JP5090365B2 - 自動車用ホイール - Google Patents
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Description
特許文献2:特開平8−183301号公報
すなわち、ディスクは、所定形状の基材を、一対の成形型を用いてプレス加工することにより所定形状に成形されるものであって、ハブ面アール部で加工硬化を生じさせる圧縮加工は、ディスクを所定形状とし、かつ全ハブ面アール部を強圧するプレス加工が提案される。
すなわち、ディスクの外周部は、タイヤのビードを側方から支持する意匠面側フランジ部とされており、リムは、当該リムの軸線方向における一端にタイヤのビードを側方から支持する意匠裏面側フランジ部を備え、他端に接合部を備え、ディスクの裏面が前記接合部に接合されてなる自動車用ホイールである。かかる構成は、いわゆるフルフェイスホイールと呼ばれるものである。
本発明に係る自動車用ホイール1aを、フルフェイスホイールを例にして説明する。
図1に示すように、自動車用ホイール1aは、タイヤが装着されるほぼ円筒形のリム2と、ほぼ円板形のディスク3aとが一体化されて構成されている。
リム2は、図1に示すように、自動車(図示省略)側に配置される内端に、タイヤのビード(図示省略)を側方から支持する意匠裏面側フランジ部4を備えている。また、この意匠裏面側フランジ部4には、タイヤのビード(図示省略)を着座させる内側リムビードシート部5が連成されている。さらに、この内側リムビードシート部5と連成される内側ウエル部6aを介して、リム2の内周面の中央位置にドロップ部7が形成されている。このドロップ部7は、タイヤ装着時にタイヤのビードを落とすために利用される。
図1,2に示すように、円盤状のディスク3aの中央には、当該ディスク3aの軸線方向に沿って貫通するハブ孔10が形成されている。また、このハブ孔10の周囲には、当該ハブ孔10を囲繞するようにしてボルト孔形成平面部17が形成されており、このボルト孔形成平面部17に、五個のボルト孔11が同一円周上に等間隔で配設されている。このボルト孔形成平面部17は、当該ディスク3aの軸線方向に対して垂直となるように設けられている。なお、各ボルト孔11には、その開口部位を囲繞するようにして、ボルト孔形成平面部17に対して意匠面側X(図1中、X矢印方向)に盛り上がったナット座12が設けられている。
さらに詳述すると、ディスク3aは、鋼材料からなる板状の基材を複数回プレス加工(打抜き加工、予備絞り加工、形状絞り加工、リストライク加工、及びコイニング加工)することにより製造される。例えば、最初に、ほぼ正方形状とした合金鋼の平板であって、四つの角部を外側方向に凸となる円弧状に打抜き加工した基材を用意する。そして、予備絞り加工工程で、中央領域に円穴の凹部を有する受皿状中間材を形成する。次に、形状絞り加工工程で、ナット座11、及びハブ面アール部20等が形作られたディスク状品を形成する。次に、再度の絞り加工工程により、寸法精度が整えられたディスク状品を形成する。そして、リストライク加工工程により、意匠面側フランジ部25を形成する。そして、最終工程であるコイニング加工により、各ボルト孔11に仕上げ加工する。なお、ディスク3aを製造するための工程数はこれに限定されるものではない。
本発明に係るディスク3aの全ハブ面アール部20は、前記コイニング加工工程において、当該ディスク3aの軸線方向に沿って強圧される。さらに詳述すると、前記コイニング加工工程は、図4に示すように、コイニングポンチ31aとコイニングダイス31bとでボルト孔11を仕上げ加工すると共に、上側金型30a(成形型)と下側金型30b(成形型)とで、全ハブ面アール部20を当該ディスク3aの軸線方向へ沿って所定圧力Pで強圧する。
ハブ面アール部20に圧縮残留応力が付与された構成と、付与されていない従来品とを、ハブ面アール部の板厚に着目して比較した。強圧しない従来品におけるハブ面アール部は、およそ6.171mmであり、一方強圧した実施例品におけるハブ面アール部20は、およそ6.140mmであった。したがって、本実施例品のハブ面アール部20は、およそ0.031mmだけ従来品に比して薄肉化されていることがわかる。
図6aに示すように、本実施例品のディスク3aは、表層部で金属粒子が密になっており、圧縮された形になっている。一方、図6bに示すように、従来品は、表層部の金属粒子が疎になっており、粒子は圧縮されていない。また、この部位αを評価することにより、本発明に係る強圧によって、金属粒子間の隙間が変化することが確認された。
図7aに示すように、本実施例品は、金属粒子が圧縮されている。一方、図7bに示すように、従来品は、表層部に近い部分で粒子が圧縮されていない。また、この部位βを評価することにより、本発明に係る強圧は、表層部に近い部位で粒子間の隙間や形状を変化させるということが確認された。
図8aに示すように、本実施例品は、個々の粒子が小さく、また圧縮された形状に変化している。一方、図8bに示すように、従来品は、個々の粒子が大きい。また、この部位γを評価することにより、板厚中央部付近では、粒子間の隙間の変化ではなく粒子そのものが変化されていることが確認された。
図9a,bに示すように、本実施例品と従来品とで、大きな差異は確認できなかった。また、この部位δを評価することにより、板厚中央部までは強圧の影響が及ばないことが確認された。
図10a,bに示すように、本実施例品と従来品とで、大きな差異は確認できなかった。また、この部位εを評価することにより、板厚中央部までは強圧の影響が及ばないことが確認された。
図11aに示すように、本実施例品は、金属粒子が圧縮されている。一方、図11bに示すように、従来品は、表層部に近い部分で粒子が圧縮されていない。また、この部位ζを評価することにより、本発明に係る強圧は、表層部に近い部位で粒子間の隙間や形状を変化させるということが確認された。
図12a,bに示すように、本実施例品と従来品とで、部位αほど顕著な差は確認できないが、本実施例品に係る金属粒子は圧縮された形状となっている。
次に、本発明に係る自動車用ホイール1bを、公知のビード嵌合ホイールを例にして説明する。なお、上述したフルフェイスホイールである自動車用ホイール1aと共通する点については、同符号を付すと共に、説明を簡略又は省略する。
図15,16に示すディスク3cは、五つのボルト孔11と、五つの飾り孔16とを備えている。また、当該ディスク3cの径方向にあって、ボルト孔11、ハブ面アール部20、及びスポーク部15が同一直線状に配列されてなる外観形状を呈している。また、スポーク部15は、外周へ向かうにつれ、比較的緩やかに意匠面側Xに立ち上がり、その先端部分は、飾り孔16の周囲部分とほぼ同じ高さ位置となっている。なお、本ディスク3cも、仮想円26上で複数のハブ面アール部20が間隔を置いて形成されていると共に、互いに隣り合うハブ面アール部20,20の間には、当該ハブ面アール部20に比して意匠面側Xに所定高さで突出した隆起状突出部22が配置されている。
図17,18に示すディスク3dは、六つのボルト孔11と、六つの飾り孔16とを備えている。また、当該ディスク3dの径方向にあって、ボルト孔11、ハブ面アール部20、及び飾り孔16が同一直線状に配列されてなる外観形状を呈している。また、ハブ面アール部20と飾り孔16との間には、ハブ面アール部20に対してほぼ垂直状に意匠面側Xへ起立する起立壁33が形成され、その起立高さが当該ディスク3dの外周部まで維持されている。なお、本ディスク3dも、仮想円26上で複数のハブ面アール部20が間隔を置いて形成されていると共に、互いに隣り合うハブ面アール部20,20の間には、当該ハブ面アール部20に比して意匠面側Xに所定高さで突出した隆起状突出部22が配置されている。
上述したディスク3a〜3dの共通する点は、すべてハブ面アール部20が間隔を置いて複数設けられている点である。具体的には、ハブ孔10周囲に設定された仮想円26の内側に正面視歯車形状(図3,図14,図15,及び図17参照)のボルト孔形成平面部17が形成されてなり、このボルト孔形成平面部17の外周部28の一部を構成する径方向で外側に張り出した複数の張出円弧部29に、それぞれハブ面アール部20が形成される。なお、本実施例に係る正面視歯車形状のボルト孔形成平面部17により、本発明に係る歯車形環状平面部が構成される。ところで、少なくとも正面視歯車形状のボルト孔形成平面部17を備えたディスクにあっては、ハブ面アール部20が間隔を置いて複数形成されることとなるため、当該ハブ面アール部20には応力集中が生じやすく、当該ハブ面アール部20に圧縮残留応力を付与して強度を高める意義が大いに存在する。
なお、一般的に本発明に適用されるディスク3a〜3dとしては、ハブ面アール部20の長さとその間隙長さの比が、
ハブ面アール部20の長さ:間隙長さ=6:4
から
ハブ面アール部20の長さ:間隙長さ=4:6
までの範囲に該当する構成が好適に採用される。また、ボルト孔11の数は、4〜6個のものが好適に採用される。
2 リム
3a〜3d ディスク
4 意匠裏面側フランジ部
5 ビードシート部
8 意匠面側ビードシート部(接合部)
8’ 嵌合用ビードシート部
10 ハブ孔
11 ボルト孔
17 ボルト孔形成平面部(歯車形環状平面部)
20 ハブ面アール部
22 隆起状突出部
25 意匠面側フランジ部
26 仮想円
28 外周部
29 張出円弧部
30a,30b 成形型
32 外側立ち上がり部
X 意匠面側
Claims (4)
- タイヤが装着されるリムと該リムに接合されるディスクとを備え、
前記ディスクは、中央にハブ孔が配置されていると共に、該ハブ孔の中心を仮想中心として当該ハブ孔周囲に設定される仮想円上に、自動車のハブが当接することとなるハブ面アール部が間隔を置いて複数形成されてなる自動車用ホイールにおいて、
全ハブ面アール部は、加工硬化を生じさせる圧縮加工により圧縮残留応力が付与されてなるものであると共に、
ディスクは、ハブ孔周囲に設定された仮想円の内側に歯車形環状平面部が形成されてなり、かつ該歯車形環状平面部にボルト孔が等間隔に周設されてなると共に、
前記歯車形環状平面部の外周部の一部を構成する張出円弧部に、ハブ面アール部が形成されてなるものであることを特徴とする自動車用ホイール。 - ディスクは、所定形状の基材を、一対の成形型を用いてプレス加工することにより所定形状に成形されるものであって、
ハブ面アール部で加工硬化を生じさせる圧縮加工は、ディスクを所定形状とし、かつ全ハブ面アール部を強圧するプレス加工であることを特徴とする請求項1記載の自動車用ホイール。 - タイヤが装着されるリムと該リムに接合されるディスクとを備え、
前記ディスクは、中央にハブ孔が配置されていると共に、該ハブ孔の中心を仮想中心として当該ハブ孔周囲に設定される仮想円上に、自動車のハブが当接することとなるハブ面アール部が間隔を置いて複数形成されてなる自動車用ホイールにおいて、
全ハブ面アール部は、加工硬化を生じさせる圧縮加工により圧縮残留応力が付与されてなるものであると共に、
ディスクは、ハブ面アール部と、その外周側で連成し、かつ当該ハブ面アール部に対して意匠面側に傾斜してなる外側立ち上がり部を備え、
全ハブ面アール部と全外側立ち上がり部とが、加工硬化を生じさせる圧縮加工により圧縮残留応力が付与されてなるものであることを特徴とする自動車用ホイール。 - ディスクは、所定形状の基材を、一対の成形型を用いてプレス加工することにより所定形状に成形されるものであって、
ハブ面アール部で加工硬化を生じさせる圧縮加工は、ディスクを所定形状とし、かつ全ハブ面アール部を強圧するプレス加工であることを特徴とする請求項3記載の自動車用ホイール。
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