JP5090181B2 - 遮光剤 - Google Patents

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Description

この発明は、近赤外線を遮断するための遮光剤と、その遮光剤を用いる映像表示機器用前面部材に関するものである。
高品位テレビ放送の開始に伴って、プラズマディスプレー方式によるテレビ受像機の需要が急増している。プラズマディスプレーは気体のプラズマ放電を利用する映像表示機器であり、ブラウン管に匹敵する色純度を有し、フルカラー化が容易であるうえに、視野角が大きいことから、高品位テレビ放送に対応する大型映像表示機器として開発と量産化が進められている。ところが、周知のとおり、プラズマディスプレーは、原理上、ネオンなどからの近赤外線の輻射が避けられず、これが赤色発光に混じって、色純度の良い、鮮やかな赤色表示が得られなくなったり、赤外線リモコンの誤動作を招来するという問題がある(例えば、内池平樹『映像メディア学会誌』、第51巻、第4号、459乃至463頁(1997年)、及び野崎正平ら『月刊ディスプレー』、第6巻、第4号、72乃至77頁(2000年)を参照)。
この問題を解決するために、従来より、プラズマディスプレーの表示部へ近赤外線吸収剤を用いる前面部材を取り付ける方法が提案されており、近赤外線吸収剤としては、例えば、特開2002−304128号公報、特開2004−315789号公報、及び特開2004−323481号公報に開示されているポルフィリン系やシアニン系の有機色素化合物が用いられてきた。このうち、ポルフィリン系の有機色素化合物は、耐光性、耐熱性は良好であるものの、分子吸光係数が小さいので、プラズマディスプレーから輻射される近赤外線を所期のレベルに低減させようとすると、いきおい前面部材へ適用する有機色素化合物の量が増えることとなり、これが前面部材の製造コストを押し上げていた。一方、シアニン系の有機色素化合物は、分子吸光係数が大きく、製造コスト面では有利であるものの、耐光性、耐熱性が小さいという問題があった。
斯かる状況に鑑み、この発明は、映像表示機器用前面部材へ適用すると、映像表示機器から輻射される近赤外線を効果的に遮断し、かつ、耐光性と耐熱性に優れた遮光剤とその用途を提供することを課題とする。
本発明者等がシアニン色素に着目して鋭意研究し、検索したところ、一般式1で表されるスクアリリウム系のシアニン色素は、波長550乃至650nm付近に吸収極大を有し、プラズマディスプレーなどの映像表示機器へ取り付ける前面部材へ適用すると、映像の画質を損なうことなく、映像表示機器から輻射される近赤外線を効果的に遮断することを見出した。しかも、斯かるシアニン色素は耐光性と耐熱性に優れ、長時間用いても遮光能が減弱し難い映像表示機器用前面部材を作製し得ることが判明した。
一般式1:
Figure 0005090181
(一般式1において、Xは含窒素複素六員環を表し、その含窒素複素六員環は置換基を有していてもよい。R乃至Rは水素原子又は置換基を表し、このうち、R及びRは、互いに結合し合って、置換基を有することある芳香環を形成していてもよい。)
すなわち、この発明は一般式1で表されるシアニン色素を含有し、かつ、波長550乃至650nm付近に吸収極大を有する遮光剤を提供することによって前記課題を解決するものである。
一般式1:
Figure 0005090181
(一般式1において、Xは含窒素複素六員環を表し、その含窒素複素六員環は置換基を有していてもよい。R乃至Rは水素原子又は置換基を表し、このうち、R及びRは、互いに結合し合って、置換基を有することある芳香環を形成していてもよい。)
さらに、この発明は、好ましい実施態様として、一般式1で表されるシアニン色素において、含窒素複素六員環がバルビツル酸骨格、チオバルビツル酸骨格又はピリドン骨格のいずれかを有するシアニン色素を含有する遮光剤を提供することによって前記課題を解決するものである。
さらに、この発明は、斯かる遮光剤を用いる映像表示機器用前面部材を提供することによって前記課題を解決するものである。
図1は、この発明のシアニン色素による遮光層を設けたアクリル板の可視乃至赤外領域における光吸収曲線であり、吸収極大における吸光度を1としたときの各波長の吸光度を示す。
既述したとおり、この発明は、一般式1で表されるシアニン色素し、かつ、波長550乃至650nm付近に吸収極大を有する遮光剤としての用途、さらには、斯かる遮光剤を用いる映像表示機器用前面部材に関するものである。
一般式1:
Figure 0005090181
一般式1において、R乃至Rは水素原子又は置換基を表し、このうち、R及びRは、互いに結合し合って、置換基を有することある芳香環を形成していてもよい。R乃至Rにおける置換基は、この発明の目的を逸脱しないかぎり、特に限定を設けないけれども、通常、炭素数20までの、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−プロピニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,3−ブタジエニル基、2−ブテニル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、2−ペンテニル基、2−ペンテン−4−イニル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基などの直鎖状又は分岐を有する脂肪族炭化水素基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの脂環式炭化水素基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、ビフェニリル基、ベンジル基、フェネチル基、ベンジドリル基、スチリル基、シンナミル基、トリチル基などの芳香族炭化水素基、さらには、それらの組合わせによる炭化水素基が挙げられる。なお、斯かる炭化水素基において、その水素原子の1又は複数は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのエーテル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基などのエステル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ラウロイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイルオキシ基、o−トルオイル基、m−トルオイル基、p−トルオイル基、シンナモイル基などのアシル基、第一級アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、ジsec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ジtert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、アニリノ基、o−トルイジノ基、m−トルイジノ基、p−トルイジノ基、キシリジノ基などのアミノ基、N−メチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N−シクロヘキシルスルファモイル基、N,N−ジシクロヘキシルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基、N,N−ジフェニルスルファモイル基などのスルファモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N,N−ジプロピルカルバモイル基、N−シクロヘキシルカルバモイル基、N,N−ジシクロヘキシルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジフェニルカルバモイル基などのカルバモイル基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、さらには、それらの組合わせによる置換基によって置換されていてもよい。
及びRにおける置換基としては、例えば、R乃至Rにおけると同様の炭化水素基か、あるいは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのエーテル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基などのエステル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ラウロイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイルオキシ基、o−トルオイル基、m−トルオイル基、p−トルオイル基、シンナモイル基などのアシル基、第一級アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロプルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、ジsec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ジtert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、アニリノ基、o−トルイジノ基、m−トルイジノ基、p−トルイジノ基、キシリジノ基などのアミノ基、N−メチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N−シクロヘキシルスルファモイル基、N,N−ジシクロヘキシルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基、N,N−ジフェニルスルファモイル基などのスルファモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N,N−ジプロピルカルバモイル基、N−シクロヘキシルカルバモイル基、N,N−ジシクロヘキシルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジフェニルカルバモイル基などのカルバモイル基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、さらには、それらの組合わせによる置換基が挙げられる。
及びRが、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、キノリン環などの芳香環を形成する場合、それらの芳香環は、例えば、R乃至Rにおけると同様の炭化水素基か、あるいは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのエーテル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ラウロイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイルオキシ基、o−トルオイル基、m−トルオイル基、p−トルオイル基、シンナモイル基などのエステル基、第一級アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロプルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、ジsec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ジtert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、アニリノ基、o−トルイジノ基、m−トルイジノ基、p−トルイジノ基、キシリジノ基などのアミノ基、N−メチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N−シクロヘキシルスルファモイル基、N,N−ジシクロヘキシルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基、N,N−ジフェニルスルファモイル基などのスルファモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N,N−ジプロピルカルバモイル基、N−シクロヘキシルカルバモイル基、N,N−ジシクロヘキシルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジフェニルカルバモイル基などのカルバモイル基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、さらには、それらの組合わせによる置換基を有していてもよい。
一般式1におけるXは含窒素複素六員環を表し、その含窒素複素六員環は置換基を有していてもよい。この発明でいう含窒素複素六員環とは、例えば、バルビツル酸、チオバルビツル酸、ピラジン、ピリジン、ピリダジン、ピリドン、ピリミジンをはじめとする、1又は複数の窒素原子を構成原子とする複素六員環であって、芳香族性を有しないものであってもよい。斯かる含窒素複素六員環における置換基としては、例えば、R乃至Rにおけると同様の炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのエーテル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ラウロイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイルオキシ基、o−トルオイル基、m−トルオイル基、p−トルオイル基、シンナモイル基などのエステル基、第一級アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、ジsec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ジtert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、アニリノ基、o−トルイジノ基、m−トルイジノ基、p−トルイジノ基、キシリジノ基などのアミノ基、N−メチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N−シクロヘキシルスルファモイル基、N,N−ジシクロヘキシルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基、N,N−ジフェニルスルファモイル基などのスルファモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N,N−ジプロピルカルバモイル基、N−シクロヘキシルカルバモイル基、N,N−ジシクロヘキシルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジフェニルカルバモイル基などのカルバモイル基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、さらには、それらの組合わせによる置換基が挙げられる。上記した含窒素複素六員環のうちで特に好ましいものとしては、一般式2で表されるバルビツル酸骨格又はチオバルビツル酸骨格を有する複素六員環、さらには、一般式3で表されるピリドン骨格を有する複素六員環が挙げられる。
一般式2:
Figure 0005090181
一般式3:
Figure 0005090181
一般式2において、Yは、例えば、酸素原子、硫黄原子などの周期律表における第16属の原子を、また、R及びRは互いに同じか異なる炭化水素基を表す。一般式3におけるR乃至R10は、互いに独立して、水素原子又は置換基を表す。R、R及びR10における置換基としては、例えば、一般式1におけるRにおけると同様の炭化水素基が、また、一般式3のR及びRにおける置換基としては、例えば、シアノ基、ニトロ基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−プロピニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,3−ブタジエニル基、2−ブテニル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、2−ペンテニル基、2−ペンテン−4−イニル基などの短鎖長脂肪族炭化水素基、さらには、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの脂環式炭化水素基が挙げられ、斯かる炭化水素基における水素原子は、その1又は複数が、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基によって置換されていてもよい。
この発明で用いるシアニン色素の具体例としては、例えば、化学式1乃至35で表されるものが挙げられる。これらは、いずれも、500nmより長波長、とりわけ、550乃至650nm付近に吸収極大を示し、従来公知のポルフィリン系の有機色素化合物と違って、吸収極大波長における分子吸光係数(以下、吸収極大における分子吸光係数を「ε」と略記する。)も5×10以上、通常、8×10以上と著しく大きく、近赤外線を効率良く吸収することから、例えば、プラズマディスプレーなどの映像表示機器へ取り付ける前面部材へ用いると、映像の三原色を損なうことなく映像表示機器から輻射される近赤外線を効果的に遮断してコントラストと色再現性に優れた高画質の映像を与え、しかも、近赤外線による赤外線リモコンの誤動作を招来することもない。加えて、これらのシアニン色素は、従来公知のシアニン系の有機色素化合物と違って、自然光や人工光などの環境光に対する耐光性や耐熱性が大きいことから、長時間用いても前面部材の遮光能が減弱し難い特徴がある。なお、一般式1で表されるシアニン色素は、その多くが、溶液に調製しても薄膜に調製しても、吸収極大波長がさほど変化せず、変化したとしても、通常、最大20nm程度に止まる。
化学式1:
Figure 0005090181
化学式2:
Figure 0005090181
化学式3:
Figure 0005090181
化学式4:
Figure 0005090181
化学式5:
Figure 0005090181
化学式6:
Figure 0005090181
化学式7:
Figure 0005090181
化学式8:
Figure 0005090181
化学式9:
Figure 0005090181
化学式10:
Figure 0005090181
化学式11:
Figure 0005090181
化学式12:
Figure 0005090181
化学式13:
Figure 0005090181
化学式14:
Figure 0005090181
化学式15:
Figure 0005090181
化学式16:
Figure 0005090181
化学式17:
Figure 0005090181
化学式18:
Figure 0005090181
化学式19:
Figure 0005090181
化学式20:
Figure 0005090181
化学式21:
Figure 0005090181
化学式22:
Figure 0005090181
化学式23:
Figure 0005090181
化学式24:
Figure 0005090181
化学式25:
Figure 0005090181
化学式26:
Figure 0005090181
化学式27:
Figure 0005090181
化学式28:
Figure 0005090181
化学式29:
Figure 0005090181
化学式30:
Figure 0005090181
化学式31:
Figure 0005090181
化学式32:
Figure 0005090181
化学式33:
Figure 0005090181
化学式34:
Figure 0005090181
化学式35:
Figure 0005090181
斯かるシアニン色素は、いずれも、例えば、大河原信ら『機能性色素』、株式会社講談社、1992年3月10日発行、98乃至117頁や、速水正明監修、『感光色素』、産業図書株式会社、1997年10月17日発行、11乃至31頁に記載された方法に準じて所望量を得ることができる。
さて、斯かるシアニン色素を用いるこの発明の映像表示機器用前面部材について説明すると、この発明の前面部材は、少なくとも、前面部材の主体となる透明基材と、シアニン色素を含む遮光剤とによって構成される。なお、この発明でいう「遮光剤」とは、斯かる前面部材へ用いることによって、映像表示機器から輻射される近赤外領域の光を実質的に遮断する、吸光性有機化合物又は吸光性有機化合物を含有する組成物を意味するものとする。
透明基材の材料としては、全可視領域において、光透過率が50%以上、好ましくは、70%以上の、例えば、ABS樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、さらには、ガラス、セラミックなどが挙げられ、必要に応じて、これらは組み合わせて用いられる。これらのうちで、光透過性及び機械的強度の点で、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂が特に好ましい。
この発明の映像表示機器用前面部材は、シアニン色素を斯かる材料へ混合した後、映像表示機器における表示部の形状に応じた、例えば、フィルム状、シート状、パネル状などに形成するか、あるいは、表示部の形状に応じてフィルム状、シート状、パネル状などに形成しておいた透明基材の片面又は両面に密着させて、この発明の遮光剤による遮光層を形成する。透明基材の厚みとしては、透明基材の材質や映像表示機器における表示部の面積にもよるけれども、強度の点からは、通常、0.5mm以上、好ましくは、1mm以上に、一方、質量の点からは、通常、10mm以下、好ましくは、5mm以下の範囲で加減する。透明基材を厚さが比較的薄い、映像表示機器における表示部の形状に応じた、例えば、フィルム状又はシート状に形成するとともに、その片面に表示部のガラス板などへ貼合するための粘着層を設けてなる前面部材は、映像表示機器における既設の部位を有効に利用することによって、その表示部に対して、この発明の遮光剤による有効な遮光層を簡便に設けることができる実益を有する。
透明基材へシアニン色素を混合する前者の方法においては、例えば、透明基材の原料とシアニン色素とを溶融混練し、必要に応じて、一旦ペレット状などにした後、押出成形、射出成形、プレス成形などの方法により、映像表示機器における表示部の形状に応じたパネル状に成形するか、あるいは、透明基材の原料モノマーとシアニン色素とを混合し、表示部の形状に応じたパネル状に注型重合させる。
一方、成形された透明基材へ密着させてシアニン色素の層を設ける後者の方法においては、例えば、必要に応じて、バインダーを共存させて、シアニン色素を適宜溶剤に溶解又は分散させ、映像表示機器における表示部の形状に応じて、例えば、フィルム状、シート状、パネル状などに成形しておいた透明基材の片面又は両面へ直接塗布するか、あるいは、同様にして調製しておいた溶液又は分散液を透明基材におけると同様の材質のフィルム又はシートへ一旦塗布した後、そのフィルム又はシートを表示部の形状に応じて成形しておいた透明基材の片面又は両面へ貼合する。
バインダーとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、酢酸セルロース系樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロース系樹脂、ナイロン、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などが挙げられ、必要に応じて、これらは組み合わせて用いられる。斯かるバインダーは、この発明のシアニン色素に対して、通常、質量比で10乃至1,000倍、好ましくは、50乃至500倍用いられる。シアニン色素を分散液にして塗布する場合には、固状のシアニン色素を粒子径0.1乃至10μm、好ましくは、0.5乃至5μmの微粒子にして分散させる。
溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、石油ベンジン、イソオクタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、四塩化炭素、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、α−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化物、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、フェノール、ベンジルアルコール、クレゾール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類及びフェノール類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、メチルカルビトール、エチルカルビトールなどのエーテル類、フルフラール、アセトン、エチルメチルケトン、イソプロピルメチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸、無水酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチル燐酸トリアミド、燐酸トリエチルなどの酸及び酸誘導体、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピリジン、モルホリンなどのアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫化合物、水などが挙げられ、必要に応じて、これらは組み合わせて用いられる。
成形した透明基板などへシアニン色素を含有する溶液や分散液を塗布するには、斯界において汎用される、例えば、ディッピング法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法などが適用され、必要に応じて、これらは組み合わせて適用される。
この発明の遮光剤は、この発明の目的を逸脱しない範囲で、シアニン色素とともに、斯界において汎用される、例えば、アミニウム塩系化合物、アミン化合物、アミノチオールニッケル錯体系化合物、アントラキノン系化合物、インモニウム系化合物、シアニン系化合物、ジチオールニッケル錯体系化合物、トリアリルメタン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロソ化合物及びその金属塩、フタロシアニン系化合物、カーボンブラック、酸化インジウム錫、酸化アンチモン錫などを含有する近赤外線吸収剤、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、ヒドロキシベンゾエート化合物、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、硫酸バリウムなどを含有する紫外線吸収剤、さらには、酸化防止剤、難燃化剤、安定剤、滑剤、帯電防止剤、耐熱老化防止剤、離型剤の1又は複数を含んでいてもよい。なお、この発明のシアニン色素には、上記のごとき近赤外線吸収剤や紫外線吸収剤と併用すると、これらに含まれる有機色素化合物の耐光性を著明に改善し、それらが自然光や人工光などの環境光によって退色、変性、分解されるのを抑制する性質がある。したがって、この発明のシアニン色素は、単独又は近赤外線を吸収する他の化合物と組み合わせて、近赤外線吸収剤若しくは近赤外線遮断剤として有利に用いることができる。
また、この発明の映像表示機器用前面部材は、シアニン色素とともに、必要に応じて、斯界において汎用される、例えば、銀、銀−パラジウム合金、酸化インジウム、酸化インジウム−酸化錫混合物(ITO)、酸化亜鉛などを含有する電磁波遮断剤、金属酸化物、金属弗化物、金属珪化物、金属硼化物、金属炭化物、金属窒化物、金属硫化物などを含有する反射防止剤などの1又は複数を併用することを妨げない。これらの材料は、通常、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法などの方法により、成形された透明基材上へシアニン色素による遮光層とは独立した層として形成するか、あるいは、透明基材におけると同様の材質のフィルム、シート又はパネル上へ紫外線遮断層、電磁波遮断層、反射防止層などの1又は複数を形成し、そのフィルム、シート又はパネルを成形された透明基材へ貼合する。
さらに、この発明の映像表示機器用前面部材は、必要に応じて、前面部材のぎらつきを抑え、視野角を広げるためのノングレア層、前面部材の表面を保護するためのハードコート層、前面部材を映像表示機器やガラス板などへ取り付けるための粘着層などの1又は複数を設けることを妨げない。
斯くして得られるこの発明の前面部材は、シアニン色素において、シアニン色素を構成するカチオンとして、遮断すべき光の波長に応じた適宜の吸収域を有するものを選択することによって、映像の三原色の色純度を損なうことなく、映像表示機器から輻射される近赤外領域の光を選択的に遮断するので、コントラストと色再現性に優れた高画質の映像が得られ、しかも、赤外線リモコンが近赤外線によって誤動作することもない。この発明の前面部材を適用し得る映像表示機器としては、例えば、ブラウン管を用いる直視型テレビ、プラズマディスプレー、電界発光ディスプレーなどを用いる発光型パネル方式のテレビ、液晶ディスプレーを用いる非発光型パネル方式のテレビ、液晶プロジェクターが内蔵されたリアプロジェクション方式のテレビなどが挙げられる。これらのうちでも、この発明の前面部材は、原理上、近赤外線を輻射し易いプラズマディスプレーや電界発光ディスプレーなどを用いる発光型パネル方式のテレビへ極めて有利に適用することができる。
次に、この発明の実施の形態につき、実施例に基づいて説明する。
遮光剤
反応容器にトルエン及びブタノールをそれぞれ適量とり、化学式36で表される化合物0.50g及びN,N′−ジブチルチオバルビツル酸0.37gを加え、撹拌しながら100℃で6時間反応させた。次いで、反応混合物から溶剤を留去し、残渣をメタノールで結晶化したところ、化学式1で表されるこの発明によるシアニン色素の青色結晶が0.45g得られた。
化学式36:
Figure 0005090181
結晶の一部をとり、常法にしたがって融点を測定したところ、本例のシアニン色素は192℃付近に明確な融点を示した。さらに、メタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、本例のシアニン色素は波長596nm付近に吸収極大を示した(ε=1.53×10)。また、クロロホルム−d溶液におけるH−核磁気共鳴スペクトル(以下、「H−NMRスペクトル」と略記する。)を測定したところ、本例のシアニン色素は化学シフトδ(ppm、TMS)が0.92乃至1.00(m、6H)、1.07(d、6H)、1.32乃至1.45(m、4H)、1.53乃至1.82(m、12H)、4.07(t、2H)、4.43乃至4.53(m、4H)、5.73(br、1H)、7.12(d、1H)、7.31(d、1H)及び7.41(t、2H)の位置にピークを示した。
安定で、近赤外線を効率良く吸収する本例のシアニン色素は、遮光剤として、プラズマディスプレーをはじめとする種々の映像表示機器用前面部材において極めて有用である。
遮光剤
N,N′−ジブチルチオバルビツル酸に代えて1−ブチル−3−シアノ−6−ヒドロキシ−4−メチル−2−ピリドンを用いた以外は実施例1におけると同様に反応させ、結晶化させたところ、化学式30で表されるこの発明によるシアニン色素の青色結晶が得られた。
結晶の一部をとり、常法にしたがって測定したところ、本例のシアニン色素は179℃付近に明確な融点を示した。さらに、メタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、本例のシアニン色素は波長612nm付近に吸収極大を示した(ε=8.0×10)。また、クロロホルム−d溶液におけるH−NMRスペクトルを測定したところ、本例のシアニン色素は化学シフトδ(ppm、TMS)が0.95(t、3H)、1.09(d、6H)、1.32乃至1.42(m、2H)、1.43乃至1.85(m、11H)、2.84(s、3H)、4.03(t、2H)、4.15(t、2H)、5.87(br、1H)、7.20(d、1H)、7.35(t、1H)及び7.41乃至7.50(m、2H)の位置にピークを示した。
安定で、近赤外線を効率良く吸収する本例のシアニン色素は、遮光剤として、プラズマディスプレーをはじめとする種々の映像表示機器用前面部材において極めて有用である。
遮光剤
N,N′−ジブチルチオバルビツル酸に代えてN,N′−ジメチルバルビツル酸を用いた以外は実施例1におけると同様に反応させ、結晶化させたところ、化学式13で表されるこの発明によるシアニン色素の緑色結晶が得られた。
結晶の一部をとり、常法にしたがって測定したところ、本例のシアニン色素は220℃付近に明確な融点を示した。さらに、メタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、本例のシアニン色素は波長572nm付近に吸収極大を示した(ε=1.27×10)。また、クロロホルム−d溶液におけるH−NMRスペクトルを測定したところ、本例のシアニン色素は化学シフトδ(ppm、TMS)が1.06(d、6H)、1.60−1.79(m、10H)、3.39(d、6H)、4.03(t、2H)、5.68(s、1H)、7.08(d、1H)、7.27(s、1H)、7.30−7.40(m、2H)の位置にピークを示した。
安定で、近赤外線を効率良く吸収する本例のシアニン色素は、遮光剤として、プラズマディスプレーをはじめとする種々の映像表示機器用前面部材において極めて有用である。
なお、この発明で用いるシアニン色素は、構造によって仕込条件や収率に若干の違いはあるものの、例えば、化学式1乃至35で表されるものを含めて、いずれも、実施例1乃至3の方法によるか、あるいは、それらの方法に準じて所望量を得ることができる。
次に、この発明による遮光剤の耐光性につき、実験例に基づいて説明する。
実験例1
シアニン色素の耐光性
エチルメチルケトンにバインダーとしてポリメチルメタクリレート樹脂を濃度2.5質量%になるように溶解した後、表1に示すシアニン色素のいずれかを濃度0.05質量%になるように加え、室温下、撹拌しながら溶解させた後、スピンコート法によりアクリル板上に薄膜を形成し遮光層とした。次いで、分光光度計を用い、常法にしたがって、シアニン色素による遮光層を設けたアクリル板の紫外乃至赤外領域における吸光度と、個々のシアニン色素の吸収極大波長における吸光度とを測定し、直ちに、アクリル板から10cm隔てた位置にキセノンランプ(180W)を設置し、2時間に亙って光照射した後、アクリル板の吸光度を同じ波長で測定した。斯くして得られたキセノンランプ照射直前の吸光度と、キセノンランプを2時間照射した直後の吸光度とを数1へ代入して残存率(%)を計算し、シアニン色素の耐光性の目安とした。併行して、化学式37で表される類縁化合物(吸収極大波長576nm、ε=1.67×10)及び化学式38で表される別の類縁化合物(吸収極大波長578nm、ε=1.50×10)につき(以下、それぞれ、「対照1」及び「対照2」と言う。)上記と同様に試験して対照とした。結果を表1に示す。なお、化学式13で表されるこの発明のシアニン色素による遮光層を設けたアクリル板については、図1に紫外乃至赤外領域における光吸収曲線を示す。
化学式37:
Figure 0005090181
化学式38:
Figure 0005090181
Figure 0005090181
Figure 0005090181
表1の結果に見られるとおり、キセノンランプを2時間照射すると、対照1及び2の類縁化合物が62乃至72%分解したのに対して、試験に供したこの発明のシアニン色素は、いずれも、70%を越える高い残存率を示した。一方、図1の光透過曲線は、この発明のシアニン色素が近赤外領域の光、とりわけ、ネオンなどから輻射される波長500乃至650nm付近の近赤外線を選択的に遮断することを物語っている。これらの結果は、この発明のシアニン色素が、プラズマディスプレーなどの映像表示機器へ取り付ける前面部材へ用いると、映像表示機器から輻射される近赤外線を効果的に遮断するとともに、従来公知の類縁化合物を用いる場合と比較して、前面部材の遮光能がより長時間持続することを物語っている。
実験例2
シアニン色素の耐熱性
実験例1におけると同様にしてシアニン色素の遮光層を形成したアクリル板につき、温度90℃で120時間放置する直前及び直後における個々のシアニン色素の吸収極大波長における吸光度をそれぞれ測定し、放置直前の吸光度と放置直後の吸光度とを数2に代入して残存率(%)を計算し、シアニン色素の耐熱性の目安とした。併行して、対照1及び2の類縁化合物についても、上記と同様に試験した。結果を表2に示す。
Figure 0005090181
Figure 0005090181
表2の結果に見られるとおり、温度90℃で120時間放置すると、対照1及び2の類縁化合物が75乃至91%の残存率を示し、当初の遮光能を略10乃至25%失ったのに対して、試験に供したこの発明のシアニン色素は、いずれも、98%を越える、有意に高い残存率を示した。これらの結果は、従来公知の類縁化合物と比較して、この発明のシアニン色素が耐熱性がより大きく、その結果として、動作に際して高温が不可避となるプラズマディスプレーなどの映像表示機器へ取り付ける前面部材へ用いると、その遮光能がより長時間持続することを物語っている。
以下、この発明の映像表示機器用前面部材につき、実施例に基づいて説明する。
映像表示機器用前面部材
飽和共重合ポリエステル系樹脂(商品名『バイロン200』、東洋紡績株式会社製造)の20質量%トルエン溶液100質量部と、化学式1、13又は30で表されるシアニン色素のいずれかの0.5質量%シクロヘキサン溶液とを混合した後、トルエンを加えて、ポリエステル系樹脂の濃度を9質量%に調整した。次いで、バーコーターを用いて、この溶液をポリエチレンテレフタレート製フィルム(商品名『T100E』、ダイヤホイルヘキスト株式会社製造、厚さ100μm)の片面へ均一に塗布し、乾燥させることによって、膜厚4μmの遮光層を有する3種類の前面部材を作製した。
映像の三原色の色純度を損なうことなく、映像表示機器から輻射される近赤外線を長時間、効果的に遮断する本例の前面部材は、いずれも、プラズマディスプレーをはじめとする種々の映像表示機器へ有利に適用できる。
映像表示機器用前面部材
実施例4の方法により作製した前面部材におけるシアニン色素による遮光層を形成した側へ、アルゴン/酸素混合気流下、酸化インジウム−錫合金を積層した。さらに、前面部材における反対側の面へ、ノングレア層を有する市販のポリメタクリル酸メチル樹脂製パネル(商品名『MR−NG』、三菱レイヨン株式会社製造)におけるノングレア層の形成されていない面を貼合し、3種類の映像表示機器用前面部材を得た。
ぎらつきを起こさず、映像の三原色の色純度を損なうことなく、映像表示機器から輻射される近赤外線を長時間、効果的に遮断する本例の前面部材は、いずれも、プラズマディスプレーをはじめとする種々の映像表示機器へ有利に適用できる。
以上説明したとおり、この発明による遮光剤及び映像表示機器用前面部材は、プラズマディスプレーをはじめとする映像表示機器の分野において、映像表示機器から輻射される近赤外線を遮断するための技術要素として利用可能である。この発明で用いるスクアリリウム系のシアニン色素は、波長550乃至650nm付近に吸収極大を有し、吸収極大波長における分子吸光係数も大きいので、遮光剤としてプラズマディスプレーなどの映像表示機器へ取り付ける前面部材へ適用すると、映像の三原色の色純度を損なうことなく、映像表示機器から輻射される近赤外線を効果的に遮断し、コントラストと色再現性に優れた高画質の映像を与えるとともに、近赤外線によって赤外線リモコンが誤動作するのを防止する。また、この発明で用いるシアニン色素は耐光性、耐熱性に優れているので、長時間用いても遮光能が減弱し難い映像表示機器用前面部材を作製できる実益がある。

Claims (2)

  1. 一般式1で表され、かつ、波長550乃至650nm付近に吸収極大を有するシアニン色素を含有する遮光剤。
    一般式1:
    Figure 0005090181
    (一般式1において、Xは一般式2で表わされるバルビツル酸骨格若しくはチオバルビツル酸骨格又は一般式3で表わされるピリドン骨格のいずれかを有する含窒素複素六員環を表。R 及びR は水素原子又は炭素数9以下の脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素基を表し、その炭化水素基における水素原子の1又は複数はハロゲン基又はメトキシ基により置換されていてもよい。R は炭素数18以下の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表し、その水素原子の1又は複数はカルボキシル基、ハロゲン基、メトキシ基又はジメチルアミノ基により置換されていてもよい。及びRは、水素原子又は互いに結合し合って芳香環を形成する炭素数6乃至12の炭化水素基を表わし、その炭化水素基における水素原子の1又は複数はメトキシ基、シアノ基、ハロゲン基、ジメチルスルファモイル基、アセチル基、ニトロ基、ニトロソ基又はスルホ基に置換されていてもよい。)
    一般式2:
    Figure 0005090181
    (一般式2において、Yは酸素原子または硫黄原子を表わし、R 及びR は炭素数7以下の脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素基或いはアシル基を表わし、その水素原子の1又は複数はメトキシ基、エトキシ基、ハロゲン基又はアセチル基に置換されていてもよい。)
    一般式3:
    Figure 0005090181
    (一般式3において、R は水素原子又はメチル基を表わす。R は水素原子、シアノ基、又はピリジニル基を表わす。R 10 は炭素数6以下の脂肪族炭化水素基から選ばれる置換基を表わす。)
  2. 請求項1に記載の遮光剤を用いる映像表示機器用前面部材。
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