガード相関信号を1伝送シンボル期間Tsおきに加算した和C(s)+C(s+Ts)+C(s+2Ts)+・・・+C(s+kTs)に一致する。すなわち、加算回路141が出力する和C(t)+D(t)は、ガード相関信号C(t)を時間sとシンボルナンバーkとの関数C(s、k)=C(s+kTs)と見做して、シンボルナンバー方向に積分した積分値に一致する。
乗算回路143は、加算回路141が出力する和C(t)+D(t)に対し、例えば、係数α=1/(k+1)を乗算する。例えば、刻t=s+4Tsにおいて、乗算回路143は、加算回路141が出力する和C(t)+D(t)=C(s)+C(s+Ts)+C(s+2Ts)+C(s+3Ts)+C(s+4Ts)に対し、係数1/5を乗算する。これにより、乗算回路143が出力する積α[C(t)+D(t)]は、ガード相関信号を1伝送シンボル期間Tsおきに平均した平均値に一致する。
図4の(A)は、OFDM信号のn番目、n+1番目、およびn+2番目の伝送シンボルを示す。また、図4の(B)は、有効シンボル期間Tu遅延されたOFDM信号を示す。また、図4の(C)は、スプリアス妨害波が2波混入した場合のガード相関信号の実数成分を示す。
シンボル積分回路131は、図4の(C)に示したガード相関信号を、図4の(D)に示すように、シンボルナンバー方向に積分する。図4の(D)は、ガード相関信号をL伝送シンボル分、シンボルナンバー方向に積分する例を示す。ここで、Lを十分を大きくとることにより、図4の(E)に示すような積分値が得られ、異なる妨害波同士の振動する相関を打ち消すことができる。
最後に、シンボル同期回路109に含まれるオフセット除去回路132について、図5に基づいて、もう少し具体的に説明する。
図5は、オフセット除去回路132の構成例を示すブロック図である。図5に示したオフセット除去回路132は、イネーブル回路151、加算回路152、遅延回路153、乗算回路154、および、減算回路155を含んで構成される。
イネーブル回路151には、シンボル積分回路131によってシンボル間隔積分されたガード相関信号と、最大値検出回路124によって生成されたシンボルタイミング信号とが入力される。イネーブル回路151は、入力されたシンボルタイミング信号に基づいてガードインターバル期間Tgを推定し、シンボル間隔積分されたガードのうち、ガードインターバル期間Tg外の信号のみを加算回路152に出力する。
加算回路152は、イネーブル回路151の出力信号と、遅延回路153の出力信号とを加算し、和を遅延回路153および乗算回路154に出力する。遅延回路153は、加算回路153から出力された和を1サンプリングタイミング遅延させて、加算回路153に出力する。乗算回路154は、加算回路152から出力された和に所定の係数(定数または変数)を乗算し、積を減算回路155に出力する。減算回路155は、乗算回路154によって算出された積(すなわち、オフセット値)を、シンボル積分回路131によってシンボル積分されたガード相関信号から減算し、差をフィルタ122に出力する。
図3に示したオフセット値除去回路132の構成によれば、乗算回路154の出力は、シンボル間隔積分されたガード相関信号にオフセットとして含まれる妨害波同士の相関値に一致する。したがって、減算回路155の出力は、シンボル間隔積分されたガード相関信号からオフセット値を除去したものとなる。
〔実施形態2〕
本発明の第2の実施形態について、図6から図9に基づいて説明すれば以下のとおりである。
第1の実施形態においては、図3のように構成されたシンボル積分回路131、および、図5のように構成されたオフセット除去回路132において積分が実行される。この場合、過去のデータが蓄積されていき、徐々に応答性が悪化していくという問題を生じ得る。
また、シンボル積分回路において積分を行う目的は、上述したように、異なる妨害波同士の一定でない相関を除去することである。つまり、(9)式で示された、Tg期間のガード相関の第4および5項、ならびに、Tg期間以外のガード相関の第3および4項のように、振動する相関を積分により除去するということである。これらの振動する相関が残っている場合、図21の(C)で示したように、狭帯域キャリア周波数誤差検出回路110の検出値も振動してしまい、これが問題となる。
そこで、本実施形態では、狭帯域キャリア周波数誤差検出回路110の検出値の安定性を判断し、シンボル積分回路とオフセット除去回路の応答性を制御する機構を導入した。
図6は、本実施形態に係るOFDM復調装置に含まれる、シンボル同期回路109、および、狭帯域キャリア周波数誤差検出回路110の構成を示すブロック図である。
図6に示したように、狭帯域キャリア周波数誤差検出回路110は、図1に示した構成に加え、更に、安定性判定回路161を備えている。また、シンボル積分回路161と、オフセット除去回路163の内部構成は、以下のように変更されている。
図7は、本実施形態に係るシンボル積分回路161の構成例を示すブロック図である。図7に示したように、本実施形態に係るシンボル積分回路161は、移動平均回路171により構成される。
移動平均回路171は、ガード相関回路121によって生成されたガード相関信号の値を1伝送シンボル期間おきに移動平均する。シンボルナンバーをn、入力されるガード相関信号をC(t)、移動平均をとる伝送シンボル数(以下、移動平均シンボル数)をLs、1伝送シンボル期間をTsとすると、移動平均後の出力A(t)は、以下の(12)式のように表せる。なお、移動平均シンボル数Lsは、後述するように、安定性判定回路161により与えられる。
図8は、本実施形態に係るオフセット除去回路163の構成例を示すブロック図である。図8に示したように、本実施形態に係るオフセット除去回路163は、イネーブル回路151と、移動平均回路181と、減算回路155とを備えている。
イネーブル回路151には、シンボル積分回路131によってシンボル間隔積分されたガード相関信号と、最大値検出回路124によって生成されたシンボルタイミング信号とが入力される。イネーブル回路151は、入力されたシンボルタイミング信号に基づいてガードインターバル期間Tgを推定し、シンボル間隔積分されたガードのうち、ガードインターバル期間Tg外の信号のみを移動平均回路181に出力する。
移動平均回路181は、イネーブル回路151の出力の移動平均を算出し、算出した移動平均を減算回路155に出力する。移動平均回路181は単純に入力の移動平均をとるので、移動平均点数は、安定性判定回路161より入力された移動平均シンボル数×1伝送シンボルあたりのサンプリング点数となる。減算回路155は、移動平均回路181の出力をシンボル積分回路161の出力から減算し、フィルタ122に出力する。
図9は、本実施形態に係る安定性判定回路161の構成例を示す。図9に示したように、本実施形態に係る安定性判定回路161は、最大値最小値検出回路191と、出力判定回路192とを備えている。
安定性判定回路161の最大値最小値検出回路191には、位相算出回路125によって算出された位相が入力される。最大値最小値検出回路191は、入力された位相を一定期間モニタし、当該モニタ期間において入力された位相の最大値θmaxと最小値θminとを検出する。
出力判定回路192には、最大値最小値検出回路191によって検出された最大値θmaxと最小値θminとが入力される。出力判定回路192は、θmax−θminと所定の閾値とを比較し、θmax−θminが所定の閾値以下であれば、(1)(θmax−θmin)/2+θminをNCO111に出力し、(2)現在の値より小さい移動平均シンボル数を、シンボル積分回路161とオフセット除去回路163とに、新たな移動平均シンボル数として出力する。一方、θmax−θminが所定の閾値より大い場合、出力判定回路192は、(1)(θmax−θmin)/2+θminをNCO111に出力し、(2)現在の値より大きいシンボル数を、シンボル積分回路161とオフセット除去回路163とに、新たな移動平均シンボル数として出力する。また、出力判定回路192は、モニタ期間毎に、最大値最小値検出回路191により検出された最大値と最小値とをリセットする。
以上のように構成することにより、十分に狭帯域キャリア周波数誤差検出精度を持たせた上で、応答性を早くすることができる。
〔実施形態3〕
本発明の第3の実施形態について、図10から図12に基づいて説明すれば以下のとおりである。
第2の実施形態においては、シンボル積分回路161、および、オフセット除去回路163にて移動平均処理を行うとともに、シンボル積分回路161、および、オフセット除去回路163おける移動平均シンボル数を、安定性判定回路161により制御するという方法によって、狭帯域キャリア周波数誤差検出の応答性を高めた。しかしながら、移動平均処理を回路を用いて行うと、必要な記憶領域が膨大になるという問題を生じ得る。
そこで、本実施形態においては、図5に示す狭帯域キャリア周波数誤差検出回路110の構成で、シンボル積分回路161、シンボル回路オフセット除去回路163、および、安定性判定回路161の内部構成を以下のように変更して、狭帯域キャリア周波数誤差検出の応答性を高めた。
図10は、本実施形態に係る安定性判定回路161の構成を示すブロック図である。図10に示したように、本実施形態に係る安定性判定回路161は、最大値最小値検出回路201と、出力判定回路202とを備えている。
安定性判定回路161の最大値最小値検出回路201には、位相算出回路125によって算出された位相が入力される。最大値最小値検出回路201は、入力された位相を一定期間モニタし、当該モニタ期間において入力された位相の最大値θmaxと最小値θminとを検出する。
出力判定回路202には、最大値最小値検出回路201によって検出された最大値θmaxと最小値θminとが入力される。出力判定回路202は、θmax−θminと所定の閾値とを比較し、θmax−θminが所定の閾値以下であれば、(1)(θmax−θmin)/2+θminをNCO111に出力し、(2)最大値最小値検出回路201をリセットし、(3)シンボル積分回路161、および、オフセット除去回路163にリセット信号としてリセット命令を送る。一方、θmax−θminが所定の閾値より大い場合、出力判定回路202は、(1)(θmax−θmin)/2+θminをNCO111に出力し、(2)最大値最小値検出回路201をリセットし、(3)シンボル積分回路161、および、オフセット除去回路163にリセット信号としてリセット命令を送る。
図11は、本実施形態に係るシンボル積分回路161の構成を示すブロック図である。図11に示したように、本実施形態に係るシンボル積分回路161は、加算回路141と、遅延回路142と、リセット回路211と、乗算回路(ゲイン)212とを備えている。
加算回路141は、リセット回路211の出力と、ガード相関回路121によって生成されたガード相関信号とを加算し、和をゲイン212に出力する。遅延回路142は、加算回路141の出力を1伝送シンボル期間遅延させる。リセット回路211には、遅延回路142の出力と、安定性判定回路161から出力されるリセット信号が入力される。リセット回路211は、リセット信号によるリセット命令がでた場合、1伝送シンボル期間0を出力する。それ以外の場合は、遅延回路142の出力をそのまま加算回路141に出力する。これにより、過去のデータをリセットすることができる。
乗算回路212には、加算回路141から出力される和と、安定性判定回路161から出力されるリセット信号とが入力される。乗算回路212は、加算回路141から出力される和に、所定の係数(定数または変数)を乗算する。乗算回路212の係数は、例えば、シンボルナンバーの逆数に設定される(例えばシンボル積分回路131の入力が5シンボル目の場合、定数は1/5となる)。ここで、リセット信号によりリセット命令が出た場合、乗算回路212は、上記のシンボルナンバーもリセットし、1に戻す。その後は、再び1伝送シンボル期間経過ごとにシンボルナンバーが1ずつ増加していく。これに応じて、乗算回路212の係数は、伝送シンボル期間毎に、1、1/2、1/3、…1/nと変化していく。
図12は、本実施形態に係るオフセット除去回路132の構成を示すブロック図である。図12に示したように、本実施形態に係るオフセット除去回路132は、イネーブル回路151と、加算回路152と、遅延回路153と、乗算回路(ゲイン)154と、リセット回路221とを備えている。
イネーブル回路151には、シンボル積分回路131によってシンボル間隔積分されたガード相関信号と、最大値検出回路124によって生成されたシンボルタイミング信号とが入力される。イネーブル回路151は、入力されたシンボルタイミング信号に基づいてガードインターバル期間Tgを推定し、シンボル間隔積分されたガードのうち、ガードインターバル期間Tg外の信号のみを加算回路151に出力する。
加算回路152は、イネーブル回路151の出力と、リセット回路221の出力とを加算し、和を乗算回路154、および、遅延回路153に出力する。遅延回路153は、加算回路152によって算出された和を1サンプリングタイミング遅延させ、遅延された和をリセット回路221を介して加算回路152に出力する。リセット信号によるリセット命令がでた場合、リセット回路221は、0を加算回路152に出力する。そうでない場合、遅延回路153からの出力を、そのまま加算回路152に出力する。乗算回路154は、加算回路152から出力される和に、所定の係数(定数または変数)を乗じ、積を減算回路155に出力する。減算回路155は、承安回路154により算出された積を、シンボル積分回路131によってシンボル積分されたガード相関信号から減算し、差をフィルタ122に出力する。
以上の構成によれば、積分値をリセットするという手法により、第2の実施形態と比較して、必要となる記憶領域が削減される。また、実施形態1と比較して、応答性が改善される。
〔実施の形態4〕
本発明の第4の実施形態について、図13に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
第2の実施形態における安定性検出回路161(図9参照)は、単純に入力の分散を算出して、算出した分散を予め設定された閾値と比較するように構成されていてもよい。
図13は、本実施形態に係る安定性判定回路161の構成を示すブロック図である。図13に示したように、本実施形態に係る安定性判定回路161は、分散検出回路231と、出力判定回路232とを備えている。
分散検出回路231には、位相算出回路125により算出された位相が入力される。分散検出回路231は、検出期間Td内の入力位相の分散を算出して、算出した分散を出力判定回路232に出力する。出力判定回路232は、分散検出回路231より算出された分散に基づいて移動平均シンボル数を決定し、シンボル積分回路161、および、オフセット除去回路163に出力する。
なお、安定性判定回路161は、位相算出回路125より入力された位相をNCO111にそのまま出力してもよいし、Td期間でフィルタリング(FIRフィルタやIIRフィルタによるフィルタリング)を行って出力してもよい。
〔実施の形態5〕
本発明の第5の実施形態について、図14に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
第3の実施形態における安定性検出回路161(図10参照)は、単純に入力の分散を算出して、算出した分散を予め設定された閾値と比較するように構成されていてもよい。
図14は、本実施形態に係る安定性判定回路161の構成を示すブロック図である。図14に示したように、本実施形態に係る安定性判定回路161は、分散検出回路231と、出力判定回路233とを備えている。
分散検出回路231には、位相算出回路125により算出された位相が入力される。分散検出回路231は、検出期間Td内の入力位相の分散を算出して、算出した分散を出力判定回路232に出力する。出力判定回路232は、分散検出回路231によって算出された分散と予め設定された閾値とを比較し、分散が閾値より小さくなればリセット信号をシンボル積分回路161、および、オフセット除去回路163に出力する。この時、NCO111に出力する位相は、リセット信号を送信する直前に位相算出回路125より入力された位相である。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
上述した各実施形態では、NCO111により正弦波を発生し、複素乗算器で構成されるキャリア周波数誤差補正回路107により位相補正を行う構成について説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、このNCO111とキャリア周波数誤差補正回路107の代わりに、「算術演算のVLSIアルゴリズム」(高木直史著、コロナ社、2005年)に記載のCORDIC(Cordinate Rotation DIgital Computer)回路を用いてOFDM復調装置を構成することも可能である。これは、複素信号Z=I+jQと位相θを入力するとZexp(jθ)を出力する回路である。この様に位相回転処理を行う方法であれば、上述した各実施形態として説明した方法に限定されない。
また、本発明に係るOFDM復調装置は、以下のように構成してもよい。
本発明のOFDM復調装置は、有効シンボルおよび有効シンボルの一部の信号波形が複写されることにより生成されたガードインターバルで構成された伝送シンボルを伝送単位とするOFDM信号を復調するOFDM復調装置において、上記OFDM信号の中心周波数のずれ量を補正するによって、補正OFDM信号を出力するキャリア周波数誤差補正手段と、上記補正OFDM信号と、有効シンボル期間長前に入力された遅延補正OFDM信号との複素相関値を算出する複素相関演算手段と、上記複素相関を1シンボル間隔で積分を行う手段と、上記1シンボル間隔で積分された複素相関から同一チャンネル妨害による相関のオフセット量を推定し、除去するオフセット除去手段と、上記オフセット除去された相関のガードインターバル区間積分を行う手段と、上記区間積分値の強度をあらわす振幅成分を算出する手段と、上記振幅成分から上記伝送シンボルの境界を推定し、シンボルタイミングを生成する手段とを備えていてもよい。
本発明に係るOFDM復調装置は、有効シンボルおよび有効シンボルの一部の信号波形が複写されることにより生成されたガードインターバルで構成された伝送シンボルを伝送単位とするOFDM信号を復調するOFDM復調装置において、上記OFDM信号の中心周波数のずれ量を補正するによって、補正OFDM信号を出力するキャリア周波数誤差補正手段と、上記補正OFDM信号と、有効シンボル期間長前に入力された遅延補正OFDM信号との複素相関値を算出する複素相関演算手段と、上記複素相関を1シンボル間隔で積分を行う手段と、上記1シンボル間隔で積分された複素相関から同一チャンネル妨害による相関のオフセット量を推定し、除去するオフセット除去手段と、上記オフセット除去された相関のガードインターバル区間積分を行う手段と、上記区間積分値より一有効シンボル期間における位相回転量を求め、狭帯域キャリア周波数誤差を検出する手段とを備えていてもよい。
本発明に係るOFDM復調装置は、上記検出した狭帯域キャリア周波数誤差の安定性を検出する手段を備え、上記安定性を検出する手段より、上記1シンボル間隔で積分を行う手段の積分点数を動的に変更する手段を備えていてもよい。
本発明に係るOFDM復調装置は、上記検出した狭帯域キャリア周波数誤差の安定性を検出する手段を備え、上記安定性を検出する手段より、上記1シンボル間隔で積分を行う手段の積分値のリセットを行う手段を備えていてもよい。
本発明に係るOFDM復調装置は、上記安定性を検出する手段が、一定期間内における上記位相回転量の最大値と最小値により検出するように構成されていてもよい。
本発明に係るOFDM復調装置は、上記安定性を検出する手段が、一定期間内における上記位相回転量の分散により検出するように構成されていてもよい。
最後に、各実施形態に係るOFDM復調装置の各ブロックは、上述したようにハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、OFDM復調装置は、上述した各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるプログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、OFDM復調装置に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、OFDM復調装置を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virTual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明に係るOFDM復調装置は、以上のように、少なくとも、OFDM信号と有効シンボル期間遅延されたOFDM信号との相関値を1伝送シンボル期間おきに加算することによって、シンボルナンバー方向に積分された相関値を算出するシンボルナンバー方向積分手段と、上記積分された相関値に基づいて推定したオフセットを、上記積分された相関値から除去するオフセット除去手段と、を備えている。
したがって、OFDM信号と有効シンボル期間遅延されたOFDM信号との相関値に妨害波による振動成分が含まれている場合でも、シンボルナンバー方向に積分された相関値は、OFDM信号自体の相関値と、妨害波による一定のオフセットとの和になる。上記オフセット除去手段は、シンボルナンバー方向に積分された相関値からオフセットを除去する。したがって、オフセットが除去された相関値は、OFDM信号自体の相関値になる。
このため、狭帯域キャリア周波数誤差の補正とシンボル同期とを正確に行うことができる。
発明の詳細な説明の項においてなされた具体的な実施形態または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。